説明

無線通信制御装置及び無線送受信機並びにそれらを用いた無線通信システム

【課題】アドホック無線通信システムにおいて、使用する無線通信方式全体に影響を及ぼす大規模な障害が発生した場合においても高信頼な無線通信を提供する。
【解決手段】端末100、アクセスポイント200、中継局(300A−300C)がそれぞれ複数の無線方式を実装し、ネットワークの通信路を決めるコーディネータ400に対してそれぞれが自局周辺の通信路の状況を測定した通信路情報500を通知する。通信路状況を把握したコーディネータ400は、端末100、アクセスポイント200間の複数の無線方式による複数ルートの設定、及び各中継区間でどの無線方式を用いて通信を行うかを指示し、各中継局(300A−300C)はその指示に従って測定データ503を伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信制御装置及び無線送受信機並びにそれらを用いた無線通信システムに係り、特に、複数の無線中継局を経由して端末からアクセスポイントまでデータを送信するアドホック無線通信機器及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線LANや携帯電話などの個人向け無線通信システムの普及に続き、産業分野での無線通信に対する需要が高まっている。例えばプラントなどの製造業の現場では多くの機器が有線で制御されているため、新たな機器を設置する場合においてはその機器に制御情報を伝達するためのケーブルの設置工事が必須となる。このため設置機器本体のコストに加え、ケーブルの設置工事のコスト、さらに工事期間中に製造ラインを止めなければならないことによる損失が発生する。これらの制御情報を無線で送ることができればコストを大幅に軽減することができる。産業分野への無線応用を実現するためには、従来の有線通信と同等以上の信頼性の確保が必要となる。
【0003】
これに対し、特許文献1のように同じ内容のデータを複数の経路で送信するルートダイバーシティにより通信の途絶を防ぎ、信頼性を確保する手段がある。
【0004】
また特許文献2や特許文献3では複数のパスで符号を変えた通信を行うことで冗長性を高め、信頼性を得ている。また急激な通信路環境の変化に対しては特許文献4では通信路の状況に応じてルートを切り替えることにより対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−195179号公報
【特許文献2】特開2008−148299号公報
【特許文献3】特表2004−538690号公報
【特許文献4】特開2010−35068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の無線通信では、他の無線方式からの干渉や産業用機器、電車、家庭用電気機器その他からの電磁雑音の影響や、通信経路への物体の侵入による物理的な遮蔽等により、無線通信システムの使用エリアにおいて、使用している無線方式の通信周波数帯域の全体に影響するような通信障害が発生した場合に、信頼性を確保する手段がなかった。例えば、複数の経路を用いてデータを伝送するルートダイバーシティ方式では、使用している通信方式全体に影響が及ぶような障害が発生した場合、全てのルートが影響を受けるため、十分な信頼性を得られなかった。またルート間で使用する符号や拡散率などの通信パラメータを変更する方式でも、周波数やチャネル、変調方式などの通信方式自体の変更は行われないため、使用する周波数帯全域に障害が発生すると通信が途絶してしまうという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、アドホック無線通信システムにおいて、使用する無線通信方式全体に影響を及ぼす大規模な障害が発生した場合においても、高信頼な無線通信を確保できる無線通信制御装置や無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の代表的なものの一例を示すと、次の通りである。本発明の無線通信システムは、各々、複数の無線方式を実装した端末、中継局、及びアクセスポイントを有し、さらに、前記各端末と前記アクセスポイント間の通信ルートを設定する機能を持つ少なくとも1つの無線通信制御装置を備えたアドホック無線通信システムにおいて、前記無線通信制御装置は、前記端末から前記中継局を経由して前記アクセスポイントに至る通信ルートとして、該通信ルートの通信路状況に応じて、周波数や変調方式の異なる無線通信方式を用いた複数の通信ルートを設定する機能を持ち、該無線通信制御装置から指定された前記複数の通信ルートにより、前記各端末と前記アクセスポイント間での無線通信を行い、前記端末から前記アクセスポイントに同じ情報を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アドホック無線通信システムにおいて、1つの無線方式全体に及ぶような広範囲な障害が発生した場合においても、周波数や変調方式が異なる別の無線通信方式を併用して同じデータを送信しているため、通信の途絶を生じることなくデータを伝送することができる。これにより、有線通信に匹敵する高信頼の無線通信を実現することができ、通信ケーブルの設置コストの減少や設置工事の期間短縮、また柔軟なシステム拡張が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施例の、システム構成例を示す図。
【図2A】第1の実施例の、通信路状況DBの例を示す図。
【図2B】通信障害時の動作説明図である。
【図3】第1の実施例の、端末の構成例を示す図。
【図4】第1の実施例の、アクセスポイントの構成例を示す図。
【図5】第1の実施例の、中継局の構成例を示す図。
【図6】第1の実施例の、コーディネータの構成例を示す図。
【図7】第1の実施例において、パケットがルーティング情報を含む場合のシステムの動作例を示す図。
【図8】第1の実施例において、パケットがルーティング情報を含む場合のメッセージフロー例を示す図。
【図9】第1の実施例において、中継局がルーティング情報を持つ場合のシステムの動作例を示す図。
【図10】第1の実施例における、ルート決定手順を示す図。
【図11A】第1の実施例における、代替路設定の例を示す図。
【図11B】第1の実施例における、代替路設定の例を示す図。
【図12】第1の実施例における、ルート変更手順を示す図。
