説明

無線通信端末の利用制限装置、無線通信端末、及び、その利用制限方法

【課題】
細かくかつ確実に、無線通信機器の使用制限を行うことのできる利用制限方式の提供。
【解決手段】
顧客情報管理システムが、利用制限装置に対して、監視対象となる無線通信端末を通知する。次いで、利用制限装置が、無線通信システムに対して、監視対象の無線通信端末の位置情報を照会する。利用制限装置は、該位置情報に基いて、無線通信端末が所定のエリアに存在するか否かを判定する。利用制限装置は、前記判定結果に基き、利用制限を行う無線通信端末を指定した利用制限要求を生成し、無線通信システムに対して送信する。無線通信システムは、利用制限要求に指定された無線通信端末に対して制御信号を送出し、無線通信端末をして、利用制限動作を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話に代表される無線通信端末の利用を自動的に制限するための利用制限装置、無線通信端末、及び、その利用制限方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機や医療施設等では、精密機器への影響が懸念されるため、電磁波を発しうる機器の使用を禁止する措置が採られている。しかしながら、ユーザの自主的な協力に依存する方法では、徹底することが難しく、自動的乃至強制的に、電磁波障害を阻止できる技術として、大きく2つの方式が提案されている。
【0003】
第1の方式は、禁止エリア用の基地局を設けて携帯電話の機能制限を行うものである。例えば、特開平10−215483号公報には、デジタル携帯電話システムにおいて、病院や航空機等の携帯電話機の使用を禁止する病院や航空機等の禁止エリアに、発信規制が設定された報知情報を送信する禁止エリア基地局を設置し、携帯電話機が禁止エリア基地局の受信レベルが所定レベル以上になった場合、禁止エリア基地局に位置登録を行うとともに、前記報知情報に設定された発信規制に基づいて携帯電話機の送信部をオフすることによって、携帯電話機の送信機能を停止させる携帯電話システムが開示されている。
【0004】
第2の方式は、携帯電話が位置情報を取得し又は提供を受けて、禁止エリアに位置するのか否かを判断して機能制限を行うものである。例えば、特開2001−157266号公報には、CDMA携帯電話システムにおいて、基地局から携帯電話端末に対し随時接続先基地局の情報が報知されていることに着目し、受信した接続先基地局情報と、携帯電話機内部ROMに予め記憶されている禁止エリア基地局情報とが一致した場合、電源の自動遮断動作を行うようにした移動通信システム及び移動通信機が紹介されている。
【0005】
図6は、上記各公報記載の技術を簡単に説明するための図である。特開平10−215483号公報の方式では、航空機や病院等の携帯電話の使用を禁止したいエリアに新たに禁止エリア基地局1を設置する。禁止エリア基地局1から送信される無線信号Lxには発信規制信号が含まれていて、携帯電話端末機2がこの基地局装置に位置登録を行うと、発信規制により、少なくとも送信部9は動作しなくなることにより、携帯電話の発する電磁波による影響が回避される。また、特開2001−157266号公報の方式では、禁止エリア基地局1から送信される無線信号Lxには基地局情報が含まれていて、これを携帯電話端末機2がROM11に記憶されている禁止エリア基地局情報と比較し、両者が一致した場合、少なくとも送信部9は動作しなくなることにより、携帯電話の発する電磁波による影響が回避される。
【0006】
【特許文献1】特開平10−215483号公報
【特許文献2】特開2001−157266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特開平10−215483号公報等の前者の方式では、禁止エリアを設けるために、専用の基地局装置を新たに設置する必要があり、導入の際と運用面において大きなコストがかかるという問題点がある。また、特開2001−157266号公報等の後者の方式では、禁止を望むエリアと、基地局がカバーするエリアが必ずしも一致しないため、時として使用禁止エリアが必要以上に広範になってしまうという問題点がある。例えば、空港においては、航空機に搭乗した乗客の持つ携帯電話の使用を禁止しているが、1つの基地局が空港をカバーしている場合、ターミナルビル内においても、携帯電話の使用が不可能となってしまう。また、同公報の方式では、禁止エリアの新設、移動、廃止等が行われた場合、実際の禁止エリアと一致させるため、各携帯端末に記憶されている禁止エリアの基地局情報を最新のものに保つしくみが必要となる。そして、この禁止エリア基地局情報が未更新である携帯電話では、使用禁止となるべき場所で着信してしまう、使用しても問題のない場所で使用ができなくなる等の不都合が生じてしまい、本来の目的とする電源断の徹底すらままならなくなるのである。
