無線通信ネットワークシステム、その無線端末、プログラム、データ送受信制御方法
【課題】ネットワークIDを用いる無線通信ネットワークシステムにおいて、ネットワークIDの桁数を増やしても、送信データ量は変わらないようにでき、以って電池寿命が短くならないようにする。
【解決手段】ネットワークIDを分割して分割ネットワークID=‘A’、‘B’とする。定周期で(例えば3秒毎に)頻繁に送信するID通知信号(Rno)には、分割ネットワークID=‘A’、‘B’を交互に付加する。これより、ネットワークIDのデータ量が従来の倍であっても、1送信あたりのID通知信号(Rno)のデータ量は変わらない。リンク確立、データ送信の際のSreq、Rack等の送受信に関しては、‘A’送信して‘B’待ち、‘B’送信して‘A’待ち等とする。
【解決手段】ネットワークIDを分割して分割ネットワークID=‘A’、‘B’とする。定周期で(例えば3秒毎に)頻繁に送信するID通知信号(Rno)には、分割ネットワークID=‘A’、‘B’を交互に付加する。これより、ネットワークIDのデータ量が従来の倍であっても、1送信あたりのID通知信号(Rno)のデータ量は変わらない。リンク確立、データ送信の際のSreq、Rack等の送受信に関しては、‘A’送信して‘B’待ち、‘B’送信して‘A’待ち等とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1等に記載の無線通信ネットワークシステムが提案されている。
図13(a)に、従来の特許文献1等に記載の無線通信ネットワークシステム全体の構成の一例を示す。
【0003】
同図において、A〜Jは分散設置された無線端末を示す。自らが直接通信可能な距離は一般に有限であるので、各無線端末A〜Jはシステムを構成する全ての無線端末とは直接通信することはできない。しかしながら、各無線端末A〜Jは全て1台以上の無線端末と直接通信することは可能であり、他の無線端末を経由することでシステムを構成する全ての無線端末との通信を可能としている。
【0004】
各無線端末A〜Jは、それぞれ、存在通知パケット、通信診断パケット等を相互に送受信して通信路の信頼性を診断することで、例えば図13(b)に示すような構成情報を生成・記憶する。
【0005】
図13(b)に示す構成情報は、無線端末Aが生成・記憶する構成情報の一例であり、無線端末Aの送信するパケットが着信先の無線端末に到達するまでになされる通信回数と、その通信回数を最小通信回数として到達する着信先の無線端末との関係を示している。同図から、例えば、無線端末Aが1回の通信でパケットを転送可能な無線端末(つまり、無線端末Aが直接通信可能な無線端末)は、無線端末B、C、Dであることが分かる。また、無線端末E,F,G,H,I,Jは、無線端末Aが直接通信できない無線端末であり、他の無線端末が中継することで(複数回の通信で)、パケットを転送可能な無線端末であることが分かる。そして、他の無線端末が中継することでパケットを転送するために、無線端末E,Fは少なくとも2回の通信を要し(中継回数1回以上)、無線端末G、H、Iは少なくとも3回の通信を要し、無線端末Jは少なくとも4回の通信を要することがわかる。
【0006】
更に、各無線端末は、例えば図13(b)のような自端末の構成情報に基づいて、少なくとも自端末が直接通信できる他の無線端末(以下、隣接する無線端末という場合もある)の構成情報を、当該隣接する各無線端末に要求して取得して記憶する。
【0007】
図13(c)には、一例として、無線端末Aが取得・記憶する、隣接する各無線端末の構成情報の一例を示す。
無線端末Aは、図13(b)に示す自端末の構成情報の他に、図13(c)に示す隣接無線端末B、C、Dの構成情報をも記憶・管理することになる。以下、これらをまとめて構成情報と呼ぶ場合もある。そして、無線端末Aは(勿論、他の各無線端末も)、構成情報を参照して、パケットの送出先を決定する。
【0008】
一例として、無線端末Aが無線端末Eを宛先とするパケットを送出する場合を考える。図13(c)を参照すると、無線端末Eへパケットを転送するためには、無線端末Bからは1回の通信で転送可能であることがわかる。同様に、無線端末Cからは1回、無線端末Dからは2回の通信で転送可能であることがわかる。このことにより、無線端末Aは、着信先が無線端末Eであるパケットを無線端末BまたはCのいずれかに送出する。無線端末BまたはCは、このパケットを中継し、これにより当該パケットは1回の中継で無線端末Eへ届くことになる。
【0009】
ここで、上記特許文献1の“発明が解決しようとする課題”に記載のように、各無線端末を識別する為のID(端末IDというものとする)として任意の論理番号が各無線端末に割り当てられている。製造番号のように一意に識別できるものは、情報量が多すぎるので端末IDとして用いずに、(情報量が少ない)任意の論理番号を端末IDとして用いる。また、この様な端末IDだけでなく、ネットワークIDも用いることも記載されている。
【0010】
すなわち、例えば図14のように、1つの無線通信ネットワークシステム(任意のグループC)を構築し、このグループ内の各無線端末同士は、直接または他の1以上の無線端末を介して、通信を行うことができる。ここで、図14のように、その近傍に他の無線通信ネットワークシステム(他のグループD)を構築した場合、この2つのグループが1つの無線通信ネットワークシステムとして動作することになってしまう可能性があった。
【0011】
この様な事態を防止する為に、各グループ毎に上記ネットワークIDを割り当てることで、ネットワークIDが異なる無線端末同士は、通信を行わないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−28170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、従来、上記ネットワークIDの桁数は、24ビットであり、約1700万通りのネットワークIDを構成できた。
しかしながら、近年、1700万通りであっても足りなくなる可能性があり、同じ番号のネットワークIDを重複して発行した場合、上記2つのグループが1つになってしまう問題が起こる可能性がある。
【0014】
これに対して、単純に、ネットワークIDの桁数を増やすという対応策が考えられる。例えば、倍の48ビットとした場合には、約70兆通りとなり、不足する可能性は殆どないことになる。
【0015】
しかしながら、この場合、当然、ネットワークIDに係る情報量が増えることになる。
ここで、上記特許文献1等に記載のような従来の無線通信ネットワークシステムでは、各無線端末は定期的に(例えば3秒毎に)、自端末の端末IDとネットワークIDを含むパケットを送信している。この為、ネットワークIDの桁数を増やすと(例えば48ビット等とすると)、送信する情報量が増えてしまう。送信パケットのデータ量が増えれば、電力消費量も増え、上記のように頻繁に(例えば3秒毎に)送信する為に、電池消耗に係る影響は少なくない(電池寿命が短くなってしまう)。
【0016】
尚、上記各無線端末の電源は、搭載している電池(一次電池)であり、電池交換することなく長期間動作すること等が求められている。
この様に、ネットワークIDの桁数を増やすという対応策をとる場合、上述した問題が生じることになる。
【0017】
本発明の課題は、ネットワークIDを用いる無線通信ネットワークシステムにおいて、ネットワークIDの桁数を増やしても、送信データ量は変わらないようにでき、以って電池寿命が短くならないようにできる無線通信ネットワークシステム、その無線端末等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の無線通信ネットワークシステムの無線端末は、無線通信ネットワークシステムを構成する無線端末であって、自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する無線端末において、所定周期で間欠的にID通知信号を無線送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段と、任意のデータの送信要因が発生した後、他の無線端末から無線送信されてくる前記ID通知信号を受信すると、該ID通知信号に付加されているネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した送信要求を無線送信し、前記他の無線端末から該送信要求に応じた送信要求応答が返信されてきた場合には該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第1判定手段と、該第1判定手段によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された前記他の無線端末に対して、前記任意のデータを無線送信するデータ送信手段とを有する。
【0019】
また、上記無線端末において、例えば、前記ID通知手段によって送信した前記ID通知信号に対して他の無線端末から前記送信要求の返信があった場合、該送信要求に付加される前記ネットワーク識別子が、該送信したID通知信号に付加しなかった方の分割ネットワークIDと一致する場合には、該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第2判定手段と、該第2判定手段によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された場合には、前記送信要求に対応する前記送信要求応答を送信する確認応答手段とを更に有する。
【0020】
例えば、上記ネットワークIDが48ビットであったとしても、例えばこれを均等に2分割して成る2つの分割ネットワークIDは、それぞれ、24ビットとなり、従来のネットワークIDと変わらないことになる。そして、各種パケットにネットワーク識別子として付加するのは、2つの分割ネットワークIDの何れか一方とする(ID通知信号の場合は交互に用いる)。よって、ネットワークIDの桁数が増えても、パケットのデータ量が変わらず、電力消費量が増大することはない。
【0021】
2つの分割ネットワークIDを用いて上記処理を行うことで、直接的に無線通信を行う2つの無線端末間で相互に、通信相手のネットワークIDが自端末のネットワークIDと同一であるか否かを確認できる。
【0022】
また、本発明の無線通信ネットワークシステムの無線端末は、無線通信ネットワークシステムを構成する無線端末であって、自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する無線端末において、所定周期で間欠的にID通知信号を無線送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段と、所定のモード中に他の無線端末から送信された前記ID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されている前記ネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して前記一致する分割ネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第1の隣接無線機登録手段とを有する。
【0023】
また、上記無線端末において、例えば、前記ID通知手段によって送信した前記ID通知信号に対して他の無線端末から前記隣接確認の返信があった場合、該隣接確認に付加されているネットワーク識別子が、前記ID通知信号に付加しなかった方の自端末の分割ネットワークIDと一致するか否かを判定する第3判定手段と、該第3判定手段によって一致すると判定された場合には、前記隣接確認を返信してきた他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第2の隣接無線機登録手段と、該第3判定手段によって一致すると判定された場合には、前記隣接確認に付加されているネットワーク識別子と一致しない自端末の分割ネットワークIDを、ネットワーク識別子として付加した前記隣接応答を送信する隣接応答手段とを更に有するようにしてもよい。
【0024】
このようにして、分割ネットワークIDを用いて、隣接確認・登録の処理を問題なく行うこともできる。
また、例えば、既存の無線端末に、所定のモード中に他の無線端末から送信された前記ID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されている前記ネットワーク識別子が、自端末のネットワークIDと一致するか否かを判定し、一致する場合には、自端末のネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して該自端末のネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第3の隣接無線機登録手段を設けるようにしてもよい。
【0025】
このようにすることで、たとえば24ビットのネットワークIDを有する既存の無線端末が、例えば48ビットのネットワークIDを有する本発明の無線端末を、誤って隣接無線機と見做して登録してしまう事態が生じないようにできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の無線通信ネットワークシステム、その無線端末等によれば、ネットワークIDを用いる無線通信ネットワークシステムにおいて、ネットワークIDの桁数を増やしても、送信データ量は変わらないようにでき、以って電池寿命が短くならないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本例の無線端末の構成例である。
【図2】本例の無線端末間の間欠通信方法を示す図である。
【図3】図2に示す間欠通信方法について更に詳細に示す図である。
【図4】無線通信パケットのフレームフォーマットを示す図である。
【図5】既存の無線端末の処理フローチャート図である。
【図6】本例の無線端末の処理フローチャート図である。
【図7】(a)は既存の無線端末同士、(b)は本例の無線端末同士のアクセスシーケンス例である。
【図8】(a)、(b)は、本例の無線端末と既存の無線端末とのアクセスシーケンス例(その1)、(その2)である。
【図9】本例の無線端末を既存システムに組み込む場合のアクセスシーケンス例である。
【図10】隣接確認処理について説明する為の図(その1)である。
【図11】隣接確認処理について説明する為の図(その2)である。
【図12】分割ネットワーク識別子の生成方法の一例を示す図である。
【図13】(a)〜(c)は、無線通信ネットワークシステム全体の構成と構成情報の一例を示す図である。
【図14】2つのグループが1つの無線通信ネットワークシステムとして動作する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1に、本例の無線通信ネットワークシステムにおける無線端末の構成例を示す。
図2には、本例の無線通信ネットワークシステムにおける無線端末間の間欠通信方法を示す図である。
【0029】
また、図3は、図2に示す間欠通信方法について更に詳細に示す図である。
また、図4には、無線端末間での無線通信パケットのフレームフォーマットを示す図である。
【0030】
尚、上記図1〜図4に示す端末構成、通信方法、パケットフォーマット等自体は、上記特許文献1等に示す従来の無線通信ネットワークシステムにおける端末構成、通信方法、パケットフォーマット等と略同様であってよく、ここでは簡単に説明するものとする。
【0031】
まず、図1に示す無線端末の概略的構成例について説明する。
図1に示す無線端末10は、アンテナ11と、無線送受信回路12、通信制御部13、電源回路14等を有する。アンテナ11と無線送受信回路12によって、他の無線端末10と無線通信を行い、所定の信号の送受信や任意のデータ送受信を行う。無線通信距離が短い為、上記従来例で説明したように、直接無線通信できない他の無線端末10とのデータ送受信の際には、別の1または複数の無線端末10によってデータを中継してもらう必要がある。また、無線端末10は、上位装置であるデータ処理装置20に接続してデータ処理装置20との有線でのデータ送受信を行うこともできる。
【0032】
無線送受信回路12は、例えば、特許文献1に示す無線送信回路13aと無線受信回路14a等に相当する。
電源回路14は、不図示の電池を含むものであり、無線送受信回路12や通信制御部13等に電力供給する。上記した本発明の解決すべき課題で述べた通り、ネットワークIDを増やしても電池の消耗を早めないようにすることが望まれる。
【0033】
通信制御部13は、例えばメモリ等を備えるCPU/MPU等を含んで構成されるものであり、後述する図6等の処理は、CPU/MPU等が予めメモリ等に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。また、このメモリには、上記図13(b)、(c)等に示す構成情報等も記憶される。また、上記メモリ等には、自端末に予め任意に割り当てられている端末識別ID(無線機識別子)と、自端末が属するグループ(無線通信ネットワークシステム)を示すユニークなネットワークIDとが、予め(例えば設置の際の初期登録作業等で)登録・記憶されている。
【0034】
既に従来技術等で述べた通り、端末識別ID(無線機識別子)自体は、複数の無線端末で重複して登録される場合が有り得る(勿論、同じグループ内では重複しないようにするが、任意のグループに属する無線端末10の端末識別IDと同じ端末識別IDを持つ無線端末10は、他のグループには存在する可能性がある)。
【0035】
これにより、各無線端末10は、端末識別IDだけでなくネットワークIDも用いて、他の無線端末10を識別しており、基本的には自端末が属するグループと同じグループに属する他の無線端末10とのみ、データ送受信を行う。換言すれば、そのネットワークIDが自端末のネットワークIDと同一である他の無線端末10とのみ、データ送受信を行う。
【0036】
尚、従来より本例に係る無線通信ネットワークシステムは、例えば上記特許文献1等に記載のように、通信相手が自端末と同じグループであっても、構成情報に基づいて判断されるデータ送信先(データ中継先)ではない場合には、データ送受信は行わない。本説明では、この点については逐一言及しないが、構成情報に基づいてデータ送信先(データ中継先)を判断することは、従来と同様に行っていると考えて良い。但し、この例に限るものではない。
【0037】
図1に示す構成自体は、従来の既存の無線端末と略同様であってよいが、通信制御部13による処理やメモリに格納されるデータは従来とは異なる。後に詳しく説明するが、本例において各無線端末10に割り当てられてそのメモリ等に記憶されるネットワークIDは、その桁数が従来よりも増えている。ここでは、従来では24ビットであったのに対して、48ビットとしているが(従来の倍)、この例に限らない。そして、従来と同様に送信パケットには自己のネットワークIDを付加するが、48ビット全てではなく、例えば半分ずつ(24ビット)としている。
【0038】
すなわち、自己のネットワークIDを分割して複数の分割ネットワークIDを生成し、送信パケットには複数の分割ネットワークIDの何れか1つを付加する。従って、1つのパケットのデータ量は、従来と変わらない。特に、後述する定周期で送信するID通知信号(Rno)の場合、当該ID通知信号(Rno)に付加するネットワーク識別子は、複数の(ここでは2つの)分割ネットワークIDを交互に付加するようにする。詳しくは後述する。
【0039】
尚、後述する従来の既存の無線端末の構成は、上記の通り図1と略同様であってよく、後述する図5等の処理は、CPU/MPU等が予めメモリ等に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。
【0040】
次に、図2を参照して、無線端末間の間欠通信方法について説明する。
尚、図2、図3等は、直接的に無線通信可能な無線端末(隣接無線端末)同士の無線通信動作を示すものである。
【0041】
上記特許文献1等にも記載の通り、各無線端末10は、定周期で(例えば3秒毎に)間欠的に所定のパケット(ID通知信号;図2ではRnoと記す)を送信している。このID通知信号(Rno)には、少なくとも送信元の無線端末10の無線機識別子(上記端末IDに相当)と、当該無線端末10が属するグループ(ネットワークシステム)のネットワーク識別子(従来ではネットワークIDであるが、本手法では後述する分割ネットワークID))とが含まれている。また、この様なID通知信号(Rno)に限らず、他の何らかの信号(パケット)を送信する場合にも、基本的には図4に示すように、少なくとも送信元の無線端末10の無線機識別子とネットワーク識別子が含まれている。
【0042】
図2に示すように、無線端末10は、上記ID通知信号(Rno)を送信後に短い受信待ち状態となっている。
ここで、無線端末10は、上記ID通知信号(Rno)のようなパケット以外にも、後述する送信要求Sreq、送信要求応答Rack、データ応答Dack、データ(Data)、隣接確認、隣接応答等の各種パケットを送受信する。
【0043】
図4は、この様なパケットのフレームフォーマット例である。
図示のパケット30は、ネットワーク識別子31、あて先無線機識別子32、送信元無線機識別子33、コマンド・データ34等より成る。
【0044】
ネットワーク識別子31は、このパケット30の送信元の無線端末10が属するグループ(ネットワークシステム)の上記ネットワークID等である。但し、パケット送信の際、従来の既存の無線端末の場合は、自端末のネットワークIDをそのままネットワーク識別子31とするが、本例の無線端末10の場合は、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDのうちの1つを、ネットワーク識別子とする。詳しくは後述する。
【0045】
