説明

無線通信デバイスの電力を制御する方法、装置、およびシステム

【課題】ある局の送信電力を制御する。
【解決手段】局は、リンク管理を要求し、送信電力を低減および/または増加せよとのインディケーションとともに応答フレームを受信し、および/または、送信電力を予め決められた時間間隔までに増加または低減する場合には、局は、送信電力を増加または低減するというインディケーションとともにリンク適合受領確認を送信する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願は、2011年1月17日提出の米国仮特許出願番号61/433,292号明細書(タイトル:Method Apparatus and System For Controlling Power of Wireless Communication Device:無線通信デバイスの電力を制御する方法、装置、およびシステム)の恩恵を享受し、優先権を主張しており、この開示全体をここに参照として組み込む。
【0002】
パーソナル無線エリアネットワーク(WPAN)は、1人の人の近隣での、コンピューティングデバイス(例えば、電話および携帯情報端末等のパーソナルデバイス)間の通信に利用されるネットワークである。WPANの届く範囲は、数メートルであってよい。WPANは、パーソナルデバイス同士の個人間通信に利用することもできるし、インターネット等の高レベルのネットワークへのアップリンクを介した接続にも利用することもできる。
【0003】
ミリ波WPANおよび/またはmmWaveネットワークは、高速インターネットアクセス、ストリーミングコンテンツのダウンロード(例えばビデオ・オン・デマンド(VOD)、高精細テレビ(HDTV)、ホームシアター等)、リアルタイムストリーミング、およびケーブルを入れ替えるための無線データバス等の、超高速データレートの(例えば、毎秒2ギガビット(Gbps)を超える速度)用途が可能である。
【0004】
mmWaveWPANのなかには、個人基本サービスセット(PBSS)を含むものがある。PBSSは、複数の局(STA)を含むことができる。STAは、マルチバンドが可能なSTAであっても、および/または、60GHzのSTAであってもよく、以下ではDBand局と称される場合がある。mmWaveWPANは、さらに、STAの1つを、PBSS制御ポイント(PCP)として動作させる、または振舞うことを許可することもできる。
【0005】
送信電力制御(TPC)は、PBSSの処理を管理するための機能である。場合によっては、受信局が送信局にかなり接近しており、受信局の受信増幅器がデータ送信に必要な飽和状態にならないことがある。直接WPANシステム用のアンテナ選択は、セクターレベルのスイープ(SLS)およびビームフォーミング向上手順を含みうる直接帯域(DBand)ビームフォーミング手順により行うことができる。DBandSTAは、アンテナ設定用のアンテナ識別子(ID)情報を交換する。TPC手順によって、送信電力の増加および/または低減を示すことができるようになる。各局の送信電力を制御するために、TPCはこれ以外のパラメータを提供することもできる。
【0006】
発明とみなす主題は、明細書の最終部分で特に指摘し、明確に請求する。しかし発明は、その組成および方法両面において、並びに、その対象物、特徴、および利点においても、添付図面とともに以下の詳細な記載を読んだ際に最もよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の例示的な実施形態における無線通信ネットワークの概略図である。
【図2】本発明の1つの例示的な実施形態におけるDBand局リンク適合受領確認情報エレメントの概略図である。
【図3】本発明の例示的な実施形態における無線通信ネットワークのある局を含むシステムの概略図である。
【図4】本発明の例示的な実施形態における電力送信を制御する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
記載を簡潔および明瞭にするために、図面に示す部材は、必ずしも実際の縮尺で描かれてはいない。例えば、部材の一部の大きさは、他の部材よりも強調表示されて、明瞭性を期している場合がある。さらに適切と思われる場合には、図面間で参照番号を繰り返して、対応する、または類似した部材であることを示している場合がある。以下の詳細な記載においては、数多くの詳細を述べて、本発明の完全な理解を促す。しかし、当業者であれば理解するように、本発明は、これら特定の詳細がなくても実施することができる。また、公知の方法、手順、部材、および回路については詳述を避けることで、本発明を不当に曖昧にしないようにしている箇所もある。
【0009】
以下に述べる詳細な記載の一部は、コンピュータメモリ内のデータビットまたはバイナリデジタル信号に対する処理を表すアルゴリズムによる、象徴的な表現で示される場合がある。これらの、アルゴリズムによる記載および表現は、データ処理技術分野の当業者が当業者に対して自分の仕事の内容を伝える際に利用される技術である。
