無線通信基地局
【課題】接続が集中することなく、輻輳の可能性が軽減され、危険予定地域の中心地や被災地域の中心地に近い重要な呼の接続を阻害する可能性を低くすることができる無線通信基地局を提供する。
【解決手段】無線通信基地局101から緊急地震速報の報知した後に、無線通信基地局101に接続している無線通信端末102の内、危険予定地域または被災地域の中心地からより離れた距離に位置する無線通信端末102を優先して危険予定地域または被災地域の中心地からより離れた他の無線通信基地局にハンドオーバさせる。
【解決手段】無線通信基地局101から緊急地震速報の報知した後に、無線通信基地局101に接続している無線通信端末102の内、危険予定地域または被災地域の中心地からより離れた距離に位置する無線通信端末102を優先して危険予定地域または被災地域の中心地からより離れた他の無線通信基地局にハンドオーバさせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
地震などが発生した場合、安否確認や情報収集のために、被災の恐れがあると予想される危険予定地域や被災地域等の、ある特定地域内の無線通信基地局に対して接続が集中し、無線通信基地局において輻輳を引き起こしてしまうことがある。このような特定地域内の無線通信基地局への接続が集中的に発生するような場合には、輻輳を回避するために、その地域の無線通信端末に対して発信規制をかけることが行われる。
また、このような輻輳を回避するために、特許文献1では、地震震度に基づいて決定した最大通話許容時間内で、基地局や交換機に通信回線を制御させる監視装置を備えて、災害時における通信要求の処理において、過密状態、輻輳状態を可能な限り回避し、できるだけ多くの利用者が通信できるように許容する移動通信端末システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−204237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、接続が集中した無線通信基地局において発信規制が行われると、地震などにみまわれた危険予定地域や被災地域の中心地に近い無線通信端末に対する緊急度の高い重要な呼の接続を阻害してしまうという問題がある。
また、特許文献1に記載の技術の場合、会話時間が制限されているので重要な情報を伝え漏らす可能性がある。さらに、特許文献1に記載の技術の場合、ある特定の無線通信基地局のみが地震以外の要因で強い揺れを検出した場合(例えば、無線通信基地局が設置されている電柱に車が衝突した場合等)でも、システムは、緊急事態発生時の動作フローに従った動作を行ってしまう。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、接続が集中することなく、輻輳の可能性が軽減され、危険予定地域の中心地や被災地域の中心地に近い重要な呼の接続を阻害する可能性を低くすることができる無線通信基地局を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の無線通信基地局は、緊急地震速報の報知後に、前記緊急地震速報に含まれる危険予定地域の中心地に自局が存在しているとき、自局に接続している無線通信端末までの距離に応じて前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明の無線通信基地局は、前記緊急地震速報の報知後に、自局に接続している前記無線通信端末の内、前記危険予定地域の中心地からより離れた距離に位置する無線通信端末を優先して前記危険予定地域の中心地からより離れた無線通信基地局にハンドオーバさせることが好ましい。
【0008】
また、本発明の無線通信基地局は、被災地域に存在している無線通信基地局であって、緊急地震速報の報知後に、前記被災地域の中心地と判定された当該中心地から、自局に接続している無線通信端末までの距離に応じて前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の無線通信基地局は、前記緊急地震速報の報知後に、自局に接続している前記無線通信端末の内、前記被災地域の中心地と判定された当該中心地からより離れた距離に位置する無線通信端末を優先して前記被災地域の中心地と判定された当該中心地からより離れた無線通信基地局にハンドオーバさせることが好ましい。
【0010】
また、本発明の無線通信基地局は、加速度センサを更に備え、前記加速度センサで検出した震度が所定の閾値を超えない場合は、前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行わないことが好ましい。
【0011】
また、本発明の無線通信基地局は、無線通信基地局間ネットワークもしくはコアネットワーク間通信により自局以外の特定数以上の無線通信基地局にて所定の閾値以上の震度の検出を確認できた場合にのみ、前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行うことが好ましい。
【0012】
前記被災地域の中心地は、自局に接続している無線通信端末の内、緊急地震速報の報知後に非正規接続断を行った無線通信端末数に基づいて決定されることが好ましい。また、前記被災地域の中心地は、緊急地震速報後に非正規接続断を行った無線通信端末が存在しない場合、自局が備える加速度センサで検出した震度に基づいて決定されること、もしくは、前記緊急地震速報に含まれる震度情報に基づいて決定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、危険予定地域の中心地や被災地域の中心地から距離に応じて、無線通信端末を、他の無線通信基地局にハンドオーバさせるので、呼の接続が集中することなく、輻輳の可能性が軽減され、危険予定地域の中心地や被災地域の中心地に近い重要な呼の接続を阻害する可能性を低くすることができ。
また、本発明は、会話時間を制限しないので重要な情報を伝え漏らす可能性を低くすることができる。
さらに、本発明は、重大な被害をもたらすほどの地震震度でなければ、緊急事態発生時の動作フローに従わないので、無駄な動作を防ぐことができる。
また、本発明は、ある特定の無線通信基地局のみが地震以外の強い揺れを検出したことを判定する仕組みがあるので、無駄な動作を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局を含む移動体通信システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局の構成例を示す図である。
【図3】危険予定地域におけるハンドオーバ(HO)を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が緊急地震速報を無線通信端末に向けて報知した後に無線通信端末をハンドオーバさせるときの動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が震度により緊急事態を判断するフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が基地局間通信またはコアネットワーク通信により緊急事態を判断するフローチャートである。
【図7】非正規接続断を行った無線通信端末数に基づいた場合の被災地域の中心地決定の概要を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が非正規接続断を行った無線通信端末数に基づいて被災地域の中心地を決定するまでの処理を説明するフローチャートである。
【図9】加速度センサの震度算出結果もしくは緊急地震速報に含まれる震度情報に基づいた場合の被災地域の中心地決定の概要を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が加速度センサにより検出した震度も考慮して被災地域の中心地を決定するまでの処理を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が緊急地震速報に含まれる震度情報も考慮して被災地域の中心地を決定するまでの処理を説明するフローチャートである。
【図12】被災地域におけるハンドオーバ(HO)を説明する図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が緊急地震速報を無線通信端末に向けて報知した後に無線通信端末をハンドオーバさせるときの動作を説明するフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が震度により緊急事態を判断するフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が基地局間通信またはコアネットワーク通信により緊急事態を判断するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局を含む移動体通信システムの構成例を示す図である。図に示すように、移動体通信システム100は、無線通信基地局101と、無線通信端末102と、無線ネットワーク制御局103と、交換局104と、位置情報メモリ105と、気象サーバ107と、同報配信装置(CBC:Cell Broadcast Center)108と、SGSN(Serving GPRS Support Node)109を含む。
【0016】
