説明

無線通信ネットワーク用の移動体端末シミュレータ及び移動体端末をシミュレートする方法

【課題】周波数分割多元接続無線通信ネットワーク用の移動体端末シミュレータと,同ネットワークの移動体端末をシミュレートする方法と,を提供すること。
【解決手段】本発明によれば,通信標準に従ってビットストリームを供給するシミュレーションエンジンと,前記ビットストリームを周波数領域の基底帯域信号に変換する変換段と,前記基底帯域信号に応じて,時間領域の送信サンプルストリームを生成するマップ及び変換段と,無線通信ネットワークの無線基地局に接続可能であり,時間領域の前記送信サンプルストリームを前記無線基地局に送信する送信モジュールと,を備え,前記通信ポートと前記無線基地局との間の送信チャネルの影響をシミュレートするために,周波数領域の前記基底帯域信号を処理し,修正された基底帯域信号を供給する送信チャネルシミュレータモジュールを特徴とするシミュレータが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信ネットワーク用の移動体端末シミュレータ及び移動体端末をシミュレートする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように,無線通信システムはネットワーク基盤設備及び移動体端末を備える。ネットワーク基盤設備は一般に,1又は複数の相互接続された運用センタと無線基地局とを備え,これらは管轄区域の所定の範囲にサービスを提供し,対応する運用センタと通信を行うことが確実になるように計画されている。移動体端末は,1又は複数の無線基地局を介してネット基盤設備と接続し,例えば,携帯電話機,ノートブック計算機,又は無線周波リンク機能を有するパームトップ,などを含む。
【0003】
ネットワーク基盤設備は,正しい動作を検査するためにテストが必要である。ネットワーク基盤設備全体又はその一部のテストは,種々の理由から必要になる。例えば,設計実現段階においては,無線基地局が1又は複数の端末と接続したときの機能を検査する必要が有り,無線基地局の振る舞いは,障害状況又は通信プロトコル誤りをシミュレートするために修正してもよい。さらに,いくつかの同時に活性な利用者端末によって生じるネットワーク負荷があるときの,無線基地局の予想される振る舞いを検査する必要がある。
【0004】
上記の目的のため,通常,実際には,ネットワーク基盤設備へのリンク及び1又は複数の移動体端末によるその利用をシミュレートすることができるテストシミュレータが用いられる。このようにして,ネットワーク基盤設備又はその一部に動作条件を設定し,一定のパラメータによるシステム全体の応答を評価することができる。
【0005】
通信システムのテストを設計し,実現する際の基本的であるが同時に非常に問題のある側面は,伝送チャネルを正確にモデル化すること,すなわち,送信点と受信点との間の信号に影響する伝送媒体及び現象の効果を正しく考慮することの可能性である。移動体無線通信システムにおける主な課題の一つは,移動体端末がしばしば動いており,したがって無線チャネルの特性が急速に変化することから生じる。実際,無線チャネルのパルス応答及び減衰応答特性は,位相及び振幅双方の広範な変化を伴って1秒に数千回も変化することがある。
【0006】
無線チャネルの特性及びその伝達関数は時間による位相及び振幅の時間変化によって特徴付けられ,二つの現象の組合せで決定される。第1の現象は,マルチパスフェージングの存在,すなわち,移動体端末が無線基地局から送信された信号を直接に,及び反射を介して,したがって種々の位相関係で,受信することに関係している。第2の現象はドップラ効果に関係する。ドップラ効果は,移動体端末が無線基地局に対して移動しているときに発生する。
【0007】
無線チャネルに対する妨害が有効な信号に加算される。有効な信号は送信されたシンボルのシーケンスを表し,したがって受信されたメッセージの復号をより困難にし,誤りが混入し,したがってデータブロックの受信を無効にする可能性がある。
【0008】
無線チャネルの効果を検査するため,移動体端末シミュレータによって生成されるテストシーケンスを処理するチャネルシミュレータが用いられる。この目的のために,チャネルシミュレータは参照モデルを用いて最も普通の現象,例えば同一の反射信号と,マルチパスフェージングによって生じる干渉信号とが加算されることによる時間周波数領域における選択的減衰のような現象,による効果を適用する。
【0009】
現在使われている無線チャネルシミュレーション装置は入力ポート及び出力ポートを備え,実際の伝送チャネルに類似する伝達関数を有する。適切な無線周波リンクによって,移動体端末(又は移動体端末シミュレータ)は第1ポートに接続され,無線基地局は第2ポートに接続される。
【0010】
既知の無線チャネルシミュレータ装置の重要な限界は,同時に一つの無線チャネルしかシミュレートできないことである。しかし,実際に用いられる条件下の通信ネットワークにおいては,種々の動きプロファイルを有するいくつかの移動体端末が同時に同一の無線基地局に接続される。
【0011】
