説明

無線通信接続システム及びネットワーク装置

【課題】ネットワーク装置を無線通信ネットワークに接続できない場合に、その原因が従来よりも特定し易い無線通信接続システムを提供すること。
【解決手段】無線通信ネットワークに接続されている第1プリンタ10は、ネットワーク無線設定を記憶している。第1及び第2プリンタ10,50は、同一のアドフォック無線設定を記憶している。第1プリンタ10は、ネットワーク無線設定をアドフォック無線設定で無線送信する。第2プリンタ50は、無線送信されたネットワーク無線設定をアドフォック無線設定で受信し、そのネットワーク無線設定が利用可能か判定し、判定結果をアドフォック無線設定で無線送信する。第1プリンタ10は、無線送信された判定結果をアドフォック無線設定で受信し、受信した判定結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク装置を無線通信ネットワークに接続するための無線通信接続システム、及び、その無線通信接続システムに使用されるネットワーク装置に関する。なお、本明細書において、「ネットワーク装置」とは、無線通信により情報の送受信が可能な装置のことを意味する。また、「無線通信ネットワーク」とは、互いに無線通信可能な2以上のネットワーク装置により構成されているネットワーク装置群を意味する。したがって、最小の無線通信ネットワークは、2つのネットワーク装置により構成される。また、「ネットワーク装置が無線通信ネットワークに接続されている」とは、そのネットワーク装置がその無線通信ネットワークを構成する1つのデバイスであることを意味する。したがって、「ネットワーク装置を無線通信ネットワークに接続する」とは、そのネットワーク装置をその無線通信ネットワークを構成する1つのデバイスにすることを意味する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN等のように、複数のネットワーク装置の間で無線により情報の送受信を行う無線通信ネットワークが知られている。ネットワーク装置から情報を無線送信する場合、無線信号が無線通信ネットワーク外のネットワーク装置(例えば、他人のネットワーク装置)にも到達する場合がある。したがって、通常の無線通信ネットワークでは、その無線通信ネットワークを構成する各ネットワーク装置のみが共通して利用する無線設定が予め決められている。無線設定とは、情報を無線で送受信するための規則(例えば認証方式や暗号化方式)である。ネットワーク装置から他のネットワーク装置に情報が無線送信される場合には、送信側の無線設定と受信側の無線設定とが対応していないと、受信側で正しい情報を受信することができない。以下では、無線通信ネットワークを構成する各ネットワーク装置が共通して利用する無線設定のことを、ネットワーク無線設定という。無線通信ネットワークを構成する各ネットワーク装置は、ネットワーク無線設定に従って無線通信する。したがって、無線通信ネットワーク外のネットワーク装置に無線信号が到達したとしても、送信した情報が読み取られないようになっている。このような無線通信ネットワークに新たなネットワーク装置を接続する場合(すなわち、新たなネットワーク装置を無線通信ネットワークに加える場合)、新たなネットワーク装置をネットワーク無線設定に従って無線通信できるようにする必要がある。
【0003】
特許文献1には、インフラストラクチャーモード(ネットワーク装置がアクセスポイントを利用して無線通信するモード)の無線通信ネットワークに新たなネットワーク装置を接続することができる無線通信接続システムが開示されている。この無線通信接続システムでは、無線通信ネットワークを構成している所定のネットワーク装置(以下では、送信側ネットワーク装置という)と新たなネットワーク装置をアドフォックモード(アクセスポイントを介さずにネットワーク装置同士が1対1で無線通信するモード)で無線接続する。送信側ネットワーク装置は、アドフォック無線設定に従って、無線通信ネットワークのネットワーク無線設定(より詳細にはインフラストラクチャーモードの認証方式や暗号化方式;以下ではインフラストラクチャー無線設定と呼ぶ)を無線送信させる。新たなネットワーク装置は、インフラストラクチャー無線設定をアドフォック無線設定に従って受信する。新たなネットワーク装置は、このインフラストラクチャー設定に従って無線通信することが可能となる。すなわち、新たなネットワーク装置をインフラストラクチャーモードの無線通信ネットワークに接続することが可能である。
【0004】
【特許文献1】特開2005−174134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1の技術を利用しても、様々な原因によって、新たなネットワーク装置を既存の無線通信ネットワーク(上記の例ではインフラストラクチャーモードの無線通信ネットワーク)に接続することができないことがある。
【0006】
本発明は、新たなネットワーク装置を既存の無線通信ネットワークに接続することができない事象が起こった場合に、接続できないことを特定可能な無線通信接続システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、複数のタイプのネットワーク無線設定(例えば複数のタイプの認証方式)が存在し、全てのネットワーク装置が全てのタイプのネットワーク無線設定を利用することができるわけではないことに着目した。例えば、上記の送信側ネットワーク装置が、自身が加入している無線通信ネットワークで利用されている認証方式を新たなネットワーク装置に送信しても、その認証方式を新たなネットワーク装置が利用することができないことがある。即ち、既存の無線通信ネットワークで利用されているネットワーク無線設定に新たなネットワーク装置が対応していないことが原因となって、新たなネットワーク装置を無線通信ネットワークに接続することができないことがある。本発明に係る無線通信接続システムでは、このような設定対象となったネットワーク装置が無線通信ネットワークに接続できないことを出力可能とするものであり、以下の構成を備える。
【0008】
本明細書によって開示される無線通信接続システムは、無線通信ネットワークに接続されている第1ネットワーク装置と、無線通信可能な第2ネットワーク装置とを備えている。第1ネットワーク装置は、ネットワーク無線設定記憶手段と、第1アドフォック無線設定記憶手段と、ネットワーク無線設定送信手段と、判定結果受信手段と、判定結果出力手段とを有している。第2ネットワーク装置は、第2アドフォック無線設定記憶手段と、ネットワーク無線設定受信手段と、判定手段と、判定結果送信手段とを有している。第1ネットワーク装置のネットワーク無線設定記憶手段は、無線通信ネットワークを利用して無線通信するためのネットワーク無線設定を記憶している。第1ネットワーク装置の第1アドフォック無線設定記憶手段と、第2ネットワーク装置の第2アドフォック無線設定記憶手段は、同一のアドフォック無線設定を記憶している。第1ネットワーク装置のネットワーク無線設定送信手段は、ネットワーク無線設定記憶手段に記憶されているネットワーク無線設定を第2ネットワーク装置に前記アドフォック無線設定に従って無線送信する。第2ネットワーク装置のネットワーク無線設定受信手段は、第1ネットワーク装置から無線送信されたネットワーク無線設定を前記アドフォック無線設定に従って受信する。第2ネットワーク装置の判定手段は、ネットワーク無線設定受信手段によって受信されたネットワーク無線設定が第2ネットワーク装置で利用可能か否かを判定する。第2ネットワーク装置の判定結果送信手段は、判定手段による判定結果を第1ネットワーク装置に前記アドフォック無線設定に従って無線送信する。第1ネットワーク装置の判定結果受信手段は、第2ネットワーク装置から無線送信された判定結果を前記アドフォック無線設定に従って受信する。第1ネットワーク装置の判定結果出力手段は、判定結果受信手段によって受信された判定結果を出力する。
なお、「出力する」とは、情報を他の装置(第1ネットワーク装置内の装置や第1ネットワーク装置と別体に構成されている装置)に送信することをいう。情報を他の装置に送信する(すなわち、出力する)ことで、送信先(出力先)の装置に動作を実行させることができる。例えば、LCD等の表示装置に情報を送信(出力)すれば、その情報に応じたメッセージ等を表示装置で表示することができる。情報をプリンタ等の印刷装置に送信(出力)すれば、その情報に応じたメッセージ等を印刷装置で印刷することができる。情報を無線送信装置に送信(出力)すれば、その情報が無線送信され、その情報を受信した装置にその情報に応じた動作を実行させることができる。以上のように、「出力する」には、情報を、種々の装置(手段)に送信することが含まれる。
【0009】