無線通信基地局101は、無線ネットワーク制御局103から受信した緊急地震速報メッセージを無線通信端末102へブロードキャストする。無線通信端末102は、無線通信基地局101を介して通話やパケットデータのやり取りを行い、無線通信基地局101から緊急地震速報メッセージを受信する。無線ネットワーク制御局103は、無線通信基地局101の各種制御を行い、SGSN109から受信した緊急地震速報メッセージを無線通信基地局101へと中継する。交換局104は、固定電話端末へ繋がる固定電話網106や他の電話会社の回線への中継を行う。位置情報メモリ105は、無線通信端末102の位置情報を記憶する。気象サーバ107は、震度情報等を含む緊急地震速報電文を作成し、接続する事業者に対して電文を送出する。同報配信装置(CBC)108は、緊急地震速報電文を受信し内容を解析し、電文内に含まれる「強い揺れが推定される地域」から配信先エリアを決定するとともに無線通信端末102に通知するメッセージを作成する。SGSN109は、同報配信装置(CBC)108とインターフェースを取り、配信エリアを収容する無線ネットワーク制御局103へ同報配信装置(CBC)108から受信した緊急地震速報メッセージを中継する。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局の構成例を示す図である。本発明の実施の形態に係る無線通信基地局101は、無線通信を行うための無線通信部201と、無線ネットワーク制御局103とのインターフェースとなる無線ネットワーク制御局I/F部202と、無線通信基地局101間のインターフェースとなる基地局間I/F部203と、測地点位置情報データを受信するGPS204と、地震の震度を検出するための加速度センサ205と、無線通信基地局の各種制御を行う制御部206と、各種データを記憶しておくメモリ部207とを備えている。
【0018】
<第1の実施形態>
次に、緊急地震速報に含まれる危険予定地域の中心地(被災の恐れがあると予想される地域の中心地)から距離に応じて無線通信端末のハンドオーバを行う第1の実施形態について説明する。
【0019】
図3は、危険予定地域におけるハンドオーバ(HO)を説明する図である。図において、P1は、危険予定地域の中心地Xを示し、P2は、危険予定地域内に位置する無線通信基地局A(無線通信基地局101)の位置を示し、P3は、無線通信基地局Aに接続する各無線通信端末の位置を示し、P4は、無線通信基地局Aに接続している無線通信端末の内、中心地Xから最も遠い位置にある無線通信端末Bに隣接する各無線通信基地局の位置を示す。d1は中心地Xから無線通信基地局Aまでの距離、d2は中心地Xから無線通信基地局Aに接続している各無線通信端末までの距離、d3は中心地Xから無線通信端末Bに隣接した各無線通信基地局までの距離を示す。max(d2)、max(d3)は、それぞれd2、d3のうち最大のものを示す。d3が最大となるような無線通信基地局をCとする。図においては無線通信端末Bが無線通信基地局Aから無線通信基地局Cへとハンドオーバ(HO)される。
【0020】
図4は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が気象サーバからの緊急地震速報を無線通信端末に向けて報知した後に無線通信端末をハンドオーバさせるときの動作を説明するフローチャートである。フローチャートにて使用されるun_hoは無線通信基地局Aに接続している各無線通信端末の内、ハンドオーバの対象となる無線通信端末数を示し、bn_hoは無線通信端末Bのハンドオーバの対象となる無線通信基地局数を示す。hoはハンドオーバー判定用のフラグである。その他の各値については図3の説明を参照されたい。また、緊急事態を示すフラグemergencyが立っている間はループ1を繰り返す。
【0021】
無線通信基地局Aは、緊急地震速報報知後、メモリ部207に記憶されているd1、各d2、各d3、P1、P2、各P3、各P4、un_ho、bn_ho、hoを初期化する(S101)。その後、緊急地震速報に含まれる情報から制御部206によりP1を検出し、GPS204によりP2を検出し、無線通信基地局Aに接続している各無線通信端末に備えられたGPSにより各P3を検出し、検出したP1、P2、各P3をメモリ部207に記憶する(S102)。各無線通信端末のGPSで取得した情報は、無線通信端末が無線通信基地局Aに送信する。次に、P1とP2、P1と各P3からそれぞれd1、各d2を制御部206により算出し、メモリ部207に記憶する(S103)。さらにP3の検出結果からun_hoを制御部206により算出し、メモリ部207に記憶する(S104)。
【0022】
その後、ループ1の処理に進む(S105)。ループ1内では、まずハンドオーバ(HO)対象無線通信端末に関する各d2よりmax(d2)を特定する(S106)。次に、max(d2)とd1を比較し(S107)、max(d2)がd1未満であれば(S107でYesの場合)、ループ1の終端へと進む。max(d2)がd1以上であれば(S107でNoの場合)、max(d2)を持つ無線通信端末Bを特定し(S108)、無線通信端末Bに隣接した各無線通信基地局の位置P4を基地局間ネットワークもしくはコアネットワークを介して検出し、メモリ部207に記憶する(S109)。その後、P1、各P4に基づき各d3を算出し、メモリ部207に記憶する(S110)。さらにP4の検出結果から制御部206によりbn_hoを算出し、メモリ部207に記憶する(S111)。
【0023】
その後、ループ2の処理に進む(S112)。ループ2では、まずハンドオーバ(HO)対象無線通信基地局の内、max(d3)を持つ無線通信基地局Cを特定する(S113)。その後、無線通信基地局Cにハンドオーバ(HO)可能かどうかを確認し(S114)、可能であれば(S114でYesの場合)、無線通信端末Bを無線通信基地局Cにハンドオーバ(HO)し(S115)、hoフラグを立てる(S116)。可能でなければ(S114でNoの場合)、無線通信基地局Cをハンドオーバ(HO)の対象から除外し(S117)、bn_hoをデクリメントする(S118)。ループ2をhoフラグが立つかbn_ho=0となるまで繰り返す。
【0024】
ループ2を抜けた後はhoフラグを0とし(S119)、無線通信端末Bをハンドオーバ(HO)の対象から除外して(S120)、un_hoをデクリメントする(S121)。その後、ループ1の終了まで処理を繰り返す。ループ1の終了の条件としてemergencyフラグが0になること、もしくはmax(d2)<d1となることとしているがこの限りではない。また、emergencyフラグが0になる場合としては、緊急地震速報報知後一定時間経過した場合や、緊急事態終了の情報が報知された場合等を想定している。
【0025】
図5は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が震度により緊急事態を判断するフローチャートである。iは無線通信基地局101が加速度センサ205により検出した震度を表す。isは緊急事態を判断するための震度の閾値である。この判断フローを実施するのは図4においてループ1の処理に入る前であるとする。
無線通信基地局101は、最初にiを初期化する(S201)。次に、無線通信基地局101は、加速度センサ205により検出され、メモリ部207に記憶されたiがis以上か未満かを制御部206により判断する(S202)。iがis以上であれば処理を終了する。iがis未満であれば緊急事態を示すemergencyフラグを0にする(S203)。
【0026】
図6は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が基地局間通信またはコアネットワーク通信により緊急事態を判断するフローチャートである。io[]は無線通信基地局101にとって自局以外の無線通信基地局が検出した震度情報である。isは緊急事態を判断するための震度の閾値である。is_nは自局以外の無線通信基地局で閾値is未満の震度を検出した無線通信基地局数を示す。jはループ変数であり、bn_eaは危険予定地域に位置する無線通信基地局数である。またis_nsは緊急事態を判断するのためのis_nに対する閾値である。この判断フローを実施するのは図4において図5のフローが実施され、緊急事態と判断された後で、ループ1の処理に入る前であるとする。
【0027】
最初に、io[]とis_nを初期化する(S301)。次に、無線通信基地局101は、無線通信基地局間通信またはコアネットワーク通信により自局と同じく危険予定地域に位置する自局以外の各無線通信基地局が検出したio情報を取得し、メモリ部207に記憶する(S302)。その後、ループ1の処理に進む(S303)。次に、各ioがis以上か未満かを制御部206により判断する(S304)。ioがis以上であれば特に処理を行わない。ioがis未満であればis_nをインクリメントする(S305)。この処理をbn_ea数回繰り返す。次に、is_nとis_nsとを比較し(S306)、is_nがis_ns以上であれば緊急事態を示すemergencyフラグを0にする(S307)。is_ns未満であれば処理を終了する。
【0028】
本発明の第1の実施形態では、以上説明した図4と図5のフローチャートもしくは図4のフローチャート、もしくは図4、5、6のフローチャートを実施するものとする。
【0029】
<第2の実施形態>
次に、被災地域の中心地から距離に応じて無線通信端末のハンドオーバを行う第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、気象サーバからの緊急地震速報に基づいて定めた危険予定地域と実際の被災地域とが必ずも一致しないことに着目したものである。
【0030】
まず、図7に、非正規接続断を行った無線通信端末数に基づいた場合の被災地域の中心地決定の概要を示す。非正規接続断を行った無線通信端末とは、端末の破損等により接続断に至った無線通信端末をいう。図において、各無線通信基地局101に付随している数値は、各無線通信基地局101に接続している無線通信端末の内、緊急地震速報報知後、端末破損等による非正規接続断を行った無線通信端末数を示している。緊急地震速報報知後、非正規接続断を行った無線通信端末数が最大の無線通信基地局101は、Aの無線通信基地局であるので無線通信基地局Aのある場所が被災地域の中心地となる。