【0010】
特にそうではないと明記されていない限り、「処理(processing)」「コンピューティング(computing)」「計算(calculating)」「判断/決定(determining)」といった用語を利用する説明は明細書の随所に見られるが、これらは、特にそうではないと明記していない限りにおいて、コンピュータまたはコンピューティングシステム、もしくはこれらに類似した電子コンピューティングデバイスの行う、コンピューティングシステムのレジスタおよび/またはメモリ内の物理量(例えば電子)で表されるデータを、コンピュータシステムのレジスタ、メモリ、もしくはその他の同様の情報格納、送信、または表示デバイス内の物理量で同様に表される他のデータへと操作および/または変換する動作および/または処理に係るものであってよい。「a」「an」といった不定冠詞は、ここでは、1つ、または2以上と定義されている。複数という用語は、ここでは、2以上の数として定義されている。ここで利用される「別の」という用語は、少なくても第2の、またはそれ以上、の意味である。含む、および/または、有する、という用語は、ここでは、備えるという意味に定義されている場合もあるが、これに限定はされない。ここで利用される連結という用語は、所望な形態で(例えば機械的、電子的、デジタル的、直接、ソフトウェアにより、ハードウェアにより、等の形態で)、動作可能に接続されることとして定義される。
【0011】
本発明の実施形態で利用される「PBSS制御ポイント(PCP)」という用語は、mmWaveネットワークの制御ポイントとして動作する局(STA)として定義される。
【0012】
本発明の実施形態で利用される「アクセスポイント(AP)」という用語は、STA機能を有し、且つ、関連するSTAに対して、無線媒体(WM)を介して配信サービスへのアクセスを提供する任意の実体のこととして定義される。
【0013】
本発明の実施形態で利用される「無線ネットワークコントローラ」という用語は、無線ネットワークのPCPおよび/またはAPとして動作する局として定義される。
【0014】
本発明の実施形態で利用される「指向性帯域(DBand)という用語は、チャネル開始周波数が45GHzを超える任意の周波数帯域のこととして定義される。
【0015】
本発明の実施形態で利用される「DBandSTA」という用語は、無線トランスミッタがDBand内にあるチャネル上で動作するSTAのこととして定義される。
【0016】
本発明の実施形態で利用される「個人基本サービスセット(PBSS)」という用語は、暫定的な内蔵式のネットワークを形成し、DBandで動作し、1つのPBSS制御ポイント(PCP)を含み、配信システム(DS)へのアクセスは存在しないが、イントラPBSS転送サービスがオプションとして存在するような基本サービスセット(BSS)として定義される。
【0017】
本発明の実施形態で利用される「スケジュールされたサービス期間(SP)」は、サービス品質(QoS)APまたはPCPによりスケジュールされる。スケジュールされたSPは、所望の場合には、固定時間間隔で始まってよい。
【0018】
本発明の実施形態で利用される「トラフィック」および/または「トラフィックストリーム」という用語は、STA等の無線デバイス間のデータフローおよび/またはストリームとして定義される。
【0019】
本発明の実施形態で利用される「セッション」という用語は、直接物理リンク(例えば転送を除く)が既に構築されている一対の局に維持または格納されている状態情報として定義され、この状態情報はセッションを記述または定義するものであってよい。
【0020】
ここで利用する「無線デバイス」という用語は、例えば、無線通信のできるデバイス、無線通信のできる通信デバイス、無線通信のできる通信局、無線通信のできるポータブルまたは非ポータブルデバイス等であってよい。一部の実施形態では、無線デバイスとは、コンピュータに統合された周辺デバイスであったり、これを含んだりするものであってよく、または、コンピュータに取り付けられた周辺デバイスであったり、これを含んだりするものであってよい。一部の実施形態では、「無線デバイス」という用語は、無線サービスをオプションとして含む概念であってよい。
【0021】
本発明は、様々な用途に利用可能であることを理解されたい。本発明はこの点に限定はされないが、ここに開示する回路および技術は、無線システムの局等の様々な装置内で利用することができる。本発明の範囲内に含まれることが意図される局は、あくまで例であるが、WLAN局、無線パーソナルネットワーク(WPAN)等を含む。
【0022】
本発明の範囲内に含まれることが意図される種類のWPAN局は、これらに限定はされないが、マルチバンドステーションとして動作可能な局、PCPとして動作可能な局、APとして動作可能な局、DBand局として動作可能な局、移動局、アクセスポイント、例えば周波数ホッピング方式信号(FHSS)、直接拡散方式(DSSS)、相補的符号化キーイング(CCK)、直交周波数分割多重(OFDM)等の拡散スペクトル信号を受信および送信する局等を含む。