変調方法及び無線資源管理双方の理由で直交周波数分割多重化(OFDM)を用いて構築された電気通信ネットワークの複雑さのために,複数の,相互独立の移動体端末を含む無線環境のシミュレーションに基づく確認及び検証が必要になる。無線基地局の最も重要な機能はますます,無線資源の管理,すなわち利用可能な帯域幅の利用を最適化し,干渉及び再送要求を最小化し,複数の端末の達成可能な性能を最大化する能力,になっている。最も重要な状況は,利用者がセルによってサービス提供される領域内,特にいわゆるセル境界領域,すなわち隣接セル間の境界領域,内に分散しているときに起きる。この状況は現実的な条件下での正確なテストを必要とするが,この条件は単一の従来型のチャネルシミュレータを使う限り,端末の集合全体については作り出せない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって,本発明の目的は,上述の限界を克服することができる,周波数分割多元接続無線通信ネットワーク用の移動体端末シミュレータと,周波数分割多元接続無線通信ネットワークの移動体端末をシミュレートする方法と,を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば,通信標準に従うビットストリームを供給するように構成されたシミュレーションエンジンと,ビットストリームを周波数領域の基底帯域信号に変換するように構成された変換(conversion)段と,基底帯域信号によって時間領域の送信サンプルストリームを生成するように構成されたマップ及び変換(mapping and transformation)段と,通信ポートによって無線通信ネットワークの無線基地局に接続することができ,無線基地局に時間領域の送信サンプルストリームを送信するように構成された送信モジュールと,を備え,前記変換段と,マップ及び変換段との間に接続され,周波数領域の基底帯域信号を処理し,通信ポートと無線基地局との間の伝送チャネルの効果をシミュレートするように修正された基底帯域信号を供給するように構成された送信チャネルシミュレータモジュールを特徴とする周波数分割多元接続無線通信ネットワーク用の移動体端末シミュレータが提供される。
【0014】
本発明の別の態様によれば,通信標準に従うビットストリームを供給するステップと,時間領域のビットストリームを周波数領域の基底帯域信号に変換(convert)するステップと,基底帯域信号を時間領域の送信サンプルストリーム(BST)に変換(transform)するステップと,通信ポートによって送信サンプルストリームを周波数分割多元接続無線通信ネットワークの無線基地局に送信するステップと,を有し,周波数領域の基底帯域信号を処理するステップと,通信ポートと無線基地局との間の伝送チャネルの効果をシミュレートするように,基底帯域信号によって修正された基底帯域信号を供給するステップとを含むことを特徴とする周波数分割多元接続無線通信ネットワークの移動体端末をシミュレートする方法が提供される。
【0015】
ここで,いくつかの非制限的実施形態を例示する添付の図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】無線通信ネットワークの簡単なブロック図である。
【図2】図1の無線通信ネットワークにおいて利用できる本発明の第1実施例による周波数分割多元接続無線通信ネットワーク用の移動体端末シミュレータの簡単なブロック図である。
【図3】図2のシミュレータに組み込まれた第1リンク装置のより詳細なブロック図である。
【図4】図3の第1リンク装置の部品のより詳細なブロック図である。
【図5】図2のシミュレータに組み込まれた第2リンク装置のより詳細なブロック図である。
【図6】図2のシミュレータに組み込まれた第3リンク装置のより詳細なブロック図である。
【図7】図1の無線通信ネットワークにおいて利用できる本発明の第2実施例による周波数分割多元接続無線通信ネットワーク用の移動体端末シミュレータの第1の簡単なブロック図である。
【図8】本発明の第2実施例による周波数分割多元接続無線通信ネットワーク用の移動体端末シミュレータの第2の簡単なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に,例えば直交周波数分割多重化(OFDM)技術又は単一搬送波周波数分割多元接続(SC−FDMA)技術に基づく周波数分割多元接続無線通信ネットワークを簡単に示す。該無線通信ネットワークは全体が参照符号1で示され,ネットワークサブシステム2と,複数の無線基地局3と,複数の移動体端末4とを備える。ここで,そしてこれ以降,「無線通信システム」という用語は,少なくとも移動体端末とネットワーク基盤設備との間の接続が,無線周波リンクによって実現されている通信システムを指すものとする。
【0018】
ここで説明する例においては,移動体端末4が接続できるネットワーク基盤設備はネットワークサブシステム2と,該サブシステムに永続的に接続された無線基地局3とによって定義される。特に,移動体端末4は,実現された標準に従って定義された方法によって信号の送受信を最適化するように選択された,無線基地局3の一つを介してリンクを活性化することができる。図1はまた,通信システム1又はその一部に関する機能テストを実行するために,無線基地局3のうち一つに一方の側が接続されたチャネルシミュレータ5を示している。
【0019】
特に,チャネルシミュレータ5は,移動体端末の集団と,複数の種々の条件下において該集団の各メンバの通信チャネルによって生じる妨害とをシミュレートすることができる。
【0020】
図2に示すように,チャネルシミュレータ5は,複数のシミュレーションエンジン7と,アップリンク装置8と,ダウンリンク装置9と,通信ポート10と,を備える。
【0021】
アップリンク装置8の構造を図3により詳細に示す。特に,アップリンク装置8は複数の並列処理分枝(branch)11と,マップ及び変換段12と,送信器モジュール13と,を備える。
【0022】
シミュレーションエンジン7は,通信標準のプロトコルスタックを実装することによって,移動体端末の動作をシミュレートする。シミュレーションエンジン7はまた,例えばメッセージ記録,発呼及びデータ転送のような,移動体端末の通常の機能を実行するように構成される。シミュレーションエンジン7はそれぞれ,実装された通信標準によるデータシーケンス及び制御シーケンスを有する対応するビットストリームBS,…,BSを供給する。