【図13】第1の実施例における、通信途絶時の代替路設定手順を示す図。
【図14】本発明の第2の実施形態の、システム構成を示す図。
【図15】本発明の第3の実施形態の、システム構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の無線通信システムによれば、端末、アクセスポイント間での通信で複数の中継局を経由するアドホック通信で、端末、アクセスポイント、中継局がそれぞれ複数の無線方式を実装したシステムにおいて、端末、アクセスポイント間に複数のルートを設定し、同じ内容のデータを送信する。このときそれぞれのルートでのデータ中継に対し、通信路の状況に応じた無線方式を選択することで、例え1つの通信方式全体に影響が及ぶような大規模な通信障害が発生しても必ず通信が届くようにする。ルートの設定及び各中継区間でどの無線方式を用いて通信を行うかは、各中継局の通信路状況を把握したコーディネータ(無線通信制御装置)が指示し、各中継局はその指示に従って信号を伝達する。また複数のルート間で中継局が重複して使わないようにすることで、中継局の故障や遮蔽などにより通信が途絶することを防ぐ。
【0012】
上記のシステムにおいて、同一エリア内にコーディネータが複数存在する場合は、隣接コーディネータ間でデータ共有を行うことで、同じエリア内に存在する全コーディネータがエリア内の通信路状況を全て把握することにより、適切なルート指示を行う。
【0013】
また各中継局がそれぞれ個別に自局周辺の通信路状況を把握し、それぞれの中継局で最適な転送先と使用する通信方式を設定することでコーディネータなしで複数の無線方式を用いたルートダイバーシティを実現することもできる。
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いながら説明する。なお以下の説明で述べる通信方式とは、例えば、無線LANのIEEE802.11a方式やIEEE802.11b方式、ZigbeeやUWB(Ultra Wideband)方式、ISA100.11a方式を示す。さらに、特定小電力無線などを使用しても良い。
【0015】
以下の説明では端末が測定した、温度、圧力、ガス濃度、光、音等の測定データの送受信を想定している。これにより、本発明のアドホック無線通信システムを、都市の集中監視ネットワーク、電力機器やプラントなどの異常監視システム、消費エネルギー監視装置、作業現場における予知保全システム、交通機関の運行管理システム、ビルの空調、照明制御装置、ビルの入退室管理システムや警備システム等に適用できる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、工場内における産業機器や病院内における医療用機器等、各種のアクチュエータの制御や位置検出等、機器の制御情報の送受信など、広い分野に適用できる。
【実施例1】
【0016】
本発明の第1の実施形態になる無線通信システムの構成例を図1に示す。本実施例のアドホック無線通信システムは、各々が複数の無線方式を実装した複数の端末100と、少なくとも1つのアクセスポイント(基地局)200と、複数の中継局300と、各端末100とアクセスポイント200間の複数の通信ルートを設定する機能を持つコーディネータ(無線通信制御装置)400からなるアドホック無線通信システムである。各端末100、アクセスポイント200、及び中継局300は、各々、自局周辺の通信路状況を測定してコーディネータ400に通知する機能を持つ。コーディネータ400は、各機器間の経路(中継区間)の通信状況に応じて複数の無線方式を採用した通信ルート(複数の中継区間)を指定し各端末100や中継局300に通知し、この指定された通信ルートで複数の無線方式が使用されて同時に無線通信がなされる。
【0017】
無線通信システム内の全ての端末100、中継局(300A−300C)、及び、アクセスポイント200の各デバイスは、「通信環境測定機能」を備えており、自局周辺の通信路の状況を測定、監視し、変化が生じたらコーディネータ400に“通信路情報”500を送る。この「通信環境測定機能」により求められる通信路のパラメータとしては、受信した信号電力の強度のインジケータ(RSSI)の他に雑音電力、リンク品質インジケータ(LQI:Link Quality Identifier)、通信路の実効スループット、レイテンシなどがある。これらの情報は、無線方式がその通信路に適しているかを判定するのに利用される。
【0018】
コーディネータ400は、それら“通信路情報”500による報告結果を、図2Aのように通信路状況DB406に登録し、その測定結果に応じて通信路の利用判定を行う。例えば、受信した信号電力と雑音電力の比(SN比)が一定値以下の通信路をBもしくはC、一定値以上ならばAというように判定する。
【0019】
コーディネータ400は、通信ルートの状況の判定結果に応じて、信頼度が高い例えば利用判定Aの通信ルートの採用を決定し、各デバイスへ指示する。なお、通信路状況DB406を含むコーディネータ400の構成に関しては図6で説明する。
【0020】
コーディネータ400は、アドホック通信システムにおいて、この“通信路情報”500に基づいて、端末100、アクセスポイント200間に、常時、所定の基準を満たす複数のルートを確保し、同じデータを送信可能に制御する。コーディネータ400は、物理的な通信環境、例えば、端末、中継局、アクセスポイント間の距離の長短、等の状況に応じて夫々、各機器間において各無線方式の特徴を生かした最適な複数の通信方式を設定する。
【0021】
そして、例えば、ある通信ルートに利用判定Aの通信ルートとして、図2Bに示したように、2.4GHzのZibBee方式が使用されている状態で、他の無線方式からの電波や、機器からの電磁雑音の影響等により通信障害が発生したとき、通信障害の程度により、ZibBee方式の周波数帯域の一部チャンネルのみに影響がある場合と、全周波数帯域に影響するような場合とがある。これらの通信障害の程度は“通信路情報”500により判定できるので、例えば利用判定Cとなった通信ルートに関して、コーディネータ400は、通信障害の影響が無く利用判定がA又はBの他のルート、例えば、同じ周波数帯域の他のチャンネル、あるいは他の周波数帯域、もしくは他の変調方式、を新たな通信ルートとして採用し、各デバイスへ指示する。
【0022】
