説明

無線通信機器

【課題】 広いグランドと安定した特性を得られるアンテナを有する無線通信機器を提供する。
【解決手段】アンテナシステムを持つ無線通信機器の有する液晶ディスプレイ3をグランド板とし、グランド板である前記液晶ディスプレイ3の外枠6の一部を加工して所望のインピーダンスのスロットアンテナ10を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナシステムを有する無線通信機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムを組み込んだノート型のパーソナルコンピュータ、携帯電話機など無線通信機器の普及に伴い、様々な形態のアンテナが提案されている。
例えば、特許文献1には、薄板状のスロットアンテナを、金属製のステーを介して表示パネルの金属製額縁にネジ取り付ける構造が開示されている。特許文献1のスロットアンテナは、外形形状が矩形でその中央部にスロットが形成されて略ロ時状をなしており、互いに所定間隔を隔てた送受信部およびグランド部と、これら送受信部とグランド部をその両端で接続する接続部とから形成される。
【特許文献1】特開平2002−84117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のスロットアンテナは、全体が比較的小さい小片であり、したがってアンテナのグランド部の面積も非常に小さく、アンテナとしての十分な性能が得られない。
また、スロットアンテナ単体で所望のインピーダンスが得られるように設計・製作しても、スロットアンテナが、ステーを介して表示パネルの金属製額縁に取り付けられることでアンテナのインピーダンスが変化し、期待したアンテナ特性が得られなくなる。
しかも、スロットアンテナを、ネジで固定する構造であるため、スロットアンテナとステーとの接触状態、及びステーと表示パネルとの接触状態が変化する場合がある。つまり、ネジの緩みや取付け不良などによって、前記接触状態が不安定となって、結果としてアンテナ特性も不安定となる。
さらに、別体のスロットアンテナをネジで表示パネルに固定する構造であるため、多数のスロットアンテナを設ける場合には、組立作業が煩雑となってしまう。
【0004】
そこで、本発明は広いグランドと安定した特性を得られるアンテナを有する無線通信機器を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、人体がアンテナに与える影響を低減することなどである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、アンテナシステムを持つ無線通信機器の有する導電体板をグランド板とし、グランド板である前記導電体板の一部を加工して所望のインピーダンスのアンテナを形成したことを特徴とする無線通信機器である。
前記導電板は、無線通信機器が有する部材であって、液晶ディスプレイ、無線通信機器の筐体、又は電子回路基板など実質的に導電体とみなすことができるものであればよい。
無線通信機器の有する導電体板をグランド板として、これを加工してアンテナを形成することで、広いグランドが確保できるとともに、先行技術のようにアンテナを後付けすることによるインピーダンスの変化・不安定化を回避して、所望の特性のアンテナを容易に製作することができる。また、アンテナの機器への後付けの必要もないので組立が容易である。
【0006】
無線通信機器の有する導電体板としては導電体製(金属製)の筐体、液晶ディスプレイ、プリント基板などを採用できる。
特に、液晶ディスプレイは、ノート型パーソナルコンピュータ・タブレットコンピュータ・PDAなどのポータブルコンピュータ、携帯電話機、FA用パネルコンピュータなどの機器において装備されているものであって、広い面積を有するものでありグランド板となる導電体板として好ましい。
液晶ディスプレイは、完全な導電体ではないが、その構造上、液晶ディスプレイ全体を広い導電板としてみなすことができ、これをグランド板として用いて用いることで広いグランドが確保できる。
【0007】
ここで、前記液晶ディスプレイは、液晶パネルと、当該液晶パネルの外縁に装着された導電体製の外枠と、を含むものであればよく、さらにバックライト及び/又は液晶駆動回路などを含んでいても良い。これらの液晶ディスプレイを構成する各部材は導電体を含むため、全体として実質的な導電体としてみることができる。
前記アンテナは、前記外枠の一部を加工して形成するのが容易であり好ましい。具体的には、前記外枠が、液晶パネルを保持するための枠状の保持部と、当該保持部から側方に延設された延長部と、を備え、前記延長部の一部を加工して前記アンテナが形成されているのが好ましい。外枠が延長部を有することで、この延長部にアンテナを形成するのが容易となる。
【0008】
前記アンテナは、前記外枠に複数形成されているのが好ましい。外枠にアンテナを形成するようにすることで、複数のアンテナを簡単に製作することができる。
また、前記アンテナは、容易に製造できるという観点から、スロットアンテナであるのが好ましい。
【0009】
ここで、人の手でアンテナの近くを把持するなどして、アンテナに人体が接近するとアンテナの放射電力が人体によって吸収され効率が低下する。これを回避しようとすると、人体が接近しにくいところにアンテナを配置するのが好ましいが、タブレットコンピュータを例としてみると、タブレットコンピュータのどの位置も手で覆われる可能性があり、手で覆われにくい位置に内蔵型のアンテナを設けるには限界があり、特に、液晶パネルの外枠にアンテナを設ける場合には、外枠のどの位置にアンテナを設けても、手によって覆われることが不可避的である。そして、このような問題は、他の機器においても同様に発生し得る。