【0023】
並列処理分枝11は対応するシミュレーションエンジン7に接続され,それぞれ,直列/並列変換器15と,シンボル発生器モジュール17と,離散フーリエ変換モジュール,すなわちDFTモジュール17と,チャネルシミュレータモジュール18と,を備える。
【0024】
各並列処理分枝11の直列/並列変換器15は入力において対応するビットストリームBS,…,BSを受信し,使用する変調方式(例えば2位相偏移変調(BPSK),16値直交振幅変調(16QAM)又は64値直交振幅変調(64QAM))に応じて,それぞれKビットの長さの語を形成する。これらの語はシンボル発生器モジュール16に渡され,該シンボル発生器モジュールは既知の方法でコンステレーションマップ(PSK又はQAM)を実行し,それによって変調されたビットストリームを表す複素サンプルを生成する。実際には,それぞれが振幅及び位相(又は,均等に,実数部及び虚数部)を有する2個の複素点(シンボル)のコンステレーションがKビットを表すために用いられ,無線基地局3aによって指定された副搬送波のうち一つで所定の移動体端末へ送信される。Kビットの特定の組合せが,各振幅−位相(すなわち実数部−虚数部)の対と関係する。ビットストリームは,コンステレーションの各シンボルに対応する振幅−位相(すなわち実数部−虚数部)値の対によって符号化される。指定された副搬送波はそれぞれ,送信するKビットのシーケンスに関係するシンボルに応じて,ある時間期間に振幅及び位相が変調される。
【0025】
したがって,シンボル発生器モジュール16の出力は,シミュレーションエンジン7によってシミュレートされた各移動体端末に関係する,基底帯域のスペクトル内容を規定する。以降,シンボル発生器モジュール16によって供給される複素サンプルがIQサンプルとして示される。したがって,シンボル発生器モジュール16は,シミュレーションエンジン7によって供給されるビットストリームBS,…,BSが符号化される対応するサンプルシーケンスIQ,…,IQを供給する。特に,サンプルIQ,…IQは,対応するビットストリームBS,…,BSの一部を表す基底帯域表現である。
【0026】
DFTモジュール17(単一搬送波周波数分割多元接続(SC−FDMA)の場合だけ必要)は,サンプルIQ,…,IQの集合について,離散フーリエ変換を計算する。実際上,DFTモジュール17の出力は,移動体端末に指定された帯域に対応する基底帯域信号SBB,…,SBB(例えば一般基底帯域信号SBB)を,この場合は,接続されたシミュレーションエンジン7に供給する。DFTモジュール17は,ピーク対平均電力比(PAPR)を減少させる効果を有する。基底帯域信号SBB,…,SBBはそれぞれ,ある時間期間に対して指定された副搬送波に関係する振幅及び位相を表す。
【0027】
直交周波数分割多重化(OFDM)変調の場合,DFTモジュール17はなく,基底帯域信号SBB,…,SBBが直接サンプルIQ,…,IQによって表される。
【0028】
したがって,以降,「基底帯域信号SBB,…,SBB」の記載は,SC−FDMA変調の場合はDFTモジュール17によって変更されたIQサンプル,OFDM変調の場合はIQサンプルを指すものとする。
【0029】
実際上,各並列処理分枝11において,直列/並列変換器15と,シンボル発生器モジュール16と,(SC−FDMA変調の場合)DFTモジュール17とが,各分枝に対応するビットストリームBS,…,BSをそれぞれ,周波数領域の基底帯域信号SBB,…,SBBに変換する変換段を形成する。
【0030】
チャネルシミュレータモジュール18は,対応する条件のチャネルモデルに基づいている。種々の並列処理分枝11のチャネルシミュレータモジュール18は,サンプル状況の数に応じて,別個のチャネルのそれぞれの条件を実現する(例えば,閉環境内の静止した位置,閉環境内又は屋外の徒歩での移動,ゆっくりと不規則に動く輸送手段,素早く,実質的に一定速度の輸送手段,など,での移動体端末の使用)。以降更に説明するように,チャネルシミュレータモジュール18は,無線基地局と,一定条件下で該無線基地局に接続された移動体端末との間の通信チャネルの効果をシミュレートするように,各基底帯域信号SBBで動作する。
【0031】
チャネルシミュレータ18はそれぞれ,修正された基底帯域信号SBB’,…,SBB’を供給する。
【0032】
マップ及び変換段12は,マップモジュール20と,逆フーリエ変換モジュール,すなわちIFFTモジュール21と,符号化モジュール22と,並列/直列変換器23と,を備える。
【0033】
マップモジュール20は並列処理分枝11のチャネルシミュレータモジュール18の出力を受信し,入力において修正された基底帯域信号SBB’,…,SBB’をマップして,それぞれに変調用副搬送波を指定する。マップモジュール20の入力と出力との対応法則は,無線基地局3の無線資源管理装置によって設定され,該管理装置は,各時間期間にどの帯域及びどの副搬送波を使用するかを選択して,各移動体端末に知らせる。実際上マップモジュール20は,無線基地局3によって提供される設定によって制御されるマルチプレクサのように動作する。マップモジュール20の出力(したがって,IFFTモジュール21の入力)の変換は,移動体端末に指定された帯域の周波数変換と均等である(ここではシミュレーションエンジン7によってシミュレートされる)。
【0034】
IFFTモジュール21は逆フーリエ変換を行い,周波数領域から時間領域への処理を行う。
【0035】
符号化モジュール22は,シンボル間干渉を最小化するために,循環プレフィクスを信号に挿入する。
【0036】
直列/並列変換器23は,符号化モジュール22から受信された信号を送信器モジュール13に印加される送信サンプルストリームBSTに変換し,BSTは送信器モジュール13に供給される。
