説明

無線通信システム

【課題】帯域リソースをフロー毎に効率的に割り当て、システム全体の通信容量の増大を図ることのできる無線通信システムを提供する。
【解決手段】帯域リソースマネジメントサーバ20は、ストリーミングサーバから端末に配信されている配信中フローと、端末に新規に配信される新規フローとのそれぞれに対して、レートテーブルに基づき、各フローに割り当てるサブキャリアの伝送レートの合計が各フローに要求される各データレート以上となり、且つ、前記各フローに割り当てるサブキャリア数の合計が最小となるサブキャリアの組み合わせを選択し、選択した組み合わせのサブキャリアを各フローに割り当て、基地局14は、配信中フロー及び新規フローを、帯域リソースマネジメントサーバ20により割り当てられたサブキャリアで送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局と無線接続される端末に、ストリーミングサーバからコンテンツを含むフローを配信する無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の高速移動体通信方式として、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)、XGP(eXtended Global Platform)等が国際的に注目を集めている。これらの通信方式では、マルチパスフェージングに強く、且つ、帯域リソースを効率的に利用可能であるとされる多元接続方式であるOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が使用されている。
【0003】
OFDMAでは、複数のサブキャリアを纏めてサブチャネルを形成し、各サブチャネルをタイムスロット毎に各端末に割り当てることにより、複数の端末が同時に通信を行うことができる(特許文献1参照)。この場合、各サブキャリアは、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM等の変調方式で変調され、また、各サブキャリアによって搬送されるデータは、1/2、2/3、3/4等の符号化率で誤り訂正符号化される。
【0004】
サブチャネルへのサブキャリアの割り当ては、通常、FUSC、PUSC、AMC等の手法により行われる。FUSC及びPUSCは、周波数的にばらばらなサブキャリアを1つのサブチャネルに割り当てる手法であり、周波数ダイバーシチ効果を得ることができる。一方、AMCは、周波数的に近いサブキャリアを1つのサブチャネルに割り当てる手法である。変調方式及び符号化率は、基地局と各端末との間の伝搬環境に応じて適応的に選択されるものであり、サブチャネルの端末への割り当てが決まった後に決められる。
【0005】
このようなOFDMAにおいて、端末に対して帯域リソースを効率的に割り当てる方法が種々提案されている。
【0006】
例えば、特許文献2では、各端末の要求伝送率以上となるようなサブキャリア数を決定し、そのサブキャリア数分の回線品質情報に基づき、通信相手毎に送信データを割り当てるサブキャリアを選択するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−50967号公報
【特許文献2】特開2010−16881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に開示された帯域リソースの割当方法では、端末側が要求する伝送率を満たすサブキャリア数からなるサブキャリアを各端末に割り当てているため、例えば、ある端末に配信される送信データの伝送率が当該端末に割り当てられた帯域リソースの伝送率よりも小さい場合、余分なサブキャリアが端末に割り当てられてしまう可能性がある。
【0009】
本発明は、前記の不具合を解消するためになされたものであって、ストリーミングサーバから配信されているコンテンツを含む配信中フローと、ストリーミングサーバから新規に配信されるコンテンツを含む新規フローとのそれぞれに要求されるデータレートに基づき、帯域リソースをフロー毎に効率的に割り当て、システム全体の通信容量の増大を図ることのできる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る無線通信システムは、端末と、前記端末と無線接続する基地局と、前記端末に配信されるフローに含まれるコンテンツが保存されるストリーミングサーバと、前記ストリーミングサーバから取得し、前記フローに要求されるデータレートに基づき、前記フローに帯域リソースを割り当てる帯域リソースマネジメントサーバと、を備え、前記帯域リソースマネジメントサーバは、前記端末からサブキャリア毎の伝搬環境情報を取得し、前記伝搬環境情報に基づき、前記サブキャリア毎の伝送レートを算出する伝送レート算出部と、前記サブキャリア毎に算出された前記伝送レートをレートテーブルとして記憶するレートテーブル記憶部と、所定のサブキャリアが割り当てられ、前記ストリーミングサーバから前記端末に配信されている配信中フローと、前記ストリーミングサーバから前記端末に新規に配信される新規フローとのそれぞれに対して、前記レートテーブルに基づき、前記各フローに割り当てる前記サブキャリアの前記伝送レートの合計が前記各フローに要求される前記各データレート以上となり、且つ、前記各フローに割り当てるサブキャリア数の合計が最小となる前記サブキャリアの組み合わせを選択し、選択した前記組み合わせの前記サブキャリアを前記各フローに割り当てる帯域リソース割当部と、を有し、前記基地局は、前記配信中フロー及び前記新規フローを前記帯域リソースマネジメントサーバにより割り当てられたそれぞれの前記サブキャリアで送信することを特徴とする。
【0011】
前記無線通信システムにおいて、前記帯域リソースマネジメントサーバは、前記ストリーミングサーバから取得した前記配信中フローの前記データレートを配信フローテーブルとして記憶する配信フローテーブル記憶部を備え、前記帯域リソース割当部は、前記配信フローテーブルの前記データレートと、前記レートテーブルの前記伝送レートとに基づき、前記配信中フローに前記サブキャリアを再割り当てすることを特徴とする。
