説明

無線通信端末、無線通信方法、およびプログラム

【課題】移動体の通信において効率的に、無線メディアを利用することができる通信機能を提供する。
【解決手段】無線通信端末は、無線通信端末の端末位置情報を取得する手段と、無線メディアによるサービスエリアのエリア位置情報を取得するエリア位置取得手段と、前記取得された端末位置情報とエリア位置情報とから無線通信端末が前記サービスエリア内か否かを判断する手段と、前記無線通信端末の移動情報を取得する手段と、前記取得された移動情報、前記端末位置情報、および前記エリア位置情報から監視対象となる無線メディアのサービスエリアへの侵入時刻及び離脱時刻を予測する手段と、前記サービスエリア内であると判断された場合及び前記予測された侵入時刻になった場合に前記無線メディアを監視する監視状態となり、前記サービスエリア外であると判断された場合及び前記予測された離脱時刻になった場合に待機状態となる制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の発明としては、例えば、特開平7−154856号公報記載の移動体衛星通信システムが知られている。このシステムでは、移動端末装置が現在位置を検出する位置検出手段、通信衛星との通信可能な位置を示す見通し地図情報を含む地図データベース、および現在位置と見通し地図情報とにより通信衛星との通信が可能となる時間帯を予測する通信可能時間帯予測手段を備える。
【0003】
また、この移動端末装置は、通信可能時間帯となるまで、送信すべき情報を送信情報蓄積手段に蓄積しておき、通信可能と予測された時間帯に上記の送信すべき情報を送信する。このため、この移動端末装置は、都市内のビルが密集した地域のような、通信衛星に対するシャドウイングが煩雑に発生する地域における移動体衛星通信システムの稼働率を向上させる。
【0004】
この従来技術では、移動端末が送信情報を効率よく送信するための配慮がされている。すなわち、送信時点は、送信側の事情で制御できるものであるため、送信情報蓄積手段に空き領域がある限り、効率よく送信できる時点を探索することはある程度まで可能である。
【0005】
一方、この従来技術においては、情報を受信する場合の課題に対する認識が全くなされていなかった。すなわち、移動体通信では、移動体から情報を送信することと同様に、通信相手からの情報を効率よく受信する必要がある。その場合、通信相手が通信可能な時点において情報を実際に送信するか否かは受信側の移動体では認識することができない。
【0006】
例えば、今日、自動車の分野では、高度道路交通システム(Intelligent Transport System、以下ITSという)実現のため様々な開発が進められている。ITSでは、例えば、自動車内の端末に通信機能を備え、ETC(Electronic Toll Collection)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、VICS(Vehicle Information Communication System)等により、料金の徴収機能、様々な情報、またはサービス等が路上機からの信号、基地局からの電磁波等(以下、無線メディアという)を介して提供される。
【0007】
このような機能、情報またはサービスは、路上機または基地局等からの信号を受信可能な範囲(これを無線通信ゾーン、またはスポットエリアと呼ぶ)で限定的に提供される。したがって、従来は、そのような無線通信ゾーンを常時監視する必要があった。しかし、ETCサービスを始めとするスポットサービスでは、無線通信可能な無線通信ゾーンは非常に狭く、ゾーン内滞在率は非常に小さい。
【0008】
また、これらの機能、情報、またはサービスは、常時または所定の周期で繰り返し提供されるのが一般的である。しかし、このような機能やサービスの中には、提供者側の都合により提供される繰り返しの周期が長く設定され、あるいは、提供が休止されるものがある。
【0009】
したがって、情報を受信し、または、サービス等を受けることができるか否かは、単に
通信可能か否かに基づき受信側で判断することができない。そのため、移動体による通信では、必ずしも効率のよい通信ができない場合があった。このため、実際の通信時間が短時間に制限されるにも拘わらず、無線メディアに対する監視処理の負荷が大きくなっていた。また、そのような監視処理が消費電力増大の要因となっていた。
