説明

無線通信端末、無線通信方法及びプログラム

【課題】信頼性のある無線通信を行い、かつ、消費電力低減を行うことができる無線通信端末を提供すること。
【解決手段】OES端末33は、検出部141と、基地局選択部144と、通信制御部145と、を具備する。検出部141は、OES端末33が位置する階層を検出する。基地局選択部144は、複数の基地局31のうち、検出部141により検出された階層に対応する基地局31を選択する。通信制御部145は、基地局選択部144により選択された基地局31と無線通信を行う制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信頼性のある無線通信を行い、かつ、消費電力低減を行うことを可能にする無線通信端末、無線通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の階層にまたがって店舗を構える飲食店では、建物の階層毎に設けられた無線基地局を通じて携帯端末と無線通信を行うことにより、オーダーの受け付け処理を行うOES(order entry system)通信システムを実現している。
【0003】
これら通信システムは、安定した無線基地局の電界強度を常に測定し、その測定結果に基づいて最適な無線接続先に変更しながら携帯端末と無線通信を行っている(例えば、特許文献1参照)。また、これら通信システムは、周波数帯域(CH)を無線基地局毎に使い分けることにより、各無線基地局との間の混線を避けて通信を行っている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4463012
【特許文献2】特許3096868
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような通信システムは、計測した無線基地局の電界強度に基づいて最適の無線基地局を選択しているが、無線通信局に対する電界強度の取得にばらつきがあるため、必ずしも最適の無線通信局との間で無線通信を行うことができなかった。また、最適の無線通信局に切り替える場合に、各CHをサーチする必要があり、無線通信局との無線通信を開始するまでに時間がかかるという問題が生じている。更には、このような通信システムは、最適の無線基地局を選択するために、常に電界強度を測定しなければならず余計な電力を消費しているという問題が生じている。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、信頼性のある無線通信を行い、かつ、消費電力低減を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の無線通信端末は、
建物の複数の階層に配置された複数の基地局のうち1の基地局と無線通信する無線通信端末であって、
前記無線通信端末が位置する階層を検出する階層検出手段と、
前記複数の基地局のうち、前記階層検出手段により検出された前記階層に対応する前記基地局を選択する基地局選択手段と、
前記基地局選択手段により選択された前記基地局と無線通信を行う制御を実行する通信制御手段と、を具備する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、信頼性のある無線通信を行い、かつ、消費電力低減を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無線通信端末が使用される無線通信システムの構成を示している。
【図2】本実施形態に係るOES端末のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【図3】OES端末の機能的構成のうち、無線通信処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図4】基地局情報記憶部に記憶された基地局情報の一例を説明する図である。
【図5】図2の機能的構成を有するOES端末が実行する無線通信処理の流れの一連を説明するフローチャートである。
【図6】図2の機能的構成を有する図1のOES端末が実行する、第2実施形態に係る無線通信処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】OES端末の機能的構成のうち、第3実施形態の無線通信処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図8】図7の機能的構成を有する図1のOES端末が実行する、第3実施形態に係る無線通信処理の流れを説明するフローチャートである。
【図9】基地局情報記憶部に記憶された基地局情報の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線通信端末が使用される無線通信システムの構成を示している。
本実施形態に係る無線通信システム10は、飲食店等の建物の複数の階層に店舗を構える飲食店において、各階層において受け付けられた注文を、建物のn個の階層毎に配置されたn個の基地局と無線通信により送受信する一連の制御を実行するものである。ここで、nは、1以上の任意の整数値であって、本実施形態では建物の階層の数と同一の値である。
図1に示すように、本実施形態に係る無線通信システム10においては、OESシステム11と、コントローラ12と、がネットワーク21を介して相互に接続されている。ネットワーク21は、LAN(Local Area Network)回線やインターネット回線により無線又は有線により各端末同士を相互に接続している。
【0012】
OESシステム11は、n個の基地局31−1〜31−nと、OESコントローラ32と、無線通信端末としてのOES端末33と、を備える。
以下、基地局31−1〜31−nを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて、「基地局31」と単に呼ぶ。また、基地局31と呼んでいる場合には、その構成要素の符号についても、1〜nを省略して説明する。
【0013】
基地局31は、ネットワーク21を介して接続されるコントローラ12と、OES端末33との間で授受される各種情報、例えば後述する注文の登録情報を中継する。
【0014】
OESコントローラ32は、当該店舗の従業員等の各々に個人的に配布されるOES端末33を制御する。
例えば、OESコントローラ32は、コントローラ12から送信される予約情報(仮締め情報)等受信して、各基地局31のうち何れかの基地局31を介してOES端末33に送信する。OES端末33は、当該予約情報等を受信すると、後述の図2を参照して説明する表示部119に画像として表示させる。店舗の従業員は、OES端末33の表示部119(図2参照)を視認して、必要な作業、例えば予約情報により特定される人数分のお通しを用意する等の作業を行う。