そうすると、この問題を回避するために、機器に複数のアンテナを設けておき、手で塞がれていないアンテナが用いられるようにコンピュータによって切替制御することが考えられるが、この場合、アンテナが手で覆われているか否かを検出することが必要であるし、使用されるアンテナが切り替えられるようにするための制御コントローラが必要となって、非常に複雑な構成の制御システムとなる。
【0010】
本発明者は、アンテナは、人体の手によって覆われるなど人体の影響があると、アンテナのインピーダンス特性が増大又は減少することに着目し、複数のアンテナに対して、各アンテナに接続された伝送線路を介して電力が分配されるようにアンテナシステムを構成した上で、各アンテナに接続された前記伝送線路の電気長を適切に設定することによって、各アンテナ間の電力の分配が、人体の影響に対して自然と適応的に変化することを見出した。
つまり、人体の影響によって一部のアンテナのインピーダンス特性が変化した場合に、当該アンテナへ分配される電力が小さくなり、人体の影響を受けてない残りのアンテナへ分配される電力が大きくなるように前記伝送線路の電気長を設定することで、人体の影響に対して電力分配が適応的に変化する。
【0011】
より具体的には、前記伝送線路の電気長Lは、次の4つの場合ごとにそれぞれ下記条件を満たすように設定するのが好ましい。
(1)給電種別:並列給電、人体の影響によるインピーダンス特性の変化:増大
L:{(λ/2)×n}−(λ/8) < L < {(λ/2)×n}+(λ/8) (λ:電波の波長 n:1以上の整数)
(2)給電種別:並列給電、人体の影響によるインピーダンス特性の変化:減少
L:[{(λ/2)×n}+λ/4]−(λ/8) < L < [{(λ/2)×n}+λ/4]+(λ/8)
(λ:電波の波長 n:0以上の整数)
(3)給電種別:直列給電、人体の影響によるインピーダンス特性の変化:減少
L:{(λ/2)×n}−(λ/8) < L < {(λ/2)×n}+(λ/8)
(λ:電波の波長 n:0以上の整数)
(4)給電種別:直列給電、人体の影響によるインピーダンス特性の変化:増大
L:[{(λ/2)×n}+λ/4]−(λ/8) < L < [{(λ/2)×n}+λ/4]+(λ/8)
(λ:電波の波長 n:1以上の整数)
【発明の効果】
【0012】
無線通信機器の有する導電体板をグランド板として、これを加工してアンテナを形成することで、広いグランドが確保できるとともに、アンテナを後付けすることによるインピーダンスの変化・不安定化を回避して、所望の特性のアンテナを容易に製作することができる。また、アンテナの機器への後付けの必要もないので組立が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、無線通信機器である移動体通信端末としてのタブレットコンピュータ1を模式的に示している。このタブレットコンピュータ1は、無線通信のためのアンテナシステムを持つものであり、正面に画面部を形成するための開口を有する筐体2と、当該開口に位置して画面表示及び/又は操作(タッチパネル方式などの操作)をおこなうための液晶ディスプレイ3とを備えている。また、筐体2内にCPU、メモリ、ハードディスク、無線通信用回路(いずれも図示せず)などが配置されている。
【0014】
このコンピュータ1では、アンテナは損傷防止等のため内蔵型とされており、具体的には、液晶ディスプレイ3にアンテナが設けられている。
図2〜図5に示すように、液晶ディスプレイ3は、液晶パネル4と、その背後に配置されたバックライト5を備え、その他、液晶駆動回路基板(図示せず)を備え、さらに液晶パネル4とバックライト5は、その外縁が、導電体製(金属製)の外枠(フレーム)6によって保持されている。
【0015】
外枠は、液晶パネル4(及びバックライト5)の外縁に沿うように、矩形枠状に形成されており、図5に示すように断面U字状の保持部7と、保持部7の外側方に鍔状に延設された延長部8とを備え、保持部7と延長部8とは一体形成されている。
保持部7は、U字状の形状を持つことで、液晶パネル4及びバックライト5の外縁を表裏両側から挟持状に保持しており、延長部8は、矩形枠状の保持部7の4辺すべてから延設して鍔状となっている。なお、延長部8は、矩形枠外枠6の1辺、2辺又は3辺のみから延設されたものであってもよい。外枠6の2辺にだけ延長部8を形成する場合、対向する2辺に延長部8を形成してもよいし、隣接する2辺に延長部を形成してもよい。
延長部8は、延出量が小さすぎると、アンテナを形成する領域が確保しにくく、延出量が大きすぎると機器が大型化するため、適切な延出量に設定するのがよく、例えば、延長部8は、保持部7から10〜30mm程度延出しているのが好ましく、20mm程度がより好ましい。
【0016】
延長部8には、各所に厚さ方向に貫通するスロットを形成してなるスロットアンテナ10が設けられている。スロットアンテナ10は、延長部8を加工することによって形成されており、外枠6に延長部8を設けておくことで、アンテナ形成のための加工を容易に行うことができる。
具体的には、延長部8を打ち抜き加工することによって、所望の幅・長さのスロット持つスロットアンテナ10を形成できる。スロットアンテナ10のスロットは、例えば、幅4mm、長さ60mmに形成することができる。
【0017】
液晶ディスプレイ3は、導電体製の外枠6の他、導電部材を含んでいるため、実質的に板状の導電体としてみることができる。この液晶ディスプレイ3は、アンテナシステムにおけるグランド板として用いられ、前記アンテナ10はグランド板に直接形成されていることになる。
