説明

無線通信方法及び無線通信システム

【課題】無線通信システム及び技術を提供する。
【解決手段】無線通信機は、施設内に設置され、各無線通信機は、近隣の通信機の無線周波数範囲の端に位置し、各無線通信機は、60ギガヘルツ(GHz)で指向性操向可能アンテナにより無線送信を行う。少なくとも1つの通信機が、バックエンド施設情報サーバにインタフェースされる。各通信機は、その無線デバイスが、指向性操向可能アンテナの範囲内に位置している場合には、施設内の消費者の無線デバイスとインタフェースすることができる。無線通信機及びバックエンド情報サーバは、結合して施設内で高速無線通信ネットワークを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設内に設置される高速の無線通信システム及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗、ショッピングモール、遊園地、観光地エリア、スポーツアリーナは、ますます大型化し地理的にますます広い地域に分散しつつある。小規模な家族経営の個人商店は消滅しつつある。このことはウォルマート(Walmart)の出現、及びウォルマートと同じ規模で競合したいという施設に特に顕著になっている。したがって、大部分の店舗は、非常に種々様々な商品及びサービスを顧客に販売し、顧客が商品を買うため又はサービスの提供を受けるために自己の店舗や施設来訪してくれることを望んでいる。
【0003】
店舗、事業所又は施設(以下、適宜単に「施設」という)は、定期的に、顧客との関係を改善する一方で、所要経費を削減しようとしている。施設との顧客の関係が改善しつつある1つの分野は、施設とその顧客との間で無線情報の転送が行われ、施設と顧客との間で無線トランザクションが行われている分野である。
【0004】
店舗が、顧客が、携帯電話を介してのような顧客の携帯機器を介して施設側と通信する無線ネットワークを提供しているのは珍しいことではない。施設は、クーポン、店舗情報、及びイベント等へのチケットのような販売アイテムも提供することができる。付加特典として、多くの施設が、施設の構内にいる間にインターネットにアクセスするための無線接続を顧客に提供している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存の無線技術は、施設がその顧客に妥当な値段で提供することができるサービス内容を制限するおそれがある帯域幅制限という問題をかかえている。施設内の大部分の既存の無線ネットワークは、54Mbs(メガビット/秒)又はそれ以下に転送速度が制限されている。このような速度では、大型のファイルを転送したり、映像をストリーミングするのが非常に難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態は、施設内での高速無線通信を提供する。ある実施形態は、施設内での高速無線通信を確立するための方法を提供する。より詳細には、複数の無線通信機が、施設のためのグリッドレイアウト内に設置される。各無線通信機は、4つの送信周波数を使用するように構成され、各周波数は、指向性操向可能アンテナ(directional steerable antenna)により60ギガヘルツ(GHz)で無線送信を行う。少なくとも1つの指向性操向可能アンテナは、各無線通信機のそれぞれの側面の特定の無線通信機のためのものである。次に、各無線通信機は、施設内で無線高速通信ネットワークを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】例示的実施形態による、施設内で高速無線通信を確立するための方法を示す。
【図2】例示的実施形態による、施設内で高速無線通信を行うための方法を示す。
【図3】例示的実施形態による、施設用高速無線通信システム図である。
【図4】例示的実施形態による、無線ルータ用の例示としての施設用高速無線アーキテクチャを示す。
【図5】例示的実施形態による、施設用高速無線通信ネットワーク用の例示としての伝送構成(グリッドレイアウト)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、例示的実施形態による、施設内で高速無線通信を確立するための方法100の図である。方法100のいくつかの態様は、コンピュータ読取り可能な記憶媒体上に常駐している命令として実施され、複数のプロセッサにより実行される。プロセッサは、方法100の特定の態様を処理するように特に構成される。方法100は、施設内で高速無線通信ネットワークを形成し確立する。
【0009】
