説明

無線通信端末装置及び当該無線通信端末装置を用いたシステム

【課題】無線通信端末装置を用いて構築されるアドホックネットワークを介して音声通話を適切に行う。
【解決手段】本無線通信端末装置は、アドホックネットワークを介して他の無線通信端末装置と通話のための通信を行う無線通信端末装置であって、ユーザから指定される通話先の無線通信端末装置と自無線通信端末装置との間のホップ数を、通話先の無線通信端末装置から受信したパケット又は他の無線通信端末装置の識別情報と当該他の無線通信端末装置迄のホップ数とを格納する管理テーブルから取得するホップ数取得手段と、取得されたホップ数に応じてジッタバッファのサイズを決定し、設定するジッタバッファサイズ設定手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、アドホックネットワークを介した音声通話のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のIP(Internet Protocol)電話機で内線電話網を構成するためには主にIP−PBX(Private Branch eXchange)やSIP(Session Initiation Protocol)サーバに代表されるサーバ機が必要であり、このサーバ機が内線電話網における制御や公衆交換電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network)への接続制御を行うクライアント・サーバ型の電話システムが主流である。このようなサーバ機を主体とした内線電話網においては、サーバ機の導入に伴う費用及び設置スペースが必要であり、中小規模の事業所にとっては大きな設備投資費用となる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−235442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年無線通信技術の向上から、無線電話機が普及してきており、そのような無線電話機を活用してサーバ機を用いずに電話網を構築できれば好ましい。
【0005】
従って、本技術の目的は、無線通信端末装置を用いて構築されるアドホックネットワークを介して音声通話を適切に行うための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本無線通信端末装置は、アドホックネットワークを介して他の無線通信端末装置と通話のための通信を行う無線通信端末装置であって、ユーザから指定される通話先の無線通信端末装置と自無線通信端末装置との間のホップ数を、通話先の無線通信端末装置から受信したパケット又は他の無線通信端末装置の識別情報と当該他の無線通信端末装置迄のホップ数とを格納する管理テーブルから取得するホップ数取得手段と、取得されたホップ数に応じてジッタバッファのサイズを決定し、設定するジッタバッファサイズ設定手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
無線通信端末装置を用いて構築されるアドホックネットワークを介して音声通話を適切に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、アドホックネットワークの一例を示す図である。
【図2】図2は、無線通信端末装置の機能ブロック図である。
【図3】図3は、アドホックネットワークの初期処理を示す図である。
【図4】図4は、管理者端末の通信管理DBに格納されるデータの一例を示す図である。
【図5】図5は、管理者端末の通信管理DBに格納されるデータの一例を示す図である。
【図6】図6は、管理者端末の通信管理DBに格納されるデータの一例を示す図である。
【図7】図7は、非管理者端末の通信管理DBに格納されるデータの一例を示す図である。
【図8】図8は、端末間の通話を開始する際の処理を示す図である。
【図9】図9は、ホップ数と受信遅延時間との関係を表す図である。
【図10】図10は、ホップ数とジッタバッファサイズの関係を表す図である。
【図11】図11は、ジッタバッファサイズの調整のための処理フローを示す図である。
【図12】図12は、ジッタバッファサイズ・テーブルの一例を示す図である。
【図13】図13は、ホップ数とパケットロス数の関係を表す図である。
【図14】図14は、データ補完について説明するための図である。
【図15】図15は、ホップ数と最大補完データサイズの関係を表す図である。
【図16】図16は、補完データサイズを変更した場合について説明するための図である。
【図17】図17は、補完データサイズの調整のための処理フローを示す図である。
【図18】図18は、補完データサイズ・テーブルの一例を示す図である。
【図19】図19は、従来の無線及び有線のIP電話システムを示す図である。
【図20】図20は、通常のIP電話システムからアドホックネットワークを用いた電話システムへの移行について説明するための図である。
【図21】図21は、アドホックネットワークを用いた電話システムと通常のIP電話システムとの切り替えに伴う処理の処理フローを示す図である。
【図22】図22は、アドホックネットワークを一部採用した電話システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、本技術の実施の形態において想定するアドホックネットワークの一例を示す。図1では、端末a−1と端末b−1と端末c−1と端末d−1と端末e−1とが管理者端末として予め定められているか、または管理者端末となるような特性(例えば電話番号)を有する。そして、管理者端末である端末a−1は、予め関連付けられている端末a−2乃至a−4の情報を管理すると共に、当該端末a−1が直接無線通信可能な範囲A内の端末b−1及びc−1の情報を管理する。予め関連付けられている端末a−2乃至a−4(図1では端末a−4が該当)については、端末a−1が直接無線通信可能な範囲A内になくとも、アドホックネットワーク内の管理者端末を介して情報を取得する。さらに、管理者端末である端末a−1は、後に述べるが、直接無線通信可能な範囲A内の他の管理者端末である端末b−1及びc−1と管理情報を交換して保持するようになっている。なお、非管理者端末である端末a−2乃至a−4は、直接無線通信可能な範囲内の管理者端末の情報を保持している。
【0010】
同様に、管理者端末である端末b−1は、予め関連付けられている端末b−2及びb−3の情報を管理すると共に、当該端末b−1が直接無線通信可能な範囲B内の端末a−1及びd−1の情報を管理する。予め関連付けられている端末b−2及びb−3については、端末b−1が直接無線通信可能な範囲B内になくとも、アドホックネットワーク内の管理者端末を介して情報を取得する。さらに、管理者端末である端末b−1は、直接無線通信可能な範囲B内の他の管理者端末である端末a−1及びd−1と管理情報を交換して保持するようになっている。なお、非管理者端末である端末b−2及びb−3は、直接無線通信可能な範囲内の管理者端末の情報を保持している。
【0011】
さらに、管理者端末である端末c−1は、予め関連付けられている端末c−2の情報を管理すると共に、当該端末c−1が直接無線通信可能な範囲C内の端末a−1、端末a−3及びd−1の情報を管理する。予め関連付けられている端末c−2については、端末c−1が直接無線通信可能な範囲C内になくとも、アドホックネットワーク内の管理者端末を介して情報を取得する。さらに、管理者端末c−1は、直接無線通信可能な範囲C内の他の管理者端末である端末a−1及びd−1と管理情報を交換して保持するようになっている。なお、非管理者端末である端末c−2は、直接無線通信可能な範囲内の管理者端末の情報を保持している。
【0012】
また、管理者端末である端末d−1は、予め関連付けられている端末(図1では存在しない)の情報を管理すると共に、当該端末d−1が直接無線通信可能な範囲D内の端末b−1、b−3、c−1及びe−1の情報を管理する。さらに、管理者端末d−1は、後に述べるが、直接無線通信可能な範囲D内の他の管理者端末である端末b−1、c−1及びe−1と管理情報を交換して保持するようになっている。
【0013】