【0037】
送信器モジュール13は通信ポート10を介して無線基地局3に接続され,デジタル−アナログ変換と,フィルタ演算と,無線基地局3が使用する周波数帯域について,直列/並列変換器23が提供する信号の変換と,を行う。
【0038】
一実施形態において,通信ポート10は,無線基地局3にケーブルで接続できるコネクタである。代替として,無線基地局3へのリンクは無線であってもよい。この場合,通信ポート10はアンテナを含む。無線基地局3へのリンクはまた,周波数変換を必要としないで,基底帯域において直接実施してもよい。
【0039】
図4に,並列処理分枝11のうち一つのチャネルシミュレータモジュール18の構造を示す。ほかの並列処理分枝11のチャネルシミュレータモジュール18も同一の構造を有し,実現された通信チャネルモデルによって区別できるものとする。
【0040】
チャネルシミュレータモジュール18は,チャネルフィルタ25と,乗算器ノード26と,複素ノイズ発生器27と,加算器ノード28と,を備える。
【0041】
チャネルフィルタ25は,時変係数の集合(例えば,利得,極及び零点)によって特定される時変伝達関数によって,ある種の通信チャネルのモデルを実現する。例えば,伝達関数は,閉環境内の静止位置,閉環境内又は屋外の徒歩での移動,ゆっくりと不規則に動く輸送手段,素早く,実質的に一定の速度の輸送手段,などにおける移動体端末の使用をシミュレートするように特徴付けられる。一実施形態において,チャネルフィルタ25はそれぞれが対応する種別の通信チャネルに対応する種々の伝達関数を実現するようにプログラムすることができる。この場合,チャネルフィルタ25はメモリ素子を備え,該メモリ素子は,対応する伝達関数を特定し,実行するテストに応じて毎回選択される係数の集合を記憶する。
【0042】
乗算器ノード26は,チャネルシミュレータモジュール18の処理モジュールアップストリームから指定された副搬送波に対応する基底帯域信号SBBを受信し,さらに,チャネルフィルタ25の伝達関数を規定する係数集合を受信する。指定された副搬送波の基底帯域信号SBBと伝達関数とが乗算される。これは時間領域において畳み込みを計算することと均等である。
【0043】
複素ノイズ発生器27は,第1及び第2の乱数発生器30及び31と,フィルタ32とを備える。第1及び第2の乱数発生器30及び31はそれぞれ,ノイズの実数部及び虚数部について,独立に乱数を供給する。フィルタ32は,乱数発生器30及び31双方の出力に,周波数領域の畳み込みによって適用され(第1及び第2の乗算器ノード33及び34),ノイズのスペクトル密度は領域全体に渡って完全に均一と考えることはできないことを考慮する。そしてノイズの実数部及び虚数部は,加算器ノード35によって加算される。
【0044】
加算器ノード28は,基底帯域信号と複素ノイズ発生器27によって供給されるノイズとを加算することによって結合する。このようにして加算器ノードの出力は,移動体端末から(この場合は,移動体端末シミュレータ6から)の信号についての通信チャネルの影響を考慮する周波数領域の基底帯域信号を供給する。
【0045】
図5に示すダウンリンク装置9は,アップリンク装置8と実質的に対称である。
【0046】
上述の実施形態において,ダウンリンク装置9は,通信ポート10を介して無線基地局3から到来する信号を受信し,時間領域のサンプルシーケンスを形成する受信器モジュール40と,直列/並列変換器41と,FFTモジュール42と,デマップモジュール43と,それぞれが対応するシミュレーションエンジン7に接続された複数の並列処理分枝45と,を備える。直列/並列変換器41と,FFTモジュール42と,デマップモジュール43とは,変換及びデマップ段44を形成する。
【0047】
受信器モジュール40は,無線周波から基底帯域への変換と,受信された信号のアナログ−デジタル変換とを実行する。
【0048】
受信器モジュール40によって処理されたサンプルストリームは直列/並列変換器41に渡され,直列/並列変換器は循環プレフィクスを除去し,FFTモジュール42に送り込む。
【0049】
デマップモジュール43はFFTモジュール42の出力を受信して,無線基地局3によって設定された指定によって,基底帯域信号SBBを並列処理分枝45へ供給する。
【0050】
並列処理分枝45は対応するシミュレーションエンジン7に接続され,それぞれ,デマップモジュール43から対応するシンボルシーケンスを受信するチャネルシミュレータモジュール46と,DFTモジュール47と,復調器48と,並列/直列変換器49と,を備える。
【0051】
各並列処理分枝45において,チャネルシミュレータモジュール46は実質的に同じ構造を有し,アップリンク装置8のチャネルシミュレータモジュール18と同様に動作する。並列/直列変換器49は,復調されたサンプルをビットシーケンスに変換し,ビットシーケンスは対応するシミュレーションエンジン7に渡される。
【0052】
特に(図6参照),各チャネルシミュレータモジュール46は,チャネルフィルタ50と,乗算器ノード51と,複素ノイズ発生器52と,加算器ノード53と,を備える。
【0053】
チャネルフィルタ50は,時変係数(例えば,利得,極及び零点)の集合によって特定される時変伝達関数によって,ある種の通信チャネルのモデルを実現する。
【0054】
乗算器ノード51は,デマップモジュール43から,指定された副搬送波に対応する基底帯域信号SBBを受信し,さらに,チャネルフィルタ50の伝達関数を規定する係数集合を受信する。指定された副搬送波の基底帯域信号と,伝達関数とが乗算される。このことは時間領域において畳み込みを計算することと均等である。
【0055】