【0023】
一部の実施形態は、様々なデバイスおよびシステム(例えば、ラップトップコンピュータのドッキングステーション、ネットワークインタフェースカード(NIC)、ビデオデバイス、オーディオデバイス、オーディオ−ビジュアル(A/V)デバイス、セットトップボックス(STB)、Blu−ray(登録商標)ディスク(BD)プレーヤ、BDレコーダ、DVDプレーヤ、高精細(HD)DVDプレーヤ、DVDレコーダ、HD DVDレコーダ、パーソナルビデオレコーダ(PVR)、ブロードキャストHDレシーバ、ビデオソース、オーディオソース、ビデオシンク、オーディオシンク、ステレオチューナ、ブロードキャスト無線レシーバ、ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、パーソナルメディアプレーヤ(PMP)、デジタルビデオカメラ(DVC)、デジタルオーディオプレーヤ、スピーカ、オーディオレシーバ、オーディオ増幅器、データソース、データシンク、デジタル静止カメラ(DSC)、パーソナルコンピュータ(PC)、デスクトップコンピュータ、モバイルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、スマートフォン、タッチフォン、ハンドヘルドデバイス、携帯情報端末(PDA)デバイス、ハンドヘルドPDAデバイス、オンボードデバイス、オフボードデバイス、ハイブリッドデバイス、車両デバイス、非車両デバイス、モバイルまたはポータブルデバイス、消費者用デバイス、非モバイルまたは非ポータブルデバイス、無線通信局、無線通信デバイス、無線アクセスポイント(AP)、有線または無線ルータ、有線または無線モデム、有線または無線ネットワーク、ワイヤレスエリアネットワーク、ワイヤレスビデオエリアネットワーク(WVAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイヤレスLAN(WLAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ワイヤレスPAN(WPAN)、Wireless HD(登録商標)および/またはワイヤレスギガビットアライアンス(WGA)仕様および/または将来のバージョンおよび/またはこれらの派生物、既存のIEEE802.11(IEEE802.11―19992007:ワイヤレスLAN媒体アクセス制御(MAC)および物理層(PHY)仕様)規格および修正版(「IEEE802.11規格」)、IEEE802.16規格および/または、その将来のバージョンおよび/または派生物に従って動作するデバイスおよび/またはネットワークとの関連で利用されてよい。
【0024】
一部の実施形態は、また、上述したネットワークの一部であるユニットおよび/またはネットワーク、一方向および/または双方向無線通信システム、セルラー式無線電話通信システム、無線ディスプレイ(WiDi)デバイス、セルラー式電話機、無線電話機、パーソナル通信システム(PCS)デバイス、無線通信デバイスを含むPDAデバイス、モバイルまたはポータブルグローバルポジショニングシステム(GPS)デバイス、GPSレシーバまたはトランシーバまたはチップを含むデバイス、RFID素子またはチップを含むデバイス、多入力多出力(MIMO)トランシーバまたはデバイス、単一入力多出力(SIMO)トランシーバまたはデバイス、多入力単一出力(MISO)トランシーバまたはデバイス、1以上の内部アンテナおよび/または外部アンテナを有するデバイス、デジタルビデオブロードキャスト(DVB)デバイスまたはシステム、多重標準の無線デバイスまたはシステム、有線または無線ハンドヘルドデバイス(例えばBlackBerry,Palm Treo等)、ワイヤレスアプリケーションプロトコル(WAP)デバイス等との関連で利用されてよい。
【0025】
一部の実施形態は、1以上の種類の無線通信信号および/またはシステム(例えば無線周波数(RF)、赤外線(IR)、周波数分割多重(FDM)、直交FDM(OFDM)、時分割多重(TDM)、時分割多重接続(TDMA)、拡張TDMA(E−TDMA)、汎用パケット無線サービス(GPRS)、拡張GPRS、符号分割多重接続(CDMA)、ワイドバンドCDMA(WCDMA)、CDMA2000、シングルキャリアCDMA、マルチキャリアCDMA、マルチキャリア変調(MDM)、離散マルチトーン(DMT)、Bluetooth(登録商標)、グローバルポジショニングシステム(GPS)、Wi−Fi、Wi−Max、ZigBee(登録商標)、Ultra−Wideband(UWB)、モバイル通信用のグローバルシステム(GSM(登録商標))、2G、2.5G,3G、3.5G、4G、4.5GのEDGE(Enhanced Data rates for GSM(登録商標) Evolution:GSM(登録商標)進化に関する向上データレート等)とともに利用することができる。他の実施形態は、様々な他のデバイス、システム、および/または、ネットワークで利用することができる。
【0026】