また、OES端末33は、顧客の注文を受け付けて登録すると、当該注文の登録情報を各基地局31のうち何れかの基地局31を介してOESコントローラ32に送信する。OESコントローラ32は、ネットワーク21を介して当該注文の登録情報をコントローラ12に送信する。すると、コントローラ12は、当該注文の登録情報を厨房の料理人に通知する。コントローラ12は、当該注文の登録情報に基づいて、当該注文をした顧客の伝票(データ)に、当該注文の内容を追記する。OES端末33は、顧客の注文を受け付けて登録すると、何れかの基地局31を通じOESコントローラ32を介して当該注文の注文情報をコントローラ12に送信する。このように、OES端末33は、建物の複数の階層に配置された複数の基地局31のうち1の基地局31と無線通信する。
【0015】
コントローラ12は、OESコントローラ32から送信された注文情報をネットワーク21を介して厨房内に配置されたプリンタ(図示せず)又はディスプレイ(図示せず)に送信し、注文の内容を出力して厨房内の料理人に通知する。
【0016】
次に、このような本実施形態のOES端末33の構成について説明する。
【0017】
[OES端末]
図2は、本実施形態に係るOES端末33のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0018】
OES端末33は、CPU(Central Processing Unit)111と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113と、バス114と、入出力インターフェース115と、3軸加速度センサ116と、高度センサ117と、入力部118と、表示部119と、記憶部120と、通信部121と、ドライブ122と、を備えている。
【0019】
CPU111は、ROM112に記録されているプログラム、又は、記憶部120からRAM113にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0020】
RAM113には、CPU111が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0021】
CPU111、ROM112及びRAM113は、バス114を介して相互に接続されている。このバス114にはまた、入出力インターフェース115も接続されている。入出力インターフェース115には、3軸加速度センサ116、高度センサ117、入力部118、表示部119、記憶部120、通信部121及びドライブ122が接続されている。
【0022】
3軸加速度センサ116は、ピエゾ抵抗型もしくは静電容量型の検出機構を備えており、当該検出機構を用いて、加速度の3軸(X,Y,Z)成分を検出し、その検出結果を示すデータを出力する。なお、3軸加速度センサ116の検出結果を示すデータを、以下、「3軸加速度データ」と呼ぶ。
ここで、3軸加速度データのうち、X成分はOES端末33の垂直方向の振動周期に、Y成分はOES端末33の水平方向の振動周期に、Z成分はOES端末33の進行方向の振動周期に、それぞれ対応する。
【0023】
また、3軸加速度センサ116は、任意の姿勢(傾斜角度)状態においても、傾斜角度に応じて補正した3軸加速度データを出力することができる。従って、傾斜角度に応じて補正されたこの3軸加速度センサ116の出力するデータに対応して、ジャイロセンサを用いた傾斜センサ(図示せず)等から出力するデータを補正するようにする。これによって、OES端末33に遠心力等の外力がかかる動状態で使用するような場合、例えば電車や自動車等で移動中に被写体を撮像するような場合でも、正確に各種データを取得して測位演算を実行できる。
【0024】
高度センサ117は、周囲の気圧を計測して気圧に応じた高度を算出する、圧力センサ等により構成される。
【0025】
入力部118は、各種釦等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
表示部119は、ディスプレイにより構成され、画像やテキストにより、注文の登録情報や予約情報を表示する。
記憶部120は、ハードディスク或いはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種画像のデータを記憶する。
通信部121は、インターネットを含むネットワーク21を介して他の装置、例えば無線通信システム10内の各装置やプリンタ(図示せず)又はディスプレイ(図示せず)との間で行う通信を制御する。
【0026】
ドライブ122には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア131が適宜装着される。ドライブ122によってリムーバブルメディア131から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部120にインストールされる。また、リムーバブルメディア131は、記憶部120に記憶されている画像のデータ等の各種データも、記憶部120と同様に記憶することができる。
【0027】
図3は、このような各構成要素を含むOES端末33の機能的構成のうち、無線通信処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
無線通信処理とは、次のような一連の処理をいう。即ち、OES端末33は、無線通信の開始に伴い、検出された加速度に基づいて検出された加速度とに基づいて現在の階層を検出する。そして、OES端末33は、検出された階層に基づいて最も適切な基地局を選択し、選択された基地局に基づいて無線通信を行う制御を実行する一連の流れをいう。
【0028】
無線通信処理が実行される場合には、図3に示すように、OES端末33のCPU111において、検出部141と、計時部142と、階層検出部143と、基地局選択部144と、通信制御部145と、が機能する。
記憶部120の一領域として、基地局情報記憶部151が設けられている。なお、基地局情報記憶部151が記憶部120の一領域として設けられていることは例示であって、その他例えばリムーバブルメディア131の一領域として設けられるようにしてもよい。
【0029】
検出部141は、3軸加速度センサ116から出力された3軸加速度データに基づいて加速度を検出する。検出部141は、検出した加速度を計時部142へ供給する。
【0030】
計時部142は、検出部141により加速度の検出を開始してから所定の時間を計時する。計時部142は、計時した時間を階層検出部143へ供給する。
【0031】
階層検出部143は、検出部141により検出された加速度と、計時部142により計時された時間とに基づいてOES端末33が位置する階層を検出する。階層検出部143は、検出した現在の階層の情報を基地局選択部144へ供給する。
【0032】
基地局選択部144は、複数の基地局31のうち、階層検出部143により検出された階層に対応する基地局31を選択する。ここで、階層に対応する基地局31とは、基地局31からの電界強度に予め対応付けられた階層に対応する基地局31をいい、具体的には、各階層に配置された基地局31をいう。
【0033】
基地局情報記憶部151は、OES端末33と基地局31とを管理するための各種情報ファイルを有し、その中には各基地局31の周波数帯域や基地局IDを示す基地局31の情報が記憶されている。
【0034】