端末100は、コーディネータ400により指示された複数の経路に従って測定データ503をアクセスポイント200まで送る。
【0023】
一例を挙げると、アクセスポイント200が工場内のロボットアーム、端末100が温度センサであり、無線通信により同じ“測定データ”すなわち同じ温度センサによる測定データを、複数の無線方式による複数のルートを経由して、所定時間間隔で同じデータをアクセスポイント200に送信する。送信される測定データには、温度センサによる測定時刻の情報も含まれる。
【0024】
本発明では、同じ端末で測定されたデータ同じ種類の、例えば温度、圧力に関する情報やデータを、各々、温度、圧力に関する“同じ情報”もしくは“同じデータ”と定義する。なお、無線方式によって“測定データ”の通信速度は異なるので、端末100である特定の時刻に測定された温度に関する“測定データ”であっても複数の中継区間を経てアクセスポイント200に到達する時刻は異なる可能性が大きい。アクセスポイント200では、これら時間間隔の異なる複数の“同じデータ”を、各測定時刻毎に、例えば温度に関する“測定データ”として1つに纏め、広域ネットワーク209を介して上位の制御装置220へ送信する。
【0025】
次に、端末100の構成例を図3に示す。端末100は、必要なデータを測定するためのセンサ108を接続するセンサI/F106、センサの測定や通信を制御する端末制御部105、端末制御部105の指示を受けてセンサデータの送信やシステム接続のためのメッセージを作成するメッセージ作成部103、作成したメッセージの各通信方式に対応したフォーマットへの変換および受信したメッセージの各方式共通のフォーマットへの変換を行うメッセージ変換部102、複数の通信方式で受信されたメッセージ内容のなかで内容が同じものを統合するメッセージ統合部104、及び前記「通信環境測定機能」により端末周辺の通信環境を測定する通信環境測定部107から構成される。また、端末100は、複数の無線方式の送受信機(109A−109D)と接続可能で、それぞれの送受信機109に対応したインタフェース(I/F)101A−101Dをもつ。さらに、電源やその制御部も備えている。上記各部の機能は、例えば、マイクロコンピュータのメモリに保持されたプログラムを実行することで実現され、あるいは制御される。
【0026】
本実施例の無線通信システムで用いられる複数の通信方式とその搬送周波数、及び変調方式の一例を挙げると次の通りである。IEEE 802.11a方式では5GHzの周波数帯域、IEEE 802.11b方式では2.4GHzの周波数帯域が用いられる。なお、IEEE 802.11a方式では5.150〜5.350GHzの周波数帯域が8のチャンネルに区分して割り当てられている。また、IEEE 802.11b方式では、2.400〜2.4835GHzの周波数帯域が5MHzずつ区分して14のチャンネルに割り当てられている。変調方式として、IEEE802.11aには、直交波周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)等が用いられる。IEEE 802.11b方式では、変調方式としてDSSS ( Direct Sequence Spread Spectrum)により信号を拡散した後、二位相偏移変調(BPSK:binary phase-shift keying)、四位相偏移変調方式(QPSK:Quadrature Phase Shift Keying)、あるいは相補符号変調(CCK :Complementary Code Keying)のいずれかの変調方式を使用してデータを送信している。
【0027】
また、Zigbee方式では、868MHz、915MHz、2.4GHzの3つの周波数帯域が用いられる。例えば、Zigbee方式の915MHz帯域は、902MHz〜928MHzの周波数帯域が2MHzずつ区分して10のチャンネルに割り当てられている。変調方式には、OQPSK等が用いられる。
【0028】
そのほか、UWBでは3.1GHz〜10.6GHzの広い周波数帯に拡散して送受信が行なわれる。その他、13.56MHzの周波数帯域を用いるNFC方式もある。
【0029】
本発明の無線通信システムでは、コーディネータ(無線通信制御装置)400が、各デバイス間の経路(複数の中継区間)と、これらの1つあるいは複数の無線通信方式、換言すると、周波数帯域や変調方式の組み合わせを適宜選択し、障害がある場合はこれらの組み合わせを変更することによって、システム内において常に最適な通信路を確保する。
【0030】
例えば、図2Bの例に示したように、通信経路に使用中のZigbee方式の2.4GHzの周波数帯域に通信障害が発生したとしても、同じ2.4GHzの周波数帯域でかつその幅の広いIEEE 802.11b方式も同時に通信経路として使用中であれば、後者の通信路が通信障害の影響を受けずに継続して確保される。
【0031】
端末100は、起動時に直接、もしくは中継局300を通じてコーディネータ400に“端末登録依頼”501を送信する。その後コーディネータ400からアクセスポイント200までのルート(複数の中継区間)を示した“通信ルート指示”502を受信する。以後、指示されたルートで“測定データ”503をアクセスポイント200に送信する。また端末周辺の通信路環境の状況を監視し、変化が生じた場合はコーディネータ400に“通信路情報”500を送る。端末100や中継局300周辺の通信路環境に変化に応じて、コーディネータ400からの“ルート変更指示”が送られてきたら、ルートの変更を行う。
【0032】
次に、アクセスポイント200の構成例を図4に示す。アクセスポイント200は、複数の通信方式の送受信機210(210A−210D)と接続可能で、それぞれの送受信機に対応したインタフェース(I/F)201(201A−201D)をもつ。また、アクセスポイント200は広域ネットワーク209に接続するための出力I/F208をもつ。またアクセスポイント200は端末100やコーディネータ400から受信した各種無線方式のメッセージを共通のフォーマットや別の無線方式のフォーマットに変換するメッセージ変換部202、複数の経路で送られてきた同じ内容のメッセージを統合するメッセージ統合部204、送られてきたメッセージの内容を判断し必要に応じて統計処理や複数測定結果の統合を行うデータ処理部205、端末やコーディネータに送信するメッセージを作成するメッセージ作成部203を持つ。さらに、アクセスポイント200の周辺の通信環境を測定する通信環境測定部211を備えている。また、自局に接続している端末の情報を保持する端末情報DB207や電源を持つ。これら各部の動作は制御部206により制御される。上記各部の機能は、例えば、マイクロコンピュータのメモリに保持されたプログラムを実行することで実現され、あるいは制御される。