さらに、管理者端末である端末e−1は、予め関連付けられている端末e−2の情報を管理すると共に、当該端末e−1が直接無線通信可能な範囲E内の端末a−4、b−3及びd−1の情報を管理する。予め関連付けられている端末e−2については、端末e−1が直接無線通信可能な範囲E内になくとも、アドホックネットワーク内の管理者端末を介して情報を取得する。さらに、管理者端末である端末e−1は、直接無線通信可能な範囲E内の他の管理者端末d−1と管理情報を交換して保持するようになっている。なお、非管理者端末である端末e−2については、直接無線通信可能な範囲内の管理者端末の情報を保持している。
【0014】
アドホックネットワークであるから、図1は一時的な状態を示しているに過ぎず、端末は自由に移動して異なるネットワーク状態に遷移する。例えば端末a−2が移動して範囲Bと範囲Eが重なる領域に移動したとすると、管理者端末b−1及びe−1は、端末a−2の情報を管理するようになる。また、管理者端末a−1は、端末a−2を範囲Aの中で見つけ出すことができなくなるので、アドホックネットワーク内の他の管理者端末を介して情報を取得する。
【0015】
このようなアドホックネットワークのノードを構成する無線通信端末装置は、例えば図2に示すような構成を有する。無線通信端末装置1000は、通信部100と、通信部100で受信した音声データを格納するジッタバッファ110と、ジッタバッファ110に格納されている音声データに対して周知の音声出力処理を実施する音声出力処理部120と、音声出力処理部120からのアナログ音声信号に従って音声を出力するスピーカ130と、ジッタバッファサイズ及び紛失データを補完する補完処理を行う範囲を表す補完データサイズを決定する音声出力制御部140と、ジッタバッファサイズ及び最大補完データサイズの初期値を格納する初期値テーブル150と、マイク160と、マイク160から入力されたアナログ音声信号を周知の方法で音声ディジタルデータに変換する音声入力処理部170と、音声入力処理部170で生成された音声ディジタルデータを格納する送信データバッファ180とを有する。
【0016】
また、通信部100は、無線信号からパケットデータを抽出する受信部101と、送信データバッファ180に格納されている音声ディジタルデータをパケットにして無線信号で送出する送信部103と、受信部101及び送信部103を制御することによって他の無線通信端末装置との所定のプロトコルによる通信を可能にする通信制御部102と、通信制御部102によって用いられる、他の無線通信端末装置についての情報を格納する通信管理DB104とを有する。なお、受信部101は、受信バッファ1011を有しており、受信したパケットを一旦受信バッファ1011に格納すると共に、自無線通信端末装置宛のパケットについてはペイロード部分をジッタバッファ110に格納する。また、通信制御部102は音声出力制御部140と連携するようになっている。
【0017】
また、音声出力処理部120は、音声出力制御部140による指示に従ってデータ補完処理(パケット補完処理とも呼ぶ)を実施するPLC(Packet Loss Concealment)部121を含む。
【0018】
次に、図3乃至図7を用いてアドホックネットワークにおける通信方式について概略を説明する。図3では、図1に示した端末のうち一部の端末について初期設定を行う段階について説明している。まず、端末a−2の送信部103は、通信制御部102の指示に応じて、自端末が管理者端末になれるかを問い合わせる判定パケット(例えば電話番号を含む)をブロードキャスト又はマルチキャストする(ステップ(1))。端末a−1の受信部101は、判定パケットを端末a−2から受信すると、判定パケットのデータを通信制御部102に出力する。ここで、所定のルール(例えば電話番号やIPアドレスの大小関係)にて、端末a−2が管理者端末となるか否かを判断する。ここでは端末a−1には電話番号4000が割り当てられており、端末a−2には電話番号4001が割り当てられているとすると、電話番号4000以上4100番未満においてより小さい電話番号が割り当てられている端末a−1が管理者端末になるべきと判断し、端末a−1の通信制御部102は、拒否パケットを送信部103に、端末a−2へ送信させる(ステップ(2))。端末a−2の受信部101は、端末a−1から拒否パケットを受信し、通信制御部102に出力する。これにより、管理者端末になれないことが分かる。
【0019】
また、端末a−1の送信部103は、通信制御部102の指示に応じて、自端末が管理者端末になれるかを問い合わせる判定パケットをマルチキャスト又はブロードキャストする(ステップ(3))。端末a−2の受信部101は、判定パケットを端末a−1から受信すると、判定パケットのデータを通信制御部102に出力する。上で述べたルールに従って、端末a−1の方が電話番号が小さいので、端末a−1からの要求は妥当であるとして、端末a−2の通信制御部102は、許可パケットを送信部103に、端末a−1へ送信させる(ステップ(4))。端末a−1の受信部101は、端末a−2から許可パケットを受信し、通信制御部102に出力する。
【0020】
このようなやりとりに基づき、端末a−2については非管理者端末であって端末a−1に管理されるということが、端末a−2の通信制御部102により通信管理DB104に登録される。また、端末a−1については管理者端末であって端末a−2を管理するということが、端末a−1の通信制御部102により通信管理DB104に登録される。通信管理DB104に登録されるデータについては、後に説明する。
【0021】
また、上ではその都度管理者端末であるか否かを判断するようになっているが、予め管理者端末である端末には管理者端末であることを設定しておき、非管理者端末である端末についてはステップ(1)及び(2)を実施するようにしても良い。
【0022】
また、管理者端末である端末a−1の通信制御部102は、送信部103に判定パケットをマルチキャスト又はブロードキャストさせる(ステップ(5))。端末b−1の受信部101は、端末a−1から判定パケットを受信すると、判定パケットのデータを通信制御部102に出力する。端末b−1は、例えば電話番号4100が割り当てられており、管理者端末になるので、端末b−1の通信制御部102は、拒否パケットを送信部103に、端末a−1へ送信させる(ステップ(6))。端末a−1の受信部101は、端末b−1から拒否パケットを受信し、通信制御部102に出力する。これにより端末a−1の通信制御部102は、端末b−1が管理者端末であると判断する。
【0023】
また、端末b−2の送信部103は、通信制御部102の指示に応じて、判定パケットをマルチキャスト又はブロードキャストする(ステップ(7))。端末b−1の受信部101は、判定パケットを端末b−2から受信すると、判定パケットのデータを通信制御部102に出力する。ここでは端末b−2には電話番号4101が割り当てられているとすると、電話番号4100番台においてより小さい電話番号が割り当てられている端末b−1が管理者端末になるべきと判断し、端末b−1の通信制御部102は、拒否パケットを送信部103に、端末b−2へ送信させる(ステップ(8))。端末b−2の受信部101は、端末b−1から拒否パケットを受信し、通信制御部102に出力する。これにより端末b−2は、管理者端末になれないことを認識する。
【0024】
さらに、端末b−1の送信部103は、通信制御部102の指示に応じて、自端末が管理者端末になれるかを問い合わせる判定パケットをマルチキャスト又はブロードキャストする(ステップ(9))。端末b−2の受信部101は、判定パケットを端末b−1から受信すると、判定パケットのデータを通信制御部102に出力する。上で述べたルールに従って、端末b−1の方が電話番号が小さいので、端末b−1からの要求は妥当であるとして、端末b−2の通信制御部102は、許可パケットを送信部103に、端末b−1へ送信させる(ステップ(10))。端末b−1の受信部101は、端末b−2から許可パケットを受信し、通信制御部102に出力する。
【0025】