【0008】
また、上記した従来の技術では、エリア情報のみによって携帯電話端末の利用を制限しているが、時間帯等に応じてエリアの禁止/許可を細かく設定できるようにすることが必要となる場面が想定される。空港の例でいえば、航空機に搭乗後、離陸準備段階にて客室乗務員が携帯電話を使用禁止とするように案内する運用がなされているように、着席中であっても、携帯電話を使用しても問題の無い時間帯がある。また、公共の場所等において、混雑する時間帯は、全面的に携帯電話の電源を断にするよう制御し、その他の時間帯は、所定の禁止エリアでのみ携帯電話の電源を断にするといったきめ細かい設定ができれば、利用者にも便利である。
【0009】
本発明は、上記した各事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、導入・運用コストを抑えることができ、細かくかつ確実に電磁波を発する機器のうち無線通信手段を有する機器の利用制限を行うことのできる利用制限装置、利用制限装置によって電源断制御される無線通信端末及びその利用制限方法を提供することにある。
【0010】
また、空港施設や病院に代表される機器禁止エリアが設けられる施設で使用される業務システムにおいて、利用者登録の一項目として、携帯電話番号等の端末番号が設けられていることも多い。本発明は、上記登録項目に含まれる端末番号を有効に利用する技術も併せて提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段を提供する本発明の第1の視点によれば、利用制限エリアに位置し、その無線通信端末の端末番号が指定されたものである場合に、利用制限制御を行うこととした無線通信端末の利用制限方法が提供される。無線通信端末は、所定の制御信号を受信すると、所定の利用制限動作(無線通信端末のすべての機能の停止、送信機能、着信報知機能等一部機能の停止、操作の無効化、電源の断制御等)を実行するものが用いられる。このような無線通信端末を含み、各無線通信端末の無線通信を制御する無線通信システムと、に接続された無線通信端末の利用制限装置が用意される。まず、前記無線通信端末の利用制限装置が、前記無線通信システムに対して、無線通信端末番号等にて監視対象として予め指定された無線通信端末群の位置情報を照会する。監視対象となった無線通信端末の位置情報を受信すると、前記無線通信端末の利用制限装置は、前記位置情報に基いて、無線通信端末が所定の利用制限エリアに位置するか否かを判定する。前記無線通信端末の利用制限装置は、前記判定結果に基き、利用制限を行う無線通信端末を指定した利用制限要求を生成し、前記無線通信システムに対して送信する。前記利用制限要求を受信した無線通信システムは、利用制限要求に指定された無線通信端末に対して制御信号を送出し、無線通信端末をして、利用制限動作を実行させる。
【0012】
また、本発明の第2の視点によれば、既存の無線通信システムと、利用者情報管理システムに接続し、アドオンする方式で、上記した方法を好ましく実施できる無線通信端末の利用制限装置と、そのような無線通信ネットワークで用いるに好ましい無線通信端末が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、既存のシステムをそのまま利用できるため、導入・運用コストを抑えることができ、また、端末を指定した細かくかつ確実な利用制限の実施が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
続いて、空港施設での運用を想定した、本発明のその好ましい一実施の形態について説明する。本発明は、入場ゲート(図1の104)と、顧客情報管理システム(図1の105)と、航空管制システム(図1の106)と、に加えて、携帯電話事業者が運用する携帯電話システム(図1の109)と接続された携帯電話禁止制御装置(図1の110)を設けて構成される(図1参照)。
【0015】
携帯電話端末(図1の102)は、制御コード識別部(図2の205)およびCPU(図2の206)および電源部(図2の208)等から構成される。制御コード識別部(図2の205)は、受信された無線信号から制御コードを識別する。CPU(図2の206)は、制御コード識別部(図2の205)から、所定の機能の利用制限を行うべき制御コードを受信したことを通知されると、電源部(図1の208)に該利用制限対象となる機能ブロックの電源の切断を指示制御することで、携帯電話端末の利用制限を実現する(図2参照)。
【0016】
顧客情報管理システム(図1の105)は、乗客が航空チケットを購入する際に、顧客情報として、氏名・住所等と共に記載された携帯電話番号を記憶し、ID番号(搭乗券番号)を記録したチケットを発券しておくものとする。