複素ノイズ発生器52は,第1及び第2の乱数発生器55及び56,並びにフィルタ57を備える。第1及び第2の乱数発生器55及び56はそれぞれ,ノイズの実数部及び虚数部に独立に乱数を供給する。フィルタ57は,周波数領域における畳み込み(第1及び第2の乗算器ノード58及び59)によって乱数発生器55及び56双方の出力に適用され,ノイズのスペクトル密度は領域全体に渡って完全に均一と考えることはできないことを考慮する。そしてノイズの実数部及び虚数部が加算器ノード60によって加算される。
【0056】
加算器ノード53は,基底帯域信号SBBと,複素ノイズ発生器27によって供給されるノイズとを加算して結合する。このようにして加算器ノードの出力が,無線基地局3から到来する信号についての通信チャネルの影響を考慮する,周波数領域における修正された基底帯域信号SBB’を供給する。
【0057】
各並列処理分枝11のチャネルシミュレータモジュール18を利用することによって,無線基地局3によって指定された1又は複数の副搬送波に対応する,各シミュレーションエンジン7によってシミュレートされた移動体端末への狭帯域信号について検討することが可能になる。さらに,通信チャネルの効果は,チャネルフィルタ25の伝達関数と指定された副搬送波の基底帯域信号とを乗算することによって,周波数領域において直接判定することができる。周波数領域における乗算は時間領域における畳み込み演算の均等物であるが,処理能力がずっと少なくて済む。相互的に,同一の効果はチャネルシミュレータモジュール46による受信においても得ることができる。したがって,時変伝達関数によって,複数の現実的な状況における通信チャネルの効果を同時にシミュレートすることができる。シミュレーションは,一方では単一副搬送波に関係する帯域幅が制限されており,他方では周波数領域における畳み込みが乗算演算によって解決されるため,計算負荷が大きくなく,資源の利用も多くない。
【0058】
隣接セル又は受信器自身のノイズから派生することがある干渉効果は,各シミュレーションエンジン7から到来する信号に白色ノイズを選択的に加算することによってシミュレートされる。加法性白色ノイズの挿入は,周波数領域の基底帯域信号について実行される。
【0059】
図7に示す実施形態によれば,既に説明されたものと同一の部分は同一の参照符号によって示されており,MIMO(多入力多出力)タイプのチャネルシミュレータ100は,複数のシミュレーションエンジン7と,それぞれが対応するシミュレーションエンジン7に接続された複数の並列処理分枝111と,二つのマップ及び変換段12と,二つの送信器段13と,二つの通信ポート10と,を備える。
【0060】
シミュレーションエンジン7及び対応する並列処理分枝111は,無線基地局によって割り当てられた副搬送波及び帯域に関して同一の資源を共有する対として関係付けられる。シミュレーションエンジン7及び対応する並列処理分枝111の対は,シミュレーションユニット101を形成する。
【0061】
特に,並列処理分枝111はそれぞれ,既に説明した種類の対応する直列/並列変換器15と,対応するシンボル発生器モジュール16と,対応するDFTモジュールとを含む。
【0062】
一実施形態において,シミュレーションユニット101はMIMOプリコーディング行列102を備え,対応する並列処理分枝111の出力を受信し,送信信号を最適化するように処理する。特に,シミュレーションユニット101は対応する第1及び第2の出力を有し,該出力はMIMOプリコーディング行列102の対応する第1及び第2の出力によって規定され,対応する基底帯域信号SBB,…,SBBを供給する。
【0063】
さらに,図4に関して説明した種別の四つの独立したチャネルシミュレータモジュール118a,118b,118c及び118dが,各チャネルシミューションユニット101と関係する。一般に,K個の通信ポートがあるとき,シミュレーションモジュールの数は2個である。
【0064】
簡単にするため,ここでは一つのシミュレーションユニット101を参照する。しかし,ここで説明することは,別途指定する場合を除いてほかのシミュレーションユニット101すべてにも適用可能であるものとする。
【0065】
プリコーディング行列102の第1出力は,チャネルシミュレータモジュール118a及び118cに接続され,第2出力はチャネルシミュレータモジュール118b及び118dに接続される。チャネルシミュレータモジュール118a及び118bの出力は,加算器ノード120によって加算され,チャネルシミュレータモジュール118c及び118dの出力は加算器ノード121によって加算される。加算器ノード120及び121の出力は,対応する修正された基底帯域信号SBB’,…,SBB’を供給し,マップ及び変換段12の双方と平行して転送される。このようにして,チャネルシミュレータ100の二つの通信ポート10それぞれと,チャネルシミュレータ100が接続されている無線基地局3の二つの対応する入力ポートとの間の経路(実際には四つの経路)に沿った通信チャネルの効果は,実際には独立に考慮される。各シミュレーションユニット101の二つの列(line)の相互寄与は,加算によって結合される。
【0066】
マップ及び変換段12は,図3について既に説明したものと同一の構造を有し,特にそれぞれがマップモジュール20と,逆変換モジュールすなわちIFFTモジュール21と,符号化モジュール22と,並列/直列変換器23と,の対応するインスタンスを備える。
【0067】
二つの並列/直列変換器23によって生成される送信サンプルストリームBST及びBSTは,対応する送信器モジュール13に送られる。送信器モジュールはそれぞれ対応する通信ポート10を介して無線基地局3に接続される。図3の場合のように,送信器モジュール13は,デジタル−アナログ変換と,フィルタ演算と,アナログ信号の無線基地局3によって用いられる周波数帯域への変換と,を行う。
【0068】