図4は、基地局情報記憶部151に記憶された基地局情報の一例を説明する図である。
基地局情報記憶部151に記憶されている基地局情報は、「階層」、「基地局ID」、「周波数帯域」を含む。従って、基地局情報記憶部151に記憶されている基地局情報の構造は、このような関係を示すものであれば足り、特に限定されないが、本実施形態では、図4に示すように、行列構造となっている。
【0035】
所定行に格納される「階層」とは、建物の複数の階層のうち、現在OES端末33がある階層を示す情報である。所定行に格納される「基地局ID」とは、各基地局31を一意に識別するための符号を示す情報であり、後述の無線通信処理を行う際に、選択した基地局31を識別するための情報である。所定行に格納される「周波数帯域」とは、各基地局31毎に設定されている無線通信に用いられる周波数の帯域を示す情報である。
【0036】
具体的には、階層「B3F」に対応する「基地局ID」として「1」が記憶されている。そして、その「基地局ID」「1」に対応する「周波数帯域」として、「a.aaaGHz」が記憶されている。同様に、階層「B2F」に対応する「基地局ID」として「2」が記憶されている。そして、その「基地局ID」「2」に対応する「周波数帯域」として、「b.bbbGHz」が記憶されている。即ち、本実施形態においては、各階層に対し、各階層毎に配置された基地局31を示す基地局IDが対応付けられている。そして、各基地局IDと周波数帯域とは1対1に対応している。
また、本実施形態においては、図2の基地局情報は、基地局情報記憶部151に記憶しているがこれに限られるものではなく、RAM(図示せず)やOES端末33のリムーバブルメディア131であってもよい。基地局選択部144は、選択した基地局31の情報を通信制御部145へ供給する。
【0037】
通信制御部145は、基地局選択部144により選択された基地局31と無線通信を行う制御を実行する。即ち、通信制御部145は、通信部121及びネットワーク21を介してコントローラ12と接続して、各種情報を授受するための制御を実行する。
【0038】
図5は、図2の機能的構成を有するOES端末33が実行する無線通信処理の流れの一連を説明するフローチャートである。
OES端末により無線通信処理が実行されると、CPU111において図3の各機能ブロックが機能して、次のような処理が実行される。即ち、以下の各ステップの各処理の動作主体は、ハードウェアではCPU111が該当する。ただし、本発明の理解を容易なものとすべく、CPU111において機能する各機能ブロックが動作主体であるものとして、以下の各ステップの処理の説明をする。
以下、図5のフローチャートを参照して、OES端末33の無線通信処理について説明する。
【0039】
ユーザ(飲食店の従業員)は、OES端末33の入力部118を操作して、OES端末33による無線通信の開始を指示するとともに、初期設定として、現在位置する階層を入力することができる。
無線通信処理は、このようなユーザによる無線通信の指示及び現在位置する階層の入力を契機として開始され、次のような処理が実行される。
【0040】
ステップS11において、通信制御部145は、初期設定として入力された階層に対応する基地局を選択し、選択された基地局に基づいて、通信部121を通じて無線通信を開始する。具体的には、通信制御部145は、基地局情報記憶部151を参照して、図4の基地局情報に基づき、初期設定として入力された階層に対応する基地局IDを選択し、選択した基地局IDに対応付けられた周波数帯域を決定する。そして、通信制御部145は、決定した周波数帯域に基づいて、無線通信を開始する。
例えば、ユーザにより初期設定として入力された現在位置の階層が「1F」である場合には、図4の基地局情報に基づき、「1F」の階層に対応する基地局IDとして「4」が選択される。そして、基地局ID「4」に対応付けられた周波数帯域「d.dddGHz」が決定される。そして、通信制御部145は、決定した周波数帯域「d.dddGHz」に基づいて無線通信を開始する。
【0041】
ステップS12において、検出部141は、3軸加速度センサ116から出力される加速度の検出を開始する。
【0042】
ステップS13において、検出部141は、垂直方向への動きを検出したか否かを判定する。この処理では、OES端末33が垂直方向、即ち、現在の階層から上の階層又は下の階層のうち、何れかの階層に対し移動したか否かが判定される。移動したか否かの判定は、3軸加速度センサ116から出力される3軸加速度データのうちX成分に基づいて求められた振動周期、即ち垂直方向の振動周期が所定の周期である場合に満たされる。従って、3軸加速度データのうちX成分から求められた垂直方向の振動周期が、所定の周期である場合、3軸加速度センサ116により出力される垂直方向の振動周期が所定の周期である場合、OES端末33の移動形態は“移動”であると認識される。垂直方向への動きが検出されない場合、即ち、未だOES端末33が階層間の移動を開始していない場合には、ステップS13においてNOであると判定されて、処理はステップS13に戻される。即ち、垂直方向への動きが検出されるまでの間、ステップS13の判定処理が繰り返し実行されて、無線通信処理は待機状態となる。これに対し、垂直方向への動きが検出された場合、即ち、OES端末33が上の階層又は下の階層のうち何れかの階層に向かって移動したことが検出された場合、ステップS13においてYESであると判定されて、処理はステップS14に進む。
【0043】
ステップS14において、計時部142は、ステップS13において、検出部141による垂直方向への加速度の検出が開始されてから計時を開始する。
【0044】
ステップS15において、検出部141は、垂直方向への動きが停止したか否かを判定する。この処理では、OES端末33が垂直方向、即ち、現在の階層から上の階層又は下の階層のうち、何れかの階層に対し移動を開始してからその移動が停止したか否かが判定される。移動が停止されたか否かの判定は、3軸加速度センサ116から出力される3軸加速度データの各成分が、略0である場合に満たされる。従って、3軸加速度データの各成分が、略0である場合、OES端末33の移動形態は“停止”であると認識されることになる。垂直方向への動きの停止が検出されない場合、即ち、未だOES端末33が階層間の移動中である場合には、ステップS15においてNOであると判定されて、処理はステップS15に戻される。即ち、垂直方向への動きの停止が検出されるまでの間、ステップS15の判定処理が繰り返し実行されて、無線通信処理は待機状態となる。これに対し、垂直方向への動きの停止が検出された場合、即ち、OES端末33が上の階層又は下の階層のうち何れかの階層に向かってへの移動を停止したことが検出された場合、ステップS15においてYESであると判定されて、処理はステップS16に進む。
【0045】