【0017】
その作用を説明すると、まず、携帯電話禁止制御装置(図1の110)は、入場ゲート(図1の104)を介して、乗客の持つチケット(図1の101)に記録されたID番号を取得し、顧客情報管理システム(図1の105)から、これに基づいて携帯電話番号を照会する。次に、携帯電話禁止制御装置(図1の110)は、この携帯電話番号から携帯電話システム(図1の109)内の携帯電話管理センター(図1の107)に対して携帯電話の位置情報を照会・取得し、乗客の持つ携帯電話端末(図1の102)のうち利用制限エリアに位置する携帯電話端末(図1の102)を特定する。次に、携帯電話禁止制御装置(図1の110)は、航空管制システム(図1の106)から機器の使用禁止要請を受信すると、位置情報にて特定された携帯電話端末の携帯電話番号を携帯電話管理センター(図1の107)に対して通知し、携帯電話管理センター(図1の107)から所定の機能の利用制限を要求させて、携帯電話端末(図1の102)の機能の利用制限を行う(図3参照)。
【0018】
なお、携帯電話の利用制限を加える禁止制御装置(図1の110)は、携帯電話端末(図1の102)から受信応答がなされない場合、携帯電話端末(図1の102)に対し再度、制御コードを送出する。
【0019】
以上の実施の形態によれば、携帯電話事業者が運用する携帯電話システム(図1の109)と接続し、乗客の持つ携帯電話番号、及び、携帯電話の位置情報を取得し、携帯電話端末(図1の102)の所定の機能の利用制限を必要とするタイミングに、所定の制御コードを送出して、携帯電話端末(図1の102)の利用制限を可能とするものであるため、単に、携帯電話の利用制限エリアに位置するだけでなく、利用制限対象となる携帯電話端末を特定して利用制限を加えることが可能となる。
【実施例1】
【0020】
次に、本発明の第1の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明を空港における携帯電話の使用禁止制御に用いた第1の実施例のシステム構成を説明するための図である。
【0021】
図1を参照すると、本実施例は、乗客の持つチケット101並びに携帯電話端末102と、チケット101をチェックし、航空機への入場を管理するための入場ゲート104と、チケットを購入した顧客情報を管理する顧客情報管理システム105と、航空機の発着を管理している航空管制システム106と、携帯電話の使用禁止を判断し携帯電話使用禁止要求を発する携帯電話禁止制御装置110と、携帯電話システム109から構成される。
【0022】
チケット101は、固有のID番号が記録された搭乗券である。この固有のID番号は顧客情報管理システム105にて管理している航空便毎の搭乗者リストとリンクしている。
【0023】
入場ゲート104は、乗客が航空機に搭乗する際に挿入されるチケット101からID番号を読み取り、顧客情報管理システム105、及び、携帯電話禁止制御装置110に通知する機能と、前記通知に対する顧客情報管理システム105からの応答(通過許可/通過不許可)に応じて、ゲートを開閉制御する機能とを有する改札装置である。なお、これら入場ゲート104は、航空便毎に設置されているものとする。
【0024】
顧客情報管理システム105は、航空便毎の搭乗者リストを作成し管理する機能を有している。搭乗者リストは、乗客がチケット101を購入する際に、氏名・住所などと共に記載した携帯電話番号等を含んだ顧客の個人情報、及び、チェックインの際の座席情報等から構成され、チケットに記録されたものと同一の固有のID番号が搭乗者毎に付与されている。顧客情報管理システム105は、入場ゲート104からID番号が通知されると、搭乗者リストを検索し、入場ゲート104から送信されるID番号及び入場ゲート104の識別情報と照合し、乗客の搭乗許否を判定して、入場ゲート104に応答する。
【0025】
航空管制システム106は、運行スケジュールに基づいて、航空機が離陸準備に入る等、通信機器が発信する電磁波が航空機の運行に重大な影響を及ぼす前の所定のタイミングで、携帯電話禁止制御装置110に対して、携帯電話を使用禁止とすべきトリガ信号を送信する機能を有している。
【0026】
携帯電話システム109は、携帯電話端末102の位置登録情報等の管理を行っている携帯電話管理センター107と、特定のエリアをカバーし携帯電話端末と無線通信を行う複数の基地局装置108と、から構成され、携帯電話ネットワークを構成している。
【0027】
携帯電話禁止制御装置110は、入場ゲート104からID番号が通知された場合、顧客情報管理システム105に対して、該ID番号に対応する携帯電話番号を問い合わせ、問い合わせた携帯電話番号をID番号と共に記憶しておく機能と、航空管制システム106から携帯電話を使用禁止とすべきトリガ信号を受信した場合、携帯電話管理センター107に対して、前記ID番号に対応する携帯電話番号を有する携帯電話端末の位置情報を問い合わせる機能と、携帯電話管理センター107から問い合わせた携帯電話端末の位置情報を受信すると、受信した位置情報に基いて携帯電話端末が禁止エリア内にあるか否かを判断し、禁止エリア内にあると判断した携帯電話端末102に対して、携帯電話管理センターに使用禁止要求を通知する機能と、を有している。更に、携帯電話禁止制御装置110は、上記位置情報による判定の結果、禁止エリア内に無いと判断された携帯電話端末102に対して、一定時間後に再度携帯電話管理センター107に問い合わせる機能も有している。
【0028】
携帯電話管理センター107は、一般の携帯電話管理センター機能に加えて、携帯電話禁止制御装置110からの位置情報の問い合わせに対し、該当する携帯電話端末102の位置情報を検索し通知する機能と、携帯電話禁止制御装置110からの使用禁止要求に応じて、基地局装置108に対して、携帯電話端末102をして電源断制御を行わせる制御コードを送信する機能と、を有している。なお、上記位置情報の検索の際、携帯電話端末102が電源OFFされている等のために位置が特定できない場合は、携帯電話管理センター107は、位置情報無し(NULL)を通知するものとする。
【0029】
基地局装置108は、一般の基地局機能に加えて、携帯電話管理センター107からの携帯電話端末の電源断の制御コードを受信すると、無線信号に変換し、携帯電話端末102に対して送信する機能と、携帯電話端末102から無線信号を受信し、これが電源切断制御応答コードの場合に携帯電話管理センター107に送信する機能と、を有している。
【0030】
携帯電話端末102は、一般の携帯電話機能に加えて、受信した無線信号から制御コードを抽出して、電源切断指令を意味する制御コードである場合に電源を自動切断する機能と、電源切断指令を受け付けたことを示す電源切断制御応答コードを無線信号に変換し、送信する機能とを有している。
【0031】
図2は、本実施例にて用いる携帯電話端末102の構成を表したブロック図である。携帯電話端末102は、アンテナ201と、受信部202と、送信部203と、制御部204と、電源部208と、LCD表示部209と、キー操作部210と、から構成される。更に、制御部204は、制御コード識別部205と、CPU206と、制御応答コード送信部207と、から構成される。
【0032】
アンテナ201、受信部202、制御コード識別部205は、基地局装置108から送信された無線信号をデジタル信号に変換し、制御コードを識別し、CPU206に通知する機能を有している。
【0033】
CPU206は、制御コードを受信すると、制御内容に応じて、電源部208やLCD表示部209等を制御する機能と、制御コードを受信したことを上位局に報告するため、制御応答コード送信部207を制御する機能と、を有している。
【0034】
電源部208は、携帯電話端末102の電源を制御する機能を有している。例えば、CPU206から指令に基づき、受信部202と、送信部203のみ電源を切断する等、所定のブロック毎に電源のオンオフが制御される。
【0035】
制御応答コード送信部207、送信部203、アンテナ201は、CPUからの制御により電源断制御応答コードを無線信号に変換し、基地局装置108に送信する機能を持つ。
【0036】
続いて、本実施例の動作について、図面を参照して、詳細に説明する。図3は、乗客がチケットを購入しており、予め顧客情報管理システム105に、搭乗者リストに該乗客のデータが登録されている状態からの本実施例の動作を示した図である。なお、図3は、1つの航空便(入場ゲート)に着目してその動作を説明するためのものである。もちろん、他の航空便については、図示しない入場ゲートを介して同様の動作が並列的に行われる。
【0037】
まず、乗客がチケットを入場ゲート104に挿入すると、入場ゲート104は、チケット101からID番号を読み出し、自装置の端末番号(端末ID)と共に、顧客情報管理システム105と、携帯電話禁止制御装置110に対して、送信する(ステップS001)。
【0038】
顧客情報管理システム105は、入場ゲート104の端末番号(端末ID)に基づいて、該当する航空便の搭乗者リストと受信したID番号との照合を行い、その結果に基づいて、入場ゲート104に対して、乗客の通過許可/不許可を応答する(ステップS002)。ここで、通過許可の応答を受信した入場ゲート104は、ゲート部を開制御し、乗客の搭乗口へと案内する(ステップS003)。
【0039】
一方、ID番号を受信した携帯電話禁止制御装置110は、顧客情報管理システム105に対して、ID番号を指定した携帯電話番号送信要求を送信し、ID番号に対応する乗客の携帯電話番号を照会する(ステップS004)。
【0040】
顧客情報管理システム105は、搭乗者リストの個人情報を格納した部分から、携帯電話禁止制御装置110から受信したID番号に対応する携帯電話番号を探索し、携帯電話禁止制御装置110に対して送信する(ステップS005)。
【0041】
携帯電話禁止制御装置110は、乗客が入場ゲートに入場していくに従って、上記S001からS005までの動作を繰り返し、航空機に搭乗したすべての乗客が所持する携帯電話端末102の携帯電話番号を記憶する(ステップS006)。
【0042】
航空機が離陸準備に入る等、携帯電話端末が発信する電磁波が航空機の運行に重大な影響を及ぼすような段階に入る前のタイミングで、航空管制システム106は、携帯電話禁止制御装置110に対して、携帯電話使用禁止を通知・要請する(ステップS007)。
【0043】
携帯電話禁止制御装置110は、航空管制システム106から携帯電話使用禁止通知を受信すると、携帯電話システム109の携帯電話管理センター107に対して、前記記憶した携帯電話番号によって携帯電話端末102を特定し、搭乗済みのすべての乗客が所持する携帯電話端末の位置情報を要求する(ステップS008)。
【0044】
携帯電話システム109の携帯電話管理センター107は、携帯電話禁止制御装置110から指定された携帯電話番号に対応する携帯電話端末102の位置情報を検索し、携帯電話禁止制御装置110に対して送信する(ステップS009)。
【0045】
携帯電話禁止制御装置110は、携帯電話管理センター107から受信した各携帯電話端末102の位置情報と、禁止エリア相当の位置情報と照合し、携帯電話端末102が禁止エリア内に位置することを示す携帯電話端末を抽出し、使用禁止制御を行う携帯電話端末102を列記した使用禁止リストを生成する(ステップS010)。
【0046】
なお、携帯電話端末102が禁止エリア内に持ち込まれる際に、電源がOFFとなっている場合も想定されるが、その場合、携帯電話システム109の携帯電話管理センター107は、当該携帯電話端末102の位置情報としてNULL値を応答するようにし、携帯電話禁止制御装置110が、位置情報がNULL値である携帯電話端末102を使用禁止リストに含めないようすればよい。
【0047】
携帯電話禁止制御装置110は、携帯電話システム109の携帯電話管理センター107に対して、上記ステップS010にて生成した携帯電話端末102の使用禁止リストを含んだ使用禁止の要求を送信する(ステップS011)。
【0048】
使用禁止リストを含んだ使用禁止の要求を受けた携帯電話システム109の携帯電話管理センター107は、使用禁止リストに挙げられた携帯電話端末102をして電源切断制御を行わせるため、基地局装置108に対して、使用禁止リストに挙げられた各携帯電話端末102を特定した所定の制御コードを送信する。そして、この制御コードは、基地局装置108によって無線信号に変換され、それぞれの携帯電話端末102にて受信される(ステップS012)。
【0049】
携帯電話端末102は、前記電源切断を意味する所定の制御コードを受信すると、自装置が電源切断制御コードを受信したことを意味する切断制御応答コードを無線信号にて、基地局装置108に対して送信した後、電源切断動作を行う(ステップS013)。
【0050】
携帯電話端末102における電源切断動作の一例を説明すると以下のとおりとなる。受信部202及び制御コード識別部205は、アンテナ201より受信した無線信号から、制御コードが識別された場合、CPU206に対してその旨を通知する。CPU206は、通知された制御コードを解読し、制御コードの内容が電源切断指令であった場合、電源部208に対して、キー操作部210の図示しない電源ONキー検出部以外のブロックの電源を切断するよう指令する。
【0051】
また、上記電源ONキー検出部以外のブロックの電源を切断することに代えて、送信部203のみ電源を切断するよう動作させてもよい。この場合、LCD表示部209に「只今、携帯電話の使用を禁止しております。」等のメッセージを表示し、乗客に使用禁止中(利用制限モード)であることを明示することができる。
【0052】
携帯電話システム109の基地局装置108は、携帯電話端末102より受信した無線信号を変換し、携帯電話管理センター107に対して切断制御応答コードを送信する。携帯電話システム109の携帯電話管理センター107は、切断制御応答コードを受信すると、携帯電話禁止制御装置110に対して当該携帯電話端末102から切断制御応答を送信する(ステップS014)。
【0053】
携帯電話禁止制御装置110は、切断制御応答を受信すると、使用禁止リストから該当する携帯電話端末102の携帯電話番号を削除する(ステップS015)。
【0054】
携帯電話禁止制御装置110は、所定の時間間隔で、使用禁止リストがNULLになったか否かを確認し、航空機内のすべての携帯電話端末102の電源切断に成功していない(使用禁止リスト≠NULL)場合、再びステップS011の動作に戻り、依然電源切断となっていない携帯電話端末の使用禁止の要求を再送する(ステップS016)。
【0055】
以上のとおり、例えば、他人に携帯電話端末を貸している場合、携帯電話端末を自宅に置いてきている場合等、搭乗者が携帯電話端末102を携行していない場合、即ち、携帯電話端末102が禁止エリア内に持ち込まれていない場合は、上記ステップS010にて使用禁止エリア外であると判断され、ステップS011の使用禁止要求の対象にならないことになる。このため、携帯電話端末102が電源切断されることはなく、そのまま諸機能を利用することができる。
【0056】
以上、本発明を空港における携帯電話の使用禁止制御に適用した第1の実施例を説明したが、上記実施例からも明らかなとおり、本発明によれば、新たな基地局装置を設置すること無く、禁止エリアを設けることが可能であり、大きな初期コスト及びランニングコストを必要としないという利点がある。また、特開2001−157266号公報のように、禁止エリアの新設・廃止等に伴う携帯電話端末側の禁止エリア情報の更新操作の必要がないため、確実に禁止エリアでの利用制限ができるものともなっている。
【0057】
また、本実施例では、入場ゲート104と連携を取ることとして、入場ゲートを通過した乗客を対象に携帯電話端末の使用を禁止することにしている。従って、既に設置されている基地局のカバーするエリアに依存しない携帯電話使用禁止エリアを設けることができる。
【0058】
また、本実施例では、携帯電話禁止制御装置110が、即座に使用禁止要求を行うのではなく、航空管制システム106からの使用禁止指令をまって携帯電話端末の使用禁止を要求する方式を採用しているため、使用禁止エリア内であっても、携帯電話端末を使用することができる時間帯を設けることができる。従って、入場ゲート通過後であっても、タラップを接続した駐機状態では携帯電話端末の利用を認める等の運用も可能である。
【0059】
上記実施例では、空港に設置された入場ゲート104を用いるものとして説明したが、入場ゲート104に代えて、その他の交通機関やイベント会場等の自動改札機、出入口等に置かれた端末、構内端末等を用いて携帯電話禁止制御装置と連携させて、同等の動作を行わせることが可能である。この場合、携帯電話禁止制御装置は、その他の交通機関やイベント会場に設置された指令装置からの指令をまって携帯電話端末の使用禁止を要求するものとし、混雑状態での移動中、映画やコンサートの上演中、会議や講義の受講中にのみ、携帯電話端末機能の制限を行うような運用も可能である。
【実施例2】
【0060】
続いて、本発明の第2の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。図4は、本発明を病院における携帯電話の使用禁止制御に用いた第2の実施例のシステム構成を説明するための図である。
【0061】
図4を参照すると、本実施例は、上記した第1の実施例と同様に動作する各機器を接続してなり、患者固有のID番号が記憶された診察券401(第1の実施例のチケット101に相当)並びに携帯電話端末402と、診察券401を受け付けて患者ID番号を読み出す診察受付装置404(第1の実施例の入場ゲート104に相当)と、患者の氏名、住所、携帯電話番号を含む各種連絡先、予約日時等の患者情報を管理する患者情報管理システム405(第1の実施例の顧客情報管理システム106に相当)と、携帯電話の使用禁止を判断し携帯電話使用禁止要求を発する携帯電話禁止制御装置410と、携帯電話システム409から構成される。
【0062】
続いて、本実施例の動作について、図面を参照して、詳細に説明する。図5は、患者情報が、既に登録されている状態からの本実施例の動作を示した図である。まず、患者が診察券401を診察受付装置404に挿入すると、診察受付装置404は、診察券401からID番号を読み出し、患者情報管理システム405と、携帯電話禁止制御装置410に対して、送信する(ステップS101)。
【0063】
患者情報管理システム405は、受信したID番号から患者情報検索を行い、診察の受付処理を行う(ステップS102)。
【0064】
一方、ID番号を受信した携帯電話禁止制御装置410は、患者情報管理システム405に対して、ID番号を指定した携帯電話番号送信要求を送信し、ID番号に対応する患者の携帯電話番号を照会する(ステップS103)。
【0065】
患者情報管理システム405は、患者情報から、携帯電話禁止制御装置410から受信したID番号に対応する携帯電話番号を探索し、携帯電話禁止制御装置410に対して送信する(ステップS104)。
【0066】
続いて、携帯電話禁止制御装置410は、携帯電話禁止制御装置410から患者の携帯電話番号を受信すると、携帯電話管理センター407に対して、当該携帯電話番号を有する携帯電話端末402の位置情報を要求する(ステップS105)。
【0067】
携帯電話システム409の携帯電話管理センター407は、携帯電話禁止制御装置410から指定された携帯電話番号に対応する携帯電話端末402の位置情報を検索し、携帯電話禁止制御装置410に対して送信する(ステップS106)。
【0068】
携帯電話禁止制御装置410は、携帯電話管理センター407から受信した各携帯電話端末402の位置情報と、禁止エリア相当の位置情報と照合し、携帯電話端末402が禁止エリア内に位置することを示す携帯電話端末402を使用禁止するよう携帯電話システム409に対して要求する(ステップS107)。
【0069】
使用禁止リストを含んだ使用禁止の要求を受けた携帯電話システム409の携帯電話管理センター407は、携帯電話端末102をして電源切断制御を行わせるため、基地局装置408に対して、使用禁止リストに挙げられた各携帯電話端末402を特定した所定の制御コードを送信する。そして、この制御コードは、基地局装置408によって無線信号に変換され、携帯電話端末402にて受信される(ステップS108)。
【0070】
携帯電話端末402は、前記電源切断を意味する所定の制御コードを受信すると、自装置が電源切断制御コードを受信したことを意味する切断制御応答コードを無線信号にて、基地局装置408に対して送信した後、電源切断動作を行う(ステップS109)。
【0071】
以上のとおり、本発明を病院における携帯電話端末の使用禁止制御に適用する場合、病院内は時刻に関係なく携帯電話の使用を禁止しているのが一般的であるから、携帯電話禁止指令を待つようなトリガ信号は必要とせず、患者が病院内に入り、診察を受け付けたとき、患者の持つ携帯電話の電源切断を実施するようにすればよい。
【0072】
以上、本発明を病院における携帯電話の使用禁止制御に適用した第2の実施例を説明したが、上記実施例からも明らかなとおり、本発明によれば、入館券を要する図書館や、会員制のレストラン等にも禁止エリアを設けることが可能である。
【0073】
また、上記した各実施例では、携帯電話端末の電源を切断する例を挙げて説明したが、電源断に代えて、通話機能に代表される各機能の利用制限、音声の消音化等、場所や時間帯に応じ、適切な機能の利用制限を行うものとしても良いことはもちろんである。
【0074】
また、上記した各実施例では、無線通信端末として、携帯電話端末の利用制限を加える例を挙げて説明したが、センタから送信した所定の制御コードを受信して、リモートで、電源断、機能制限可能なその他の無線通信端末にも適用可能である。その一例を挙げれば、上記チケット101、診察券401に代えてETC(Electronic Toll Collection)車載器を用い、入場ゲート104、診察受付装置404に代えて、料金所アンテナ装置を用いることとすれば、携帯電話禁止制御装置410と同種の装置により、高速道路における運転者の携帯電話端末や、車載テレビ等の無線通信端末と接続された機器の利用制限を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施例のシステム構成を説明するための図である。
【図2】本発明にて用いる携帯電話端末102の構成例を表したブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施例の動作を説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施例のシステム構成を説明するための図である。
【図5】本発明の第2の実施例の動作を説明するための図である。
【図6】従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
【0076】
101 チケット
102、402 携帯電話端末
104 入場ゲート
105 顧客情報管理システム
106 航空管制システム
107、407 携帯電話管理センター
108、408 基地局装置
109、409 携帯電話システム
110、410 携帯電話禁止制御装置
401 診察券
404 診察受付装置
405 患者情報管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の制御信号を受信すると所定の利用制限動作を実行する無線通信端末の利用制限装置であって、
前記無線通信端末の無線通信を制御する無線通信システムに対して、予め指定された無線通信端末群の位置情報を照会する手段と、
前記各位置情報に基いて、所定のエリアに位置する無線通信端末を指定した利用制限要求を前記無線通信システムに送信する手段と、を備え、
前記無線通信システムをして、前記基地局装置を介して、前記指定された無線通信端末に対して前記制御信号を送出させて、前記所定のエリアに位置する無線通信端末の利用制限を行うこと、
を特徴とする無線通信端末の利用制限装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信端末の利用制限装置において、更に、
前記無線通信システムから前記利用制限要求に対する送信結果を受信する手段を備え、
所定のトリガ信号を受信した場合に、前記無線通信システムに対する、予め指定された無線通信端末群の位置情報の照会を開始し、前記所定のエリアに位置するすべての無線通信端末が利用制限状態となるまで、前記各位置情報に基いた前記利用制限要求を前記無線通信システムに繰り返し送信すること、
を特徴とする無線通信端末の利用制限装置。
【請求項3】
無線通信端末の無線通信を制御する無線通信システムを介して、請求項2に記載の無線通信端末の利用制限装置から利用制限を受ける無線通信端末であって、
所定の制御信号を受信すると、所定の利用制限動作を実行する手段と、
前記制御信号を受信した場合に、前記無線通信システムに対して、受信応答を送信する手段と、を備えること、
を特徴とする無線通信端末。
【請求項4】
無線通信端末の無線通信を制御する無線通信システムを介して、請求項2に記載の無線通信端末の利用制限装置から利用制限を受ける無線通信端末であって、
所定の制御信号を受信すると、電源遮断動作を実行する手段と、
前記制御信号を受信した場合に、前記無線通信システムに対して、受信応答を送信する手段と、を備えること、
を特徴とする無線通信端末。
【請求項5】
所定の制御信号を受信すると、所定の利用制限動作を実行する無線通信端末の無線通信を制御する無線通信システムと、各無線通信端末番号を含む利用者情報を管理する利用者情報管理システムと、に接続された無線通信端末の利用制限装置を用いる無線通信端末の利用制限方法であって、
前記利用者情報管理システムが、前記無線通信端末の利用制限装置に対して、監視対象となる無線通信端末番号を送信する工程と、
前記無線通信端末の利用制限装置が、前記無線通信システムに対して、受信した無線通信端末番号を有する無線通信端末の位置情報を照会する工程と、
前記無線通信端末の利用制限装置が、前記無線通信システムから応答された位置情報に基いて、無線通信端末が所定のエリアに位置するか否かを判定し、利用制限を行う無線通信端末を指定した利用制限要求を生成し、前記無線通信システムに対して送信する工程と、
前記無線通信システムが、前記利用制限要求に指定された無線通信端末に対して前記制御信号を送出し、無線通信端末の利用制限を行う工程と、を含むこと、
を特徴とする無線通信端末の利用制限方法。
【請求項6】
所定の制御信号を受信すると、所定の利用制限動作を実行する無線通信端末の無線通信を制御する無線通信システムと、所定の制御スケジュール及び各無線通信端末番号を含む利用者情報を管理する利用者情報管理システムと、に接続された無線通信端末の利用制限装置を用いる無線通信端末の利用制限方法であって、
前記利用者情報管理システムが、前記無線通信端末の利用制限装置に対して、監視対象となるユーザの属性情報と無線通信端末番号を送信する工程と、
前記無線通信端末の利用制限装置が、前記属性情報毎に、受信した無線通信端末番号を記憶する工程と、
前記利用者情報管理システムが、前記無線通信端末の利用制限装置に対して、前記制御スケジュールに従って前記属性情報を指定したトリガ信号を送信する工程と、
前記無線通信端末の利用制限装置が、前記無線通信システムに対して、前記トリガ信号で指定された属性情報に適合する無線通信端末の位置情報を照会する工程と、
前記無線通信端末の利用制限装置が、前記無線通信システムから応答された位置情報に基づいて、所定のエリアに位置し、かつ、受信肯定応答のない無線通信端末を指定した利用制限要求を生成し、前記無線通信システムに対して送信する工程と、
前記無線通信システムが、前記利用制限要求に指定された無線通信端末に対して前記制御信号を送出する工程と、
前記無線通信システムが、前記無線通信端末の利用制限装置に対して、受信肯定応答のあった無線通信端末を通知する工程と、を含み、
利用者の属性情報毎に、無線通信端末の利用制限を行う無線通信端末の利用制限方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−5471(P2006−5471A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177294(P2004−177294)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】