最後に,送信サンプルストリームBST及びBSTは,送信器モジュール13によって別々に,かつ同時に無線基地局3へ送信される。
【0069】
図8は,図7のMIMOチャネルシミュレータ100の受信システムを簡単に示している。
【0070】
受信システムは,対応する通信ポート10に接続された二つの受信器モジュール40と,二つの変換及びデマップ段144と,それぞれ対応するシミュレーションエンジン7に接続された複数の並列処理分枝147と,を備える。
【0071】
シミュレーションエンジン7及び対応する並列処理分枝147は,無線基地局によって割り当てられた副搬送波及び帯域に関して同一資源を共有する対として関係付けられる。シミュレーションエンジン7及び対応する関係した並列処理分枝147の対はシミュレーションユニット150を形成し,該ユニットそれぞれもまた対応する等化段151を備える。
【0072】
さらに,図6に関して説明した種類の四つの独立したシミュレーションモジュール145a,145b,145c及び145dが各シミュレーションユニット147と関係する(一般に2個のシミュレーションモジュール,Kは通信ポート10の数)。
【0073】
変換及びデマップ段144はそれぞれ,直列/並列変換器41と,FFTモジュール42と,デマップモジュール43と,を備える。
【0074】
受信器モジュール40は,無線周波から基底帯域への変換と,対応する通信ポート10を介して受信した信号のアナログ−デジタル変換を行う。
【0075】
受信器モジュール40によって処理されたサンプルストリームは対応する直列/並列変換器41に渡され,該変換器は循環プレフィクスを除去し,対応するFFTモジュール42に送り込む。
【0076】
デマップモジュール43は対応するFFTモジュール42の出力を受信し,周波数領域の基底帯域信号を供給する。該信号はチャネルシミュレータモジュール145a〜145dによって処理され,そして並列処理分枝145に送り込まれる前に,無線基地局3によって設定された指定によって結合される。
【0077】
簡単にするため,ここでは一つのシミュレーションユニット150を参照する。しかし,ここで説明することは,別途指定する場合を除いてほかのシミュレーションユニット150すべてにも適用可能であるものとする。
【0078】
シミュレーションユニット150と関係するチャネルシミュレータモジュール145a及び145cは,第1のデマップモジュール43から同一の出力を受信し,チャネルシミュレータモジュール145b及び145dは,第2のデマップモジュール43から同一の出力を受信する。チャネルシミュレータモジュール145a及び145cの出力は加算器ノード155によって加算され,チャネルシミュレータモジュール145b及び145dの出力は加算器ノード156によって加算される。加算器ノード155及び156は,同一のシミュレーションユニット150の対応する入力へ並列に転送される。このようにして,チャネルシミュレータ100の二つの通信ポート10それぞれと,チャネルシミュレータ100が接続されている無線基地局3の二つの対応する入力ポートとの間の経路(実際には四つの経路)に沿った通信チャネルの効果は,実際には独立に考慮される。各シミュレーションユニット101の二つの列の相互寄与は,加算によって結合される。
【0079】
上述のとおり,シミュレーションユニット150はそれぞれ,等化段151及び二つの並列処理分枝147を備える。等化段151の入力は,対応するシミュレーションユニット150の入力を規定する。等化段151はまた,該等化段が属するシミュレーションユニット150の対応する並列処理分枝147に接続された出力を備える。
【0080】
二つの並列処理分枝147はそれぞれ,図5について既に説明したように,IDFTモジュール47と,復調器48と,並列/直列変換器49と,を備える。
【0081】
上述したことは,2を超える伝送経路(例えば4)を有するMIMOシステムの場合にも適用できる。
【0082】
最後に,添付の特許請求の範囲に規定した本発明の範囲から逸脱することなく,移動体端末シミュレータに変更又は修正を行ってもよいことは明白である。
【符号の説明】
【0083】
1 周波数分割多元接続無線通信ネットワーク
2 ネットワークサブシステム
3 無線基地局
4 移動体端末
5 チャネルシミュレータ
7 シミュレーションエンジン
8 アップリンク装置
9 ダウンリンク装置
10 通信ポート
11 並列処理分枝
12 マップ及び変換段
13 送信器モジュール
15 直列/並列変換器
16 シンボル発生器モジュール
17 DFTモジュール
18 チャネルシミュレータモジュール
20 マップモジュール
21 IFFTモジュール
22 符号化モジュール
23 並列/直列変換器
25 チャネルフィルタ
26 乗算器ノード
27 複素ノイズ発生器
28 加算器ノード
30 第1乱数発生器
31 第2乱数発生器
32 フィルタ
33 第1乗算器ノード
34 第2乗算器ノード
35 加算器ノード
40 受信器モジュール
41 直列/並列変換器
42 FFTモジュール
43 デマップモジュール
45 並列処理分枝
46 チャネルシミュレータモジュール
47 DFTモジュール
48 復調器
49 並列/直列変換器
50 チャネルフィルタ
51 乗算器ノード
52 複素ノイズ発生器
53 加算器ノード
55 第1乱数発生器
56 第2乱数発生器
57 フィルタ
58 第1乗算器ノード
59 第2乗算器ノード
60 加算器ノード
100 チャネルシミュレータ
101 シミュレーションユニット
102 プリコーディング行列
111 並列処理分枝
118a−118d チャネルシミュレータモジュール
120,121 加算器ノード
145a−145d シミュレーションモジュール
147 並列処理分枝