したがって、液晶ディスプレイ3のほぼ全体に相当する広い面積のグランド部が確保され、良好なアンテナ特性が得られる。しかも、液晶ディスプレイをグランド板として使用すれば、追加的に広いグランド板を用意する必要がないため、省スペース化、低コスト化を実現できる。
なお、各スロットアンテナ10のインピーダンスは、スロットの幅及び長さ、給電点の位置を調整することによって、適宜決定できる。給電位置は、例えば、スロット長さ方向中央位置より24mm離れた位置とすることができる。
【0018】
ここで、スロットアンテナ10は、4辺の延長部8のすべてに設けられており、短辺には3つずつ、長辺には4つずつ形成されている。
アンテナ10は、外枠6の一部の辺にだけ設けても良い。すなわち、外枠6の1辺、2辺又は3辺のみに設けても良い。外枠6の2辺にアンテナ10を形成する場合、対向する2辺に設けても良いし、隣接する2辺に設けても良く、どの辺にアンテナを形成するかによってスロットの方向を適宜選択でき、アンテナ指向性を適宜選択できることになる。また、アンテナ10は、延長部8に形成するのが簡便であるが、可能であれば保持部7側に形成してもよい。
【0019】
液晶ディスプレイ3の裏側面には、伝送線路(マイクロストリップ線路)が形成されたプリント基板12が取り付けられている。図5に示すように、この基板12は、伝送線路となる配線パターン14と、当該配線パターン14と液晶ディスプレイ3の裏面との間を電気的に絶縁する絶縁体層(誘電体層)15とを有している。なお、配線パターン14が伝送線路を構成するために必要であれば地導体板(地板)17を図示の位置に設けても良い。
配線パターン14と各アンテナ10とは給電点の位置においてビアホール(スルーホール)16によって接続されている。なお、基板12は、液晶ディスプレイ3の裏側面において、全体的に配置してもよいし、部分的に配置してもよい。部分的に配置する場合、例えば、外枠6の裏側8aに設けることができる。
また、基板12は、液晶ディスプレイの裏側面ではなく、図6に示すように、延長部8の表側8bに設けても良い。図6においても、配線パターン14が伝送線路を構成するために必要であれば地導体板17を図示の位置に設けても良い。
なお、伝送線路としては、同軸ケーブルその他のケーブルを用いても良い。
【0020】
各アンテナ10への給電は、図7に示すように並列給電方式とされている。図7では、図2及び図3における矩形状外枠6の一の長辺に形成された4つのアンテナ10のインピーダンスをそれぞれZ,Z,Z,Zとした場合に、当該4つのアンテナ10を一群として並列給電を行う場合を示している。同様に、外枠6の他の辺に形成されたアンテナ10も、各辺を一単位として並列給電が行われている。
各辺のアンテナ10を一群として給電する場合、ある一辺のアンテナ群は、水平偏波用として用いることができ、当該一辺と直交する他の辺のアンテナ群は、垂直偏波用として用いることができる。
【0021】
図8に示すように、隣接する2辺に存在するアンテナ10を一群として給電する場合、楕円偏波を発生させることができる。図8のものでは、隣接する各辺のアンテナ10は2つずつで、計4つであるが、各辺のアンテナ10の数は同じである必要はなく、例えば、一方の辺が1つ、他方の辺が2つであってもよい。
ただし、図8の場合、給電条件によっては、斜め45°の直線偏波をつくることが可能である。これを利用して、図9のように、液晶ディスプレイ3(導電体板)の左右両側にそれぞれアンテナ群A,B設けると、±45°の偏波が得られ、アンテナ群A,Bをダイバーシチ方式で切り替え使用することができる。
【0022】
ここで、アンテナは、上記スロットアンテナ10限られるものではなく、図10及び図11に示すような伝送線路アンテナ100であってもよい。この伝送線路アンテナ100も、液晶ディスプレイ3の外枠延長部8を加工することによって形成されたものである。この伝送線路アンテナ100は、図示の形状が得られるように外枠延長部8を切り起こしたものである。図示の伝送線路アンテナ100では、ショートスタブ101の位置を適宜設定することで所望のインピーダンスを得ることが出来る。
なお、アンテナ100を延長部8から切り起こした場合、延長部8に穴110が残るため、必要に応じてこの穴110を塞ぐための板体111を延長部8に取り付けても良い。
また、延長部8を切り起こす場合、アンテナ100の形状は、図12に示すようなものであってもよい。必要に応じてリアクタンス素子を装荷することにより共振あるいは整合を得ることができる。
【0023】
図10〜図12に示すアンテナ100は、液晶ディスプレイ3の表示面と垂直に立設されているが、液晶ディスプレイ3の表示面と平行となるように設けても良い。すなわち、外枠延長部8の外縁を切り抜き加工して、図10又は図12に示す形状のアンテナが延長部8の外縁に残るようにして液晶ディスプレイ3の表示面と平行なアンテナを形成してもよい。
また、ここで採用できるアンテナの種類としては、自己補対アンテナ、ループアンテナなどがあり、アンテナの種類は特に限定されるものではない。
【0024】
図13は、複数のアンテナ10に接続される伝送線路を持つアンテナシステムの一例を示している。図示のものでは、高周波源(図示省略)側に接続される1本の第1伝送線路21と、第1伝送線路21から複数のアンテナ10側へ分岐してアンテナ10に接続される4本の第2伝送線路22とが設けられており、第1伝送線路21と第2伝送線路22間の整合をとるためのλ/4整合器23も設けられている。ここでは、第1伝送線路21のインピーダンスZ=50Ω、第2伝送線路22のインピーダンスZ=50Ωである。また、λ/4整合器23のインピーダンスZ=√{Z・(Z・n)}=100Ωである(n:第2伝送線路22の本数=4)。
