説明

無線通信システム

【課題】電池で動作する子局が多くても、簡単な構成で電池交換の状況を簡易に漏れなく適確に判断できる無線通信システムを提供する。
【解決手段】このシステムでは、子局1、2の電池1g、2gを交換するとき、スイッチ1i、2iをON操作して制御部1c、2cにより電池交換を実施する旨の電池交換信号を無線処理部1d及びアンテナ1f、無線処理部2d及びアンテナ2fを介して親局3へ送信する。親局3において、アンテナ3f及び無線処理部3dを介して電池交換信号を受信した制御部3cは、記憶部3eに記憶された子局1、2の識別データに基づいて子局を特定し、電池交換履歴情報格納部3eaの特定した子局に係る電池交換履歴情報を書替え、LED制御部3caにより子局1、2の全数未満から信号受信するとLED3hを点灯又は点滅させ、全数から信号受信すると残部の子局に係る電池交換履歴情報の書替えと合わせてLED3hを消灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内に設置された親局と複数台の子局とが相互通信を行う構成の無線通信システムに係り、詳しくは各子局の電源用電池の交換の有無を把握するのに好適な無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の無線通信システムに関連する周知技術としては、例えば監視対象を管理するコントローラに監視対象の状態を無線で送信し、バッテリ交換時に発生する監視対象の状態変化を容易に管理可能にした「無線式の状態送信装置」(特許文献1参照)が挙げられる。
【0003】
この特許文献1に係る技術は、監視対象の状態を検出するセンサと、このセンサが接続されて監視対象の状態情報を無線で送信する子局である送信局と、この送信局から無線で送信される監視対象の状態情報を受信する親局である受信局と、を備えた無線通信システムの構成において、送信局(子局)がバッテリ(電池)で動作すると共に、このバッテリの電圧を検出するバッテリ検出回路を有しており、制御部の監視によりバッテリ検出回路で検出電圧が0Vとなった後、所定電圧以上になるとバッテリ(電池)が交換されたと判定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−334380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に係る技術では、送信局(子局)におけるバッテリ検出回路でバッテリ(電池)の電圧を検出した結果、バッテリ交換の有無を判断するため、判定機能自体は適確に行われるが、建物内に設置される送信局の数が多ければ構成が複雑になるばかりでなく、各送信局の全てのバッテリ交換を行うとき、全ての送信局でのバッテリ交換が完了したか否かの判断を、受信局(親局)に記憶される各送信局から送信されるバッテリ交換信号を確認する必要があるため、バッテリ交換の状況の判断に手間がかかってしまい、簡易に判断することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、電池で動作する子局が多くても、簡単な構成で電池交換の状況を簡易に漏れなく適確に判断できる無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するため、本発明の第1の手段は、同じ建物内に設置されてそれぞれが無線通信機能を有する少なくとも1台の親局と複数台の子局とを備えて構成され、複数台の子局がそれぞれ駆動用電源としての電池で動作する無線通信システムにおいて、複数台の子局は、所定の操作を受けて電池の交換実施を示す電池交換信号を出力して親局へ通知する電池交換信号出力機能を有する制御部をそれぞれ備え、親局は、所定の表示制御を受けて視認可能に発光表示を行う発光表示部と、所定の表示制御として、複数台の子局の少なくとも1つ以上で全数未満のものから電池交換信号を受信すると発光表示部を点灯又は点滅すると共に、複数台の子局の全数のものから電池交換信号を受信すると発光表示部を消灯する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の手段は、同じ建物内に設置されてそれぞれが無線通信機能を有する少なくとも1台の親局と複数台の子局とを備えて構成され、複数台の子局がそれぞれ駆動用電源としての電池で動作する無線通信システムにおいて、親局は、所定の操作を受けて電池の交換作業開始を指示する電池交換作業開始信号を出力して複数台の子局へ通知する電池交換作業開始信号出力機能を有する制御部を備え、複数台の子局は、所定の表示制御を受けて視認可能に発光表示を行う発光表示部と、所定の表示制御として、電池交換作業開始信号を受信すると発光表示部を点灯又は点滅すると共に、所定の操作を受けて発光表示部を消灯してから電池の交換実施を示す電池交換信号を出力して親局へ通知する制御部と、をそれぞれ備えたことを特徴とする。
