説明

無線通信端末、基地局装置、無線通信システム及び無線通信方法

【課題】マシン通信システムのネットワークドメインにLTEシステムを採用する場合に、MTC端末に要求されるコストを低減可能な無線通信端末、基地局装置、無線通信システム及び無線通信方法を提供すること。
【解決手段】本発明の無線通信端末は、通信デバイスがサポートする性能に応じて周波数が最大で第1の帯域になるように運用されている無線通信システムの基地局装置を介してマシン通信する無線通信端末であり、第1の帯域に対応可能な受信性能を有し、少なくとも下り制御チャネルが割り当てられる時間領域については第1の帯域の全帯域を復号する受信部と、第1の帯域よりも帯域幅が少ない第2の帯域に対応可能な送信性能を有し、上り制御チャネル及び上りデータチャネルを第2の帯域に割り当てる送信部と、を具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシン通信システムに適用可能な無線通信端末、無線基地局、無線通信システム及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機器間の自律的なコミュニケーションによりサービスを提供するマシン通信(Machine-to-Machine Communication)に関する技術開発が進められている。欧州電気通信標準化機構(ETSI)は、マシン通信システムの参照モデルとして、アプリケーションドメイン(Application Domain)、ネットワークドメイン(Network Domain)、デバイスドメイン(Device Domain)の3つのドメインを定義している。このうち、デバイスドメインにおいて、既に、電気、ガス、水道といったライフライン制御、高速道路交通システム(Intelligent Transport System(ITS))などのアプリケーションの実用化が検討されている。
【0003】
ネットワークドメインにおいては、3GPP(Third Generation Partnership Project)の規定に基づくセルラーシステムの採用が有力視されている。このため、3GPPにおいても、MTC(Machine Type Communication)として定義されるマシン通信の標準化活動が開始されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP, TS22.368 (V10.5.0), " MTC communication aspects ", Jun. 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、3GPPにおいて合意されたLTE(Long Term Evolution)においては、1.4MHz〜20MHzの可変帯域を用いて、下りで最大300Mbps及び上りで75Mbps程度の伝送レートが実現される。しかし、MTCは、比較的低速な通信環境を前提として検討されており、LTEシステム(Rel.8/9/10及びそれ以降のバージョンを含む)をそのままMTCに適用すると不都合が生じてしまう。例えば、MTCシステムに対する条件は、下りが118.4kbps、上りが59.2kbpsというように、LTEシステムほどには高くない。このため、MTCシステムに適合させた無線通信端末(以下、MTC端末)にLTEシステムの要求条件を満足させようとするとオーバースペックとなり、製造コストが増大してしまう。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、マシン通信システムのネットワークドメインにLTEシステムを採用する場合に、MTC端末に要求されるコストを低減可能な無線通信端末、基地局装置、無線通信システム及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の無線通信端末は、通信デバイスがサポートする性能に応じて周波数が最大で第1の帯域になるように運用されている無線通信システムの基地局装置を介してマシン通信する無線通信端末であり、第1の帯域に対応可能な受信性能を有し、少なくとも下り制御チャネルが割り当てられる時間領域については第1の帯域の全帯域を復号する受信部と、第1の帯域よりも帯域幅が少ない第2の帯域に対応可能な送信性能を有し、上り制御チャネル及び上りデータチャネルを第2の帯域に割り当てる送信部と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マシン通信システムのネットワークドメインにLTEシステムを採用する場合に、MTC端末に要求されるコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態に係る無線通信システムのシステム構成を説明するための図である。
【図2】MTC端末の下り受信性能と上り送信性能を説明するための図である。
【図3】図3Aは、LTE端末に対して下りリンクを介して通知される上りリンク制御情報の概念図である。図3Bは、新しく定義したDCIフォーマット0の概念図である。
【図4】DCIフォーマットの構成例である。
【図5】本実施の形態に係る無線基地局装置の全体構成を示すブロック図である。
【図6】本実施の形態に係る無線通信端末の全体構成を示すブロック図である。
【図7】MTC端末の送受信ポートの構成例について説明する回路図である。
【図8】本実施の形態に係る無線基地局装置のベースバンド処理部の構成を示すブロック図である。
【図9】本実施の形態に係る無線通信端末のベースバンド処理部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る無線通信システムについて説明する。図1に示す無線通信システムは、マシン通信システムのネットワークドメインにLTEシステムを採用した一例である。LTE−Advanced(Rel.10及びそれ以降のバージョンを含む)をサポートする無線通信システムでは、最大20MHzを1単位とする基本周波数ブロック(コンポーネントキャリア)を複数使用して、システム帯域を最大で200MHzまで拡張するキャリアアグリゲーションが採用されている。以降の説明では、LTEシステムは、下りリンク及び上りリンク共に最大20MHzのシステム帯域に設定されるものとする。
【0012】
図1に示すように、無線通信システム1は、無線基地局装置20と、無線通信のために無線基地局装置20に無線接続する複数の無線通信端末10A、10B、10Cとを含んで構成されている。例えば、無線通信端末10A、10Bは、マシン通信システムにおける通信デバイスとなるMTC端末であり、他の無線通信端末10Cは、LTE(Rel.10)又はLTE−Advanced(Rel.10以降も含む)をサポートする移動端末装置(以下、LTE端末)である。無線基地局装置20は、上位局装置30と接続され、この上位局装置30は、コアネットワーク40と接続される。複数の無線通信端末10A、10B、10Cは、セル50において無線基地局装置20と通信を行うことができる。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)などが含まれるが、これに限定されない。