一部の実施形態は、適切な限られた範囲または短距離の無線通信ネットワーク(例えば「ピコネット」、ワイヤレスエリアネットワーク、WPAN、WVAN等)とともに利用することもできる。
【0027】
図1は、本発明の例示的な実施形態における無線通信ネットワーク100の概略図である。例えば、無線通信ネットワーク100は、IEEE802 802.11タスクグループad(TGad)が開発した規格に従って、および/または、WGA仕様に従って、および/または、IEEE802.15.3c規格に従って、および/または、WirelessHD(登録商標)仕様に従って、および/または、ECMA−387規格、その他、60GHz周波数帯域(DBand)における通信に適した無線規格等に従って動作可能であってよい。
【0028】
本発明の範囲はこれに限定はされないが、無線通信ネットワーク100は、局110および局130を含んでよい。この例においては、WGAおよびIEEE802.11ad局110を、DBand局と称する本例示的な実施形態では、局110および局130それぞれは、プロトコルエレメント(例えば送信電力制御(TPC)処理)を利用することで、各局の送信電力を制御することができるものであってよい。
【0029】
さらに局110および局130は、ソースおよびデスティネーションDBand局として動作可能であってよいが、本発明の範囲はこの点に限定はされない。
【0030】
本発明の一部の例示的な実施形態においては、局110および局130は、無線リンク125を介して直接リンク通信を行うことができる。局110は適宜、局130に送信電力の変更を要請することができる。局110および局130は、複数のアンテナエレメント(例えばフェーズドアレイアンテナ)を含んでよい。局110および局130の間でデータを交換する際に最適なアンテナ設定を決定するためには、ビームフォーミング(BF)アルゴリズムを利用することができる。一例では、必要に応じて局110は、無線リンク125のリンク品質を測定するためにリンク測定手順を利用することができる。本発明の一部の実施形態では、無線リンク125は、60GHz周波数帯域の指向性無線リンクである。局110は適宜、リンク品質情報をDBandリンクマージン情報エレメントに挿入することができる。DBandリンクマージン情報エレメントは、局130の所望のアンテナ設定を有する複数のアンテナエレメントのTPCを調整する手段を提供することができるが、本発明の範囲はこれに限定はされない。
【0031】
本発明の他の実施形態では、TPCはさらに、BFを利用するアンテナのサブセットの選択により行うこともできるが、本発明の範囲はこの例に限定はされない。本発明の一部の例示的な実施形態においては、TPCプロトコルは、リンク測定要求および応答フレームを含んでもよい。リンク測定要求および応答フレームは、リンクマージン情報を取得するために利用することができる。リンクマージン情報は、受信信号強度情報(RSSI)またはその他の本技術分野で、要求を発する側のSTAの適切な動作を決定するために用いることができるとして知られている任意の他のリンク品質測定法を含んでもよい。
【0032】
さらに本発明の実施形態では、TPCプロトコルおよび/または手順には、適宜、要求フレームおよび報告フレームが含まれてよい。例えば報告フレームは、WGA規格およびIEEE802.11ad規格で定義されているリンク測定報告フレームであってよい。リンク測定報告フレームフォーマットを以下の表1に示す。
【表1】

【0033】
この要求フレームを受信するSTA(例えば局130)は、無線リンク125を介して報告フレームで応答することができる。例えば報告フレームには、応答送信に利用することができる電力値が含まれていてよい。
【0034】
例えば報告フレームは、要求フレームの送信電力フィールドの電力値を含み、要求フレームのリンクマージンフィールドに推定されるリンクマージン値を含むことができるが、本発明の範囲にはこの例に限定はされない。
【0035】
図2には、本発明の1つの例示的な実施形態におけるDBand局リンク適合受領確認情報エレメント200が示されている。一部の例示的な実施形態では、DBandリンク適合受領確認エレメント200は、それが望ましい場合には、リンク測定報告フレームのサブエレメントフィールドに含まれるように設定されていてもよい。
【0036】
WGAおよび/またはIEEE802.11ad規格に関する本発明の実施形態では、DBand局リンク適合受領確認情報エレメント200は、これらに限定はされないが、少なくともエレメントフィールド210、長さフィールド220、参照時間ステップフィールド240を含んでよく、これにその他のフィールドが追加されてもよい。
【0037】
例えば、動作フィールド230に示される情報は、このエレメントを送信するSTA(例えばSTA110)が、DBandリンク測定報告フレームによって、推奨される動作を受信した後に実行した動作に設定されてよい。送信する側のSTAが動作を決定する方法については以下に図4を参照して示す。
【0038】