あて先無線機識別子32は、このパケット30の送信先の無線端末10の無線機識別子(端末識別ID)である。但し、特にあて先が無いパケット30(上記ID通知信号(Rno)等)もある。
【0046】
送信元無線機識別子33は、このパケット30の送信元の無線端末10の無線機識別子(端末識別ID)である。
コマンド・データ34は、任意のコマンド/データ等であり、ここでは特に説明しないが、例えば上記Rno、Sreq、Rack、Dack等であり、受信側の無線端末は、受信パケットのコマンド・データ34が例えばRnoであった場合には、当該受信パケットが上記ID通知信号であると認識することになる。
【0047】
ここで、任意のデータ送信イベント(自端末のデータ送信、または他の無線端末10から受信したデータの転送(中継))が発生した無線端末10(図2に示すデータ送信側)は、図2に示すRno待ち連続受信待ち状態になる。尚、図示の通り、データ送信側も、通常時は図示のデータ受信側と同様に上記間欠的なID通知信号Rnoの送信処理を行っている。尚、図示のデータ受信側は、上記データ送信イベントが発生していないときの無線端末10である。勿論、図示のデータ受信側も、任意のデータ送信イベント発生時にはデータ送信側として動作するので、まずRno待ちの連続受信待ち状態となる。
【0048】
無線端末10は、上記Rno待ち連続受信待ち状態中に他の無線端末10からのID通知信号Rnoを受信すると、所定の応答を返信することでリンク確立し、データ送信(中継データの転送等)を行うことになる。
【0049】
但し、従来では、受信したID通知信号Rnoに含まれるネットワーク識別子31が、自端末のネットワークIDと同一ではない場合、すなわち通信相手が自己と同一のグループ(同じネットワークシステム)ではない場合には、上記リンク確立やデータ送信の処理は行われない。
【0050】
本例の無線端末10も、通信相手が自端末と同一のグループ(同じネットワークシステム)であるか否かを判定し、同一グループではない場合にはその後のリンク確立やデータ送信の処理は行わないようにする点では、従来と略同様である。但し、同一グループであるか否かの判定処理が、従来とは異なる。つまり、本手法では、ID通知信号Rno等のパケットに含まれるネットワーク識別子31は、端末のネットワークIDそのものではなく、ネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDの何れかとなる。本手法では、この様なネットワーク識別子31を用いて、通信相手が自端末と同一のグループであるか否かを判定する。詳しくは後述する。
【0051】
ここで、上記リンク確立やデータ送信の処理の詳細について、図3を参照して説明する。尚、図3に示すシーケンス自体は、従来と略同様であってよい。
尚、図3では受信側と送信側が図2とは逆になっている。すなわち、図3では、図上上側が受信側無線機、下側が送信側無線機となっている。勿論、これは既に述べた通り、何らかのデータ送信イベントが発生した無線端末10が、送信側無線機となるだけの話である。既に述べた通り、無線端末10は基本的に、通常時は(データ送信イベント等の何らかのイベント発生時等を除いては)、ID通知信号Rnoを定周期で間欠的に送信している。
【0052】
無線端末10は、上記図2で説明した通りID通知信号Rnoを送信後に短い受信待ち状態となり、これは図3における送信要求受信待ち状態に相当する。
無線端末10は、データ送信イベント等が発生していないときに(通常時に)他の無線端末10からのID通知信号Rnoを受信しても、基本的には図示のように何も行わない(但し、後述するように隣接確認して隣接無線機登録(上記構成情報の更新)を行う場合もある)。よって、図示の送信側無線機も、図示のデータ送信要因発生の前には、図示のように受信側無線機からのID通知信号Rnoを受信しても何も行わない。
【0053】
無線端末10は、任意のタイミングで何らかのデータ送信要因が発生すると、送信側無線機として動作することになり、図示の無線機識別子受信待ち状態(上記Rno待ち連続受信待ち状態に相当;図上、αと記す;以下、連続受信待ち状態αと記す場合もある)となる。
【0054】
送信側無線機としての無線端末10(以下、単に送信側無線機と記す)は、上記連続受信待ち状態αで他の無線端末10からのID通知信号Rnoを受信すると、図示の送信要求(Sreq)を返信すると共に図示の送信要求応答受信待ち状態となる。
【0055】
受信側無線機としての無線端末10(以下、単に受信側無線機と記す)は、上記送信要求受信待ち状態で送信要求(Sreq)を受信すると、図示の送信要求応答(Rack)を返信すると共に図示のデータ受信待ち状態となる。
【0056】
送信側無線機は、上記送信要求応答受信待ち状態で上記送信要求応答(Rack)を受信すると、上記発生したイベントに係わるデータ(Data)を送信すると共に図示のデータ応答受信待ち状態となる。
【0057】
受信側無線機は、上記データ受信待ち状態で任意のデータ(Data)が送られてくると、このデータ(Data)をメモリ等に記憶し、このデータ(Data)全てを正常に受信・記憶完了した場合には、図示のデータ応答(Dack)を返信する。
【0058】
送信側無線機は、上記データ応答受信待ち状態で上記データ応答(Dack)を受信すると、データ(Data)を正常に送信(転送等)できたことを確認でき、以ってデータ送信完了とする。
【0059】
ここで、上記データ(Data)だけでなく、上記送信要求(Sreq)、送信要求応答(Rack)、データ応答(Dack)等のパケットにも、上記図4のフォーマットにより送信元の無線機識別子33やネットワーク識別子31等が含まれている。
【0060】
従来の既存の無線端末における上記図3の処理では、随時、受信したパケット中のネットワーク識別子31を参照して、これが自己のネットワークIDと同一であるか否かをチェックすることで、パケット送信元が自端末と同じグループであるか否かをチェックし、もし異なるのであれば応答等は行わない。本例の無線端末10の場合、パケット中のネットワーク識別子31には上記「分割ネットワークID」が格納されるので、同じグループか否かのチェック処理は、従来とは異なるが、これについては後に図6等を参照して説明する。
【0061】
何れにしても、図3に示す例は、送信側無線機と受信側無線機とが同じグループに属する場合のシーケンスを示しているものと言うこともできる。
ここで、上述した通り、本例において各無線通信ネットワークシステム(各グループ)毎に割り当てられるネットワークIDは、従来では24ビットであったのに対して、本例では例えば48ビットとしている。但し、パケットにはネットワークIDの半分(24ビット)のみ付加する。すなわち、既に簡単に述べたように本手法では、ネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを用いて、パケットにはネットワークIDではなく分割ネットワークIDを付加する。尚、本例ではネットワークIDを2分割して成る2つの分割ネットワークIDを用いるものとするが、この例に限らない。
【0062】
この例では、各パケット30のネットワーク識別子31は、従来でも本例でも24ビットとなる。
ここで、仮に、従来の24ビットのネットワークIDをネットワークID=‘A’と表記するものとし、本例の48ビットのネットワークIDをネットワークID=“‘A’+‘B’”と表記するものとする。そして、上記2つの分割ネットワークIDは、分割ネットワークID=‘A’と分割ネットワークID=‘B’と表記するものとする。
【0063】
つまり、ネットワーク識別子31には、‘A’と‘B’の何れかが格納されることになる。
ここで、本例の無線端末10(48ビットのネットワークIDを持つ)を複数台用いて任意の場所に任意の無線通信ネットワークシステム(1つのグループ)を構築した場合に、その近傍に既に既存の無線端末(24ビットのネットワークIDを持つ)を複数台用いた既存の無線通信ネットワークシステムが構築されているような事態は、充分に起こり得ることである。従って、本例の無線端末10同士の通信で同一グループか否かをチェックするだけでなく、本例の無線端末10と既存の無線端末との通信で同一グループか否かをチェックすることを、例えば図3に示す通信シーケンスに従って行われるようにする。
【0064】
そして、当然、同一のグループか否かについて誤判定することが無いようにすることが望まれる。特に、例えば既存の無線端末が上記ネットワークID=‘A’であり本例の無線端末10が上記ネットワークID=“‘A’+‘B’”である場合のように、既存のネットワークID=‘A’が2つの分割ネットワークIDのうちの一方と同一であるような場合でも、同一のグループか否かについて誤判定することが無いようにすることが望まれる。
【0065】
ここで、上記の様な表記を用いて、図5、図6に、無線端末の処理フローを示す。
図5は、既存の無線端末の処理フローチャート図である。
図6は、本例の無線端末10の処理フローチャート図である。
【0066】
まず、図5を参照して従来例について説明する。図5(a)はデータ受信側無線端末としての処理フローであり、図5(b)はデータ送信側無線端末としての処理フローである。換言すれば、図5(b)は図3に示すデータ送信要因発生後の処理フローチャート図である。尚、データ受信側無線端末、データ送信側無線端末の両方とも、そのネットワークIDは‘A’であるものとする(つまり、同じグループに属するものとする)。
【0067】
以下、まず、図5(a)を参照してデータ受信側の処理について説明する。
図5(a)において、データ受信側無線端末は、上記の通り定周期でID通知信号Rnoを送信すると共に短時間の送信要求受信待ち状態となる(ステップS11)。尚、このID通知信号Rnoには、自端末のネットワークID=‘A’が付加されている。
【0068】
そして、送信要求受信待ち状態中に上記送信要求(Sreq)を受信しなかったならば(ステップS12、NO)、ステップS11に戻り、次のID通知信号Rno送信を行うことになる。送信要求受信待ち状態中に上記送信要求(Sreq)を受信した場合には、そのネットワーク識別子31が自端末のネットワークIDと同じ‘A’であるか否かをチェックし、同じではない(‘A’ではない)場合にもステップS12の判定はNOとなる。
【0069】
尚、上記説明では送信要求受信待ち状態について言及したが、図3で説明した各種の受信待ち状態に関しては、これ以降は特に言及せずに省略して説明する場合もあるものとする。
【0070】
受信した送信要求(Sreq)のネットワーク識別子31が自端末のネットワークIDと同一(‘A’)である場合には(ステップS12,YES)、自端末のネットワークID=‘A’を付加した送信要求応答(Rack)を送信し(ステップS13)、通信相手からデータ(Data)が送信されてくるのを待つ。
【0071】
データ(Data)が送信されてこなかった場合、または受信したデータ(Data)のネットワーク識別子31が自端末のネットワークIDと同じ(‘A’)ではなかった場合には(ステップS14、NO)、ステップS11に戻る。
【0072】
尚、ネットワークIDの付加とは、ネットワークIDをネットワーク識別子31に格納することを意味する。
そのネットワーク識別子31が自端末のネットワークIDと同じ(‘A’)であるデータ(Data)を受信した場合には(ステップS14,YES)、自端末のネットワークID=‘A’を付加したデータ応答(Dack)を送信すると共に(ステップS15)、データ受信処理(受信したデータ(Data)の解析処理等)を行う(ステップS16)。これによって、例えば、受信したデータ(Data)を更に他の無線端末に転送する処理等が行われることになる。
【0073】
次に、図5(b)を参照してデータ送信側の処理について説明する。
図5(b)において、上記連続受信待ち状態αとなっている無線端末であるデータ送信側無線端末は、上記ID通知信号Rnoを受信すると、そのネットワーク識別子31が、自端末のネットワークID=‘A’と同一であるか否かをチェックし、異なる場合には(ステップS21、NO)、受信したID通知信号Rnoを破棄する等して、次のID通知信号Rnoを受信するのを待つ。
【0074】
一方、受信したID通知信号Rnoのネットワーク識別子31が、自端末のネットワークID=‘A’と同一である場合には(ステップS21,YES)、自端末のネットワークID=‘A’を付加した送信要求(Sreq)を送信する(ステップS22)。
【0075】
そして、上記送信要求応答(Rack)を受信したら、そのネットワーク識別子31が、自端末のネットワークID=‘A’と同一であるか否かをチェックし、異なる場合にはステップS21に戻り、他のID通知信号Rnoの受信を待つ。一方、自端末のネットワークIDと同一のネットワーク識別子31=‘A’を持つ送信要求応答(Rack)を受信した場合には(ステップS23,YES)、データ(Data)送信を行う(ステップS24)。
【0076】
その後、上記データ応答(Dack)を受信したら、そのネットワーク識別子31が、自端末のネットワークID=‘A’と同一であるか否かをチェックし、異なる場合にはステップS21に戻り、同一である場合にはデータ送信処理を正常完了したものとして本処理を終了し、例えば図5(a)の処理へと移行する。
【0077】
尚、既に述べた通り、実際には更に、受信したパケットの送信元無線機識別子33と自端末が保持する構成情報等を参照して、通信相手がデータ転送先であるか否かの判定も行っている。本説明では、この判定は常にOK(データ転送先である)であるものと見做し、その説明は省略するものとする。尚、これは、後述する図6の処理の説明においても同様である。
【0078】
次に、以下、図6を参照して本例の無線端末10の動作について説明する。図6(a)はデータ受信側無線端末としての処理フローであり、図6(b)はデータ送信側無線端末としての処理フローである。換言すれば、図6(b)は図3に示すデータ送信要因発生後の処理フローチャート図である。尚、データ受信側無線端末、データ送信側無線端末の両方とも、そのネットワークIDは“‘A’+‘B’”であるものとする。また、このネットワークID=「‘A’+‘B’」を2つに分割したものを、それぞれ、分割ネットワークID=‘A’、分割ネットワークID=‘B’と記すものとする。
【0079】
以下、まず、図6(a)を参照してデータ受信側の処理について説明する。
図6(a)において、データ受信側の無線端末10は、従来と略同様に定周期でID通知信号Rnoを送信するが(ステップS31)、本例ではID通知信号Rnoのネットワーク識別子31として、上記分割ネットワークID=‘A’と分割ネットワークID=‘B’とを交互に用いる。つまり、定周期で送信するID通知信号Rnoには、分割ネットワークID=‘A’と分割ネットワークID=‘B’とを交互に付加する。
【0080】
尚、ここでは、ネットワーク識別子31として‘A’が付加されたID通知信号RnoをRno(A)、ネットワーク識別子31として‘B’が付加されたID通知信号RnoをRno(B)等と表記するものとする。
【0081】
よって、図示の処理例では、特に応答が無い場合は、図6(a)に示すステップS31でRno(A)を送信し、所定時間後(本例では3秒後とする)にステップS37でRno(B)を送信し、3秒後に再びステップS31でRno(A)を送信し、更に3秒後に再びステップS37でRno(B)を送信する、等という処理を行うことになる。
【0082】
そして、例えば、ID通知信号Rno(A)を送信後の送信要求受信待ち状態中に送信要求(Sreq)を受信したならば、そのネットワーク識別子31が他方の分割ネットワークIDと同一であるか否かをチェックする(ステップS32)。ここで、“他方の分割ネットワークID”とは、上記ステップS31でID通知信号Rnoに付加した分割ネットワークID以外の分割ネットワークIDである。よって、ここでは“他方の分割ネットワークID”は分割ネットワークID=‘B’であり、ステップS32ではネットワーク識別子31が‘B’であるか否かをチェックすることになる。
【0083】
上記送信要求受信待ち状態中に送信要求(Sreq)を受信しなかった場合、または受信した送信要求(Sreq)のネットワーク識別子31が他方の分割ネットワークID=‘B’と同一ではなかった場合には(ステップS32,NO)、そのままステップS37の処理へ移行し、上記の通り今度はID通知信号Rno(B)を送信する。勿論、このRno(B)の送信は、上記ステップS31のRno(A)送信から所定時間後(本例では3秒後)に行われることになる。つまり、定周期でRnoを送信すること自体は従来と略同様であるが、送信する内容が異なることになる。つまり、従来のように自端末のネットワークIDをそのまま付加するのではなく、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に付加している。
【0084】
受信した送信要求(Sreq)のネットワーク識別子31が他方の分割ネットワークID=‘B’と同一である場合には(ステップS32,YES)、続いて、上記ステップS31の場合と同じ分割ネットワークID=‘A’を付加した送信要求応答(Rack)(Rack(A)と記す)を送信する(ステップS33)。
【0085】
その後、そのネットワーク識別子31が上記「他方の分割ネットワークID」=‘B’であるデータ(Data)を受信した場合には(ステップS34,YES)、上記ステップS31の場合と同じ分割ネットワークID=‘A’を付加したデータ応答(Dack)を送信すると共に(ステップS35)、データ受信処理(受信したデータ(Data)の解析処理等)を行う(ステップS36)。これによって、例えば、受信したデータ(Data)を更に他の無線端末に転送する処理等が行われることになる。
【0086】
ステップS37〜S42の処理は、上記ステップS31〜S36の処理と略同様であり、上記ステップS31〜S36の説明におけるAとBとが逆になるだけである。
すなわち、データ受信側の無線端末10は、従来と略同様に定周期でID通知信号Rnoを送信するが(ステップS37)、上記の通り上記ステップS31と当該ステップS37とで分割ネットワークID‘A’‘B’を交互に用いながら(そのネットワーク識別子31を交互に変えながら)ID通知信号Rnoを送信する。よって、ステップS37では、分割ネットワークID=‘B’が付加されたID通知信号RnoすなわちRno(B)を、送信することになる。
【0087】
そして、例えば、上記ID通知信号Rno(B)を送信後の送信要求受信待ち状態中に送信要求(Sreq)を受信したならば、そのネットワーク識別子31が他方の分割ネットワークIDと同一であるか否かをチェックする(ステップS38)。ここで、“他方の分割ネットワークID”とは、上記ステップS37でID通知信号Rnoに付加した分割ネットワークID以外の分割ネットワークIDである。よって、ここでは、受信した送信要求(Sreq)のネットワーク識別子31が‘A’であるか否かをチェックすることになる。
【0088】
上記送信要求受信待ち状態中に送信要求(Sreq)を受信しなかった場合、または受信した送信要求(Sreq)のネットワーク識別子31が他方の分割ネットワークID=‘A’と同一ではなかった場合には(ステップS38,NO)、そのままステップS31の処理へ戻り、再び上記ID通知信号Rno(A)を送信することになる。勿論、このRno(A)の送信は、上記ステップS37のRno(B)送信から所定時間後(本例では3秒後)に行われることになる。
【0089】
受信した送信要求(Sreq)のネットワーク識別子31が他方の分割ネットワーク識別子=‘A’と同一である場合には(ステップS38,YES)、続いて、上記ステップS37の場合と同じ分割ネットワークID=‘B’を付加した送信要求応答(Rack)(Rack(B)と記す)を送信する(ステップS39)。
【0090】
その後、そのネットワーク識別子31が上記「他方の分割ネットワークID」=‘A’と同じであるデータ(Data)を受信した場合には(ステップS40,YES)、上記ステップS37の場合と同じ分割ネットワークID=‘B’を付加したデータ応答(Dack)を送信すると共に(ステップS41)、データ受信処理(受信したデータ(Data)の解析処理等)を行う(ステップS42)。これによって、例えば、受信したデータ(Data)を更に他の無線端末に転送する処理等が行われることになる。
【0091】
上記のように、本例のデータ受信側の無線端末10は、基本的に、自端末のネットワークIDを2分割して成る2つの分割ネットワークIDの何れか一方を付加した何らかのパケットを送信すると、他方の分割ネットワークIDと同じものが付加されたパケットが返信されてくるのを待ち、当該パケットが返信されてきたことを以って通信相手が自端末と同じグループに属することを確認しつつ、処理を進めることになる。但し、図示の例に限らない。例えば、ステップS32またはステップS38の判定がYESとなった時点で、通信相手が自端末と同じグループに属するものと判定し、その後は、特に確認を行わないようにしてもよい。
【0092】
次に、以下、図6(b)を参照してデータ送信側の処理について説明する。
図6(b)の処理は、上記連続受信待ち状態αとなった後の無線端末10の処理である。
【0093】
図6(b)において、上記連続受信待ち状態α中に上記ID通知信号Rnoを受信すると、そのネットワーク識別子31が自端末の分割ネットワークID‘A’‘B’のどちらかであるか、あるいはどちらでも無いのかをチェックする(ステップS51,S56)。すなわち、受信したRnoのネットワーク識別子31が分割ネットワークID=‘A’と同じであるならば(ステップS51,YES)ステップS52へ移行し、分割ネットワークID=‘B’と同じであるならば(ステップS51がNOでS56がYES)ステップS57へ移行し、‘A’‘B’以外(例えば‘C’等)である場合には(ステップS51,S56の両方がNO)返信等を行うことなくステップS51に戻り、次のRno受信を待つ。