【0013】
無線通信システム1は、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)をサポートするが、無線アクセス方式はこれに限定されない。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域を1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。LTE端末は、下りリンク及び上りリンク共に最大で20MHzに対応可能な通信性能を有する。
【0014】
ここで、LTEシステムにおけるチャネル構成について説明する。下りリンクのチャネル構成は、複数のLTE端末が共通に使用する下りデータチャネルとしてのPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)と、下り制御チャネルとしてのPDCCH(Physical Downlink Control Channel)とを含む。PDSCHにより、送信データ及び上位制御情報が伝送される。PDCCHにより、PDSCHのスケジューリング情報等を含む下りリンク制御情報(DL assignment)、PUSCHのスケジューリング情報等を含む上りリンク制御情報(UL grant)が伝送される。下りリンクのチャネル構成は、その他にも、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)、PHICH(Physical Hybrid−ARQ Indicator Channel)などを有している。PCFICHは、サブフレームの先頭シンボルから何シンボルまでにPDCCHが割当てられているかを示すCFI値を通知する。PDCCHが割当てられている最終シンボルから当該サブフレームの最終シンボルまでの時間領域にPDSCHが割り当てられる。
【0015】
上りリンクのチャネル構成は、複数のLTE端末において共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンク制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とを有する。このPUSCHにより、上り送信データ、ACK/NACKが伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、ACK/NACKなどが伝送される。上りリンクのチャネル構成は、その他にも、PRACH(Physical Random Access Channel)が規定されている。PRACHはランダムアクセスプリアンブル等を送信に用いられる。
【0016】
本発明者等は、このようなチャネル構成を有するLTEシステムにMTC端末を無線接続するための構成を設計するのに当たり、MTC端末のコスト低減の観点から、MTC端末に対しては、下りリンクはLTE端末と同等の通信帯域に対応可能な受信性能を要求するが、上りリンクはLTE端末に比べて狭い帯域のみに対応可能な送信性能を要求することが、有効であることに着目した。
【0017】
本発明の第1の側面は、LTE端末と同様に最大で20MHzのシステム帯域に対応可能な受信性能と、LTE端末の上りリンクのシステム帯域より狭い帯域に制限された送信性能と、を備えたMTC端末を提供する。
【0018】
図2は、MTC端末の下り受信性能と上り送信性能を説明するための図である。図2AにMTC端末に要求する下り受信性能を示し、図2BにMTC端末に要求する上り受信性能を示している。図2Aに示すように、MTC端末(無線通信端末10A、10B)は、LTE端末(無線通信端末10C)と同様に、最大で20MHzのシステム帯域に対応可能な受信性能を備える。つまり、MTC端末である無線通信端末10A、10Bは、LTE端末と同様に20MHzの全帯域に亘りPDCCHを受信して復号し、復号したPDCCHに含まれた下りリンク制御情報に基づいてPDSCHを受信する。
【0019】
一方で、図2Bに示すように、MTC端末(無線通信端末10A、10B)は、上りリンクで対応可能な帯域が、LTE端末(無線通信端末10C)の上りリンクの通信可能な帯域(20MHz)に比べて、より狭い帯域に制限されている。以下、MTC端末に割り当てられる上りリンクの帯域をPUSCH_MTCと呼ぶこととする。
【0020】
LTE端末は、システム帯域(20MHz)の両端に配置したPUCCHで上り制御信号を送信するが、MTC端末は上りリンクの帯域が制限されているので、MTC端末はPUSCH_MTCの両端にPUCCHは配置されない。PUCCHによって、ハイブリッドARQの応答確認、下りリンクのチャネル依存スケジューリングを補助するCQI、上りリンクデータ送信のためのリソース要求が送信されるが、MTC端末はPUSCH_MTCでこれらの信号を送信する。
【0021】
LTEシステムに与えるインパクトを抑えるために、PUSCH_MTCのサイズは、LTEシステムでサポートする1.4MHz、3MHz、5MHz、10MHz、15MHzのいずれかが望ましい。または、PRACHの帯域に相当する1.08MHzの帯域幅が適用されても良い。ただし、適用される帯域幅はこれに限られない。
【0022】
上りリンクの帯域幅は制限されている無線通信端末10A、10Bは、データ信号、上位制御情報、及び上り制御チャネル信号を全てPUSCHで送信する。通常のLTE端末のように,広い周波数帯域(例えば20MHz)において分断されたPUSCHとPUCCHとを配置する場合、無線通信端末10A、10BにはLTEの要求条件に適合する高い送信性能が要求される。そこで、無線通信端末10A、10Bにおいては、LTE端末のようにPUCCHをシステム帯域の両端に配置するのではなく、リソース割り当て情報に基づいて所定の狭い帯域にPUSCH_MTCを配置し、PUSCH_MTC用いて上りリンクの送信を行う。
【0023】
このように、上りリンクの通信チャネルにLTE端末よりも狭い帯域に制限したPUSCH_MTCを所定の帯域幅に制限することで、無線通信端末10A、10Bの送受信部に用いられるフィルタの周波数特性やパワーアンプの送信パワーに対する要求を緩和できる。また、上りリンクの送信時におけるフーリエ変換の周波数範囲が狭められるので、FFTを行う処理部に対する負荷を緩和できる。これにより、MTC端末のコストを低減することができる。また、MTC端末の下りリンクの要求条件はLTE端末と変わらないので、LTEをサポートする無線基地局装置20に与えるインパクトを最小限に抑えることができる。