【0033】
アクセスポイント200は、端末100から受け取った“測定データ”503を必要に応じてネットワークを経由して外部アプリケーションに提供する。また通信環境測定部211により、接続した通信機器を通じて自局周辺の伝搬路環境を測定し、コーディネータ400に“通信路情報”500を送信する。
【0034】
本発明の中継局300の構成例を、図5に示す。中継局300は複数の通信方式の送受信機(305A−305D)を接続可能で、それぞれの送受信機に対応したI/F301をもつ。また中継局300は端末100やコーディネータ400・アクセスポイント200から受信した各種無線方式のメッセージを共通のフォーマットや別の無線方式のフォーマットに変換するメッセージ変換部302、受信したメッセージの転送先を記録した通信経路DB304、メッセージの転送や通信路環境の測定を制御する制御部303からなる。さらに、中継局300の周辺の通信環境を測定する通信環境測定部306や電源を備えている。上記各部の機能は、例えば、マイクロコンピュータのメモリに保持されたプログラムを実行することで実現され、あるいは制御される。
【0035】
中継局300は端末100や他の中継局300より送られてきた“測定データ”503をコーディネータ400より指定された通信経路に従って転送する。また、通信環境測定部306により、接続した通信機器を通じて自局周辺の伝搬路環境を測定し、コーディネータ400に“通信路情報”500を送信する。
【0036】
次に、コーディネータ400の構成例を、図6に示す。コーディネータ400は複数の通信方式の送受信機408(408A〜408D)を接続可能で、それぞれの送受信機に対応したI/F401(401A〜401D)をもつ。またコーディネータ400は、端末100、アクセスポイント300、あるいは中継局200から受信した各種無線方式のメッセージを共通のフォーマットや別の無線方式のフォーマットに変換するメッセージ変換部402を持つ。またコーディネータは、端末100、アクセスポイント200間の通信路状況を記録した通信路状況DB406(図2A)、端末100やアクセスポイント200、中継局300から送られてきた“通信路情報”500の内容を通信路状況DB406に登録するメッセージ処理部404、通信路状況DB406の内容に応じて端末100とアクセスポイント200間の通信ルートを作成するルート作成部405、作成した通信ルートを端末100、アクセスポイント200、及び中継局300に通知するためのメッセージを作成するメッセージ作成部403を持つ。また、複数の無線通信方式を組み合わせて使用することにより、端末100からアクセスポイント200までの選択可能な複数の経路(通信ルート)を登録するルート情報DB407や電源をもつ。上記各部の機能は、例えば、マイクロコンピュータのメモリに保持されたプログラムを実行することで実現され、あるいは制御される。
【0037】
コーディネータ400は、端末100からの“端末登録依頼”501を受けて、その端末100が接続するアクセスポイント200と、端末100からアクセスポイント200までの通信ルートを示した“通信ルート指示”502を送る。またコーディネータ400は端末100、アクセスポイント200、及び中継局300から送られてきた“通信路情報”500の内容を判断し、通信ルートの変更が必要な場合は端末100へ“ルート変更指示”を送る。
【0038】
次に、本実施例の無線通信システムの動作例を図7に、そのときのメッセージフローを図8に示す。
端末100は、起動(S001)すると、最寄りのコーディネータ400に“端末登録依頼”501を送信する(S002)。このとき端末100から直接コーディネータ400に”端末登録依頼”501を送信する代わりに、最寄りの中継局300に向けてブロードキャストを行い、中継局300が、端末100からのメッセージ内容が“端末登録依頼”501であることを確認してコーディネータ400に転送する方法も可能である。端末100からの“端末登録依頼”501を受け取ったコーディネータ400は、その端末100が接続するアクセスポイント200を決定し、推定される端末の位置に基づいて端末100とアクセスポイント200を繋ぐ通信ルートを複数策定し(S003)、端末100にその内容を示した“通信ルート指示”502を送る(S004)。
【0039】
ここで述べる通信ルートとは、端末100からアクセスポイント200までの間に経由する中継局300と、その間の通信路で使用する通信方式を合わせた指示である。たとえば端末100から中継局A(300A)を経由してアクセスポイント200に接続するというルート指示の例としては、端末から中継局Aの間はZigbee、中継局Aからアクセスポイントまでの間はIEEE802.11bを使用して通信を行うというように、経路と通信方式を合わせて指示する。このルートの策定方法については別途詳述する。
【0040】
コーディネータ400からの“通信ルート指示”502を受信した端末100は、指定された複数の通信ルートに対して、同じ内容の“測定データ”503を送信する(S005)。この“測定データ”503にはルーティングの情報も含まれており、これを受けた中継局300は“測定データ”503内のルーティング情報に基づいて端末100からの測定データ”503をアクセスポイント200まで転送する。アクセスポイント200には端末100から同じ内容、すなわち測定時刻が同じ複数の“測定データ”503−1,503−2,−、あるいは通信方式の差による時間間隔の異なる複数の“測定データ”が複数送られてくるので、アクセスポイント200は複数の“測定データ”の内容を確認し、同じ内容、換言すると、温度のように同じ種類で測定時刻が同じのものを統合し同じ“測定データ”503とする(S006)。ルート内の通信路環境に変化が生じた場合はルートを再設定する(S007)。端末100が動作を停止する場合は、起動時と同様の方法でコーディネータ400に対して“登録削除依頼”505を送信する(S008)。“登録削除依頼”505を受けたコーディネータ400はその端末100に関する通信路の情報を削除する(S009)。