【0009】
第3の手段は、第1の手段において、電池交換信号は、所定の操作として、複数台の子局に設けられたスイッチのON操作、又は着脱自在に装着されたパソコンの所用の操作の何れかに応じて複数台の子局における制御部から出力されることを特徴とする。
【0010】
第4の手段は、第2の手段において、電池交換作業開始信号は、所定の操作として、親局に設けられたスイッチのON操作、又は着脱自在に装着されたパソコンの所用の操作の何れかに応じて親局における制御部から出力されることを特徴とする。
【0011】
第5の手段は、第1の手段〜第4の手段の何れか1つの手段において、複数台の子局における制御部は、建物内の状態量を個別に計測した計測値を親局へ送信する計測手段に接続されると共に、計測値を積算して複数台の子局に装着可能なパソコンについての消費電力量を演算することを特徴とする。
【0012】
第6の手段は、第1の手段〜第5の手段の何れか1つの手段において、親局は、複数台の子局から送信される電池交換信号を受信する都度、複数台の子局毎の電池交換履歴情報を更新可能に記憶保持する記憶手段を備え、電池交換履歴情報は、親局に着脱自在に装着されたパソコンにより参照可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各子局における駆動用電源としての電池の交換作業の状況を親局や各子局における発光表示部で視認により確認できるため、電池で動作する子局が多くても、簡単な構成で電池交換の状況を簡易に漏れなく適確に判断でき、電池交換作業漏れを防止できるようなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1に係る無線通信システムの基本構成を示した概略ブロック図である。
【図2】図1に示す無線通信システムの親局に備えられる制御部による電池交換作業に伴う動作処理を示したフローチャートである。
【図3】図1に示す無線通信システムの子局に備えられる制御部による電池交換作業に伴う動作処理を示したフローチャートである。
【図4】図1に示す無線通信システムの親局に備えられる記憶部の電池交換履歴情報格納部に記憶されると共に、親局に装着されたパソコンの表示画面上に表示されたテーブル形式の電池交換履歴情報を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の無線通信システムについて、実施例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係る無線通信システムの基本構成を示した概略ブロック図である。この無線通信システムは、同じ建物内に設置されてそれぞれが無線通信機能を有する1台の無線機仕様の親局3とこの親局3に対して遠隔的に配設された2台の無線機仕様の子局1、2とを備えて構成され、各子局1、2がそれぞれ駆動用電源としての電池1g、2gで動作するようになっている。
【0017】
このうち、子局1、2は、各部の構成が同じであり、具体的には消費電力量、使用水量、使用ガス量等の複数の状態量のそれぞれを計測する計測手段としてのパルス発信付メータ4(本実施例では消費電力量の計測を要するものとする)に接続されると共に、パルス発信付メータ4から出力されたパルス信号を入力するパルス入力部1a、2aと、所定の表示制御を受けて視認可能に発光表示を行う発光表示部としてのLED1h、2hと、計測された消費電力量の積算値の範囲で入出力が可能なパソコン5の着脱を可能とすると共に、所定の表示制御時にLED1h、2hを点灯又は点滅、或いは消灯させるための外部インターフェース(IF)1b、2bと、アンテナ1f、2fを介して後文で説明する親局3のアンテナ3fとの間での無線通信を可能にさせ、信号受信時に後文で説明する親局3からの電池交換作業開始信号を検出する無線処理部1d、2dと、入力されたパルス信号に基づいて演算された消費電力量の積算値を記憶する記憶部1e、2eと、電池1g、2gの交換時にON操作に供されるスイッチ1i、2iと、これらのパルス入力部1a、2a、外部インターフェース(IF)1b、2b、無線処理部1d、2d、記憶部1e、2e、及びスイッチ1i、2iにそれぞれ接続され、パルス入力部1a、2aからのパルス信号に基づいて上述した消費電力量の積算値を演算する処理、スイッチ1i、2iのON操作で出力する電池交換実施を示す電池交換信号の出力処理、並びに消費電力量の積算値を記憶部1e、2eに記憶(格納)させる処理を行うと共に、外部インターフェース(IF)1b、2bを介して所定の表示制御としてLED1h、2hを点灯又は点滅、或いは消灯させるLED制御部1ca、2caを含む制御部1c、2cと、をそれぞれ備えて構成される。