【0094】
ステップS52では、他方の分割ネットワークIDを付加した送信要求(Sreq)を送信する。ここで、「他方の分割ネットワークID」とは、自端末の分割ネットワークID‘A’‘B’のうち、受信したRnoのネットワーク識別子31とは異なる方の分割ネットワークIDである。ここでは、受信したRnoはRno(A)であることから、他方の分割ネットワークID=‘B’を付加した送信要求(Sreq(B))を送信する。
【0095】
これに対して、送信要求応答(Rack)の返信が無かった場合、または受信した送信要求応答(Rack)のネットワーク識別子31が上記受信したRnoの場合と同じではなかった場合(つまり、‘A’ではなかった場合)(ステップS53,NO)、応答等は行うことなくステップS51に戻り、次のRno受信を待つ。
【0096】
上記受信したRnoの場合と同じネットワーク識別子31(=‘A’)が付加された送信要求応答(Rack(A))を受信した場合には(ステップS53,YES)、上記送信要求(Sreq(B))の場合と同じ分割ネットワークID(=‘B’)を付加したデータ(Data(B))を送信する(ステップS54)。その後、上記Rnoの場合と同じネットワーク識別子31(=‘A’)が付加されたデータ応答(Dack(A))を受信したら(ステップS55,YES)、データ(Data)送信は正常に完了したものとし、本処理を終了する。Dack(A)を受信しなかったら(ステップS55,NO)、ステップS51に戻り、次のRno受信を待つ。
【0097】
上記の通り、ステップS56がYESの場合には(Rno(B)受信の場合)、ステップS57へ移行するが、ステップS57〜S60の処理は、上述したステップS52〜S55の処理と略同様であり、‘A’と‘B’とが逆になるだけである。
【0098】
すなわち、まず、ステップS57では、受信したRnoはRno(B)であることから、他方の分割ネットワークID=‘A’を付加した送信要求(Sreq(A))を送信する。
これに対して、送信要求応答(Rack)の返信が無かった場合、または受信した送信要求応答(Rack)のネットワーク識別子31が上記Rno(B)の場合と同じではなかった場合(つまり、‘B’ではなかった場合)(ステップS58,NO)、応答等は行うことなくステップS51に戻り、次のRno受信を待つ。
【0099】
上記Rno(B)の場合と同じネットワーク識別子31(=‘B’)が付加された送信要求応答(Rack(B))を受信した場合には(ステップS58,YES)、上記送信要求(Sreq(A))の場合と同じネットワークID(=‘A’)を付加したデータ(Data(A))を送信する(ステップS59)。その後、上記Rno(B)の場合と同じネットワーク識別子31(=‘B’)が付加されたデータ応答(Dack(B))を受信したら(ステップS60,YES)、データ(Data)送信は正常に完了したものとし、本処理を終了する。Dack(B)を受信しなかったら(ステップS60,NO)、ステップS51に戻り、次のRno受信を待つ。
【0100】
尚、図6の処理において、データ受信側は、ステップS32またはS38がYESとなった段階で、通信相手は自端末と同じグループであると見做す。データ送信側は、ステップS53またはS58がYESとなった段階で、通信相手は自端末と同じグループであると見做す。但し、別の無線端末との混信等の可能性を考慮して、その後のステップS34やS40あるいはステップS55やS60等のチェックも行うことが望ましい。
【0101】
図7〜図9に、上述した図5、図6の処理による、隣接する(直接無線通信可能な)無線端末同士のアクセスシーケンス例を示す。
考え得る組み合わせとしては、本例の無線端末10同士、本例の無線端末10と既存の無線端末、既存の無線端末同士がある。尚、図7〜図9や後述する図10、図11においては、既存の無線端末は“簡易”、本例の無線端末10は“詳細”と表記するものとする。
【0102】
尚、図7〜図9において、図上左側をデータ受信側の無線端末、図上右側をデータ送信側の無線端末とする。また、尚、図ではデータ受信側のみがRnoを送信しているが、データ送信側においてもデータ送信イベント発生時以外はRnoを送信しているのであり、図では省略しているだけである。
【0103】
まず、図7(a)に、既存の無線端末同士のアクセスシーケンス例を示す。
尚、図示の例では、2つの無線端末(簡易)は両方ともネットワークID=‘A’であるものとする。
【0104】
同図において、上述した図5(a)のようにデータ受信側の無線端末は定周期で(例えば3秒毎に)上記ID通知信号Rnoを送信する。データ送信側の無線端末は、データ送信イベント発生時以外は、Rnoを受信しても何もしないか、もしくは隣接確認処理を行う。この隣接確認処理は、既存の処理であり、後に図10、図11を参照して簡単に説明するものとし、ここでは特に説明しない。
【0105】
データ送信側の無線端末は、任意のデータ送信イベントが発生したことで上記連続受信待ち状態αとなったら、上述した図5(b)のデータ送信処理を開始する。これより、図7(a)に示す通り、Rno(A)を受信したらSreq(A)を送信し、これに対してRack(A)が返信されてきたらData(A)を送信し、これに対してDack(A)が返信されてきたら、データ送信処理を正常終了する。
【0106】
次に、図7(b)に、本例の無線端末10(詳細)同士のアクセスシーケンス例を示す。
尚、図示の例では、2つの無線端末10(詳細)は両方ともネットワークID=“‘A’+‘B’”であるものとする。また、両方とも、分割ネットワークIDは、分割ネットワークID=‘A’と分割ネットワークID=‘B’であるものとする。
【0107】
同図において、上述した図6(a)のようにデータ受信側の無線端末10は定周期で(例えば3秒毎に)上記ID通知信号Rnoを送信する。これは、上記の通り、Rno(A)とRno(B)とを交互に送信することになる。データ送信側の無線端末は、データ送信イベント発生時以外は、Rnoを受信しても何もしないか、もしくは隣接確認処理を行う。この隣接確認処理は、後に図10、図11を参照して簡単に説明するものとし、ここでは特に説明しない。
【0108】
データ送信側の無線端末10は、任意のデータ送信イベントが発生したことで上記連続受信待ち状態αとなったら、上述した図6(b)のデータ送信処理を開始する。図7(b)に示す例では、データ送信処理開始後に最初に受信するRnoは、上記Rno(A)であるので、Sreq(B)を送信し、これに対してRack(A)が返信されてきたらData(B)を送信し、これに対してDack(A)が返信されてきたら、データ送信処理を正常終了する。
【0109】
データ受信側の無線端末10は、上述した図6(a)処理を実行することで、図7(b)に示す例では、上記Rno(A)を送信後に上記Sreq(B)が返信されてきたら、上記Rack(A)を送信し、その後、上記データData(B)が返信されてきたら、このデータを受信・記憶すると共に、上記Dack(A)を送信する。
【0110】
尚、図7(b)に示す通り、データ送信側の無線端末10、データ受信側の無線端末10のどちらも、自己の2つの分割ネットワークIDの何れか一方を付加したパケットを送信したら、他方の分割ネットワークIDと同じものが付加された所定のパケットが返信されてくるのを待つ。図示のB待ちとは分割ネットワークID=Bが付加されたパケットの受信待ちを意味し、図示のA待ちとは分割ネットワークID=Aが付加されたパケットの受信待ちを意味する。よって、Rno(A)送信後やRack(A)送信後はB待ちとなり、Sreq(B)やData(B)を送信後はA待ちとなる。
【0111】
また、データ送信側の無線端末10、データ受信側の無線端末10のどちらも、受信したパケットに対して返信するパケットには、自己の2つの分割ネットワークIDのうち、受信したパケットに付加されているものとは異なる方を付加する。よって、図示の例では例えば、Rno(A)に対してSreq(B)を返信することになるが、Rno(B)に対してはSreq(A)を返信することになる。よって、当然、RackはRack(B)等となることになる。
【0112】
尚、上記所定のパケットとは、Rnoに対してはSreqであり、Sreqに対してはRackであり、Rackに対してはDataであり、Dataに対してはDackである。
次に、図8(a)に、本例の無線端末10(詳細)と既存の無線端末(簡易)とのアクセスシーケンス例(その1)を示す。
【0113】
尚、図示の例では、本例の無線端末10(詳細)はネットワークID=“‘A’+‘B’”であり、2つの分割ネットワークID=‘A’、‘B’を持つものとする。また、既存の無線端末(簡易)はネットワークID=‘A’であるものとする。また、図8(a)の例では、本例の無線端末10(詳細)はデータ受信側、既存の無線端末(簡易)はデータ送信側であるものとする。
【0114】
無線端末10(詳細)は、上記図6(a)の処理を行っており、図示の通りRno(A)とRno(B)とを定周期で(例えば3秒毎に)交互に送信している。尚、その際、隣接確認処理を行っても良いが、これについては後に図10、図11を参照して説明する。
【0115】
一方、既存の無線端末(簡易)は、任意のデータ送信イベントが発生したことで上記連続受信待ち状態αとなったら、上述した図5(b)のデータ送信処理を開始する。
これより、例えば図示の例ではRno(A)を受信することからステップS21はYESとなり、Sreq(A)を返信することになる。なお、Rno(B)を受信したときには、ステップS21はNOとなり、何も応答は行わないことになる。
【0116】
無線端末10(詳細)は、Sreq(A)を受信すると、上記ステップS32の判定がNOとなることから何も応答せずにSreqを破棄することになり、通信は成立しないことになる。
【0117】
この様に、既存の無線端末(簡易)側ではネットワークIDが同一である(通信相手は自端末と同じネットワークに属する)と判断しかねないケースでも、無線端末10(詳細)の処理によって通信は成立しないことになる。
【0118】
次に、図8(b)に、本例の無線端末10(詳細)と既存の無線端末(簡易)とのアクセスシーケンス例(その2)を示す。
尚、図示の例では、本例の無線端末10(詳細)はネットワークID=“‘A’+‘B’”であり、2つの分割ネットワークID=‘A’、‘B’を持つものとする。既存の無線端末(簡易)はネットワークID=‘A’であるものとする。また、図8(b)の例では、本例の無線端末10(詳細)はデータ送信側、既存の無線端末(簡易)はデータ受信側であるものとする。
【0119】
既存の無線端末(簡易)は、上記図5(a)の処理を行っており、図示の通りRno(A)を定周期で(例えば3秒毎に)送信している。尚、その際、隣接確認処理を行っても良いが、これについては後に図10、図11を参照して説明する。
【0120】
一方、無線端末10(詳細)は、任意のデータ送信イベントが発生したことで上記連続受信待ち状態αとなったら、上述した図6(b)のデータ送信処理を開始する。
これより、Rno(A)を受信することでステップS51はYESとなり、Sreq(B)を返信することになる。この為、既存の無線端末(簡易)側では上記ステップS12がNOとなることから、何も応答せずにSreqを破棄することになり、通信は成立しないことになる。
【0121】
この様に、本例の無線端末10(詳細)を、既存の無線端末(簡易)で構成される既存の無線通信ネットワークシステムの近傍に設置したとしても、誤認識して同一グループであると見做すようなことはなく、何ら問題はない。
【0122】
そして、本例の無線端末10(詳細)は、自端末のネットワークIDの桁数(データ量)が、既存の無線端末(簡易)より多い(本例では、簡易が24ビットで、詳細は48ビットであり、従来の倍となっている)。しかしながら、図8に示す無線端末10(詳細)が送信するRno(A)、Rno(B)は、既存の無線端末(簡易)が送信するRno(A)とデータ量が同じであり、またRnoの送信回数(送信周期;3秒毎など)も既存の無線端末(簡易)と同じである。
【0123】
このように、頻繁に送信されるID通知信号Rnoのデータ量と送信回数は、従来と変わらないので、それに係る電力消費量も従来と略同様である。よって、ネットワークIDの桁数を増やしても、送信データ量は変わらないようにでき、以って電池寿命が短くならないようにできる。
【0124】
次に、図9に、本例の無線端末10を既存システムに組み込む場合のアクセスシーケンス例を示す。
上述したように、本例の無線端末10を、既存の無線端末(簡易)で構成される既存の無線通信ネットワークシステムの近傍に設置したとしても、誤認識して同一グループであると見做すようなことはない。
【0125】
しかしながら、逆に、本例の無線端末10を既存の無線通信ネットワークシステムに組み込みたい場合もある。例えば、将来的に既存の無線端末(簡易)は製造中止とし、本例の無線端末10は製造し続ける状態となった場合において、既存システムの無線端末(簡易)が故障して交換が必要になった場合等である。
【0126】
この場合、本例の無線端末10の48ビットのネットワークIDを、その分割ネットワークIDが、分割ネットワークID=‘A’と分割ネットワークID=‘A’となるように設定する。尚、‘A’が2つあると説明し難いので、一方を図示の通り「A’」と表記するものとする。よって、「A’」=Aである。尚、この場合、48ビットのネットワークIDを、例えば上位側24ビットを‘A’、下位側24ビットを「A’」等とすることが考えられる。但し、後述する図12のような分割ネットワークID生成を行う場合には、この方法は適用できないが、何れにしても結果的に、2つの分割ネットワークIDが同じものとなるようにすればよい。
【0127】
この様にすることで、図9に示すように、本例の無線端末10と既存の無線端末(簡易)とでデータ送受信が可能となる。
すなわち、図上左側が本例の無線端末10、図上右側が既存の無線端末(簡易)であり、既存の無線端末(簡易)がデータ送信側になるとする。
【0128】
本例の無線端末10は、上記図6の処理を実行する。よって、定周期のRno送信の際には、2つの分割ネットワークIDを交互に付加するが、ここでは分割ネットワークID=‘A’と「A’」とを交互に付加することになるので、上記の通り実質的には図7(a)に示す既存の無線端末(簡易)のRno送信動作と変わらないことになる。
【0129】
また、図9の動作は、図7(b)における‘B’を全て「A’」に置き換えたものに相当することになるので、図9に示すように、例えば上記ステップS31によりRno(A)送信後に、“「A’」待ち状態”となる。これに対して既存の無線端末(簡易)からはSreq(A)が返信されてくるが、上記の通り「A’」=Aであり、両者を区別できないのであるから、上記ステップS32の判定はYESとなる。その後、ステップS33でRack(A)送信後も“「A’」待ち状態”となり、既存の無線端末(簡易)からはData(A)が返信されてくるが、上記と同様、ステップS34の判定はYESとなり、データ受信処理が成立することになる。
【0130】
特に図示しないが、本例の無線端末10がデータ送信側となる場合も、略同様にして、問題なく既存の無線端末(簡易)に対してデータ送信することが可能となり、実質的に、既存の無線通信ネットワークシステムに対して本例の無線端末10を追加させることが可能となる。
【0131】
また、本例の場合、後述する図11において、‘B’が全て「A’」に置き換わることになることから、図示の“簡易”からの隣接確認(A)に対して、図示の”詳細“は隣接応答(A’)を返信することになる。上記の通り「A’」=Aであるので、実質的に隣接応答(A)が返信されることになる。よって、簡易側では、通信相手は自端末と同じグループに属する隣接無線機であるものと判定して登録することになり、これが構成情報に反映されることで、図示の“簡易”を含む既存の無線通信ネットワークシステムに対して、図示の”詳細“を新たに組み込ませることが可能となる。
【0132】
尚、上記のことから、逆に、本例の無線端末10のネットワークIDの設定は、既存の無線通信ネットワークシステムに組み込む場合を除いては、2つの分割ネットワークIDが同一にならないように設定する必要がある。
【0133】
次に、図10、図11を参照して、隣接確認処理について説明する。
従来より、各無線端末は、送信データが無い状態においてID通知信号Rnoを受信した際に、隣接確認処理を行う場合がある。この隣接確認処理は、所定の隣接確認パケットと隣接応答パケットとを送受信するものである。
【0134】
まず、図10には、本例の無線端末10(詳細)同士の隣接確認処理シーケンスを示す。尚、図では、図上右側の無線端末10(詳細)のみがID通知信号Rnoを定周期で送信しているが、図示していないだけであり図上左側の無線端末10(詳細)もID通知信号Rnoを定周期で送信している。
【0135】
勿論、上記Rno(A)とRno(B)とを交互に送信している。
ここで、特にフローチャート等は示さないが、本例の無線端末10(詳細)は、通常状態(例えば上記連続受信待ち状態α以外の状態)のときに任意のタイミングで隣接確認モードとなり、このモードのときにID通知信号Rnoを受信したら、隣接確認パケットを送信する。これは、受信したID通知信号Rnoのネットワーク識別子31が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと同じであるか否かを判定し、判定結果がYESの場合には、他方の(異なる方の)分割ネットワークIDを付加した隣接確認パケットを送信する。図示の例では、Rno(A)を受信しているので、分割ネットワークID=‘B’を付加した隣接確認パケット(B)を送信することになる。
【0136】
尚、Rno(B)を受信した場合には隣接確認パケット(A)を送信することになる。
この隣接確認パケット(B)を受信した図上右側の無線端末10(詳細)は、Rno(A)に対して隣接確認パケット(B)が返信されてきた(“B待ち”状態でBが返信されてきた)ことを以って、通信相手は自端末と同グループであると判断して、通信相手を隣接無線機として登録する。そして、例えば構成情報に反映させることになる。更に、自端末の2つの分割ネットワークID‘A’、‘B’のうち、受信した隣接確認パケットのネットワーク識別子31=‘B’とは異なる方の分割ネットワークID=‘A’を付加した隣接応答パケット、すなわち隣接応答パケット(A)を、生成・送信する。
【0137】
図上左側の無線端末10(詳細)は、上記隣接確認パケット(B)に対して隣接応答パケット(A)が返信されてきた(“A待ち”状態でAが返信されてきた)ことを以って、通信相手を自端末と同じグループに属する隣接無線端末と判定して登録する。そして、例えば構成情報に反映させることになる。尚、各パケットのフレームフォーマットは、図4に示す例であり、受信パケットの送信元無線機識別子33を、隣接無線端末として登録することになる。
【0138】
次に、図11には、本例の無線端末10(詳細)と既存の無線端末(簡易)との隣接確認処理シーケンスを示す。尚、図では、図上右側の無線端末10(詳細)のみがID通知信号Rnoを定周期で送信しているが、図示していないだけであり図上左側の無線端末(簡易)もID通知信号Rnoを定周期で送信している。勿論、無線端末10(詳細)は、上記Rno(A)とRno(B)とを交互に送信している。
【0139】
図示の例では、図上左側の無線端末(簡易)は、上記通常状態のときに任意のタイミングで隣接確認モードとなり、このモードのときに自端末のネットワークID(=‘A’)と同じネットワーク識別子31が付加されたID通知信号Rnoを受信したら、自端末のネットワークID(=‘A’)を付加した隣接確認パケット(A)を送信する。そして、自端末のネットワークID(=‘A’)と同じネットワーク識別子31が付加された隣接応答パケット(A)が返信されてくるのを待つ(“A待ち”の状態となる)。
【0140】
図11の図上右側の無線端末10(詳細)は、上記図10の図上右側の無線端末10(詳細)と同様、隣接確認パケットが返信されてきた場合には、対応する隣接応答パケットを生成・送信する。すなわち、自端末の2つの分割ネットワークID‘A’、‘B’のうち、受信した隣接確認パケットのネットワーク識別子31=‘A’とは異なる方の分割ネットワークID=‘B’を付加した隣接応答パケット、すなわち隣接応答パケット(B)を、生成・送信する。
【0141】
勿論、図10の場合と同様、隣接確認パケット受信時に隣接登録を行うか否かの判定も行っている。この場合、Rno(A)に対して隣接確認パケット(A)が返信されてきた(“B待ち”状態でAが返信されてきた)ことを以って、通信相手は自端末と同グループではないと判断して、通信相手は隣接無線機として登録しない。
【0142】
一方、上記“A待ち”の状態となっている図上左側の無線端末(簡易)も、隣接応答パケット(B)が返信されてくることで、通信相手は同じグループでは無いものと判定し、隣接登録は行わずに、本処理を終了する。
【0143】
従来の既存の無線端末は、自端末のネットワークID‘A’と同じネットワーク識別子が付加されたRnoであるRno(A)を受信した時点で、通信相手は自端末と同グループであると判断して、通信相手を隣接無線機として登録していた。この為、図11に示す例では、図上左側の無線端末(簡易)は、図上右側の無線端末10(詳細)を誤って隣接無線機として登録してしまう。
【0144】
この為、本手法では、既存の無線端末(簡易)を多少改造して(現地で作業員等がプログラム更新して)、図11に示すシーケンスを実現する処理を実行させる。すなわち、任意のときに上記隣接確認モードとなったら、この隣接確認モード中にRno(B)等の自端末のネットワークID‘A’とは異なるRnoを受信した場合には何も実行せず、Rno(A)を受信した場合には、隣接確認(A)を送信して“A待ち"(隣接応答(A)待ち)となる。よって、隣接応答(A)が返信されてきた場合には、通信相手を隣接無線機として登録する。図11の例では、“A待ち"(隣接応答(A)待ち)に対して隣接応答(B)が返信されてくるので、登録は行われない。尚、隣接無線機は、自端末と同じグループで且つ直接無線通信可能な無線端末である。