このようなやりとりに基づき、端末b−2については非管理者端末であって端末b−1に管理されるということが、端末b−2の通信制御部102により通信管理DB104に登録される。また、端末b−1については管理者端末であって端末b−2を管理するということが、端末b−1の通信制御部102により通信管理DB104に登録される。
【0026】
さらに、管理者端末である端末b−1の通信制御部102は、送信部103に判定パケットをマルチキャスト又はブロードキャストさせる(ステップ(11))。端末a−1の受信部101は、端末b−1から判定パケットを受信すると、判定パケットのデータを通信制御部102に出力する。端末a−1は、例えば電話番号4000が割り当てられており、管理者端末であるので、端末a−1の通信制御部102は、拒否パケットを送信部103に、端末b−1へ送信させる(ステップ(12))。端末b−1の受信部101は、端末a−1から拒否パケットを受信し、通信制御部102に出力する。これにより端末b−1の通信制御部102は、端末a−1が管理者端末であると判断する。
【0027】
なお、非管理者端末は、自己を管理している近隣の管理者端末とは定期的に生存確認を行う。具体的には、端末a−2の通信制御部102は、送信部103に生存確認パケット(KeepAliveパケット)を、自己を管理する近隣の管理者端末である端末a−1へ送信させる(ステップ(13))。端末a−1の受信部101は、端末a−2から生存確認パケットを受信すると、通信制御部102に出力し、通信制御部102はこれによって通信管理DB104の更新が必要ないことを確認した上、送信部103にACKパケットを端末a−2へ送信させる(ステップ(14))。端末a−2は、ACKパケットを受信して、管理者端末が生存しており通信管理DB104の更新が必要ないことを確認する。
【0028】
同様に、端末b−2の通信制御部102は、送信部103に生存確認パケット(KeepAliveパケット)を、自己を管理する近隣の管理者端末である端末b−1へ送信させる(ステップ(15))。端末b−1の受信部101は、端末b−2から生存確認パケットを受信すると、通信制御部102に出力し、通信制御部102はこれによって通信管理DB104の更新が必要ないことを確認した上、送信部103にACKパケットを端末b−2へ送信させる(ステップ(16))。端末b−2は、ACKパケットを受信して、管理者端末が生存しており通信管理DB104の更新が必要ないことを確認する。
【0029】
また、近隣の管理者端末同士は、例えば定期的に自身の有する管理情報を交換して、ルーティングなどに利用する。具体的には、端末a−1の通信制御部102は、通信管理DB104から自己の無線通信可能範囲に入っている端末の情報を読み出し、これを管理情報として含む管理情報通知パケットを送信部103に、近隣の管理者端末である端末b−1へ送信させる(ステップ(17))。端末b−1の受信部101は、端末a−1から管理情報通知パケットを受信すると、通信制御部102に出力する。通信制御部102は、受信パケットの管理情報を通信管理DB104に登録すると共に、自己の無線通信可能範囲に入っている端末の情報を読み出し、これを管理情報として含む管理情報通知パケットを送信部103に、端末a−1へ送信させる(ステップ(18))。端末a−1の受信部101は、端末a−1から管理情報通知パケットを受信すると、通信制御部102に出力する。通信制御部102は、受信パケットの管理情報を通信管理DB104に登録する
【0030】
端末a−1の通信管理DB104には、例えば図4乃至図6に示すようなデータが格納される。図4は、端末a−1が必ず管理することになっている端末についての情報を示す。図1の説明でも述べたように、端末a−1には内線番号4000が割り当てられており、内線番号4000以上4100未満の端末については無線通信可能な範囲にいない場合においても必ず情報を取得して通信管理DB104に登録する。図4に示すように、端末a−2乃至a−4は、端末a−1が必ず管理する端末として登録されている端末である。そして、これらの端末の各々について、管理者/非管理者の別と、電話番号(内線番号)、IPアドレス、サブネットマスク、ゲートウェイ、及び端末a−1までのホップ数とが登録されるようになっている。なお、端末a−4については、端末a−1の無線通信可能範囲Aには入っていないので、探索した結果又は端末a−4からの情報通知によってホップ数「4」離れたところに現在存在しているということが分かっている。
【0031】
また、図1の説明でも述べたが、管理者端末である端末b−1及びc−1についても端末a−1の無線通信可能範囲Aに入っているので、これらの端末の情報についても通信管理DB104には管理情報として登録される。但し、これらは管理者端末であるので、それらが有する管理情報も取得して保持している。具体的には、図5に示すように、端末b−1そのものの情報として、管理者/非管理者の別と、電話番号(内線番号)と、IPアドレスと、サブネットマスクと、ゲートウェイと、端末a−1までのホップ数とが登録されており、さらに、端末b−1の無線通信可能範囲B内の端末a−1、b−2、b−3及びd−1の管理情報も含まれる。各端末の管理情報自体は、端末a−1の管理情報と同じである。なお、ホップ数は、端末b−1を基準にしたホップ数であるから、端末a−1からのホップ数であれば、端末b−1までのホップ数「1」と端末b−1からのホップ数「1」を加算して「2」と判断しなければならない。
【0032】
同様に、端末c−1の管理情報は図6に示すように、端末c−1についての管理者/非管理者の別と、電話番号(内線番号)と、IPアドレスと、サブネットマスクと、ゲートウェイと、ホップ数とが登録されている。さらに、端子c−1の無線通信可能範囲C内の端末a−1、a−3、c−2及びd−1の管理情報も含まれるようになっている。
【0033】
さらに、非管理者端末である端末a−2には、例えば、図7に示すようなデータが、通信管理DB104に格納される。具体的には、端末a−2は非管理者端末であるので、予め定められた端末についての管理情報は存在せず、図7ではNULLとなっている。また、管理者情報として、通信範囲内における管理者端末である端末a−1についての情報が登録されている。具体的には、管理者/非管理者の別と、電話番号(内線番号)と、IPアドレスと、サブネットマスクと、ゲートウェイと、ホップ数とが登録されている。このように、近隣の管理者端末の情報を登録しておき、通話の際には管理者端末に通話先を指定したリクエストを送信し、通話先の端末にリクエストを転送してもらう。
【0034】
本実施の形態では、このように予め管理しなければならないと設定されている端末以外は、最大ホップ数「2」の範囲の情報しか保持しないようになっているが、範囲を広げて管理者端末で管理情報の交換を重ねてアドホックネットワーク全体又は一部であってもより広い範囲についての管理情報を、通信管理DB104に保持するようにしても良い。
【0035】
本実施の形態では、通信管理DB104に保持されている管理情報で探索できる範囲については、通信管理DB104を用いて最短経路を特定して端末間の通話を実施する。但し、端末間で直接無線通信できる場合には、管理者端末を経由せずに通話を行うように切り替えても良い。
【0036】
さらに、無線通信端末装置の通信制御部102は、自無線通信端末装置宛でないパケット等を受信した場合には、受信部101の受信バッファ1011に格納されているパケットを読み出して送信部103に送出させる処理も実施する。
【0037】
アドホックネットワークにおける初期段階の通信処理の概略は以上であり、次に、具体的に無線通信端末装置間で通話する際の処理について説明する。例えば、端末a−2が端末b−2に通話を要求する際の処理について図8を用いて説明する。まず、端末a−2の通信制御部102は、例えばユーザからの電話番号4101の入力及び発信の指示に応じて、発信元端末の電話番号4001(場合によってはIPアドレス)及び通話先の電話番号4101を含み且つホップ数(初期値=0)をカウントするためのカウンタが付された発信要求パケットを送信部103に、通信管理DB104に登録されており近隣の管理者端末である端末a−1へ送信させる(ステップ(31))。端末a−1の受信部101は、端末a−2から発信要求パケットを受信し、通信制御部102に発信要求パケットのデータを出力する。通信制御部102は、発信要求パケットに含まれる通話先端末の電話番号で通信管理DB104を検索して該当するデータが存在するか判断する。今回の場合には、端末b−1の配下に電話番号4101の端末b−2が存在していることが分かる。従って、通信制御部102は、ホップ数を1インクリメントして「1」にした発信要求パケットを、端末b−1へ送信するように送信部103に指示する。送信部103は、指示に応じて発信要求パケットを端末b−1に送信する(ステップ(32))。