【0041】
また、図9のように、中継局300へのルーティング情報の通知において、コーディネータ400から直接関係する中継局300にルーティング情報を通知することで、端末100が送信するパケット内にルーティング情報を含めない方法も本発明の1つの手段である。すなわち、端末100が起動(S201)すると、コーディネータに登録通知を行い(S202)、これを受けて、コーディネータ400が端末から基地局(アクセスポイント)200までの第1のルートを決定し(S203)、第1のルートに含まれる中継局にルート内容を通知する(S204)。以下、同様にして、コーディネータが端末100から基地局200までの第Nのルートを決定し(S205)、第Nのルートに含まれる中継局300にルート内容を通知する(S206)。さらに、コーディネータ400が端末100に、決定したルート内容を通知し(S207)、端末100は決定したルートによる通信を開始する(S208)。
【0042】
また、複数のルート1〜Nを指示された端末100が、アクセスポイント200に送信するデータの内容を分割して複数のルートに分けて送信し、受信したアクセスポイントがそれらのデータを統合して内容を復調しデータを統合するようにしても良い。これにより、通信過程でのデータ流出を防ぐことができる。
【0043】
次に、図10に、コーディネータ400での通信ルート決定の手順を示す。端末100からの“端末登録依頼”501を受信した場合(S301)、コーディネータ400はまずその端末100の位置を推定する(S302)。端末の位置推定方法としては、たとえば端末100からの信号がどの中継局300で受信されたかという中継局の組み合わせから推定できる。あるいは中継局300やアクセスポイント200で受信された端末100からの信号の信号強度から推定できる。次に、その端末の位置からアクセスポイント200までのルートを複数(1〜N)求める(S303)。ルートを求める方法は,例えば特許文献4に記載されているアドホックネットワークでの通信路決定方法が挙げられる。ただし本発明では複数求められたルートを1つに絞り込むことをせず、そのまま全てのルートをデフォルトルートとしてコーディネータのルート情報DB407に登録する。ここでのデフォルトルートとは、通信路の環境を考慮せずに端末100とアクセスポイント200間を接続したルートのことである。このとき、デフォルトルートは1つの通信方式で設定する方法と、複数の無線方式の混在を許可する方法があるが、両方法とも本発明の実施形態に含まれる。
【0044】
コーディネータ400が、端末100、アクセスポイント200間に設定するルートの数は、端末100が設置された環境に応じてシステム管理者が任意に設定しておく。このとき端末100から送信されるデータの重要度に応じてルートの数を増減してもよい。
【0045】
端末100とアクセスポイント200間のルートを策定するとき、コーディネータ400はまずルート情報DB407よりデフォルトルートを1つ選ぶ(S304)。次に、このデフォルトルートに含まれる通信路の情報を通信路状況DB406で確認し、通信路の利用判定処理を行って通信路状況DB406に登録、更新し、この通信路状況DBから、通信路の判定値が一定の基準値以下のものをピックアップする(S305)。基準値は通信の重要度に応じてシステムが設定する。
【0046】
ある無線方式がその通信路に適しているか否かを判定し選択する基準値の例を挙げると次の通りである。ルート作成部405において、これらの例のいずれか1つ又は複数の条件を同時に満たす無線方式が、通信路に適した無線方式として選択される。
(1)受信信号電力が所定値よりも高い。
(2)雑音電力が所定値よりも低い。
(3)パケットエラーレートが所定値よりも低い。
(4)伝搬遅延が所定値よりも小さい。
(5)信号電力対雑音電力の比(SN比)が所定値よりも大きい。
(6)送信パケット数とそれに対するAck信号の数の差が所定値よりも少ない。
【0047】
次に、ピックアップされた通信路の代替となる通信路を通信路状況DB406より求める(S306)。
【0048】
例えば、図11Aのように、中継局300Aと中継局300Bを結ぶ通信路の途中に存在する障害物により通信障害が発生し、中継局300Bから送られてきた“通信路情報”500に基づくこの通信路の判定値が基準値以下である場合を想定する。この場合、コーディネータ400のルート作成部405は、ルート情報DB407に登録されているデフォルトルートを検索し、図11Bのように、中継局300Aと中継局300BをZigbeeで結ぶ通信路の代替として、上記基準値を満たし、この通信路に置換可能なルートとして、中継局300Aと中継局300CをIEEE802.11aで結ぶ通信路と、中継局300Cと中継局300BをIEEE802.11bで結ぶ通信路とを組み合わせた迂回ルートを採用することを決定し、デフォルトルートを代替する。同様にして、全てのピックアップされた通信路に対して代替路を設定することができたら、それを端末100からアクセスポイント200までの1つのルートとする。
【0049】
次に、コーディネータ400は別のデフォルトルートをルート情報DB407より選択する(S310)。この通信路に対して、既に決定されたルートに含まれる通信路もピックアップする(S309)。これらのピックアップされた通信路に対して、同様に代替路を設定する(S309)さらにこのルートに含まれる通信路の情報を通信路状況DB406で確認し、通信路の判定値が一定の基準値以下のものをピックアップする(S305)。これに対しても同様に代替通信路を定めて新しいルートを決定する(S306)さらにこの作業を必要なルート数が確保されるまで繰り返される(S307)。
必要なルート数が確保できたら、その内容を“通信ルート指示”502として端末100に通知する(S311)。
【0050】
また、コーディネータ400でのルート決定において、ある端末100が最初に送信する複数の中継局300が、その端末100からみて一定角度以上異なる方向になるように複数のルートを設定することで、その端末100周辺の一部が障害物により遮蔽されるような事態が発生しても通信が完全に途絶しないようにしても良い。
【0051】