【0145】
図12は、上記分割ネットワーク識別子の生成方法の一例を示す図である。
分割ネットワーク識別子の生成方法は、様々であってよく、例えば、48ビットを上位側24ビット、下位側24ビットに分けることが一案として考えられる。この場合、例えば上位側24ビットを上記分割ネットワーク識別子‘A’、下位側24ビットを上記分割ネットワーク識別子‘B’とすることになる。しかし、この場合、分割ネットワーク識別子‘A’は、殆ど変化しないことになる(多くの無線端末10で同じ値となる)。
【0146】
これに対して、例えば図12に示すように、例えば48ビットの分割ネットワーク識別子全体を、数ビットずつ(2ビット、4ビット等)分割して、交互に図示の白側と黒側とに区別する。そして、例えば、白側を全てまとめて上記分割ネットワーク識別子‘A’とし、黒側を全てまとめて上記分割ネットワーク識別子‘B’とする。
【0147】
尚、更に、分割ネットワーク識別子‘A’と‘B’とを区別する為の情報を最上位ビットに付加するようにしてもよい。図示の例では最上位ビットは、分割ネットワーク識別子‘A’は1、分割ネットワーク識別子‘B’は0となっている。
【0148】
この様にすることで、分割ネットワーク識別子‘A’、‘B’の両方とも下位側(特に最下位に近い)ビットを含むので、殆ど変化しないような事態は起こらないようにできる。
【0149】
尚、本例の無線端末10(詳細)は、特に図示しないが、下記の各種処理機能部を有するものと考えることもできる。尚、下記の各種処理機能部は、上記通信制御部13(例えばメモリ等を備えるCPU/MPU等)が、予めメモリ等に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。
【0150】
すなわち、まず、所定周期で間欠的にID通知信号を無線送信する機能部であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号に上記ネットワーク識別子31として付加して無線送信するID通知部を有する。
【0151】
そして、データ受信側としての無線端末10においては、以下の第1判定部とデータ送信部を有すると見做すことが出来る。
すなわち、任意のデータの送信要因が発生した後、他の無線端末から無線送信されてくるID通知信号を受信すると、該ID通知信号に付加されているネットワーク識別子31が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した送信要求を無線送信し、他の無線端末から該送信要求に応じた送信要求応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第1判定部を有する。
【0152】
そして、該第1判定部によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された他の無線端末に対して、任意のデータを無線送信するデータ送信部を有する。
また、データ受信側としての無線端末10においては、上記ID通知部に加えて、以下の第2判定部と確認応答部を有すると見做すことが出来る。
【0153】
すなわち、上記ID通知部によって送信したID通知信号に対して他の無線端末から上記送信要求の返信があった場合、該送信要求に付加されるネットワーク識別子が、該送信したID通知信号に付加しなかった方の分割ネットワークIDと一致する場合には(例えばRno(B)送信の場合には送信要求のネットワーク識別子=‘A’である場合には)、当該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第2判定部を有する。
【0154】
更に、この第2判定部によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された場合には、上記送信要求に対応する上記送信要求応答を送信する確認応答部を有する。送信要求に対応する送信要求応答とは、例えば送信要求Sreq(A)に対しては送信要求応答Rack(B)、送信要求Sreq(B)に対しては送信要求応答Rack(A)となる。つまり、‘A’受信に対しては‘B’送信、‘B’受信に対しては‘A’送信となる。
【0155】
また、無線端末10は、上記データ送受信に係る処理機能以外にも、例えば、隣接無線機登録に係る以下の処理機能も備えていても良い。
すなわち、無線端末10は、例えば、所定のモード中に他の無線端末から送信された上記ID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されている上記ネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して上記一致する分割ネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第1の隣接無線機登録部を更に有するものであってもよい。
【0156】
また、無線端末10は、例えば、以下の第3判定部、第2の隣接無線機登録部、隣接応答部を備えていても良い。
第3判定部は、上記ID通知部によって送信したID通知信号に対して他の無線端末から上記隣接確認の返信があった場合、該隣接確認に付加されているネットワーク識別子が、ID通知信号に付加しなかった方の自端末の分割ネットワークIDと一致するか否かを判定する。
【0157】
第2の隣接無線機登録部は、該第3判定部によって一致すると判定された場合には、上記隣接確認を返信してきた他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する。
【0158】
隣接応答部は、上記第3判定部による判定結果に関係なく、隣接確認に付加されているネットワーク識別子と一致しない自端末の分割ネットワークIDを、ネットワーク識別子として付加した上記隣接応答を送信する。
【0159】
あるいは、隣接応答部は、上記第3判定部によって一致しないと判定された場合には、上記隣接応答は送信しないようにしてもよい。この場合、第1の隣接無線機登録部は、隣接応答が返信されてこない場合には、隣接無線機ではないと判定することになる。尚、この場合には「該第3判定手段によって一致すると判定された場合には、前記隣接確認に付加されているネットワーク識別子と一致しない自端末の分割ネットワークIDを、ネットワーク識別子として付加した前記隣接応答を送信する隣接応答部」などとなる。
【0160】
また、例えば、従来の既存の無線端末(簡易)に、所定のモード中に他の無線端末から送信されたID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されているネットワーク識別子が、自端末のネットワークIDと一致するか否かを判定し、一致する場合には、自端末のネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して該自端末のネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第3の隣接無線機登録部を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0161】
10 無線端末
11 アンテナ
12 無線送受信回路
13 通信制御部
14 電源回路
20 データ処理装置
30 パケット
31 ネットワーク識別子
32 あて先無線機識別子
33 送信元無線機識別子
34 コマンド・データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1等に記載の無線通信ネットワークシステムが提案されている。
図13(a)に、従来の特許文献1等に記載の無線通信ネットワークシステム全体の構成の一例を示す。
【0003】
同図において、A〜Jは分散設置された無線端末を示す。自らが直接通信可能な距離は一般に有限であるので、各無線端末A〜Jはシステムを構成する全ての無線端末とは直接通信することはできない。しかしながら、各無線端末A〜Jは全て1台以上の無線端末と直接通信することは可能であり、他の無線端末を経由することでシステムを構成する全ての無線端末との通信を可能としている。
【0004】
各無線端末A〜Jは、それぞれ、存在通知パケット、通信診断パケット等を相互に送受信して通信路の信頼性を診断することで、例えば図13(b)に示すような構成情報を生成・記憶する。
【0005】
図13(b)に示す構成情報は、無線端末Aが生成・記憶する構成情報の一例であり、無線端末Aの送信するパケットが着信先の無線端末に到達するまでになされる通信回数と、その通信回数を最小通信回数として到達する着信先の無線端末との関係を示している。同図から、例えば、無線端末Aが1回の通信でパケットを転送可能な無線端末(つまり、無線端末Aが直接通信可能な無線端末)は、無線端末B、C、Dであることが分かる。また、無線端末E,F,G,H,I,Jは、無線端末Aが直接通信できない無線端末であり、他の無線端末が中継することで(複数回の通信で)、パケットを転送可能な無線端末であることが分かる。そして、他の無線端末が中継することでパケットを転送するために、無線端末E,Fは少なくとも2回の通信を要し(中継回数1回以上)、無線端末G、H、Iは少なくとも3回の通信を要し、無線端末Jは少なくとも4回の通信を要することがわかる。
【0006】
更に、各無線端末は、例えば図13(b)のような自端末の構成情報に基づいて、少なくとも自端末が直接通信できる他の無線端末(以下、隣接する無線端末という場合もある)の構成情報を、当該隣接する各無線端末に要求して取得して記憶する。
【0007】
図13(c)には、一例として、無線端末Aが取得・記憶する、隣接する各無線端末の構成情報の一例を示す。
無線端末Aは、図13(b)に示す自端末の構成情報の他に、図13(c)に示す隣接無線端末B、C、Dの構成情報をも記憶・管理することになる。以下、これらをまとめて構成情報と呼ぶ場合もある。そして、無線端末Aは(勿論、他の各無線端末も)、構成情報を参照して、パケットの送出先を決定する。
【0008】
一例として、無線端末Aが無線端末Eを宛先とするパケットを送出する場合を考える。図13(c)を参照すると、無線端末Eへパケットを転送するためには、無線端末Bからは1回の通信で転送可能であることがわかる。同様に、無線端末Cからは1回、無線端末Dからは2回の通信で転送可能であることがわかる。このことにより、無線端末Aは、着信先が無線端末Eであるパケットを無線端末BまたはCのいずれかに送出する。無線端末BまたはCは、このパケットを中継し、これにより当該パケットは1回の中継で無線端末Eへ届くことになる。
【0009】
ここで、上記特許文献1の“発明が解決しようとする課題”に記載のように、各無線端末を識別する為のID(端末IDというものとする)として任意の論理番号が各無線端末に割り当てられている。製造番号のように一意に識別できるものは、情報量が多すぎるので端末IDとして用いずに、(情報量が少ない)任意の論理番号を端末IDとして用いる。また、この様な端末IDだけでなく、ネットワークIDも用いることも記載されている。
【0010】
すなわち、例えば図14のように、1つの無線通信ネットワークシステム(任意のグループC)を構築し、このグループ内の各無線端末同士は、直接または他の1以上の無線端末を介して、通信を行うことができる。ここで、図14のように、その近傍に他の無線通信ネットワークシステム(他のグループD)を構築した場合、この2つのグループが1つの無線通信ネットワークシステムとして動作することになってしまう可能性があった。
【0011】
この様な事態を防止する為に、各グループ毎に上記ネットワークIDを割り当てることで、ネットワークIDが異なる無線端末同士は、通信を行わないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−28170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、従来、上記ネットワークIDの桁数は、24ビットであり、約1700万通りのネットワークIDを構成できた。
しかしながら、近年、1700万通りであっても足りなくなる可能性があり、同じ番号のネットワークIDを重複して発行した場合、上記2つのグループが1つになってしまう問題が起こる可能性がある。
【0014】
これに対して、単純に、ネットワークIDの桁数を増やすという対応策が考えられる。例えば、倍の48ビットとした場合には、約70兆通りとなり、不足する可能性は殆どないことになる。
【0015】
しかしながら、この場合、当然、ネットワークIDに係る情報量が増えることになる。
ここで、上記特許文献1等に記載のような従来の無線通信ネットワークシステムでは、各無線端末は定期的に(例えば3秒毎に)、自端末の端末IDとネットワークIDを含むパケットを送信している。この為、ネットワークIDの桁数を増やすと(例えば48ビット等とすると)、送信する情報量が増えてしまう。送信パケットのデータ量が増えれば、電力消費量も増え、上記のように頻繁に(例えば3秒毎に)送信する為に、電池消耗に係る影響は少なくない(電池寿命が短くなってしまう)。
【0016】
尚、上記各無線端末の電源は、搭載している電池(一次電池)であり、電池交換することなく長期間動作すること等が求められている。
この様に、ネットワークIDの桁数を増やすという対応策をとる場合、上述した問題が生じることになる。
【0017】
本発明の課題は、ネットワークIDを用いる無線通信ネットワークシステムにおいて、ネットワークIDの桁数を増やしても、送信データ量は変わらないようにでき、以って電池寿命が短くならないようにできる無線通信ネットワークシステム、その無線端末等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の無線通信ネットワークシステムの無線端末は、無線通信ネットワークシステムを構成する無線端末であって、自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する無線端末において、所定周期で間欠的にID通知信号を無線送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段と、任意のデータの送信要因が発生した後、他の無線端末から無線送信されてくる前記ID通知信号を受信すると、該ID通知信号に付加されているネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した送信要求を無線送信し、前記他の無線端末から該送信要求に応じた送信要求応答が返信されてきた場合には該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第1判定手段と、該第1判定手段によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された前記他の無線端末に対して、前記任意のデータを無線送信するデータ送信手段とを有する。
【0019】
また、上記無線端末において、例えば、前記ID通知手段によって送信した前記ID通知信号に対して他の無線端末から前記送信要求の返信があった場合、該送信要求に付加される前記ネットワーク識別子が、該送信したID通知信号に付加しなかった方の分割ネットワークIDと一致する場合には、該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第2判定手段と、該第2判定手段によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された場合には、前記送信要求に対応する前記送信要求応答を送信する確認応答手段とを更に有する。
【0020】
例えば、上記ネットワークIDが48ビットであったとしても、例えばこれを均等に2分割して成る2つの分割ネットワークIDは、それぞれ、24ビットとなり、従来のネットワークIDと変わらないことになる。そして、各種パケットにネットワーク識別子として付加するのは、2つの分割ネットワークIDの何れか一方とする(ID通知信号の場合は交互に用いる)。よって、ネットワークIDの桁数が増えても、パケットのデータ量が変わらず、電力消費量が増大することはない。
【0021】
2つの分割ネットワークIDを用いて上記処理を行うことで、直接的に無線通信を行う2つの無線端末間で相互に、通信相手のネットワークIDが自端末のネットワークIDと同一であるか否かを確認できる。
【0022】
また、本発明の無線通信ネットワークシステムの無線端末は、無線通信ネットワークシステムを構成する無線端末であって、自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する無線端末において、所定周期で間欠的にID通知信号を無線送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段と、所定のモード中に他の無線端末から送信された前記ID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されている前記ネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して前記一致する分割ネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第1の隣接無線機登録手段とを有する。
【0023】
また、上記無線端末において、例えば、前記ID通知手段によって送信した前記ID通知信号に対して他の無線端末から前記隣接確認の返信があった場合、該隣接確認に付加されているネットワーク識別子が、前記ID通知信号に付加しなかった方の自端末の分割ネットワークIDと一致するか否かを判定する第3判定手段と、該第3判定手段によって一致すると判定された場合には、前記隣接確認を返信してきた他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第2の隣接無線機登録手段と、該第3判定手段によって一致すると判定された場合には、前記隣接確認に付加されているネットワーク識別子と一致しない自端末の分割ネットワークIDを、ネットワーク識別子として付加した前記隣接応答を送信する隣接応答手段とを更に有するようにしてもよい。
【0024】
このようにして、分割ネットワークIDを用いて、隣接確認・登録の処理を問題なく行うこともできる。
また、例えば、既存の無線端末に、所定のモード中に他の無線端末から送信された前記ID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されている前記ネットワーク識別子が、自端末のネットワークIDと一致するか否かを判定し、一致する場合には、自端末のネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して該自端末のネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第3の隣接無線機登録手段を設けるようにしてもよい。
【0025】
このようにすることで、たとえば24ビットのネットワークIDを有する既存の無線端末が、例えば48ビットのネットワークIDを有する本発明の無線端末を、誤って隣接無線機と見做して登録してしまう事態が生じないようにできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の無線通信ネットワークシステム、その無線端末等によれば、ネットワークIDを用いる無線通信ネットワークシステムにおいて、ネットワークIDの桁数を増やしても、送信データ量は変わらないようにでき、以って電池寿命が短くならないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本例の無線端末の構成例である。
【図2】本例の無線端末間の間欠通信方法を示す図である。
【図3】図2に示す間欠通信方法について更に詳細に示す図である。
【図4】無線通信パケットのフレームフォーマットを示す図である。
【図5】既存の無線端末の処理フローチャート図である。
【図6】本例の無線端末の処理フローチャート図である。
【図7】(a)は既存の無線端末同士、(b)は本例の無線端末同士のアクセスシーケンス例である。
【図8】(a)、(b)は、本例の無線端末と既存の無線端末とのアクセスシーケンス例(その1)、(その2)である。
【図9】本例の無線端末を既存システムに組み込む場合のアクセスシーケンス例である。
【図10】隣接確認処理について説明する為の図(その1)である。
【図11】隣接確認処理について説明する為の図(その2)である。
【図12】分割ネットワーク識別子の生成方法の一例を示す図である。
【図13】(a)〜(c)は、無線通信ネットワークシステム全体の構成と構成情報の一例を示す図である。
【図14】2つのグループが1つの無線通信ネットワークシステムとして動作する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1に、本例の無線通信ネットワークシステムにおける無線端末の構成例を示す。
図2には、本例の無線通信ネットワークシステムにおける無線端末間の間欠通信方法を示す図である。
【0029】
また、図3は、図2に示す間欠通信方法について更に詳細に示す図である。
また、図4には、無線端末間での無線通信パケットのフレームフォーマットを示す図である。
【0030】
尚、上記図1〜図4に示す端末構成、通信方法、パケットフォーマット等自体は、上記特許文献1等に示す従来の無線通信ネットワークシステムにおける端末構成、通信方法、パケットフォーマット等と略同様であってよく、ここでは簡単に説明するものとする。