【0012】
前記無線通信システムにおいて、前記ストリーミングサーバは、前記配信中フローの配信終了を検知すると、前記帯域リソースマネジメントサーバに配信終了通知を送信し、前記帯域リソースマネジメントサーバは、前記配信終了通知を受信したとき、前記配信終了通知に係る前記配信中フローに対応するデータを前記配信フローテーブルから削除し、前記帯域リソース割当部は、前記配信フローテーブル記憶部に記憶されている残余の前記配信フローテーブルの前記データレートと、前記レートテーブルの前記伝送レートとに基づき、前記配信中フローに前記サブキャリアを再割り当てすることを特徴とする。
【0013】
前記無線通信システムにおいて、前記ストリーミングサーバは、前記配信中フローの前記データレートの変化を検知すると、前記帯域リソースマネジメントサーバにレート変更通知を送信し、前記帯域リソースマネジメントサーバは、前記レート変更通知を受信したとき、前記レート変更通知に係る前記配信中フローに対応する前記配信フローテーブルの前記データレートを変更し、前記帯域リソース割当部は、変更された前記配信フローテーブルの前記データレートと、前記レートテーブルの前記伝送レートとに基づき、前記配信中フローに前記サブキャリアを再割り当てすることを特徴とする。
【0014】
前記無線通信システムにおいて、前記帯域リソース割当部は、前記端末から取得した前記伝搬環境情報に基づいて前記レートテーブルの前記伝送レートが更新されたとき、前記配信フローテーブルの前記データレートと、更新された前記レートテーブルの前記伝送レートとに基づき、前記配信中フローに前記サブキャリアを再割り当てすることを特徴とする。
【0015】
前記無線通信システムにおいて、前記帯域リソース割当部は、前記サブキャリア及びタイムスロットに基づく前記帯域リソースを前記配信中フロー及び前記新規フローに割り当てることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の無線通信システムでは、所定のサブキャリアが割り当てられているコンテンツを含む配信中フローと、ストリーミングサーバから新規に配信されるコンテンツを含む新規フローとのそれぞれに対して、各フローに割り当てるサブキャリアの伝送レートの合計が各フローに要求される各データレート以上となり、且つ、各フローに割り当てるサブキャリア数の合計が最小となるサブキャリアの組み合わせを選択し、選択した組み合わせのサブキャリアを各フローに割り当てることにより、帯域リソースを効率的に利用してフローを配信することができる。この結果、システム全体の実質的な通信容量の増大を図ることができる。また、帯域リソースの割り当て処理を帯域リソースマネジメントサーバで行うことにより、基地局の負荷を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る無線通信システムの概略ブロック図である。
【図2】図1に示す無線通信システムを構成するストリーミングサーバ及び帯域リソースマネジメントサーバの構成ブロック図である。
【図3】図2に示す帯域リソースマネジメントサーバのレートテーブル記憶部に記憶されるレートテーブルの説明図である。
【図4】図2に示す帯域リソースマネジメントサーバの配信フローテーブル記憶部に記憶される配信フローテーブルの説明図である。
【図5】本実施形態に係る無線通信システムにおいて、帯域リソースマネジメントサーバのレートテーブルを作成し、又は、更新するタイミングチャートである。
【図6】本実施形態に係る無線通信システムにおいて、新規フローに帯域リソースを割り当てて配信するタイミングチャートである。
【図7】図7Aは、新規フローのデータが登録された配信フローテーブルの説明図、図7Bは、新規フローの配信が終了し、新規フローのデータが削除された配信フローテーブルの説明図である。
【図8】本実施形態に係る無線通信システムにおいて、配信中フロー及び新規フローのそれぞれに帯域リソースを割り当てて配信するタイミングチャートである。
【図9】図9Aは、配信中フローのデータに加えて、新規フローのデータが登録された配信フローテーブルの説明図、図9Bは、配信中フローの配信が終了し、配信中フローのデータが削除された配信フローテーブルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る無線通信システム10の概略ブロック図である。無線通信システム10は、IPネットワーク12に接続される基地局14(BS)と、基地局14の通信エリア内で無線接続される携帯電話やパソコン等を含む複数の端末16a〜16c(MS)と、所定のデータレートからなるフローに含まれるコンテンツが保存され、IPネットワーク12及び基地局14を介して端末16a〜16cに前記フローを配信するストリーミングサーバ18と、基地局14の通信エリア内における無線通信のための帯域リソースを管理し、ストリーミングサーバ18から配信されるフローに要求されるデータレートに基づき、フロー毎に帯域リソースを割り当てる帯域リソースマネジメントサーバ20と、AAA(Authentication Authorization Accounting)サーバを含むCSN(Connectivity
Service Network)22とを備える。
【0020】
ここで、「フロー」とは、配信されるコンテンツを含むデータの流れを意味し、「コンテンツ」とは、ストリーミングサーバに保存されている配信対象である映像、音楽等のデータを意味する。
【0021】
図2は、図1に示す無線通信システム10を構成するストリーミングサーバ18及び帯域リソースマネジメントサーバ20の構成ブロック図である。
【0022】