150 シミュレーションユニット
151 等化段
155,156 加算器ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数分割多元接続通信ネットワーク用の移動体端末シミュレータであって,
通信標準に従ってビットストリーム(BS,…,BS)を供給するように構成されたシミュレーションエンジン(7)と,
前記ビットストリーム(BS,…,BS)を周波数領域の基底帯域信号(SBB,…,SBB)に変換するように構成された変換段(15,16及び17)と,
前記基底帯域信号(SBB,…,SBB)に応じて,時間領域の送信サンプルストリーム(BST)を生成するように構成されたマップ及び変換段(12)と,
通信ポート(10)によって無線通信ネットワーク(1)の無線基地局(3)に接続可能であり,前記時間領域の送信サンプルストリーム(BST)を前記無線基地局(3)に送信するように構成される送信モジュール(13)と,を備え,
前記変換段(15,16及び17)と前記マップ及び変換段(12)との間に接続され,前記通信ポート(10)と前記無線基地局(3)との間の伝送チャネルの影響をシミュレートするために,前記周波数領域の基底帯域信号(SBB,…,SBB)を処理し,修正された基底帯域信号(SBB’,…SBB’)を供給するように構成された送信チャネルシミュレータモジュール(18,118a‐d)を特徴とするシミュレータ。
【請求項2】
前記送信チャネルシミュレータモジュール(18,118a−d)は,前記通信ポート(10)と前記無線基地局(3)との間の伝送チャネルの影響を表すチャネル伝達関数を,前記基底帯域信号(SBB,…,SBB)に適用する,請求項1に記載のシミュレータ。
【請求項3】
前記送信チャネルシミュレータモジュール(18,118a−d)は,前記基底帯域信号(SBB,…,SBB)に前記チャネル伝達関数を周波数領域において乗算する,請求項2に記載のシミュレータ。
【請求項4】
前記チャネルシミュレータモジュール(18,118a−d)は加法性ノイズを印加するように構成される,請求項2又は3に記載のシミュレータ。
【請求項5】
前記送信チャネルシミュレータモジュール(18,118a−d)は,複素ノイズ発生器(27)と,該複素ノイズ発生器(27)によって供給される前記加法性ノイズを前記基底帯域信号(SBB,…,SBB)に加算するように構成された加算器ノード(28)とを備える,請求項4に記載のシミュレータ。
【請求項6】
前記複素ノイズ発生器(27)は,第1及び第2の乱数発生器(30及び31)と,乱数発生器(30及び31)双方の出力に適用されるフィルタ(32)とを備える,請求項5に記載のシミュレータ。
【請求項7】
前記通信標準に従って,それぞれ独立したビットストリーム(BS,…,BS)を供給するように構成された複数のシミュレーションエンジン(7)と,
複数の送信中の並列処理分枝(11,111)であって,それぞれ対応するシミュレーションエンジン(7)に接続されて,対応するビットストリーム(BS,…,BS)を受信する並列処理分枝と,を備え,
各送信中の並列処理分枝(11,111)は,
対応する変換段(15,16及び17)であって,対応するシミュレーションエンジン(7)に接続されて,前記対応するビットストリーム(BS,…,BS)を受信し,時間領域の前記対応するビットストリーム(BS,…,BS)を,周波数領域の対応する基底帯域信号(SBB,…,SBB)に変換するように構成された変換段と,
対応する送信チャネルシミュレータモジュール(18,118a−d)であって,前記対応する変換段(15,16及び17)と前記マップ及び変換段(12)との間に接続され,前記シミュレーションエンジン(7)と前記無線基地局(3)との間の対応する伝送チャネルの効果をシミュレートするために,前記周波数領域の対応する基底帯域信号(SBB,…,SBB)を処理し,前記マップ及び変換段(12)に対応する修正された基底帯域信号(SBB’,…,SBB’)を供給するように構成された送信チャネルシミュレータモジュールと,を備える,請求項1〜6のいずれか一項に記載のシミュレータ。
【請求項8】
複数のマップ及び変換段(12)と,複数の送信モジュールとを備え,
シミュレーションエンジン(7)及び対応する送信並列処理分枝(111)のグループが送信シミュレーションユニット(101)を形成し,
各送信シミュレーションユニット(101)は,該シミュレーションユニット(101)内の送信並列処理分枝(111)の数と同数の出力を有する対応するMIMOプリコーディング行列(102)を備え,
対応する受信チャネルシミュレータモジュール(118a−d)は,各MIMOプリコーディング行列(102)の各出力と各マップ及び変換段(12)との間に配置される,請求項7に記載のシミュレータ。
【請求項9】
加算器ノード(120及び121)は各送信シミュレーションユニット(101)と関係し,前記対応するMIMOプリコーディング行列(102)の個別出力に接続された受信チャネルシミュレータモジュール(118a−d)の出力を加算するように構成される,請求項8に記載のシミュレータ。
【請求項10】
同一のMIMOプリコーディング行列(102)出力に接続された前記受信チャネルシミュレータモジュール(118a−d)の出力は,個別加算器ノード(120及び121)に供給される,請求項9に記載のシミュレータ。
【請求項11】
前記加算器ノード(120及び121)は,各マップ及び変換段(12)に並列に対応する出力を印加するように構成される,請求項8又は9に記載のシミュレータ。
【請求項12】