【0038】
端末b−1の受信部101は、端末a−1から電話番号4101宛の発信要求パケットを受信すると、通信制御部102に出力する。通信制御部102は、発信要求パケットに含まれる電話番号4101で通信管理DB104を検索すると、配下に該当する端末b−2が存在するが分かる。従って、通信制御部102は、ホップ数をさらに1インクリメントして「2」にした発信要求パケットを、端末b−2へ送信するように送信部103に指示する。送信部103は、指示に応じて発信要求パケットを端末b−2に送信する(ステップ(33))。
【0039】
端末b−2の受信部101は、端末b−1から電話番号4101宛の発信要求パケットを受信すると、通信制御部102に出力する。通信制御部102は、発信要求パケットの宛先が自無線通信端末装置であることを認識し、他の端末と通話中でなければ例えば呼出中を表し、端末a−2の電話番号等を宛先として含み且つホップ数(初期値=0)をカウントするためのカウンタが付されたレスポンス・パケットを、管理者端末である端末b−1へ送信するように送信部103に指示する。送信部103は、指示に応じてレスポンス・パケットを端末b−1に送信する(ステップ(34))。なお、通信制御部102は、発信要求パケットに含まれる送信元の電話番号等と共にホップ数(ここでは「2」)を1インクリメントした値「3」を、音声出力制御部140に出力し、音声出力制御部140は、ワークメモリ領域などに格納しておく。
【0040】
端末b−1の受信部101は、端末b−2から電話番号4001宛のレスポンス・パケットを受信すると、通信制御部102に出力し、通信制御部102は通信管理DB104に基づき、端末a−1へホップ数を1インクリメントして「1」にしたレスポンス・パケットを送信部103に送信させる(ステップ(35))。
【0041】
端末a−1の受信部101は、端末b−1から電話番号4001宛のレスポンス・パケットを受信すると、通信制御部102に出力し、通信制御部102は通信管理DB104に基づき、端末a−2へホップ数を1インクリメントして「2」にしたレスポンス・パケットを送信部103に送信させる(ステップ(36))。
【0042】
端末a−2の受信部101は、端末a−1からレスポンス・パケットを受信すると、通信制御部102に出力し、通信制御部102は、自無線通信端末装置宛のレスポンス・パケットであると認識すると共に、通話可能である又は通話不可能であるか判別する。さらに、レスポンス・パケットに含まれるホップ数「2」を1インクリメントしたホップ数「3」を、例えばワークメモリ領域などに格納すると共に、音声出力制御部140に出力する。音声出力制御部140の処理については、以下で詳しく述べる。
【0043】
この後については、例えば通話可能である場合には、通話先の端末b−2のユーザの通話指示に応じて当該端末b−2からOKレスポンス等を送信することによって接続を確立する。但し、端末b−2のユーザからの通話指示に応じて、端末b−2がレスポンス・パケットを送信するようにして、レスポンス・パケットを端末a−2が受信したところで接続を確立するようにしても良い。さらに、レスポンス・パケットに応じて、端末a−2がACKパケットなどを送信してACKパケットを端末b−2が受信した時点で接続を確立するようにしても良い。また、端末a−2がACKパケットなどを送信する場合には、発信要求パケットにホップ数のカウンタを含めるのではなく、ACKパケットなどにホップ数のカウンタを設けるようにしても良い。さらに、ホップ数を、周知のTTL(Time to Live)を用いて算出するようにしても良い。すなわち、予め固定のTTLを設定してパケットを送信し、この固定のTTLと宛先でのTTLとの差をホップ数として特定するようにしても良い。
【0044】
なお、通信管理DB104に保持されている管理情報で探索できない範囲にいる端末に対する発信要求パケットを受信した場合には、他の管理者端末に通話先端末の存在について問い合わせをブロードキャスト又はマルチキャストして、その返信からどのような管理者の配下に存在しているかを経路と共に特定する。そして、最短経路を特定して発信要求パケットをその経路に従って送信する。その後は、基本的には上で述べたとおりの処理を行う。但し、経路データについては送信パケットに含めるようにしても良い。
【0045】
次に、通話中の音声データの処理について説明する。基本的には、受信部101が受信し且つ音声データを含む自無線通信端末装置宛のパケットは、受信バッファ1011に格納される。例えば、到着順番が入れ替わっているような場合などは、この受信バッファ1011で入れ替える処理を行う。そして、パケットの音声データ部分(すなわちペイロード)をジッタバッファ110に格納する。ジッタバッファ110のサイズは、以下で述べるように音声出力制御部140によって制御される。ジッタバッファ110に格納されている音声データは、音声出力処理部120によって復号化されて音声アナログ信号に変換されて、スピーカ130から出力される。
【0046】
よく知られているように、ジッタバッファ110は、パケットの受信タイミングの遅延やゆらぎを吸収するためのバッファであり、大きなサイズであるほど大きな遅延やゆらぎに対応できるが、再生遅延が大きくなるという問題がある。全体のメモリ量を削減するという観点を併せても、できる限り小さいサイズであることが好ましい。一方で、アドホックネットワークは不安定で環境の影響を受け易いため、図9に示すように、ホップ数が増加すると、それに応じてパケットの受信遅延時間(又は受信ゆらぎ時間)は増加する。従って、これに対応するため、音声出力制御部140は、図10に示すように、ホップ数が多ければジッタバッファサイズを大きくし、ホップ数が少なければジッタバッファサイズを小さくするような制御を行うことが好ましい。
【0047】
従って、図8に示したように通話開始直前にホップ数を発信元及び発信先の端末で把握して、そのホップ数に応じてジッタバッファサイズを設定する。さらに、アドホックネットワークでは、通話中にネットワーク構成が変化してホップ数が変化する可能性がある。従って、通話中もホップ数を定期的又は任意のタイミングでカウントして、変化があれば変化に応じてジッタバッファサイズを動的に変更する。このため、音声出力制御部140は、通信制御部102からホップ数のデータを受け取ると、例えばワークメモリ領域などにホップ数の履歴を格納する。
【0048】
具体的な処理フローを図11に示す。まず、通話を行う端末間の接続が完了する前に、通信制御部102は、ホップ数を受信パケットから取得して音声出力制御部140に出力する。また、管理者端末が発信元の場合であって、通信管理DB104に登録されている端末と通話を行う場合には、通信管理DB104にホップ数が予め登録されているので、通信制御部102は、通信管理DB104に登録されているホップ数から通話先端末までのホップ数を特定するようにしてもよい。直接通信できる範囲内の端末と通話を行う場合には、ホップ数は「1」であるが、他の管理者端末を経由する場合には、他の管理者端末までのホップ数「1」を加算しないと、通話先端末までのホップ数は得られない。いずれにせよ、特定されたホップ数を音声出力制御部140に出力する。
【0049】
音声出力制御部140は、通信制御部102から通話先端末までのホップ数を取得し(ステップS1)、例えば初期値テーブル150に登録されているジッタバッファサイズ・テーブルから、取得されたホップ数に該当するバッファサイズを読み出して、ジッタバッファ110のサイズを設定する(ステップS3)。
【0050】