【0024】
無線基地局装置20は、無線接続しているMTC端末に対して、PUSCH_MTCのための無線リソースを割り当てる。MTC端末に割り当てられたPUSCH_MTCのための無線リソースをMTC端末に通知する方法を以下に説明する。
【0025】
本発明の第2の側面は、LTE端末と同様に、上りリンク制御情報(ULグラント)を使用してPUSCH_MTCのための無線リソースをMTC端末に通知するMTC端末を提供することにある。
【0026】
PUSCH_MTCは、上りリンクの送信性能に関して、LTE端末の上りリンクの帯域(最大20MHz)に比べて、大幅に小さい帯域に制限される。このため、上りリンク制御情報(ULグラント)のビット数を削減できる可能性がある。
【0027】
図3Aは、LTEをサポートする無線基地局装置20からLTE端末に対して下りリンクを介して通知される上りリンク制御情報の概念図である。上りリンク制御情報は、無線基地局装置20においてDCI(Downlink Control Information)フォーマット0などの形式で生成され、PDCCHにより送信される。
【0028】
図3Aに示すように、DCI(フォーマット0)は、DCIフォーマットの種別を示す識別子となる“0/1A differentiation”、上りリンクのリソース割り当てを示す“RB assignment & hopping resource allcation”、上りリンクの変調方式及び符号化率を通知する“MCS”などを含む。MTC端末(無線通信端末10A、10B)に対しても、図3Aと同様のフォーマットを有する上りリンク制御情報を利用することができる。この場合、RB assignmentによってMTC端末に割り当てられた上りリンクのリソース配置(送信周波数位置)を通知し、MCSを用いて変調方式や符号化率を通知する。LTEでは、上りリンクのリソース配置は、PUSCHの先頭のRB(Resorce Block)位置を示すRBインデックスと、RBの帯域幅(RB連続数で表すこともできる)とで、通知される。
【0029】
MTC端末(無線通信端末10A、10B)に対する、上りリンクの割当てリソース(PUSCH_MTC)は、LTE端末に比べて大幅に帯域が小さい。このため、PUSCH_MTCの帯域と変調方式とを適切に通知するための新たなDCIを定義しても良い。
【0030】
具体的には、PUSCH_MTCに使用する帯域幅についてあらかじめ固定しておき、“RB assignment & hopping resource allcation”によりPUSCH_MTCの先頭のリソースブロックインデックスを通知し、PUSCH_MTCに使用する帯域幅の情報はシグナリングしない。上記した通り、LTEシステムにおいては、LTE端末が使用する帯域幅を、先頭のリソースブロックインデックスとリソースブロックの連続数を用いて通知しているが、PUSCH_MTCの帯域幅をあらかじめ固定しておくことによって、“RB assignment & hopping resource allcation”による帯域幅を示す情報ビットを削減できる。
【0031】
また、PUSCH_MTCで送信する送信信号の変調方式を、1つの変調方式(例えば、QPSK)に制限する。変調方式を1つの変調方式(例えば、QPSK)に制限することにより、符号化率のみを通知する。LTEシステムにおいては、QPSK、16QAM、64QAMから変調方式を選択するため、“MCS”に設定される変調方式の情報ビット数が大きくなるが、変調方式を選択する必要が無くなれば、変調方式を選択するために情報ビットを削減できる。図3Bは、MTC端末の上りリンク制御情報(UL grant)用に新しく定義したDCIフォーマット0の概念図である。同図に示すように、“RB assignment & hopping resource allcation”からPUSCH_MTCの帯域幅を示す情報ビットが削減され、“MCS”から変調方式を示す情報ビットが削減されている。
【0032】
なお、無線基地局装置20からPDCCHで通知される上りリンク制御情報(UL grant)を用いて上りリンクの割当てリソースを通知する方法について示したが、UL grant以外のシグナリング方法を用いても良い。
【0033】
本発明の第3の側面は、無線基地局装置20からハイヤレイヤシグナリング(例えばRRCシグナリング)を用いてPUSCH_MTCの割当てリソースをMTC端末に通知する。PUSCH_MTCの帯域幅が予め固定されている場合は、上位制御信号によってPUSCH_MTCの先頭のリソースブロックインデックスをMTC端末に通知する。これにより、上りリンク制御情報の“RB assignment & hopping resource allcation”のフィールドからPUSCH_MTCの先頭のリソースブロックインデクス及びその帯域幅を示す情報ビットを削減できる。
【0034】
上記したように、MTC端末に対する上りリンクの割当てリソースの帯域幅を制限することによって、上りリンク制御情報(DCIフォーマット0)のビット数を削減できるこが理解される。上りリンク制御情報(DCIフォーマット0)のビット数が削減されるので、新たに1つのDCIでDL/ULを同時にトリガーする下りチャネル制御情報(DCI)を定義することが可能になる。
【0035】
本発明の第4の側面は、1つのDCIでDL/ULを同時にトリガーする機能として、MTC端末に対して、上りリンク制御情報(UL grant)と下りリンク制御情報(DL assignment)とを同時に送信する。
【0036】
図4は、1つのDCIでDL/ULを同時にトリガーする機能を実現するDCIフォーマットの構成例である。LTE端末に対しては、図4Aに示すような下りリンク制御情報がPDCCHにて通知される。一方、MTC端末に対しては、図4Bに示すように上りリンク制御情報と下りリンク制御情報とを同時に送信するフォーマットが適用される。図4Bに示すフォーマットの場合、上りリンク制御情報と下りリンク制御情報とを区別する必要がなくなるから、DCIフォーマットの種別を示す“0/1A differentiation”の情報ビットが削減されている。また、上りリンク制御情報と下りリンク制御情報とが同時に送信される場合、CRC(Cyclic Redundancy Check)用の情報ビット(例えば16ビット)は、上りリンク制御情報及び下りリンク制御情報の全体に付与すればよい。このため、上りリンク制御情報と下りリンク制御情報とのそれぞれにCRC用の情報ビットを付与して別々に送信する場合と比較して、CRC用の情報ビット数を低減できる。
【0037】
このように、本実施の形態に係る無線通信システム1において、MTC端末の上りリンクの帯域幅を制限することにより、MTCに用いられる無線通信端末10A、10Bのコストを低減することができる。
【0038】
また、本発明の第5の側面は、MTC端末の下りリンクに割り当てる無線リソースのうち、PDCCHはシステム帯域(20MHz)の全帯域に割当てる一方、PDSCHはPDCCHに比べてよりも小さい帯域に割り当てる。例えば、MTC端末は、下りリンクにおいてPDSCHの割り当てが制限された場合、制限された帯域のみを復号する。MTC端末に対する下りリンクのデータレートが低い場合は、MTC端末のPDSCHに対する割当て帯域を小さくすることで、システムスループットを改善できる。
【0039】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図5は、本実施の形態に係る無線基地局装置の全体構成を示すブロック図である。無線基地局装置20は、送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部203と、ベースバンド信号処理部204と、呼処理部205と、伝送路インターフェース206とを備えている。下りリンクにより無線基地局装置20からMTC端末(無線通信端末10A、10B)ユーザ端末10に送信される送信データは、上位局装置30から伝送路インターフェース206を介してベースバンド信号処理部204に入力される。
【0040】
ベースバンド信号処理部204において、下りデータチャネルの信号は、PDCPレイヤの処理、送信データの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、例えば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT)処理、プリコーディング処理が行われる。また、下りリンク制御チャネルである物理下りリンク制御チャネルの信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換等の送信処理が行われる。
【0041】
また、ベースバンド信号処理部204は、報知チャネルにより、同一セルに接続するユーザ端末10に対して、各ユーザ端末10が無線基地局装置20と無線通信するための制御情報を通知する。当該セルにおける通信のための情報には、例えば、上りリンク又は下りリンクにおけるシステム帯域幅や、PRACH(Physical Random Access Channel)におけるランダムアクセスプリアンブルの信号を生成するためのルート系列の識別情報(Root Sequence Index)などが含まれる。
【0042】
送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。アンプ部202は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201へ出力する。
【0043】
一方、上りリンクによりユーザ端末10から無線基地局装置20に送信される信号については、送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部204に入力される。
【0044】
ベースバンド信号処理部204は、上りリンクで受信したベースバンド信号に含まれる送信データに対して、FFT処理、IDFT処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理を行う。復号された信号は伝送路インターフェース206を介して上位局装置30に転送される。
【0045】
呼処理部205は、通信チャネルの設定や解放等の呼処理や、無線基地局装置20の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
【0046】
図6は、本実施の形態に係る無線通信端末10A、10Bの全体構成について説明するブロック図である。無線通信端末10A、10Bは、送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、アプリケーション部105とを備えている。
【0047】
下りリンクのデータについては、送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がアンプ部102で増幅され、送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部104でFFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理等がなされる。この下りリンクのデータの内、下りリンクの送信データは、アプリケーション部105に転送される。アプリケーション部105は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理等を行う。また、下りリンクのデータの内、報知情報も、アプリケーション部105に転送される。
【0048】
一方、上りリンクの送信データは、アプリケーション部105からベースバンド信号処理部104に入力される。ベースバンド信号処理部104においては、マッピング処理、再送制御(HARQ)の送信処理や、チャネル符号化、DFT処理、IFFT処理を行う。送受信部103は、ベースバンド信号処理部104から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101より送信する。
【0049】
図7は、本実施の形態に係るMTC端末(無線通信端末10A、10B)の送受信ポートの構成例について説明する回路図である。図7に示すように、無線通信端末10A、10Bは、アンプ部102及び送受信部103に相当する送受信ポート106Aと受信ポート106Bとをそれぞれ備えている。送受信ポート106Aは、送受信アンテナ101Aと接続されており、受信ポート106Bは受信アンテナ101Bと接続されている。これにより、1ブランチダイバーシチの送信系と、2ブランチダイバーシチの受信系とを実現している。
【0050】
送受信ポート106Aは、送信系として、上りリンクの送信帯域外の信号をカットする送信フィルタ103Aと、上りリンクにおいて送信する信号を増幅する高出力アンプ102Aとを備えている。また、受信系として、下りリンクにおいて受信する信号を増幅するLNA102Bと、受信帯域外の信号をカットする受信フィルタ103Bとを備えている。受信ポート106Bは、下りリンクにおいて受信する信号を増幅するLNA102Cと、受信帯域外の信号をカットする受信フィルタ103Cとを備えている。
【0051】
無線通信端末10A、10Bは、上りリンクで対応可能な帯域が、LTE端末(無線通信端末10C)の上りリンクで通信可能な最大帯域(20MHz)に比べて狭い帯域に制限されている。このため、LTE端末と比較して、送信ポートに対して要求される性能は緩和されている。例えば、無線通信端末10A、10Bの送信フィルタ103Aの対応帯域は、LTE端末の送信フィルタの対応帯域より狭くて良い。また、無線通信端末10A、10Bの高出力アンプ102Aの出力は、LTE端末の高出力アンプの出力より小さくて良い。このように、本実施の形態に係る無線通信システム1では無線通信端末10A、10Bの送信性能を緩和することができる結果、無線通信端末10A、10Bのコスト及び消費電力を抑制できる。
【0052】
図8は、本実施の形態に係る無線基地局装置20が有するベースバンド信号処理部204及び一部の上位レイヤの機能ブロック図である。ベースバンド信号処理部204においては、主に送信処理部の機能ブロックを示している。この無線基地局装置20に無線接続されるMTC端末(無線通信端末10A、10B)及びLTE端末(無線通信端末10C)に対する送信データが、上位局装置30から無線基地局装置20に転送される。
【0053】
制御情報生成部300は、ハイヤーレイヤシグナリング(例えばRRCシグナリング)する上位制御信号を端末毎に生成する。上述した本発明の第3の側面のように、ハイヤレイヤシグナリングを用いてPUSCH_MTCの割当てリソースをMTC端末に通知する場合、上位制御信号は、PUSCH_MTCの割当てに関する情報を含んでも良い。具体的には、例えば、上位制御信号は、PUSCH_MTCの先頭リソースブロックインデックスを示す情報を含んでも良い(この場合、PUSCH_MTCの帯域幅は固定であるかもしれない)。このように、上位制御信号にPUSCH_MTCの割当てに関する情報を含ませる場合、下りリンク制御情報のビット数を低減することが可能である。
【0054】
データ生成部301は、上位局装置30から転送された送信データをユーザ別にユーザデータとして出力する。
【0055】
スケジューリング部302は、各無線通信端末に対するリソース割り当てを制御している。スケジューリング部302は、上位局装置30から送信データ及び再送指示が入力されると共に、上りリンクの受信信号を測定した受信部からチャネル推定値やリソースブロックのCQI、端末の種別(MTC端末であるか、LTE端末であるか)が入力される。また、スケジューリング部302は、上りリンクの受信信号から、MTC端末とLTE端末(LTE−A端末を含む)とを区別してスケジューリングを行う。
【0056】
スケジューリング部302は、上位局装置30から入力された再送指示、チャネル推定値及びCQIなどを参照しながら、下りリンク割当て情報、上りリンク割当て情報、及び上下共有チャネル信号のスケジューリングを行う。
【0057】
移動通信における伝搬路は、周波数選択性フェージングにより周波数ごとに変動が異なる。そこで、スケジューリング部302は、LTE端末に対するユーザデータ送信においては適応周波数スケジューリングを適用し、サブフレーム毎に通信品質の良好なリソースブロックを割り当てる。適応周波数スケジューリングでは、各リソースブロックに対して伝搬路品質の良好なLTE端末を選択して割り当てる。そのため、スケジューリング部302は、LTE端末からフィードバックされるリソースブロック毎のCQIを用いてスループットの改善が期待されるリソースブロックを割り当てる。また、LTE端末との間の伝搬路状況に応じてCCEアグリゲーション数を制御する。また、割り当てたリソースブロックで所定のブロック誤り率を満たすMCS(符号化率、変調方式)を決定する。スケジューリング部302が決定したMCS(符号化率、変調方式)を満足するパラメータが、LTE端末に対応するチャネル符号化部303、308、312、変調部304、309、313に設定される。
【0058】
上述した第2の側面のように、上りリンク制御情報(ULグラント)を使用してPUSCH_MTCのための無線リソースをMTC端末に通知する場合、スケジューリング部302は、MTC端末に対してPUSCH_MTCに関する情報を含むように上りリンク割当て情報をスケジューリングする。また、スケジューリング部302は、MTC端末に対してMCS(符号化率、変調方式)の変調方式をQPSKに固定する。そして、スケジューリング部302が決定したMCS(符号化率、変調方式)を満足するパラメータが、MTC端末に対応するチャネル符号化部303、308、312、変調部304、309、313に設定される。
【0059】
ベースバンド信号処理部204は、最大ユーザ多重数Nに対応したチャネル符号化部303、変調部304、マッピング部305を備えている。チャネル符号化部303は、データ生成部301から出力されるユーザデータ(一部の上位制御信号を含む)で構成される共有データチャネル(PDSCH)を、端末毎にチャネル符号化する。変調部304は、チャネル符号化されたユーザデータを端末毎に変調する。マッピング部305は、変調されたユーザデータを無線リソースにマッピングする。
【0060】
また、ベースバンド信号処理部204は、端末固有の制御情報である下りリンク制御情報を生成する下り制御情報生成部306と、端末共通の制御情報である下り共通制御チャネル用制御情報を生成する下り共通チャネル用制御情報生成部307と、下り制御情報生成部306及び下り共通チャネル用制御情報生成部307で生成される制御情報をユーザ毎にチャネル符号化するチャネル符号化部312と、チャネル符号化された下り制御情報を変調する変調部313とを備えている。
【0061】
下り制御情報生成部306は、端末毎に決定したリソース割り当て情報、MCS情報、HARQ用の情報、PUCCHの送信電力制御コマンド等から構成された下りリンク制御情報(例えば、DCIフォーマット1)を生成する。
【0062】
また、ベースバンド信号処理部204は、上り共有データチャネル(PUSCH)を制御する上りリンク制御情報を端末毎に生成する上り制御情報生成部311と、生成した上りリンク制御情報を端末毎にチャネル符号化するチャネル符号化部312と、チャネル符号化した上りリンク制御情報を端末毎に変調する変調部313とを備える。
【0063】
上り制御情報生成部311は、端末毎に決定したリソースブロック数及びリソースブロック位置を示す割り当て情報、変調方式、符号化率及び冗長化バージョン、新規データか再生データかを区別する識別子(New data indicator)、PUSCH用の送信電力制御コマンド、復調用リファレンスシグナルのサイクリックシフト(CS for DMRS)、CQIリクエスト、PMI/RI等から上りリンク制御情報(例えば、DCIフォーマット0/4)を生成する。
【0064】
すなわち、MTC端末に対応する上り制御情報生成部311は、スケジューリング部302の決定に応じて上りリンクでMTC端末が使用する帯域の先頭リソースブロックインデックスと、リソースブロックの連続数の情報を含む上りリンク制御情報を生成する。また、使用する帯域幅をあらかじめ固定する場合には、MTC端末は先頭リソースブロックインデックスから使用帯域を判別できるので、リソースブロックの連続数の情報を省略した上りリンク制御情報を生成しても良い。また、上りリンクでMTC端末が使用する帯域が上位制御信号によって通知される場合は、先頭リソースブロックインデックスとリソースブロックの連続数の情報をいずれも省略した上りリンク制御情報を生成しても良い。
【0065】
また、MTC端末に対応する上り制御情報生成部311は、スケジューリング部302により決定されたMCS(符号化率、変調方式)を含む上りリンク制御情報を生成する。上りリンクの変調方式をQPSKに固定する場合、変調方式に関する情報を省略した上りリンク制御情報を生成することができる。
【0066】
参照信号生成部318は、チャネル推定、シンボル同期、CQI測定、モビリティ測定等の様々な目的に使用されるセル固有参照信号(CRS:Cell-specific Reference Signal)をリソースブロック(RB)内にFDM/TDMで多重して送信する。また、参照信号生成部318は、下りリンク復調用参照信号(UE specific RS)を送信する。
【0067】
上記変調部309、313で端末毎に変調された下り/上り制御情報は、制御チャネル多重部314で多重され、さらにインタリーブ部315でインタリーブされる。インタリーブ部315から出力される制御信号及びマッピング部305から出力されるユーザデータは下りチャネル信号としてIFFT部316へ入力される。また、参照信号生成部318で生成された下りリンク復調用参照信号がIFFT部316へ入力される。IFFT部316は、下りチャネル信号及び下りリンク復調用参照信号を逆高速フーリエ変換して周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。サイクリックプレフィックス(CP)挿入部317は、下りチャネル信号の時系列信号に、マルチパス伝搬遅延の差を吸収するためのガードインターバルとして機能するサイクリックプレフィックスを挿入する。サイクリックプレフィックスが付加された送信データは、送受信部203に送出される。
【0068】
上述した第4の側面のように、MTC端末に対して、上りリンク制御情報(UL グラント)と下りリンク制御情報(DL アサイメント)とを同時に送信する場合、下り制御情報生成部306及び上り制御情報生成部311に代えて、下りリンク制御情報及び上りリンク制御情報を同時に送信可能なフォーマットでこれらを生成する制御情報生成部を備えても良い。もちろん、下り制御情報生成部306及び上り制御情報生成部311において別個に生成された下りリンク制御情報及び上りリンク制御情報を、一体にして同時に送信することも可能である。
【0069】
図9は、MTC端末(無線通信端末10A、10B)が有するベースバンド信号処理部104の機能ブロック図である。まず、下りリンク構成について説明する。
【0070】
無線基地局装置20から受信データとして受信された下りリンク信号は、CP除去部401でCPが除去される。CPが除去された下りリンク信号は、FFT部402へ入力される。FFT部402は、下りリンク信号を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)して時間領域の信号から周波数領域の信号に変換し、デマッピング部403へ入力する。デマッピング部403は、下りリンク信号をデマッピングし、下りリンク信号から複数の制御情報が多重された多重制御情報、ユーザデータ、上位制御信号を取り出す。なお、デマッピング部403によるデマッピング処理は、アプリケーション部105から入力される上位制御信号に基づいて行われる。デマッピング部403から出力された多重制御情報は、デインタリーブ部404でデインタリーブされる。
【0071】
また、ベースバンド信号処理部104は、下り/上り制御情報を復調する制御情報復調部405、下り共有データを復調する下り共有データ復調部406及びチャネル推定部407を備えている。制御情報復調部405は、下り制御チャネルから下り共通制御チャネル用制御情報を復調する下り共通チャネル用制御情報復調部405aと、下り制御チャネルから上りリンク制御情報を復調する上り制御情報復調部405bと、下り制御チャネルから下りリンク制御情報を復調する下り制御情報復調部405cとを備えている。
【0072】
下り共通チャネル用制御情報復調部405aは、下り制御チャネル(PDCCH)の共通サーチスペースのブラインドデコーディング処理、復調処理、チャネル復号処理などによりユーザ共通の下り制御情報である下り共通制御チャネル用制御情報を取り出す。
【0073】
上り制御情報復調部405bは、下り制御チャネル(PCCCH)のユーザ個別サーチスペースのブラインドデコーディング処理、復調処理、チャネル復号処理などによりユーザ固有の上りリンク制御情報を取り出す。取り出された上りリンク制御情報は、後述するチャネル符号化部412やマッピング部415などに送られる。上述した本発明の第2の側面にしたがって上りリンク制御情報(ULグラント)を使用して無線基地局装置20からPUSCH_MTCのための無線リソースが通知されている場合、取り出された上りリンク制御情報にはPUSCH_MTCに関する上りリンク割当て情報が含まれている。このため、この上りリンク割当て情報は、マッピング部415に送られてPUSCH_MTCのリソース配置(マッピング)に利用される。また、上りリンク制御情報に含まれるMCSにより通知された符号化率がチャネル符号化部412のチャネル符号化に利用される。前述したように、変調方式を固定することによってMCSから変調方式に関する情報ビットが削除されている場合は、予め固定した変調方式を上りリンクに適用する。
【0074】
下り制御情報復調部405cは、下り制御チャネル(PDCCH)のユーザ個別サーチスペースのブラインドデコーディング処理、復調処理、チャネル復号処理などによりユーザ固有の下り制御信号である下りリンク制御情報を取り出す。復調された下りリンク制御情報は、下り共有データ復調部406へ入力されて、下り共有データチャネル(PDSCH)の復調などに使用される。
【0075】
なお、第4の側面のように、MTC端末に対して、上りリンク制御情報(UL グラント)と下りリンク制御情報(DL アサイメント)とを同時に送信する場合、同時送信された上りリンク制御情報と下りリンク制御情報を復調する制御情報復調部を備えていても良い。もちろん、同時送信された上りリンク制御情報と下りリンク制御情報を、上り制御情報復調部405bと下り制御情報復調部405cとで別個に復調しても良い。
【0076】
下り共有データ復調部406は、下り制御情報復調部405cから入力された下りリンク制御情報に基づいて、ユーザデータや上位制御情報を復調する。上位制御情報は、チャネル推定部407に出力される。本発明の第3の側面にしたがってハイヤレイヤシグナリングを用いてPUSCH_MTCの割当てリソースをMTC端末に通知する場合、取り出された上位制御信号には、PUSCH_MTCのリソース割当てに関する情報が含まれている。このため、このリソース割り当てに関する情報は、後述するマッピング部415に送られてPUSCH_MTCのマッピングに利用される。
【0077】
チャネル推定部407は、ユーザ端末固有の参照信号、または共通参照信号を用いてチャネル推定する。推定されたチャネル変動を、下り共通チャネル用制御情報復調部405a、上り制御情報復調部405b、下り制御情報復調部405c及び下り共有データ復調部406に出力する。これらの復調部においては、推定されたチャネル変動及び復調用参照信号を用いて下りリンク割当て情報を復調する。
【0078】
上りリンク構成について説明する。ベースバンド信号処理部104は、データ生成部411、チャネル符号化部412、変調部413、DFT部414、マッピング部415、IFFT部416、CP挿入部417を備えている。データ生成部411は、アプリケーション部105から入力されるビットデータから送信データを生成する。チャネル符号化部412は、上りリンク制御情報に含まれるMCSにより通知された符号化率などに基づいて、送信データに対して誤り訂正等のチャネル符号化処理を施す。変調部413は、上りリンク制御情報に含まれるMCSにより通知され、又は予め固定した変調方式に基づいて、チャネル符号化された送信データをQPSKなどで変調する。例えば、変調方式がQPSKに固定されていない場合には、変調部413は、このビットが示す変調方式により変調する。一方、変調方式がQPSKに固定されていれば上りリンク制御情報に変調方式を示すビットが省略されている。この場合、変調部413は、変調方式がQPSKであると判断して変調する。なお、変調方式がQPSKに固定されている場合に上りリンク制御情報に変調方式を示すビットを設けても良い。この場合、変調部413は、このビットが示す変調方式(すなわち、QPSK)により変調する。
【0079】
DFT部414は、変調された送信データを離散フーリエ変換する。本発明の第1の側面にしたがって、MTC端末の上りリンクの送信帯域は、LTE端末の上りリンクのシステム帯域より狭い帯域に制限されている。このため、LTE端末と比較して離散フーリエ変換に係る帯域幅が小さくなり、DFT部414への負荷を軽減できる。その結果、DFT部414を低コスト化できる。
【0080】
マッピング部415は、DFT後の送信データを指示された無線リソースへマッピングする。すなわち、本発明の第2の側面にしたがって上りリンク制御情報(ULグラント)を使用して無線基地局装置20からPUSCH_MTCのための無線リソースが通知されている場合、上り制御情報復調部405bから通知される上りリンク制御情報に基づいて上りリンクの送信に使用する無線リソースを決定し、当該無線リソースにPUSCH_MTCをマッピングする。また、本発明の第3の側面にしたがって、ハイヤレイヤシグナリングを用いてPUSCH_MTCの割当てリソースをMTC端末に通知する場合、上位制御信号に含まれるPUSCH_MTCの割当てに関する情報に基づいて上りリンクの送信に使用する無線リソースを決定し、当該無線リソースにPUSCH_MTCをマッピングする。また、本発明の第4の側面にしたがって、MTC端末に対して、上りリンク制御情報(UL グラント)と下りリンク制御情報(DL アサイメント)とを同時に送信する場合、少なくとも上りリンク制御情報を復調する制御情報復調部から通知される制御情報に基づいて上りリンクの送信に使用する無線リソースを決定し、当該無線リソースにPUSCH_MTCをマッピングする。
【0081】
IFFT部416は、システム帯域に相当する入力データを逆高速フーリエ変換して時間領域のデータに変換する。CP挿入部417は逆高速フーリエ変換後のデータに対してデータ区切りでサイクリックプレフィックスを挿入する。本発明の第1の側面にしたがって、MTC端末の上りリンクの送信帯域は、LTE端末の上りリンクのシステム帯域より狭い帯域に制限されている。このため、LTE端末と比較して逆高速フーリエ変換に係るサンプリングレートを大きくできるため、IFFT部416への負荷を軽減できる。その結果、IFFT部416を低コスト化できる。
【0082】
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、LTE−Aにおける送信電力制御、クロスキャリアスケジューリング、上り復調用参照信号の拡張などに適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 無線通信システム
10A、10B、10C 無線通信端末
20 無線基地局装置
30 上位局装置
40 コアネットワーク
50 セル
101 送受信アンテナ
102 アンプ部
102A 高出力アンプ
102B、102C LNA
103 送受信部
103A 送信フィルタ
103B、103C 受信フィルタ
104 ベースバンド信号処理部
105 アプリケーション部
106A 送受信ポート
106B 受信ポート
201 送受信アンテナ
202 アンプ部
203 送受信部
204 ベースバンド信号処理部
205 呼処理部
206 伝送路インターフェース
300 制御情報生成部
301 データ生成部
302 スケジューリング部
303、308、312 チャネル符号化部
304、309、313 変調部
305 マッピング部
306 下り制御情報生成部
307 下り共通チャネル用制御情報生成部
311 上り制御情報生成部
314 制御チャネル多重部
315 インタリーブ部
316 IFFT部
317 CP挿入部
401 CP除去部
402 FFT部
403 デマッピング部
404 デインタリーブ部
405 制御情報復調部
405a 下り共通チャネル用制御情報復調部
405b 上り制御情報復調部
405c 下り制御情報復調部
406 下り共有データ復調部
407 チャネル推定部
411 データ生成部
412 チャネル符号化部
413 変調部
414 DFT部
415 マッピング部
416 IFFT部
417 CP挿入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信デバイスがサポートする性能に応じて周波数が最大で第1の帯域になるように運用されている無線通信システムの基地局装置を介してマシン通信する無線通信端末であり、
第1の帯域に対応可能な受信性能を有し、少なくとも下り制御チャネルが割り当てられる時間領域については第1の帯域の全帯域を復号する受信部と、
第1の帯域よりも帯域幅が少ない第2の帯域に対応可能な送信性能を有し、上り制御チャネル及び上りデータチャネルを第2の帯域に割り当てる送信部と、
を具備したことを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