ステップ110において、複数の無線通信機(例えば、ルータ、スイッチ、ハブ等)が、施設内のグリッドレイアウト内に物理的に設置される。
【0010】
ある実施形態によれば、ステップ111において、グリッドは、その無線通信機の最近傍の無線通信機から地理的に10メートル(約30フィート)離れて設置される各無線通信機を含む矩形として構成される。したがって、無線通信機は、他の無線通信機から10メートル以内には存在しない。この構成は、干渉を避けるように、また各無線通信機が、グリッド内の他の無線通信機の範囲内に依然として確実に位置するように設計されている。任意の所与の施設のところにいつでも矩形の配置ができるとは限らないことに留意されたい。そのような場合には、干渉を最小限度に低減することができ、グリッド内で信号を中継し、転送するために、各無線通信機が依然として次の無線通信機の通信範囲内に位置している限りは、グリッドを他の配置にすることができる。
【0011】
ステップ120において、各無線通信機は、4つの送信周波数(F1〜F4)を使用するように構成される。各無線周波数は、指向性操向可能アンテナにより60ギガヘルツ(GHz)で送信を行う。60ギガヘルツ(GHz)の場合には、無線データ伝送速度を7ギガビット/秒(Gbs)まで上げることができる。大部分の無線ネットワークは、54メガビット/秒(Mbs)しか処理することができない。7Gbs伝送速度は、54Mbsの129倍である。データ伝送速度がこのように増大すると、機会が飛躍的に増大することを容易に理解することができるだろう。例えば、標準デジタルバーサタイルディスク(DVD)上の1.5ギガバイト(Gb)の映画は、54Mbsの従来の無線レートの場合にはダウンロードするのに約4分かかるが、これに対して同じ映画を7Gbsでダウンロードする場合には約2秒しかかからない。
【0012】
ある実施形態においては、ステップ121において、無線通信機のうちの少なくとも1つが、バックエンド無線情報サーバにインタフェースされる。施設サーバは、インターネットに接続することもできるし、又はワイドエリアネットワーク(WAN)を通して、地理的に遠隔にある施設に接続することもできる。施設サーバは、また、コンテンツ(例えば、映画の更新等)を同時に多数の場所に配信するために、相互接続機構としての衛星リンクのようなプライベートネットワークに接続することもできる。したがって、施設サーバは、無線通信機から、データウェアハウス及び施設のリソース及び外部ネットワーク(パブリックネットワーク及び/又はプライベートネットワーク)への接続を行う。
【0013】
他の場合には、ステップ122において、各アンテナは、2方向に少なくとも45度(全体で90度)だけ遠隔により及び無線により移動したり、又は再配置することができるように構成される。これにより、指向性アンテナの焦点を、施設内の種々の位置に配置される消費者の無線デバイスに合わせることができる。何故なら、60GHzは、限定された距離(上記の10メートルなど)のためのある方向に向けられたビームにより達成されるからである。したがって、各アンテナは、90度(2方向で45度)の範囲内のいくつかの位置に焦点を合わせるために移動することができる。自動的にアンテナを移動させるために、ソフトウェア命令も同様に無線ルータ上で処理することができる。これは、アンテナビームステアリング機構も含む。
【0014】
さらに他の場合には、ステップ123において、デマンド予約スケジューリングプロトコルもインストールすることができ、各無線通信機又は選択した無線通信機上で開始することができる。これにより、施設内に無線デバイスを有している特定の顧客に対する特定のトランザクションのための帯域幅を保証することができる。これについては、図4のところで以下にさらに詳細に説明する。
【0015】
ステップ130において、特定の無線通信機に対する少なくとも1つのアンテナが無線通信機の各側面に配置される(この配置の可視描画像については、下記の図4及び図5を参照)。この場合、無線通信機は、4つの側面を有し、各側面は、少なくとも1つの指向性操向可能アンテナを有する。
【0016】
ある実施形態によれば、ステップ131において、無線通信機の全部又は少なくとも1つは、無線通信機の各側面に1つの追加のアンテナを有する。したがって、無線通信機の各側面は、2つの指向性操向可能アンテナを有する。1つのアンテナは、指定された周波数のうちの1つの周波数で送信するために使用され、他のアンテナは、その指定された周波数でデータを受信するために使用される。これにより、無線通信機の4つの各側面に沿って全二重通信を行うことができる(下記の図4及び関連する説明を参照)。分離は、アンテナパターン及びアンテナの位置により行うことができる。送信アンテナと受信アンテナとの間のクロストークを低減するための追加の分離は、円偏向又は直線偏向により行うことができる。