ジッタバッファサイズ・テーブルの一例を図12に示す。図12の例では、ホップ数に対応して、測定結果等に基づき予め定められたジッタバッファサイズが格納されている。ここで、b1<b2<b3<b4となっている。図12の例のように、ホップ数の複数の数値に対して1のジッタバッファサイズが対応付けられる場合もあれば、ホップ数の各々に対して1のジッタバッファサイズが対応付けられるようになる場合もある。
【0051】
このような設定を行うことによって、ホップ数が多い場合でもパケット受信の遅延やゆらぎに対処できるようになり、またホップ数が少ない場合であれば使用メモリ量を少なくして、再生遅延を抑えることができるようになる。また、場合によって使用していないメモリに対する電力供給を停止するなどして、消費電力を抑えることも可能な場合もある。
【0052】
その後通話が始まって音声データを含むパケットのやりとりが行われる。全てのパケットでなくともよいが、通話中におけるアドホックネットワークの構成変化に備えて、定期的に又は任意のタイミングでホップ数をカウントするためのカウンタ付きのパケットを送信して、ホップ数に変化がないか確認する。上でも述べたが、TTLを用いてホップ数を特定しても良い。
【0053】
すなわち、通信制御部102は、受信パケットからホップ数を抽出し、音声出力制御部140に出力し、音声出力制御部140は、通信制御部102からホップ数のデータを受け取るとワークメモリ領域などに格納に格納する(ステップS5)。そして、今回のホップ数は、ワークメモリ領域などに格納されている前回のホップ数と一致しているか判断する(ステップS7)。一致している場合にはステップS15に移行する。
【0054】
一方、一致していない場合には、音声出力制御部140は、今回のホップ数が前回のホップ数より増加しているか判断する(ステップS9)。増加していれば、ジッタバッファサイズを所定量増加するように設定する(ステップS11)。例えば、測定結果などに基づき予め決定した量を所定量としてワークメモリ領域などに保持しておき、その所定量だけ増加させるようにしても良いし、例えば図12に示したようなジッタバッファサイズ・テーブルに基づき新たなホップ数に対応するジッタバッファサイズを特定して、その値になるようにジッタバッファサイズを増加させても良い。そしてステップS15に移行する。
【0055】
一方、増加ではなく減少している場合には、音声出力制御部140は、ジッタバッファサイズを所定量減少させるように設定する(ステップS13)。所定量は増加させる場合と同じであっても良いし、異なるようにしても良い。予めワークメモリ領域などに保持しておき、それに基づき設定するようにしてもよいし、ジッタバッファサイズ・テーブルに基づき新たなホップ数に対応するジッタバッファサイズを特定して、その値になるようにジッタバッファサイズを減少させるようにしても良い。そしてステップS15に移行する。
【0056】
ステップS15では、通話終了であるかを通信制御部102が確認し、通話中であればステップS5に戻って処理を継続する。一方、通話終了であれば、処理は終了する。
【0057】
このようにすれば、通話相手までの初期的なホップ数に応じてジッタバッファサイズを設定して、ホップ数に応じたパケット受信の遅延などに備えることができるようになる。さらに、動的に構成変化が予測されるアドホックネットワークにおいては、通話中でもホップ数を観測して、必要に応じて動的にジッタバッファサイズを増減させ、適応的且つ安定的に音声再生を行うようにする。
【0058】
また、アドホックネットワークではパケット受信の遅延やゆらぎだけではなく、パケットロスも問題となる。すなわち、ホップ数が増加すると、通信距離が増加し、それに伴って通信経路上の他の機器の過負荷などによる通信バッファあふれや、受信バッファあふれ、ノイズ障害などによりパケットロスが発生しやすくなる。パケットロス数も、図13に示すように、ホップ数が増加するとそれに応じて増加する。従って、このような問題にも対処する必要がある。
【0059】
既に、パケットロスに対処するためパケットロス補完(PLC)技術が存在している。例えば、図14に示すような音声信号(縦軸:振幅、横軸:時間)を再生する場合に、パケットロスが発生すると、例えば点線部分の信号を再生できなくなる。このため、パケットロス補完技術によって、パケットロス部分を例えば前後のデータから推定して復元する。但し、当然ながら完全に補完できるわけではなく、補完精度が低ければ音声品質が低下してしまう。補完精度は、ロスしたパケット数が増加すれば低くなり、可能な限り補完データサイズについては少ない方が好ましい。
【0060】
従って、本実施の形態では、図15に示すように最大補完データサイズを、ホップ数が増加するのに応じて増加するように設定することによって、ホップ数に応じて音声のとぎれを防止するようにする。例えば、図14が少ないホップ数の場合の例だとすると、ホップ数が多い場合には、図16に示すように、補完データサイズを多くして、より長い時間の音声信号を補完によって生成する。
【0061】
具体的には、図17に示すような処理を実施する。まず、通話を行う端末間の接続が完了する前に、通信制御部102は、ホップ数を受信パケットから取得して音声出力制御部140に出力する。また、管理者端末が発信元の場合であって、通信管理DB104に登録されている端末と通話を行う場合には、通信管理DB104にホップ数が予め登録されているので、通信制御部102は、通信管理DB104に登録されているホップ数から通話先端末までのホップ数を特定するようにしてもよい。直接通信できる範囲内の端末と通話を行う場合には、ホップ数は「1」であるが、他の管理者端末を経由する場合には、他の管理者端末までのホップ数「1」を加算しないと、通話先端末までのホップ数は得られない。いずれにせよ、特定されたホップ数を音声出力制御部140に出力する。
【0062】
音声出力制御部140は、通信制御部102から通話先端末までのホップ数を取得し(ステップS21)、例えば初期値テーブル150に登録されている補完データサイズ・テーブルから、取得されたホップ数に該当する最大補完データサイズを読み出して、PLC部121に設定する(ステップS23)。
【0063】
補完データサイズ・テーブルの一例を図18に示す。図18の例では、ホップ数に対応して、測定結果等に基づき予め定められた最大補完データサイズが格納されている。ここで、c1<c2<c3<c4となっている。なお、ジッタバッファサイズと同様に、ホップ数の複数の数値に対して1の補完データサイズが対応付けられる場合もあれば、ホップ数の各々に対して1の補完データサイズが対応付けられるようになる場合もある。
【0064】
このような設定を行うことによって、ホップ数が多い場合でも長いパケットロスに対処して音声のとぎれを抑えることができるようになり、またホップ数が少ない場合であれば補完データサイズを抑えて低品質の再生をあまり行わないようにする。
【0065】
その後通話が始まって音声データを含むパケットのやりとりが行われる。全てのパケットでなくともよいが、通話中におけるアドホックネットワークの構成変化に備えて、定期的に又は任意のタイミングでホップ数をカウントするためのカウンタ付きのパケットを送信して、ホップ数に変化がないか確認する。TTLを用いてホップ数を特定しても良いのは前に述べたとおりである。
【0066】
すなわち、通信制御部102は、受信パケットからホップ数を抽出し、音声出力制御部140に出力し、音声出力制御部140は、通信制御部102からホップ数のデータを受け取るとワークメモリ領域などに格納に格納する(ステップS25)。そして、今回のホップ数は、ワークメモリ領域などに格納されている前回のホップ数と一致しているか判断する(ステップS27)。一致している場合にはステップS35に移行する。
【0067】
一方、一致していない場合には、音声出力制御部140は、今回のホップ数が前回のホップ数より増加しているか判断する(ステップS29)。増加していれば、最大補完データサイズを所定量増加するように設定する(ステップS31)。例えば、測定結果などに基づき予め決定した量を所定量としてワークメモリ領域などに保持しておき、その所定量だけ増加させるようにしても良いし、例えば図18に示したような補完データサイズ・テーブルに基づき新たなホップ数に対応する最大補完データサイズを特定して、その値になるように最大補完データサイズを増加させても良い。そしてステップS35に移行する。