【0031】
図8は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が非正規接続断を行った無線通信端末数に基づいて被災地域の中心地を決定するまでの処理を説明するフローチャートである。開始時点で各無線通信基地局101に対して複数の無線通信端末102が接続されているものとする。フローチャートに含まれる変数の内、disnormal_countは非正規接続断数、tは緊急地震速報報知からの経過時間、t1は緊急地震速報報知から被災地域の中心地判定開始までの経過時間を示す。
【0032】
開始後、各無線通信基地局101は、無線ネットワーク制御局103から、気象サーバ107により作成された緊急地震速報を受信する(S401)。緊急地震速報受信後、メモリ部207にあるdisnormal_count、tを初期化する(S402)。その後、受信した緊急地震速報を無線通信端末102に対して報知する(S403)。その後、ループ1の処理に進む(S404)。緊急地震速報報知からt1が経過するまでは無線通信部201から受信した情報と制御部203と現状メモリ部207に記憶されているdisnormal_countにより、disnormal_conuntを更新し、再度メモリ部207に記憶する(S405)。t1経過後、基地局間ネットワークもしくはコアネットワークを介して緊急地震速報が報知されたエリアの各無線通信基地局101の有するdisnormal_countを比較し(S406)、最大のdisnormal_countを有する無線通信基地局101を被災地域の中心地とする(S407)。最後に、GPS204により検出した前記被災地域の中心地の無線通信基地局101の位置P1をメモリ部207に記憶する(S408)。
【0033】
図9は、加速度センサの震度算出結果もしくは緊急地震速報に含まれる震度情報に基づいた場合の被災地域の中心地決定の概要を示す図である。図において、各無線通信基地局101に付随している数値は、それぞれ各無線通信基地局101に接続している無線通信端末の内、緊急地震速報報知後、非正規接続断を行った無線通信端末数および加速度センサ205により算出した震度もしくは緊急地震速報に含まれる震度情報を示している。図では各無線通信基地局101において緊急地震速報報知後、非正規接続断を行った無線通信端末数が全て0となっている。この場合は加速度センサ205により算出した震度もしくは緊急地震速報に含まれる震度情報に基づいて被災地域の中心地を決定する。最大の震度を検出もしくは震度情報を保持している無線通信基地局101は、Dの無線通信基地局であるので、無線通信基地局Dのある場所が被災地域の中心地となる。
【0034】
図10は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が加速度センサにより検出した震度も考慮して被災地域の中心地を決定するまでの処理を説明するフローチャートである。開始時点で各無線通信基地局101に対して複数の無線通信端末102が接続されているものとする。フローチャートに含まれる変数の内、disnormal_countは非正規接続断数、tは緊急地震速報報知からの経過時間、t1は緊急地震速報報知から被災地域の中心地判定開始までの経過時間、i_accelは加速度センサ205が検出した地震震度を示す。
【0035】
開始後、各無線通信基地局101は、無線ネットワーク制御局103から、気象サーバ107により作成された緊急地震速報を受信する(S501)。緊急地震速報受信後、メモリ部207にあるdisnormal_count、tを初期化する(S502)。その後、受信した緊急地震速報を無線通信端末102に対して報知する(S503)。地震発生後、各無線通信基地局101は、加速度センサ205により震度を測定し、測定した震度をメモリ部207にあるi_accelに格納する(S504)。その後、ループ1の処理に進む(S405)。緊急地震速報報知からt1が経過するまでは無線通信部201から受信した情報と制御部203と現状メモリ部207に記憶されているdisnormal_countにより、disnormal_conuntを更新し、再度メモリ部207に記憶する(S506)。t1経過後、基地局間ネットワークもしくはコアネットワークを介して緊急地震速報が報知されたエリアの各無線通信基地局101の保持するdisnormal_countを比較し(S507)、各無線通信基地局101が保持するdisnormal_countが全て0の場合(S508でYesの場合)は、各無線通信基地局101の検出した震度i_accelの比較を行う(S509)。震度比較の結果、最大の震度i_accelを検出した無線通信基地局101を被災地域の中心地とする(S510)。各無線通信基地局101が保持するdisnormal_countが全て0でない場合(S508でNoの場合)は、最大のdisnormal_countを保持する無線通信基地局101を被災地域の中心地とする(S511)。最後に、GPS204により検出した前記被災地域の中心地の無線通信基地局101の位置P1をメモリ部207に記憶する(S512)。
【0036】
図11は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が緊急地震速報に含まれる震度情報も考慮して被災地域の中心地を決定するまでの処理を説明するフローチャートである。開始時点で各無線通信基地局101に対して複数の無線通信端末102が接続されているものとする。フローチャートに含まれる変数の内、disnormal_countは非正規接続断数、tは緊急地震速報報知からの経過時間、t1は緊急地震速報報知から被災地域の中心地判定開始までの経過時間、i_emergは緊急地震速報に含まれる震度情報を示す。
【0037】
開始後、各無線通信基地局101は、無線ネットワーク制御局103から、気象サーバ107により作成された緊急地震速報を受信する(S601)。緊急地震速報受信後、メモリ部207にあるdisnormal_count、tを初期化する(S602)。その後、受信した緊急地震速報を無線通信端末102に対して報知する(S603)。地震発生後、各無線通信基地局101は、緊急地震速報に含まれる震度情報をメモリ部207にあるi_emergに格納する(S604)。その後、ループ1の処理に進む(S605)。緊急地震速報報知からt1が経過するまでは無線通信部201から受信した情報と制御部203と現状メモリ部207に記憶されているdisnormal_countにより、disnormal_conuntを更新し、再度メモリ部207に記憶する(S606)。t1経過後、基地局間ネットワークもしくはコアネットワークを介して緊急地震速報が報知されたエリアの各無線通信基地局101の保持するdisnormal_countを比較し(S607)、各無線通信基地局101が保持するdisnormal_countが全て0の場合(S608でYesの場合)は、各無線通信基地局101の保持する震度情報i_emergの比較を行う(S609)。震度比較の結果、最大の震度情報i_emergを保持する無線通信基地局101を被災地域の中心地とする(S610)。各無線通信基地局101が保持するdisnormal_countが全て0でない場合(S608でNoの場合)は、最大のdisnormal_countを保持する無線通信基地局101を被災地域の中心地とする(S611)。最後に、GPS204により検出した前記被災地域の中心地の無線通信基地局101の位置P1をメモリ部207に記憶する(S612)。
【0038】
なお、図8、図10および図11では、無線通信基地局101が、被災地域の中心地を決定しているが、無線通信基地局101の上位の装置である、例えば、無線ネットワーク制御局103が、各無線通信基地局101から取得した情報に基づいて、被災地域の中心地を決定するようにしても良い。
【0039】
図12は、被災地域におけるハンドオーバ(HO)を説明する図である。図において、P1は、被災地域の中心地Xを示し、P2は、被災地域内に位置する無線通信基地局Aの位置を示し、P3は、無線通信基地局Aに接続する各無線通信端末の位置を示し、P4は、無線通信基地局Aに接続している無線通信端末の内、中心地Xから最も遠い位置にある無線通信端末Bに隣接する各無線通信基地局の位置を示す。d1は中心地Xから無線通信基地局Aまでの距離、d2は中心地Xから無線通信基地局Aに接続している各無線通信端末までの距離、d3は中心地Xから無線通信端末Bに隣接した各無線通信基地局までの距離を示す。max(d2)、max(d3)は、それぞれd2、d3のうち最大のものを示す。d3が最大となるような無線通信基地局をCとする。図においては無線通信端末Bが無線通信基地局Aから無線通信基地局Cへとハンドオーバ(HO)される。
【0040】
図13は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が気象サーバからの緊急地震速報を無線通信端末に向けて報知した後に無線通信端末をハンドオーバさせるときの動作を説明するフローチャートである。フローチャートにて使用されるun_hoは無線通信基地局Aに接続している各無線通信端末の内、ハンドオーバの対象となる無線通信端末数を示し、bn_hoは無線通信端末Bのハンドオーバの対象となる無線通信基地局数を示す。hoはハンドオーバー判定用のフラグである。その他の各値については図12の説明を参照されたい。また、緊急事態を示すフラグemergencyが立っている間はループ1を繰り返す。
