説明

無線通信システム

【課題】アンテナが電波を放射しているかどうか的確に検出して係員に知らせることができる信頼性にすぐれた無線通信システムを提供する。
【解決手段】電波を漏洩する漏洩同軸ケーブル11からなるアンテナ10、およびこのアンテナ10から放射される電波を検出する検出ユニット20を備える。検出ユニット20は、前記アンテナ10に着脱自在に取付けられ、ダイポールアンテナおよびこのダイポールアンテナの出力により動作する報知器を含む。報知器は、発光ダイオード、又は電流計である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、漏洩同軸ケーブルをアンテナとして用いる無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
漏洩同軸ケーブルをアンテナとして用いることにより、その漏洩同軸ケーブルの周りに無線LANエリアを形成することができる。例えば、上記アンテナを空港ラウンジや駅中に設置することにより、そのアンテナの周りに誰もが自由に無線通信を行うことができる無線LANエリアいわゆるフリースポットを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−236745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記アンテナを新たに設置する作業では、設置後のアンテナが電波を放射するかどうか確認する作業が必要となる。設置後に何らかの通信障害が生じた場合は、それが電波の放射がないことによる障害なのか、あるいは電波の放射は正常でも他の原因による障害なのか、確認する作業が必要となる。
【0005】
本発明の実施形態の目的は、アンテナが電波を放射しているかどうか的確に検出して係員に知らせることができる信頼性にすぐれた無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の無線通信システムは、電波を漏洩する漏洩同軸ケーブルからなるアンテナと、このアンテナから放射される電波を検出する検出ユニットと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態の構成を示す図。
【図2】図1における検出ユニットの構成を示す図。
【図3】図1における検出ユニットの変形例の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、テーブル面(取付け面)1に基台2を載置し、その基台2上にタワー型のアンテナ10を立設する。アンテナ10は、電波を漏洩する漏洩同軸ケーブル11、この漏洩同軸ケーブル11に高周波電力を供給するアクセスポイント12、漏洩同軸ケーブル11の先端に設けた終端器13、インジケータ14、およびこれら構成部品を被う円筒状のカバー15からなる。
【0009】
漏洩同軸ケーブル11は、LCXケーブルとも称し、電波漏洩用の複数のスロットを軸方向に沿って有する。この漏洩同軸ケーブル11からの電波の漏洩により、アンテナ10の周りに、2点鎖線で示す無線LANエリアいわゆるフリースポット(サービスエリアともいう)が形成される。このフリースポットでは、誰もが無線通信端末を用いて自由に無線通信を行うことができる。
【0010】
上記インジケータ14は、アンテナ10の先端部に配置された発光ダイオード(LED)であり、漏洩同軸ケーブル11への給電時にアクセスポイント12から供給される駆動信号により発光し、漏洩同軸ケーブル11への非給電時はアクセスポイント12から駆動信号が供給されなくなって消光する。
【0011】
上記カバー15の外周面に、検出ユニット20を着脱自在に取付ける。検出ユニット20は、漏洩同軸ケーブル11から放射される電波を検出するもので、図2に示すように、一対のアンテナ素子21,22からなるダイポールアンテナおよびこのダイポールアンテナの出力により動作する報知器30を含む。アンテナ素子21,22の長さは、漏洩同軸ケーブル11から放射される電波の波長をλとしたとき、それぞれλ/4である。この長さは、受信効率が最も高い。上記報知器30は、ダイポールアンテナの出力電流を整流する整流器31,32、およびこの整流器31,32の出力電流により発光する発光ダイオード(LED)33を含む。
【0012】
検出ユニット20の取付け位置は、図示のようにアンテナ10の先端側でもよいし、中ほどや基端側でもよい。要は、漏洩同軸ケーブル11から放射される電波が届く位置であればよい。
【0013】
上記基台2およびアンテナ10をテーブル面1に新たに設置する作業では、設置後のアンテナ10が電波を放射するかどうか確認する作業が必要となる。設置後に何らかの通信障害が生じた場合は、それが電波の放射がないことによる障害なのか、あるいは電波の放射は正常でも他の原因による障害なのか、確認する作業が必要となる。
【0014】
通常は、電波の放射時にインジケータ14が発光し、非放射時にインジケータ14が消光する。ただし、何らかの異常で、インジケータ14が発光していても実際には電波が放射されていなかったり、逆にインジケータ14が消光していても実際には電波が放射される事態の発生が考えられる。
【0015】
実際に電波が放射されていれば、アンテナ10に取付けられている検出ユニット20における報知器30の発光ダイオード33が発光する。電波が放射されていなければ、その発光ダイオード33が消光する。作業する係員は、報知器30の発光ダイオード33を見ることにより、実際に電波が放射されているか否かを的確に検出できる。これにより、無線通信システムとしての高い信頼性を確保できる。
【0016】
検出ユニット20をアンテナ10から取外し、取外した検出ユニット20をアンテナ10に翳して近づけたり離したりする操作を繰り返すことにより、かつ報知器30の発光ダイオード33の発光量の変化を観察することにより、アンテナ10から放射される電波の強さおよび領域を確かめることができる。この場合、検出ユニット20のアンテナ素子21,22を電波の放射方向と直交したときに検出感度が高くなるので、その点を考慮しながら検出ユニット20をアンテナ10に向けて翳すことが大事である。
【0017】
なお、上記実施形態では、検出ユニット20の報知手段として発光ダイオード33を用いたが、図3に示すように、発光ダイオード33に代えて電流計34を用いてもよい。電流計34は、整流器31,32の出力電流を微小レベルのmA単位で指針表示する。この電流計34の採用により、放射される電波の出力が低い場合でも、その放射電波の有無および強さを的確に報知することができる。
【0018】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0019】
1…テーブル面、2…基台、10…アンテナ、11…漏洩同軸ケーブル、12…アクセスポイント、14…インジケータ、15…カバー、20…検出ユニット、21,22…ダイポールアンテナ、30…報知器、31,32…整流器、33…発光ダイオード、34…電流計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を漏洩する漏洩同軸ケーブルからなるアンテナと、
このアンテナから放射される電波を検出する検出ユニットと、
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記検出ユニットは、前記アンテナに着脱自在に取付けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記検出ユニットは、ダイポールアンテナおよびこのダイポールアンテナの出力により動作する報知器を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記報知器は、発光ダイオードである、
ことを特徴とする請求項3記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記報知器は、電流計である、
ことを特徴とする請求項3記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記報知器は、前記ダイポールアンテナの出力電流を整流する整流器を含む、
ことを特徴とする請求項5または請求項6記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−31068(P2013−31068A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166740(P2011−166740)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】