【0068】
一方、増加ではなく減少している場合には、音声出力制御部140は、最大補完データサイズを所定量減少させるように設定する(ステップS33)。所定量は増加させる場合と同じであっても良いし、異なるようにしても良い。予めワークメモリ領域などに保持しておき、それに基づき設定するようにしてもよいし、補完データサイズ・テーブルに基づき新たなホップ数に対応する最大補完データサイズを特定して、その値になるように最大補完データサイズを減少させるようにしても良い。そしてステップS35に移行する。
【0069】
ステップS35では、通話終了であるかを通信制御部102が確認し、通話中であればステップS25に戻って処理を継続する。一方、通話終了であれば、処理は終了する。
【0070】
このようにすれば、通話相手までの初期的なホップ数に応じて最大補完データサイズを設定して、ホップ数に応じたパケットロスに備えることができるようになる。さらに、動的に構成変化が予測されるアドホックネットワークにおいては、通話中でもホップ数を観測して、必要に応じて動的に最大補完データサイズを増減させ、適応的且つ安定的に音声再生を行うようにする。
【0071】
[他の実施の形態]
上で述べた実施の形態では、アドホックネットワークを最初から構築する場合について述べたが、例えば通常は従前から存在しているSIPサーバなどを利用した無線のIP電話として動作させて、SIPサーバ等やアクセスポイントの機器が故障した場合に、アドホックネットワークに移行するような構成にしてもよい。安定性などの観点からSIPサーバ等を導入するが、非常時にはアドホックネットワークを即座に構築してSIPサーバ等が復旧するまでの間においても内線通話を可能にするものである。
【0072】
この場合のシステム構成を図19に模式的に示す。有線LANには、サーバs1、IP電話機f−1乃至f−3、無線アクセスポイントAPx−1などが接続されている。この状態であれば、従来と何ら変わらない。但し、IP電話機f−1乃至f−3については特に必要ないが、無線通信端末装置である端末a−1乃至a−3、端末b−1及びb−2並びに端末c−1及びc−2については、アクセスポイントAPx−1を介してサーバs1に生存確認パケットを例えば定期的に送信し、サーバs1からACKパケットを受信することによって、互いが通信可能な状態にあるかどうかを確認する必要がある。
【0073】
具体的には図20に示すような処理を実施する。なお、説明を簡単にするために無線通信端末装置は端末a−1及びa−2、端末b−1及びb−2についてのみ説明する。端末a−2の通信制御部102は、例えば定期的に、送信部103に、サーバs1宛に生存確認パケット(KeepAlive)を送信させる(ステップ(41))。これに対して、サーバs1は、端末a−2から生存確認パケットを受信すると、ACKパケットを端末a−2に対して送信する(ステップ(42))。端末a−2の受信部101は、ACKパケットを受信すると通信制御部102に出力し、通信制御部102はACKパケットを受け取ったことによってサーバs1と通信可能な状態にいることを確認する。
【0074】
同様に、端末b−2の通信制御部102は、例えば定期的に、送信部103に、サーバs1宛に生存確認パケット(KeepAlive)を送信させる(ステップ(43))。これに対して、サーバs1は、端末b−2から生存確認パケットを受信すると、ACKパケットを端末b−2に対して送信する(ステップ(44))。端末b−2の受信部101は、ACKパケットを受信すると通信制御部102に出力し、通信制御部102はACKパケットを受け取ったことによってサーバs1と通信可能な状態にいることを確認する。
【0075】
さらに、端末a−1の通信制御部102は、例えば定期的に、送信部103に、サーバs1宛に生存確認パケット(KeepAlive)を送信させる(ステップ(45))。これに対して、サーバs1は、端末a−1から生存確認パケットを受信すると、ACKパケットを端末a−1に対して送信する(ステップ(46))。端末a−1の受信部101は、ACKパケットを受信すると通信制御部102に出力し、通信制御部102はACKパケットを受け取ったことによってサーバs1と通信可能な状態にいることを確認する。
【0076】
また、端末b−1の通信制御部102は、例えば定期的に、送信部103に、サーバs1宛に生存確認パケット(KeepAlive)を送信させる(ステップ(47))。これに対して、サーバs1は、端末b−1から生存確認パケットを受信すると、ACKパケットを端末b−1に対して送信する(ステップ(48))。端末b−1の受信部101は、ACKパケットを受信すると通信制御部102に出力し、通信制御部102はACKパケットを受け取ったことによってサーバs1と通信可能な状態にいることを確認する。
【0077】
通話を行わない場合においても、例えば定期的に上で述べたような処理を繰り返して、サーバも無線通信端末装置も互いに通信可能なことを確認する。
【0078】
その後、サーバs1がダウンしたものとする。そうすると、端末a−1及びa−2並びに端末b−1及びb−2が、生存確認パケットを送信してもACKパケットがサーバs1から返ってこなくなる(ステップ(49)乃至(52))。
【0079】
そうすると、各端末の通信制御部102は、サーバダウンを認識して、アドホックネットワークを構築するモードに移行する。すなわち、図3の処理に移行する。このようにすれば、上で述べたようにサーバダウンに応じてアドホックネットワークを速やかに構築して、アドホックネットワークを介した通話を可能にする。そして、アドホックネットワークが構築されると、上で述べた実施の形態のように、ジッタバッファサイズの調整や、補完データサイズの調整も必要となる。
【0080】
例えば、通信制御部102は、図21のような処理を行って、図11や図17に示すような処理を行うか否かを判断する。具体的には、通信制御部102は、現在の通信モードはアドホックネットワークを介して通話を行うアドホック接続モードであるか判断する(ステップS51)。アドホック接続モードでなくサーバを用いた通信モードである場合には、ジッタバッファサイズ等の固定モードを音声出力制御部140に設定する(ステップS55)。そしてステップS57に移行する。
【0081】
一方、アドホック接続モードである場合には、通信制御部102は、ジッタバッファサイズ等の動的変更モードを音声出力制御部140に設定する(ステップS53)。そしてステップS57に移行する。このようなモードに移行した場合には、通話を開始する際及び通話中には図11や図17の処理を実施することになる。
【0082】
ステップS57に移行して、通信制御部102は、処理終了か判断し(ステップS57)、ステップS51に戻る。一方、処理終了であれば処理を終了する。
【0083】
なお、生存確認パケットについては、例えば定期的にダウン中であってもサーバ宛に送信して、復旧したか否かを監視しておく。そして、サーバやアクセスポイントの機器が復旧した場合には、ACKパケットをサーバから受け取ることができるようになるので、ACKパケットを受信すれば、アドホックネットワークを解体して、通常のIP電話システムに戻るようにする。すなわち、通信管理DB104の管理データを破棄する。
【0084】
これによってモードを切り替えて、必要なときにジッタバッファサイズや補完データサイズを調整できるようになる。
【0085】
さらに、無線アクセスポイントの無線通信可能範囲に入っている無線通信端末装置については、従来と同じようにサーバを用いて端末間での通話を行うが、無線アクセスポイントの無線通信可能範囲に入らない無線通信端末装置についてはアドホックネットワークを部分的に構築するような実施態様も可能である。
【0086】
例えば図22に示すように、無線アクセスポイントAPx−1の無線通信可能範囲X内の端末a−1及びa−3、端末b−1並びに端末c−1については、サーバs2を用いて他の端末と通話を行う。一方、無線通信可能範囲Xに入らない端末a−2、端末b−2及び端末c−2については、直接サーバs2と通信することができないので、近隣の管理者端末が中継することになる。例えば、端末c−2は、近隣の管理者端末である端末c−1の無線通信可能範囲Cに入っているので、端末c−1を介してサーバs2を利用することとする。また、端末a−2であれば管理者端末である端末a−1を介してサーバs2を利用し、端末b−2であれば管理者端末である端末b−1を介してサーバs2を利用する。