【0017】
ステップ140において、各無線通信機は、施設内に高速無線通信ネットワークを提供することができる。すなわち、無線通信機は、相互にインタフェースするように構成され、ネットワークを通して経路に沿って信号を中継するので、無線デバイスを有している消費者は、60GHzで送信している任意の特定の無線デバイスの10メートルの制限を超えて無線ネットワーク内で、リソース、情報及びコンテンツにアクセスすることができる。
【0018】
ある実施形態によれば、ステップ141において、無線通信機のうちの少なくとも1つ、及び4つの周波数のうちの特定の1つの周波数でそのアンテナのうちの1つが10メートル内に向けられ、施設内のマルチメディアキオスクの直接見通し線内を向いている。この場合、マルチメディアキオスクは、見通し線内の無線ルータにより、グリッドを通して無線ネットワークにアクセスすることができるメディアソース又はメディアサーバからマルチメディアの無線配信を開始する。この配信は、特定の周波数のアンテナを介して、施設内に消費者が所有している携帯機器のストレージに送られる。消費者は、映画、音楽等のようなマルチメディアを購入するためにマルチメディアキオスクと対話を行う。
【0019】
他の場合には、ステップ142において、無線通信機のうちの少なくとも1つが、施設内の所定の位置に向けられインタフェースされる。この特定の位置において、消費者の携帯機器上で映像を再生するために、無線通信機から(特定の周波数のアンテナを介して)消費者の携帯機器に映像が無線によりストリーミングされる。したがって、映像が施設が販売している特定の製品の広告を再生している電子機器売り場でのように、消費者が施設内の所定の位置に位置している場合には、消費者は、携帯機器(電話など)により送られた映像を入手することができる。
【0020】
さらに他の場合には、ステップ143において、施設内の消費者の無線デバイスは、消費者の携帯機器が、高速通信ネットワークの範囲内に依然として位置している間に、高速通信ネットワークに無線接続することができる。それ故、消費者は、消費者の携帯機器(電話、ネットブック、ラップトップ、iPod Touch(登録商標)など)により、高速通信ネットワークのリソース(施設ポリシーにより使用することができる)に接続し、それを使用することができる。
【0021】
図2は、例示的実施形態による、施設内で高速無線通信を行うための他の方法200の図である。この方法200(以後「高速無線サービス」と呼ぶ)は、高速無線サービスを行うために特に構成される複数のプロセッサ上で実行するコンピュータ読取り可能な記憶媒体内で命令として実施される。高速無線サービスは、施設内で高速無線通信ネットワークを形成し、また提供する。
【0022】
高速無線サービスは、図1ですでに説明した方法100により確立された高速無線通信ネットワークの動作特性を表す。
【0023】
ステップ210において、高速無線サービスは、施設内の消費者の携帯機器からの無線接続要求を検出する。
【0024】
ある実施形態によれば、ステップ211において、高速無線サービスは、ネットワークへの接続が行われる前に、携帯機器及び高速無線通信ネットワークにアクセスしようとしている消費者を認証する。
【0025】
ステップ211及び212の実施形態に続いて、高速無線サービスは、携帯機器が高速無線通信ネットワークに接続している間に行われるセキュリティポリシーを設定する。したがって、自動化セキュリティを、高いセキュリティクリアランスを有するある消費者が、低いセキュリティクリアランスを有する他の消費者よりも多くのリソースを確実に使用することができるように実施することができる。例えば、異なるレベルの施設ロイヤルティは、ネットワーク内のリソースに異なるアクセスを行うことができる。
【0026】
ステップ220において、高速無線サービスは、携帯機器を高速無線通信ネットワークに接続する。高速無線通信ネットワークは、複数のグリッド上に設置された無線通信機により60GHzで動作する。各無線通信機は、4つの異なる周波数を使用し、各無線通信機は、少なくとも1つの追加の無線通信機又はバックエンド施設情報サーバにインタフェースしている。この構成については、図1のところですでに詳細に説明したが、図4〜図5のところで以下にさらに詳細に説明する。
【0027】
ステップ230において、高速無線サービスは、施設内において、また高速無線通信ネットワークに接続している間に、消費者に情報又はコンテンツを配信するために携帯機器と無線によりトランザクションを行う。
【0028】