【0031】
まず、図1に示す無線端末の概略的構成例について説明する。
図1に示す無線端末10は、アンテナ11と、無線送受信回路12、通信制御部13、電源回路14等を有する。アンテナ11と無線送受信回路12によって、他の無線端末10と無線通信を行い、所定の信号の送受信や任意のデータ送受信を行う。無線通信距離が短い為、上記従来例で説明したように、直接無線通信できない他の無線端末10とのデータ送受信の際には、別の1または複数の無線端末10によってデータを中継してもらう必要がある。また、無線端末10は、上位装置であるデータ処理装置20に接続してデータ処理装置20との有線でのデータ送受信を行うこともできる。
【0032】
無線送受信回路12は、例えば、特許文献1に示す無線送信回路13aと無線受信回路14a等に相当する。
電源回路14は、不図示の電池を含むものであり、無線送受信回路12や通信制御部13等に電力供給する。上記した本発明の解決すべき課題で述べた通り、ネットワークIDを増やしても電池の消耗を早めないようにすることが望まれる。
【0033】
通信制御部13は、例えばメモリ等を備えるCPU/MPU等を含んで構成されるものであり、後述する図6等の処理は、CPU/MPU等が予めメモリ等に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。また、このメモリには、上記図13(b)、(c)等に示す構成情報等も記憶される。また、上記メモリ等には、自端末に予め任意に割り当てられている端末識別ID(無線機識別子)と、自端末が属するグループ(無線通信ネットワークシステム)を示すユニークなネットワークIDとが、予め(例えば設置の際の初期登録作業等で)登録・記憶されている。
【0034】
既に従来技術等で述べた通り、端末識別ID(無線機識別子)自体は、複数の無線端末で重複して登録される場合が有り得る(勿論、同じグループ内では重複しないようにするが、任意のグループに属する無線端末10の端末識別IDと同じ端末識別IDを持つ無線端末10は、他のグループには存在する可能性がある)。
【0035】
これにより、各無線端末10は、端末識別IDだけでなくネットワークIDも用いて、他の無線端末10を識別しており、基本的には自端末が属するグループと同じグループに属する他の無線端末10とのみ、データ送受信を行う。換言すれば、そのネットワークIDが自端末のネットワークIDと同一である他の無線端末10とのみ、データ送受信を行う。
【0036】
尚、従来より本例に係る無線通信ネットワークシステムは、例えば上記特許文献1等に記載のように、通信相手が自端末と同じグループであっても、構成情報に基づいて判断されるデータ送信先(データ中継先)ではない場合には、データ送受信は行わない。本説明では、この点については逐一言及しないが、構成情報に基づいてデータ送信先(データ中継先)を判断することは、従来と同様に行っていると考えて良い。但し、この例に限るものではない。
【0037】
図1に示す構成自体は、従来の既存の無線端末と略同様であってよいが、通信制御部13による処理やメモリに格納されるデータは従来とは異なる。後に詳しく説明するが、本例において各無線端末10に割り当てられてそのメモリ等に記憶されるネットワークIDは、その桁数が従来よりも増えている。ここでは、従来では24ビットであったのに対して、48ビットとしているが(従来の倍)、この例に限らない。そして、従来と同様に送信パケットには自己のネットワークIDを付加するが、48ビット全てではなく、例えば半分ずつ(24ビット)としている。
【0038】
すなわち、自己のネットワークIDを分割して複数の分割ネットワークIDを生成し、送信パケットには複数の分割ネットワークIDの何れか1つを付加する。従って、1つのパケットのデータ量は、従来と変わらない。特に、後述する定周期で送信するID通知信号(Rno)の場合、当該ID通知信号(Rno)に付加するネットワーク識別子は、複数の(ここでは2つの)分割ネットワークIDを交互に付加するようにする。詳しくは後述する。
【0039】
尚、後述する従来の既存の無線端末の構成は、上記の通り図1と略同様であってよく、後述する図5等の処理は、CPU/MPU等が予めメモリ等に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。
【0040】
次に、図2を参照して、無線端末間の間欠通信方法について説明する。
尚、図2、図3等は、直接的に無線通信可能な無線端末(隣接無線端末)同士の無線通信動作を示すものである。
【0041】
上記特許文献1等にも記載の通り、各無線端末10は、定周期で(例えば3秒毎に)間欠的に所定のパケット(ID通知信号;図2ではRnoと記す)を送信している。このID通知信号(Rno)には、少なくとも送信元の無線端末10の無線機識別子(上記端末IDに相当)と、当該無線端末10が属するグループ(ネットワークシステム)のネットワーク識別子(従来ではネットワークIDであるが、本手法では後述する分割ネットワークID))とが含まれている。また、この様なID通知信号(Rno)に限らず、他の何らかの信号(パケット)を送信する場合にも、基本的には図4に示すように、少なくとも送信元の無線端末10の無線機識別子とネットワーク識別子が含まれている。
【0042】
図2に示すように、無線端末10は、上記ID通知信号(Rno)を送信後に短い受信待ち状態となっている。
ここで、無線端末10は、上記ID通知信号(Rno)のようなパケット以外にも、後述する送信要求Sreq、送信要求応答Rack、データ応答Dack、データ(Data)、隣接確認、隣接応答等の各種パケットを送受信する。
【0043】
図4は、この様なパケットのフレームフォーマット例である。
図示のパケット30は、ネットワーク識別子31、あて先無線機識別子32、送信元無線機識別子33、コマンド・データ34等より成る。
【0044】
ネットワーク識別子31は、このパケット30の送信元の無線端末10が属するグループ(ネットワークシステム)の上記ネットワークID等である。但し、パケット送信の際、従来の既存の無線端末の場合は、自端末のネットワークIDをそのままネットワーク識別子31とするが、本例の無線端末10の場合は、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDのうちの1つを、ネットワーク識別子とする。詳しくは後述する。
【0045】
あて先無線機識別子32は、このパケット30の送信先の無線端末10の無線機識別子(端末識別ID)である。但し、特にあて先が無いパケット30(上記ID通知信号(Rno)等)もある。
【0046】
送信元無線機識別子33は、このパケット30の送信元の無線端末10の無線機識別子(端末識別ID)である。
コマンド・データ34は、任意のコマンド/データ等であり、ここでは特に説明しないが、例えば上記Rno、Sreq、Rack、Dack等であり、受信側の無線端末は、受信パケットのコマンド・データ34が例えばRnoであった場合には、当該受信パケットが上記ID通知信号であると認識することになる。
【0047】
ここで、任意のデータ送信イベント(自端末のデータ送信、または他の無線端末10から受信したデータの転送(中継))が発生した無線端末10(図2に示すデータ送信側)は、図2に示すRno待ち連続受信待ち状態になる。尚、図示の通り、データ送信側も、通常時は図示のデータ受信側と同様に上記間欠的なID通知信号Rnoの送信処理を行っている。尚、図示のデータ受信側は、上記データ送信イベントが発生していないときの無線端末10である。勿論、図示のデータ受信側も、任意のデータ送信イベント発生時にはデータ送信側として動作するので、まずRno待ちの連続受信待ち状態となる。
【0048】
無線端末10は、上記Rno待ち連続受信待ち状態中に他の無線端末10からのID通知信号Rnoを受信すると、所定の応答を返信することでリンク確立し、データ送信(中継データの転送等)を行うことになる。
【0049】
但し、従来では、受信したID通知信号Rnoに含まれるネットワーク識別子31が、自端末のネットワークIDと同一ではない場合、すなわち通信相手が自己と同一のグループ(同じネットワークシステム)ではない場合には、上記リンク確立やデータ送信の処理は行われない。
【0050】
本例の無線端末10も、通信相手が自端末と同一のグループ(同じネットワークシステム)であるか否かを判定し、同一グループではない場合にはその後のリンク確立やデータ送信の処理は行わないようにする点では、従来と略同様である。但し、同一グループであるか否かの判定処理が、従来とは異なる。つまり、本手法では、ID通知信号Rno等のパケットに含まれるネットワーク識別子31は、端末のネットワークIDそのものではなく、ネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDの何れかとなる。本手法では、この様なネットワーク識別子31を用いて、通信相手が自端末と同一のグループであるか否かを判定する。詳しくは後述する。
【0051】
ここで、上記リンク確立やデータ送信の処理の詳細について、図3を参照して説明する。尚、図3に示すシーケンス自体は、従来と略同様であってよい。
尚、図3では受信側と送信側が図2とは逆になっている。すなわち、図3では、図上上側が受信側無線機、下側が送信側無線機となっている。勿論、これは既に述べた通り、何らかのデータ送信イベントが発生した無線端末10が、送信側無線機となるだけの話である。既に述べた通り、無線端末10は基本的に、通常時は(データ送信イベント等の何らかのイベント発生時等を除いては)、ID通知信号Rnoを定周期で間欠的に送信している。
【0052】
無線端末10は、上記図2で説明した通りID通知信号Rnoを送信後に短い受信待ち状態となり、これは図3における送信要求受信待ち状態に相当する。
無線端末10は、データ送信イベント等が発生していないときに(通常時に)他の無線端末10からのID通知信号Rnoを受信しても、基本的には図示のように何も行わない(但し、後述するように隣接確認して隣接無線機登録(上記構成情報の更新)を行う場合もある)。よって、図示の送信側無線機も、図示のデータ送信要因発生の前には、図示のように受信側無線機からのID通知信号Rnoを受信しても何も行わない。
【0053】
無線端末10は、任意のタイミングで何らかのデータ送信要因が発生すると、送信側無線機として動作することになり、図示の無線機識別子受信待ち状態(上記Rno待ち連続受信待ち状態に相当;図上、αと記す;以下、連続受信待ち状態αと記す場合もある)となる。
【0054】
送信側無線機としての無線端末10(以下、単に送信側無線機と記す)は、上記連続受信待ち状態αで他の無線端末10からのID通知信号Rnoを受信すると、図示の送信要求(Sreq)を返信すると共に図示の送信要求応答受信待ち状態となる。
【0055】
受信側無線機としての無線端末10(以下、単に受信側無線機と記す)は、上記送信要求受信待ち状態で送信要求(Sreq)を受信すると、図示の送信要求応答(Rack)を返信すると共に図示のデータ受信待ち状態となる。
【0056】
送信側無線機は、上記送信要求応答受信待ち状態で上記送信要求応答(Rack)を受信すると、上記発生したイベントに係わるデータ(Data)を送信すると共に図示のデータ応答受信待ち状態となる。
【0057】
受信側無線機は、上記データ受信待ち状態で任意のデータ(Data)が送られてくると、このデータ(Data)をメモリ等に記憶し、このデータ(Data)全てを正常に受信・記憶完了した場合には、図示のデータ応答(Dack)を返信する。
【0058】
送信側無線機は、上記データ応答受信待ち状態で上記データ応答(Dack)を受信すると、データ(Data)を正常に送信(転送等)できたことを確認でき、以ってデータ送信完了とする。
【0059】
ここで、上記データ(Data)だけでなく、上記送信要求(Sreq)、送信要求応答(Rack)、データ応答(Dack)等のパケットにも、上記図4のフォーマットにより送信元の無線機識別子33やネットワーク識別子31等が含まれている。
【0060】
従来の既存の無線端末における上記図3の処理では、随時、受信したパケット中のネットワーク識別子31を参照して、これが自己のネットワークIDと同一であるか否かをチェックすることで、パケット送信元が自端末と同じグループであるか否かをチェックし、もし異なるのであれば応答等は行わない。本例の無線端末10の場合、パケット中のネットワーク識別子31には上記「分割ネットワークID」が格納されるので、同じグループか否かのチェック処理は、従来とは異なるが、これについては後に図6等を参照して説明する。
【0061】
何れにしても、図3に示す例は、送信側無線機と受信側無線機とが同じグループに属する場合のシーケンスを示しているものと言うこともできる。
ここで、上述した通り、本例において各無線通信ネットワークシステム(各グループ)毎に割り当てられるネットワークIDは、従来では24ビットであったのに対して、本例では例えば48ビットとしている。但し、パケットにはネットワークIDの半分(24ビット)のみ付加する。すなわち、既に簡単に述べたように本手法では、ネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを用いて、パケットにはネットワークIDではなく分割ネットワークIDを付加する。尚、本例ではネットワークIDを2分割して成る2つの分割ネットワークIDを用いるものとするが、この例に限らない。
【0062】
この例では、各パケット30のネットワーク識別子31は、従来でも本例でも24ビットとなる。
ここで、仮に、従来の24ビットのネットワークIDをネットワークID=‘A’と表記するものとし、本例の48ビットのネットワークIDをネットワークID=“‘A’+‘B’”と表記するものとする。そして、上記2つの分割ネットワークIDは、分割ネットワークID=‘A’と分割ネットワークID=‘B’と表記するものとする。
【0063】
つまり、ネットワーク識別子31には、‘A’と‘B’の何れかが格納されることになる。
ここで、本例の無線端末10(48ビットのネットワークIDを持つ)を複数台用いて任意の場所に任意の無線通信ネットワークシステム(1つのグループ)を構築した場合に、その近傍に既に既存の無線端末(24ビットのネットワークIDを持つ)を複数台用いた既存の無線通信ネットワークシステムが構築されているような事態は、充分に起こり得ることである。従って、本例の無線端末10同士の通信で同一グループか否かをチェックするだけでなく、本例の無線端末10と既存の無線端末との通信で同一グループか否かをチェックすることを、例えば図3に示す通信シーケンスに従って行われるようにする。
【0064】
そして、当然、同一のグループか否かについて誤判定することが無いようにすることが望まれる。特に、例えば既存の無線端末が上記ネットワークID=‘A’であり本例の無線端末10が上記ネットワークID=“‘A’+‘B’”である場合のように、既存のネットワークID=‘A’が2つの分割ネットワークIDのうちの一方と同一であるような場合でも、同一のグループか否かについて誤判定することが無いようにすることが望まれる。
【0065】
ここで、上記の様な表記を用いて、図5、図6に、無線端末の処理フローを示す。
図5は、既存の無線端末の処理フローチャート図である。
図6は、本例の無線端末10の処理フローチャート図である。
【0066】
まず、図5を参照して従来例について説明する。図5(a)はデータ受信側無線端末としての処理フローであり、図5(b)はデータ送信側無線端末としての処理フローである。換言すれば、図5(b)は図3に示すデータ送信要因発生後の処理フローチャート図である。尚、データ受信側無線端末、データ送信側無線端末の両方とも、そのネットワークIDは‘A’であるものとする(つまり、同じグループに属するものとする)。
【0067】
以下、まず、図5(a)を参照してデータ受信側の処理について説明する。
図5(a)において、データ受信側無線端末は、上記の通り定周期でID通知信号Rnoを送信すると共に短時間の送信要求受信待ち状態となる(ステップS11)。尚、このID通知信号Rnoには、自端末のネットワークID=‘A’が付加されている。
【0068】
そして、送信要求受信待ち状態中に上記送信要求(Sreq)を受信しなかったならば(ステップS12、NO)、ステップS11に戻り、次のID通知信号Rno送信を行うことになる。送信要求受信待ち状態中に上記送信要求(Sreq)を受信した場合には、そのネットワーク識別子31が自端末のネットワークIDと同じ‘A’であるか否かをチェックし、同じではない(‘A’ではない)場合にもステップS12の判定はNOとなる。
【0069】
尚、上記説明では送信要求受信待ち状態について言及したが、図3で説明した各種の受信待ち状態に関しては、これ以降は特に言及せずに省略して説明する場合もあるものとする。
【0070】
受信した送信要求(Sreq)のネットワーク識別子31が自端末のネットワークIDと同一(‘A’)である場合には(ステップS12,YES)、自端末のネットワークID=‘A’を付加した送信要求応答(Rack)を送信し(ステップS13)、通信相手からデータ(Data)が送信されてくるのを待つ。
【0071】
データ(Data)が送信されてこなかった場合、または受信したデータ(Data)のネットワーク識別子31が自端末のネットワークIDと同じ(‘A’)ではなかった場合には(ステップS14、NO)、ステップS11に戻る。
【0072】
尚、ネットワークIDの付加とは、ネットワークIDをネットワーク識別子31に格納することを意味する。
そのネットワーク識別子31が自端末のネットワークIDと同じ(‘A’)であるデータ(Data)を受信した場合には(ステップS14,YES)、自端末のネットワークID=‘A’を付加したデータ応答(Dack)を送信すると共に(ステップS15)、データ受信処理(受信したデータ(Data)の解析処理等)を行う(ステップS16)。これによって、例えば、受信したデータ(Data)を更に他の無線端末に転送する処理等が行われることになる。
【0073】
次に、図5(b)を参照してデータ送信側の処理について説明する。
図5(b)において、上記連続受信待ち状態αとなっている無線端末であるデータ送信側無線端末は、上記ID通知信号Rnoを受信すると、そのネットワーク識別子31が、自端末のネットワークID=‘A’と同一であるか否かをチェックし、異なる場合には(ステップS21、NO)、受信したID通知信号Rnoを破棄する等して、次のID通知信号Rnoを受信するのを待つ。
【0074】
一方、受信したID通知信号Rnoのネットワーク識別子31が、自端末のネットワークID=‘A’と同一である場合には(ステップS21,YES)、自端末のネットワークID=‘A’を付加した送信要求(Sreq)を送信する(ステップS22)。
【0075】
そして、上記送信要求応答(Rack)を受信したら、そのネットワーク識別子31が、自端末のネットワークID=‘A’と同一であるか否かをチェックし、異なる場合にはステップS21に戻り、他のID通知信号Rnoの受信を待つ。一方、自端末のネットワークIDと同一のネットワーク識別子31=‘A’を持つ送信要求応答(Rack)を受信した場合には(ステップS23,YES)、データ(Data)送信を行う(ステップS24)。
【0076】
その後、上記データ応答(Dack)を受信したら、そのネットワーク識別子31が、自端末のネットワークID=‘A’と同一であるか否かをチェックし、異なる場合にはステップS21に戻り、同一である場合にはデータ送信処理を正常完了したものとして本処理を終了し、例えば図5(a)の処理へと移行する。
【0077】
尚、既に述べた通り、実際には更に、受信したパケットの送信元無線機識別子33と自端末が保持する構成情報等を参照して、通信相手がデータ転送先であるか否かの判定も行っている。本説明では、この判定は常にOK(データ転送先である)であるものと見做し、その説明は省略するものとする。尚、これは、後述する図6の処理の説明においても同様である。
【0078】
次に、以下、図6を参照して本例の無線端末10の動作について説明する。図6(a)はデータ受信側無線端末としての処理フローであり、図6(b)はデータ送信側無線端末としての処理フローである。換言すれば、図6(b)は図3に示すデータ送信要因発生後の処理フローチャート図である。尚、データ受信側無線端末、データ送信側無線端末の両方とも、そのネットワークIDは“‘A’+‘B’”であるものとする。また、このネットワークID=「‘A’+‘B’」を2つに分割したものを、それぞれ、分割ネットワークID=‘A’、分割ネットワークID=‘B’と記すものとする。
【0079】
以下、まず、図6(a)を参照してデータ受信側の処理について説明する。
図6(a)において、データ受信側の無線端末10は、従来と略同様に定周期でID通知信号Rnoを送信するが(ステップS31)、本例ではID通知信号Rnoのネットワーク識別子31として、上記分割ネットワークID=‘A’と分割ネットワークID=‘B’とを交互に用いる。つまり、定周期で送信するID通知信号Rnoには、分割ネットワークID=‘A’と分割ネットワークID=‘B’とを交互に付加する。
【0080】
尚、ここでは、ネットワーク識別子31として‘A’が付加されたID通知信号RnoをRno(A)、ネットワーク識別子31として‘B’が付加されたID通知信号RnoをRno(B)等と表記するものとする。
【0081】
よって、図示の処理例では、特に応答が無い場合は、図6(a)に示すステップS31でRno(A)を送信し、所定時間後(本例では3秒後とする)にステップS37でRno(B)を送信し、3秒後に再びステップS31でRno(A)を送信し、更に3秒後に再びステップS37でRno(B)を送信する、等という処理を行うことになる。
【0082】