【0087】
但し、この場合サーバs2が存在しているので、全体がアドホックネットワークとなっている場合とは多少処理は異なる。すなわちアクセスポイントAPx−1と直接通信を行うことができない無線通信端末装置(例えば端末c−2)とそのような無線通信端末装置の近隣の管理者端末として機能する無線通信端末装置(例えば端末c−1)は、図3などで述べたような処理を行って、通信管理DB104にデータを保持することになる。端末c−1の無線通信可能範囲C内に他の管理者端末が存在していれば、そのような管理者端末と管理情報の交換を行っても良い。そして、このような無線通信端末装置の近隣の管理者端末である無線通信端末装置の通信管理DB104で管理されている端末範囲内において無線通信端末装置間で通話を行う場合には、アドホックネットワークについて述べたのと同様の処理を実施する。すなわち、ホップ数をカウントして図11や図17でジッタバッファサイズや補完データサイズを調整する。
【0088】
また、管理者端末である無線通信端末装置が管理している非管理者端末の情報については、サーバs2に通知しておき、管理者端末経由で通信を行うように設定する。
【0089】
そして、端末c−1のような管理者端末の通信管理DB104に管理されている端末範囲内の端末ではない端末間(例えば端末c−2と端末a−1)の通話の場合には、端末c−1のような管理者端末は、中継装置として機能して端末c−2からの発信要求パケットを、アクセスポイントAPx−1を介してサーバs2に送信するようにする。そうすると、サーバs2は、端末a−1に対して発信要求パケットを転送するような形で、通常の接続確立のための処理を実施する。なお、この場合、端末c−2についてのホップ数は端末c−2からアクセスポイントAPx−1までのホップ数となり、端末c−2については、図11や図17でジッタバッファサイズや補完データサイズの調整を実施する。
【0090】
以上のように、アドホックネットワークを一部でも用いる場合には、ジッタバッファや補完データサイズの調整を行って、音声品質の向上を図るものである。
【0091】
以上本技術の実施の形態を説明したが、本技術はこれに限定されるものではない。すなわち、上で述べたネットワークを介して通信を行うプロトコルについては様々なバリエーションが可能であり、通話先の端末を正しく特定し、パケットを転送できれば、どのようなものであってもよい。
【0092】
さらに、初期値テーブル150ではなく、適切なジッタバッファサイズや補完データサイズを出力する関数を用意するようにしても良い。
【0093】
以上本実施の形態をまとめると以下のようになる。
【0094】
第1の態様に係る無線通信端末装置は、アドホックネットワークを介して他の無線通信端末装置と通話のための通信を行う無線通信端末装置であって、ユーザから指定される通話先の無線通信端末装置と自無線通信端末装置との間のホップ数を、通話先の無線通信端末装置から受信したパケット又は他の無線通信端末装置の識別情報と当該他の無線通信端末装置迄のホップ数とを格納する管理テーブルから取得するホップ数取得手段と、取得されたホップ数に応じてジッタバッファのサイズを決定し、設定するジッタバッファサイズ設定手段とを有する。
【0095】
アドホックネットワークを介して他の無線通信端末装置と通話を行う場合には、ホップ数に応じてパケット受信の遅延やゆらぎなどが起こりやすくなって、出力される音声の品質を保つのが難しくなる。従って、通話先の無線通信端末からのホップ数に応じたジッタバッファサイズを設定することによって、ホップ数が多い場合にはサイズを大きくしてパケット遅延の増大等に備え、ホップ数が少ない場合にはサイズを小さくして再生遅延を少なくする。
【0096】
また、上で述べたホップ数取得手段は、通話先の無線通信端末装置との通話途中にも、通話先の無線通信端末装置から受信したパケットからホップ数を取得するようにしてもよい。また、上で述べたジッタバッファサイズ設定手段は、ホップ数取得手段により取得された、通話途中のホップ数に応じてジッタバッファのサイズを動的に変更して設定するようにしてもよい。
【0097】
アドホックネットワークでは、無線通信端末装置が通話中でも移動する可能性があり、通話端末間のネットワーク構成が変動する可能性がある。従って、このように初期的にジッタバッファサイズをホップ数に応じて設定するだけではなく、通話中でもホップ数の変動に応じて動的にジッタバッファサイズを変更することで、ネットワーク構成の変動に応じて適切なジッタバッファサイズで通話を実施することができるようになる。
【0098】
さらに、第1の態様に係る無線通信端末装置は、取得されたホップ数に応じて、紛失音声データの最大補完データサイズを決定し、紛失音声データの補完を行う補完処理部に当該最大補完データサイズを設定する補完データサイズ設定手段をさらに有するようにしても良い。ホップ数が多い場合には紛失パケットの数も多くなる可能性が高いので、紛失データの補完を行う補完処理部が補完を行うデータサイズも大きくすることによって、再生音声品質の向上を図るものである。なお、補完を行うデータサイズを大きくすると精度は下がるので可能な限り小さくすべきであり、ホップ数が少ない場合には補完を行うデータサイズを小さく設定する。
【0099】
また、上で述べたホップ数取得手段は、通話先の無線通信端末装置との通話途中にも、通話先の無線通信端末装置から受信したパケットからホップ数を取得するようにしてもよい。その場合には 補完データサイズ設定手段は、ホップ数取得手段により取得された、通話途中のホップ数に応じて紛失音声データの最大補完データサイズを動的に変更して設定するようにしてもよい。ジッタバッファサイズの場合と同じで、アドホックネットワークの特質に合わせて、ホップ数に応じて最大補完データサイズをも動的に変動させるものである。
【0100】
第1の態様に係る無線通信端末装置は、自無線通信端末装置が管理者端末として動作する場合には、非管理者端末である他の無線通信端末装置と通信を行い、当該無線通信端末装置の識別情報と当該無線通信端末装置から自装置までのホップ数とを含む管理情報を収集して管理テーブルに登録すると共に、管理者端末として動作する他の無線通信端末装置から当該管理者端末として動作する他の無線通信端末装置が保持する管理テーブルのデータを受信し、自らが保持する管理テーブルに統合する通信管理手段と、管理テーブルに基づき、パケットの送信先の無線通信端末装置を決定する手段とをさらに有するようにしても良い。このような管理テーブルを保持することによって、通話先の端末への経路を容易に特定することができるようになる。なお、管理テーブルに載っていない無線通信端末装置については、問い合わせを他の管理者端末に送信して転送してもらい、どの管理者端末の配下に存在しているかを特定する。また、予め設定されている管理者端末に関連付けられている非管理者端末については、他の管理者端末の配下に存在する場合においても追跡するようにしても良い。
【0101】
第2の態様に係る無線通信端末装置は、ユーザから指定される通話先の無線通信端末装置と自無線通信端末装置との間のホップ数を、通話先の無線通信端末装置から受信したパケット又は他の無線通信端末装置の識別情報と当該他の無線通信端末装置迄のホップ数とを格納する管理テーブルから取得するホップ数取得手段と、取得されたホップ数に応じて、紛失音声データの最大補完データサイズを決定し、補完処理部に設定する補完データサイズ設定手段とを有する。
【0102】
上で述べたように、ホップ数が多い場合には紛失パケットの数も多くなる可能性が高いので、紛失データの補完を行う補完処理部が補完を行うデータサイズも大きくすることによって、再生音声品質の向上を図るものである。
【0103】
なお、上で述べたような処理を無線通信端末装置に実施させるためのプログラムを作成することができ、当該プログラムは、例えばフレキシブル・ディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体又は記憶装置に格納される。なお、処理途中のデータについては、コンピュータのメモリ等の記憶装置に一時保管される。