【0018】
また、親局3は、所定の表示制御を受けて視認可能に発光表示を行う発光表示部としてのLED3hと、パソコン5の着脱を可能とすると共に、所定の表示制御時にLED3hを点灯又は点滅、或いは消灯させるための外部インターフェース(IF)3bと、アンテナ3fを介して子局1、2のアンテナ1f、2fとの間での無線通信を可能にさせ、信号受信時に後文で説明する子局1、2からの電池交換信号を検出する無線処理部3dと、子局1、2における電池1g、2gの交換日時等の電池交換履歴情報を格納する電池交換履歴情報記憶部3eaを含むと共に、子局1、2の識別情報を記憶する記憶部3eと、子局1、2における電池1g、2gの交換作業開始時にON操作に供されるスイッチ3iと、略図する通信回線を介して遠隔的に接続される監視センタへ子局1、2の記憶部1e、2eに格納された消費電力量の積算値を送信する通信インターフェース(IF)3aと、これらの通信インターフェース(IF)3a、外部インターフェース(IF)3b、無線処理部3d、記憶部3e、及びスイッチ3iにそれぞれ接続され、通信インターフェース(IF)3aからの子局1、2の消費電力量の積算値についての監視センタへの送信処理、スイッチ3iのON操作で出力する電池交換作業開始信号の出力処理、並びに子局1、2の電池1g、2gの電池交換時に送信される電池交換信号を受信する都度、子局1、2毎の電池交換履歴情報を更新可能に記憶部3eに記憶(格納)させる処理を行うと共に、外部インターフェース(IF)3bを介して所定の表示制御としてLED3hを点灯又は点滅、或いは消灯させるLED制御部3caを含む制御部3cと、を備えて構成される。
【0019】
更に、子局1、2の外部インターフェース1b、2bに接続して装着されるパソコン5は、パルス入力部1a、2aからのパルス信号に基づいて制御部1c、2cが演算した消費電力量の積算値の範囲内で使用可能なものであるが、制御部1c、2cに対する機能設定によりスイッチ1i、2iのON操作時以外にパソコン5の所用の操作に応じて電池交換信号を出力させることも可能である。親局3の外部インターフェース3bに接続して装着されるパソコン5は、記憶部3eの電池交換履歴情報格納部3eaの電池交換履歴情報を表示画面上に表示させて参照可能である他、制御部3cに対する機能設定によりスイッチ3iのON操作時以外にパソコン5の所用の操作に応じて電池交換作業開始信号を出力させることも可能である。何れのパソコン5においても、各局内で記憶された受信結果を取得して表示画面上に表示したり、或いは連続試験モードや開始時限の設定、送信出力の強弱の設定を行うこと等が可能である他、子局1、2においても制御部1c、2cが記憶部1e、2eに対して電池交換履歴情報を格納するように機能設定すれば、その電池交換履歴情報を表示画面上に表示させて参照可能である。
【0020】
図2は、上述した無線通信システムの親局3に備えられる制御部3cによる電池交換作業に伴う動作処理を示したフローチャートである。ここでの動作処理は、親局3側で無線通信相手となる子局1、2の電池1g、2gの交換作業を適確に把握できるようにしたモードである。
【0021】
図2を参照して動作処理を具体的に説明すれば、ここではまず前提的な処理として、作業者が子局1の電池1gの交換開始を親局3に知らせるため(或いは子局2の電池2gについても同様)、スイッチ1i(或いはスイッチ2i)に所定の操作としてON操作を行うことにより、制御部1c(或いは制御部2c)は電池交換が行われると判断し、無線処理部1d及びアンテナ1f(或いは無線処理部2d及びアンテナ2f)を介して親局3のアンテナ3fへ電池1g(或いは電池2g)の交換実施を示す電池交換信号を出力する。但し、ここでの実際の電池1g(或いは電池2g)の交換はスイッチ1i(或いはスイッチ2i)のON操作を行った後に行うものとする。
【0022】