ストリーミングサーバ18は、コンテンツが保存されるコンテンツ保存部24と、前記コンテンツを配信する配信先である端末16a〜16cを特定するための配信先情報を記憶する配信先情報記憶部26とを備える。コンテンツ保存部24に保存されるコンテンツには、コンテンツの種別、コンテンツを含むフローを識別するためのフロー識別子、各フローに要求されるデータレート等を示す属性情報が付加される。なお、コンテンツには、要求されるデータレートが固定されている固定ビットレート形式のコンテンツだけでなく、要求されるデータレートが可変である可変ビットレート形式のコンテンツも含まれる。
【0023】
また、ストリーミングサーバ18は、送信制御部28を備え、送信制御部28には、コンテンツ保存部24及び配信先情報記憶部26が接続される。送信制御部28は、コンテンツ保存部24に保存されたコンテンツの属性情報、及び、配信先情報記憶部26に記憶されたコンテンツを配信する端末16a〜16cの情報である配信先情報を帯域リソースマネジメントサーバ20に送信する制御を行うとともに、コンテンツを含むフロー及び配信先情報を基地局14に送信する制御を行う。
【0024】
帯域リソースマネジメントサーバ20は、各端末16a〜16cと基地局14との間の通信状態を示す伝搬環境情報であるCINR(Carrier-to-Interference-plus-Noise Ratio)に基づき、伝送レートを算出する伝送レート算出部30と、各端末16a〜16cのサブキャリア毎に算出された伝送レートをレートテーブル40(図3)として記憶するレートテーブル記憶部32とを備える。また、帯域リソースマネジメントサーバ20は、ストリーミングサーバ18から取得し、各端末16a〜16cに配信中のフロー(以下、「配信中フロー」と言う。)に要求されるデータレートと、各端末16a〜16cに新規に配信されるフロー(以下、「新規フロー」と言う。)に要求されるデータレートとを含む配信フローテーブル42(図4)を記憶する配信フローテーブル記憶部34を備える。さらに、帯域リソースマネジメントサーバ20は、ストリーミングサーバ18から配信される配信中フロー及び新規フローのそれぞれに帯域リソースを割り当てる帯域リソース割当部36と、送受信制御部38とを備える。
【0025】
伝送レート算出部30は、各端末16a〜16cから基地局14を介して所定時間間隔で送信されるサブキャリア毎のCINRを送受信制御部38を介して取得し、取得したCINRと、サブキャリアの変調方式及び符号化率MCS(Modulation and Coding Scheme)とに基づいて各端末16a〜16cのサブキャリア毎の伝送レートを算出する。
【0026】
帯域リソース割当部36は、配信中フローと新規フローとのそれぞれに対して、帯域リソースを割り当てる。すなわち、帯域リソース割当部36は、配信フローテーブル記憶部34に記憶されている配信フローテーブル42のデータレートと、レートテーブル記憶部32に記憶されているレートテーブル40の伝送レートとに基づき、配信中フロー及び新規フローである各フローに割り当てるサブキャリアの伝送レートの合計が各フローに要求される各データレート以上となり、且つ、各フローに割り当てるサブキャリア数の合計が最小となるサブキャリアの組み合わせを選択し、選択した組み合わせのサブキャリア及びタイムスロットを帯域リソースとして各フローに割り当てる。
【0027】
送受信制御部38には、伝送レート算出部30、配信フローテーブル記憶部34及び帯域リソース割当部36が接続される。送受信制御部38は、ストリーミングサーバ18から、配信されるフローの属性情報及び配信先情報を受信する制御を行うとともに、端末16a〜16cからレートテーブル40を更新するためのCINRを受信する制御を行う。また、送受信制御部38は、CSN22内のAAAサーバに、フローの配信先である端末16a〜16cがネットワークエントリしている基地局14を問い合わせ、その基地局情報を受信する制御を行う。さらに、送受信制御部38は、帯域リソース割当部36によって各フローに割り当てられた帯域リソースの割当パターンを基地局14に送信する制御を行う。割当パターンが送信された基地局14は、ストリーミングサーバ18から配信されている配信中フローと、ストリーミングサーバ18から新規に配信される新規フローとを、帯域リソースマネジメントサーバ20の帯域リソース割当部36により割り当てられたサブキャリア及びタイムスロットからなる帯域リソースを用いて送信する。
【0028】
図3は、レートテーブル記憶部32に記憶されるレートテーブル40の説明図である。レートテーブル40は、端末16a〜16cと、基地局14と、サブキャリアf1〜f3と、サブキャリアf1〜f3の変調方式及び符号化率MCS(QPSK1/2、16QAM3/4、64QAM3/4)との組み合わせからなる割当パターン1〜27に対して、所定時間間隔で端末16a〜16cから送信されるサブキャリア毎のCINRに基づいて算出される伝送レートを設定したテーブルであり、伝送レート算出部30によって作成される。例えば、割当パターン1は、端末16aと基地局14との間のサブキャリアf1のMCSがQPSK1/2であるとき、伝送レート算出部30により算出された伝送レートが11.5Mbpsであることを表している。レートテーブル40は、端末16a〜16cから送信されるCINRに基づき、伝送レート算出部30により所定時間間隔で更新される。なお、サブキャリア数は、説明を簡単にするため、サブキャリアf1〜f3の3本としているが、この数に限定されるものではない。
【0029】
図4は、配信フローテーブル記憶部34に記憶される配信フローテーブル42の説明図である。配信フローテーブル42は、ストリーミングサーバ18から受信した配信中フロー又は新規フローを識別するためのフロー識別子と、各フローに要求されるデータレート(例えば、xxMbps)と、各フローが経由する基地局14を特定する基地局情報と、配信する端末16a〜16cを特定する配信先情報とが設定されたテーブルであり、送受信制御部38によって作成される。フロー識別子及びデータレートは、フローに付加される属性情報に含まれる。
【0030】