次に、図12を用いて、ルート内の通信路に変化が生じた場合のルート変更手順を説明する。端末、アクセスポイント、中継局はそれぞれが関係する通信路の状況を常に監視し、変化が生じたらコーディネータに“通信路情報”500として報告する。コーディネータ400は通信路情報を受信したら(S402)その内容を通信路状況DB406に登録し、変化が生じた通信路の状態に対して改めて判定を行う(S403)。その通信路が使用中で、かつ通信の維持に問題が生じると判断された場合は、ルート作成部405がルート情報DB407に登録されている上記基準値を満たす複数のデフォルトルートを検索し、その通信路に対する代替通信路を用いた新たなルートを策定し(S405)、関連する端末100に“ルート変更指示”を送信する(S406)。端末100はルート変更指示”を受けて、複数の通信方式の送受信機の、いずれかによる新たなルートを用いて通信を行う。これにより、実質的にシステム内における複数の通信経路による通信の途絶を回避し、有線通信に匹敵する高信頼の無線通信を実現することができる。
【0052】
このとき、一時的に大きな通信障害が発生しているなどの理由により、当該通信システム内に適当な複数の代替路が存在しなかった場合は、一時的に公共の通信システムや、別用途の通信システムを用いてデータ伝送を行い、障害から回復次第、ルートを再設定するのも1つの手法である。
【0053】
次に、図13を用いて、端末100と中継局300間もしくは端末100とアクセスポイント200間での通信が途絶した場合の処理について説明する。端末100が通信中、送信先からのAck信号が一定回数以上連続で受信できなかった場合(S501)、端末100は通信が途絶したと判断する。このとき端末は、それまでの通信で使用していたものとは異なる通信方式を選択し(S502)、途絶した通信路の状況を記載した“通信ルート変更依頼”を周囲のコーディネータ400に向けてブロードキャストする(S503)。
【0054】
このとき、直接コーディネータ400に送信せず、中継局300、アクセスポイント200を経由してコーディネータ400に送っても良い。
【0055】
コーディネータ400は、ルート情報DB407に登録されているデフォルトルートを検索し、問題が発生した通信路に対する代替通信路を設定した“ルート変更指示”を端末100に送る。端末100はコーディネータ400からの“ルート変更指示”を受信後、新ルートを用いて通信を行う(S505)。また端末が“ルート変更依頼”送信後、一定期間内に“ルート変更指示”を受け取れなかった場合は、通信方式を変更して再度“ルート変更依頼”を送信する。端末はこの過程を、ルート変更指示を受け取るまで繰り返す。
【0056】
本実施例によれば、1つの無線方式の一部のみならず、その無線方式の全体に及ぶような広範囲な障害が発生した場合においても、周波数帯域や変調方式が異なる別の無線通信方式を併用して同じデータを同時に複数の経路で送信可能なように、無線通信方式を構成している。そのため、広範囲な障害の発生時でも、通信の途絶を生じることなくデータを継続して伝送することができる。これにより、有線通信に匹敵する高信頼の無線通信を実現することができる。また、無線方式なので、通信ケーブルの設置コストの減少や設置工事の期間短縮を図ることができる。さらに、柔軟なシステム拡張も可能となる。
【実施例2】
【0057】
本発明の第2の実施形態になる無線通信システムの構成例を、図14に示す。第2の実施形態では、システム内に複数のコーディネータA,B,N(400A,400B,400N)を持つ。初期設定において全ての中継局300は最寄りのコーディネータ400に重複無く登録される。また隣接するコーディネータ400A,B同士は直接、もしくは中継局300を通じてルート及び通信路状況に関する通信路情報を“通信路同期”507で交換することで、全コーディネータ400(A,B,N)は同じルート情報DB407と通信路状況DB406を共有する。端末100の登録時には、全てのコーディネータ400の間で、端末100に到達するまでに経由する中継局300の数を比較し、最も経由した中継局の数が少ないコーディネータ400がその端末100のルート決定、ルート変更を担当する。すなわち、全てコーディネータ400が同じ内容の通信路情報を共有し、この通信路情報に基づいて、ある端末100に関し、最も経由した中継局の数が少ないコーディネータ400がその端末100のルートの決定、変更を行う。
【0058】
本実施例によれば、第1の実施形態と同様に、複数の中継局510に向けてデータを送信し、最終的に同時に複数のルートでアクセスポイント200まで“測定データ”503が転送される。周波数帯域や変調方式が異なる別の無線通信方式を併用して同じデータを同時に複数の経路で送信可能なように、無線通信方式を構成しているため、広範囲な障害の発生時でも、通信の途絶を生じることなくデータを継続して伝送することができる。これにより、有線通信に匹敵する高信頼の無線通信を実現することができる。また、全てコーディネータ400が同じ内容の通信路状況を共有するので、端末100からアクセスポイント200までの距離が長くても通信が可能になり、広範囲の通信が可能になる。また、より多くのルート候補から、最適なルートを選定することが可能となる。さらに、いずれか1つのコーディネータ400に障害が発生しても、他のコーディネータにより機能を維持できる。
【実施例3】
【0059】
本発明の第3の実施形態のシステム構成を、図15に示す。第3の実施例では、システム内にはコーディネータは存在しない。その代わりに、システム内の複数の中継局510(A〜E)を構成する無線送受信機は、コーディネータに相当する機能を有する。すなわち、各無線送受信機510は、ルート情報DBを備えており、端末100の位置を推定し、通信路状況を考慮せずに端末とアクセスポイント間を異なる無線方式により接続したルートを複数求め、これら全てのルートをデフォルトルート(ルーティング情報)としてルート情報DBに登録する。端末100、アクセスポイント200及び各無線送受信機(中継局)510は、自局周辺の通信ルートの通信路状況を測定する通信環境測定機能を有し、この通信環境測定機能により測定される通信路のパラメータには、受信した信号電力の強度、雑音電力、リンク品質、通信路の実効スループット、及び、レイテンシの少なくとも1つを含む。各中継局510は、隣接中継局及びアクセスポイント200のルーティング情報と自ら測定した通信路情報に基づいていずれかの端末100からのメッセージの転送先と使用する通信方式を決定し“測定データ”503の転送を行う。通信路環境に変化が生じた場合も、各中継局510が個別に通信路の使用可否を判断し、通信に適さないと判断した場合は自ら隣接中継局までの代替通信路を策定して“測定データ”503を転送する。