そして、例えば、ID通知信号Rno(A)を送信後の送信要求受信待ち状態中に送信要求(Sreq)を受信したならば、そのネットワーク識別子31が他方の分割ネットワークIDと同一であるか否かをチェックする(ステップS32)。ここで、“他方の分割ネットワークID”とは、上記ステップS31でID通知信号Rnoに付加した分割ネットワークID以外の分割ネットワークIDである。よって、ここでは“他方の分割ネットワークID”は分割ネットワークID=‘B’であり、ステップS32ではネットワーク識別子31が‘B’であるか否かをチェックすることになる。
【0083】
上記送信要求受信待ち状態中に送信要求(Sreq)を受信しなかった場合、または受信した送信要求(Sreq)のネットワーク識別子31が他方の分割ネットワークID=‘B’と同一ではなかった場合には(ステップS32,NO)、そのままステップS37の処理へ移行し、上記の通り今度はID通知信号Rno(B)を送信する。勿論、このRno(B)の送信は、上記ステップS31のRno(A)送信から所定時間後(本例では3秒後)に行われることになる。つまり、定周期でRnoを送信すること自体は従来と略同様であるが、送信する内容が異なることになる。つまり、従来のように自端末のネットワークIDをそのまま付加するのではなく、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に付加している。
【0084】
受信した送信要求(Sreq)のネットワーク識別子31が他方の分割ネットワークID=‘B’と同一である場合には(ステップS32,YES)、続いて、上記ステップS31の場合と同じ分割ネットワークID=‘A’を付加した送信要求応答(Rack)(Rack(A)と記す)を送信する(ステップS33)。
【0085】
その後、そのネットワーク識別子31が上記「他方の分割ネットワークID」=‘B’であるデータ(Data)を受信した場合には(ステップS34,YES)、上記ステップS31の場合と同じ分割ネットワークID=‘A’を付加したデータ応答(Dack)を送信すると共に(ステップS35)、データ受信処理(受信したデータ(Data)の解析処理等)を行う(ステップS36)。これによって、例えば、受信したデータ(Data)を更に他の無線端末に転送する処理等が行われることになる。
【0086】
ステップS37〜S42の処理は、上記ステップS31〜S36の処理と略同様であり、上記ステップS31〜S36の説明におけるAとBとが逆になるだけである。
すなわち、データ受信側の無線端末10は、従来と略同様に定周期でID通知信号Rnoを送信するが(ステップS37)、上記の通り上記ステップS31と当該ステップS37とで分割ネットワークID‘A’‘B’を交互に用いながら(そのネットワーク識別子31を交互に変えながら)ID通知信号Rnoを送信する。よって、ステップS37では、分割ネットワークID=‘B’が付加されたID通知信号RnoすなわちRno(B)を、送信することになる。
【0087】
そして、例えば、上記ID通知信号Rno(B)を送信後の送信要求受信待ち状態中に送信要求(Sreq)を受信したならば、そのネットワーク識別子31が他方の分割ネットワークIDと同一であるか否かをチェックする(ステップS38)。ここで、“他方の分割ネットワークID”とは、上記ステップS37でID通知信号Rnoに付加した分割ネットワークID以外の分割ネットワークIDである。よって、ここでは、受信した送信要求(Sreq)のネットワーク識別子31が‘A’であるか否かをチェックすることになる。
【0088】
上記送信要求受信待ち状態中に送信要求(Sreq)を受信しなかった場合、または受信した送信要求(Sreq)のネットワーク識別子31が他方の分割ネットワークID=‘A’と同一ではなかった場合には(ステップS38,NO)、そのままステップS31の処理へ戻り、再び上記ID通知信号Rno(A)を送信することになる。勿論、このRno(A)の送信は、上記ステップS37のRno(B)送信から所定時間後(本例では3秒後)に行われることになる。
【0089】
受信した送信要求(Sreq)のネットワーク識別子31が他方の分割ネットワーク識別子=‘A’と同一である場合には(ステップS38,YES)、続いて、上記ステップS37の場合と同じ分割ネットワークID=‘B’を付加した送信要求応答(Rack)(Rack(B)と記す)を送信する(ステップS39)。
【0090】
その後、そのネットワーク識別子31が上記「他方の分割ネットワークID」=‘A’と同じであるデータ(Data)を受信した場合には(ステップS40,YES)、上記ステップS37の場合と同じ分割ネットワークID=‘B’を付加したデータ応答(Dack)を送信すると共に(ステップS41)、データ受信処理(受信したデータ(Data)の解析処理等)を行う(ステップS42)。これによって、例えば、受信したデータ(Data)を更に他の無線端末に転送する処理等が行われることになる。
【0091】
上記のように、本例のデータ受信側の無線端末10は、基本的に、自端末のネットワークIDを2分割して成る2つの分割ネットワークIDの何れか一方を付加した何らかのパケットを送信すると、他方の分割ネットワークIDと同じものが付加されたパケットが返信されてくるのを待ち、当該パケットが返信されてきたことを以って通信相手が自端末と同じグループに属することを確認しつつ、処理を進めることになる。但し、図示の例に限らない。例えば、ステップS32またはステップS38の判定がYESとなった時点で、通信相手が自端末と同じグループに属するものと判定し、その後は、特に確認を行わないようにしてもよい。
【0092】
次に、以下、図6(b)を参照してデータ送信側の処理について説明する。
図6(b)の処理は、上記連続受信待ち状態αとなった後の無線端末10の処理である。
【0093】
図6(b)において、上記連続受信待ち状態α中に上記ID通知信号Rnoを受信すると、そのネットワーク識別子31が自端末の分割ネットワークID‘A’‘B’のどちらかであるか、あるいはどちらでも無いのかをチェックする(ステップS51,S56)。すなわち、受信したRnoのネットワーク識別子31が分割ネットワークID=‘A’と同じであるならば(ステップS51,YES)ステップS52へ移行し、分割ネットワークID=‘B’と同じであるならば(ステップS51がNOでS56がYES)ステップS57へ移行し、‘A’‘B’以外(例えば‘C’等)である場合には(ステップS51,S56の両方がNO)返信等を行うことなくステップS51に戻り、次のRno受信を待つ。
【0094】
ステップS52では、他方の分割ネットワークIDを付加した送信要求(Sreq)を送信する。ここで、「他方の分割ネットワークID」とは、自端末の分割ネットワークID‘A’‘B’のうち、受信したRnoのネットワーク識別子31とは異なる方の分割ネットワークIDである。ここでは、受信したRnoはRno(A)であることから、他方の分割ネットワークID=‘B’を付加した送信要求(Sreq(B))を送信する。
【0095】
これに対して、送信要求応答(Rack)の返信が無かった場合、または受信した送信要求応答(Rack)のネットワーク識別子31が上記受信したRnoの場合と同じではなかった場合(つまり、‘A’ではなかった場合)(ステップS53,NO)、応答等は行うことなくステップS51に戻り、次のRno受信を待つ。
【0096】
上記受信したRnoの場合と同じネットワーク識別子31(=‘A’)が付加された送信要求応答(Rack(A))を受信した場合には(ステップS53,YES)、上記送信要求(Sreq(B))の場合と同じ分割ネットワークID(=‘B’)を付加したデータ(Data(B))を送信する(ステップS54)。その後、上記Rnoの場合と同じネットワーク識別子31(=‘A’)が付加されたデータ応答(Dack(A))を受信したら(ステップS55,YES)、データ(Data)送信は正常に完了したものとし、本処理を終了する。Dack(A)を受信しなかったら(ステップS55,NO)、ステップS51に戻り、次のRno受信を待つ。
【0097】
上記の通り、ステップS56がYESの場合には(Rno(B)受信の場合)、ステップS57へ移行するが、ステップS57〜S60の処理は、上述したステップS52〜S55の処理と略同様であり、‘A’と‘B’とが逆になるだけである。
【0098】
すなわち、まず、ステップS57では、受信したRnoはRno(B)であることから、他方の分割ネットワークID=‘A’を付加した送信要求(Sreq(A))を送信する。
これに対して、送信要求応答(Rack)の返信が無かった場合、または受信した送信要求応答(Rack)のネットワーク識別子31が上記Rno(B)の場合と同じではなかった場合(つまり、‘B’ではなかった場合)(ステップS58,NO)、応答等は行うことなくステップS51に戻り、次のRno受信を待つ。
【0099】
上記Rno(B)の場合と同じネットワーク識別子31(=‘B’)が付加された送信要求応答(Rack(B))を受信した場合には(ステップS58,YES)、上記送信要求(Sreq(A))の場合と同じネットワークID(=‘A’)を付加したデータ(Data(A))を送信する(ステップS59)。その後、上記Rno(B)の場合と同じネットワーク識別子31(=‘B’)が付加されたデータ応答(Dack(B))を受信したら(ステップS60,YES)、データ(Data)送信は正常に完了したものとし、本処理を終了する。Dack(B)を受信しなかったら(ステップS60,NO)、ステップS51に戻り、次のRno受信を待つ。
【0100】
尚、図6の処理において、データ受信側は、ステップS32またはS38がYESとなった段階で、通信相手は自端末と同じグループであると見做す。データ送信側は、ステップS53またはS58がYESとなった段階で、通信相手は自端末と同じグループであると見做す。但し、別の無線端末との混信等の可能性を考慮して、その後のステップS34やS40あるいはステップS55やS60等のチェックも行うことが望ましい。
【0101】
図7〜図9に、上述した図5、図6の処理による、隣接する(直接無線通信可能な)無線端末同士のアクセスシーケンス例を示す。
考え得る組み合わせとしては、本例の無線端末10同士、本例の無線端末10と既存の無線端末、既存の無線端末同士がある。尚、図7〜図9や後述する図10、図11においては、既存の無線端末は“簡易”、本例の無線端末10は“詳細”と表記するものとする。
【0102】
尚、図7〜図9において、図上左側をデータ受信側の無線端末、図上右側をデータ送信側の無線端末とする。また、尚、図ではデータ受信側のみがRnoを送信しているが、データ送信側においてもデータ送信イベント発生時以外はRnoを送信しているのであり、図では省略しているだけである。
【0103】
まず、図7(a)に、既存の無線端末同士のアクセスシーケンス例を示す。
尚、図示の例では、2つの無線端末(簡易)は両方ともネットワークID=‘A’であるものとする。
【0104】
同図において、上述した図5(a)のようにデータ受信側の無線端末は定周期で(例えば3秒毎に)上記ID通知信号Rnoを送信する。データ送信側の無線端末は、データ送信イベント発生時以外は、Rnoを受信しても何もしないか、もしくは隣接確認処理を行う。この隣接確認処理は、既存の処理であり、後に図10、図11を参照して簡単に説明するものとし、ここでは特に説明しない。
【0105】
データ送信側の無線端末は、任意のデータ送信イベントが発生したことで上記連続受信待ち状態αとなったら、上述した図5(b)のデータ送信処理を開始する。これより、図7(a)に示す通り、Rno(A)を受信したらSreq(A)を送信し、これに対してRack(A)が返信されてきたらData(A)を送信し、これに対してDack(A)が返信されてきたら、データ送信処理を正常終了する。
【0106】
次に、図7(b)に、本例の無線端末10(詳細)同士のアクセスシーケンス例を示す。
尚、図示の例では、2つの無線端末10(詳細)は両方ともネットワークID=“‘A’+‘B’”であるものとする。また、両方とも、分割ネットワークIDは、分割ネットワークID=‘A’と分割ネットワークID=‘B’であるものとする。
【0107】
同図において、上述した図6(a)のようにデータ受信側の無線端末10は定周期で(例えば3秒毎に)上記ID通知信号Rnoを送信する。これは、上記の通り、Rno(A)とRno(B)とを交互に送信することになる。データ送信側の無線端末は、データ送信イベント発生時以外は、Rnoを受信しても何もしないか、もしくは隣接確認処理を行う。この隣接確認処理は、後に図10、図11を参照して簡単に説明するものとし、ここでは特に説明しない。
【0108】
データ送信側の無線端末10は、任意のデータ送信イベントが発生したことで上記連続受信待ち状態αとなったら、上述した図6(b)のデータ送信処理を開始する。図7(b)に示す例では、データ送信処理開始後に最初に受信するRnoは、上記Rno(A)であるので、Sreq(B)を送信し、これに対してRack(A)が返信されてきたらData(B)を送信し、これに対してDack(A)が返信されてきたら、データ送信処理を正常終了する。
【0109】
データ受信側の無線端末10は、上述した図6(a)処理を実行することで、図7(b)に示す例では、上記Rno(A)を送信後に上記Sreq(B)が返信されてきたら、上記Rack(A)を送信し、その後、上記データData(B)が返信されてきたら、このデータを受信・記憶すると共に、上記Dack(A)を送信する。
【0110】
尚、図7(b)に示す通り、データ送信側の無線端末10、データ受信側の無線端末10のどちらも、自己の2つの分割ネットワークIDの何れか一方を付加したパケットを送信したら、他方の分割ネットワークIDと同じものが付加された所定のパケットが返信されてくるのを待つ。図示のB待ちとは分割ネットワークID=Bが付加されたパケットの受信待ちを意味し、図示のA待ちとは分割ネットワークID=Aが付加されたパケットの受信待ちを意味する。よって、Rno(A)送信後やRack(A)送信後はB待ちとなり、Sreq(B)やData(B)を送信後はA待ちとなる。
【0111】
また、データ送信側の無線端末10、データ受信側の無線端末10のどちらも、受信したパケットに対して返信するパケットには、自己の2つの分割ネットワークIDのうち、受信したパケットに付加されているものとは異なる方を付加する。よって、図示の例では例えば、Rno(A)に対してSreq(B)を返信することになるが、Rno(B)に対してはSreq(A)を返信することになる。よって、当然、RackはRack(B)等となることになる。
【0112】
尚、上記所定のパケットとは、Rnoに対してはSreqであり、Sreqに対してはRackであり、Rackに対してはDataであり、Dataに対してはDackである。
次に、図8(a)に、本例の無線端末10(詳細)と既存の無線端末(簡易)とのアクセスシーケンス例(その1)を示す。
【0113】
尚、図示の例では、本例の無線端末10(詳細)はネットワークID=“‘A’+‘B’”であり、2つの分割ネットワークID=‘A’、‘B’を持つものとする。また、既存の無線端末(簡易)はネットワークID=‘A’であるものとする。また、図8(a)の例では、本例の無線端末10(詳細)はデータ受信側、既存の無線端末(簡易)はデータ送信側であるものとする。
【0114】
無線端末10(詳細)は、上記図6(a)の処理を行っており、図示の通りRno(A)とRno(B)とを定周期で(例えば3秒毎に)交互に送信している。尚、その際、隣接確認処理を行っても良いが、これについては後に図10、図11を参照して説明する。
【0115】
一方、既存の無線端末(簡易)は、任意のデータ送信イベントが発生したことで上記連続受信待ち状態αとなったら、上述した図5(b)のデータ送信処理を開始する。
これより、例えば図示の例ではRno(A)を受信することからステップS21はYESとなり、Sreq(A)を返信することになる。なお、Rno(B)を受信したときには、ステップS21はNOとなり、何も応答は行わないことになる。
【0116】
無線端末10(詳細)は、Sreq(A)を受信すると、上記ステップS32の判定がNOとなることから何も応答せずにSreqを破棄することになり、通信は成立しないことになる。
【0117】
この様に、既存の無線端末(簡易)側ではネットワークIDが同一である(通信相手は自端末と同じネットワークに属する)と判断しかねないケースでも、無線端末10(詳細)の処理によって通信は成立しないことになる。
【0118】
次に、図8(b)に、本例の無線端末10(詳細)と既存の無線端末(簡易)とのアクセスシーケンス例(その2)を示す。
尚、図示の例では、本例の無線端末10(詳細)はネットワークID=“‘A’+‘B’”であり、2つの分割ネットワークID=‘A’、‘B’を持つものとする。既存の無線端末(簡易)はネットワークID=‘A’であるものとする。また、図8(b)の例では、本例の無線端末10(詳細)はデータ送信側、既存の無線端末(簡易)はデータ受信側であるものとする。
【0119】
既存の無線端末(簡易)は、上記図5(a)の処理を行っており、図示の通りRno(A)を定周期で(例えば3秒毎に)送信している。尚、その際、隣接確認処理を行っても良いが、これについては後に図10、図11を参照して説明する。
【0120】
一方、無線端末10(詳細)は、任意のデータ送信イベントが発生したことで上記連続受信待ち状態αとなったら、上述した図6(b)のデータ送信処理を開始する。
これより、Rno(A)を受信することでステップS51はYESとなり、Sreq(B)を返信することになる。この為、既存の無線端末(簡易)側では上記ステップS12がNOとなることから、何も応答せずにSreqを破棄することになり、通信は成立しないことになる。
【0121】
この様に、本例の無線端末10(詳細)を、既存の無線端末(簡易)で構成される既存の無線通信ネットワークシステムの近傍に設置したとしても、誤認識して同一グループであると見做すようなことはなく、何ら問題はない。
【0122】
そして、本例の無線端末10(詳細)は、自端末のネットワークIDの桁数(データ量)が、既存の無線端末(簡易)より多い(本例では、簡易が24ビットで、詳細は48ビットであり、従来の倍となっている)。しかしながら、図8に示す無線端末10(詳細)が送信するRno(A)、Rno(B)は、既存の無線端末(簡易)が送信するRno(A)とデータ量が同じであり、またRnoの送信回数(送信周期;3秒毎など)も既存の無線端末(簡易)と同じである。
【0123】
このように、頻繁に送信されるID通知信号Rnoのデータ量と送信回数は、従来と変わらないので、それに係る電力消費量も従来と略同様である。よって、ネットワークIDの桁数を増やしても、送信データ量は変わらないようにでき、以って電池寿命が短くならないようにできる。
【0124】
次に、図9に、本例の無線端末10を既存システムに組み込む場合のアクセスシーケンス例を示す。
上述したように、本例の無線端末10を、既存の無線端末(簡易)で構成される既存の無線通信ネットワークシステムの近傍に設置したとしても、誤認識して同一グループであると見做すようなことはない。
【0125】
しかしながら、逆に、本例の無線端末10を既存の無線通信ネットワークシステムに組み込みたい場合もある。例えば、将来的に既存の無線端末(簡易)は製造中止とし、本例の無線端末10は製造し続ける状態となった場合において、既存システムの無線端末(簡易)が故障して交換が必要になった場合等である。
【0126】
この場合、本例の無線端末10の48ビットのネットワークIDを、その分割ネットワークIDが、分割ネットワークID=‘A’と分割ネットワークID=‘A’となるように設定する。尚、‘A’が2つあると説明し難いので、一方を図示の通り「A’」と表記するものとする。よって、「A’」=Aである。尚、この場合、48ビットのネットワークIDを、例えば上位側24ビットを‘A’、下位側24ビットを「A’」等とすることが考えられる。但し、後述する図12のような分割ネットワークID生成を行う場合には、この方法は適用できないが、何れにしても結果的に、2つの分割ネットワークIDが同じものとなるようにすればよい。
【0127】
この様にすることで、図9に示すように、本例の無線端末10と既存の無線端末(簡易)とでデータ送受信が可能となる。
すなわち、図上左側が本例の無線端末10、図上右側が既存の無線端末(簡易)であり、既存の無線端末(簡易)がデータ送信側になるとする。
【0128】
本例の無線端末10は、上記図6の処理を実行する。よって、定周期のRno送信の際には、2つの分割ネットワークIDを交互に付加するが、ここでは分割ネットワークID=‘A’と「A’」とを交互に付加することになるので、上記の通り実質的には図7(a)に示す既存の無線端末(簡易)のRno送信動作と変わらないことになる。
【0129】
また、図9の動作は、図7(b)における‘B’を全て「A’」に置き換えたものに相当することになるので、図9に示すように、例えば上記ステップS31によりRno(A)送信後に、“「A’」待ち状態”となる。これに対して既存の無線端末(簡易)からはSreq(A)が返信されてくるが、上記の通り「A’」=Aであり、両者を区別できないのであるから、上記ステップS32の判定はYESとなる。その後、ステップS33でRack(A)送信後も“「A’」待ち状態”となり、既存の無線端末(簡易)からはData(A)が返信されてくるが、上記と同様、ステップS34の判定はYESとなり、データ受信処理が成立することになる。
【0130】
特に図示しないが、本例の無線端末10がデータ送信側となる場合も、略同様にして、問題なく既存の無線端末(簡易)に対してデータ送信することが可能となり、実質的に、既存の無線通信ネットワークシステムに対して本例の無線端末10を追加させることが可能となる。
【0131】