動作フィールドの一例を以下の表2に示すが、本発明の範囲はこの例に限定はされない。
【表2】

【0039】
参照タイムスタンプフィールド240には、MACが予め決められた信号(例えばIEEE802.11ad規格および/またはWGA規格で定義されているPHY−CCA.指標(IDLE))を受信するやいなやサンプリングされる、リンク測定報告フレームに含まれているフィードバック情報を生成するのに利用されたデータユニットの受信の最終部分に相当する、TSFタイマー値の下位4オクテットが含まれてよい。
【0040】
図3は、本発明の例示的な実施形態における無線通信ネットワークの局305を含むシステム300の概略図である。本発明の実施形態においては、システム300は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ドッキングステーション、ネットワークインタフェースカード、モバイルデバイス、ハンドヘルドデバイス、スマートフォン等を含んでよい。
【0041】
局305は、例えば無線ネットワークコントローラ、アクセスポイント、ピコネットコントローラ(PNC)、ステーション、マルチバンドステーション、ソースおよび/またはデスティネーションDBandステーション、イニシエータ、レスポンダ等として動作可能な無線通信デバイスであってよい。
【0042】
本発明の一部の例示的な実施形態では、局305は、例えば無線機310を含んでよい。無線機310は、2以上のアンテナに動作可能に連結されていてよい。例えば無線機310は、アンテナ360および362に動作可能に連結されてよい。無線機310は、少なくてもレシーバ(RX)312、トランスミッタ(TX)314、および、ビームフォーミング(BS)コントローラ316を含んでよいが、本発明の範囲はこの点に限定はされない。
【0043】
さらに、本発明の一部の実施形態では、無線機310は、例えば60GHz周波数帯域のDBand上で動作することができる。局305はさらに、MACプロセッサ340およびメモリ350も含んでよい。MACプロセッサ340は、局管理実体(SME)モジュール345を含んでよい。MACプロセッサ340は、望ましい場合に、IEEE802.11TAGadおよび/またはIEEE802.15.3cおよび/または、WirelessHD(登録商標)および/またはECMA−387および/またはISO/IEC13156:2009および/またはBluetooth(登録商標)および/またはWGA仕様に従ってMACプロトコルを動作させてよい。
【0044】
本発明の一実施形態における方法は(例えば、リンク測定値の算出およびTPCの作動を含み)、その一部または全体を、MACプロセッサ340により実行することができる。
【0045】
メモリ350は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、取り外し可能または取り外し不可能メモリ、消去可能または消去不可能メモリ、書き込み可能または書き換え可能メモリ等の1以上を含んでよい。例えば、メモリ350は、1以上のランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデータレートDRAM(DDR−DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、スタティックRAM(SRAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能ROM(PROM)、EPROM、EEPROM、コンパクトディスクROM(CD−ROM)、書き込み可能CD(CD−R)、書き換え可能CD(CD−RW)、フラッシュメモリ(NORまたはNANDフラッシュメモリ等)、コンテンツアドレス可能メモリ(CAM)、ポリマーメモリ、相変化メモリ、強誘電性メモリ、シリコン酸化物窒化物酸化物シリコン(SONOS)メモリ、ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードドライブ、光ディスク、磁気ディスク、カード、磁気カード、光カード、テープ、カセット等を含んでよい。
【0046】
一部の例示的な実施形態では、アンテナ360および362は、例えば、フェーズドアレイアンテナ、内部および/または外部RFアンテナ、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、無指向性アンテナ、エンドフェッドアンテナ、円偏光アンテナ、マイクロストリップアンテナ、ダイバーシティアンテナ、または、無線通信信号、ブロック、フレーム、送信ストリーム、パケット、メッセージおよび/またはデータを送信および/または受信するのに適したその他の種類のアンテナを含んでよいが、本発明の範囲はこれらの例に限定はされない。
【0047】
本発明の一部の例示的な実施形態では、BFコントローラ316は、望ましい場合、多入力多出力(MIMO)コントローラおよび/またはビームフォーマプロセッサを含んでもよい。
【0048】