次に、本実施形態に係る無線通信システム10の動作について説明する。図5は、本実施形態に係る無線通信システム10において、帯域リソースマネジメントサーバ20のレートテーブル40を作成し、又は、更新するタイミングチャートである。図6は、本実施形態に係る無線通信システム10において、新規フローに帯域リソースを割り当てて配信するタイミングチャートである。図7Aは、新規フローのデータが登録された配信フローテーブル42の説明図、図7Bは、新規フローの配信が終了し、新規フローのデータが削除された配信フローテーブル42の説明図である。図8は、本実施形態に係る無線通信システム10において、配信中フロー及び新規フローのそれぞれに帯域リソースを割り当てて配信するタイミングチャートである。図9Aは、配信中フローのデータに加えて、新規フローのデータが登録された配信フローテーブル42の説明図、図9Bは、配信中フローの配信が終了し、配信中フローのデータが削除された配信フローテーブル42の説明図である。
【0031】
[レートテーブル40の作成(更新)]
先ず、図5に示すタイミングチャートに基づき、レートテーブル40の作成又は更新処理について説明する。
【0032】
端末16a〜16cは、所定時間毎に、基地局14に割り当てられている全てのサブキャリアf1〜f3について、測定したCINRを基地局14を介して帯域リソースマネジメントサーバ20に送信する(ステップS1)。
【0033】
帯域リソースマネジメントサーバ20は、各端末16a〜16cから送信されたCINRを送受信制御部38により受信すると、伝送レート算出部30において、CINRに基づき、全てのサブキャリアf1〜f3と、無線通信システム10がサポートしている全てのMCSとの組み合わせに対する伝送レートを算出する(ステップS2)。なお、CINRの値が小さく、例えば、MCSとして高い変調度の変調方式である64QAMの場合、伝送レートが0になることもある。
【0034】
伝送レート算出部30は、算出された伝送レートを用いてレートテーブル40を作成し、又は、伝送レートが既に設定されている場合には、レートテーブル40の伝送レートを更新する(ステップS3)。作成又は更新されたレートテーブル40は、端末16a〜16c、基地局14、サブキャリアf1〜f3、MCS及び伝送レートからなる割り当てパターン1〜27としてレートテーブル記憶部32に記憶される。なお、基地局14と端末16a〜16cと間の伝搬環境は、移動する端末16a〜16cの位置や電波状況に応じて変化しているため、レートテーブル40は、端末16a〜16cから送信されるCINRに基づき、所定時間毎に更新される。
【0035】
[新規フローに対する帯域リソースの割り当て]
次に、図6に示すタイミングチャートに基づき、所定時間毎に更新されるレートテーブル40を用いて、ストリーミングサーバ18から新規に配信される新規フローに帯域リソースを割り当てる処理について説明する。
【0036】
ストリーミングサーバ18は、端末16a〜16cから基地局14を介して新規フローの配信リクエストがあると(ステップS11)、配信リクエストの情報に含まれる配信先情報である端末16a〜16cの情報を配信先情報記憶部26に記憶させるとともに、新規フローを配信するトリガを発生させる(ステップS12)。なお、このトリガは、ストリーミングサーバ18から端末16a〜16cに対して一方的に新規フローを配信するタイミングで生成されるものであってもよい。
【0037】
新規フローを配信するトリガが発生すると、ストリーミングサーバ18の送信制御部28は、新規フローにサブキャリアを割り当てるためのサブキャリア割当依頼通知を帯域リソースマネジメントサーバ20に送信する(ステップS13)。すなわち、ストリーミングサーバ18は、配信リクエストで指定された新規フローのコンテンツをコンテンツ保存部24から選択し、選択したコンテンツに付加されている新規フローを識別するためのフロー識別子及び新規フローに要求されるデータレートを含む属性情報と、配信先情報記憶部26から読み出した配信先の端末16a〜16cを特定する配信先情報とを、サブキャリア割当依頼通知として帯域リソースマネジメントサーバ20に送信する。
【0038】
帯域リソースマネジメントサーバ20の送受信制御部38は、新規フローに対するサブキャリア割当依頼通知を受信すると、配信先情報に基づき、新規フローの配信を要求している端末16a〜16cがネットワークエントリしている基地局14を特定する基地局情報をCSN22に問い合わせる。次いで、送受信制御部38は、新規フローを識別するフロー識別子と、新規フローに要求されるデータレートと、基地局情報と、新規フローの配信先情報とからなる配信フローテーブル42を作成し、配信フローテーブル記憶部34に登録する(ステップS14)。図7Aは、フロー識別子が1、データレートが20Mbps、基地局情報が基地局14、配信先情報が端末16aとして登録された新規フローの配信フローテーブル42のデータを例示する。
【0039】
次に、帯域リソースマネジメントサーバ20の帯域リソース割当部36は、ステップS3(図5)で作成され、又は、更新されてレートテーブル記憶部32に記憶されているレートテーブル40と、ステップS14で配信フローテーブル記憶部34に登録された新規フローの配信フローテーブル42とを用いて、新規フローに対する帯域リソースの割り当て処理を行う(ステップS15)。
【0040】
すなわち、帯域リソース割当部36は、配信フローテーブル42(図7A)に登録された新規フローに要求されるデータレート、配信先の基地局14及び端末16a〜16cを特定する情報と、前記基地局14及び前記端末16a〜16cに対応するレートテーブル40(図3)の各サブキャリアの伝送レートとを用いて、伝送レートの合計が前記データレート以上となり、且つ、新規フローに割り当てるサブキャリア数の合計が最小となるサブキャリアの組み合わせを選択する。そして、選択した組み合わせのサブキャリア及び所定のタイムスロットからなる帯域リソースを新規フローに割り当てる。
【0041】