ある実施形態によれば、ステップ231において、高速無線サービスは、高速無線通信ネットワークに接続している間に、携帯機器で行われている活動のログを記録する。ログ内の活動も、動的に評価を行うことができるので、疑わしい活動を検出するためのポリシー又はテンプレートと比較した場合に、万一消費者が疑わしい行動を行っている場合には、その消費者を、ネットワークから自動的に切り離すことができる。同様に、ネットワークを改善する目的で、消費者のネットワークのリソースの使用方法をチェックするために、又は施設への以降の訪問中のネットワークとの各消費者の経験を向上するために、特定の消費者によるネットワークの使用方法をチェックするために、ログを後でチェックすることができる。したがって、販促キャンペーン中に又は他の顧客関係管理活動のために、施設は行動のこのログを使用することができる。
【0029】
他の場合には、ステップ232において、高速無線サービスは、携帯機器を介して及び高速無線通信ネットワークを通して、消費者に購入したマルチメディアを提供する。その例については、図1のところですでに説明した。
【0030】
さらに他の場合には、ステップ233において、高速無線サービスは、施設内の消費者の物理的位置に基づいて、携帯機器を介して及び高速無線通信ネットワークを通して、消費者にターゲット広告を提供する。この場合についても、図1のところですでに説明した。
【0031】
図3は、例示的実施形態による、施設用高速無線通信システム300の図である。施設用高速無線通信システム300は、コンピュータ読取り可能な記憶媒体内に常駐している命令として、また施設内に高速無線通信ネットワークを集合的に形成するために、複数のプロセッサ(ネットワーク装置(ルータ、スイッチ、ハブ等)内に埋め込まれている)を稼働するために実施される。
【0032】
施設用高速無線通信システム300は、とりわけ、それぞれ図1及び図2の方法100及び200を実施する。
【0033】
施設用高速無線通信システム300は、バックエンド情報サーバ301及び複数の無線ルータ302を含む。これらのそれぞれ及びこれら間の対話については、順次以下に説明する。
【0034】
バックエンド情報サーバ301は、無線ルータ302からデータを受信するように、また無線ルータ302へデータを配信するように構成される。
【0035】
ある実施形態においては、バックエンド情報サーバ301は、インターネットにアクセスするように、また(以下に説明する)高速無線通信ネットワークに、インターネットからコンテンツを提供するように構成される。バックエンド情報サーバ301は、また、インターネットを通して、高速無線通信ネットワークから、施設から遠隔に位置するサービスに情報を配信するように構成される。
【0036】
無線ルータ302は、施設全体を通してグリッドレイアウト内に配置される。無線ルータ302の構成の態様については、図1のところですでに説明した。また、高速無線通信ネットワークを形成するために動作している場合の無線ルータの処理機能については、図2のところですでに詳細に説明した。
【0037】
各無線ルータ302は、60GHzでグリッドを通して施設内で、データを無線受信及び無線送信するように構成される。さらに、各無線ルータ302は、さらに、少なくとも1つの追加の無線ルータ302と対話を行うように構成され、また、各無線ルータ302は、施設内で消費者の無線デバイスと対話を行うように構成される。
【0038】
バックエンド情報サーバ301及び無線ルータ302は、消費者の無線デバイスに、施設内の高速無線通信ネットワークを提供するように構成され、相互にインタフェースしている。
【0039】
ある実施形態によれば、各無線ルータ302は、4対の指向性操向可能アンテナと一緒に構成される。指向性操向可能アンテナの各対は、その対が関連する特定の無線ルータの1つの側面に設置される(図4及び関連説明及び図1に関連する上記説明を参照)。1対のアンテナのうちの一方のアンテナは、データ送信に使用され、1対のアンテナのうちの他方のアンテナは、データ受信のために使用されるので、60GHzで送信及び受信を行っている4つの周波数のうちの1つの周波数で、無線通信機302の各側面上で全無線二重通信を行うことができる。
【0040】
他の場合には、各無線ルータ302は、次の及び近隣の無線ルータから10メートルのところのグリッドレイアウト内に設置される。これにより干渉が最小限度に低減し、高速無線通信ネットワークを通して確実に通信経路を形成することができる。
【0041】