前記受信部は、上りリンクのリソース割当てが示された上りリンク制御情報を含んだ下り制御チャネルを受信し、
前記送信部は、上りリンク制御情報に示されている上りリンクのリソース割当てに基づいて、第2の帯域の周波数リソースを決定することを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。
【請求項3】
前記受信部は、上りリンクの変調方式を指示する情報ビットの削減によってコンパクト化されている上りリンク制御情報を含んだ下り制御チャネルを受信し、
前記送信部は、予め固定された上りリンクの変調方式にしたがって上り送信信号を変調する、ことを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。
【請求項4】
前記受信部は、第2の帯域の先頭を示すリソースブロックインデックスを含み、かつ第2の帯域のサイズを指示する情報ビットの削減によってコンパクト化された上りリンク制御情報を含んだ下り制御チャネルを受信し、
前記送信部は、上りリンク制御情報によって通知されたリソースブロックインデックスと予め固定された第2の帯域のサイズとから、第2の帯域の周波数リソースを決定する、ことを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。
【請求項5】
前記送信部は、前記基地局装置から上位レイヤシグナリングによって通知される、第2の帯域の先頭を示すリソースブロックインデックスと予め固定された第2の帯域のサイズとから、第2の帯域の周波数リソースを決定する、ことを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。
【請求項6】
前記受信部は、上りリンクのリソース割当てのための情報ビットを削減することによってコンパクト化された上りリンク制御情報を含んだ下り制御チャネルを受信する、ことを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。
【請求項7】
前記受信部は、第1の帯域内の制限された帯域に割り当てられたデータチャネルを受信し、データチャネルが割り当てられる時間領域については、第1の帯域内の制限された帯域を復号することを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。
【請求項8】
前記受信部は、前記基地局装置から一度に送信される下りリンク制御情報及び上りリンク制御情報を受信することを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。
【請求項9】
前記基地局装置から一度に送信される下りリンク制御情報及び上りリンク制御情報は、下りリンク又は下りリンクを識別するための情報ビットが削減されていることを特徴とする請求項8記載の無線通信端末。
【請求項10】
前記基地局装置から一度に送信される下りリンク制御情報及び上りリンク制御情報は、全体で1つのCRC(Cyclic Redundancy Check)用の情報ビットが付与されていることを特徴とする請求項8記載の無線通信端末。
【請求項11】
通信デバイスがサポートする性能に応じて周波数が最大で第1の帯域になるように運用されている無線通信システムにおいて無線通信端末とマシン通信する基地局装置であり、
前記無線通信端末に対して、第1の帯域よりも帯域幅が少ない第2の帯域を、上りリンクに割り当てる割当て部と、
前記無線通信端末の上りリンクに割り当てられた上りリンクのリソース割り当て情報を、第1の帯域が割り当てられている下りリンクを介して送信する送信部と、
前記通信デバイスから第1の帯域で上り送信信号を受信し、前記無線通信端末から第2の帯域で上り送信信号を受信する受信部と、
を具備したことを特徴とする基地局装置。
【請求項12】
前記送信部は、上りリンクのリソース割り当て情報が含まれた上りリンク制御情報を下り制御チャネルで送信することを特徴とする請求項11記載の基地局装置。
【請求項13】
前記送信部は、上りリンクのリソース割り当て情報をハイヤレイヤシグナリングによって送信することを特徴とする請求項11記載の基地局装置。
【請求項14】
前記送信部は、下りリンク制御情報及び上りリンク制御情報を一度に送信することを特徴とする請求項11記載の基地局装置。
【請求項15】
通信デバイスがサポートする性能に応じて周波数が最大で第1の帯域になるように運用されている無線通信システムであり、
基地局装置と、前記基地局装置を介してマシン通信する無線通信端末とを備え、
前記基地局装置は、前記無線通信端末に対して第1の帯域よりも帯域幅が少ない第2の帯域の上りリンクのリソース割り当てを示す無線リソース割り当て情報を送信する送信部と、前記通信デバイスから第1の帯域で上り送信信号を受信し、前記無線通信端末から第2の帯域で上り送信信号を受信する受信部と、を具備し、
前記無線通信端末は、第1の帯域に対応可能な受信性能を有し、少なくとも下り制御チャネルが割り当てられる時間領域については第1の帯域の全帯域を復号する受信部と、第2の帯域に対応可能な送信性能を有し、上り制御チャネル及び上りデータチャネルを第2の帯域に割り当てる送信部と、
を具備したことを特徴とする無線通信システム。
【請求項16】
通信デバイスがサポートする性能に応じて周波数が最大で第1の帯域になるように運用されている無線通信システムの基地局装置を介して無線通信端末がマシン通信する無線通信方法であり、
前記無線通信端末は、第1の帯域に対応可能な受信性能を有すると共に、第1の帯域よりも帯域幅が少ない第2の帯域に対応可能な送信性能を有し、
前記無線通信端末が、少なくとも下り制御チャネルが割り当てられる時間領域については第1の帯域の全帯域を復号するステップと、
前記無線通信端末が、上り制御チャネル及び上りデータチャネルを第2の帯域に割り当てて送信するステップと、
を具備したことを特徴とする無線通信方法。
【請求項17】
通信デバイスがサポートする性能に応じて周波数が最大で第1の帯域になるように運用されている無線通信システムの基地局装置において無線通信端末との間でマシン通信する無線通信方法であり、
前記無線通信端末に対して、第1の帯域よりも帯域幅が少ない第2の帯域を、上りリンクに割り当てるステップと、
前記無線通信端末の上りリンクに割り当てられた上りリンクのリソース割り当て情報を、第1の帯域が割り当てられている下りリンクを介して送信するステップと、
前記通信デバイスから第1の帯域で上り送信信号を受信し、前記無線通信端末から第2の帯域で上り送信信号を受信するステップと、
を具備したことを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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