動作トランスミッタ314は、特定の送信電力で直接無線リンク125を介して、受信局への送信を行うことができる。MACプロセッサ340は、この受信局への直接無線リンクのリンク測定の要求を発することができる。MACプロセッサ340は、このリンク測定に基づいて、受信局の送信電力を増減するためのインディケーション(indication)および/または要求とともに報告フレームを受信することができる。MACプロセッサ340が予め決められた時間間隔までにこの要求を実行する場合には、MACプロセッサ340は、リンク測定に基づいて送信電力を増加または低減させよとのインディケーションとともにリンク適合受領確認フレームを送信してよい。
【0049】
さらにMACプロセッサ340は、予め決められた時間間隔が経った後に要求を実行するときには、リンク適合受領確認を送信してよい。MACプロセッサ340は、要求を予め決められた時間間隔の経つまでに実行して、送信電力を低減しない場合には、送信電力を送信しない旨のインディケーションとともにリンク適合受領確認を送信してよい。
【0050】
図4は、本発明の例示的な実施形態における、局の電力送信を制御する方法のフローチャートである。例えば、方法は、適切な場合には、メモリ350に格納されている命令を実行することにより、MACプロセッサ340等のMACプロセッサが実行することができる。
【0051】
本発明の例示的な実施形態においては、ある局の電力制御方法は、制御される側の局が第2の局と直接無線リンク通信(例えば直接ピアツーピア無線通信)をしている場合に行われる。この方法は、テキストボックス410で示すように、第2の局(例えばデスティネーションDBand局130)と、第1の局(例えばソースDBand局110)との間に直接無線リンクを構築することによって開始される。例えば、無線直接リンクは、60GHz周波数帯域(例えばDBand)であってよい。以降、第1の局をSTA「A」および/または送信局と称し、第2の局をSTA「B」および/または受信局と称することとするが、本発明の範囲はこの例に限定はされない。
【0052】
方法では、次に、STA「A」(例えばソースDBand局110)から、STA「B」(例えばデスティネーションDBand局130)に、リンク測定要求メッセージが送信される(テキストボックス420)。受信局(例えばデスティネーションDBand局130)は、リンク測定を行い、その値を含む応答フレームで、送信局(例えばソースDBand局110)に対して応答してよく、この値は、送信局(例えばソースDBand局110)の送信電力を変更するために利用することができる(テキストボックス430)。送信局は、この返信として、受領確認情報エレメント(例えば受領確認情報エレメント200)を含むフレームを送信することができる(テキストボックス440)。一例示的な実施形態では、送信電力変更に利用する値は、それが望ましい場合には、受領確認情報エレメント200の動作フィールドに含められてよい。
【0053】
例えば、リンク測定応答が、送信電力を増加および/または減少させることが望ましいと示している場合、受信局は、動作フィールドに所望の値を設定してよい。例えば、送信電力を減少させたい場合には、受信局(例えばデスティネーションDBand局130)は、動作フィールド(例えば表2の動作フィールド230)に、値2またはその他の適切な値を設定することができる。他方で、送信電力の増加が要求されているとする。この場合には、動作フィールド(例えば表2の動作フィールド230)を、値3で設定することができる。応答フレームは、送信局側で、TPCを行えとの要求、と称される場合もあることを理解されたいが、本発明の範囲はこの点に限定はされない。
【0054】
本発明のこの実施形態例においては、送信局(例えばソースDBand局110)は、受信局(例えばデスティネーションDBand局130)からのTPC要求を承諾および/または拒絶するまでに、予め決められた期間の猶予が与えられてもよい。例えば、送信局(例えばソースDBand局110)は、送信電力の変更要求を実行するか否かを決定してよい(ダイアモンド450)。送信局は、送信局が受領確認(ACK)を受信局に送ってから時間切れ値にならないうちに送信電力変更要求を実行すると決定することもできる。送信局が送信電力変更要求を実行すると決定した場合には、送信局は、推奨されたように送信電力を変更して(テキストボックス460)、受領確認情報エレメント(例えば受領確認情報エレメント200)を含むリンク測定フレームを、ACKフレームの送信後予め決められた期間が経つまでに送信してよい(テキストボックス480)。
【0055】
送信局が送信電力の増減は行わないということも可能であり、この場合には、送信電力を変更しなかった(増加も低減もしなかった)旨を示す動作フィールド値とともにDBandリンク適合ACKエレメントを送信してよいが、本発明の範囲はこの点に限定はされない(テキストボックス470)。
【0056】
本発明の一部の実施形態では、DBandSTAは、リンク測定手順およびDBandリンクマージンエレメントを、少なくとも1つおよび/または両方利用することで、TPCを実行することができるが、本発明の実施形態はこの例に限定はされない。