そこで、親局3の制御部3cは、アンテナ3f及び無線処理部3dを介して電池交換信号が受信されたか否かにより、電池交換信号有か否かの判定(ステップS11)を行う。この判定の結果、電池交換信号が無ければこの判定(ステップS11)の前にリターンして処理を繰り返すが、電池交換信号が有れば記憶部3eに記憶されている子局1、2の識別情報を参照して子局の特定(ステップS12)を行い、子局1(或いは子局2)の電池交換が開始されたと判断し、記憶部3eの電池交換履歴情報格納部3eaにおけるテーブル形式の電池交換履歴情報を子局1のスイッチ1i(或いは子局2のスイッチ2i)を操作した時刻に書き替えることにより、テーブル書替え(ステップS13)の処理を行った後、LED制御部3caによりLED制御信号(発光表示制御信号)として、LED点灯指令(ステップS14)に基づくLED点灯指令信号を出力して外部インターフェース(IF)3b経由でLED3hを点灯させる。但し、発光表示制御としては、点灯以外にも点滅させるパターンも適用できる。これにより、親局3の管理者はLED3hの点灯又は点滅により子局1の電池1g(或いは子局2の電池2g)が交換されている様子を適確に視認することができる。
【0023】
引き続き、制御部3cは、全子局(子局1、2の双方)より電池交換信号を受信したか否かを判定(ステップS15)する。この判定の結果、全子局より電池交換信号が受信されていなければ最初の電池交換信号有か否かの判定(ステップS11)の前にリターンしてそれ以降の処理を繰り返すが、全子局より電池交換信号が受信されていれば後続的に受信された子局についての記憶部3eの電池交換履歴情報格納部3eaにおけるテーブル形式の電池交換履歴情報をそのスイッチを操作した時刻に書き替えた後、LED制御部3caによりLED制御信号(発光表示制御信号)として、LED消灯指令(ステップS16)に基づくLED消灯指令信号を出力して外部インターフェース(IF)3b経由でLED3hを消灯させて動作処理を終了する。これにより、親局3の管理者はLED3hの消灯により子局の全ての電池(子局1の電池1g及び子局2の電池2g)が交換されている様子を適確に視認することができる。
【0024】
即ち、図2に示す動作処理のモードによれば、親局3のLED3hを消灯させるためには、全ての子局1、2から電池交換信号を受信する必要があり、全ての子局1、2の電池交換完了を親局3のLED3hの消灯により目視で確認できるため、子局1、2の電池交換漏れを適確に防止することができる。尚、図2の動作処理では前提的処理として、子局1、2の制御部1c、2cがスイッチ1i、2iのON操作で電池交換信号を出力する場合を説明したが、これに代えて子局1、2の外部インターフェース(IF)1b、2bに装着したパソコン5の所用の操作で制御部1c、2cから電池交換信号を出力させるように設定にすることも可能である。
【0025】
何れにせよ、図2の動作処理モードによれば、子局1、2の制御部1c、2cが電池交換信号出力機能を有して電池交換信号を出力することを前提とし、親局3の制御部3cにより子局の少なくとも1つ以上で全数未満のものから電池交換信号を受信するとLED3hを点灯又は点滅させ、全数のものから電池交換信号を受信するとLED3hを消灯する発光表示制御が行われるため、簡単な構成で電池1g、2gの交換の有無を簡易に漏れなく適確に判断することができる。また、親局3では、子局1、2の電池交換信号の受信時に記憶部3eの電池交換履歴情報格納部3eaにおける電池交換履歴情報が更新されるため、親局3で子局1、2における電池交換履歴情報を取得して適確に管理することができる。
【0026】
図3は、上述した無線通信システムの子局1、2に備えられる制御部1c、2cによる電池交換作業に伴う動作処理を示したフローチャートである。ここでの動作処理は、無線通信相手となる親局3からの交換作業開始指示により子局1、2側で電池1g、2gの交換作業を適確に把握できるようにしたモードである。
【0027】
図3を参照して動作処理を具体的に説明すれば、ここではまず前提的な処理として、作業者が親局3から子局1、2の電池1g、2gの交換作業開始を子局1、2に指示するためスイッチ3iに所定の操作としてON操作を行うことにより、制御部3cは電池交換作業開始の指示を行うものと判断し、無線処理部3d及びアンテナ3fを介して子局1の無線処理部1d及びアンテナ1fと子局2の無線処理部2d及びアンテナ2fとへ電池交換作業開始信号を出力する。
【0028】
そこで、子局1、2の制御部1c、2cは、無線処理部1d及びアンテナ1f、子局2の無線処理部2d及びアンテナ2fを介して電池交換作業開始信号が受信されたか否かの判定(ステップS21)を行う。この判定の結果、電池交換作業開始信号が受信されていなければこの判定(ステップS21)の前にリターンして処理を繰り返すが、無線処理部1d及びアンテナ1f、子局2の無線処理部2d及びアンテナ2fを介して電池交換作業開始信号が受信されていれば制御部1c、2cは、LED制御部1ca、2caによりLED制御信号(発光表示制御信号)として、LED点滅指令(ステップS22)に基づくLED点滅信号を出力して外部インターフェース(IF)1b、2b経由でLED1h、2hを点滅させる。但し、発光表示制御としては、点滅以外にも点灯させるパターンも適用できる。これにより、子局1、2の管理者はLED1h、2hの点滅或いは点灯により電池1g、2gの交換作業を行うべき様子を適確に視認することができる。