【0060】
端末100は、第1の実施形態と同様に、複数の中継局510に向けてデータを送信し、最終的に同時に複数のルートでアクセスポイント200まで“測定データ”503が転送される。転送の途中、1つの中継局510が異なるルートで2回以上同じデータの転送を受けた場合、既に他のルートに組み込まれていることを示す情報を付与してデータの送信元の中継局にメッセージを送り返す。送り返された中継局は別の通信路を選択して再度データを転送する。
【0061】
本実施例によれば、周波数帯域や変調方式が異なる別の無線通信方式を併用して同じデータを同時に複数の経路で送信可能なように、無線通信方式を構成しているため、広範囲な障害の発生時でも、通信の途絶を生じることなくデータを継続して伝送することができる。これにより、有線通信に匹敵する高信頼の無線通信を実現することができる。また、コーディネータ無しに、広範囲の通信が可能になる。
【符号の説明】
【0062】
100 端末
101 通信インタフェース
102 メッセージ変換部
103 メッセージ作成部
104 メッセージ統合部
105 端末制御部
106 センサインタフェース
107 通信環境測定部
108 センサ
109 無線送受信機
200 アクセスポイント(基地局)
201 通信インタフェース
202 メッセージ変換部
203 メッセージ作成部
204 メッセージ統合部
205 データ処理部
206 制御部
207 端末情報データベース
208 出力インタフェース
209 広域ネットワーク
210 無線送受信機
300 中継局
301 通信インタフェース
302 メッセージ変換部
303 制御部
304 通信経路DB
305 無線送受信機
400 コーディネータ
401 通信インタフェース
402 メッセージ変換部
403 メッセージ作成部
404 メッセージ処理部
405 ルート作成部
406 通信路状況データベース
407 ルート情報データベース
408 無線送受信機
500 通信路情報
501 端末登録依頼
502 通信ルート指示
503 測定データ
505 登録削除依頼
510 ルーティング機能を持った中継局。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々、複数の無線方式を実装した端末、中継局、及びアクセスポイントを有し、さらに、前記各端末と前記アクセスポイント間の通信ルートを設定する機能を持つ少なくとも1つの無線通信制御装置を備えたアドホック無線通信システムにおいて、
前記無線通信制御装置は、前記端末から前記中継局を経由して前記アクセスポイントに至る通信ルートとして、該通信ルートの通信路状況に応じて、周波数や変調方式の異なる無線通信方式を用いた複数の通信ルートを設定する機能を持ち、
該無線通信制御装置から指定された前記複数の通信ルートにより、前記各端末と前記アクセスポイント間での無線通信を行い、前記端末から前記アクセスポイントに同じ情報を送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記端末と前記アクセスポイントと前記中継局が、各々、自局周辺の通信ルートの通信路状況を通信路情報として前記無線通信制御装置に通知する機能を持ち、
前記無線通信制御装置は、前記通信路情報に基づき、前記端末と前記中継局とを経由した中継区間において、所定の基準を満たす複数の異なる無線方式を組み合わせた複数の通信ルートを指定する機能を持つ
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記端末、前記アクセスポイント及び前記中継局に、各々、前記異なる無線方式が実装されており、
前記無線通信制御装置は、前記通信路状況に関する通信路情報に基づき、前記端末から複数の中継区間を経て前記アクセスポイントに至る前記通信ルートの設定を行い、かつ、前記各中継区間で前記無線方式のどれを用いて通信を行うかを決定する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記無線通信制御装置は、
前記複数の通信ルート間で中継局が重複して使用されないようにして前記通信ルートの設定を行い、
前記アクセスポイントは、前記端末から受信した前記情報の内容を確認し、前記複数の通信ルートを介して受信した同じ内容の複数の情報を1つの情報として統合する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項3において、
前記無線通信制御装置は、前記端末の位置を推定し、前記通信路状況を考慮せずに該端末と前記アクセスポイント間を前記異なる無線方式により接続したルートを複数求め、該全てのルートをデフォルトルートとしてルート情報DBに登録する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項5において
前記デフォルトルートは、1つの通信方式、若しくは複数の無線方式の混在により構成され、
前記デフォルトルートの数は、前記端末から送信される前記情報の重要度に応じて予め設定されている
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
請求項5において
前記無線通信制御装置は、前記通信路の情報に基づき、前記ルート情報DBに保持された前記デフォルトルートの中から、所定の基準値を満たす所定の数のデフォルトルートを選定し、前記通信ルートとして指定、若しくは更新する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
請求項5において
前記無線通信制御装置は、前記通信ルートの決定において、前記端末が最初に送信する複数の前記中継局が、該端末からみて一定角度以上異なる方向になるようにして複数のルートを設定する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
請求項1において、
前記端末、前記アクセスポイント及び前記中継局は、自局周辺の通信ルートの通信路状況を測定する通信環境測定機能を有し、
前記通信環境測定機能により測定される通信路のパラメータは、受信した信号電力の強度、雑音電力、リンク品質、通信路の実効スループット、及び、レイテンシの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