【特許文献1】特開平7−154856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような従来の技術の問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、移動体の通信において効率的に、無線メディアを利用することができる通信機能を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。すなわち、本発明は、無線通信端末であり、この無線通信端末の端末位置情報を取得する手段と、無線メディアによるサービスエリアのエリア位置情報を取得する手段と、取得した端末位置情報とエリア位置情報とから無線通信端末が上記サービスエリア内か否かを判断する手段と、上記サービスエリア内であると判断された場合に上記無線メディアを監視する監視状態となり、上記サービスエリア外であると判断された場合に待機状態となる制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
ここで、無線メディアによるサービスエリアとは、無線メディアからサービスの提供を受けることが可能な地理的領域をいう。この無線通信端末は、そのようなサービスエリア内において、その無線メディアを監視する監視状態となる。また、サービスエリア外においては、端末1は、待機状態となる。このため、端末1は、無線メディアから効率よくサービスを受けることができる。ここで、サービスを受けるとは、例えば、定期的に無線メディアから送信される情報を受信すること、局所的に所在する通信相手から機能を提供されること等をいう。
【0013】
好ましくは、上記無線通信端末は、端末の移動情報を取得する手段と、取得した移動情報、上記端末位置情報、および上記エリア位置情報から監視対象となる無線メディアのサービスエリアを抽出する手段とをさらに備え、上記制御手段は、抽出された無線メディアを監視するものでもよい。
【0014】
ここで、移動情報とは、例えば、移動速度、または、加速度等である。また、監視対象となる無線メディアのサービスエリアとは、上記移動情報、端末位置情報およびエリア位置情報からそのサービスエリアへの接近または侵入が予測されるエリアをいう。
【0015】
この無線通信端末は、そのような接近または侵入の可能性のあるサービスエリアを予測する手段をさらに備え、前記制御手段は、近傍にそのサービスエリアがある場合に、そのサービスエリアを監視対象にすればよい。
【0016】
また、本発明は、上記いずれかの処理をコンピュータに実行させる方法であってもよい。また、本発明は、以上のいずれかの機能をコンピュータに実現させるプログラムであってもよい。また、本発明は、そのようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体でもよい。
【0017】
ここで、コンピュータが読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータから取り
外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R/W、DVD、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。
【0018】
また、コンピュータに固定された記録媒体としてハードディスクやROM(リードオンリーメモリ)等がある。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、移動体の通信において効率的に無線メディアを利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図1から図5の図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施の形態に係る通信システムの概念図であり、図2は、図1の車両20に搭載した端末1の状態遷移図であり、図3は端末1の装置ブロック図であり、図4は、無線メディアのサービスエリアの位置を管理するサービスエリア位置情報データベース7のデータ例であり、図5は、端末1で実行されるプログラムの処理を示すフローチャートである。
【0022】
<通信システムの概念>
図1に本通信システムの概念図を示す。この通信システムは、車両20に搭載された端末1と、端末1と無線信号により通信する通信設備とを有している。
【0023】
ここで、通信設備とは、例えば、車両に情報を提供するVICSサービスのための路上機21、車両の所定領域への侵入を検知し、課金機能等を提供するETC/DSRC用の路側無線装置22等である。
【0024】
路上機21は、電波ビーコン、または光ビーコンを発する通信装置であり、車両に渋滞情報、道路規制情報、駐車場情報等を提供する。なお、このような情報を基地局からのFM多重放送により提供してもよい。
【0025】
路側無線装置22は、車両20に搭載された端末1と無線通信することで、有料道路等の料金所、または駐車場等において、車両の進行を停止させることなく、利用料金を課金する機能を提供する。
【0026】
端末1は、車載機とも呼ばれ、車両内のユーザに様々な機能、情報、またはサービス等を提供する。例えば、端末1は、路上機21と通信し、VICSから情報を取得し、ユーザに表示する。また、端末1は、有料道路の料金所、有料駐車場の出入り口等において路側無線装置22と通信し、料金精算機能を提供する。
【0027】
ただし、以上のようなVICS、ETC/DSRC等の一般にITSと呼ばれる機能、サービスは特定のエリアに限定される。そのようなエリアを本実施の形態ではサービスエリアという。図1では、VICS電波ビーコンを検出するサービスエリア21A、ETC/DSRC信号を検出するサービスエリア22Aが例示されている。
【0028】
本実施の形態の端末1は、自身の現在位置がそのようなサービスエリア内あるかを判定し、サービスエリアにある場合に、VICS電波ビーコン、ETC/DSRC信号等の無線メディアを監視する。一方、そのようなサービスエリアにない場合、端末1は待機状態になる。
【0029】
また、端末1は、自身の移動速度、移動方向等の情報と、そのようなサービスエリアまでの距離との関係から、サービスエリアに到達する時点を予測する。そして、端末1は、そのような予測時点から無線メディアを監視する。
【0030】
なお、端末1は、単一の装置として上記に機能を提供してもよい。また、端末1は、単一の機能を提供する装置、例えば、VICS通信用の車載機、ETC/DSRC用車載機等のいずれかであってもよい。
【0031】
図2は、図1の車両20に搭載した端末1の状態遷移図である。端末1は、ユーザの起動操作、例えば、電源の投入により、停止状態から待機状態に遷移する。待機状態とは、端末1においてサービスエリア内か否かを判定する処理、または、サービスエリアへの到達時点を予測する処理が実行され、無線メディアを監視する処理が停止した状態をいう。
【0032】
待機状態において端末1がサービスエリア内にあることを検出すると、端末1は監視処理状態に遷移する。また、サービスエリアへの到達予測時点になると、端末1は監視処理状態に遷移する。
【0033】
また、端末1が高速で移動し、所定時間内に複数のサービスエリアへの接近と離脱を繰り返すことが予測される場合には、その複数のサービスエリアを監視対象とすればよい。
【0034】
監視処理状態では、端末1は、そのサービスエリア内にある無線メディア、例えば、ETC/DSRCの路側無線装置22に接続要求する。また、そのサービスエリア内にあるVICSの路上機21からの接続要求を検出する。このような接続要求の送信、または、送信された接続要求の受信により、端末1は無線メディアとの通信状態に遷移する。
【0035】
通信状態では、端末1は、VICSから情報の提供を受ける。例えば、端末1は、交通情報等を受信する。また、通信状態では、端末1は、ETC/DRSCにより、料金を精算する。
【0036】
通信状態での処理が終了すると、端末1は、監視処理状態に戻る。これは、例えば、端末1から無線メディアへの切断要求による。
【0037】
また、監視処理状態においても、端末1は、サービスエリア内にあるか否かを判定している。そして、サービスエリア外にあることを検出すると、端末1は、待機状態に遷移し、無線メディアの監視処理を停止する。また、所定時間内にサービスエリアに接近する可能性がない場合に、監視処理を停止するようにしてもよい。
【0038】
さらに、待機状態において停止操作、例えば、電源のオフがなされると、端末1は、停止状態に戻る。
【0039】
<装置構成>
図3は端末1の装置ブロック図である。図3のように、端末1は、車速パルスを受信し、車速を検出する車速パルス情報取得部6、衛星から電磁波を受信し端末1の現在位置を取得するGPS部5、VICS用の路上機21、ETC/DSRCの路側無線装置22等との通信を行う無線処理部4、無線処理部4に電力を供給する電源3、端末1全体を制御する制御CPU2および制御CPU2にサービスエリアの位置情報を提供するサービスエリア位置情報データベース7を有している。
【0040】
車速パルス情報取得部6は、車軸の回転により発生するパルス信号を受信し、車両の速度、加速度等を算出する。
【0041】
GPS部7は、人工衛星からの電磁波を利用して自身が地球上のどこに位置するのかを示す情報、例えば、現在位置の緯度、経度、高度等を算出する。