また、本例の場合、後述する図11において、‘B’が全て「A’」に置き換わることになることから、図示の“簡易”からの隣接確認(A)に対して、図示の”詳細“は隣接応答(A’)を返信することになる。上記の通り「A’」=Aであるので、実質的に隣接応答(A)が返信されることになる。よって、簡易側では、通信相手は自端末と同じグループに属する隣接無線機であるものと判定して登録することになり、これが構成情報に反映されることで、図示の“簡易”を含む既存の無線通信ネットワークシステムに対して、図示の”詳細“を新たに組み込ませることが可能となる。
【0132】
尚、上記のことから、逆に、本例の無線端末10のネットワークIDの設定は、既存の無線通信ネットワークシステムに組み込む場合を除いては、2つの分割ネットワークIDが同一にならないように設定する必要がある。
【0133】
次に、図10、図11を参照して、隣接確認処理について説明する。
従来より、各無線端末は、送信データが無い状態においてID通知信号Rnoを受信した際に、隣接確認処理を行う場合がある。この隣接確認処理は、所定の隣接確認パケットと隣接応答パケットとを送受信するものである。
【0134】
まず、図10には、本例の無線端末10(詳細)同士の隣接確認処理シーケンスを示す。尚、図では、図上右側の無線端末10(詳細)のみがID通知信号Rnoを定周期で送信しているが、図示していないだけであり図上左側の無線端末10(詳細)もID通知信号Rnoを定周期で送信している。
【0135】
勿論、上記Rno(A)とRno(B)とを交互に送信している。
ここで、特にフローチャート等は示さないが、本例の無線端末10(詳細)は、通常状態(例えば上記連続受信待ち状態α以外の状態)のときに任意のタイミングで隣接確認モードとなり、このモードのときにID通知信号Rnoを受信したら、隣接確認パケットを送信する。これは、受信したID通知信号Rnoのネットワーク識別子31が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと同じであるか否かを判定し、判定結果がYESの場合には、他方の(異なる方の)分割ネットワークIDを付加した隣接確認パケットを送信する。図示の例では、Rno(A)を受信しているので、分割ネットワークID=‘B’を付加した隣接確認パケット(B)を送信することになる。
【0136】
尚、Rno(B)を受信した場合には隣接確認パケット(A)を送信することになる。
この隣接確認パケット(B)を受信した図上右側の無線端末10(詳細)は、Rno(A)に対して隣接確認パケット(B)が返信されてきた(“B待ち”状態でBが返信されてきた)ことを以って、通信相手は自端末と同グループであると判断して、通信相手を隣接無線機として登録する。そして、例えば構成情報に反映させることになる。更に、自端末の2つの分割ネットワークID‘A’、‘B’のうち、受信した隣接確認パケットのネットワーク識別子31=‘B’とは異なる方の分割ネットワークID=‘A’を付加した隣接応答パケット、すなわち隣接応答パケット(A)を、生成・送信する。
【0137】
図上左側の無線端末10(詳細)は、上記隣接確認パケット(B)に対して隣接応答パケット(A)が返信されてきた(“A待ち”状態でAが返信されてきた)ことを以って、通信相手を自端末と同じグループに属する隣接無線端末と判定して登録する。そして、例えば構成情報に反映させることになる。尚、各パケットのフレームフォーマットは、図4に示す例であり、受信パケットの送信元無線機識別子33を、隣接無線端末として登録することになる。
【0138】
次に、図11には、本例の無線端末10(詳細)と既存の無線端末(簡易)との隣接確認処理シーケンスを示す。尚、図では、図上右側の無線端末10(詳細)のみがID通知信号Rnoを定周期で送信しているが、図示していないだけであり図上左側の無線端末(簡易)もID通知信号Rnoを定周期で送信している。勿論、無線端末10(詳細)は、上記Rno(A)とRno(B)とを交互に送信している。
【0139】
図示の例では、図上左側の無線端末(簡易)は、上記通常状態のときに任意のタイミングで隣接確認モードとなり、このモードのときに自端末のネットワークID(=‘A’)と同じネットワーク識別子31が付加されたID通知信号Rnoを受信したら、自端末のネットワークID(=‘A’)を付加した隣接確認パケット(A)を送信する。そして、自端末のネットワークID(=‘A’)と同じネットワーク識別子31が付加された隣接応答パケット(A)が返信されてくるのを待つ(“A待ち”の状態となる)。
【0140】
図11の図上右側の無線端末10(詳細)は、上記図10の図上右側の無線端末10(詳細)と同様、隣接確認パケットが返信されてきた場合には、対応する隣接応答パケットを生成・送信する。すなわち、自端末の2つの分割ネットワークID‘A’、‘B’のうち、受信した隣接確認パケットのネットワーク識別子31=‘A’とは異なる方の分割ネットワークID=‘B’を付加した隣接応答パケット、すなわち隣接応答パケット(B)を、生成・送信する。
【0141】
勿論、図10の場合と同様、隣接確認パケット受信時に隣接登録を行うか否かの判定も行っている。この場合、Rno(A)に対して隣接確認パケット(A)が返信されてきた(“B待ち”状態でAが返信されてきた)ことを以って、通信相手は自端末と同グループではないと判断して、通信相手は隣接無線機として登録しない。
【0142】
一方、上記“A待ち”の状態となっている図上左側の無線端末(簡易)も、隣接応答パケット(B)が返信されてくることで、通信相手は同じグループでは無いものと判定し、隣接登録は行わずに、本処理を終了する。
【0143】
従来の既存の無線端末は、自端末のネットワークID‘A’と同じネットワーク識別子が付加されたRnoであるRno(A)を受信した時点で、通信相手は自端末と同グループであると判断して、通信相手を隣接無線機として登録していた。この為、図11に示す例では、図上左側の無線端末(簡易)は、図上右側の無線端末10(詳細)を誤って隣接無線機として登録してしまう。
【0144】
この為、本手法では、既存の無線端末(簡易)を多少改造して(現地で作業員等がプログラム更新して)、図11に示すシーケンスを実現する処理を実行させる。すなわち、任意のときに上記隣接確認モードとなったら、この隣接確認モード中にRno(B)等の自端末のネットワークID‘A’とは異なるRnoを受信した場合には何も実行せず、Rno(A)を受信した場合には、隣接確認(A)を送信して“A待ち"(隣接応答(A)待ち)となる。よって、隣接応答(A)が返信されてきた場合には、通信相手を隣接無線機として登録する。図11の例では、“A待ち"(隣接応答(A)待ち)に対して隣接応答(B)が返信されてくるので、登録は行われない。尚、隣接無線機は、自端末と同じグループで且つ直接無線通信可能な無線端末である。
【0145】
図12は、上記分割ネットワーク識別子の生成方法の一例を示す図である。
分割ネットワーク識別子の生成方法は、様々であってよく、例えば、48ビットを上位側24ビット、下位側24ビットに分けることが一案として考えられる。この場合、例えば上位側24ビットを上記分割ネットワーク識別子‘A’、下位側24ビットを上記分割ネットワーク識別子‘B’とすることになる。しかし、この場合、分割ネットワーク識別子‘A’は、殆ど変化しないことになる(多くの無線端末10で同じ値となる)。
【0146】
これに対して、例えば図12に示すように、例えば48ビットの分割ネットワーク識別子全体を、数ビットずつ(2ビット、4ビット等)分割して、交互に図示の白側と黒側とに区別する。そして、例えば、白側を全てまとめて上記分割ネットワーク識別子‘A’とし、黒側を全てまとめて上記分割ネットワーク識別子‘B’とする。
【0147】
尚、更に、分割ネットワーク識別子‘A’と‘B’とを区別する為の情報を最上位ビットに付加するようにしてもよい。図示の例では最上位ビットは、分割ネットワーク識別子‘A’は1、分割ネットワーク識別子‘B’は0となっている。
【0148】
この様にすることで、分割ネットワーク識別子‘A’、‘B’の両方とも下位側(特に最下位に近い)ビットを含むので、殆ど変化しないような事態は起こらないようにできる。
【0149】
尚、本例の無線端末10(詳細)は、特に図示しないが、下記の各種処理機能部を有するものと考えることもできる。尚、下記の各種処理機能部は、上記通信制御部13(例えばメモリ等を備えるCPU/MPU等)が、予めメモリ等に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。
【0150】
すなわち、まず、所定周期で間欠的にID通知信号を無線送信する機能部であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号に上記ネットワーク識別子31として付加して無線送信するID通知部を有する。
【0151】
そして、データ受信側としての無線端末10においては、以下の第1判定部とデータ送信部を有すると見做すことが出来る。
すなわち、任意のデータの送信要因が発生した後、他の無線端末から無線送信されてくるID通知信号を受信すると、該ID通知信号に付加されているネットワーク識別子31が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した送信要求を無線送信し、他の無線端末から該送信要求に応じた送信要求応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第1判定部を有する。
【0152】
そして、該第1判定部によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された他の無線端末に対して、任意のデータを無線送信するデータ送信部を有する。
また、データ受信側としての無線端末10においては、上記ID通知部に加えて、以下の第2判定部と確認応答部を有すると見做すことが出来る。
【0153】
すなわち、上記ID通知部によって送信したID通知信号に対して他の無線端末から上記送信要求の返信があった場合、該送信要求に付加されるネットワーク識別子が、該送信したID通知信号に付加しなかった方の分割ネットワークIDと一致する場合には(例えばRno(B)送信の場合には送信要求のネットワーク識別子=‘A’である場合には)、当該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第2判定部を有する。
【0154】
更に、この第2判定部によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された場合には、上記送信要求に対応する上記送信要求応答を送信する確認応答部を有する。送信要求に対応する送信要求応答とは、例えば送信要求Sreq(A)に対しては送信要求応答Rack(B)、送信要求Sreq(B)に対しては送信要求応答Rack(A)となる。つまり、‘A’受信に対しては‘B’送信、‘B’受信に対しては‘A’送信となる。
【0155】
また、無線端末10は、上記データ送受信に係る処理機能以外にも、例えば、隣接無線機登録に係る以下の処理機能も備えていても良い。
すなわち、無線端末10は、例えば、所定のモード中に他の無線端末から送信された上記ID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されている上記ネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して上記一致する分割ネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第1の隣接無線機登録部を更に有するものであってもよい。
【0156】
また、無線端末10は、例えば、以下の第3判定部、第2の隣接無線機登録部、隣接応答部を備えていても良い。
第3判定部は、上記ID通知部によって送信したID通知信号に対して他の無線端末から上記隣接確認の返信があった場合、該隣接確認に付加されているネットワーク識別子が、ID通知信号に付加しなかった方の自端末の分割ネットワークIDと一致するか否かを判定する。
【0157】
第2の隣接無線機登録部は、該第3判定部によって一致すると判定された場合には、上記隣接確認を返信してきた他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する。
【0158】
隣接応答部は、上記第3判定部による判定結果に関係なく、隣接確認に付加されているネットワーク識別子と一致しない自端末の分割ネットワークIDを、ネットワーク識別子として付加した上記隣接応答を送信する。
【0159】
あるいは、隣接応答部は、上記第3判定部によって一致しないと判定された場合には、上記隣接応答は送信しないようにしてもよい。この場合、第1の隣接無線機登録部は、隣接応答が返信されてこない場合には、隣接無線機ではないと判定することになる。尚、この場合には「該第3判定手段によって一致すると判定された場合には、前記隣接確認に付加されているネットワーク識別子と一致しない自端末の分割ネットワークIDを、ネットワーク識別子として付加した前記隣接応答を送信する隣接応答部」などとなる。
【0160】
また、例えば、従来の既存の無線端末(簡易)に、所定のモード中に他の無線端末から送信されたID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されているネットワーク識別子が、自端末のネットワークIDと一致するか否かを判定し、一致する場合には、自端末のネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して該自端末のネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第3の隣接無線機登録部を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0161】
10 無線端末
11 アンテナ
12 無線送受信回路
13 通信制御部
14 電源回路
20 データ処理装置
30 パケット
31 ネットワーク識別子
32 あて先無線機識別子
33 送信元無線機識別子
34 コマンド・データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークシステムを構成する無線端末であって、自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する無線端末において、
所定周期で間欠的にID通知信号を無線送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段と、
任意のデータの送信要因が発生した後、他の無線端末から無線送信されてくる前記ID通知信号を受信すると、該ID通知信号に付加されているネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した送信要求を無線送信し、前記他の無線端末から該送信要求に応じた送信要求応答が返信されてきた場合には該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第1判定手段と、
該第1判定手段によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された前記他の無線端末に対して、前記任意のデータを無線送信するデータ送信手段と、
を有することを特徴とする無線通信ネットワークシステムの無線端末。
【請求項2】
前記ID通知手段によって送信した前記ID通知信号に対して他の無線端末から前記送信要求の返信があった場合、該送信要求に付加される前記ネットワーク識別子が、該送信したID通知信号に付加しなかった方の分割ネットワークIDと一致する場合には、該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第2判定手段と、
該第2判定手段によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された場合には、前記送信要求に対応する前記送信要求応答を送信する確認応答手段と、
を更に有することを特徴とする請求項1記載の無線通信ネットワークシステムの無線端末。
【請求項3】
所定のモード中に他の無線端末から送信された前記ID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されている前記ネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して前記一致する分割ネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第1の隣接無線機登録手段を更に有することを特徴とする請求項1または2記載の無線通信ネットワークシステムの無線端末。
【請求項4】
前記ID通知手段によって送信した前記ID通知信号に対して他の無線端末から前記隣接確認の返信があった場合、該隣接確認に付加されているネットワーク識別子が、前記ID通知信号に付加しなかった方の自端末の分割ネットワークIDと一致するか否かを判定する第3判定手段と、
該第3判定手段によって一致すると判定された場合には、前記隣接確認を返信してきた他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第2の隣接無線機登録手段と、
前記第3判定手段による判定結果に関係なく、前記隣接確認に付加されているネットワーク識別子と一致しない自端末の分割ネットワークIDを、ネットワーク識別子として付加した前記隣接応答を送信する隣接応答手段と、
を更に有することを特徴とする請求項3記載の無線通信ネットワークシステムの無線端末。
【請求項5】
自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する複数の無線端末より構成される無線通信ネットワークシステムにおいて、
前記複数の無線端末のうちの直接無線通信可能な任意の2つの無線端末である第1無線端末、第2無線端末に係わりデータ受信側となる該第2無線端末は、所定周期で間欠的にID通知信号を送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段を有し、
データ送信側となる前記第1無線端末は、受信したID通知信号に付加されているネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した送信要求を無線送信する送信側確認手段を有し、
前記第2無線端末は、前記送信要求を受信した場合、該送信要求に付加されているネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDのうち前記ID通知信号に付加しなかった分割ネットワークIDと一致するか否かを判定し、一致する場合、前記受信した送信要求に対応する送信要求応答を無線送信する受信側確認手段を有し、
前記第1無線端末は、前記第2端末から前記送信要求応答が返信されてきた場合には該第2無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと見做してデータを無線送信するデータ送信手段を有する、
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項6】
自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する複数の無線端末より構成される無線通信ネットワークシステムにおいて、
前記各無線端末は、
所定周期で間欠的にID通知信号を送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段と、
所定のモード中に他の無線端末から送信された前記ID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されている前記ネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して前記一致する分割ネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する隣接無線機登録手段と、
を有することを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項7】
無線通信ネットワークシステムを構成する無線端末であって、自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する無線端末のコンピュータを、
所定周期で間欠的にID通知信号を無線送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段と、
任意のデータの送信要因が発生した後、他の無線端末から無線送信されてくる前記ID通知信号を受信すると、該ID通知信号に付加されているネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した送信要求を無線送信し、前記他の無線端末から該送信要求に応じた送信要求応答が返信されてきた場合には該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第1判定手段と、
該第1判定手段によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された前記他の無線端末に対して、前記任意のデータを無線送信するデータ送信手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
無線通信ネットワークシステムを構成する無線端末であって、自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する無線端末のコンピュータを、