この無線通信接続システムでは、第1ネットワーク装置と第2ネットワーク装置が同一のアドフォック無線設定を記憶している。このアドフォック無線設定に従って、第1ネットワーク装置と第2ネットワーク装置が無線通信することができる。このアドフォックモードの無線通信によって、第1ネットワーク装置から第2ネットワーク装置にネットワーク無線設定が送られる。すなわち、第1ネットワーク装置が加入している無線通信ネットワークのネットワーク無線設定が第2ネットワーク装置に送られる。第2ネットワーク装置は、受信したネットワーク無線設定に従って無線通信が可能となる。しかしながら、第2ネットワーク装置が、受信したネットワーク無線設定を利用できない場合がある。したがって、第2ネットワーク装置の判定手段は、ネットワーク無線設定が第2ネットワーク装置で利用可能か否かを判定する。そして、この判定結果が第1ネットワーク装置にアドフォック無線設定に従って無線送信される。第1ネットワーク装置は、判定結果を受信して出力することができる。仮に否定的な判定結果が出力された場合、ユーザは、既存の無線通信ネットワークのネットワーク無線設定に第2ネットワーク装置が対応していないことが原因となって、第2ネットワーク装置を無線通信ネットワークに接続することができない事象が起こったことを認識することができる。ユーザは、第2ネットワーク装置を無線通信ネットワークに接続するための対応(例えば、ネットワーク無線設定を変更する等)をとることができる。
【0010】
なお、第1ネットワーク装置の判定結果出力手段は、否定的な判定結果が得られた場合はその判定結果を必ず出力するように構成されていてもよい(肯定的な判定結果は出力してもしなくてもよい)。即ち、判定結果出力手段は、ネットワーク無線設定が第2ネットワーク装置で利用不可能であることを示す判定結果が判定結果受信手段によって受信された場合に、その判定結果を出力してもよい。なお、これとは逆に、判定結果出力手段は、肯定的な判定結果を出力し、否定的な判定結果を出力しなくてもよい。判定結果が出力されなかった場合は否定的な判定結果であったことをユーザが認識することができるからである。また、判定結果出力手段は、肯定的な判定結果と否定的な判定結果の両方を出力するようにしてもよい。
【0011】
肯定的な判定結果が得られた場合でも、種々の要因によって第2ネットワーク装置が無線通信ネットワークに接続されない場合がある。例えば、第2ネットワーク装置に設定されるべき接続設定(例えば第2ネットワーク装置のIPアドレス)が、既存の無線通信ネットワークに適合していないことがある。この場合、無線通信ネットワークのネットワーク無線設定に第2ネットワーク装置が対応していても、第2ネットワーク装置が無線通信ネットワークに接続されないことがある。第2ネットワーク装置が無線通信ネットワークに確実に接続されたことを確認するために、以下の構成を採用してもよい。
【0012】
即ち、第1ネットワーク装置は、確認信号送信手段と、返信信号受信手段と、返信結果出力手段とをさらに有していてもよい。また第2ネットワーク装置は、確認信号受信手段と、返信信号送信手段とをさらに有していてもよい。第1ネットワーク装置の確認信号送信手段は、ネットワーク無線設定が第2ネットワーク装置で利用可能であることを示す判定結果が判定結果受信手段によって受信された場合に、ネットワーク無線設定記憶手段に記憶されているネットワーク無線設定に従って、確認信号を第2ネットワーク装置に無線送信する。第2ネットワーク装置の確認信号受信手段は、ネットワーク無線設定受信手段によって受信されたネットワーク無線設定に従って、第1ネットワーク装置から無線送信された確認信号を受信する。第2ネットワーク装置の返信信号送信手段は、確認信号受信手段によって確認信号が受信された場合に、ネットワーク無線設定受信手段によって受信されたネットワーク無線設定に従って、返信信号を第1ネットワーク装置に無線送信する。第1ネットワーク装置の返信信号受信手段は、ネットワーク無線設定記憶手段に記憶されているネットワーク無線設定に従って、第2ネットワーク装置から無線送信された返信信号を受信する。そして、第1ネットワーク装置の返信結果出力手段は、返信信号受信手段によって返信信号が受信された場合に、返信信号が受信されたことを示す情報を出力し、返信信号受信手段によって返信信号が受信されなかった場合に、返信信号が受信されなかったことを示す情報を出力する。
【0013】
この無線通信接続システムでは、ネットワーク無線設定が第2ネットワーク装置で利用可能であることを示す判定結果が判定結果受信手段によって受信された場合に、第1ネットワーク装置と第2ネットワーク装置の間でネットワーク無線設定に従った無線通信が行われる。すなわち、第1ネットワーク装置から第2ネットワーク装置に確認信号が送信される。そして、第2ネットワーク装置で確認信号が受信された場合に、第2ネットワーク装置から第1ネットワーク装置に返信信号が送信される。第2ネットワーク装置が無線通信ネットワークに接続されていれば、確認信号と返信信号の送受信が好適に行われる。したがって、第1ネットワーク装置が返信信号を受信したか否かによって、第2ネットワーク装置が無線通信ネットワークに接続されているか否かが分かる。第1ネットワーク装置の返信結果出力手段は、第1ネットワーク装置で返信信号を受信したか否かを出力する(なお、出力するについては、例えば、上記の記載を参照)。したがって、その出力により、第2ネットワーク装置が無線通信ネットワークに接続されたか否かを容易に確認することができる。例えば、ユーザは、返信信号の受信についてのLCDへの出力に基づき、これを容易に確認することができる。
【0014】
上述した無線通信接続システムにおいては、第2ネットワーク装置として種々のネットワーク装置を用いることができる。この場合、利用可能なアドフォック無線設定がネットワーク装置の機種によって異なることがある。第1ネットワーク装置が様々な機種の第2ネットワーク装置とアドフォックモードの無線通信を行うことができるように、以下の構成を採用してもよい。すなわち、第1ネットワーク装置は、特定情報受信手段と、アドフォック無線設定特定手段をさらに有していてもよい。また、第2ネットワーク装置は、特定情報記憶手段と、特定情報送信手段をさらに有していてもよい。第1ネットワーク装置の第1アドフォック無線設定記憶手段は、複数パターンのアドフォック無線設定を記憶している。各パターンのアドフォック無線設定には、デバイス特定情報が対応づけられている。第2ネットワーク装置の特定情報記憶手段は、第2ネットワーク装置のデバイス特定情報を記憶している。第2ネットワーク装置の特定情報送信手段は、特定情報記憶手段に記憶されているデバイス特定情報をブロードキャストを利用して無線送信する。第1ネットワーク装置の特定情報受信手段は、第2ネットワーク装置から無線送信されたデバイス特定情報を受信する。第1ネットワーク装置のアドフォック無線設定特定手段は、特定情報受信手段によって受信されたデバイス特定情報に対応づけて第1アドフォック無線設定記憶手段に記憶されているアドフォック無線設定を特定する。第1ネットワーク装置のネットワーク無線設定送信手段及び判定結果受信手段は、アドフォック無線設定特定手段によって特定されたアドフォック無線設定に従って無線通信する。
【0015】
この無線通信接続システムでは、第1ネットワーク装置の第1アドフォック無線設定記憶手段が、複数パターンのアドフォック無線設定を記憶している。各パターンのアドフォック無線設定には、デバイス特定情報が対応づけられている。第2ネットワーク装置を無線通信ネットワークに接続するときには、第2ネットワーク装置が、第2ネットワーク装置のデバイス特定情報をブロードキャストを利用して無線送信する。ブロードキャストとは、不特定のネットワーク装置に向けて情報を送信することをいう。第1ネットワーク装置は、第2ネットワーク装置のデバイス特定情報を受信すると、複数パターンのアドフォック無線設定の中から、そのデバイス特定情報に対応づけられているアドフォック無線設定を特定する。そして、特定したアドフォック無線設定にしたがって、第2ネットワーク装置と無線通信する。すなわち、第1ネットワーク装置が、第2ネットワーク装置で利用可能なアドフォック無線設定を特定し、特定したアドフォック無線設定にしたがって無線通信することができる。したがって、利用可能なアドフォック無線設定が異なる種々の第2ネットワーク装置を、無線通信ネットワークに接続することができる。
【0016】
また、第1ネットワーク装置は、接続設定を入力する接続設定入力手段をさらに有していてもよい。そして、第1ネットワーク装置のネットワーク無線設定送信手段は、ネットワーク無線設定と接続設定入力手段に入力された接続設定とを第2ネットワーク装置に無線送信してもよい。
なお、接続設定とは、ネットワーク装置が通信を行う際に、ネットワーク装置を特定するために用いられる情報(例えばIPアドレス)である。
【0017】
第1ネットワーク装置が接続設定を送信する場合、第1ネットワーク装置が、接続設定判定手段と、選択許容手段をさらに有していてもよい。接続設定判定手段は、接続設定入力手段に入力された接続設定が、第1ネットワーク装置の接続設定に適合するか否かを判定する。選択許容手段は、接続設定入力手段に入力された接続設定が第1ネットワーク装置の接続設定に適合しないと接続設定判定手段によって判定された場合に、接続設定入力手段に入力された接続設定を第2ネットワーク装置に無線送信するか否かをユーザが選択することを許容する。そして、第1ネットワーク装置のネットワーク無線設定送信手段は、接続設定入力手段に入力された接続設定が第1ネットワーク装置の接続設定に適合すると接続設定判定手段によって判定された場合、及び、接続設定入力手段に入力された接続設定を第2ネットワーク装置に無線送信することが選択許容手段において選択された場合に、接続設定入力手段に入力された接続設定を第2ネットワーク装置に無線送信してもよい。
【0018】
この無線通信接続システムでは、接続設定入力手段に入力された接続設定が、第1ネットワーク装置の接続設定に適合するか否かを判定する。そして、適合すると判定された場合に、接続設定入力手段に入力された接続設定を第2ネットワーク装置に送信する。一方、入力された接続設定が第1ネットワーク装置の接続設定に適合しない場合であっても、その接続設定が第2ネットワーク装置で利用する際には好適な場合もある。したがって、第1ネットワーク装置は、第1ネットワーク装置の接続設定に適合しないと判定された接続設定(接続設定入力手段に入力された接続設定)を、第2ネットワーク装置に送信するか否かをユーザに選択することを許容する。そして、ユーザにより接続設定入力手段に入力された接続設定を第2ネットワーク装置に送信することが選択された場合にも、その接続設定を第2ネットワーク装置に送信する。無線通信接続システムがこのように構成されているので、接続設定に詳しくないユーザは、入力された接続設定が第1ネットワーク装置の接続設定に適合しないと判定された場合には、その接続設定を第2ネットワーク装置に送信しないようにすることができる。また、接続設定に詳しいユーザは、第1ネットワーク装置の接続設定に適合しなくても、第2ネットワーク装置に対して好適な接続設定を、第2ネットワーク装置に送信することができる。
【0019】
前記した接続設定には、第2ネットワーク装置のIPアドレスと、サブネットマスクとが含まれていてもよい。なお、接続設定には、他の情報が含まれていてもよい。
また、前記したネットワーク無線設定には、無線通信ネットワークのネットワークIDと、無線通信ネットワークにおいて利用される認証方式と、無線通信ネットワークにおいて利用される暗号化方式とが含まれていてもよい。なお、ネットワーク無線設定には、他の情報が含まれていてもよい。
また、前記したアドフォック無線設定には、アドフォック無線通信のアドフォックIDと、アドフォック無線通信において利用される認証方式と、アドフォック無線通信において利用される暗号化方式とが含まれていてもよい。なお、アドフォック無線設定には、他の情報が含まれていてもよい。
【0020】
前記した無線通信ネットワークは、インフラストラクチャーモードの無線通信ネットワークであってもよい。一方において、前記した無線通信ネットワークは、アドフォックモードの無線通信ネットワードであってもよい。
【0021】
また、上記の無線通信接続システムを構築するための第1ネットワーク装置は、それ単体でも新規で有用な創作物である。このネットワーク装置は、無線通信ネットワークに接続可能である。このネットワーク装置は、ネットワーク無線設定記憶手段と、アドフォック無線設定記憶手段と、ネットワーク無線設定送信手段と、判定結果受信手段と、判定結果出力手段を備えている。ネットワーク無線設定記憶手段は、無線通信ネットワークを利用して無線通信するためのネットワーク無線設定を記憶している。アドフォック無線設定記憶手段は、アドフォック無線設定を記憶している。ネットワーク無線設定送信手段は、ネットワーク無線設定記憶手段に記憶されているネットワーク無線設定を他のネットワーク装置に前記アドフォック無線設定に従って無線送信する。判定結果受信手段は、ネットワーク無線設定が他のネットワーク装置で利用可能か否かの判定結果が他のネットワーク装置から無線送信された場合に、その判定結果を前記アドフォック無線設定に従って受信する。判定結果出力手段は、判定結果受信手段によって受信された判定結果を出力する。
このネットワーク装置を利用すると、上記の無線通信接続システムを構築することができる。
【0022】
また、上記の無線通信接続システムを構築するための第2ネットワーク装置も新規で有用な創作物である。このネットワーク装置は、無線通信ネットワークに接続可能である。このネットワーク装置は、アドフォック無線設定記憶手段と、ネットワーク無線設定受信手段と、判定手段と、判定結果送信手段を有している。アドフォック無線設定記憶手段は、アドフォック無線設定を記憶している。ネットワーク無線設定受信手段は、無線通信ネットワークを利用して無線通信するためのネットワーク無線設定が他のネットワーク装置から無線送信された場合に、そのネットワーク無線設定を前記アドフォック無線設定に従って受信する。判定手段は、ネットワーク無線設定受信手段によって受信されたネットワーク無線設定がネットワーク装置で利用可能か否かを判定する。判定結果送信手段は、判定手段による判定結果を他のネットワーク装置に前記アドフォック無線設定に従って無線送信する。
このネットワーク装置を利用すると、上記の無線通信接続システムを構築することができる。
【0023】
さらに、ネットワーク装置は、ネットワーク無線設定記憶手段と、アドフォック無線設定記憶手段と、ネットワーク無線設定送信手段と、確認信号送信手段と、返信信号受信手段と、返信結果出力手段を有している。ネットワーク無線設定記憶手段は、無線通信ネットワークを利用して無線通信するためのネットワーク無線設定を記憶している。アドフォック無線設定記憶手段は、アドフォック無線設定を記憶している。ネットワーク無線設定送信手段は、ネットワーク無線設定記憶手段に記憶されているネットワーク無線設定を他のネットワーク装置に前記アドフォック無線設定に従って無線送信する。確認信号送信手段は、ネットワーク無線設定記憶手段に記憶されているネットワーク無線設定に従って、確認信号を他のネットワーク装置に無線送信する。返信信号受信手段は、他のネットワーク装置から無線送信された確認信号に対する返信信号を、ネットワーク無線設定記憶手段に記憶されているネットワーク無線設定に従って受信する。返信結果出力手段は、返信信号受信手段によって返信信号が受信された場合に、返信信号が受信されたことを示す情報を出力し、返信信号受信手段によって返信信号が受信されなかった場合に、返信信号が受信されなかったことを示す情報を出力する。
このネットワーク装置を利用すると、他のネットワーク装置を無線通信ネットワークに接続することができる。また、他のネットワーク装置が無線通信ネットワークに接続されたか否かを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】無線通信接続システム100のブロック図。
【図2】無線通信接続処理のフローチャート(前半の処理)。
【図3】無線通信接続処理のフローチャート(後半の処理)。
【図4】ネットワーク接続確認処理のフローチャート。
【図5】表示画面の一例。
【図6】表示画面の一例。
【図7】表示画面の一例。
【発明を実施するための形態】
【0025】
下記に詳細に説明する実施例の主要な特徴を最初に列記する。
(特徴1)第1ネットワーク装置は、無線設定記憶手段と、送受信手段と、バックアップ手段を有している。
(特徴2)ネットワーク無線設定送信手段と、判定結果受信手段は、送受信手段によって構成されている。
(特徴3)無線設定記憶手段は、1の無線設定を記憶する。送受信手段は、無線設定記憶手段に記憶されている無線設定に従って無線通信する。すなわち、無線設定記憶手段にアドフォック無線設定が記憶されていると、送受信手段はアドフォック無線設定に従って無線通信する。無線設定記憶手段にネットワーク無線設定が記憶されていると、送受信手段はネットワーク無線設定に従って無線通信する。
(特徴4)送受信手段がアドフォック無線設定に従って無線通信する場合には、無線設定記憶手段にアドフォック無線設定が記憶される。
(特徴5)アドフォック無線設定が無線設定記憶手段に記憶される場合には、バックアップ手段が直前に無線設定記憶手段に記憶されていた無線設定を記憶する。
【0026】
(実施例)
本発明の実施例に係る無線通信接続システムについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例の無線通信接続システム100の概略構成を示すブロック図である。無線通信接続システム100は、第1プリンタ10と、第2プリンタ50を備えている。第1プリンタ10と第2プリンタ50は、共に無線LAN機能を有しており、外部装置と無線通信することができる。
第1プリンタ10は、無線通信ネットワーク110に接続されている。無線通信ネットワーク110は、アクセスポイント90を介して相互に無線通信可能な複数のネットワーク装置(パソコン、プリンタ、スキャナ等。図1において図示は省略)により構成されている。すなわち、第1プリンタ10は、アクセスポイント90を介した無線通信(すなわち、インフラストラクチャーモードの無線通信)により、無線通信ネットワーク110を構成するネットワーク装置と無線通信を行うことができる。第1プリンタ10が、無線通信ネットワーク110の一部を構成しているということもできる。
第2プリンタ50は、無線通信ネットワーク110に接続されていない。上述したように、第2プリンタ50は無線LAN機能を有している。したがって、第2プリンタ50の設定を変更することで、第2プリンタ50を無線通信ネットワーク110に接続することは可能である。
無線通信接続システム100によれば、第2プリンタ50を、第1プリンタ10が接続されている無線通信ネットワーク(本実施例では無線通信ネットワーク110)に容易に接続することができる。
【0027】
第1プリンタ10は、無線LANインタフェース12と、演算装置14と、記憶装置16と、表示部18と、入力部20と、プリンタ部22を備えている。
【0028】
無線LANインタフェース12は、無線信号(電波)を送受信する無線アンテナと、無線アンテナを制御する制御回路等により構成されている。無線LANインタフェース12は演算装置14に接続されている。無線LANインタフェース12は、演算装置14からデータの入力を受け、入力されたデータを外部の装置へ無線送信する。また、無線LANインタフェース12は、外部の装置から無線送信されたデータを受信し、受信したデータを演算装置14に出力する。無線LANインタフェース12は、記憶装置16が備えている無線設定記憶領域16b(後に詳述する)に設定(記憶)されている無線設定に従って、無線通信する。
【0029】
演算装置14は、無線LANインタフェース12、記憶装置16、表示部18、入力部20及びプリンタ部22と接続されている。演算装置14は、各種の演算、第1プリンタ10の各部の制御及び各部とのデータの入出力を実行する。
【0030】
記憶装置16は、種々のデータを記憶することができる。記憶装置16が記憶しているデータは、演算装置14によって読取られる。また、記憶装置16は、演算装置14からデータの入力を受け、そのデータを記憶する。記憶装置16は、通常記憶領域16a、無線設定記憶領域16b、及びバックアップ領域16cを備えている。
【0031】
通常記憶領域16aには、無線通信接続プログラム30とアドフォック無線設定データベース32が記憶されている。
無線通信接続プログラム30は、第1プリンタ10が接続されている無線通信ネットワーク(本実施例の場合は、無線通信ネットワーク110)に、外部のネットワーク装置を接続するためのプログラムである。無線通信接続プログラム30は、演算装置14に読み出されて実行される。
アドフォック無線設定データベース32は、ネットワーク装置の種類を特定するデータ(以下では、デバイス特定データという)と、その種類のネットワーク装置が無線通信可能なアドフォック無線設定を示すデータ(以下では、アドフォック無線設定データという)を対応付けて記述したデータベースである。なお、アドフォック無線設定とは、ネットワーク装置同士がアドフォック無線通信(ネットワーク装置同士が1対1で無線通信するモード)を行うときに利用される無線設定である。2つのネットワーク装置が同一のアドフォック無線設定に従って無線通信することで、アドフォック無線通信が可能となる。
【0032】
無線設定記憶領域16bには、無線設定データと接続設定データが記憶される。
無線設定データは、無線LANインタフェース12が無線通信するための無線設定を示すデータである。具体的には、無線設定データは、SSID、認証方式、及び暗号化方式を記述したデータである。SSIDは、無線通信するときに利用されるID(ネットワークID)である。認証方式は、無線通信を許可するための方式(規格)である。暗号化方式は、無線通信するときのデータの暗号化の方式(暗号化の規格)である。暗号化方式には、データの暗号化及び復号化に使用するキーワード(文字列)が含まれる場合がある。共通の無線通信設定(SSID、認証方式、暗号化方式)によって無線信号を送受信することで、ネットワーク装置同士の無線通信が可能となる。無線設定記憶領域16bには、無線通信ネットワーク110内で無線通信するためのネットワーク無線設定データや、アドフォック無線通信をするためのアドフォック無線設定データ等、種々の無線設定データが記憶される。
接続設定データは、ネットワーク装置を特定するためのデータである。具体的には、接続設定データは、第1プリンタ10のIPアドレス、サブネットマスク等を記述したデータである。第1プリンタ10を外部のネットワーク(無線通信ネットワーク110以外のネットワーク(例えばインターネット))に接続する場合には、ゲートウェイも接続設定データに含まれる。
無線設定記憶領域16bは、無線設定データと接続設定データをそれぞれ1つだけ記憶することができる。すなわち、無線設定記憶領域16bに新たな無線設定データと接続設定データが記憶されると、以前の無線設定データと接続設定データは消滅する。上述したように、無線LANインタフェース12は、無線設定記憶領域16bが記憶している無線設定(無線設定データ)及び接続設定(接続設定データ)に従って無線通信する。したがって、無線設定記憶領域16bが記憶している無線設定データと接続設定データを書き換えることで、無線LANインタフェース12が無線通信するための設定が変更される。
【0033】
バックアップ領域16cは、種々のデータを記憶することができる。バックアップ領域16cには、第1プリンタ10の設定の変更時等に、重要なデータが一時的にバックアップされる。
【0034】
表示部18は、液晶ディスプレイであり、演算装置14から入力される指令に応じて情報を表示する。
【0035】
入力部20は、複数の入力ボタン等によって構成されている。ユーザが入力ボタンを操作することによって、入力部20から演算装置14に指令が入力される。
【0036】
プリンタ部22は、主に、用紙トレイ、用紙搬送機構、インクジェットヘッド、インクジェットヘッド駆動機構等によって構成されている。プリンタ部22は、用紙トレイに収容されている用紙をインクジェットヘッドへ搬送し、インクジェットヘッドにより用紙に画像を印刷する。プリンタ部22は、演算装置14から入力される指令に応じて印刷を実行する。
【0037】
第2プリンタ50は、第1プリンタ10と略同様に構成されている。すなわち、第2プリンタ50は、無線LANインタフェース52と、演算装置54と、記憶装置56と、表示部58と、入力部60と、プリンタ部62を備えている。
【0038】
無線LANインタフェース52は、演算装置54からデータの入力を受け、入力されたデータを外部の装置へ無線送信する。また、無線LANインタフェース52は、外部の装置から送信される無線信号を受信し、受信したデータを演算装置54に入力する。無線LANインタフェース52は、記憶装置56の無線設定記憶領域56b(後に詳述する)に設定されている無線設定に従って無線通信する。
【0039】
演算装置54は、無線LANインタフェース52、記憶装置56、表示部58、入力部60及びプリンタ部62と接続されている。演算装置54は、各種の演算、第2プリンタ50の各部の制御及び各部とのデータの入出力を実行する。
【0040】
記憶装置56は、種々のデータを記憶することができる。記憶装置56は、通常記憶領域56aと無線設定記憶領域56bを備えている。
【0041】
通常記憶領域56aには、無線通信接続プログラム70、デバイス特定データ72及びアドフォック無線設定データ74が記憶されている。
無線通信接続プログラム70は、第2プリンタ50を無線通信ネットワーク(本実施例では無線通信ネットワーク110)に接続するためのプログラムである。無線通信接続プログラム70は、演算装置54に読み出されて実行される。
デバイス特定データ72は、第2プリンタ50の種類を特定するデータである。本実施例では、デバイス特定データ72は、第2プリンタ50のMACアドレスと機種名(第2プリンタ50の種類を示す型番)により構成されている。
アドフォック無線設定データ74は、第2プリンタ50がアドフォック無線通信をする際に利用される無線設定を示すデータである。アドフォック無線設定データ74は、SSID(アドフォックID:BSSIDともいう)、認証方式、暗号化方式を記述したデータである。本実施例では、アドフォック無線設定データ74は、SSIDとして第2プリンタ50のMACアドレス、認証方式としてOpen system、暗号化方式としてWEPを記述している。
【0042】
無線設定記憶領域56bには、無線設定データと接続設定データが設定(記憶)される。
無線LANインタフェース52は、無線設定記憶領域56bに設定されている無線設定(無線設定データ)及び接続設定(接続設定データ)に従って無線通信する。例えば、通常記憶領域56aが記憶しているアドフォック無線設定データ74を無線設定記憶領域56bに設定すると、アドフォック無線設定(アドフォック無線設定データ)74にしたがって無線LANインタフェース52が無線通信を実行する。
【0043】
表示部58は、液晶ディスプレイであり、演算装置54から入力される指令に応じて情報を表示する。
【0044】
入力部60は、複数の入力ボタン等によって構成されている。ユーザが入力ボタンを操作することによって、入力部60から演算装置54に指令が入力される。
【0045】
プリンタ部62は、演算装置54から入力される指令に応じて印刷を実行する。
【0046】
次に、無線通信接続システム100によって、第2プリンタ50を無線通信ネットワーク110に接続する処理について説明する。この処理の開始前においては、第1プリンタ10は無線通信ネットワーク110に接続されている。したがって、第1プリンタ10の無線設定記憶領域16bには、無線通信ネットワーク110で利用される無線設定データ(以下では、ネットワーク無線設定データ110aという)と、接続設定データ(以下では、ネットワーク接続設定データ110bという)が記憶されている。本実施例では、ネットワーク無線設定データ110aは、SSIDとしてNETWORK、認証方式としてWPA−PSK、暗号化方式としてTKIPを記述している。
また、第2プリンタ50は、無線通信しない状態となっている。したがって、第2プリンタ50の無線設定記憶領域56bには、何れのデータも記憶されていない。
第2プリンタ50を無線通信ネットワーク110に接続する処理を開始する場合には、第1プリンタ10の入力部20を操作して、演算装置14に無線通信接続プログラム30を実行させる。また、第2プリンタ50の入力部60を操作して、演算装置54に無線通信接続プログラム70を実行させる。これによって、第1プリンタ10と第2プリンタ50が、図2及び図3のフローチャートに示す無線通信接続処理を実行する。なお、図2及び図3のフローチャートの破線による矢印は、第1プリンタ10と第2プリンタ50との間のデータの送受信を示している。また、図2及び図3のフローチャートには示されていないが、第1プリンタ10及び第2プリンタ50はエラー等(例えば、所定時間以上経過しても受信予定のデータを受信できない等)が発生したときには、処理を中止する場合がある。
【0047】
ステップB2では、第2プリンタ50が、デバイス特定データ72と、第2プリンタ50が無線通信ネットワークに接続されていないことを示すデータ(以下では、未設定通知データという)を、予め決められたチャンネルでブロードキャストする。ブロードキャストによる無線通信では、無線設定及び接続設定を設定する必要はない(すなわち、無線設定記憶領域56bに無線設定データ及び接続設定データを記憶する必要はない)。
一方、第1プリンタ10は、ブロードキャストによる無線信号を全チャンネルでスキャンする(ステップA2)。これによって、第1プリンタ10は、第2プリンタ50から無線送信されたデバイス特定データ72と未設定通知データを受信する。また、第2プリンタ50以外のネットワーク装置からもデバイス特定データと未設定通知データがブロードキャストされている場合には、そのデータもステップA2で受信する。
【0048】
第2プリンタ50は、所定時間、デバイス特定データ72と未設定通知データをブロードキャストすると、ステップB4で、通常記憶領域56aに記憶されているアドフォック無線設定データ74を無線設定記憶領域56bに設定する。これによって、第2プリンタ50の無線LANインタフェース52は、アドフォック無線設定74に従ってアドフォック無線通信できる状態となる。
【0049】
第1プリンタ10は、ステップA2の全チャンネルスキャンが終了すると、全チャンネルスキャン時に受信したデバイス特定データ72(すなわち、第2プリンタ50のMACアドレスと機種名)を表示部18に表示する(ステップA4)。ステップA2で複数のデバイス特定データを受信している場合には、受信した複数のデバイス特定データを一覧表示する。図5は、この一覧表示の例を示す。この例では、3つのデバイスが表示されている。本実施例では、図5の機種「MFC−9990CDW」が第2プリンタ50に対応するものとする。
【0050】
ステップA4でデバイス特定データを表示すると、第1プリンタ10は、ユーザの入力待ちの状態となる(ステップA6)。ユーザは、入力部20を操作して、表示部18に表示されているネットワーク装置の中から、無線通信ネットワーク110に接続するネットワーク装置を選択することができる。ここでは、ユーザにより第2プリンタ50(即ち機種「MFC−9990CDW」)が選択されたとして、以下の処理を説明する
【0051】
ステップA6で第2プリンタ50が選択されると、第1プリンタ10は第2プリンタ50が記憶しているアドフォック無線設定データ74を特定する(ステップA8)。すなわち、第1プリンタ10の演算装置14は、記憶装置16aからアドフォック無線設定データベース32を読み出す。上述したように、アドフォック無線設定データベース32は、デバイス特定データと、その種類のネットワーク装置が無線通信可能なアドフォック無線設定データとを対応付けて記述したデータベースである。演算装置14は、アドフォック無線設定データベース32が記述している多数のアドフォック無線設定データの中から、ステップA2で受信したデバイス特定データ72に対応付けられているアドフォック無線設定データ74を特定する。
【0052】
ステップA8が終了すると、第1プリンタ10は、ネットワーク接続設定の入力待ちの状態となる(ステップA10)。図6は、ネットワーク接続設定の入力画面の一例を示す。ステップA10では、第1プリンタ10に、第2プリンタ50に送信するネットワーク接続設定(すなわち、後に第2プリンタ50が利用するネットワーク接続設定)が入力される。ネットワーク接続設定としては、第2プリンタ50に割り当てるIPアドレスとサブネットマスクが入力される。また、必要に応じてゲートウェイが入力される。ネットワーク接続設定の入力は、ユーザが入力部20を操作することによって行うことができる。また、ユーザは、複数のIPアドレス取得方法(図6の「AUTO」、「STATIC」等)の中から1つの取得方法を選択することができる。無線通信ネットワーク110内にDHCPサーバが設置されている場合には、DHCPサーバによって自動的に決定されたネットワーク接続設定のデータを、無線通信ネットワーク110を介して受信することもできる。以下では、ステップA10で入力されたネットワーク接続設定を、ネットワーク接続設定(ネットワーク接続設定データ)110cという。なお、DHCPサーバによって自動的に決定されたネットワーク接続設定のデータを、無線通信ネットワーク110を介して受信した場合、ステップA10においては、入力部20によるネットワーク接続設定の入力は省略される。
【0053】
ステップA10でネットワーク接続設定110cが入力されると、第1プリンタ10の演算装置14は、入力されたネットワーク接続設定110cが無線設定記憶領域16bに記憶されている第1プリンタ10のネットワーク接続設定110bと適合するか否かを判定する(ステップA12)。演算装置14は、以下の4つの点について判断する。
(1)演算装置14は、ネットワーク接続設定110cのIPアドレスが、ネットワーク接続設定110bのIPアドレスと重複しているのか否かを判断する。図6の例の場合、ネットワーク接続設定110cのIPアドレスは、「192.168.111.003」である。これと同じ値のIPアドレスが無線設定記憶領域16bに記憶されている場合、ステップA12でNOと判断される。
(2)演算装置14は、ネットワーク接続設定110cのサブネットマスクがネットワーク接続設定110bのサブネットマスクと一致しているのか否かを判断する。を判定する。図6の例の場合、ネットワーク接続設定110cのサブネットマスクは、「255.255.000.000」である。これと異なる値のサブネットマスクが無線設定記憶領域16bに記憶されている場合、ステップA12でNOと判断される。
(3)演算装置14は、ネットワーク接続設定110cのサブネットマスク(数値「255」)に対応する部分のIPアドレスが、ネットワーク接続設定110bのサブネットマスク(数値「255」)に対応する部分のIPアドレスに一致しているのか否かを判断する。図6の例の場合、ネットワーク接続設定110cのサブネットマスクでは、上位の6桁に「255.255」が設定されている。この場合、ネットワーク接続設定110cのIPアドレスの上位の6桁「192.168」が、無線設定記憶領域16bに記憶されているIPアドレスの上位の6桁に一致するのか否かが判断される。一致しない場合、ステップA12でNOと判断される。
(4)演算装置14は、ネットワーク接続設定110cにゲートウェイが含まれている場合に、そのゲートウェイがネットワーク接続設定110bのゲートウェイと一致するのか否かを判断する。図6の例の場合、ネットワーク接続設定110cのゲートウェイは、「192.168.111.001」である。これと異なる値のゲートウェイが無線設定記憶領域16bに記憶されている場合、ステップA12でNOと判断される。
【0054】
上記の(1)から(4)に記載されているように、ネットワーク接続設定110cがネットワーク接続設定110bに適合していない場合は、ステップA12でNOと判断される。この場合、ステップA14が実行される。一方において、ネットワーク接続設定110cがネットワーク接続設定110bに適合している場合は、ステップA12でYESと判断される。即ち、ネットワーク接続設定110cとネットワーク接続設定110bとの間において、IPアドレスが重複しておらず、サブネットマスクが一致しており、サブネットマスクに対応する部分のIPアドレスが一致しており、かつ、ゲートウェイが一致している場合は、ステップA12でYESと判断される。この場合、ステップA16が実行される。
【0055】
ステップA14では、第1プリンタ10は、ネットワーク接続設定110cが第1プリンタ10のネットワーク接続設定110bに適合しない旨のメッセージとともに、ネットワーク接続設定データ110cを第2プリンタ50に送信するか否かの判断を求めるメッセージを表示部18に表示する。ユーザが入力部20を操作して、ネットワーク接続設定データ110cを第2プリンタ50に送信することを選択すると、ステップA16が実行される(ステップA14でYES)。また、ユーザがネットワーク接続設定データ110cを第2プリンタ50に送信しないことを選択すると、以降の処理は中止される(ステップA14でNO)。
【0056】
ステップA16では、第1プリンタ10は、無線設定記憶領域16bに記憶されているネットワーク無線設定データ110aとネットワーク接続設定データ110bをバックアップ領域16cに記憶(バックアップ)する。
【0057】
ステップA16のバックアップが終了すると、第1プリンタ10は、ステップA8で特定されたアドフォック無線設定データ74を無線設定記憶領域16bに設定(上書き)する(ステップA18)。これによって、無線設定記憶領域16bには、アドフォック無線設定データ74のみが記憶されている状態となる。無線設定記憶領域16bにアドフォック無線設定データ74が設定されると、第1プリンタ10の無線LANインタフェース12は、アドフォック無線設定74に従って無線通信可能となる。上述したように、第2プリンタ50の無線LANインタフェース52は、ステップB4でアドフォック無線設定74に従って無線通信可能となっている。したがって、ステップA18の終了時に、第1プリンタ10と第2プリンタ50でアドフォック無線通信が可能となる。なお、アドフォック無線通信を実行するときには、接続設定を設定する必要はない(すなわち、無線設定記憶領域16b、56bに接続設定データを記憶する必要はない)。
【0058】
ステップA20では、第1プリンタ10は、バックアップ領域16cに記憶しているネットワーク無線設定データ110aと、ステップA10で入力されたネットワーク接続設定データ110cを、第2プリンタ50に無線送信する。無線送信されたネットワーク無線設定データ110a及びネットワーク接続設定データ110cは、第2プリンタ50に受信される(ステップB6)。ステップA20及びB6のデータの送受信は、アドフォック無線設定74に従って行われる。したがって、高いセキュリティ状態でデータの送受信を行うことができる。
【0059】
ステップB8では、第2プリンタ50の演算装置54が、ステップB6で受信したネットワーク無線設定110aが第2プリンタ50で利用可能か否かを判定する(ステップB8)。例えば、第2プリンタ50の各部の構成上、ネットワーク無線設定110aを第2プリンタ50で利用できない場合には、演算装置54はネットワーク無線設定110aが第2プリンタ50で利用できないと判定する。より詳細には、例えば、ネットワーク無線設定110aに記述されている認証方式に第2プリンタ50が対応していない場合、第2プリンタ50は、ネットワーク無線設定110aを利用できないと判定する。また、例えば、ネットワーク無線設定110aに記述されている暗号化方式に第2プリンタ50が対応していない場合、第2プリンタ50は、ネットワーク無線設定110aを利用できないと判定する。
【0060】
ステップB10では、第2プリンタ50は、ステップB8の判定結果を第1プリンタ10に無線送信する。無線送信された判定結果は、第1プリンタ10に受信される(ステップA22)。ステップB10及びA22のデータの送受信は、アドフォック無線設定74に従って行われる。
【0061】
第1プリンタ10は、ステップA22で受信した判定結果が、ネットワーク無線設定110aが第2プリンタ50で利用できないことを示すものであった場合には(ステップA24でNO)、ステップA26を実行する。ステップA26では、演算装置14が、表示部18にステップA22で受信した判定結果(ネットワーク無線設定110aが第2プリンタ50で利用できない旨の判定結果)を示すデータを表示部18に出力する。これによって、表示部18に判定結果を示すメッセージが表示される。演算装置14は、ステップA26を実行すると、以降の処理を中止する。この場合、演算装置14は、第1プリンタ10の各部の設定を無線通信接続処理の実行前の状態に戻す。即ち、演算装置14は、バックアップ領域16cに記憶されているネットワーク無線設定データ110a及びネットワーク接続設定データ110bを、無線設定記憶領域16bに記憶(復帰)させる。これにより、第1プリンタ10は、無線通信ネットワーク110内で無線通信することが可能になる。
このように、ネットワーク無線設定110aが第2プリンタ50で利用できない場合には、表示部18にその旨のメッセージが表示される。したがって、ユーザは、第2プリンタ50を無線通信ネットワーク110に接続できない原因が、ネットワーク無線設定110aにあることを容易に知ることができる。
【0062】
第1プリンタ10は、ステップA22で受信した判定結果が、ネットワーク無線設定110aが第2プリンタ50で利用できることを示すものであった場合には(ステップA24でYES)、ステップA28を行う。ステップA28では、第1プリンタ10は、ステップA16でバックアップ領域16cにバックアップしていたネットワーク無線設定データ110aとネットワーク接続設定データ110bを、無線設定記憶領域16bに再度、設定する。これによって、第1プリンタ10の無線LANインタフェース12は、ネットワーク無線設定110a及びネットワーク接続設定110bに従って無線通信可能となる。すなわち、第1プリンタ10が、再度、無線通信ネットワーク110と接続された状態となる。
【0063】
第2プリンタ50は、ステップB10でネットワーク無線設定110aが第2プリンタ50で利用できない旨の判定結果を無線送信した場合は、ステップB10の矢印Xに示すように、以降の処理を中止する。この場合、第2プリンタ50の各部の設定は、無線通信接続処理の実行前の状態に戻される。
第2プリンタ50は、ステップB10でネットワーク無線設定110aが第2プリンタ50で利用できる旨の判定結果を無線送信した場合は、ステップB10の矢印Yに示すように、ステップB12を実行する。ステップB12では、第2プリンタ50は、ステップB6で受信したネットワーク無線設定データ110aとネットワーク接続設定データ110cを、無線設定記憶領域56bに設定する。これによって、第2プリンタ50の無線LANインタフェース52は、ネットワーク無線設定110a及びネットワーク接続設定110cに従って無線通信可能となる。すなわち、第2プリンタ50が、無線通信ネットワーク110に接続される。
【0064】
以上に説明したように、第1プリンタ10と第2プリンタ50が図2及び図3に示す無線通信接続処理を実行することで、第2プリンタ50を無線通信ネットワーク110に接続することができる。ただし、種々の条件によっては、ステップB12の実行後にも、第2プリンタ50が無線通信ネットワーク110に接続されない場合がある。
例えば、ステップA10で入力されたネットワーク接続設定110cが不適切なものであった場合には、第2プリンタ50は無線通信ネットワーク110に接続されない。具体的には、例えば、ネットワーク接続設定110cのIPアドレスが、無線通信ネットワーク110内の他のネットワーク装置(第1プリンタ10以外のネットワーク装置)のIPアドレスと重複している場合が考えられる。この場合、ステップ12ではYESと判定される(第1プリンタ10のIPアドレスとは重複していないため)。しかし、他のネットワーク装置とのIPアドレスのコンフリクト(衝突)が生じるので、第2プリンタ50は、無線通信ネットワーク110に接続されない。
また、ネットワーク接続設定110cが適切であった場合にも、第2プリンタ50が無線通信ネットワーク110に接続されない場合がある。すなわち、第2プリンタ50が、第1プリンタ10に対しては無線通信できる位置関係にあるが、アクセスポイント90に対して無線通信できない位置関係にある場合等である。具体的には、例えば、第2プリンタ50と第1プリンタ10の間の距離は短いが、第2プリンタ50とアクセスポイント90の間の距離が非常に長い場合が考えられる。この場合、第2プリンタ50は、第1プリンタ10との間の距離が短いので、ステップB12までの処理を実行することができる。しかし、第2プリンタ50とアクセスポイント90との間の距離が長いので、電波ノイズ等の影響により、第2プリンタ50とアクセスポイント90の間で無線通信できなくなってしまう。
以上のように、ステップB12の実行後にも、第2プリンタ50が無線通信ネットワーク110に接続されない場合がある。したがって、ステップA28及びB12が終了すると、第1プリンタ10及び第2プリンタ50は、図4に示すネットワーク接続確認処理を実行する。
【0065】
図4のステップA30では、第1プリンタ10は、無線通信ネットワーク110(すなわち、アクセスポイント90)を介して第2プリンタ50にPING信号を無線送信する。無線送信されたPING信号は、第2プリンタ50によって受信される(ステップB30)。すなわち、ステップA30とB30のPING信号の送受信は、ネットワーク無線設定110aに従って行われる。この際、第1プリンタ10は、ネットワーク接続設定110bを利用しており、第2プリンタ50は、ネットワーク接続設定110cを利用している。
【0066】
第2プリンタ50は、ステップB30でPING信号を受信すると、無線通信ネットワーク110を介して第1プリンタ10にPING応答信号を無線送信する(ステップB32)。無線送信されたPING応答信号は、第1プリンタ10によって受信される(ステップA32)。