【0104】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0105】
(付記1)
アドホックネットワークを介して他の無線通信端末装置と通話のための通信を行う無線通信端末装置であって、
ユーザから指定される通話先の無線通信端末装置と自無線通信端末装置との間のホップ数を、前記通話先の無線通信端末装置から受信したパケット又は他の無線通信端末装置の識別情報と当該他の無線通信端末装置迄のホップ数とを格納する管理テーブルから取得するホップ数取得手段と、
取得された前記ホップ数に応じてジッタバッファのサイズを決定し、設定するジッタバッファサイズ設定手段と、
を有する無線通信端末装置。
【0106】
(付記2)
前記ホップ数取得手段は、前記通話先の無線通信端末装置との通話途中にも、前記通話先の無線通信端末装置から受信したパケットからホップ数を取得し、
前記ジッタバッファサイズ設定手段は、前記ホップ数取得手段により取得された、前記通話途中のホップ数に応じて前記ジッタバッファのサイズを動的に変更して設定する
付記1記載の無線通信端末装置。
【0107】
(付記3)
取得された前記ホップ数に応じて、紛失音声データの最大補完データサイズを決定し、紛失音声データの補完を行う補完処理部に当該最大補完データサイズを設定する補完データサイズ設定手段
をさらに有する付記1又は2記載の無線通信端末装置。
【0108】
(付記4)
前記ホップ数取得手段は、前記通話先の無線通信端末装置との通話途中にも、前記通話先の無線通信端末装置から受信したパケットからホップ数を取得し、
前記補完データサイズ設定手段は、前記ホップ数取得手段により取得された、前記通話途中のホップ数に応じて前記紛失音声データの最大補完データサイズを動的に変更して設定する
付記3記載の無線通信端末装置。
【0109】
(付記5)
前記自無線通信端末装置が管理者端末として動作する場合には、非管理者端末である他の無線通信端末装置と通信を行い、当該無線通信端末装置の識別情報と当該無線通信端末装置から自装置までのホップ数とを含む管理情報を収集して前記管理テーブルに登録すると共に、前記管理者端末として動作する他の無線通信端末装置から当該管理者端末として動作する他の無線通信端末装置が保持する管理テーブルのデータを受信し、自らが保持する前記管理テーブルに統合する通信管理手段と、
前記管理テーブルに基づき、パケットの送信先の無線通信端末装置を決定する手段と、
をさらに有する付記1乃至4のいずれか1つ記載の無線通信端末装置。
【0110】
(付記6)
アドホックネットワークを介して他の無線通信端末装置と通話のための通信を行う無線通信端末装置であって、
ユーザから指定される通話先の無線通信端末装置と自無線通信端末装置との間のホップ数を、前記通話先の無線通信端末装置から受信したパケット又は他の無線通信端末装置の識別情報と当該他の無線通信端末装置迄のホップ数とを格納する管理テーブルから取得するホップ数取得手段と、
取得された前記ホップ数に応じて、紛失音声データの最大補完データサイズを決定し、補完処理部に設定する補完データサイズ設定手段と、
を有する無線通信端末装置。
【0111】
(付記7)
付記1乃至6のいずれか1つ記載の無線通信端末装置を複数含み、前記アドホックネットワークにおけるノードを構成するシステム。
【0112】
(付記8)
アドホックネットワークを介して他の無線通信端末装置と通話のための通信を行う無線通信端末装置によって実行されるプログラムであって、
ユーザから指定される通話先の無線通信端末装置と自無線通信端末装置との間のホップ数を、前記通話先の無線通信端末装置から受信したパケット又は他の無線通信端末装置の識別情報と当該他の無線通信端末装置迄のホップ数とを格納する管理テーブルから取得するステップと、
取得された前記ホップ数に応じてジッタバッファのサイズを決定し、設定するステップと、
を前記無線通信端末装置に実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0113】
100 通信部 110 ジッタバッファ 120 音声出力処理部
130 スピーカ 140 音声出力制御部 150 初期値テーブル
160 マイク 170 音声入力処理部
180 送信データバッファ
101 受信部 1011 受信バッファ
102 通信制御部 103 送信部 104 通信管理DB
121 PLC部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アドホックネットワークを介して他の無線通信端末装置と通話のための通信を行う無線通信端末装置であって、
ユーザから指定される通話先の無線通信端末装置と自無線通信端末装置との間のホップ数を、前記通話先の無線通信端末装置から受信したパケット又は他の無線通信端末装置の識別情報と当該他の無線通信端末装置迄のホップ数とを格納する管理テーブルから取得するホップ数取得手段と、
取得された前記ホップ数に応じてジッタバッファのサイズを決定し、設定するジッタバッファサイズ設定手段と、
を有する無線通信端末装置。
【請求項2】
前記ホップ数取得手段は、前記通話先の無線通信端末装置との通話途中にも、前記通話先の無線通信端末装置から受信したパケットからホップ数を取得し、
前記ジッタバッファサイズ設定手段は、前記ホップ数取得手段により取得された、前記通話途中のホップ数に応じて前記ジッタバッファのサイズを動的に変更して設定する
請求項1記載の無線通信端末装置。
【請求項3】
取得された前記ホップ数に応じて、紛失音声データの最大補完データサイズを決定し、紛失音声データの補完を行う補完処理部に当該最大補完データサイズを設定する補完データサイズ設定手段
をさらに有する請求項1又は2記載の無線通信端末装置。
【請求項4】
前記ホップ数取得手段は、前記通話先の無線通信端末装置との通話途中にも、前記通話先の無線通信端末装置から受信したパケットからホップ数を取得し、
前記補完データサイズ設定手段は、前記ホップ数取得手段により取得された、前記通話途中のホップ数に応じて前記紛失音声データの最大補完データサイズを動的に変更して設定する
請求項3記載の無線通信端末装置。
【請求項5】
前記自無線通信端末装置が管理者端末として動作する場合には、非管理者端末である他の無線通信端末装置と通信を行い、当該無線通信端末装置の識別情報と当該無線通信端末装置から自装置までのホップ数とを含む管理情報を収集して前記管理テーブルに登録すると共に、前記管理者端末として動作する他の無線通信端末装置から当該管理者端末として動作する他の無線通信端末装置が保持する管理テーブルのデータを受信し、自らが保持する前記管理テーブルに統合する通信管理手段と、
前記管理テーブルに基づき、パケットの送信先の無線通信端末装置を決定する手段と、
をさらに有する請求項1乃至4のいずれか1つ記載の無線通信端末装置。
【請求項6】
アドホックネットワークを介して他の無線通信端末装置と通話のための通信を行う無線通信端末装置であって、
ユーザから指定される通話先の無線通信端末装置と自無線通信端末装置との間のホップ数を、前記通話先の無線通信端末装置から受信したパケット又は他の無線通信端末装置の識別情報と当該他の無線通信端末装置迄のホップ数とを格納する管理テーブルから取得するホップ数取得手段と、
取得された前記ホップ数に応じて、紛失音声データの最大補完データサイズを決定し、補完処理部に設定する補完データサイズ設定手段と、
を有する無線通信端末装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つ記載の無線通信端末装置を複数含み、前記アドホックネットワークにおけるノードを構成するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−239488(P2010−239488A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86665(P2009−86665)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】