ステップS16において、階層検出部143は、ステップS13において検出された加速度と、ステップS14において計時が開始された時間とに基づいて現在の階層を検出する。具体的には、階層検出部143は、3軸加速度センサ116から順次出力された3軸加速度データを積分することによって、垂直方向への動きが検出されてからのOES端末33の垂直方向への移動距離を算出する。ここで、移動距離とは、ステップS13において垂直方向への移動が検出された地点から、現在のOES端末33の位置までの距離をいう。垂直方向への移動が検出された地点とは、階層検出部143が積分を開始した時点、換言すると、初期設定で積分が0にセットされた時点又はその後0にリセットされた時点における、OES端末33の位置をいう。そして、階層検出部143は、算出した移動距離に基づいて現在の階層を検出する。
【0046】
ステップS17において、基地局選択部144は、ステップS16において検出された階層に基づいて対応する基地局31を選択する。具体的には、基地局選択部144は、基地局情報記憶部151を参照して、図4の階層に対応する基地局IDを選択する。基地局選択部144は、選択した基地局IDのデータを基地局31の情報として通信制御部145へ供給する。
【0047】
ステップS18において、通信制御部145は、ステップS17において選択された基地局31に基づいて通信を行う制御を実行する。具体的には、通信制御部145は、基地局情報記憶部151を参照して、図4の基地局IDに対応する周波数帯域を選択する。そして、通信制御部145は、選択した周波数帯域に基づいて通信部121を制御し基地局31と無線通信を行う。
【0048】
ステップS19において、通信制御部145は、無線通信処理の終了指示を受けたか否かを判定する。終了指示を受けていない場合には、ステップS19においてNOであると判定されて、処理はステップS13に戻る。即ち、無線通信処理の終了指示を受けるまでの間、ステップS13乃至ステップS19の処理が繰り返し実行される。これに対し、無線通信処理の終了指示を受けた場合、ステップS19においてYESであると判定されて、無線通信処理は終了となる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態のOES端末33は、検出部141と、基地局選択部144と、通信制御部145と、を具備する。
検出部141は、OES端末33が位置する階層を検出する。
基地局選択部144は、複数の基地局31のうち、検出部141により検出された階層に対応する基地局31を選択する。
通信制御部145は、基地局選択部144により選択された基地局31と無線通信を行う制御を実行する。
この場合、現在OES端末が位置する階層に基づいて、その階層に最も適切な基地局を選択することができる。そして、選択された基地局に基づいて通信を行うことができる。従って、複数の階層により構成された複数の無線の基地局を備えた店舗を持つ飲食店等において、常に最適な電波を使用することができるので、適切な基地局を探すのに非効率なサーチ時間をなくすとともに、通信を複数回行うための再送回数を低減させることができる。これにより、信頼性のある無線通信を行い、かつ、消費電力低減を行うことを可能とすることができる。
【0050】
また、OES端末33は、検出部141と、計時部142と、を更に備えてもよい。
検出部141は、3軸加速度センサ116から出力された加速度を検出する。
計時部142は、検出部141による加速度の検出が開始されてから所定の時間を計時する。
そして、階層検出部143は、検出部141により検出された加速度と、計時部142により計時された時間とに基づいて、OES端末33が位置する階層を検出してもよい。
この場合、検出部141により検出された加速度と、計時部142により計時された時間とに基づいて、より正確にOES端末33が位置する階層を検出することができる。
【0051】
また、複数の基地局31からの電界強度と、階層とが予め対応付けられた記憶部120(より詳しくは基地局情報記憶部151)を備えてもよい。
そして、前記基地局選択手段は、記憶部120を参照して、基地局31からの電界強度に対応した階層に配置された基地局31を選択してもよい。
この場合、当該階層において電界強度が高い基地局が予め対応付けられて記憶されていることから、記憶部120を参照するだけで、当該階層において最適な基地局31を選択することができる。これにより、別途電界強度を測定する必要もないことから、消費電力低減を行うことを可能とし、かつ、信頼性のある無線通信を行うことができる。
【0052】
以上、本発明の第1実施形態に係るOES端末33について説明した。
次に、本発明の第2実施形態に係るOES端末33について説明する。
【0053】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るOES端末33は、第1実施形態に係るOES端末33と基本的に同様のハードウェア構成及び機能的構成を取ることができる。
従って、図1は、第2実施形態に係るOES端末33のハードウェアの構成を示すブロック図でもある。
【0054】
更に、第2実施形態に係るOES端末33が実行する無線通信処理は、第1実施形態に係る無線通信処理と基本的に同様の流れとなる。従って、図5は、第2実施形態に係る無線通信処理の流れを説明するフローチャートでもある。
ただし、第2実施形態では、無線通信処理のうちステップS32乃至ステップS34の処理については、第1実施形態で採用された図5のフローチャートではなく、図6のフローチャートが採用される。
図6は、図2の機能的構成を有する図1のOES端末33が実行する、第2実施形態に係る無線通信処理の流れを説明するフローチャートである。
OES端末により無線通信処理が実行されると、CPU111において図3の各機能ブロックが機能して、次のような処理が実行される。即ち、以下の各ステップの各処理の動作主体は、ハードウェアではCPU111が該当する。ただし、本発明の理解を容易なものとすべく、CPU111において機能する各機能ブロックが動作主体であるものとして、以下の各ステップの処理の説明をする。
【0055】
上述した第1実施形態における図5の無線通信処理では、現在の階層の検出は、3軸加速度センサ116により検出された加速度と計時された時間とに基づいて検出しているのに対して、第2実施形態における図6の無線通信処理では、現在の階層の検出は、高度センサにより検出された高度に基づいて検出している点が差異点である。詳細には、第2実施形態では、第1実施形態に係るステップS12乃至ステップS16の処理に代えて、ステップS32乃至ステップS34の処理が実行される点が差異点である。
そこで、以下、このような差異点について主に説明し、一致点の説明は適宜省略する。
【0056】
無線通信処理は、ユーザによる無線通信の指示及び現在位置する階層の入力を契機として開始される。この場合、第1実施形態におけるステップS11と同様の、ステップS31の処理が実行される。
【0057】
ステップS32において、検出部141は、高度センサ117から出力される高度の検出を開始する。
【0058】