【0042】
無線処理部4は、アンテナと高周波回路とを有し、VICS用の路上機21、ETC/DSRCの路側無線装置22等との通信を行う。
【0043】
サービスエリア位置情報データベース7は、無線メディアを受信可能なサービスエリアの位置とその存在範囲に関する情報を保持する。
【0044】
制御CPU2は、端末1の各部を制御し、端末1の機能を提供する。すなわち、制御CPU2は、制御プログラムを実行し、速度の検出、加速度の検出、現在位置の取得、サービスエリアの位置情報の検索等を実行する。
【0045】
また、制御CPU2は、現在位置、速度、加速度、およびサービスエリア情報から無線メディアの機能、情報、またはサービス等を受信可能な領域(または時間帯)への接近または到達を判定する。そして、制御CPU2は、そのような領域または時間帯の近傍において、電源からの電力供給を指令し、無線処理部4に無線メディアを監視させる。そして、ユーザからの要求または通信相手からの要求に応じて、VICS情報の受信、ETC/DSRC装置へのデータの送信等を実行する。
【0046】
<データ構造>
図4に、無線メディアによるサービスエリアの位置を管理するサービスエリア位置情報データベース7のデータ例を示す。
【0047】
図4の表の各行がこのデータベースの1レコードに相当し、1つのサービスエリアの情報を記録する。図4のように、サービスエリア位置情報データベース7のレコードは、メディア、座標位置、高速道路/一般道路の識別情報、エリア半径、有効/無効/削除の各フィールドを有している。
【0048】
メディアのフィールドには当該サービスエリアで提供される無線メディアの種類が記述される。例えば、VICS電波、ETC、DSRC、VICS光等の情報が格納される。
【0049】
座標位置のフィールドには、当該サービスエリアの中心位置の緯度、経度が記述される。本実施の形態では、サービスエリアは、中心位置を中心とする円で規定される。ただし、これに代えて、矩形の対角位置の緯度、経度を保持するようにしてもよい。
【0050】
高速道路/一般道路の識別情報には、各サービスエリアの無線メディアが高速道路の設備または一般道路の設備のいずれによって提供されるかが記述される。
【0051】
エリア半径は、サービスエリアの半径である。ただし、座標位置として、矩形の対角位置の緯度、経度を保持する場合には、エリア半径は必ずしも必要ない。また、サービスエリアを矩形で規定する場合には、矩形上の一点、例えば、左上点の緯度、経度と、矩形の辺の寸法(南北方向、および東西方向)を保持するようにしてもよい。
【0052】
有効/無効/削除のフィールドには、そのサービスエリアが現在サービス中(有効)、サービス中止(無効)、または、サービスエリア廃止(削除)等の情報が記録される。
【0053】
このフィールドにより、現実のサービスエリアのサービス中止、または廃止等の情報を管理できる。また、そのような中止または廃止の場合に、逐一データベースのレコードを
削除する必要がなく、データベースの管理が容易になる。
【0054】
<作用>
図5に、端末1で実行されるプログラムの処理を示す。図5のように、端末1は、初期状態では、停止状態にある(S1)。ユーザが起動操作、例えば、電源ONを実行すると、端末1は待機状態になる(S2)。
【0055】
待機状態では、端末1は、サービスエリア位置情報データベース7を検索する(S3)。また、端末1は、GPS部5から現在の位置情報を取得する。また、端末1は、車速パルス情報取得部6から車速(速度、加速度)を取得する。
【0056】
そして、端末1は、現在、近傍にサービスエリアがあるか否かを判定する。そして、近傍にサービスエリア(サービスエリアをスポットエリアともいう)がある場合、端末1は監視処理状態に移行する(S4)。
【0057】
この場合、移動速度が速く、所定時間内に接近と離脱を繰り返すようなサービスエリアが複数存在する場合には、その複数のサービスエリアを監視対象とすればよい。
【0058】
監視処理状態では、サービスエリア情報データベース7の検索(S6)、現在位置の取得、速度、加速度の取得の他、さらに、無線メディアの監視を実行する。
【0059】
その場合、検索対象のサービスエリアを限定するときに、端末1の現在位置を中心に、移動速度に比例した半径の領域で、サービスエリアを検索するようにすればよい。すなわち、検索対象の領域は、端末1の移動速度が小さい場合には小さく、端末1の移動速度が大きい場合には、大きくするようにすればよい。このようにして、移動速度に応じて、漏れなく、かつ、到達する可能性のないサービスエリアを確実に除外して検索することができる。