【0041】
無線通信基地局Aは、被災地域の中心地決定後、メモリ部207に記憶されているd1、各d2、各d3、P2、各P3、各P4、un_ho、bn_ho、hoを初期化する(S701)。その後、GPS204によりP2を検出し、無線通信基地局Aに接続している各無線通信端末に備えられたGPSにより各P3を検出し、検出したP2、各P3をメモリ部207に記憶する(S702)。各無線通信端末のGPSで取得した情報は、無線通信端末が無線通信基地局Aに送信する。P1に関しては被災地域の中心地決定の際にメモリ部207に記憶した値をそのまま用いる。次に、P1とP2、P1と各P3からそれぞれd1、各d2を制御部206により算出し、メモリ部207に記憶する(S703)。さらにP3の検出結果からun_hoを制御部206により算出し、メモリ部207に記憶する(S704)。
【0042】
その後、ループ1の処理に進む(S705)。ループ1内では、まずハンドオーバ(HO)対象無線通信端末に関する各d2よりmax(d2)を特定する(S706)。次に、max(d2)とd1を比較し(S707)、max(d2)がd1未満であれば(S707でYesの場合)、ループ1の終端へと進む。max(d2)がd1以上であれば(S707でNoの場合)、max(d2)を持つ無線通信端末Bを特定し(S708)、無線通信端末Bに隣接した各無線通信基地局の位置P4を基地局間ネットワークもしくはコアネットワークを介して検出し、メモリ部207に記憶する(S709)。その後、無線通信端末BのP3、各P4に基づき各d3を算出し、メモリ部207に記憶する(S710)。さらにP4の検出結果から制御部206によりbn_hoを算出し、メモリ部207に記憶する(S711)。
【0043】
その後、ループ2の処理に進む(S712)。ループ2では、まずハンドオーバ(HO)対象無線通信基地局の内max(d3)を持つ無線通信基地局Cを特定する(S713)。その後、無線通信基地局Cにハンドオーバ(HO)可能かどうかを確認し(S714)、可能であれば(S714でYesの場合)、無線通信端末Bを無線通信基地局Cにハンドオーバ(HO)し(S715)、hoフラグを立てる(S716)。可能でなければ(S714でNoの場合)、無線通信基地局Cをハンドオーバ(HO)の対象から除外し(S717)、bn_hoをデクリメントする(S718)。ループ2をhoフラグが立つかbn_ho=0となるまで繰り返す。
【0044】
ループ2を抜けた後はhoフラグを0とし(S719)、無線通信端末Bをハンドオーバ(HO)の対象から除外して(S720)、un_hoをデクリメントする(S721)。その後、ループ1の終了まで処理を繰り返す。ループ1の終了の条件としてemergencyフラグが0になること、もしくはmax(d2)<d1となることとしているがこの限りではない。また、emergencyフラグが0になる場合としては、緊急地震速報報知後一定時間経過した場合や、緊急事態終了の情報が報知された場合等を想定している。
【0045】
図14は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が震度により緊急事態を判断するフローチャートである。iは無線通信基地局101が加速度センサ205により検出した震度を表す。isは緊急事態を判断するための震度の閾値である。この判断フローを実施するのは図13においてループ1の処理に入る前であるとする。
無線通信基地局101は、最初にiを初期化する(S801)。次に、無線通信基地局101は、加速度センサ205により検出され、メモリ部207に記憶されたiがis以上か未満かを制御部206により判断する(S802)。iがis以上であれば処理を終了する。iがis未満であれば緊急事態を示すemergencyフラグを0にする(S803)。
【0046】
図15は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が基地局間通信またはコアネットワーク通信により緊急事態を判断するフローチャートである。io[]は無線通信基地局101にとって自局以外の無線通信基地局が検出した震度情報である。isは緊急事態を判断するための震度の閾値である。is_nは自局以外の無線通信基地局で閾値is未満の震度を検出した無線通信基地局数を示す。jはループ変数であり、bn_eaは被災地域に位置する無線通信基地局数である。またis_nsは緊急事態を判断するのためのis_nに対する閾値である。この判断フローを実施するのは図13において図14のフローが実施され、緊急事態と判断された後で、ループ1の処理に入る前であるとする。
【0047】
最初に、無線通信基地局101は、io[]とis_nを初期化する(S901)。次に、無線通信基地局101は、無線通信基地局間通信またはコアネットワーク通信により自局と同じく被災地域に位置する自局以外の各無線通信基地局が検出したio情報を取得し、メモリ部207に記憶する(S902)。その後、ループ1の処理に進む(S903)。次に、各ioがis以上か未満かを制御部206により判断する(S904)。ioがis以上であれば特に処理を行わない。ioがis未満であればis_nをインクリメントする(S905)。この処理をbn_ea数回繰り返す。次に、is_nとis_nsとを比較し(S906)、is_nがis_ns以上であれば緊急事態を示すemergencyフラグを0にする(S907)。is_ns未満であれば処理を終了する。
【0048】
本発明の第2の実施形態では、以上説明した図13と、図8または図10または図11のフローチャート、もしくは、図13と図14と、図8または図10または図11のフローチャート、もしくは、図13と図14と図15と、図8または図10または図11のフローチャートを実施しても良いものとする。
【符号の説明】
【0049】
100 移動体通信システム
101 無線通信基地局
102 無線通信端末
103 無線ネットワーク制御局
104 交換局
105 位置情報メモリ
106 固定電話網
107 気象サーバ
108 同報配信装置(CBC)
109 SGSN
201 無線通信部
202 無線ネットワーク制御局I/F部
203 基地局間I/F部
204 GPS
205 加速度センサ
206 制御部
207 メモリ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
地震などが発生した場合、安否確認や情報収集のために、被災の恐れがあると予想される危険予定地域や被災地域等の、ある特定地域内の無線通信基地局に対して接続が集中し、無線通信基地局において輻輳を引き起こしてしまうことがある。このような特定地域内の無線通信基地局への接続が集中的に発生するような場合には、輻輳を回避するために、その地域の無線通信端末に対して発信規制をかけることが行われる。
また、このような輻輳を回避するために、特許文献1では、地震震度に基づいて決定した最大通話許容時間内で、基地局や交換機に通信回線を制御させる監視装置を備えて、災害時における通信要求の処理において、過密状態、輻輳状態を可能な限り回避し、できるだけ多くの利用者が通信できるように許容する移動通信端末システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−204237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、接続が集中した無線通信基地局において発信規制が行われると、地震などにみまわれた危険予定地域や被災地域の中心地に近い無線通信端末に対する緊急度の高い重要な呼の接続を阻害してしまうという問題がある。
また、特許文献1に記載の技術の場合、会話時間が制限されているので重要な情報を伝え漏らす可能性がある。さらに、特許文献1に記載の技術の場合、ある特定の無線通信基地局のみが地震以外の要因で強い揺れを検出した場合(例えば、無線通信基地局が設置されている電柱に車が衝突した場合等)でも、システムは、緊急事態発生時の動作フローに従った動作を行ってしまう。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、接続が集中することなく、輻輳の可能性が軽減され、危険予定地域の中心地や被災地域の中心地に近い重要な呼の接続を阻害する可能性を低くすることができる無線通信基地局を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の無線通信基地局は、緊急地震速報の報知後に、前記緊急地震速報に含まれる危険予定地域の中心地に自局が存在しているとき、自局に接続している無線通信端末までの距離に応じて前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明の無線通信基地局は、前記緊急地震速報の報知後に、自局に接続している前記無線通信端末の内、前記危険予定地域の中心地からより離れた距離に位置する無線通信端末を優先して前記危険予定地域の中心地からより離れた無線通信基地局にハンドオーバさせることが好ましい。
【0008】
また、本発明の無線通信基地局は、被災地域に存在している無線通信基地局であって、緊急地震速報の報知後に、前記被災地域の中心地と判定された当該中心地から、自局に接続している無線通信端末までの距離に応じて前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の無線通信基地局は、前記緊急地震速報の報知後に、自局に接続している前記無線通信端末の内、前記被災地域の中心地と判定された当該中心地からより離れた距離に位置する無線通信端末を優先して前記被災地域の中心地と判定された当該中心地からより離れた無線通信基地局にハンドオーバさせることが好ましい。
【0010】