【0025】
一般に、アンテナ10が手で覆われると、当該アンテナ10の放射電力が手に吸収され、その分の損失が生じ、効率が低下する。特に、図1のようなタブレットコンピュータ1のように、手持ち型の機器であって、図2及び図3に示すようにその外周縁部付近に内蔵アンテナ10が設けられるタイプのものでは、機器1を手で持つ際にアンテナ10が存在する位置が手で覆われやすく、人体がアンテナに与える影響は無視できないものとなる。
これに対し、図13のように、複数のアンテナ10に対して電力が分配されるアンテナシステムでは、アンテナ10に接続される伝送線路(第2伝送線路22)の長さ(電気長)を適切に設定することにより、一部のアンテナ10が手で覆われても、各アンテナ10間の電力の分配を、人体の影響に対して自然と適応的に変化させることができる。
【0026】
すなわち、本実施形態では、人体の影響によってアンテナのインピーダンス特性が変化することに着目し、各アンテナ10への電力分配が適応的に変化するように伝送線路22の電気長を設定してある。以下、電気長の設定の仕方について詳述する。
まず、基本的な考え方として、人体の影響を受けているアンテナ10には電力の分配が少なくなり、人体の影響を受けていないアンテナ10に電力の分配が大きくなるようにすれば、電力の分配は最適化される。
【0027】
ここで、アンテナ10が人の手によって覆われるなどの影響を受けると、そのアンテナ10のインピーダンスZ(図13においてiは1〜4)は増大するか、又は減少することを本発明者は見出した。
また、インピーダンスZ(図13においてiは1〜4)のアンテナ10に、長さLの伝送線路22を接続した場合、伝送線路22の分岐側始点a1,a2,a3,a4から各アンテナ10側にみた入力インピーダンスZは、長さLによって変化する。
【0028】
アンテナ10が人体の影響を受けた場合、並列給電であれば、当該アンテナ10に対する前記入力インピーダンスZが大きくなれば、当該アンテナ10に分配される電力(電流)は少なくなり、人体の影響を受けていない他のアンテナ10に分配される電力(電流)は多くなる。
このための条件を図14のスミスチャートを用いて説明する。
【0029】
図14では、人の手の影響によってアンテナ10のインピーダンスZが100Ωに増大し、当該アンテナ10に50Ωの伝送線路22が接続されている場合を想定すると、入力インピーダンスZは、伝送線路22のインピーダンス50Ωを中心とし、アンテナ10のインピーダンスZ=100Ωに接する円C上で変化する。
例えば、伝送線路22の長さLがλ/4であれば、入力インピーダンスZは、100Ωの位置から上記円Cを180°まわって25Ωとなる。また、伝送線路22の長さLがλ/2であれば、円Cを360°まわって元の100Ωの位置となる。
すなわち、伝送線路22の長さLが、λ/2の整数倍((λ/2)n)であれば、入力インピーダンスZを最も大きくできるZmaxの位置となり、逆に、λ/2の整数倍にλ/4を加えた長さ((λ/2)n+λ/4)である場合には、入力インピーダンスZが最も小さくなるZminの位置となる。
また、伝送線路22の長さLが、λ/2の整数倍((λ/2)n)から±λ/8以上ずれると、入力インピーダンスZは100Ωの位置から上記円Cを90°以上まわって50Ω以下となり、人体の影響によって入力インピーダンスZが増大するという効果が失われる。
【0030】
したがって、並列給電で、人の手の影響によってアンテナ10のインピーダンスZが増大した場合に、当該アンテナ10へ分配される電力が自動的に低減されるための伝送路22の長さLの条件としては、{(λ/2)×n}−(λ/8) < L < {(λ/2)×n}+(λ/8)(λ:電波の波長 n:1以上の整数)となる。
好ましくは、長さLは、{(λ/2)×n}−(λ/16) < L < {(λ/2)×n}+(λ/16)であり、この条件の範囲内であれば、人体の影響による入力インピーダンスZの増大をより大きくして電力の分配を一層最適化することができる。
【0031】
図13のものでは、伝送路22の長さLをこの条件に適合するように設定しておくことで、一部のアンテナ10が手によって覆われると、当該アンテナ10への電力分配が低減され、手で覆われていない他のアンテナ10に電力が多く分配されるようになる。
特に、図1のようなタブレットコンピュータ1のように手持ち型の機器の場合、図2〜図3の位置にアンテナ10を設けると、機器使用時には、いずれかの位置にあるアンテナ10は手で覆われることになる一方、手で覆われないアンテナ10も存在することになるため、手で覆われていないアンテナ10に電力が自然に多く分配されるアンテナシステムは、その実用上非常に有利である。
【0032】
次に、並列給電において、人の手の影響によってアンテナ10のインピーダンスZが「減少」する場合について説明する。例えば、人の手の影響によってアンテナ10のインピーダンスZが25Ωに減少し、当該アンテナ10に50Ωの伝送線路22が接続されている場合を想定すると、入力インピーダンスZは、図14における円C上を変化する。
ただし、伝送線路22の長さLがλ/4であれば、入力インピーダンスZは、25Ωの位置から上記円Cを180°まわって100Ωとなる。また、伝送線路22の長さLがλ/2であれば、円Cを360°まわって元の25Ωの位置となる。
したがって、並列給電において、人の手の影響によってアンテナ10のインピーダンスZが減少する場合の、当該アンテナ10へ分配される電力が自動的に低減されるための伝送路22の長さLの条件は、[{(λ/2)×n}+λ/4]−(λ/8) < L < [{(λ/2)×n}+λ/4]+(λ/8)(λ:電波の波長 n:0以上の整数)となる。