例えば、ステップS14において、図7Aに示すように、フロー識別子1で特定される新規フローが配信フローテーブル42に登録され、基地局14に無線接続している端末16aに配信する新規フローに要求されるデータレートが20Mbpsであるとする。かかる場合、レートテーブル40の割り当てパターン1〜9から選択される伝送レートの合計が20Mbps以上となるサブキャリアの全ての組み合わせ、例えば、割当パターン1及び4の組み合わせ、割当パターン1及び7の組み合わせ、割当パターン4及び7の組み合わせ等が割当ての候補となる。そこで、帯域リソース割当部36は、新規フローに対する前記割り当ての候補から、サブキャリア数が最小となるサブキャリアの組み合わせである割当パターンを選択する。
【0042】
このようにしてサブキャリア、タイムスロット及びMCSの組み合わせを選択することにより、新規フローに対して、必要最小限の帯域リソースを割り当てることができる。この結果、システム全体の通信容量の増大を図ることができる。また、帯域リソースの割り当て処理は、帯域リソースマネジメントサーバ20が行っているため、割り当て処理に対する基地局14の負荷が軽減される効果が得られる。
【0043】
上記のようにして決定された帯域リソースの割当パターンは、送受信制御部38から基地局14に送信される(ステップS16)。基地局14は、受信した割当パターンに従い、新規フローに対してサブキャリア、タイムスロット及びMCSを設定し、帯域リソースを決定する(ステップS17)。次いで、基地局14は、前記帯域リソースの決定後、帯域リソースマネジメントサーバ20にアクノリッジ信号ACKを送信する(ステップS18)。
【0044】
基地局14からアクノリッジ信号ACKを受信した帯域リソースマネジメントサーバ20は、ストリーミングサーバ18に対して、端末16a〜16cへの新規フローの配信を指示する(ステップS19)。配信の指示を受けたストリーミングサーバ18は、新規フローを基地局14に配信する。基地局14は、所定の端末16a〜16cに対し、割り当てられた帯域リソース(サブキャリア及びタイムスロット)を用いて、新規フローを端末16a〜16cに送信する(ステップS20)。
【0045】
一方、基地局14と端末16a〜16cと間の伝搬環境は、移動する端末16a〜16cの位置や電波状況に応じて変化している。そこで、帯域リソース割当部36は、新規フローとして配信され、次いで、配信中となった配信中フローに対して、所定時間毎に伝送レートが更新されるレートテーブル40と、配信フローテーブル42とを用いて、所定のタイミング、例えば、レートテーブル40が更新されるタイミングで、ステップS15の場合と同様に、前記配信中フローに帯域リソースの再割り当てを行う(ステップS21)。再割り当てされた帯域リソースの割当パターンは、基地局14に送信される(ステップS22)。基地局14は、受信した新たな割当パターンに従い、端末16a〜16cの帯域リソースを変更する(ステップS23)。次いで、基地局14は、前記帯域リソースの変更後、帯域リソースマネジメントサーバ20にアクノリッジ信号ACKを送信する(ステップS24)。なお、ステップS21〜S24の処理は、例えば、レートテーブル40が更新される毎に繰り返し行われる。
【0046】
また、ストリーミングサーバ18から配信されるコンテンツは、固定ビットレートの場合もあれば、可変ビットレートの場合もある。コンテンツが可変ビットレートの場合、上述したステップS13〜S15の拡張機能として、以下の処理が行われる。すなわち、ストリーミングサーバ18は、コンテンツを含む新規フローとして配信され、次いで、配信中となった配信中フローのデータレートの変化を検知したとき、その変化をトリガとして、配信中フローの前記データレートの変更を通知するレート変更通知を、ステップS13における新規フローのサブキャリア割当依頼通知処理の拡張機能として、帯域リソースマネジメントサーバ20に送信する。この場合、レート変更通知には、サブキャリア割当依頼通知と同様に、配信中フローを識別するためのフロー識別子及び新たなデータレートを含む属性情報が付加されている。レート変更通知を受信した帯域リソースマネジメントサーバ20は、ステップS14における配信フローテーブル42の作成処理の拡張機能として、属性情報に含まれるフロー識別子によって特定される配信中フローに対応する配信フローテーブル42のデータレートを変更する。次いで、帯域リソース割当部36は、ステップS15における新規フローに対する帯域リソースの割り当て処理の拡張機能として、データレートの更新された配信フローテーブル42と、データレートテーブル40とを用いて、各端末16a〜16cに帯域リソースを再割り当てすることにより、配信中フローのデータレートの変化に対応して、帯域リソースの利用効率を動的に最適化することができる。
【0047】
このようにして、所定時間毎に更新されるレートテーブル40に基づき、配信中フローのデータレートが変更される場合、又は、移動する端末16a〜16cの位置や電波状況に適宜対応して、配信中フローの帯域リソースの再割り当てを行うことにより、帯域リソースの効率的な利用が図れ、最適な通信状態を維持することができる。また、適切な帯域リソースが効率的に配信中フローに割り当てられるため、システム全体の通信容量の増大を図ることができる。さらに、帯域リソースの割り当て処理は、帯域リソースマネジメントサーバ20が行っているため、割り当て処理に対する基地局14の負荷が軽減される効果が得られる。
【0048】
次に、ストリーミングサーバ18は、配信中フローの配信終了を検知すると、配信終了のトリガを発生させ(ステップS25)、送信制御部28から配信中フローの配信終了通知を帯域リソースマネジメントサーバ20に送信する(ステップS26)。配信終了通知には、配信の終了した配信中フローを識別するためのフロー識別子が含まれる。
【0049】
帯域リソースマネジメントサーバ20の送受信制御部38は、配信終了通知を受信すると、配信フローテーブル記憶部34から配信終了通知のフロー識別子によって特定される配信の終了した配信中フローに対応するデータを配信フローテーブル42から削除する(ステップS27)。図7Bは、図7Aのフロー識別子1で特定される配信の終了した配信中フローに対応するデータが削除された配信フローテーブル42を示す。従って、帯域リソース割当部36は、次に帯域リソースの割り当て処理を行う場合、現在配信されている配信中フロー又は新規フローに対してのみ帯域リソースを割り当てることができる。
【0050】
[配信中フロー及び新規フローに対する帯域リソースの割り当て]
次に、図8に示すタイミングチャートに基づき、ストリーミングサーバ18から配信中フローが配信中の場合で、さらに新規フローが配信される場合の帯域リソースの割り当て処理について説明する。
【0051】
上述したステップS11〜S14(図6)の処理と同様に、ストリーミングサーバ18は、新規フローの配信リクエストがあると(ステップS31)、配信先情報を配信先情報記憶部26に記憶させるとともに、新規フローを配信するトリガを発生させる(ステップS32)。
【0052】
新規フローを配信するトリガが発生すると、ストリーミングサーバ18の送信制御部28は、新規フローのサブキャリア割当依頼通知を帯域リソースマネジメントサーバ20に送信する(ステップS33)。帯域リソースマネジメントサーバ20は、サブキャリア割当依頼通知を受信すると、当該新規フローに対応するデータを配信フローテーブル記憶部34の配信フローテーブル42に追加登録する(ステップS34)。例えば、図9Aにおいて、フロー識別子1で特定されるデータがステップS14(図6)の処理で登録された配信中フローに対応するデータであるとすると、新規フローに対応するデータは、フロー識別子2で特定されるデータとして配信フローテーブル42に追加される。
【0053】
次に、帯域リソースマネジメントサーバ20の帯域リソース割当部36は、レートテーブル記憶部32に記憶されているレートテーブル40と、配信フローテーブル記憶部34に登録されている配信フローテーブル42とを用いて、配信中フロー及び新規フローに対する帯域リソースの割り当て処理を行う(ステップS35)。
【0054】
すなわち、帯域リソース割当部36は、配信フローテーブル42(図9A)に登録された配信中フロー(フロー識別子1)及び新規フロー(フロー識別子2)に要求されるデータレートと、配信先の基地局14及び端末16a〜16cの情報と、前記基地局14及び前記端末16a〜16cに対応するレートテーブル40(図3)の各サブキャリアの伝送レートとを用いて、配信中フロー及び新規フローのそれぞれに対して、各フローに割り当てるサブキャリアの伝送レートの合計が、各フローに要求される各データレート以上となり、且つ、各フローに割り当てるサブキャリア数の合計が最小となるサブキャリアの組み合わせを選択する。そして、選択した組み合わせのサブキャリア及び所定のタイムスロットからなる帯域リソースを配信中フロー及び新規フローにそれぞれ割り当てる。
【0055】
例えば、図9Aにおいて、端末16aに配信されている配信中フロー(フロー識別子1)に要求されるデータレートが20Mbpsであるとすると、端末16aがネットワークエントリしている基地局14に係るレートテーブル40(図3)の伝送レートの合計が20Mbps以上となるサブキャリアの全ての組み合わせ、例えば、割当パターン1及び4の組み合わせ、割当パターン1及び7の組み合わせ、割当パターン4及び7の組み合わせ等を割当ての候補とすることができる。
【0056】
また、端末16bに配信される新規フロー(フロー識別子2)に要求されるデータレートが10Mbpsであるとすると、端末16bがネットワークエントリしている基地局14に係るレートテーブル40(図3)の伝送レートの合計が10Mbps以上となるサブキャリアの全ての組み合わせ、例えば、割当パターン10、割当パターン11、割当パターン12及び14の組み合わせ、割当パターン12及び18の組み合わせ等を再割り当ての候補とすることができる。
【0057】
そして、配信中フローに対する再割り当ての候補を構成するサブキャリア数と、新規フローに対する割り当ての候補を構成するサブキャリア数との合計が最小となるサブキャリアの組み合わせを選択する。例えば、上述した例では、配信中フローに対しては、割当パターン1及び4の組み合わせ、又は、割当パターン1及び7の組み合わせのサブキャリアを再割り当てし、新規フローに対しては、割当パターン10又は11のサブキャリアを割り当てることにより、合計で3本のサブキャリアが割り当てられる。このようにしてサブキャリア及び所定のタイムスロットの組み合わせを選択することにより、配信中フロー及び新規フローに対して、必要最小限の帯域リソースを割り当てることができる。この結果、システム全体の通信容量の増大を図ることができる。また、帯域リソースの割り当て処理は、帯域リソースマネジメントサーバ20が行っているため、割り当て処理に対する基地局14の負荷が軽減される効果が得られる。
【0058】
上記のようにして決定された帯域リソースの割当パターンは、送受信制御部38から基地局14に送信され(ステップS36)、基地局14は、受信した割当パターンに従い、配信中フロー及び新規フローに対してサブキャリア、タイムスロット及びMCSを設定し、帯域リソースを決定する(ステップS37)。この場合、配信中フローは、再割り当てされた帯域リソースを用いて端末16a〜16cに配信される。
【0059】
帯域リソースを決定した基地局14は、帯域リソースマネジメントサーバ20にアクノリッジ信号ACKを送信する(ステップS38)。基地局14からアクノリッジ信号ACKを受信した帯域リソースマネジメントサーバ20は、ストリーミングサーバ18に対して、端末16a〜16cへの新規フローの配信を指示する(ステップS39)。配信の指示を受けたストリーミングサーバ18は、新規フローを基地局14に配信し、基地局14は、割り当てられた帯域リソースを用いて、配信されている配信中フローとともに、新規フローを端末16a〜16cに送信する(ステップS40)。
【0060】
一方、帯域リソース割当部36は、配信中フローに対して、所定時間毎に伝送レートが更新されるレートテーブル40を用いて、所定のタイミング、例えば、レートテーブル40が更新されるタイミングで、ステップS35の場合と同様にして、配信中フローに帯域リソースの再割り当てを行う(ステップS41)。再割り当てされた帯域リソースの割当パターンは、基地局14に送信され(ステップS42)、基地局14は、受信した割当パターンに従い、端末16a〜16cの帯域リソースを変更する(ステップS43)。次いで、基地局14は、前記帯域リソースの変更後、帯域リソースマネジメントサーバ20にアクノリッジ信号ACKを送信する(ステップS44)。なお、ステップS41〜S44の処理は、例えば、レートテーブル40が更新される毎に繰り返し行われる。
【0061】
次に、ストリーミングサーバ18は、配信中フローの配信終了を検知すると、配信終了のトリガを発生させ(ステップS45)、送信制御部28から配信中フローの配信終了通知を帯域リソースマネジメントサーバ20に送信する(ステップS46)。
【0062】
帯域リソースマネジメントサーバ20の送受信制御部38は、配信終了通知を受信すると、配信フローテーブル記憶部34から配信終了通知のフロー識別子によって特定される配信の終了した配信中フローに対応するデータを配信フローテーブル42から削除する(ステップS47)。図9Bは、図9Aのフロー識別子1で特定される配信の終了した配信中フローに対応するデータが削除され、フロー識別子2で特定される配信中フローのデータが残っている配信フローテーブル42を示す。
【0063】
配信の終了した配信中フローに対応するデータが配信フローテーブル42から削除されると、帯域リソースマネジメントサーバ20の帯域リソース割当部36は、レートテーブル記憶部32に記憶されているレートテーブル40の伝送レートと、配信フローテーブル記憶部34に記憶されている残余の配信フローテーブル42のデータレートとを用いて、配信中フローに対する帯域リソースの再割り当て処理を行う(ステップS48)。再割り当てされた帯域リソースの割当パターンは、基地局14に送信され(ステップS49)、基地局14は、受信した割当パターンに従い、端末16a〜16cの帯域リソースを変更する(ステップS50)。次いで、基地局14は、前記帯域リソースの変更後、帯域リソースマネジメントサーバ20にアクノリッジ信号ACKを送信する(ステップS51)。
【0064】
本実施形態では、帯域リソースを上記のように割り当てることにより、特に、特許文献2に開示された割当方法と比較すると、帯域リソースを効率的に利用することができる。
【0065】
すなわち、特許文献2に開示された割当方法では、例えば、フローが要求するデータレートではなく、端末が要求する伝送レートに対してサブキャリア数を決定している。この場合、フローを配信するために必要なデータレートが20Mbpsであり、端末が要求する伝送レートが30Mbpsであるとすると、例えば、伝送レートが11.5Mbpsであるサブキャリアf1の割当パターン1と、伝送レートが11.0Mbpsであるサブキャリアf2の割当パターン4と、伝送レートが11.5Mbpsであるサブキャリアf3の割当パターン7とが端末に割り当てられることになる。従って、特許文献2では、端末に3本のサブキャリアf1〜f3の帯域リソースが割り当てられることになる。
【0066】
これに対して、本実施形態の場合には、データレートが20Mbpsのフローが配信される端末16a〜16cに対して2本のサブキャリアf1及びf2の帯域リソースのみが割り当てられるため、端末16a〜16cの帯域リソースを効率的に利用することができる。
【0067】
ここで、帯域リソースを端末16a〜16cに割り当てる際、以下の制限がある。すなわち、(1)1つのフローに既に割り当てられているサブキャリアは、他のフローに割り当てることができない。異なるフロー間の干渉を回避するためである。(2)各フローに要求されるデータレートを満足するサブキャリア数は、各割当パターンの伝送レートの合計が、各フローに要求されるデータレート以上となり、且つ、各フロー毎に割り当てるサブキャリア数の合計が最小となるように設定する。この制限(2)により、フローに割り当てられる帯域リソースを必要最小限として、帯域リソースを効率的に利用することができる。
【0068】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0069】
例えば、帯域リソースマネジメントサーバ20は、1台の基地局14による帯域リソースを管理制御するものとして説明したが、複数台の基地局の帯域リソースを管理制御することもできる。従って、図3のレートテーブル40は、説明の便宜上、3台の端末16a〜16cと、1台の基地局14と、3本のサブキャリアf1〜f3と、3種類のMCSとの関係を示しているが、端末16a〜16c及び基地局14の台数、サブキャリアの本数、MCSの種類は、これらに限定されるものではない。
【0070】
また、帯域リソースマネジメントサーバ20は、1台のストリーミングサーバ18から配信されるフローが要求するデータレートに応じて、帯域リソースを管理制御するものとして説明したが、IPネットワーク12に接続される複数台のストリーミングサーバから配信される複数のフローが要求するデータレートに応じて、帯域リソースを管理制御することもできる。
【0071】
また、配信の終了したフローに係るデータの配信フローテーブル42からの削除処理は、ストリーミングサーバ18が配信終了通知を帯域リソースマネジメントサーバ20に送信し、その配信終了通知を帯域リソースマネジメントサーバ20が受信した際に行うものとして説明したが、フローに係るデータを削除する際に、基地局14から端末16a〜16cへのフローの配信が継続中であることも考えられる。しかしながら、帯域リソース割当部36が配信フローテーブル42を用いて帯域リソースを再割り当てし(ステップS48)、基地局14に新たな帯域リソースの割り当てパターンを送信し(ステップS49)、基地局14が端末16a〜16cの帯域リソースを変更するまでには(ステップS50)、ある程度の時間を要するため、その間に基地局14から端末16a〜16cへのフローの配信が終了するのであれば、何ら問題とはならない。なお、基地局14と端末16a〜16cとの間の通信処理時間を考慮して、フローの配信が確実に終了した後、配信フローテーブル42を更新するように設定することも可能である。