また、本発明の無線通信基地局は、加速度センサを更に備え、前記加速度センサで検出した震度が所定の閾値を超えない場合は、前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行わないことが好ましい。
【0011】
また、本発明の無線通信基地局は、無線通信基地局間ネットワークもしくはコアネットワーク間通信により自局以外の特定数以上の無線通信基地局にて所定の閾値以上の震度の検出を確認できた場合にのみ、前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行うことが好ましい。
【0012】
前記被災地域の中心地は、自局に接続している無線通信端末の内、緊急地震速報の報知後に非正規接続断を行った無線通信端末数に基づいて決定されることが好ましい。また、前記被災地域の中心地は、緊急地震速報後に非正規接続断を行った無線通信端末が存在しない場合、自局が備える加速度センサで検出した震度に基づいて決定されること、もしくは、前記緊急地震速報に含まれる震度情報に基づいて決定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、危険予定地域の中心地や被災地域の中心地から距離に応じて、無線通信端末を、他の無線通信基地局にハンドオーバさせるので、呼の接続が集中することなく、輻輳の可能性が軽減され、危険予定地域の中心地や被災地域の中心地に近い重要な呼の接続を阻害する可能性を低くすることができ。
また、本発明は、会話時間を制限しないので重要な情報を伝え漏らす可能性を低くすることができる。
さらに、本発明は、重大な被害をもたらすほどの地震震度でなければ、緊急事態発生時の動作フローに従わないので、無駄な動作を防ぐことができる。
また、本発明は、ある特定の無線通信基地局のみが地震以外の強い揺れを検出したことを判定する仕組みがあるので、無駄な動作を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局を含む移動体通信システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局の構成例を示す図である。
【図3】危険予定地域におけるハンドオーバ(HO)を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が緊急地震速報を無線通信端末に向けて報知した後に無線通信端末をハンドオーバさせるときの動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が震度により緊急事態を判断するフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が基地局間通信またはコアネットワーク通信により緊急事態を判断するフローチャートである。
【図7】非正規接続断を行った無線通信端末数に基づいた場合の被災地域の中心地決定の概要を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が非正規接続断を行った無線通信端末数に基づいて被災地域の中心地を決定するまでの処理を説明するフローチャートである。
【図9】加速度センサの震度算出結果もしくは緊急地震速報に含まれる震度情報に基づいた場合の被災地域の中心地決定の概要を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が加速度センサにより検出した震度も考慮して被災地域の中心地を決定するまでの処理を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が緊急地震速報に含まれる震度情報も考慮して被災地域の中心地を決定するまでの処理を説明するフローチャートである。
【図12】被災地域におけるハンドオーバ(HO)を説明する図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が緊急地震速報を無線通信端末に向けて報知した後に無線通信端末をハンドオーバさせるときの動作を説明するフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が震度により緊急事態を判断するフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が基地局間通信またはコアネットワーク通信により緊急事態を判断するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局を含む移動体通信システムの構成例を示す図である。図に示すように、移動体通信システム100は、無線通信基地局101と、無線通信端末102と、無線ネットワーク制御局103と、交換局104と、位置情報メモリ105と、気象サーバ107と、同報配信装置(CBC:Cell Broadcast Center)108と、SGSN(Serving GPRS Support Node)109を含む。
【0016】
無線通信基地局101は、無線ネットワーク制御局103から受信した緊急地震速報メッセージを無線通信端末102へブロードキャストする。無線通信端末102は、無線通信基地局101を介して通話やパケットデータのやり取りを行い、無線通信基地局101から緊急地震速報メッセージを受信する。無線ネットワーク制御局103は、無線通信基地局101の各種制御を行い、SGSN109から受信した緊急地震速報メッセージを無線通信基地局101へと中継する。交換局104は、固定電話端末へ繋がる固定電話網106や他の電話会社の回線への中継を行う。位置情報メモリ105は、無線通信端末102の位置情報を記憶する。気象サーバ107は、震度情報等を含む緊急地震速報電文を作成し、接続する事業者に対して電文を送出する。同報配信装置(CBC)108は、緊急地震速報電文を受信し内容を解析し、電文内に含まれる「強い揺れが推定される地域」から配信先エリアを決定するとともに無線通信端末102に通知するメッセージを作成する。SGSN109は、同報配信装置(CBC)108とインターフェースを取り、配信エリアを収容する無線ネットワーク制御局103へ同報配信装置(CBC)108から受信した緊急地震速報メッセージを中継する。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局の構成例を示す図である。本発明の実施の形態に係る無線通信基地局101は、無線通信を行うための無線通信部201と、無線ネットワーク制御局103とのインターフェースとなる無線ネットワーク制御局I/F部202と、無線通信基地局101間のインターフェースとなる基地局間I/F部203と、測地点位置情報データを受信するGPS204と、地震の震度を検出するための加速度センサ205と、無線通信基地局の各種制御を行う制御部206と、各種データを記憶しておくメモリ部207とを備えている。
【0018】
<第1の実施形態>
次に、緊急地震速報に含まれる危険予定地域の中心地(被災の恐れがあると予想される地域の中心地)から距離に応じて無線通信端末のハンドオーバを行う第1の実施形態について説明する。
【0019】
図3は、危険予定地域におけるハンドオーバ(HO)を説明する図である。図において、P1は、危険予定地域の中心地Xを示し、P2は、危険予定地域内に位置する無線通信基地局A(無線通信基地局101)の位置を示し、P3は、無線通信基地局Aに接続する各無線通信端末の位置を示し、P4は、無線通信基地局Aに接続している無線通信端末の内、中心地Xから最も遠い位置にある無線通信端末Bに隣接する各無線通信基地局の位置を示す。d1は中心地Xから無線通信基地局Aまでの距離、d2は中心地Xから無線通信基地局Aに接続している各無線通信端末までの距離、d3は中心地Xから無線通信端末Bに隣接した各無線通信基地局までの距離を示す。max(d2)、max(d3)は、それぞれd2、d3のうち最大のものを示す。d3が最大となるような無線通信基地局をCとする。図においては無線通信端末Bが無線通信基地局Aから無線通信基地局Cへとハンドオーバ(HO)される。
【0020】
図4は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が気象サーバからの緊急地震速報を無線通信端末に向けて報知した後に無線通信端末をハンドオーバさせるときの動作を説明するフローチャートである。フローチャートにて使用されるun_hoは無線通信基地局Aに接続している各無線通信端末の内、ハンドオーバの対象となる無線通信端末数を示し、bn_hoは無線通信端末Bのハンドオーバの対象となる無線通信基地局数を示す。hoはハンドオーバー判定用のフラグである。その他の各値については図3の説明を参照されたい。また、緊急事態を示すフラグemergencyが立っている間はループ1を繰り返す。
【0021】
無線通信基地局Aは、緊急地震速報報知後、メモリ部207に記憶されているd1、各d2、各d3、P1、P2、各P3、各P4、un_ho、bn_ho、hoを初期化する(S101)。その後、緊急地震速報に含まれる情報から制御部206によりP1を検出し、GPS204によりP2を検出し、無線通信基地局Aに接続している各無線通信端末に備えられたGPSにより各P3を検出し、検出したP1、P2、各P3をメモリ部207に記憶する(S102)。各無線通信端末のGPSで取得した情報は、無線通信端末が無線通信基地局Aに送信する。次に、P1とP2、P1と各P3からそれぞれd1、各d2を制御部206により算出し、メモリ部207に記憶する(S103)。さらにP3の検出結果からun_hoを制御部206により算出し、メモリ部207に記憶する(S104)。
【0022】