請求項1において、
複数の前記無線通信制御装置を備え、
前記端末、前記アクセスポイント及び前記中継局は、自局周辺の通信路状況を測定し通信路情報として最寄りの前記無線通信制御装置に通知する機能を持ち、
前記各無線通信制御装置は、隣接する無線通信制御装置同士で受信した前記通信路情報を共有することで全ての前記無線通信制御装置が同じ内容の通信路情報を共有し、
該共有の通信路情報に基づいて、前記通信ルートの状況に応じた前記複数の無線方式が使用されるルートを決定する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
アドホック無線通信システムのための無線通信制御装置であって、前記無線通信システムが、各々、複数の異なる無線方式を実装した端末、中継局、及びアクセスポイントを備えたものにおいて、
前記無線通信制御装置は、前記各端末と前記アクセスポイント間の通信ルートを設定する機能を持ち、
前記端末、前記アクセスポイント、及び前記中継局から、各々、自局周辺の通信ルートの通信路情報に関する通知を受け、
前記通信路情報に基づき、前記端末から前記中継局を経由して前記アクセスポイントに至る通信ルートとして、周波数や変調方式の異なる無線通信方式を用いた複数の通信ルートを設定する機能を有する
ことを特徴とする無線通信制御装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記無線通信システムが複数の無線通信制御装置を有しており、
前記各無線通信制御装置は、最寄りの前記端末、前記アクセスポイント又は前記中継局から、前記自局周辺の通信ルートの通信路情報に関する通知を受け、
前記各無線通信制御装置は、隣接する前記無線通信制御装置同士で受信した前記通信路情報を共有することで全ての前記無線通信制御装置が同じ内容の通信路情報を共有し、
前記各無線通信制御装置は、該共有の通信路情報に基づいて、前記通信ルートの状況に応じた前記複数の無線方式が使用されるルートを決定し、最寄りの前記端末又は前記中継局に通知する
ことを特徴とする無線通信制御装置。
【請求項13】
請求項11において、
前記無線通信制御装置は、ルート情報DBを備えており、
前記端末の位置を推定し、前記通信路情報を考慮せずに該端末と前記アクセスポイント間を前記異なる無線方式により接続したルートを複数求め、該求めた全てのルートをデフォルトルートとして前記ルート情報DBに登録する
ことを特徴とする無線通信制御装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記無線通信制御装置が、前記端末、前記アクセスポイント及び前記中継局から通知される通信路情報は、通信路のパラメータとして、受信した信号電力の強度、雑音電力、リンク品質、通信路の実効スループット、及び、レイテンシの少なくとも1つを含み、
前記無線通信制御装置は、前記通信路の情報に基づき、前記ルート情報DBに保持された前記デフォルトルートの中から、所定の基準値を満たす所定の数のデフォルトルートを選定し、前記通信ルートとして指定、若しくは更新する
ことを特徴とする無線通信制御装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記無線通信制御装置が前記通信路の無線方式を選択する基準は、前記受信した信号電力の強度が高い、若しくは、前記雑音電力が低いことである
ことを特徴とする無線通信制御装置。
【請求項16】
請求項14において、
前記無線通信制御装置が前記通信路の無線方式を選択する基準は、パケットエラーレートが低い、若しくは、伝搬遅延が小さい
ことであることを特徴とする無線通信制御装置。
【請求項17】
請求項14において、
前記無線通信制御装置が前記通信路の無線方式を選択する基準は、信号電力対雑音電力比が大きい、若しくは送信パケット数とそれに対するAck信号の数の差が少ない
ことであることを特徴とする無線通信制御装置。
【請求項18】
アドホック無線通信システムのための無線送受信機であって、
前記アドホック無線通信システムが、各々、複数の異なる無線方式を実装した端末、各々中継局として機能する複数の前記無線送受信機、及びアクセスポイントを備えたものにおいて、
前記無線送受信機は、各々、
自局周辺の通信路状況を測定する機能と、
前記端末から該各無線送受信機を経由して前記アクセスポイントに至る通信ルート通信ルートとして、周波数や変調方式の異なる無線通信方式を用いた複数の通信ルートを設定する機能と、
前記通信路状況の状況に応じて、前記複数の無線方式の中で最適の通信ルートと通信方式を選択して、前記端末と前記アクセスポイント間において複数の経路で同じ内容の情報のアドホック通信を行う機能とを有する
ことを特徴とする無線送受信機。
【請求項19】
請求項18において、
前記無線送受信機は、前記端末の位置を推定し、前記通信路状況を考慮せずに該端末と前記アクセスポイント間を前記異なる無線方式により接続したルートを複数求め、該求めた全てのルートをデフォルトルートとしてルート情報DBに登録し、
前記通信路の情報に基づき、前記ルート情報DBに保持された前記デフォルトルートの中から、所定の基準値を満たす所定の数のデフォルトルートを選定し、前記通信ルートとして指定、若しくは更新する
ことを特徴とする無線送受信機。
【請求項20】
請求項19において、
前記無線送受信機は、自局周辺の通信ルートの通信路状況を測定する通信環境測定機能を有し、
前記通信環境測定機能により測定される通信路のパラメータは、受信した信号電力の強度、雑音電力、リンク品質、通信路の実効スループット、及び、レイテンシの少なくとも1つを含み、
前記通信路の情報に基づき、前記ルート情報DBに保持された前記デフォルトルートの中から、所定の基準値を満たす所定の数のデフォルトルートを選定し、前記通信ルートとして指定、若しくは更新する
ことを特徴とする無線送受信機。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−4891(P2012−4891A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138422(P2010−138422)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】