好ましくは、長さLは、[{(λ/2)×n}+λ/4]−(λ/16) < L < [{(λ/2)×n}+λ/4]+(λ/16)であり、この条件の範囲内であれば、人体の影響による入力インピーダンスZの増大をより大きくして電力の分配を一層最適化することができる。
【0033】
なお、人体の影響によって、アンテナ10のインピーダンスが増大するか減少するかは、アンテナへの給電条件によって変化し、また、一般的には電気的アンテナ・ダイポールアンテナは人体の影響によりインピーダンスが減少すると考えられ、磁気的なアンテナは人体の影響によりインピーダンスが増大すると考えられる。
このように、アンテナ10のインピーダンスが増大するか減少するかは、選択したアンテナ及びその給電方法によって決定される。
【0034】
また、複数のアンテナ10が並列給電ではなく、図15に示すように直列給電される場合、当該アンテナに対する入力インピーダンスZが小さくなれば、当該アンテナ10に分配される電力(電圧)は少なくなり、人体の影響を受けていない他のアンテナ10に分配される電力(電圧)は多くなる。
したがって、並列給電の場合とは条件が逆になり、人体の影響によってインピーダンス特性が増大するアンテナ10の場合には、入力インピーダンスZが小さくなるように、伝送線路32の長さLは、[{(λ/2)×n}+λ/4]−(λ/8) < L < [{(λ/2)×n}+λ/4]+(λ/8)(λ:電波の波長 n:0以上の整数)となり、好ましくは、[{(λ/2)×n}+λ/4]−(λ/16) < L < [{(λ/2)×n}+λ/4]+(λ/16)である。
また、人体の影響によってインピーダンス特性が減少するアンテナ10の場合には、入力インピーダンスZが小さくなるように、伝送線路32の長さLは{(λ/2)×n}−(λ/8) < L < {(λ/2)×n}+(λ/8)(λ:電波の波長 n:1以上の整数)となり、好ましくは、{(λ/2)×n}−(λ/16) < L < {(λ/2)×n}+(λ/16)である。
【0035】
なお、アンテナ10に接続される各伝送線路22の長さLは、すべて同じであるのが好ましいが、上記条件を満たす範囲内で、各伝送線路22の長さが異なっていても良い。
また、ここで開示した人体の影響に対して適応的に電力を分配するためのアンテナシステムは、アンテナの具体的な形状・構造・配置等に限定されることなく、複数のアンテナに電力が分配されるものであれば適用可能である。
【0036】
以下は、参考的に開示する発明である。
地上波デジタル放送が開始され、近い将来には1セグメントによる携帯端末向けの放送が開始される可能性がある。しかし、地上波デジタル放送に用いられるUHF帯(470MHz〜770MHz)では、携帯電話で使用される周波数帯(900MHz、1.5GHz)よりも波長が長いため、従来の携帯電話が有しているアンテナでは十分な性能が確保できない。そのため携帯電話端末向けのアンテナの開発が急務となっている。
図16及び図17は、携帯電話としての通話及び地上波デジタル放送の受信に適した携帯電話用アンテナの第1例を示している。図16に示す携帯電話200は、液晶ディスプレイ201aによる画面部を有する第1本体201と、操作ボタン等を有する第2本体202と、第2本体202から延びる携帯電話通信用のアンテナ(モノポールアンテナ)203と、を有している。この携帯電話200は、第1本体201と第2本体202とがヒンジ部204を介して折り畳み・展開自在に連結されたものである。すなわち、第1本体01と第2本体202とが可動的に連結されたものである。
【0037】
図17に示すように、第1例では、アンテナを構成し得るエレメント(素子)として、3つのエレメント、すなわち第1エレメント#1、第2エレメント#2、第3エレメント#3を有している。
第1エレメント#1は、第1本体201に対応しており、第1本体201の液晶ディスプレイ201a(実質的な導電体とみなせる)、第1本体201を構成する筐体、又は第1本体201の筐体に内蔵された回路基板(実質的な導電体とみなせる)のいずれか又はこれらの組み合わせを第1エレメント#1とすることができる。
第2エレメント#2は、第2本体202に対応しており、第2本体202の筐体、又は第2本体202の筐体に内蔵された回路基板(実質的な導電体とみなせる)のいずれか又はこれらの組み合わせを第2エレメント#2とすることができる。
また、第3エレメント#3は、携帯電話通信用アンテナ203に対応している。
【0038】
この携帯電話200における地上波デジタル放送受信用のアンテナは、3つのエレメントのうちの2つのエレメントの組み合わせによる2つのダイポールアンテナを具備するように構成されている。
すなわち、第1エレメント#1及び第2エレメント#2の組み合わせは、第1ダイポールアンテナ211として機能し、第2エレメント#2及び第3エレメントの組み合わせは、第2ダイポールアンテナ212として機能し得るように携帯電話200は構成されている。
具体的には、図18(a)に示すように第1エレメント#と第2エレメント#2との間に第1給電点221を設け、さらに、第2エレメント#2と第3エレメントとの間に第2給電点222を設けて、2つのダイポールアンテナ211,212が構成されている。
【0039】
さらに、各ダイポールアンテナ211,212を切替使用するため、各アンテナ211,212には切替スイッチ部SW1、SW2がそれぞれ設けられており、各スイッチ部SW1,SW2は、切替制御部230によってON/OFF制御される。