その後、ループ1の処理に進む(S105)。ループ1内では、まずハンドオーバ(HO)対象無線通信端末に関する各d2よりmax(d2)を特定する(S106)。次に、max(d2)とd1を比較し(S107)、max(d2)がd1未満であれば(S107でYesの場合)、ループ1の終端へと進む。max(d2)がd1以上であれば(S107でNoの場合)、max(d2)を持つ無線通信端末Bを特定し(S108)、無線通信端末Bに隣接した各無線通信基地局の位置P4を基地局間ネットワークもしくはコアネットワークを介して検出し、メモリ部207に記憶する(S109)。その後、P1、各P4に基づき各d3を算出し、メモリ部207に記憶する(S110)。さらにP4の検出結果から制御部206によりbn_hoを算出し、メモリ部207に記憶する(S111)。
【0023】
その後、ループ2の処理に進む(S112)。ループ2では、まずハンドオーバ(HO)対象無線通信基地局の内、max(d3)を持つ無線通信基地局Cを特定する(S113)。その後、無線通信基地局Cにハンドオーバ(HO)可能かどうかを確認し(S114)、可能であれば(S114でYesの場合)、無線通信端末Bを無線通信基地局Cにハンドオーバ(HO)し(S115)、hoフラグを立てる(S116)。可能でなければ(S114でNoの場合)、無線通信基地局Cをハンドオーバ(HO)の対象から除外し(S117)、bn_hoをデクリメントする(S118)。ループ2をhoフラグが立つかbn_ho=0となるまで繰り返す。
【0024】
ループ2を抜けた後はhoフラグを0とし(S119)、無線通信端末Bをハンドオーバ(HO)の対象から除外して(S120)、un_hoをデクリメントする(S121)。その後、ループ1の終了まで処理を繰り返す。ループ1の終了の条件としてemergencyフラグが0になること、もしくはmax(d2)<d1となることとしているがこの限りではない。また、emergencyフラグが0になる場合としては、緊急地震速報報知後一定時間経過した場合や、緊急事態終了の情報が報知された場合等を想定している。
【0025】
図5は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が震度により緊急事態を判断するフローチャートである。iは無線通信基地局101が加速度センサ205により検出した震度を表す。isは緊急事態を判断するための震度の閾値である。この判断フローを実施するのは図4においてループ1の処理に入る前であるとする。
無線通信基地局101は、最初にiを初期化する(S201)。次に、無線通信基地局101は、加速度センサ205により検出され、メモリ部207に記憶されたiがis以上か未満かを制御部206により判断する(S202)。iがis以上であれば処理を終了する。iがis未満であれば緊急事態を示すemergencyフラグを0にする(S203)。
【0026】
図6は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が基地局間通信またはコアネットワーク通信により緊急事態を判断するフローチャートである。io[]は無線通信基地局101にとって自局以外の無線通信基地局が検出した震度情報である。isは緊急事態を判断するための震度の閾値である。is_nは自局以外の無線通信基地局で閾値is未満の震度を検出した無線通信基地局数を示す。jはループ変数であり、bn_eaは危険予定地域に位置する無線通信基地局数である。またis_nsは緊急事態を判断するのためのis_nに対する閾値である。この判断フローを実施するのは図4において図5のフローが実施され、緊急事態と判断された後で、ループ1の処理に入る前であるとする。
【0027】
最初に、io[]とis_nを初期化する(S301)。次に、無線通信基地局101は、無線通信基地局間通信またはコアネットワーク通信により自局と同じく危険予定地域に位置する自局以外の各無線通信基地局が検出したio情報を取得し、メモリ部207に記憶する(S302)。その後、ループ1の処理に進む(S303)。次に、各ioがis以上か未満かを制御部206により判断する(S304)。ioがis以上であれば特に処理を行わない。ioがis未満であればis_nをインクリメントする(S305)。この処理をbn_ea数回繰り返す。次に、is_nとis_nsとを比較し(S306)、is_nがis_ns以上であれば緊急事態を示すemergencyフラグを0にする(S307)。is_ns未満であれば処理を終了する。
【0028】
本発明の第1の実施形態では、以上説明した図4と図5のフローチャートもしくは図4のフローチャート、もしくは図4、5、6のフローチャートを実施するものとする。
【0029】
<第2の実施形態>
次に、被災地域の中心地から距離に応じて無線通信端末のハンドオーバを行う第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、気象サーバからの緊急地震速報に基づいて定めた危険予定地域と実際の被災地域とが必ずも一致しないことに着目したものである。
【0030】
まず、図7に、非正規接続断を行った無線通信端末数に基づいた場合の被災地域の中心地決定の概要を示す。非正規接続断を行った無線通信端末とは、端末の破損等により接続断に至った無線通信端末をいう。図において、各無線通信基地局101に付随している数値は、各無線通信基地局101に接続している無線通信端末の内、緊急地震速報報知後、端末破損等による非正規接続断を行った無線通信端末数を示している。緊急地震速報報知後、非正規接続断を行った無線通信端末数が最大の無線通信基地局101は、Aの無線通信基地局であるので無線通信基地局Aのある場所が被災地域の中心地となる。
【0031】
図8は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が非正規接続断を行った無線通信端末数に基づいて被災地域の中心地を決定するまでの処理を説明するフローチャートである。開始時点で各無線通信基地局101に対して複数の無線通信端末102が接続されているものとする。フローチャートに含まれる変数の内、disnormal_countは非正規接続断数、tは緊急地震速報報知からの経過時間、t1は緊急地震速報報知から被災地域の中心地判定開始までの経過時間を示す。
【0032】
開始後、各無線通信基地局101は、無線ネットワーク制御局103から、気象サーバ107により作成された緊急地震速報を受信する(S401)。緊急地震速報受信後、メモリ部207にあるdisnormal_count、tを初期化する(S402)。その後、受信した緊急地震速報を無線通信端末102に対して報知する(S403)。その後、ループ1の処理に進む(S404)。緊急地震速報報知からt1が経過するまでは無線通信部201から受信した情報と制御部203と現状メモリ部207に記憶されているdisnormal_countにより、disnormal_conuntを更新し、再度メモリ部207に記憶する(S405)。t1経過後、基地局間ネットワークもしくはコアネットワークを介して緊急地震速報が報知されたエリアの各無線通信基地局101の有するdisnormal_countを比較し(S406)、最大のdisnormal_countを有する無線通信基地局101を被災地域の中心地とする(S407)。最後に、GPS204により検出した前記被災地域の中心地の無線通信基地局101の位置P1をメモリ部207に記憶する(S408)。
【0033】
図9は、加速度センサの震度算出結果もしくは緊急地震速報に含まれる震度情報に基づいた場合の被災地域の中心地決定の概要を示す図である。図において、各無線通信基地局101に付随している数値は、それぞれ各無線通信基地局101に接続している無線通信端末の内、緊急地震速報報知後、非正規接続断を行った無線通信端末数および加速度センサ205により算出した震度もしくは緊急地震速報に含まれる震度情報を示している。図では各無線通信基地局101において緊急地震速報報知後、非正規接続断を行った無線通信端末数が全て0となっている。この場合は加速度センサ205により算出した震度もしくは緊急地震速報に含まれる震度情報に基づいて被災地域の中心地を決定する。最大の震度を検出もしくは震度情報を保持している無線通信基地局101は、Dの無線通信基地局であるので、無線通信基地局Dのある場所が被災地域の中心地となる。
【0034】
図10は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が加速度センサにより検出した震度も考慮して被災地域の中心地を決定するまでの処理を説明するフローチャートである。開始時点で各無線通信基地局101に対して複数の無線通信端末102が接続されているものとする。フローチャートに含まれる変数の内、disnormal_countは非正規接続断数、tは緊急地震速報報知からの経過時間、t1は緊急地震速報報知から被災地域の中心地判定開始までの経過時間、i_accelは加速度センサ205が検出した地震震度を示す。
【0035】