所定周期で間欠的にID通知信号を送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段と、
前記ID通知手段によって送信した前記ID通知信号に対して他の無線端末から送信要求の返信があった場合、該送信要求に付加されるネットワーク識別子が、該送信したID通知信号に付加しなかった方の分割ネットワークIDと一致する場合には、該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第2判定手段と、
該第2判定手段によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された場合には、前記送信要求に対応する送信要求応答を送信する確認応答手段と、
前記送信要求応答に対して前記他の無線端末から任意のデータが送信されてきた場合、該データの受信処理を行うデータ受信手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する複数の無線端末より構成される無線通信ネットワークシステムにおけるデータ送受信制御方法であって、
前記複数の無線端末のうちの直接無線通信可能な任意の2つの無線端末である第1無線端末、第2無線端末に係わりデータ受信側となる該第2無線端末は、所定周期で間欠的にID通知信号を送信するものであって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信し、
データ送信側となる前記第1無線端末は、受信したID通知信号に付加されているネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した送信要求を無線送信し、
前記第2無線端末は、前記送信要求を受信した場合、該送信要求に付加されているネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDのうち前記ID通知信号に付加しなかった分割ネットワークIDと一致するか否かを判定し、一致する場合、前記受信した送信要求に対応する送信要求応答を無線送信し、
前記第1無線端末は、前記第2端末から前記送信要求応答が返信されてきた場合には該第2無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと見做してデータを無線送信することを特徴とする無線通信ネットワークシステムのデータ送受信制御方法。
【請求項10】
自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する複数の無線端末より構成される無線通信ネットワークシステムにおける隣接無線機確認方法であって、
前記各無線端末は、所定周期で間欠的にID通知信号を送信するものであって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信し、
所定のモード中に他の無線端末から送信された前記ID通知信号を受信した前記無線端末は、該ID通知信号に付加されている前記ネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、
該隣接確認を受信した前記他の無線端末は、該隣接確認に付加されるネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDのうち前記ID通知信号に付加しなかった分割ネットワークIDと一致する場合には、該隣接確認の送信元の前記無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録することを特徴とする無線通信ネットワークの隣接無線機確認方法。
【請求項11】
前記隣接確認の送信元の前記無線端末は、前記隣接確認送信後、前記一致する分割ネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録することを特徴とする請求項10記載の無線通信ネットワークシステムの隣接無線機確認方法。
【請求項12】
無線通信ネットワークシステムを構成する無線端末であって、自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する無線端末において、
所定周期で間欠的にID通知信号を無線送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段と、
所定のモード中に他の無線端末から送信された前記ID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されている前記ネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して前記一致する分割ネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第1の隣接無線機登録手段と、
を有することを特徴とする無線通信ネットワークシステムの無線端末。
【請求項13】
前記ID通知手段によって送信した前記ID通知信号に対して他の無線端末から前記隣接確認の返信があった場合、該隣接確認に付加されているネットワーク識別子が、前記ID通知信号に付加しなかった方の自端末の分割ネットワークIDと一致するか否かを判定する第3判定手段と、
該第3判定手段によって一致すると判定された場合には、前記隣接確認を返信してきた他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第2の隣接無線機登録手段と、
該第3判定手段によって一致すると判定された場合には、前記隣接確認に付加されているネットワーク識別子と一致しない自端末の分割ネットワークIDを、ネットワーク識別子として付加した前記隣接応答を送信する隣接応答手段と、
を更に有することを特徴とする請求項12記載の無線通信ネットワークシステムの無線端末。
【請求項14】
既存の無線端末に、所定のモード中に他の無線端末から送信された前記ID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されている前記ネットワーク識別子が、自端末のネットワークIDと一致するか否かを判定し、一致する場合には、自端末のネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して該自端末のネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第3の隣接無線機登録手段を設けたことを特徴とする請求項12または13記載の無線通信ネットワークシステムの無線端末。
【請求項1】
無線通信ネットワークシステムを構成する無線端末であって、自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する無線端末において、
所定周期で間欠的にID通知信号を無線送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段と、
任意のデータの送信要因が発生した後、他の無線端末から無線送信されてくる前記ID通知信号を受信すると、該ID通知信号に付加されているネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した送信要求を無線送信し、前記他の無線端末から該送信要求に応じた送信要求応答が返信されてきた場合には該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第1判定手段と、
該第1判定手段によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された前記他の無線端末に対して、前記任意のデータを無線送信するデータ送信手段と、
を有することを特徴とする無線通信ネットワークシステムの無線端末。
【請求項2】
前記ID通知手段によって送信した前記ID通知信号に対して他の無線端末から前記送信要求の返信があった場合、該送信要求に付加される前記ネットワーク識別子が、該送信したID通知信号に付加しなかった方の分割ネットワークIDと一致する場合には、該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第2判定手段と、
該第2判定手段によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された場合には、前記送信要求に対応する前記送信要求応答を送信する確認応答手段と、
を更に有することを特徴とする請求項1記載の無線通信ネットワークシステムの無線端末。
【請求項3】
所定のモード中に他の無線端末から送信された前記ID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されている前記ネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して前記一致する分割ネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第1の隣接無線機登録手段を更に有することを特徴とする請求項1または2記載の無線通信ネットワークシステムの無線端末。
【請求項4】
前記ID通知手段によって送信した前記ID通知信号に対して他の無線端末から前記隣接確認の返信があった場合、該隣接確認に付加されているネットワーク識別子が、前記ID通知信号に付加しなかった方の自端末の分割ネットワークIDと一致するか否かを判定する第3判定手段と、
該第3判定手段によって一致すると判定された場合には、前記隣接確認を返信してきた他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第2の隣接無線機登録手段と、
前記第3判定手段による判定結果に関係なく、前記隣接確認に付加されているネットワーク識別子と一致しない自端末の分割ネットワークIDを、ネットワーク識別子として付加した前記隣接応答を送信する隣接応答手段と、
を更に有することを特徴とする請求項3記載の無線通信ネットワークシステムの無線端末。
【請求項5】
自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する複数の無線端末より構成される無線通信ネットワークシステムにおいて、
前記複数の無線端末のうちの直接無線通信可能な任意の2つの無線端末である第1無線端末、第2無線端末に係わりデータ受信側となる該第2無線端末は、所定周期で間欠的にID通知信号を送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段を有し、
データ送信側となる前記第1無線端末は、受信したID通知信号に付加されているネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した送信要求を無線送信する送信側確認手段を有し、
前記第2無線端末は、前記送信要求を受信した場合、該送信要求に付加されているネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDのうち前記ID通知信号に付加しなかった分割ネットワークIDと一致するか否かを判定し、一致する場合、前記受信した送信要求に対応する送信要求応答を無線送信する受信側確認手段を有し、
前記第1無線端末は、前記第2端末から前記送信要求応答が返信されてきた場合には該第2無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと見做してデータを無線送信するデータ送信手段を有する、
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項6】
自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する複数の無線端末より構成される無線通信ネットワークシステムにおいて、
前記各無線端末は、
所定周期で間欠的にID通知信号を送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段と、
所定のモード中に他の無線端末から送信された前記ID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されている前記ネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して前記一致する分割ネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する隣接無線機登録手段と、
を有することを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項7】
無線通信ネットワークシステムを構成する無線端末であって、自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する無線端末のコンピュータを、
所定周期で間欠的にID通知信号を無線送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段と、
任意のデータの送信要因が発生した後、他の無線端末から無線送信されてくる前記ID通知信号を受信すると、該ID通知信号に付加されているネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した送信要求を無線送信し、前記他の無線端末から該送信要求に応じた送信要求応答が返信されてきた場合には該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第1判定手段と、
該第1判定手段によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された前記他の無線端末に対して、前記任意のデータを無線送信するデータ送信手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
無線通信ネットワークシステムを構成する無線端末であって、自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する無線端末のコンピュータを、
所定周期で間欠的にID通知信号を送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段と、
前記ID通知手段によって送信した前記ID通知信号に対して他の無線端末から送信要求の返信があった場合、該送信要求に付加されるネットワーク識別子が、該送信したID通知信号に付加しなかった方の分割ネットワークIDと一致する場合には、該他の無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと判定する第2判定手段と、
該第2判定手段によって自端末と同じネットワークに属するものと判定された場合には、前記送信要求に対応する送信要求応答を送信する確認応答手段と、
前記送信要求応答に対して前記他の無線端末から任意のデータが送信されてきた場合、該データの受信処理を行うデータ受信手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する複数の無線端末より構成される無線通信ネットワークシステムにおけるデータ送受信制御方法であって、
前記複数の無線端末のうちの直接無線通信可能な任意の2つの無線端末である第1無線端末、第2無線端末に係わりデータ受信側となる該第2無線端末は、所定周期で間欠的にID通知信号を送信するものであって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信し、
データ送信側となる前記第1無線端末は、受信したID通知信号に付加されているネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した送信要求を無線送信し、
前記第2無線端末は、前記送信要求を受信した場合、該送信要求に付加されているネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDのうち前記ID通知信号に付加しなかった分割ネットワークIDと一致するか否かを判定し、一致する場合、前記受信した送信要求に対応する送信要求応答を無線送信し、
前記第1無線端末は、前記第2端末から前記送信要求応答が返信されてきた場合には該第2無線端末は自端末と同じネットワークに属するものと見做してデータを無線送信することを特徴とする無線通信ネットワークシステムのデータ送受信制御方法。
【請求項10】
自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する複数の無線端末より構成される無線通信ネットワークシステムにおける隣接無線機確認方法であって、
前記各無線端末は、所定周期で間欠的にID通知信号を送信するものであって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信し、
所定のモード中に他の無線端末から送信された前記ID通知信号を受信した前記無線端末は、該ID通知信号に付加されている前記ネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、
該隣接確認を受信した前記他の無線端末は、該隣接確認に付加されるネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDのうち前記ID通知信号に付加しなかった分割ネットワークIDと一致する場合には、該隣接確認の送信元の前記無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録することを特徴とする無線通信ネットワークの隣接無線機確認方法。
【請求項11】
前記隣接確認の送信元の前記無線端末は、前記隣接確認送信後、前記一致する分割ネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録することを特徴とする請求項10記載の無線通信ネットワークシステムの隣接無線機確認方法。
【請求項12】
無線通信ネットワークシステムを構成する無線端末であって、自端末と同じネットワークに属する他の無線端末とデータ送受信する無線端末において、
所定周期で間欠的にID通知信号を無線送信する手段であって、自端末のネットワークIDを分割して成る複数の分割ネットワークIDを交互に該ID通知信号にネットワーク識別子として付加して無線送信するID通知手段と、
所定のモード中に他の無線端末から送信された前記ID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されている前記ネットワーク識別子が、自端末の複数の分割ネットワークIDの何れかと一致するか否かを判定し、一致する分割ネットワークIDがある場合、一致しない他方の分割ネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して前記一致する分割ネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第1の隣接無線機登録手段と、
を有することを特徴とする無線通信ネットワークシステムの無線端末。
【請求項13】
前記ID通知手段によって送信した前記ID通知信号に対して他の無線端末から前記隣接確認の返信があった場合、該隣接確認に付加されているネットワーク識別子が、前記ID通知信号に付加しなかった方の自端末の分割ネットワークIDと一致するか否かを判定する第3判定手段と、
該第3判定手段によって一致すると判定された場合には、前記隣接確認を返信してきた他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第2の隣接無線機登録手段と、
該第3判定手段によって一致すると判定された場合には、前記隣接確認に付加されているネットワーク識別子と一致しない自端末の分割ネットワークIDを、ネットワーク識別子として付加した前記隣接応答を送信する隣接応答手段と、
を更に有することを特徴とする請求項12記載の無線通信ネットワークシステムの無線端末。
【請求項14】
既存の無線端末に、所定のモード中に他の無線端末から送信された前記ID通知信号を受信した場合、該ID通知信号に付加されている前記ネットワーク識別子が、自端末のネットワークIDと一致するか否かを判定し、一致する場合には、自端末のネットワークIDをネットワーク識別子として付加した隣接確認を送信し、該隣接確認に対して該自端末のネットワークIDと同一のネットワーク識別子が付加された隣接応答が返信されてきた場合には、該他の無線端末を自端末と同じネットワークに属する隣接無線機と見做して登録する第3の隣接無線機登録手段を設けたことを特徴とする請求項12または13記載の無線通信ネットワークシステムの無線端末。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図3】
【図12】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図3】
【図12】
【公開番号】特開2012−156806(P2012−156806A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14312(P2011−14312)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(309042071)東光東芝メーターシステムズ株式会社 (41)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(309042071)東光東芝メーターシステムズ株式会社 (41)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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