【0057】
さらに、電力の増減を示すDBandリンクマージンエレメントを含むリンク測定報告フレームを受信するDBandSTAは、以下の規則に則って振舞ってよい。
【0058】
DBandSTAが、リンク測定報告の動作フィールドにより推奨されている動作を実行する意図を有する場合には、DBand局はこの変更を実施して、それから、DBandリンク適合受領確認エレメントを含むリンク測定報告フレームを、DBand局がリンク測定報告の受領確認をした後、所望の時間(例えば2*aDBandPPDUMaxTime)が経つまでに送信してよい。このとき、DBandリンク適合受領確認エレメントの動作フィールドは、受信したDBリンクマージンサブエレメントの動作フィールドと等しくなるように設定することができる。
【0059】
DBandSTAが、リンク測定報告の動作フィールドにより推奨されている動作を実行する意図を有さない場合には、DBandリンク適合受領確認エレメントを含むリンク測定報告フレームを、DBandSTAがリンク測定報告の受領確認をした後、予め定義された時間(例えば2*aDBandPPDUMaxTime)が経つまでに送信してよい。このとき、DBandリンク適合受領確認エレメントの動作フィールドは、STAが送信電力の変更を望んでいないことを示すべく、0に設定することができる。
【0060】
DBandSTAは、動作フィールドが送信電力を増加または低減するよう設定されているリンク測定報告に呼応する場合以外には、DBandリンク適合受領確認エレメントをリンク計測報告に含めない、ということも可能である。
【0061】
DBandリンクマージンサブエレメントは、図2に示されているフィールドを含んでよい。DBandリンクマージンサブエレメントは、リンク測定がDBandPHYに関して行われる場合には、オプションのサブエレメントフィールドで示されてもよい。
【0062】
本発明の実施形態は、プロセッサまたはコントローラにより実行されると、ここに開示する方法を実行するような命令(例えばコンピュータ実行可能命令)を符号化したり、含んだり、または格納したりする、メモリ、ディスクドライブ、USBフラッシュメモリ等の、コンピュータまたはプロセッサ永久可読媒体、または、コンピュータまたはプロセッサ永久格納媒体等の物品を含んでよい。
【0063】
本発明の実施について特定の実施形態を示して記載してきた。これらの実施形態は例示を意図しており、限定は意図していない。数多くの変形例、修正例、追加、および向上が可能である。従って、記載されているものが単数形であっても複数形のものが可能である場合もある。様々なコンポーネント、処理、およびデータストレージの境界線は自由な場合があり、特定の処理は特定の構成例のコンテキストにおいて示されていることを理解されたい。他の機能割り当ても可能であり、これも以下の請求項の範囲に含まれる。最後に、様々な構成において離散的なコンポーネントとして提示されている構造および機能は、構造またはコンポーネントの組み合わせとして実装されてもよい。述べられていてもいなくても、全ての変形例、修正例、追加、および向上が、以下の請求項が定義する本発明の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局の送信電力を制御する方法であって、
特定の送信電力で、直接無線リンクで信号を送信する段階と、
前記直接無線リンクのリンク測定の要求を、受信局に送信する段階と、
前記リンク測定に基づいて、前記送信電力の低減または増加についてのインディケーションとともに報告フレームを受信する段階と、
前記送信電力の低減または増加を、予め決められた時間間隔までに行う場合、前記リンク測定に基づいて、前記送信電力の低減または増加についてのインディケーションとともにリンク適合受領確認エレメントを送信する段階と
を備える方法。
【請求項2】
前記予め決められた時間間隔の後で前記送信電力を増加または低減させる場合に、前記リンク適合受領確認エレメントは送信しないと決定する段階を備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記送信電力を前記予め決められた時間間隔までに低減しないと決めた場合に、前記送信電力を低減しないというインディケーションとともにリンク適合受領確認エレメントを送信する段階を備える請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記受信局との間に前記直接無線リンクを構築する段階を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記送信電力を変更するための要求または値を含む応答フレームを受信する段階と、
前記受信局に対してリンク適合受領確認エレメントを含むリンク測定フレームを送信する段階と
を備える請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
局の送信電力を制御する方法であって、