開始後、各無線通信基地局101は、無線ネットワーク制御局103から、気象サーバ107により作成された緊急地震速報を受信する(S501)。緊急地震速報受信後、メモリ部207にあるdisnormal_count、tを初期化する(S502)。その後、受信した緊急地震速報を無線通信端末102に対して報知する(S503)。地震発生後、各無線通信基地局101は、加速度センサ205により震度を測定し、測定した震度をメモリ部207にあるi_accelに格納する(S504)。その後、ループ1の処理に進む(S405)。緊急地震速報報知からt1が経過するまでは無線通信部201から受信した情報と制御部203と現状メモリ部207に記憶されているdisnormal_countにより、disnormal_conuntを更新し、再度メモリ部207に記憶する(S506)。t1経過後、基地局間ネットワークもしくはコアネットワークを介して緊急地震速報が報知されたエリアの各無線通信基地局101の保持するdisnormal_countを比較し(S507)、各無線通信基地局101が保持するdisnormal_countが全て0の場合(S508でYesの場合)は、各無線通信基地局101の検出した震度i_accelの比較を行う(S509)。震度比較の結果、最大の震度i_accelを検出した無線通信基地局101を被災地域の中心地とする(S510)。各無線通信基地局101が保持するdisnormal_countが全て0でない場合(S508でNoの場合)は、最大のdisnormal_countを保持する無線通信基地局101を被災地域の中心地とする(S511)。最後に、GPS204により検出した前記被災地域の中心地の無線通信基地局101の位置P1をメモリ部207に記憶する(S512)。
【0036】
図11は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が緊急地震速報に含まれる震度情報も考慮して被災地域の中心地を決定するまでの処理を説明するフローチャートである。開始時点で各無線通信基地局101に対して複数の無線通信端末102が接続されているものとする。フローチャートに含まれる変数の内、disnormal_countは非正規接続断数、tは緊急地震速報報知からの経過時間、t1は緊急地震速報報知から被災地域の中心地判定開始までの経過時間、i_emergは緊急地震速報に含まれる震度情報を示す。
【0037】
開始後、各無線通信基地局101は、無線ネットワーク制御局103から、気象サーバ107により作成された緊急地震速報を受信する(S601)。緊急地震速報受信後、メモリ部207にあるdisnormal_count、tを初期化する(S602)。その後、受信した緊急地震速報を無線通信端末102に対して報知する(S603)。地震発生後、各無線通信基地局101は、緊急地震速報に含まれる震度情報をメモリ部207にあるi_emergに格納する(S604)。その後、ループ1の処理に進む(S605)。緊急地震速報報知からt1が経過するまでは無線通信部201から受信した情報と制御部203と現状メモリ部207に記憶されているdisnormal_countにより、disnormal_conuntを更新し、再度メモリ部207に記憶する(S606)。t1経過後、基地局間ネットワークもしくはコアネットワークを介して緊急地震速報が報知されたエリアの各無線通信基地局101の保持するdisnormal_countを比較し(S607)、各無線通信基地局101が保持するdisnormal_countが全て0の場合(S608でYesの場合)は、各無線通信基地局101の保持する震度情報i_emergの比較を行う(S609)。震度比較の結果、最大の震度情報i_emergを保持する無線通信基地局101を被災地域の中心地とする(S610)。各無線通信基地局101が保持するdisnormal_countが全て0でない場合(S608でNoの場合)は、最大のdisnormal_countを保持する無線通信基地局101を被災地域の中心地とする(S611)。最後に、GPS204により検出した前記被災地域の中心地の無線通信基地局101の位置P1をメモリ部207に記憶する(S612)。
【0038】
なお、図8、図10および図11では、無線通信基地局101が、被災地域の中心地を決定しているが、無線通信基地局101の上位の装置である、例えば、無線ネットワーク制御局103が、各無線通信基地局101から取得した情報に基づいて、被災地域の中心地を決定するようにしても良い。
【0039】
図12は、被災地域におけるハンドオーバ(HO)を説明する図である。図において、P1は、被災地域の中心地Xを示し、P2は、被災地域内に位置する無線通信基地局Aの位置を示し、P3は、無線通信基地局Aに接続する各無線通信端末の位置を示し、P4は、無線通信基地局Aに接続している無線通信端末の内、中心地Xから最も遠い位置にある無線通信端末Bに隣接する各無線通信基地局の位置を示す。d1は中心地Xから無線通信基地局Aまでの距離、d2は中心地Xから無線通信基地局Aに接続している各無線通信端末までの距離、d3は中心地Xから無線通信端末Bに隣接した各無線通信基地局までの距離を示す。max(d2)、max(d3)は、それぞれd2、d3のうち最大のものを示す。d3が最大となるような無線通信基地局をCとする。図においては無線通信端末Bが無線通信基地局Aから無線通信基地局Cへとハンドオーバ(HO)される。
【0040】
図13は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が気象サーバからの緊急地震速報を無線通信端末に向けて報知した後に無線通信端末をハンドオーバさせるときの動作を説明するフローチャートである。フローチャートにて使用されるun_hoは無線通信基地局Aに接続している各無線通信端末の内、ハンドオーバの対象となる無線通信端末数を示し、bn_hoは無線通信端末Bのハンドオーバの対象となる無線通信基地局数を示す。hoはハンドオーバー判定用のフラグである。その他の各値については図12の説明を参照されたい。また、緊急事態を示すフラグemergencyが立っている間はループ1を繰り返す。
【0041】
無線通信基地局Aは、被災地域の中心地決定後、メモリ部207に記憶されているd1、各d2、各d3、P2、各P3、各P4、un_ho、bn_ho、hoを初期化する(S701)。その後、GPS204によりP2を検出し、無線通信基地局Aに接続している各無線通信端末に備えられたGPSにより各P3を検出し、検出したP2、各P3をメモリ部207に記憶する(S702)。各無線通信端末のGPSで取得した情報は、無線通信端末が無線通信基地局Aに送信する。P1に関しては被災地域の中心地決定の際にメモリ部207に記憶した値をそのまま用いる。次に、P1とP2、P1と各P3からそれぞれd1、各d2を制御部206により算出し、メモリ部207に記憶する(S703)。さらにP3の検出結果からun_hoを制御部206により算出し、メモリ部207に記憶する(S704)。
【0042】
その後、ループ1の処理に進む(S705)。ループ1内では、まずハンドオーバ(HO)対象無線通信端末に関する各d2よりmax(d2)を特定する(S706)。次に、max(d2)とd1を比較し(S707)、max(d2)がd1未満であれば(S707でYesの場合)、ループ1の終端へと進む。max(d2)がd1以上であれば(S707でNoの場合)、max(d2)を持つ無線通信端末Bを特定し(S708)、無線通信端末Bに隣接した各無線通信基地局の位置P4を基地局間ネットワークもしくはコアネットワークを介して検出し、メモリ部207に記憶する(S709)。その後、無線通信端末BのP3、各P4に基づき各d3を算出し、メモリ部207に記憶する(S710)。さらにP4の検出結果から制御部206によりbn_hoを算出し、メモリ部207に記憶する(S711)。
【0043】
その後、ループ2の処理に進む(S712)。ループ2では、まずハンドオーバ(HO)対象無線通信基地局の内max(d3)を持つ無線通信基地局Cを特定する(S713)。その後、無線通信基地局Cにハンドオーバ(HO)可能かどうかを確認し(S714)、可能であれば(S714でYesの場合)、無線通信端末Bを無線通信基地局Cにハンドオーバ(HO)し(S715)、hoフラグを立てる(S716)。可能でなければ(S714でNoの場合)、無線通信基地局Cをハンドオーバ(HO)の対象から除外し(S717)、bn_hoをデクリメントする(S718)。ループ2をhoフラグが立つかbn_ho=0となるまで繰り返す。
【0044】
ループ2を抜けた後はhoフラグを0とし(S719)、無線通信端末Bをハンドオーバ(HO)の対象から除外して(S720)、un_hoをデクリメントする(S721)。その後、ループ1の終了まで処理を繰り返す。ループ1の終了の条件としてemergencyフラグが0になること、もしくはmax(d2)<d1となることとしているがこの限りではない。また、emergencyフラグが0になる場合としては、緊急地震速報報知後一定時間経過した場合や、緊急事態終了の情報が報知された場合等を想定している。
【0045】
図14は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が震度により緊急事態を判断するフローチャートである。iは無線通信基地局101が加速度センサ205により検出した震度を表す。isは緊急事態を判断するための震度の閾値である。この判断フローを実施するのは図13においてループ1の処理に入る前であるとする。
無線通信基地局101は、最初にiを初期化する(S801)。次に、無線通信基地局101は、加速度センサ205により検出され、メモリ部207に記憶されたiがis以上か未満かを制御部206により判断する(S802)。iがis以上であれば処理を終了する。iがis未満であれば緊急事態を示すemergencyフラグを0にする(S803)。
【0046】
図15は、本発明の実施の形態に係る無線通信基地局が基地局間通信またはコアネットワーク通信により緊急事態を判断するフローチャートである。io[]は無線通信基地局101にとって自局以外の無線通信基地局が検出した震度情報である。isは緊急事態を判断するための震度の閾値である。is_nは自局以外の無線通信基地局で閾値is未満の震度を検出した無線通信基地局数を示す。jはループ変数であり、bn_eaは被災地域に位置する無線通信基地局数である。またis_nsは緊急事態を判断するのためのis_nに対する閾値である。この判断フローを実施するのは図13において図14のフローが実施され、緊急事態と判断された後で、ループ1の処理に入る前であるとする。