前記マップ及び変換段(12)は,マップモジュール(20)であって,前記チャネルシミュレータモジュール(18)に接続されて,前記修正された基底帯域信号(SBB’,…,SBB’)を受信し,該修正された基底帯域信号(SBB’,…,SBB’)のマップを実行して少なくとも一つの対応する副搬送波を,各修正された基底帯域信号(SBB’,…,SBB’)に指定するように構成されたマップモジュールを備える,請求項7〜11のいずれか一項に記載のシミュレータ。
【請求項13】
前記マップ及び変換段(12)は,
前記マップモジュール(20)に接続され,前記修正された基底帯域信号(SBB’,…,SBB’)に対して逆変換を実行するように構成された逆変換モジュール(21)と,
前記逆変換モジュール(21)から受信された信号に循環プレフィクスを挿入するように構成された符号化モジュール(22)と,
前記符号化モジュール(22)から受信した,前記送信サンプルストリーム(BST)内の信号を変換し,前記送信サンプルストリームを前記送信器モジュール(13)に供給するように構成された直列/並列変換器(23)と,
を備える請求項7〜12のいずれか一項に記載のシミュレータ。
【請求項14】
無線通信ネットワーク(1)の無線基地局(3)に接続可能であって,該無線基地局(3)によって送信されたサンプルストリームを受信する受信器モジュール(40)と,
前記受信されたサンプルストリームを周波数領域のサンプルストリームに変換するように構成された変換及びデマップ段(44)と,
復調器(48)と,
前記デマップ及び変換段(41,42及び43)と前記復調器(48)との間に接続され,前記シミュレーションエンジン(7)と前記無線基地局(3)との間の伝送チャネルの効果をシミュレートするために,前記周波数領域のサンプルストリームを処理するように構成された更なるチャネルシミュレータモジュール(46)と,
を備える請求項1〜13のいずれか一項に記載のシミュレータ。
【請求項15】
複数の受信モジュール(13)と,
複数の変換及びデマップ段(144)と,
複数の受信チャネルシミュレータモジュール(145a−d)と,
複数の受信並列処理分枝(147)と,を備え,
シミュレーションエンジン(7)及び対応する受信並列処理分枝(147)のグループが受信シミュレーションユニット(150)を形成し,
各受信シミュレーションユニット(150)は,対応する受信並列処理分枝(147)に接続された出力を有する対応する等化段(151)を備え,
対応する受信チャネルシミュレータモジュール(145a‐d)は,各変換及びデマップ段(144)の各出力と,各等化段(151)の各入力との間に配置される,請求項14に記載のシミュレータ。
【請求項16】
受信加算器ノード(155及び156)は,各受信シミュレーションユニット(150)に関係し,個別の変換及びデマップ段(144)の出力に接続された受信チャネルシミュレータモジュール(145a−d)の出力を加算するように構成される,請求項15に記載のシミュレータ。
【請求項17】
前記受信加算器ノード(155及び156)は,対応する出力を対応する受信並列処理分枝(147)に供給するように構成される,請求項16に記載のシミュレータ。
【請求項18】
周波数分割多元接続ネットワーク用の移動体端末をシミュレートする方法であって,
通信標準に従ってビットストリーム(BS,…,BS)を供給するステップと,
時間領域の前記ビットストリーム(BS,…,BS)を周波数領域の基底帯域信号(SBB,…,SBB)に変換するステップと,
前記基底帯域信号(SBB,…,SBB)を時間領域の送信サンプルストリーム(BST)に変換するステップと,
前記送信サンプルストリーム(BST)を,通信ポート(10)によって周波数分割多元接続無線通信ネットワーク(1)の無線基地局(3)に送信するステップと,を有し,
前記通信ポート(10)と前記無線基地局(3)との間の伝送チャネルの影響をシミュレートするために,前記周波数領域の基底帯域信号(SBB,…,SBB)を処理するステップと,前記基底帯域信号(SBB,…,SBB)に応じて修正された基底帯域信号(SBB’,…SBB’)を供給するステップと,を有することを特徴とする方法。
【請求項19】
前記基底帯域信号(SBB,…,SBB)を処理するステップは,前記シミュレーションエンジン(7)と前記無線基地局(3)との間の伝送チャネルの影響を表すチャネル伝達関数を,周波数領域で前記基底帯域信号(SBB,…,SBB)に適用するステップを有する,請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記通信標準に従って,複数の独立した基底帯域ビットストリーム(BS,…,BS)を供給するステップと,
前記基底帯域ビットストリーム(BS,…,BS)を並列に処理するステップと,を有し,
前記基底帯域ビットストリーム(BS,…,BS)を並列に処理するステップは,
前記時間領域のビットストリーム(BS,…,BS)を,周波数領域の対応する基底帯域信号(SBB,…,SBB)に変換するステップと,
対応する基底帯域信号(SBB,…,SBB)を供給する複数のシミュレーションエンジン(7)それぞれと,前記無線基地局(3)との間の対応する伝送チャネルの効果をシミュレートするために,前記周波数領域の基底帯域信号(SBB,…,SBB)を処理し,修正された基底帯域信号(SBB’,…,SBB’)を供給するステップと,を有する,請求項18又は19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−239173(P2012−239173A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−109836(P2012−109836)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(512123961)プリズマ エンジニアリング ソチエタ レスポンサビリタ リミテ (1)
【Fターム(参考)】