特定の送信電力で、直接無線リンクで信号を受信する段階と、
前記直接無線リンクのリンク測定の要求を、送信局から受信する段階と、
前記リンク測定に基づいて、前記送信電力の変更要求とともに応答フレームを送信することで応答する段階と、
前記送信局が、前記応答フレームの受信を受領確認してから予め定められた時間間隔が経つまでに、前記送信電力の変更要求を実行する場合、前記リンク測定に基づいて、前記送信電力を低減または増加させるインディケーションとともにリンク適合受領確認エレメントを受信する段階と
を備える
方法。
【請求項7】
前記リンク測定を行い、前記送信電力に必要な変更を示す値を提供する段階を備える請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記送信局が前記予め決められた時間間隔が経つまでに前記送信電力の変更要求を実行して、前記送信局が前記送信電力を低減させない場合には、前記送信電力が低減されないというインディケーションとともにリンク適合受領確認エレメントを受信する段階を備える請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記送信局から、リンク適合受領確認エレメントを含むリンク測定フレームを受信する段階を備える請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
無線ネットワークの局であって、
特定の送信電力で、直接無線リンクを介して受信局へと信号を送信するトランスミッタと、
前記直接無線リンクのリンク測定の要求を前記受信局に送信して、前記リンク測定に基づく前記局の前記送信電力の変更インディケーションとともに報告フレームを受信して、プロセッサが前記送信電力の低減または増加を予め決められた時間間隔までに行う場合、前記リンク測定に基づいて、前記送信電力の低減または増加についてのインディケーションとともにリンク適合受領確認フレームを送信するプロセッサと
を備える局。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記予め決められた時間間隔の後で前記送信電力を増加または低減させる場合に、前記リンク適合受領確認は送信しない請求項10に記載の局。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記送信電力を前記予め決められた時間間隔までに低減しない場合に、前記送信電力を低減しないというインディケーションとともにリンク適合受領確認を送信する請求項10または11に記載の局。
【請求項13】
IEEE802.11ad規格手順の送信電力制御プロトコルを格納するメモリを備え、
前記プロセッサは、前記IEEE802.11ad規格手順に従って無線を操作する機能を有する請求項10から12のいずれか一項に記載の局。
【請求項14】
前記局は送信局であり、前記受信局との間に直接無線リンクを構築する請求項10から13のいずれか一項に記載の局。
【請求項15】
無線通信ネットワークの局であって、
特定の送信電力で、直接無線リンクで信号を受信するレシーバに動作可能に連結されたフェーズドアレイアンテナと、
送信局から前記直接無線リンクのリンク測定の要求を受信して、前記リンク測定に基づいて、前記送信電力の変更要求とともに応答フレームを送信することで前記要求に応答して、前記送信局が、前記送信電力の変更要求を予め決められた時間間隔までに行う場合、前記リンク測定に基づく前記送信電力の低減または増加についてのインディケーションとともにリンク適合受領確認エレメントを受信する媒体アクセス制御プロセッサと
を備える局。
【請求項16】
前記プロセッサは、リンク測定を行い、前記送信電力に必要な変更を示す値を提供する請求項15に記載の局。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記送信電力の変更要求が予め決められた時間間隔の前に実行され、前記送信電力が低減されない場合に、前記送信電力を低減しないというインディケーションとともにリンク適合受領確認エレメントを受信する請求項15または16に記載の局。
【請求項18】
前記プロセッサは前記送信局との間に前記直接無線リンクを構築する請求項15から17のいずれか一項に記載の局。
【請求項19】
前記局は受信局であり、前記送信局との間に直接無線リンクを構築する請求項15から18のいずれか一項に記載の局。
【請求項20】
直接無線リンクを介して受信局と通信する送信局を備え、前記送信局は請求項10から19のいずれか一項に記載の局を含む
無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−156997(P2012−156997A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−2110(P2012−2110)
【出願日】平成24年1月10日(2012.1.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】