ステップS33において、検出部141は、垂直方向への動きを検出したか否かを判定する。この処理では、OES端末33が垂直方向、即ち、現在の階層から上の階層又は下の階層のうち、何れかの階層に対し移動したか否かが判定される。移動したか否かの判定は、高度センサ117から算出される高度データが所定の閾値より増加したか又は減少したかにより判定される。従って、高度センサ117から出力される高度が増加した場合には、上の階層へ移動したと認識される。これに対して、高度センサ117から出力される高度が減少した場合には、下の階層へ移動したと認識される。垂直方向への動きが検出されない場合、即ち、未だOES端末33が階層間の移動を開始していない場合には、ステップS33においてNOであると判定されて、処理はステップS33に戻される。即ち、垂直方向への動きが検出されるまでの間、ステップS33の判定処理が繰り返し実行されて、無線通信処理は待機状態となる。これに対し、垂直方向への動きが検出された場合、即ち、OES端末33が上の階層又は下の階層のうち何れかの階層に向かって移動したことが検出された場合、ステップS33においてYESであると判定されて、処理はステップS34に進む。
【0059】
ステップS34において、階層検出部143は、検出された高度に基づいて現在の階層を検出する。具体的には、予め高度データ対応付けられた階層の情報を記憶部120に記憶しておく。そして、階層検出部143は、記憶部120を参照して、階層と高度とが対応付けられた情報に基づいて、検出された高度に対応する階層を検出する。
この処理が終了すると、第1実施形態におけるステップS17乃至ステップS19の各処理と同様の、ステップS35乃至ステップS37の処理が実行される。
【0060】
以上説明したように、本実施形態のOES端末33は、高度センサ117から出力された高度を検出する検出部141を更に備える。
そして、階層検出部143は、検出部141により検出された高度に基づいて、OES端末33が位置する階層を検出する。
この場合、高度センサ117により現在の高度を直接検出して、現在のOES端末33が位置する階層を検出することができることから、OES端末33が位置する階層をより正確に検出することができる。
【0061】
以上、本発明の第2実施形態に係るOES端末33について説明した。
次に、本発明の第3実施形態に係るOES端末33について説明する。
【0062】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係るOES端末33は、第1実施形態に係るOES端末33と基本的に同様のハードウェア構成を取ることができる。
従って、図1は、第3実施形態に係るOES端末33のハードウェアの構成を示すブロック図でもある。
【0063】
更に、本発明の第3実施形態に係るOES端末33は、第1実施形態に係るOES端末33と基本的に同様の機能的構成を取ることができる。従って、図3は、第3実施形態に係るOES端末33の機能的構成を示す機能ブロック図でもある。ただし、第3実施形態では、機能ブロック図のうち、認識部241、計時部242、エリア検出部243、基地局選択部244については、第1実施形態で採用された機能構成図ではなく、図7の機能ブロック図が採用される。このように、OES端末33は、複数の異なるエリア内に配置された複数の基地局31のうち1の基地局31と無線通信する。
【0064】
上述した第1実施形態における図3の機能ブロック図では、検出部141により検出された加速度と、計時部142により計時された時間とに基づいてOES端末33が位置する階層を検出し、検出された階層に対応する基地局31を選択しているのに対して、第3実施形態における図7の機能ブロック図では、認識部241により認識されたOES端末33の移動形態に基づいて、OES端末33が移動したエリアを検出し、検出されたエリアに対応する基地局31を選択する点が差異点である。詳細には、第3実施形態では、第1実施形態に係る検出部141、計時部142、階層検出部143、基地局選択部144に代えて、認識部241、計時部242、エリア検出部243、基地局選択部244により処理が実行される点が差異点である。
そこで、以下、このような差異点について主に説明し、一致点の説明は適宜省略する。
【0065】
図7は、このような各構成要素を含むOES端末33の機能的構成のうち、第3実施形態の無線通信処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0066】
第3実施形態に係る無線通信処理が実行される場合には、図7に示すように、OES端末33のCPU111において、認識部241と、計時部242と、エリア検出部243と、基地局選択部244と、通信制御部245と、が機能する。
記憶部120の一領域として、基地局情報記憶部151が設けられている。なお、基地局情報記憶部151が記憶部120の一領域として設けられていることは例示であって、その他例えばリムーバブルメディア131の一領域として設けられるようにしてもよい。
【0067】
認識部241は、OES端末33の移動形態を認識する。具体的には、認識部241は、3軸加速度センサ116から出力された3軸加速度データに基づいて加速度を検出し、検出された加速度に基づいて現在のOES端末33の移動形態を認識する。認識部241は、センサ部20の3軸加速度センサ116から出力される3軸加速度データを取得する。
認識部241は、3軸加速度データに基づいて振動周期を求め、そのうちの主に垂直方向の振動周期(X成分から求められた振動周期)を用いて、OES端末33の移動形態を検出する。
なお、このようにして認識部241がユーザの移動形態を検出するまでに実行する一連の処理を、以下、「状態検出処理」と呼ぶ。
【0068】
ここで、状態検出処理により検出され得るユーザの移動形態の種類は、特に限定されないが、少なくとも複数の種類が必要である。そこで、本実施形態では、3種類の移動形態、即ち、停止状態、歩行状態、及び走行状態が、状態検出処理により検出され得るようになっている。
【0069】
3軸加速度データの各成分が、略0である場合、“3軸加速度センサ116により加速度が検出されない”という条件が満たされて、ユーザの移動形態は“停止状態”であると認識される。
【0070】
同様に、3軸加速度データのうちX成分から求められた垂直方向の振動周期が、略2Hzである場合、“3軸加速度センサ116により垂直方向の振動周期が2Hzを検出”という条件が満たされて、ユーザの移動形態は“歩行状態”であると認識される。
【0071】
同様に、3軸加速度データ20BのうちX成分から求められた垂直方向の振動周期が、2Hz以上である場合、“3軸加速度センサ116により垂直方向の振動周期が2Hzを超えて検出”という条件が満たされて、ユーザの移動形態は“走行状態”であると認識される。認識部241は、認識した移動形態をエリア検出部243へ供給する。
【0072】
計時部242は、認識部241により移動形態を認識してから所定の時間を計時する。計時部242は、計時した時間をエリア検出部243へ供給する。
【0073】
エリア検出部243は、認識部241により認識された移動形態と、計時部242により計時された時間とに基づいてOES端末33が現在位置するエリアを検出する。エリア検出部243は、検出した現在のエリアの情報を基地局選択部244へ供給する。
【0074】