【0047】
最初に、無線通信基地局101は、io[]とis_nを初期化する(S901)。次に、無線通信基地局101は、無線通信基地局間通信またはコアネットワーク通信により自局と同じく被災地域に位置する自局以外の各無線通信基地局が検出したio情報を取得し、メモリ部207に記憶する(S902)。その後、ループ1の処理に進む(S903)。次に、各ioがis以上か未満かを制御部206により判断する(S904)。ioがis以上であれば特に処理を行わない。ioがis未満であればis_nをインクリメントする(S905)。この処理をbn_ea数回繰り返す。次に、is_nとis_nsとを比較し(S906)、is_nがis_ns以上であれば緊急事態を示すemergencyフラグを0にする(S907)。is_ns未満であれば処理を終了する。
【0048】
本発明の第2の実施形態では、以上説明した図13と、図8または図10または図11のフローチャート、もしくは、図13と図14と、図8または図10または図11のフローチャート、もしくは、図13と図14と図15と、図8または図10または図11のフローチャートを実施しても良いものとする。
【符号の説明】
【0049】
100 移動体通信システム
101 無線通信基地局
102 無線通信端末
103 無線ネットワーク制御局
104 交換局
105 位置情報メモリ
106 固定電話網
107 気象サーバ
108 同報配信装置(CBC)
109 SGSN
201 無線通信部
202 無線ネットワーク制御局I/F部
203 基地局間I/F部
204 GPS
205 加速度センサ
206 制御部
207 メモリ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急地震速報の報知後に、前記緊急地震速報に含まれる危険予定地域の中心地に自局が存在しているとき、自局に接続している無線通信端末までの距離に応じて前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行うことを特徴とする無線通信基地局。
【請求項2】
前記緊急地震速報の報知後に、自局に接続している前記無線通信端末の内、前記危険予定地域の中心地からより離れた距離に位置する無線通信端末を優先して前記危険予定地域の中心地からより離れた無線通信基地局にハンドオーバさせることを特徴とする請求項1に記載の無線通信基地局。
【請求項3】
加速度センサを更に備え、前記加速度センサで検出した震度が所定の閾値を超えない場合は、前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行わないことを特徴とする請求項1に記載の無線通信基地局。
【請求項4】
無線通信基地局間ネットワークもしくはコアネットワーク間通信により自局以外の特定数以上の無線通信基地局にて所定の閾値以上の震度の検出を確認できた場合にのみ、前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の無線通信基地局。
【請求項5】
被災地域に存在している無線通信基地局であって、
緊急地震速報の報知後に、前記被災地域の中心地と判定された当該中心地から、自局に接続している無線通信端末までの距離に応じて前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行うことを特徴とする無線通信基地局。
【請求項6】
前記緊急地震速報の報知後に、自局に接続している前記無線通信端末の内、前記被災地域の中心地と判定された当該中心地からより離れた距離に位置する無線通信端末を優先して前記被災地域の中心地と判定された当該中心地からより離れた無線通信基地局にハンドオーバさせることを特徴とする請求項5に記載の無線通信基地局。
【請求項7】
加速度センサを更に備え、前記加速度センサで検出した震度が所定の閾値を超えない場合は、前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行わないことを特徴とする請求項5に記載の無線通信基地局。
【請求項8】
無線通信基地局間ネットワークもしくはコアネットワーク間通信により自局以外の特定数以上の無線通信基地局にて所定の閾値以上の震度の検出を確認できた場合にのみ、前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行うことを特徴とする請求項7に記載の無線通信基地局。
【請求項9】
前記被災地域の中心地は、自局に接続している無線通信端末の内、緊急地震速報の報知後に非正規接続断を行った無線通信端末数に基づいて決定されることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の無線通信基地局。
【請求項10】
前記被災地域の中心地は、緊急地震速報後に非正規接続断を行った無線通信端末が存在しない場合、自局が備える加速度センサで検出した震度に基づいて決定されることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載の無線通信基地局。
【請求項11】
前記被災地域の中心地は、緊急地震速報後に非正規接続断を行った無線通信端末が存在しない場合、前記緊急地震速報に含まれる震度情報に基づいて決定されることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載の無線通信基地局。
【請求項1】
緊急地震速報の報知後に、前記緊急地震速報に含まれる危険予定地域の中心地に自局が存在しているとき、自局に接続している無線通信端末までの距離に応じて前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行うことを特徴とする無線通信基地局。
【請求項2】
前記緊急地震速報の報知後に、自局に接続している前記無線通信端末の内、前記危険予定地域の中心地からより離れた距離に位置する無線通信端末を優先して前記危険予定地域の中心地からより離れた無線通信基地局にハンドオーバさせることを特徴とする請求項1に記載の無線通信基地局。
【請求項3】
加速度センサを更に備え、前記加速度センサで検出した震度が所定の閾値を超えない場合は、前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行わないことを特徴とする請求項1に記載の無線通信基地局。
【請求項4】
無線通信基地局間ネットワークもしくはコアネットワーク間通信により自局以外の特定数以上の無線通信基地局にて所定の閾値以上の震度の検出を確認できた場合にのみ、前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の無線通信基地局。
【請求項5】
被災地域に存在している無線通信基地局であって、
緊急地震速報の報知後に、前記被災地域の中心地と判定された当該中心地から、自局に接続している無線通信端末までの距離に応じて前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行うことを特徴とする無線通信基地局。
【請求項6】
前記緊急地震速報の報知後に、自局に接続している前記無線通信端末の内、前記被災地域の中心地と判定された当該中心地からより離れた距離に位置する無線通信端末を優先して前記被災地域の中心地と判定された当該中心地からより離れた無線通信基地局にハンドオーバさせることを特徴とする請求項5に記載の無線通信基地局。
【請求項7】
加速度センサを更に備え、前記加速度センサで検出した震度が所定の閾値を超えない場合は、前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行わないことを特徴とする請求項5に記載の無線通信基地局。
【請求項8】
無線通信基地局間ネットワークもしくはコアネットワーク間通信により自局以外の特定数以上の無線通信基地局にて所定の閾値以上の震度の検出を確認できた場合にのみ、前記無線通信端末のハンドオーバ制御を行うことを特徴とする請求項7に記載の無線通信基地局。
【請求項9】
前記被災地域の中心地は、自局に接続している無線通信端末の内、緊急地震速報の報知後に非正規接続断を行った無線通信端末数に基づいて決定されることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の無線通信基地局。
【請求項10】
前記被災地域の中心地は、緊急地震速報後に非正規接続断を行った無線通信端末が存在しない場合、自局が備える加速度センサで検出した震度に基づいて決定されることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載の無線通信基地局。
【請求項11】
前記被災地域の中心地は、緊急地震速報後に非正規接続断を行った無線通信端末が存在しない場合、前記緊急地震速報に含まれる震度情報に基づいて決定されることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載の無線通信基地局。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−60584(P2012−60584A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204521(P2010−204521)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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