例えば、第1アンテナ211を使用する場合には、切替制御部230によって第1スイッチ部SW1がON、第2スイッチ部SW2がOFFとされる。また、第2アンテナ212を使用する場合には、切替制御部230によって第2スイッチ部SW2がOFF、第2スイッチ部SW2がONとされる。
これらのスイッチ部SW1,SW2は、図18(b)に示すように、アンテナ211,212がONとなっていないときに、アンテナが開放されるのではなく、リアクタンスが接続される形式のものであってもよい。図18(b)のスイッチ部SW1,SW2を用いると、アンテナの放射指向性やインピーダンスを制御可能となる。
各アンテナ211,212によって受信された信号電力は、図示しない受信機(地上波デジタル放送用受信機)に導かれる。各アンテナからの受信信号は、ともに受信機に導いてもよいし、高周波スイッチを用いて、いずれか一方を選択してもよい。この選択のための制御信号は、切替制御部230から取り出される。
【0040】
本第1例においては、各エレメント#1,#2,#3は、図17に記載の寸法に設定されており、第2給電点222に給電して第2アンテナ212を使用した場合には、470MHz〜560MHz(13ch〜27ch)をカバーでき、第1給電点221に給電して第1アンテナ211を使用した場合には、560MHz〜770MHz(27ch〜62ch)をカバーできる。なお、アンテナ211,212の切替は、受信すべき電波の周波数情報に基づき、切替制御部230によって行われる。
したがって、周波数に応じて第1アンテナ211と第2アンテナ212を切替使用することで、地上波デジタル放送に用いられるUHF帯(470MHz〜770MHz)をカバーできる。また、UHF帯(470MHz〜770MHz)のほとんどをVSWR<2でカバーできることも確認された。
このように、3以上のエレメント#1,#2,#3を組み合わせて2以上のダイポールアンテナ211,212を構成して、これらのダイポールアンテナ211,212を周波数に応じて切り替えて使用することにより、幅広い周波数帯域に対応することが可能となる。
【0041】
なお、第1例においては、第1本体201もアンテナ用のエレメント#1として構成されており、第3エレメント#3とは角度差があることを利用して、携帯電話通信(1.5MHz)の際には、第1エレメント#1と第3エレメント#3をそれぞれ、ダイポールアンテナとして用い、両エレメント#1,#3をダイバーシチ方式で切替使用してもよい。
この場合も、切替制御部230を用いて、各エレメントを切り替えるように制御することが可能である。この切替制御の際には、周波数の情報を用いるだけではなく、受信電波の強度、信号対雑音比(S/N)などを用いて、複数のブランチのアンテナを切り替えて、より有効なアンテナを選択するアルゴリズムを用いることができる。このようなアルゴリズムとしては、スイッチイグザミンなどの様々なアルゴリズムを利用することができる。
また、無線通信方式において、時分割処理を行っている場合には、所望信号電波の受信に影響の少ないタイミングでアンテナ切り替えをおこなうのが有効である。さらに、受信機を複数用いる場合であれば、各ブランチの出力を各受信機に導いてもよい。ここでのポイントの一つは、無線機筐体と第三の素子から複数のアンテナブランチを構成するということである。
【0042】
図19は、携帯電話としての通話及び地上波デジタル放送の受信に適した携帯電話用アンテナの第2例を示している。図19における第1エレメント#1及び第2エレメント#2は、図17に示す第1エレメント#1及び第2エレメント#2と同様のものである。ここでは、第1エレメント#1(第1本体201)の上部から両側方(水平方向)に延びる第3エレメント#3及び第4エレメント#4を備えている。
第2例では、最大4つのダイポールアンテナを構成できる。
すなわち、第1エレメント#1と第2エレメント#2との間に第1給電点241を有して、両エレメント#1,#2によって第1ダイポールアンテナ251が構成できる。
また、第1エレメント#1と第3エレメント#3との間に第2給電点242を有して、両エレメント#1,#3によって第2ダイポールアンテナ252が構成できる。
さらに、第1エレメント#1と第4エレメント#4との間に第3給電点243を有して、両エレメント#1,#4によって第3ダイポールアンテナ253が構成できる。
さらにまた、第3エレメント#3と第4エレメント#4との間に第4給電点(図示省略)を有して、両エレメント#3,#4によって第4ダイポールアンテナ254が構成できる。
【0043】
第2例においても、各ダイポールアンテナ251,252,253,254の切替は、図18と同様の回路によって行うことができる。
また、第3エレメント#3及び第4エレメント#4のように水平方向に延びるエレメントを持つアンテナは、比較的波長の長い地上波デジタル放送の受信に好適である。
なお、図19においては、第2エレメント#2を設けない(第2本体202をアンテナ用のエレメントとして使用しない)ことも可能であり、すべてのエレメントを使用する必要はない。
【0044】
図20は、携帯電話としての通話及び地上波デジタル放送の受信に適した携帯電話用アンテナの第3例を示している。この携帯電話は、第1例及び第2例のような折り畳み式の携帯電話ではなく非折り畳み式(ストレート式)の携帯電話であり、携帯電話全体が単一の第1エレメント#1とされている。
第1エレメント#1の上部両端からは、両側方(水平方向;第1エレメント#1の長手方向と直交する方向)に延びる第2エレメント#2及び第3エレメント#3が設けられており、これら3つのエレメント#1,#2,#3を用いて、第1例及び第2例と同様に、2つ又は3つのダイポールアンテナを構成して、各アンテナを切替使用することができる。ここでの第2エレメント#2及び第3エレメント#3のように水平方向に延びるエレメントを持つ場合、水平偏波用に好適である。
【0045】
図21〜図23は、第3例のようにエレメント(アンテナ)を展開するための構造を示している。携帯電話本体260の上部の左右両側には、第3例の第2エレメント#2となる第1アンテナ261と、第3例の第3エレメント#2となる第2アンテナ262とが本体260の厚さ方向の軸263まわりに回動自在に連結され、各アンテナ261,262は、本体260の左右両側に折り畳まれた状態(図21の状態)から、展開された状態(図22の状態)にまで回動することができる。
【0046】
図23に示すように、両アンテナ261,262はバネ264によって連結されており、両アンテナ261,262が展開状態へ回動するように付勢されている。
また、両アンテナ261,262の回動自由端261a,262aは、本体260に設けられた係合片266に係合するための係合部とされており、各係合部261a,262aが係合片266に係合することにより、アンテナ261,262が本体260の左右両側に折り畳まれた状態を維持することができる。
係合片266は、本体260内で、本体260の長手方向にスライド自在に設けられており、さらに本体260との間に設けられたバネ267によって係合部261a,262bと係合する位置に付勢して位置決めされている。
本体260には、前記係合片266をバネ267の付勢力に抗して移動させて、係合部261a,262aとの係合を解除するための操作部268が設けられており、この操作部268を図23の矢印の方向に押すことで、係合片266と係合部261a,262aの係合が解除され、アンテナ261,262がバネ264によって展開状態になるまで回動する。
なお、上記構造において、アンテナ261,263はいずれか一方だけ備わっていてもよい。
また、上記構造は、第1例、その他アンテナの展開が必要な機器の構造として採用可能である。
【0047】
図24は、携帯電話としての通話及び地上波デジタル放送の受信に適した携帯電話用アンテナの第4例を示している。この携帯電話も、非折り畳み式(ストレート式)の携帯電話であり、携帯電話全体が単一の第1エレメント#1とされている。
第1エレメント#1の上部両端からは、上方向(垂直方向;第1エレメント#1の長手方向と平行な方向)に延びる第2エレメント#2及び第3エレメント#3が設けられている。これら3つのエレメント#1,#2,#3を用いて、第1例及び第2例と同様に、2つ又は3つのダイポールアンテナを構成して、各アンテナを切替使用することができる。ここでの第2エレメント#2及び第3エレメント#3のように垂直方向に延びるエレメントを持つ場合、垂直偏波用に好適である。
【0048】
図25は、携帯電話のアンテナの第5例を示している。この第5例も、第1本体201と第2本体202とが可動的に連結されたものであるが、ここでは、携帯電話の第1本体201を、第2本体202に対して、ほぼ90°側方に折り曲げることができるタイプを示している。ここでは、第1エレメント#1及び第2エレメント#2は、それぞれ第1本体201、第2本体202が対応する。第3エレメント#3は、第1本体201の側部から第1本体201の側方に延びており、第1エレメント#1をほぼ90°側方に折り曲げることで、垂直方向に延びるエレメントとなり、垂直偏波用に好適となる。
なお、これらのエレメント#1,#2,#3は、図18に示す回路と同様の回路を用いて使用される。また、図25の225,226が給電点となる。
【0049】
図26は、携帯電話のアンテナの第6例を示している。この第6例も、第5例と同様のタイプの携帯電話であるが、ここでは、第3エレメント#3は、第1エレメント#1(第1本体201)の長手方向と平行に延びており、第1エレメント#1をほぼ90°側方に折り曲げることで、水平方向に延びるエレメントとなり、水平偏波用に好適となる。
なお、これらのエレメント#1,#2,#3も、図18に示す回路と同様の回路を用いて使用される。また、図26の225,226が給電点となる。
【0050】
図27は、携帯電話のアンテナの第7例を示している。この第7例は、図2及び図3に示すものと同様に、液晶ディスプレイの外枠にアンテナとしてスロットアンテナ#1,#2,#3,#4を形成したものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】タブレットコンピュータの平面図である。
【図2】アンテナ付き液晶ディスプレイの斜視図である。
【図3】アンテナ付き液晶ディスプレイの平面図である。
【図4】アンテナ付き液晶ディスプレイの側面図である。
【図5】アンテナ付き液晶ディスプレイの外枠付近の断面図である。
【図6】アンテナ付き液晶ディスプレイの外枠付近の断面図であって、基板配置位置の変形例を示す。
【図7】複数のアンテナへの並列給電を示す回路図である。
【図8】外枠のコーナー部に配置されたアンテナを一群として給電する場合を示す模式図である。
【図9】外枠の左右2つのコーナー部にそれぞれ配置された2つのアンテナ群を示す模式図である。
【図10】外枠に形成されたアンテナの第1の変形例を示す斜視図である。
【図11】図10の断面図である。
【図12】外枠に形成されたアンテナの第2の変形例を示す斜視図である。
【図13】複数のアンテナへの並列給電を示す回路図である。
【図14】伝送線路の長さLとインピーダンスの変化を示すスミスチャートである。
【図15】複数のアンテナへの直列給電を示す回路図である。
【図16】携帯電話の斜視図である。
【図17】携帯電話のアンテナの第1例を示す模式図である。
【図18】(a)はアンテナ切替のための回路図であり、(b)はスイッチ部を示す回路図である。
【図19】携帯電話のアンテナの第2例を示す模式図である。
【図20】携帯電話のアンテナの第3例を示す模式図である。
【図21】展開型アンテナを持つ携帯電話(アンテナ折り畳み状態)の斜視図である。
【図22】展開型アンテナを持つ携帯電話(アンテナ展開状態)の斜視図である。
【図23】展開型アンテナを持つ携帯電話の平面図である。
【図24】携帯電話のアンテナの第4例を示す模式図である。
【図25】携帯電話のアンテナの第5例を示す模式図である。
【図26】携帯電話のアンテナの第6例を示す模式図である。
【図27】携帯電話のアンテナの第7例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0052】
1 タブレットコンピュータ
2 筐体
3 液晶ディスプレイ
6 外枠
7 保持部
8 延長部
10 スロットアンテナ
21 第1伝送線路
22 第2伝送線路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナシステムを持つ無線通信機器の有する導電体板をグランド板とし、グランド板である前記導電体板の一部を加工して所望のインピーダンスのアンテナを形成したことを特徴とする無線通信機器。
【請求項2】
前記導電板は、液晶ディスプレイであることを特徴とする請求項1記載の無線通信機器。
【請求項3】
前記液晶ディスプレイは、液晶パネルと、当該液晶パネルの外縁に装着された導電体製の外枠と、を含み、
前記アンテナは、前記外枠の一部を加工して形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信機器。
【請求項4】
前記外枠は、液晶パネルを保持するための枠状の保持部と、当該保持部から側方に延設された延長部と、を備え、
前記アンテナは、前記延長部の一部を加工して形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無線通信機器。
【請求項5】
前記アンテナは、前記外枠に複数形成されていることを特徴とする請求項3又は4記載の無線通信機器。
【請求項6】
前記アンテナは、スロットアンテナであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無線通信機器。
【請求項7】
前記アンテナシステムは、複数のアンテナに対して、各アンテナに接続された伝送線路を介して電力が分配されるように構成され、
人体の影響によって一部のアンテナのインピーダンス特性が変化した場合に、当該アンテナへ分配される電力が小さくなり、人体の影響を受けてない残りのアンテナへ分配される電力が大きくなるように前記伝送線路の電気長が設定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の無線通信機器
【請求項8】
前記複数のアンテナは、並列給電されるように接続され、
前記アンテナとしては、人体の影響によってインピーダンス特性が増大するものが用いられ、
前記伝送線路の電気長Lは、{(λ/2)×n}−(λ/8) < L < {(λ/2)×n}+(λ/8) (λ:電波の波長 n:1以上の整数)であることを特徴とする請求項7記載の無線通信機器。
【請求項9】
前記複数のアンテナは、並列給電するように接続され、
前記アンテナとしては、人体の影響によってインピーダンス特性が減少するものが用いられ、
前記伝送線路の電気長Lは、[{(λ/2)×n}+λ/4]−(λ/8) < L < [{(λ/2)×n}+λ/4]+(λ/8) (λ:電波の波長 n:0以上の整数)であることを特徴とする請求項7記載の無線通信機器。
【請求項10】
前記複数のアンテナは、直列給電されるように接続され、
前記アンテナとしては、人体の影響によってインピーダンス特性が減少するものが用いられ、
前記伝送線路の電気長Lは、{(λ/2)×n}−(λ/8) < L < {(λ/2)×n}+(λ/8)(λ:電波の波長 n:0以上の整数)であることを特徴とする請求項7記載の無線通信機器。
【請求項11】
前記複数のアンテナは、直列給電するように接続され、
前記アンテナとしては、人体の影響によってインピーダンス特性が増大するものが用いられ、
前記伝送線路の電気長Lは、[{(λ/2)×n}+λ/4]−(λ/8) < L < [{(λ/2)×n}+λ/4]+(λ/8) (λ:電波の波長 n:1以上の整数)であることを特徴とする請求項7記載の無線通信機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate


【公開番号】特開2006−67061(P2006−67061A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244900(P2004−244900)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年2月25日 社団法人電子情報通信学会発行の「電子情報通信学会技術研究報告 信学技報Vol.103 No.677」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年5月14日 社団法人電子情報通信学会発行の「電子情報通信学会技術研究報告 信学技報Vol.104 No.57」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年7月14日 社団法人電子情報通信学会発行の「電子情報通信学会技術研究報告 信学技報Vol.104 No.201」に発表
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】