基地局選択部244は、複数の基地局31のうち、エリア検出部243により検出されたエリアに対応する基地局31を選択する。ここで、エリアに対応する基地局31とは、基地局31からの電界強度に対応したエリアに対応する基地局31をいい、具体的には、各エリアに配置された基地局31をいう。
基地局選択部244は、エリア検出部243により検出されたエリアに対応する基地局31として、各エリアに配置された基地局31を選択しているがこれに限られない。例えば、1個の基地局に対し、複数のエリアを対応付けてもよい。この場合、エリア検出部243により検出されたエリアとしてエリアA及びエリアBの何れのエリアが検出されたとしても、エリアAに配置されている基地局31が選択される。即ち、この場合、エリアA及びエリアBとエリアAに配置されている基地局31とが対応付けられている。
【0075】
更に、本発明の第3実施形態に係るOES端末33の基地局情報記憶部151は、第1実施形態に係るOES端末33の基地局情報記憶部151と基本的に同様の構成を取ることができる。従って、図4は、第3実施形態に係るOES端末33の基地局情報記憶部151に記憶された基地局情報でもある。ただし、第3実施形態では、基地局情報のうち、「階層」の情報に代えて、「エリア」の情報が記憶されている。従って、基地局情報記憶部151には、基地局情報として、複数の基地局31からの電界強度と、エリアとが予め対応付けられて記憶されている。予め電界強度を測定した結果、当該エリアにおいて電界強度が高い基地局31が当該エリアと対応付けられて記憶されている。
【0076】
更に、第3実施形態に係るOES端末33が実行する無線通信処理は、第1実施形態に係る無線通信処理と基本的に同様の流れとなる。従って、図5は、第3実施形態に係る無線通信処理の流れを説明するフローチャートでもある。
ただし、第3実施形態では、無線通信処理のうちステップS53乃至ステップS57の処理については、第1実施形態で採用された図5のフローチャートではなく、図8のフローチャートが採用される。
【0077】
図8は、図7の機能的構成を有する図1のOES端末33が実行する、第3実施形態に係る無線通信処理の流れを説明するフローチャートである。
OES端末により無線通信処理が実行されると、CPU111において図7の各機能ブロックが機能して、次のような処理が実行される。即ち、以下の各ステップの各処理の動作主体は、ハードウェアではCPU111が該当する。ただし、本発明の理解を容易なものとすべく、CPU111において機能する各機能ブロックが動作主体であるものとして、以下の各ステップの処理の説明をする。
【0078】
上述した第1実施形態における図5の無線通信処理では、3軸加速度センサ116により検出された加速度と計時された時間とに基づいて現在の階層を検出しているのに対して、第3実施形態における図8の無線通信処理では、認識された移動形態と計時された時間とに基づいて現在のエリアを検出している点が差異点である。詳細には、第3実施形態では、第1実施形態に係るステップS13乃至ステップS17の処理に代えて、ステップS53乃至ステップS57の処理が実行される点が差異点である。
そこで、以下、このような差異点について主に説明し、一致点の説明は適宜省略する。
【0079】
無線通信処理は、ユーザによる無線通信の指示及び現在位置する階層の入力を契機として開始される。この場合、第1実施形態におけるステップS11と同様の、ステップS51の処理が実行される。
【0080】
ステップS53において、認識部241は、移動形態を認識したか否かを判定する。この処理では、OES端末33が歩行状態又は走行状態の何れかの移動形態を認識したか否かが判定される。なお、認識部241は、この場合、垂直方向又は水平方向の何れへの移動形態かも認識する。歩行状態又は走行状態の何れの移動形態も認識されない場合、即ち、未だOES端末33がエリア間の移動を開始していない場合には、ステップS53においてNOであると判定されて、処理はステップS53に戻される。即ち、歩行状態又は走行状態のうち何れかの移動形態が検出されるまでの間、ステップS53の判定処理が繰り返し実行されて、無線通信処理は待機状態となる。これに対し、歩行状態又は走行状態のうち何れかの移動形態が検出された場合、即ち、OES端末33が何れかのエリアに向かって移動したことが検出された場合、ステップS53においてYESであると判定されて、処理はステップS54に進む。
【0081】
ステップS54において、計時部242は、ステップS53において、認識部241による歩行状態又は走行状態のうち何れかの移動形態の認識が開始されてから計時を開始する。
【0082】
ステップS55において、認識部241は、移動形態が停止状態となったか否かを判定する。この処理では、OES端末33が何れかのエリアへの移動開始してからその移動が停止したか否かが判定される。移動形態が停止状態でない場合、即ち、未だOES端末33がエリア間の移動中である場合には、ステップS55においてNOであると判定されて、処理はステップS55に戻される。即ち、停止状態が認識されるまでの間、ステップS55の判定処理が繰り返し実行されて、無線通信処理は待機状態となる。これに対し、停止状態が認識された場合、即ち、OES端末33が何れかのエリアへの移動を停止したことが検出された場合、ステップS55においてYESであると判定されて、処理はステップS56に進む。
【0083】
ステップS56において、エリア検出部243は、ステップS53において認識された移動形態と、ステップS54において計時が開始された時間とに基づいて現在のエリアを検出する。具体的には、エリア検出部243は、認識された移動形態が歩行状態である場合には、前回検出されたエリアからの時間単位辺りの移動距離は少ないと判定する。従って、歩行状態である場合の移動速度と計時時間とを積分した距離に基づいて、移動した現在のエリアを検出する。これに対して、認識された移動形態が走行状態である場合には、前回検出されたエリアからの時間単位辺りの移動距離は多いと判定する。従って、走行状態である場合の移動速度と計時時間とを積分した距離に基づいて、移動した現在のエリアを検出する。
【0084】
ステップS57において、基地局選択部244は、ステップS56において検出されたエリアに基づいて対応する基地局31を選択する。具体的には、基地局選択部244は、基地局情報記憶部151を参照して、図4のエリアに対応する基地局IDを選択する。基地局選択部244は、選択した基地局IDのデータを基地局31の情報として通信制御部245へ供給する。この処理が終了すると、第1実施形態におけるステップS18乃至ステップS19の各処理と同様の、ステップS58乃至ステップS59の処理が実行される。
【0085】
以上説明したように、本実施形態のOES端末33は、認識部241と、エリア検出部243と、基地局選択部244と、通信制御部245と、を具備する。
認識部241は、OES端末33の移動形態を認識する。
エリア検出部243は、認識部241により認識された移動形態に基づいて、OES端末33が移動したエリアを検出する。
基地局選択部244は、複数の基地局31のうち、エリア検出部243により検出されたエリアに配置された基地局31を選択する。