【0029】
引き続き、子局1、2の制御部1c、2cは、スイッチ1i、2iにより所定の操作が行われたか否かにより、SWの所定操作有りか否かの判定(ステップS23)を行う。この判定の結果、SWの所定操作が行われていなければこの判定(ステップS23)の前にリターンして処理を繰り返すが、SWの所定操作が行われていればLED制御部1ca、2caによりLED制御信号(発光表示制御信号)として、LED消灯指令(ステップS24)に基づくLED消灯指令信号を出力して外部インターフェース(IF)1b、2b経由でLED1h、2hを消灯させた後、子局1、2の電池1g、2gの交換完了を親局3へ通知するための電池交換信号出力指令(ステップS25)により、電池交換信号を無線処理部1d及びアンテナ1f、無線処理部2d及びアンテナ2fを介して親機3のアンテナ3fへ出力して動作処理を終了する。これにより、子局1、2の管理者はLED1h、2hの消灯により全ての電池1g、2gが交換されている様子を適確に視認することができる。
【0030】
即ち、図3に示す動作処理のモードによれば、子局1、2の管理者はLED1h、2hを消灯させるためには、電池1g、2gの交換時にスイッチ1i、2iをON操作して制御部1c、2cから電池交換信号を出力する必要があるため、電池交換を行っていない子局があるとLED1h、2hから目視で確認できるため、子局1、2の電池交換漏れを適確に防止することができる。尚、図3の動作処理では前提的処理として、親局3の制御部3cがスイッチ3iのON操作で電池交換作業開始信号を出力する場合を説明したが、これに代えて親局3の外部インターフェース(IF)3bに装着したパソコン5の所用の操作で制御部3cから電池交換作業開始信号を出力させる設定にすることも可能である。
【0031】
何れにせよ、図3の動作処理モードによれば、親局3の制御部3cが電池交換作業開始信号出力機能を有して電池交換作業開始信号を出力することを前提とし、子局1、2の制御部1c、2cにより電池交換作業開始信号を受信するとLED1h、2hを点滅又は点灯すると共に、電池1g、2gの交換時には所定の操作を受けてLED1h、2hを消灯してから電池1g、2gの交換完了を示す電池交換信号を出力して親局3へ通知する発光表示制御が行われるため、簡単な構成で電池1g、2gの交換の有無を簡易に漏れなく適確に判断することができる。また、図2の動作処理の場合と同様に、親局3では、最終的に子局1、2からの電池交換信号を受信して記憶部3eの電池交換履歴情報格納部3eaにおける電池交換履歴情報が更新されるため、親局3で子局1、2における電池交換履歴情報を取得して適確に管理することができる。
【0032】
図4は、親局3に備えられる記憶部3eの電池交換履歴情報格納部3eaに記憶されると共に、親局3に装着されたパソコン5の表示画面上に表示されたテーブル形式の電池交換履歴情報を例示した図である。ここでは、パソコン5の表示画面として、親局3の外部インターフェース(IF)3bへ着脱自在なパソコン5を装着して所用の操作を行うことにより電池交換履歴画面5Aが表示された様子を示している。
【0033】
図4の電池交換履歴画面5Aでは、或る年月日(2011年02月25日)での電池交換状況として、子局No.5Aaが親局3の管理下にある全子局を示しており、交換信号受信5Abが各子局での電池交換作業開始信号を受信した後に親局3での電池交換信号を受信したか否かの成否(○、×)を示しており、交換日時5Acが親局3での前回電池交換信号を受信した日時(年、月、日時:分で表す)を示している。因みに、図4中では、実施例1の無線通信システムで説明したNo.1、No.2に対応する子局1、2以外の子局のものについても表示している。このような電池交換履歴画面5Aをパソコン5の表示画面上に展開して電池交換状況の詳細を参照すれば、電池交換漏れを防止し、電池交換作業を効率良く実行することができる。
【0034】