図4は、例示的実施形態による、無線ルータのための例示としての施設用高速無線アーキテクチャの図である。このアーキテクチャは単に例示としてのものであり、追加の構成要素(デバイス及び接続)、又は少ない構成要素、又は異なるレイアウト内の構成要素との他の構成も可能であることに留意されたい。これらの代替装置も、本明細書に記載する技術を実行するように配置された場合には、本発明の教示の範囲内に含まれる。
【0042】
図4の説明においては、例示としてのシナリオ及び実施態様の詳細について説明する。この場合も、これらの説明は理解及び説明のためのものであり、本明細書に記載する技術を制限又は拘束するためのものではない。
【0043】
近年、無線通信のデータ伝送速度が引き続き増大している。より詳細には、過去数年間の間に、技術が進歩し、60GHz(ギガヘルツ)ISM(産業科学医療用バンド)周波数帯域を使用することができるようになった。
【0044】
この技術により、超高速データレートで、種々の種類のサービスを提供するECMA−387(ヨーロッパ電子計算機工業会)規格が作成された。ECMA−387は、パーソナルエリアネットワーク(PAN)を目的とするものであり、そのクラスAサービスは、指向性操向可能(ビームステアリング)アンテナを使用するマルチギガビットデータレートを提供する高速ポイントツーポイント通信を目的としている。
【0045】
本明細書に記載する技術及び上記技術を使用すれば、1つのユニット内で、マルチポイントツーポイントリンク(ECMA−387の4つすべての周波数)又は(符号化及び誤り訂正の点で)その修正版を使用することができ、またこれらのユニットを、相互の見通し線内で施設の天井に又はDVD(デジタルバーサタイルディスク又はデジタルビデオディスク)キオスクの上に装着する。
【0046】
これらのユニット(処理装置、ルータ、スイッチ、ハブ等)内の通信ロジックは、本質的にはルータ又はスイッチアーキテクチャであり、接続指向のものであっても、又はパケット通信指向のものであってもよい。
【0047】
任意の特定のデバイス(ユニット)は、その高速通信リンクのうちの1つのリンク上、例えば、周波数1(F1)上で高速データを受信し、他の周波数(F2)で他のルータ/スイッチユニットの方を向いている他のポート(アンテナ)のうちの1つに、又はさらに他の周波数(F3)でこの場合はDVDキオスクである他のエンドユニットに向け下り方向に、最小限度の緩衝でデータを経路指示する。
【0048】
ある場合には、これらのルータ(本明細書に記載する技術により構成される)は、例えば、施設の顧客又は消費者による直接消費するための音声及び映像ストリームのような、遅延が一定でなければならない通信のためのデマンド予約タイプのスケジューリングプロトコルを実施する。
【0049】
デマンド予約という用語は、映像ストリーム内でグリッチ、ノイズ、及びピクセリゼーションに変換される、全遅延、遅延変動、及び/又は誤り率の点で、特定のレベルの品質を保証するために、接続期間中の通信ストリーム内に特定のトラフィック容量(帯域幅)を予約することを意味する。キオスク上でのDVDダウンロードの場合には、デマンド予約は、データが最小遅延で転送され、その結果映像をチェックしている消費者の取引時間が許容できるものになることを保証する。この場合、キオスクは、消費者のデバイス(メモリスティック、携帯電話等)に高速無線映像ダウンロードを行うように設計される。
【0050】
60GHzでの無線通信アンテナは高い指向性を有しているので、極めて小さいビームステアリングアンテナを使用することができる。これにより、アンテナが、信号が相互に干渉を起こさないで、異なる方向を向いている場合には、同じデバイス内で同じ周波数を再使用することができる。他のデバイスの方を向いている別々の送信及び受信アンテナで同じ周波数を使用することもでき、同時に2つの別々のデータストリームを送受信することができる。すなわち、全二重通信を行うことができる。
【0051】
他の使用方法
上記システム及び技術は、他の無線通信のためのバックボーン(インフラストラクチャ)として使用することができる。802.11規格ユニット(2.4又は5GHz)を、WiFi(無線通信)を備えている携帯電話のような既存の小売り又は消費者デバイスにインタフェースとして追加することができる。
【0052】
これにより、携帯電話への直接高速通信が可能になり、店舗(施設)内で、例えば、ビデオ又は製品情報を広告するために、消費者との高度の対話が可能になる。このことは、製品、バーコード、又は広告表示の撮影のような消費者の行動により開始することができ、店舗(施設)インフラストラクチャ上に位置するウェブアプリケーションにより駆動することができる。
【0053】
言うまでもないことだが、ローエンドデバイスに対するWi−Maxの室内バージョン、Bluetooth又はRFID(無線周波数識別)ベースの通信のような他の通信方式も統合させることができる。