【0060】
そして、監視処理状態において、ユーザからの接続要求または通信相手からの接続要求があると、端末1は通信状態となる(S6)。
【0061】
通信状態では、端末1は、無線メディアから様々な機能、情報、またはサービスの提供を受ける。例えば、端末1は、VICS等から交通情報を受信する。また、端末1は、ETC/DSRCにより料金の精算を実行する。さらにまた、端末1は、サービスエリア位置情報を新たに取得する場合もある(S7)。所得されたサービスエリア位置情報は、サービスエリア位置情報データベース7に格納される。
【0062】
通信が終了すると、端末1は監視処理状態に戻る(S4)。上述のように、監視処理状態でも、端末1は、近傍にサービスエリアがあるか否かを判定する処理を実行する。監視状態でサービスエリア近傍からの離脱を検出すると、端末1は、待機状態に戻る(S2)。さらに電源OFF等により停止操作が実行されると端末1は、停止状態になる。
【0063】
以上述べたように、本実施の形態の端末1は、無線メディアによる機能の提供、無線メディアからの情報の提供、または無線メディアからのサービスの提供等を受けることが可能なサービスエリアの近傍か否かを判定する。そして、そのようなサービスエリアの近傍において無線メディアを監視する処理を実行する。このため、無線メディアからの情報を受信するための監視処理状態の期間を短縮することができる。
【0064】
そのため、監視処理において必要な無線信号の受信処理(図3に示した無線処理部4の受信動作)の期間を短縮することができる。また、そのような無線処理部4に供給される
電源3からの電力を節約できる。また、電源3、無線処理部4を制御する制御CPU2の処理量を低減できる。
【0065】
例えば、無線メディアからのサービスを受けることができない地域では、無線処理部4、電源3を停止すればよい。同一地域では、複数のサービスエリアが重複して存在することは少ない。このため、無線処理の実行回数が平準化される。また、無線処理の効率化を図ることができる。また、無線処理部4の消費電力を低減できる。
【0066】
また、上記端末1は、サービスエリア近傍では、監視処理を重点的に実行することで、無線メディアからの通信要求の検出精度を高め、確実に通信できる可能性を高めることができる。
【0067】
また、制御CPU2は、無線処理が停止中の場合には、他の処理へのリソース割り当てを増加することができる。例えば、無線処理が停止したことによるリソースの空きをフェージング等に対する適用処理、デジタルフィルタ等の信号処理に割り当てることができ、効率的なリソース配分ができる。
【0068】
<変形例>
図5の処理では、端末1は、現在位置、速度、加速度、およびサービスエリア位置情報から、近傍にサービスエリアがあるか否かを判定した。しかし、本発明の実施は、そのような手順には限定されない。
【0069】
例えば、端末1は、現在位置、速度、加速度、およびサービスエリア位置情報から特定のサービスエリアに侵入する予測時間帯(到達時刻、およびサービスエリアからの離脱時刻)を算出し、その到達時刻において監視処理状態となり、離脱時刻において待機状態に戻るようにしてもよい。
【0070】
上記実施の形態では、図5に示したように、通信状態(S6)において、新たなサービスエリア位置情報を取得した(S7)。この処理において、次のサービスエリアの位置情報を取得するようにしてもよい。例えば、道路に沿って設置されるVICSの路上機が、進行方向に次に位置するサービスエリアの位置情報(次の路上機の位置、受信可能範囲等)を引き渡すようにしてもよい。このようにして、端末1において次のサービスエリアの位置情報を検索する処理を簡略化することができる。
【0071】
さらに、サービスエリアの位置情報を得る方法としては、例えば、FM波等の放送メディアを通じて受信するようにしてもよい。すなわち、放送メディアの到達範囲として区分される地域ごとにサービスエリアの位置情報をブロードキャストし、端末1は、各々の地域において自身の近傍に所在するサービスエリアの位置情報を受信するようにすればよい。
【0072】
上記実施の形態では無線メディアの指向性を考慮しなかった。しかし、例えば、端末1が無線メディアの送信アンテナの位置情報、または送信アンテナの指向性パターンを取得できれば、受信アンテナの指向性を送信アンテナの方向または送信電磁波の指向性パターンに整合させることが可能になる。そのためには、図4に示したサービスエリア位置情報データベース7に、送信アンテナの位置を示す情報、または送信アンテナの指向性パターンを示す情報を保持するようにすればよい。