第1プリンタ10がステップA32でPING応答信号を受信すると、第1プリンタ10の演算装置14は、PING応答信号を受信した旨を示すデータを表示部18に出力する(ステップA34)。これによって、表示部18に第2プリンタ50が無線通信ネットワーク110に接続された旨のメッセージが表示される。
また、PING信号またはPING応答信号の送受信がうまく行われず、第1プリンタ10がステップA32でPING応答信号を受信できない場合(すなわち、ステップA30を所定時間継続してもPING応答信号を受信できない場合)がある。この場合、第1プリンタ10の演算装置14は、PING応答信号を受信しなかった旨を示すデータを表示部18に出力する(ステップA34)。これによって、表示部18に第2プリンタ50が無線通信ネットワーク110に接続されていない旨のメッセージが表示される。
このように、第1プリンタ10と第2プリンタ50との間で、無線通信ネットワーク110を介した通信が試みられるので、ユーザは、第2プリンタ50が無線通信ネットワーク110に接続されているか否かを直ちに確認することができる。なお、図2〜図4のフローチャートから分かるように、ステップA34で演算装置14によって出力されるデータ(PING応答信号を受信したか否かを示すデータ)は、ステップA22でYESと判定された場合に出力される。したがって、ステップA34で演算装置14によって出力されるデータは、ステップA22で受信した判定結果(すなわち、ネットワーク無線設定110aが第2プリンタ50で利用可能であることを示す判定結果)を含んだデータであるということもできる。
ステップA34及びステップB32が終了すると、第1プリンタ10及び第2プリンタ50は、図4の処理を終了する。
【0067】
以上に説明したように、本実施例の無線通信接続システム100では、ネットワーク無線設定110aを第2プリンタ50で利用できない場合には、第1プリンタ10の表示部18にその旨のメッセージが表示される。したがって、ユーザは、第2プリンタ50を無線通信ネットワーク110に接続できない原因がネットワーク無線設定110aにあることを容易に知ることができる。したがって、ユーザは、第2プリンタ50を無線通信ネットワーク110に接続するための対応をとることができる。例えば、無線通信ネットワーク110のネットワーク無線設定110aを第2プリンタ50に合わせて変更し、再度、無線通信接続処理を実行することで、第2プリンタ50を無線通信ネットワーク110に接続することができる。
【0068】
また、無線通信接続システム100では、図2及び図3に示す無線通信接続処理が行われた後に、図4に示す第2プリンタ50が無線通信ネットワーク110に接続されているか否かを確認するネットワーク接続確認処理が行われる。したがって、ユーザは、第2プリンタ50が無線通信ネットワーク110に接続されたか否かを直ちに確認することができる。
【0069】
また、無線通信接続システム100では、第1プリンタ10がアドフォック無線設定データベース32(すなわち、デバイス特定情報に対応づけられた複数パターンのアドフォック無線設定)を記憶している。そして、第1プリンタ10は、他のネットワーク装置からブロードキャストされたデバイス特定データを受信し、受信したデバイス特定データに対応するアドフォック無線設定を特定する。したがって、第1プリンタ10は、第2プリンタ50の他にも、種々のネットワーク装置を無線通信ネットワーク110に接続することができる。
【0070】
また、第1プリンタ10は、ステップA10で入力されたネットワーク接続設定110cが、第1プリンタ10のネットワーク接続設定110bに適合するか否かを判定する。そして、入力されたネットワーク接続設定110cが第1プリンタ10のネットワーク接続設定110bに適合しないと判定した場合に、ネットワーク接続設定110cを第2プリンタ50に無線送信するか否かをユーザに選択させる。したがって、無線LAN通信に詳しくないユーザは、第1プリンタ10のネットワーク接続設定110bに適合するネットワーク接続設定110cを入力しなおすことができる。また、無線LAN通信に詳しいユーザは、第1プリンタ10のネットワーク接続設定110bに適合しなくても、第2プリンタ50に対して好適なネットワーク接続設定110cを、第2プリンタ50に送信することができる。
【0071】
なお、上述した実施例では、第1プリンタ10がアクセスポイント90を介して無線通信する無線通信ネットワーク110(すなわち、インフラストラクチャーモードによる無線通信ネットワーク)に接続されている場合について説明した。しかし、第1プリンタ10が他の形態の無線通信ネットワークに接続されている場合にも、第2プリンタ50をその無線通信ネットワークに接続することができる。例えば、第1プリンタ10が、複数のネットワーク装置間で共通のアドフォック無線設定を利用してアドフォック無線通信するような無線通信ネットワークに接続されている場合を考える。この場合、第1プリンタ10が、その無線通信ネットワークで共通して利用されるアドフォック無線設定を第2プリンタ50に無線送信することで、第2プリンタ50は受信したアドフォック無線設定を利用して無線通信ネットワークに接続することが可能となる。
【0072】
また、上述した実施例では、無線通信ネットワーク110が、第1プリンタ10とアクセスポイント90の他に、複数のネットワーク装置を備えていた。しかし、第1プリンタ10と他の1つのネットワーク装置のみによって、無線通信ネットワークが構成されていてもよい。例えば、アクセスポイント90がインターネット等の他のネットワークと有線で接続されており、そのアクセスポイント90(すなわち、ネットワーク装置)と第1プリンタ10のみで無線通信ネットワークが構成されていてもよい。この場合、第1プリンタ10は、アクセスポイント90を介して他のネットワークと通信できる。また、第2プリンタ50をその無線通信ネットワークに接続することで、第2プリンタ50は、アクセスポイント90を介して、第1プリンタ10またはアクセスポイント90に有線で接続されている他のネットワークと通信ができるようになる。このように、無線通信ネットワークには、第1プリンタ10と他の1つのネットワーク装置(アクセスポイント90等)のみで構成されるものも含まれる。
【0073】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0074】
10:第1プリンタ
12:無線LANインタフェース
14:演算装置
16:記憶装置
18:表示部
20:入力部
22:プリンタ部
50:第2プリンタ
52:無線LANインタフェース
54:演算装置
56:記憶装置
58:表示部
60:入力部
62:プリンタ部
90:アクセスポイント
100:無線通信接続システム
110:無線通信ネットワーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークに接続されている第1ネットワーク装置と、無線通信可能な第2ネットワーク装置とを備え、第2ネットワーク装置を前記無線通信ネットワークに接続するための無線通信接続システムであって、
第1ネットワーク装置は、ネットワーク無線設定記憶手段と、第1アドフォック無線設定記憶手段と、ネットワーク無線設定送信手段と、判定結果受信手段と、判定結果出力手段とを有しており、
第2ネットワーク装置は、第2アドフォック無線設定記憶手段と、ネットワーク無線設定受信手段と、判定手段と、判定結果送信手段とを有しており、
第1ネットワーク装置のネットワーク無線設定記憶手段は、前記無線通信ネットワークを利用して無線通信するためのネットワーク無線設定を記憶しており、
第1ネットワーク装置の第1アドフォック無線設定記憶手段と、第2ネットワーク装置の第2アドフォック無線設定記憶手段は、同一のアドフォック無線設定を記憶しており、
第1ネットワーク装置のネットワーク無線設定送信手段は、ネットワーク無線設定記憶手段に記憶されている前記ネットワーク無線設定を第2ネットワーク装置に前記アドフォック無線設定に従って無線送信し、
第2ネットワーク装置のネットワーク無線設定受信手段は、第1ネットワーク装置から無線送信された前記ネットワーク無線設定を前記アドフォック無線設定に従って受信し、
第2ネットワーク装置の判定手段は、ネットワーク無線設定受信手段によって受信された前記ネットワーク無線設定が第2ネットワーク装置で利用可能か否かを判定し、
第2ネットワーク装置の判定結果送信手段は、判定手段による判定結果を第1ネットワーク装置に前記アドフォック無線設定に従って無線送信し、
第1ネットワーク装置の判定結果受信手段は、第2ネットワーク装置から無線送信された前記判定結果を前記アドフォック無線設定に従って受信し、
第1ネットワーク装置の判定結果出力手段は、判定結果受信手段によって受信された前記判定結果を出力する
ことを特徴とする無線通信接続システム。
【請求項2】
第1ネットワーク装置の判定結果出力手段は、前記ネットワーク無線設定が第2ネットワーク装置で利用不可能であることを示す判定結果が判定結果受信手段によって受信された場合に、その判定結果を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信接続システム。
【請求項3】