【0054】
図5は、例示的実施形態による、施設用高速無線通信ネットワークの例示としての伝送構成の図である。
【0055】
図5は、最適な高速無線通信を行うための施設内の送信デバイスのためのレイアウトグリッドである。このような配置が本明細書に記載する技術を実行する場合には、他のレイアウトを思い付くことができ、本発明の教示から逸脱することなく達成することができることに留意されたい。
【0056】
本明細書に記載する教示及び上記教示の他の態様を制限するためのものではない例示としてのレイアウト及び例示としてのシナリオにより、再度図5について説明する。例えば、ある場合には、グリッドを図5の矩形のレイアウトとしてではなく、六角形のグリッドレイアウトとして配置することができる。このような六角形のレイアウトの場合には、3つの周波数しか必要としない。
【0057】
設置及び周波数の再使用
同じ周波数を再使用する複数のデバイスを使用して、大型店舗又はインフラストラクチャをセットアップすることができる。
【0058】
例えば、図5は、行及び列の間で周波数変更の再使用を行うインフラストラクチャ(セクション)の一例である。行及び列の間隔は、実際の通信機及びアンテナの設計に大きく依存する。ECMA規格は、10メートル(約30フィート)の距離を規定している。改良したアンテナ設計によりこの間隔を延長するのは簡単である。
【0059】
指向性操向可能アンテナを使用すれば、再使用できるように通信機間に十分な距離及び間隔をとることができる。例えば、位置1、1(左下)の天井ユニット内に垂直に使用されているF2は、位置2、1(左中央)の受信機の方を向いている。見通し線内通信及びアンテナの高い指向性のおかげで、1、1のところの受信機と干渉を起こしている唯一の送信機は、列1内の図の上部の方を向いている。図5では、この位置は位置4、1(図5の外側)になる。
【0060】
この干渉を起こしている送信機は、目標の送信機の距離の3倍の距離のところに位置するので、理論的信号対干渉比は約10dBになる。これは適切な符号化及び誤り訂正を使用した場合には、優れた通信品質を得るのに十分なものである。
【0061】
さらに、交互の左右の円形偏向、又は水平及び垂直偏向を使用することにより、干渉をさらに軽減することができ、そのため、第1の干渉を起こしている送信機は、約5倍の距離のところの位置6、1のところに位置しているので、信号対干渉比は約15dBになる。
【0062】
多くの設置の場合、ビルのレイアウトのために、ビルのすべてのところでは、きれいな矩形のレイアウトができない場合がある。図5のこのレイアウトの例は、簡単な矩形のレイアウトである。しかし、アンテナ設計は、アンテナの指向性が、少なくとも90(+/−45)度の角度上で電子的に操縦することができるように意図されている。このことは、潜在的な干渉を考慮に入れるならば、もっと複雑なレイアウトも容易に実施することができることを意味している。アンテナの指向性により、干渉が潜在的な問題である角度を制限し、レイアウトを簡単にする。
【0063】
最後に、このコンセプトで説明するアーキテクチャ及び接続性を使用すれば、トラフィックの他の経路指示を行うことができる。一方のエンドデバイスから他方のエンドデバイスへのトラフィックに対しては、2つ以上の経路が存在する。
【0064】
瞬間的なトラフィック状態に基づいて、最善の経路を選択することができる。また、デバイスが故障した場合を考えて、冗長性を与えることもできる。
【0065】
本明細書に記載する技術及びシステムを使用すれば、キオスク等へのDVDコンテンツのような大量のデータをサーバからエンドデバイスへ転送するのに適している無線通信システムを構成することができる。
【0066】
さらに、この技術及びシステムを使用すれば、店舗(施設)の棚上の製品についての情報にアクセスしている多くの顧客のような高集合体スループットを必要とする複数のアプリケーションのための高度のスケーラビリティを有するインフラストラクチャを提供することができる。
【0067】
上記説明は例示としてのものであり、本発明を制限するためのものではない。上記説明を読めば、当業者であれば多くの他の実施形態を思い付くことができるだろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の等価物の全範囲と一緒に、添付の特許請求の範囲を参照して決定すべきである。
【0068】
要約は、米国特許法施行規則第1.72条(b)項に適合するものであり、開示の技術の性質及び要旨を容易に理解することができるだろう。この要約は、特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈又は制限するために使用しないという了解により提出するものである。