【0072】
さらに、本発明の無線通信システムは、既存のネットワーク制御技術であるオープンフロー(Open Flow)を利用して実現することができる。すなわち、フローの配信先である端末16a〜16cと基地局14との間の伝搬環境情報であるCINRと、フローが要求するデータレートとに応じた帯域リソースの割り当ては、オープンフローを制御するコントローラが判断し、基地局14に実装されたオープンフロースイッチにフローテーブルの変更という形式で通知することにより、本発明の実施形態に係る無線通信システムを実現することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
10…無線通信システム
12…IPネットワーク
14…基地局(BS)
16a〜16c…端末(MS)
18…ストリーミングサーバ
20…帯域リソースマネジメントサーバ
24…コンテンツ保存部
26…配信先情報記憶部
28…送信制御部
30…伝送レート算出部
32…レートテーブル記憶部
34…配信フローテーブル記憶部
36…帯域リソース割当部
38…送受信制御部
40…レートテーブル
42…配信フローテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と、
前記端末と無線接続する基地局と、
前記端末に配信されるフローに含まれるコンテンツが保存されるストリーミングサーバと、
前記ストリーミングサーバから取得し、前記フローに要求されるデータレートに基づき、前記フローに帯域リソースを割り当てる帯域リソースマネジメントサーバと、
を備え、
前記帯域リソースマネジメントサーバは、
前記端末からサブキャリア毎の伝搬環境情報を取得し、前記伝搬環境情報に基づき、前記サブキャリア毎の伝送レートを算出する伝送レート算出部と、
前記サブキャリア毎に算出された前記伝送レートをレートテーブルとして記憶するレートテーブル記憶部と、
所定のサブキャリアが割り当てられ、前記ストリーミングサーバから前記端末に配信されている配信中フローと、前記ストリーミングサーバから前記端末に新規に配信される新規フローとのそれぞれに対して、前記レートテーブルに基づき、前記各フローに割り当てる前記サブキャリアの前記伝送レートの合計が前記各フローに要求される前記各データレート以上となり、且つ、前記各フローに割り当てるサブキャリア数の合計が最小となる前記サブキャリアの組み合わせを選択し、選択した前記組み合わせの前記サブキャリアを前記各フローに割り当てる帯域リソース割当部と、
を有し、前記基地局は、前記配信中フロー及び前記新規フローを前記帯域リソースマネジメントサーバにより割り当てられたそれぞれの前記サブキャリアで送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、
前記帯域リソースマネジメントサーバは、前記ストリーミングサーバから取得した前記配信中フローの前記データレートを配信フローテーブルとして記憶する配信フローテーブル記憶部を備え、
前記帯域リソース割当部は、前記配信フローテーブルの前記データレートと、前記レートテーブルの前記伝送レートとに基づき、前記配信中フローに前記サブキャリアを再割り当てすることを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2記載の無線通信システムにおいて、
前記ストリーミングサーバは、前記配信中フローの配信終了を検知すると、前記帯域リソースマネジメントサーバに配信終了通知を送信し、
前記帯域リソースマネジメントサーバは、前記配信終了通知を受信したとき、前記配信終了通知に係る前記配信中フローに対応するデータを前記配信フローテーブルから削除し、
前記帯域リソース割当部は、前記配信フローテーブル記憶部に記憶されている残余の前記配信フローテーブルの前記データレートと、前記レートテーブルの前記伝送レートとに基づき、前記配信中フローに前記サブキャリアを再割り当てすることを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項2又は3記載の無線通信システムにおいて、
前記ストリーミングサーバは、前記配信中フローの前記データレートの変化を検知すると、前記帯域リソースマネジメントサーバにレート変更通知を送信し、
前記帯域リソースマネジメントサーバは、前記レート変更通知を受信したとき、前記レート変更通知に係る前記配信中フローに対応する前記配信フローテーブルの前記データレートを変更し、
前記帯域リソース割当部は、変更された前記配信フローテーブルの前記データレートと、前記レートテーブルの前記伝送レートとに基づき、前記配信中フローに前記サブキャリアを再割り当てすることを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の無線通信システムにおいて、
前記帯域リソース割当部は、前記端末から取得した前記伝搬環境情報に基づいて前記レートテーブルの前記伝送レートが更新されたとき、前記配信フローテーブルの前記データレートと、更新された前記レートテーブルの前記伝送レートとに基づき、前記配信中フローに前記サブキャリアを再割り当てすることを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の無線通信システムにおいて、
前記帯域リソース割当部は、前記サブキャリア及びタイムスロットに基づく前記帯域リソースを前記配信中フロー及び前記新規フローに割り当てることを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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