通信制御部245は、基地局選択部244により選択された基地局と無線通信を行う制御を実行する。
この場合、現在OES端末が位置するエリアに基づいて、そのエリアに最も適切な基地局を選択することができる。そして、選択された基地局に基づいて通信を行うことができる。従って、複数のエリアにより構成された複数の無線の基地局31を備えた店舗を持つ飲食店等において、常に最適な電波を使用することができる。これにより、適切な基地局31を探すのに非効率なサーチ時間をなくすとともに、通信を複数回行うための再送回数を低減させることができる。これにより、信頼性のある無線通信を行い、かつ、消費電力低減を行うことを可能とすることができる。
【0086】
また、OES端末33の認識部241は、OES端末33の移動形態として、基準位置からの垂直方向の移動を認識する。この場合、エリアが階層毎に垂直方向に沿って配置されている場合であっても、初期設定として入力した基準位置等から移動した現在OES端末が位置するエリアを正確に検出することができる。
【0087】
また、OES端末33の認識部241は、OES端末33の移動形態として、基準位置からの水平方向の移動を認識する。この場合、エリアが2次元方向に沿って広がるように配置されている場合であっても、初期設定として入力した基準位置等から移動した現在OES端末が位置するエリアを正確に検出することができる。
【0088】
また、複数の基地局31からの電界強度と、エリアとが予め対応付けられた記憶部120(より詳しくは基地局情報記憶部151)を備えてもよい。
そして、前記基地局選択手段は、記憶部120を参照して、基地局31からの電界強度に対応したエリアに配置された基地局31を選択してもよい。
この場合、当該エリアにおいて電界強度が高い基地局が予め対応付けられて記憶されていることから、記憶部120を参照するだけで、当該エリアにおいて最適な基地局31を選択することができる。これにより、別途電界強度を測定する必要もないことから、消費電力低減を行うことを可能とし、かつ、信頼性のある無線通信を行うことができる。
【0089】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0090】
上述の実施形態では、本発明が適用される無線通信システム10は、n個の階層毎に配置されたn個の基地局と無線通信により送受信するものとして説明したが、特にこれに限定されない。例えば、図9に示すように、n個の階層毎に配置されたm(mはn以外の任意の整数値)個の基地局と無線通信により送受信することも可能である。図9は、基地局情報記憶部に記憶された基地局情報の一例を説明する図である。図9の例では、1個の基地局が、2個の階層に対応付けられている。
即ち、上述の実施形態では、基地局選択部144は、階層検出部143により検出された階層に対応する基地局31として、各階層に配置された基地局31を選択しているがこれに限られない。例えば、図9に示すように、1個の基地局に対し、複数の階層を対応付けてもよい。この場合、階層検出部143により検出された階層として1階及び2階の何れの階層が検出されたとしても、1階に配置されている基地局31が選択される。即ち、この場合、1階及び2階の階層と1階に配置されている基地局31とが対応付けられている。
【0091】
検出部141は、3軸加速度センサ116から出力された3軸加速度データに基づいて加速度を検出しているがこれに限られない。例えば、検出部141は、高度センサ117から出力された高度を検出するようにしてもよい。
【0092】
階層検出部143は、検出部141により検出された加速度と、計時部142により計時された時間とに基づいてOES端末33が何れの階層にいるかを検出しているがこれに限られない。例えば、階層検出部143は、検出部141により検出された高度に基づいてOES端末33が何れの階層にいるかを検出するようにしてもよい。
【0093】
また、上述の実施形態では、本発明が適用されるOES端末33が使用される無線通信システム10は、飲食店の客席において受け付けられた料理の注文情報を出力等する制御を行うものとして説明したが、特にこれに限定されない。
例えば、本発明は、注文を必要とする無線通信システム一般に適用することができる。具体的には、例えば、本発明は、レストラン、遊園地、ホテル、工場、等の注文システムに適用可能である。
【0094】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能がOES端末33に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図7の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0095】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワーク21や記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0096】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図6のリムーバブルメディア131により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア131は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図6のROM112や、図6の記憶部120に含まれるハードディスク等で構成される。
【0097】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0098】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0099】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
建物の複数の階層に配置された複数の基地局のうち1の基地局と無線通信する無線通信端末であって、
前記無線通信端末が位置する階層を検出する階層検出手段と、
前記複数の基地局のうち、前記階層検出手段により検出された前記階層に対応する前記基地局を選択する基地局選択手段と、
前記基地局選択手段により選択された前記基地局と無線通信を行う制御を実行する通信制御手段と、
を具備する無線通信端末。
[付記2]
前記無線通信端末は、
加速度センサから出力された加速度を検出する検出手段と、
前記検出手段による加速度の検出が開始されてから所定の時間を計時する計時手段と、を更に備え、
前記階層検出手段は、前記検出手段により検出された加速度と、前記計時手段により計時された時間とに基づいて、前記無線通信端末が位置する階層を検出する付記1に記載の無線通信端末。
[付記3]
前記無線通信端末は、高度センサから出力された高度を検出する検出手段を更に備え、
前記階層検出手段は、前記検出手段により検出された高度に基づいて、前記無線通信端末が位置する階層を検出する付記1に記載の無線通信端末。
[付記4]
前記複数の基地局からの電界強度と、階層とが予め対応付けられた記憶部を備え、