【0069】
実施形態の上記説明において、種々の機能は、開示を読みやすくするために1つの実施形態内に一緒にグループ分けしてある。この開示方法は、特許請求の範囲記載の実施形態が、各請求項内に明示されている機能よりも多くの機能を有していることを反映していると解釈すべきではない。それどころか、添付の特許請求の範囲が反映しているように、本発明の主題は、1つの開示した実施形態のすべての機能よりも少ない機能内にある。それ故、添付の特許請求の範囲を、各請求項が、別々の例示的実施形態としてそれ自身上に立脚するものとして「発明を実施するための形態」内に含めてある。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、施設内に設置される高速の無線通信システム及び無線通信方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内のグリッドレイアウト内に複数の無線通信機を設置するステップと、
各無線通信機を4つの送信周波数を使用するように構成するステップであって、各周波数が、指向性操向可能アンテナにより60ギガヘルツ(GHz)で無線送信するステップと、
各無線通信機の各側面に特定の無線通信機のための少なくとも1つの指向性操向可能アンテナを配置するステップと、
各無線通信機が前記施設内で無線高速通信ネットワークを提供することを可能にするステップと、
の各ステップを有することを特徴とする無線通信方法。
【請求項2】
前記設置ステップが、前記グリッドを矩形の形に形成するステップをさらに含み、各無線通信機が、最近傍の無線通信機から10メートル離れている、請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項3】
前記構成ステップが、前記無線通信機のうちの少なくとも1つと施設情報サーバとをインタフェースするステップをさらに含む、請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項4】
前記構成ステップが、90度の全遠隔制御移動を行うために、2つの異なる方向で少なくとも45度だけ遠隔により及び無線により移動又は再配置させるように各指向性操向可能アンテナを構成するステップをさらに含む、請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項5】
前記構成ステップが、デマンド予約スケジューリングプロトコルを使用するトランザクションのための帯域幅を保証することができる各無線通信機内にデマンド予約スケジューリングプロトコルをインストールし開始するステップをさらに含む、請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項6】
前記配置ステップが、各無線通信機の各側面に少なくとも1つの追加の指向性操向可能アンテナを提供するステップをさらに含み、1つの指向性操向可能アンテナがデータ送信のために予約され、1つの指向性操向可能アンテナが前記データを受信するために予約され、各無線通信機のための前記4つの周波数の各周波数が全二重無線通信のために構成される、請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項7】
前記可能にするステップが、マルチメディアキオスクの直接見通し線の10メートル内に向けられるように少なくとも1つの無線通信機をインタフェースするステップをさらに含み、前記マルチメディアキオスクが、前記グリッドを通してメディアソースから前記少なくとも1つの無線通信機にマルチメディアの無線配信を開始し、次に、前記マルチメディアが、前記施設内のマルチメディアキオスクと対話を行っている消費者の携帯機器のストレージに無線配信される、請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項8】
前記可能にするステップが、前記施設内で所定の位置に向けられる少なくとも1つの無線通信機とインタフェースするステップをさらに含み、その位置において、携帯機器上で映像を再生するために、前記少なくとも1つの無線通信機から消費者の携帯機器に前記映像が無線によりストリーミングされる、請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項9】
前記可能にするステップが、消費者の携帯機器が前記高速通信ネットワークの範囲内に依然として留まっている間に、前記施設内の前記消費者の無線デバイスが、前記高速通信ネットワークに無線接続することができるようにするステップをさらに含む、請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項10】
複数のプロセッサ上で実行するためのマルチプロセッサにより実施するように構成される方法であって、
前記プロセッサのうちの1つにより、施設内の消費者の携帯機器からの無線接続要求を検出するステップと、
前記プロセッサのうちの1つにより、前記携帯機器を、前記施設内で稼働してる高速無線通信ネットワークに接続するステップであって、無線送信が、複数のグリッド上に設置された無線通信機により60ギガヘルツ(GHz)で行われ、各無線通信機が、4つの異なる周波数を使用して、各無線通信機が少なくとも1つの追加の無線通信機又はバックエンド施設情報サーバにインタフェースされるステップと、
前記プロセッサのうちの1つにより、前記施設内に位置し、前記高速無線通信ネットワークに接続している間に、前記消費者に情報又はコンテンツを配信するために、前記携帯機器と無線によりトランザクションを行うステップと、
の各ステップを有することを特徴とする無線通信方法。
【請求項11】
前記接続ステップが、接続を行う前に、前記高速無線通信ネットワークにアクセスするための前記携帯機器及び前記消費者を認証するステップをさらに含む、請求項10に記載の無線通信方法。
【請求項12】
前記認証ステップが、前記携帯機器が前記高速無線通信ネットワークに依然として接続している間に、実施するセキュリティポリシーを設定するステップをさらに含む、請求項11に記載の無線通信システムの設置方法。
【請求項13】
前記無線トランザクションステップが、前記高速無線通信ネットワークに接続している間に、前記携帯機器と行っている活動のログを記録するステップをさらに含む、請求項10に記載の無線通信方法。
【請求項14】
前記無線トランザクションステップが、前記携帯機器を介して、また前記高速無線通信ネットワークを通して、前記消費者に購入したマルチメディアを提供するステップをさらに含む、請求項10に記載の無線通信方法。
【請求項15】
前記無線トランザクションステップが、前記施設内の前記消費者の物理的位置に基づいて、前記携帯機器を介して、また前記高速無線通信ネットワークを通して、前記消費者にターゲット広告を提供するステップをさらに含む、請求項10に記載の無線通信方法。
【請求項16】
施設内に設置されるバックエンド情報サーバと、
前記施設全体にグリッドレイアウトの形で配置されている複数の無線ルータと、
を備え、
前記バックエンド情報サーバが、前記無線ルータからデータを受信し、前記無線ルータにデータを配信するように構成され、各無線ルータが、60ギガヘルツ(GHz)で、前記施設内で前記グリッドレイアウトを通して、前記データを無線受信及び無線送信するように構成され、各無線ルータが、少なくとも1つの追加の無線ルータと対話を行うようにさらに構成され、各無線ルータが、前記施設内で消費者の無線デバイスと対話を行うように構成され、前記バックエンド情報サーバ及び前記無線ルータが、前記消費者の前記無線デバイスに対して、前記施設内で高速無線通信ネットワークを提供するように構成される、ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項17】
前記バックエンド情報サーバが、インターネットにアクセスして前記インターネットから前記高速無線通信ネットワークにコンテンツを提供し、前記インターネットを通して、前記高速無線通信ネットワークから、前記施設から遠隔に位置するサービスに情報を配信するように構成される、請求項16に記載の無線通信システム。
【請求項18】
各無線ルータが、4つの別々の周波数を介して、全二重で無線により送受信を行うように構成される、請求項16に記載の無線通信システム。
【請求項19】
各無線ルータが、4対の指向性操向可能アンテナと一緒に構成され、前記指向性操向可能アンテナの各対が、前記対が関連する前記特定の無線ルータの1つの側面に設置される、請求項16に記載の無線通信システム。
【請求項20】
各無線ルータが、次の及び近隣の無線ルータから10メートルのところの前記グリッドレイアウト内に設置される、請求項16に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−139430(P2011−139430A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196355(P2010−196355)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】