尚、上述した実施例1に係る無線通信システムは、図1を参照して2台の子局1、2と1台の親局3とによる構成を説明したが、本発明の無線通信システムは、図4中にも示したように3台以上の子局と1台の親局1とによる構成でも適用可能である他、更に2台以上の親局と3台以上の子局とによる構成であっても、各親局毎に無線通信管理下におかれる各子局が対応付けられる構成となっていれば適用可能であるので、図1に示した実施例1に係る構成のものに限定されない。
【符号の説明】
【0035】
1、2 子局
3 親局
1a、2a パルス入力部
1b、2b、3b 外部インターフェース(IF)
1c、2c、3c 制御部
1ca、2ca、3ca LED制御部
1d、2d、3d 無線処理部
1e、2e、3e 記憶部
1g、2g 電池
1h、2h、3h LED(発光表示部)
1i、2i、3i スイッチ
3a 通信インターフェース(IF)
3ea 電池交換履歴情報格納部
4 パルス発信付メータ
5 パソコン
5A 電池交換履歴画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ建物内に設置されてそれぞれが無線通信機能を有する少なくとも1台の親局と複数台の子局とを備えて構成され、前記複数台の子局がそれぞれ駆動用電源としての電池で動作する無線通信システムにおいて、
前記複数台の子局は、所定の操作を受けて前記電池の交換実施を示す電池交換信号を出力して前記親局へ通知する電池交換信号出力機能を有する制御部をそれぞれ備え、
前記親局は、所定の表示制御を受けて視認可能に発光表示を行う発光表示部と、前記所定の表示制御として、前記複数台の子局の少なくとも1つ以上で全数未満のものから前記電池交換信号を受信すると前記発光表示部を点灯又は点滅すると共に、前記複数台の子局の全数のものから前記電池交換信号を受信すると前記発光表示部を消灯する制御部と、を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
同じ建物内に設置されてそれぞれが無線通信機能を有する少なくとも1台の親局と複数台の子局とを備えて構成され、前記複数台の子局がそれぞれ駆動用電源としての電池で動作する無線通信システムにおいて、
前記親局は、所定の操作を受けて前記電池の交換作業開始を指示する電池交換作業開始信号を出力して前記複数台の子局へ通知する電池交換作業開始信号出力機能を有する制御部を備え、
前記複数台の子局は、所定の表示制御を受けて視認可能に発光表示を行う発光表示部と、前記所定の表示制御として、前記電池交換作業開始信号を受信すると前記発光表示部を点灯又は点滅すると共に、所定の操作を受けて前記発光表示部を消灯してから前記電池の交換実施を示す電池交換信号を出力して前記親局へ通知する制御部と、をそれぞれ備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、前記電池交換信号は、前記所定の操作として、前記複数台の子局に設けられたスイッチのON操作、又は着脱自在に装着されたパソコンの所用の操作の何れかに応じて前記複数台の子局における前記制御部から出力されることを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項2記載の無線通信システムにおいて、前記電池交換作業開始信号は、前記所定の操作として、前記親局に設けられたスイッチのON操作、又は着脱自在に装着されたパソコンの所用の操作の何れかに応じて前記親局における前記制御部から出力されることを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載の無線通信システムにおいて、前記複数台の子局における前記制御部は、前記建物内の状態量を個別に計測した計測値を前記親局へ送信する計測手段に接続されると共に、前記計測値を積算して前記複数台の子局に装着可能なパソコンについての消費電力量を演算することを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項記載の無線通信システムにおいて、前記親局は、前記複数台の子局から送信される前記電池交換信号を受信する都度、前記複数台の子局毎の電池交換履歴情報を更新可能に記憶保持する記憶手段を備え、前記電池交換履歴情報は、前記親局に着脱自在に装着されたパソコンにより参照可能であることを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−61735(P2013−61735A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198668(P2011−198668)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】