第1ネットワーク装置は、確認信号送信手段と、返信信号受信手段と、返信結果出力手段とをさらに有しており、
第2ネットワーク装置は、確認信号受信手段と、返信信号送信手段とをさらに有しており、
第1ネットワーク装置の確認信号送信手段は、前記ネットワーク無線設定が第2ネットワーク装置で利用可能であることを示す判定結果が判定結果受信手段によって受信された場合に、ネットワーク無線設定記憶手段に記憶されている前記ネットワーク無線設定に従って、確認信号を第2ネットワーク装置に無線送信し、
第2ネットワーク装置の確認信号受信手段は、ネットワーク無線設定受信手段によって受信されたネットワーク無線設定に従って、第1ネットワーク装置から無線送信された前記確認信号を受信し、
第2ネットワーク装置の返信信号送信手段は、確認信号受信手段によって確認信号が受信された場合に、ネットワーク無線設定受信手段によって受信されたネットワーク無線設定に従って、返信信号を第1ネットワーク装置に無線送信し、
第1ネットワーク装置の返信信号受信手段は、ネットワーク無線設定記憶手段に記憶されている前記ネットワーク無線設定に従って、第2ネットワーク装置から無線送信された前記返信信号を受信し、
第1ネットワーク装置の返信結果出力手段は、返信信号受信手段によって返信信号が受信された場合に、返信信号が受信されたことを示す情報を出力し、返信信号受信手段によって返信信号が受信されなかった場合に、返信信号が受信されなかったことを示す情報を出力する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信接続システム。
【請求項4】
第1ネットワーク装置は、特定情報受信手段と、アドフォック無線設定特定手段とをさらに有しており、
第2ネットワーク装置は、特定情報記憶手段と、特定情報送信手段とをさらに有しており、
第1ネットワーク装置の第1アドフォック無線設定記憶手段は、複数パターンのアドフォック無線設定を記憶しており、
各パターンのアドフォック無線設定には、デバイス特定情報が対応づけられており、
第2ネットワーク装置の特定情報記憶手段は、第2ネットワーク装置のデバイス特定情報を記憶しており、
第2ネットワーク装置の特定情報送信手段は、特定情報記憶手段に記憶されている前記デバイス特定情報をブロードキャストを利用して無線送信し、
第1ネットワーク装置の特定情報受信手段は、第2ネットワーク装置から無線送信された前記デバイス特定情報を受信し、
第1ネットワーク装置のアドフォック無線設定特定手段は、特定情報受信手段によって受信された前記デバイス特定情報に対応づけて第1アドフォック無線設定記憶手段に記憶されているアドフォック無線設定を特定し、
第1ネットワーク装置のネットワーク無線設定送信手段及び判定結果受信手段は、アドフォック無線設定特定手段によって特定されたアドフォック無線設定に従って無線通信する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線通信接続システム。
【請求項5】
第1ネットワーク装置は、接続設定を入力する接続設定入力手段をさらに有しており、
第1ネットワーク装置のネットワーク無線設定送信手段は、前記ネットワーク無線設定と接続設定入力手段に入力された接続設定とを第2ネットワーク装置に無線送信する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線通信接続システム。
【請求項6】
第1ネットワーク装置は、
接続設定入力手段に入力された接続設定が、第1ネットワーク装置の接続設定に適合するか否かを判定する接続設定判定手段と、
接続設定入力手段に入力された接続設定が第1ネットワーク装置の接続設定に適合しないと接続設定判定手段によって判定された場合に、接続設定入力手段に入力された接続設定を第2ネットワーク装置に無線送信するか否かをユーザが選択することを許容する選択許容手段と
をさらに有し、
第1ネットワーク装置のネットワーク無線設定送信手段は、接続設定入力手段に入力された接続設定が第1ネットワーク装置の接続設定に適合すると接続設定判定手段によって判定された場合、及び、接続設定入力手段に入力された接続設定を第2ネットワーク装置に無線送信することが選択許容手段において選択された場合に、接続設定入力手段に入力された接続設定を第2ネットワーク装置に無線送信する
ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信接続システム。
【請求項7】
前記接続設定には、第2ネットワーク装置のIPアドレスと、サブネットマスクとが含まれていることを特徴とする請求項5または6に記載の無線通信接続システム。
【請求項8】
前記ネットワーク無線設定には、前記無線通信ネットワークのネットワークIDと、前記無線通信ネットワークにおいて利用される認証方式と、前記無線通信ネットワークにおいて利用される暗号化方式とが含まれている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の無線通信接続システム。
【請求項9】
前記アドフォック無線設定には、アドフォック無線通信のアドフォックIDと、アドフォック無線通信において利用される認証方式と、アドフォック無線通信において利用される暗号化方式とが含まれている
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の無線通信接続システム。
【請求項10】
前記無線通信ネットワークは、インフラストラクチャーモードの無線通信ネットワークである
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の無線通信接続システム。
【請求項11】
無線通信ネットワークに接続可能なネットワーク装置であって、
前記無線通信ネットワークを利用して無線通信するためのネットワーク無線設定を記憶しているネットワーク無線設定記憶手段と、
アドフォック無線設定を記憶しているアドフォック無線設定記憶手段と、
ネットワーク無線設定記憶手段に記憶されている前記ネットワーク無線設定を他のネットワーク装置に前記アドフォック無線設定に従って無線送信するネットワーク無線設定送信手段と、
前記ネットワーク無線設定が前記他のネットワーク装置で利用可能か否かの判定結果が前記他のネットワーク装置から無線送信された場合に、その判定結果を前記アドフォック無線設定に従って受信する判定結果受信手段と、
判定結果受信手段によって受信された前記判定結果を出力する判定結果出力手段と
を有することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項12】
無線通信ネットワークに接続可能なネットワーク装置であって、
アドフォック無線設定を記憶しているアドフォック無線設定記憶手段と、
前記無線通信ネットワークを利用して無線通信するためのネットワーク無線設定が他のネットワーク装置から無線送信された場合に、そのネットワーク無線設定を前記アドフォック無線設定に従って受信するネットワーク無線設定受信手段と、
ネットワーク無線設定受信手段によって受信された前記ネットワーク無線設定がネットワーク装置で利用可能か否かを判定する判定手段と、
判定手段による判定結果を前記他のネットワーク装置に前記アドフォック無線設定に従って無線送信する判定結果送信手段と
を有することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項13】
無線通信ネットワークに接続可能なネットワーク装置であって、
前記無線通信ネットワークを利用して無線通信するためのネットワーク無線設定を記憶しているネットワーク無線設定記憶手段と、
アドフォック無線設定を記憶しているアドフォック無線設定記憶手段と、
ネットワーク無線設定記憶手段に記憶されている前記ネットワーク無線設定を他のネットワーク装置に前記アドフォック無線設定に従って無線送信するネットワーク無線設定送信手段と、
ネットワーク無線設定記憶手段に記憶されている前記ネットワーク無線設定に従って、確認信号を前記他のネットワーク装置に無線送信する確認信号送信手段と、
前記他のネットワーク装置から無線送信された前記確認信号に対する返信信号を、ネットワーク無線設定記憶手段に記憶されている前記ネットワーク無線設定に従って受信する返信信号受信手段と、
返信信号受信手段によって返信信号が受信された場合に、返信信号が受信されたことを示す情報を出力し、返信信号受信手段によって返信信号が受信されなかった場合に、返信信号が受信されなかったことを示す情報を出力する返信結果出力手段と
を有することを特徴とするネットワーク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−42546(P2013−42546A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−241764(P2012−241764)
【出願日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【分割の表示】特願2007−210665(P2007−210665)の分割
【原出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】