【0073】
上記実施形態では、端末1がサービスエリアの近傍か否かを判定した。そのような処理に加えて、端末1が特定の道路、例えば、高速道路走行中であることを検出するようにしてもよい。どの道路を走行中であるかを検出することで、端末1は通行軌跡を予測できる
。したがって、端末1が接近する可能性の低いサービスエリアの無線メディアへのリソース割り当てを低くし、接近する可能性の高いサービスエリアの無線メディアへのリソース割り当てを高くすることができ、効率的なリソース配分ができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施の形態に係る通信システムの概念図
【図2】端末1の状態遷移図
【図3】端末1の装置ブロック図
【図4】サービスエリア位置情報データベース7のデータ例
【図5】端末1で実行されるプログラムの処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0075】
1 端末
2 制御CPU
3 電源
4 無線処理部
5 GPS部
6 車速パルス取得部
7 サービスエリア位置情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信端末の端末位置情報を取得する手段と、
無線メディアによるサービスエリアのエリア位置情報を取得するエリア位置取得手段と、
前記取得された端末位置情報とエリア位置情報とから無線通信端末が前記サービスエリア内か否かを判断する手段と、
前記無線通信端末の移動情報を取得する手段と、
前記取得された移動情報、前記端末位置情報、および前記エリア位置情報から監視対象となる無線メディアのサービスエリアへの侵入時刻及び離脱時刻を予測する手段と、
前記サービスエリア内であると判断された場合及び前記予測された侵入時刻になった場合に前記無線メディアを監視する監視状態となり、前記サービスエリア外であると判断された場合及び前記予測された離脱時刻になった場合に待機状態となる制御手段と、
を備えることを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
無線通信端末に搭載されたコンピュータが、
前記無線通信端末の端末位置情報を取得するステップと、
無線メディアによるサービスエリアのエリア位置情報を取得するステップと、
前記取得された端末位置情報とエリア位置情報とから無線通信端末が前記サービスエリア内か否かを判断するステップと、
前記無線通信端末の移動情報を取得するステップと、
前記取得された移動情報、前記端末位置情報、および前記エリア位置情報から監視対象となる無線メディアのサービスエリアへの侵入時刻及び離脱時刻を予測するステップと、
前記サービスエリア内であると判断された場合及び前記予測された侵入時刻になった場合に前記無線メディアを監視する監視状態となり、前記サービスエリア外であると判断された場合及び前記予測された離脱時刻になった場合に待機状態となるステップと、
を実行することを特徴とする無線通信方法。
【請求項3】
無線通信端末に搭載されたコンピュータに、
前記無線通信端末の端末位置情報を取得するステップと、
無線メディアのサービスエリアのエリア位置情報を取得するステップと、
前記取得された端末位置情報とエリア位置情報とから無線通信端末が前記サービスエリア内か否かを判断するステップと、
前記無線通信端末の移動情報を取得するステップと、
前記取得された移動情報、前記端末位置情報、および前記エリア位置情報から監視対象となる無線メディアのサービスエリアへの侵入時刻及び離脱時刻を予測するステップと、
前記サービスエリア内であると判断された場合及び前記予測された侵入時刻になった場合に前記無線メディアを監視する監視状態となり、前記サービスエリア外であると判断された場合及び前記予測された離脱時刻になった場合に待機状態となるステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−193723(P2008−193723A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69310(P2008−69310)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【分割の表示】特願2002−163838(P2002−163838)の分割
【原出願日】平成14年6月5日(2002.6.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【Fターム(参考)】