前記基地局選択手段は、前記記憶部を参照して、前記基地局からの電界強度に対応した階層に配置された前記基地局を選択する付記1乃至3のうち何れか1つに記載の無線通信端末。
[付記5]
複数の異なるエリア内に配置された複数の基地局のうち1の基地局と無線通信する無線通信端末であって、
前記無線通信端末の移動形態を認識する認識手段と、
前記認識手段により認識された移動形態に基づいて、前記無線通信端末が移動したエリアを検出するエリア検出手段と、
前記複数の基地局のうち、前記エリア検出手段により検出された前記エリアに配置された前記基地局を選択する基地局選択手段と、
前記基地局選択手段により選択された前記基地局と無線通信を行う制御を実行する通信制御手段と、
を具備する無線通信端末。
[付記6]
前記認識手段は、前記無線通信端末の移動形態として、基準位置からの垂直方向の移動を認識する付記5に記載の無線通信端末。
[付記7]
前記認識手段は、前記無線通信端末の移動形態として、基準位置からの水平方向の移動を認識する付記5に記載の無線通信端末。
[付記8]
前記複数の基地局からの電界強度と、エリアとが予め対応付けられた記憶部を備え、
前記基地局選択手段は、前記記憶部を参照して、前記基地局からの電界強度に対応したエリアに対応する前記基地局を選択する付記5乃至7のうち何れか1つに記載の無線通信端末。
[付記9]
建物の複数の階層に配置された複数の基地局のうち1の基地局と無線通信する無線通信端末が実行する無線通信方法であって、
前記無線通信端末が位置する階層を検出する階層検出ステップと、
前記複数の基地局のうち、前記階層検出ステップにより検出された前記階層に対応する前記基地局を選択する基地局選択ステップと、
前記基地局選択ステップにより選択された前記基地局と無線通信を行う制御を実行する通信制御ステップと、
を含む無線通信方法。
[付記10]
建物の複数の階層に配置された複数の基地局のうち1の基地局と無線通信する無線通信端末を制御するコンピュータに、
前記無線通信端末が位置する階層を検出する階層検出手段、
前記複数の基地局のうち、前記階層検出手段により検出された前記階層に対応する前記基地局を選択する基地局選択手段、
前記基地局選択手段により選択された前記基地局と無線通信を行う制御を実行する通信制御手段、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0100】
10・・・無線通信システム、11・・・OESシステム、12・・・コントローラ、21・・・ネットワーク、31・・・基地局、32・・・OESコントローラ、33・・・OES端末、111・・・CPU、112・・・ROM、113・・・RAM、114・・・バス、115・・・入出力インターフェース、116・・・3軸加速度センサ、117・・・高度センサ、118・・・入力部、119・・・表示部、120・・・記憶部、121・・・通信部、122・・・ドライブ、141・・・リムーバブルメディア、141・・・検出部、142・・・計時部、143・・・階層検出部、144・・・基地局選択部、145・・・通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の複数の階層に配置された複数の基地局のうち1の基地局と無線通信する無線通信端末であって、
前記無線通信端末が位置する階層を検出する階層検出手段と、
前記複数の基地局のうち、前記階層検出手段により検出された前記階層に対応する前記基地局を選択する基地局選択手段と、
前記基地局選択手段により選択された前記基地局と無線通信を行う制御を実行する通信制御手段と、
を具備する無線通信端末。
【請求項2】
前記無線通信端末は、
加速度センサから出力された加速度を検出する検出手段と、
前記検出手段による加速度の検出が開始されてから所定の時間を計時する計時手段と、を更に備え、
前記階層検出手段は、前記検出手段により検出された加速度と、前記計時手段により計時された時間とに基づいて、前記無線通信端末が位置する階層を検出する請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項3】
前記無線通信端末は、高度センサから出力された高度を検出する検出手段を更に備え、
前記階層検出手段は、前記検出手段により検出された高度に基づいて、前記無線通信端末が位置する階層を検出する請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項4】
前記複数の基地局からの電界強度と、階層とが予め対応付けられた記憶部を備え、
前記基地局選択手段は、前記記憶部を参照して、前記基地局からの電界強度に対応した階層に配置された前記基地局を選択する請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の無線通信端末。
【請求項5】
複数の異なるエリア内に配置された複数の基地局のうち1の基地局と無線通信する無線通信端末であって、
前記無線通信端末の移動形態を認識する認識手段と、
前記認識手段により認識された移動形態に基づいて、前記無線通信端末が移動したエリアを検出するエリア検出手段と、
前記複数の基地局のうち、前記エリア検出手段により検出された前記エリアに配置された前記基地局を選択する基地局選択手段と、
前記基地局選択手段により選択された前記基地局と無線通信を行う制御を実行する通信制御手段と、
を具備する無線通信端末。
【請求項6】
前記認識手段は、前記無線通信端末の移動形態として、基準位置からの垂直方向の移動を認識する請求項5に記載の無線通信端末。
【請求項7】
前記認識手段は、前記無線通信端末の移動形態として、基準位置からの水平方向の移動を認識する請求項5に記載の無線通信端末。
【請求項8】
前記複数の基地局からの電界強度と、エリアとが予め対応付けられた記憶部を備え、
前記基地局選択手段は、前記記憶部を参照して、前記基地局からの電界強度に対応したエリアに対応する前記基地局を選択する請求項5乃至7のうち何れか1項に記載の無線通信端末。
【請求項9】
建物の複数の階層に配置された複数の基地局のうち1の基地局と無線通信する無線通信端末が実行する無線通信方法であって、
前記無線通信端末が位置する階層を検出する階層検出ステップと、
前記複数の基地局のうち、前記階層検出ステップにより検出された前記階層に対応する前記基地局を選択する基地局選択ステップと、
前記基地局選択ステップにより選択された前記基地局と無線通信を行う制御を実行する通信制御ステップと、
を含む無線通信方法。
【請求項10】
建物の複数の階層に配置された複数の基地局のうち1の基地局と無線通信する無線通信端末を制御するコンピュータに、
前記無線通信端末が位置する階層を検出する階層検出手段、
前記複数の基地局のうち、前記階層検出手段により検出された前記階層に対応する前記基地局を選択する基地局選択手段、
前記基地局選択手段により選択された前記基地局と無線通信を行う制御を実行する通信制御手段、
を含む制御処理を実行させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate