説明

無線通信端末

【課題】 対向機器の音量が適切になるような音量制御を行った上で対向機器での通話を可能とする無線通信端末を提供する。
【解決手段】 近距離無線通信を介して対向機器の音量制御可能となったときに、音量調整のための操作を受け付けると、音声リンクが確立しているか否かおよび着信が発生しているか否かを確認し、音声リンクが確立している場合か着信が発生している場合には対向機器の音量制御を行い、音声リンクが確立しておらず着信も発生していない場合には対向機器の音量制御を行わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば電子機器などに適用することができる無線通信技術として例えばBluetooth(登録商標)が知られている。このBluetoothの呼制御用プロファイルとして、”Hands-Free Profile(HFP)”が知られている。HFPでは、携帯電話機から対向機器の音量制御を可能とする機能が規定されている。
【0003】
HFPでは、携帯電話機から対向機器の音量制御を可能とする機能が規定されている。
携帯電話機と対向機器との間でHFP接続を確立するとき、下位層の確立終了後に対向機器から携帯電話機にサポート機能通知を送信する。対向機器が音量制御をサポートしていれば、このサポート通知に音量制御がサポートされていることを示す情報が含まれる。その後、HFPの接続が確立すると、対向機器から携帯電話機に対して音量更新通知が通知される。このHFP接続確立後最初の音量更新通知では、対向機器から携帯電話機に対して対向機器の音量初期値を通知する(図6)。携帯電話機は、対向機器から音量制御のサポート通知を受け、更に、HFP接続確立後に音量更新通知(音量初期値の通知)を受けることによって、対向機器への音量制御指示が可能となる。携帯電話機から対向機器の音量制御指示は、携帯電話機から対向機器の音量変更を指示する機能である。また、携帯電話機から対向機器への音量制御指示が可能となった後に、対向機器側での音量変更操作に基づく音量変更があったときには、対向機器から携帯電話機へ音量更新通知が送信される。
【0004】
また、HFPによれば、携帯電話機への着信があったときに、対向機器に対してインバンド着信音と呼ばれる着信音を通知することができる。インバンド着信音通知機能とは、着信時に携帯電話機から音声リンクを確立し、そのリンク上に着信音そのものを符号化して載せることで、対向機器において符号化されたデータを解読して携帯電話機から送信された着信音を鳴動させる機能である。一般に、インバンド着信音は、携帯電話機からの音量制御指示によって、対向機器での鳴動音量を上下することが可能と考えられる。しかしながら、インバンド着信音鳴動設定がされていない場合、携帯電話機は対向機器に対して単に着信があった通知のみを行う。インバンド着信音鳴動設定がされていない場合に、対向機器で着信音が鳴動するか否かは対向機器の実装に依存するが、対向機器が内部で保持または生成する固定着信音を鳴動させるのが一般的である。(非特許文献1参照)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Bluetooth Hands-Free Profile 1.5 (Bluetooth S1G)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような音量制御では、以下のような問題が起こる可能性がある。第1に、例えば音量制御機能をサポートする対向機器とBluetooth HFP搭載携帯電話機とがHFP接続確立済みのとき、通話中に音声パスが携帯電話機にあり対向機器スピーカがミュートされていた場合に、ユーザが通話中の携帯電話機の音量を上げることを意図して音量を上げるための操作を行ったとしても、携帯電話機の通話音量は変化せずに、ミュートされている対向機器の音量設定値が大きくなる。これによって、その後、音声パスを対向機器に切り替えて、対向機器のミュートを解除した場合に、音声が大音量で鳴動してしまう可能性がある。
【0007】
第2に、音声パスが自身に無い場合のみ対向機器の音量制御を行う携帯電話機の場合、着信が発生したときにインバンド着信音通知が無効だったときに、携帯電話機から対向機器の音量制御を行うことができない。そのため、このような状況で対向機器自身によって音量を変更することができないならば、対向機器に固有の着信音の音量が小さすぎたり大きすぎたりしても、対向機器から出力される着信音の音量を変更することができない。
【0008】
そこで本発明は、対向機器の音量が適切になるような音量制御を行った上で対向機器での通話を可能とする無線通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明による無線通信端末は、近距離無線通信によってハンズフリー通話装置と通信する近距離無線通信手段と、移動通信網から送信された着信信号を受信する網通信手段と、前記近距離無線通信手段によって前記ハンズフリー通話装置の音量を制御可能となった状態で、前記ハンズフリー通話装置への音量値変更指示が生じると、前記近距離無線通信手段を介して前記ハンズフリー通話装置との間で音声リンクが確立されているならば、前記近距離無線通信手段を介して前記ハンズフリー通話装置に音量値変更指示を通知するよう制御する制御手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、対向機器の音量が適切になるような音量制御を行った上で対向機器での通話を可能とする無線通信端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機1とそれに無線接続する機器との関係図。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯電話機1の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態に係る携帯電話機1の音量制御指示送信判断部58の処理を示すフローチャート
【図4】本発明の実施形態に係る音量制御指示送信判断部58がモード1に設定されている携帯電話機1と車載機器2のシーケンス図。
【図5】本発明の実施形態に係る音量制御指示送信判断部58がモード2に設定されている携帯電話機1と車載機器2のシーケンス図。
【図6】携帯電話機が対向機器とHFP接続を確立し、音量制御可能な状態となるまでのシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、近距離無線通信可能な携帯電話機から車載機器の音量制御を行う場合を例にして説明する。ただし、対向機器は車載機器に限定されることなく、ヘッドセットなど他の機器に適用しても良い。
【0013】
図1は、本実施形態にかかる携帯電話機1とそれに無線接続する車載機器2との関係を示した図である。携帯電話機1は、HFPに準じた音量制御指示を近距離無線通信によって車載機器2へ送信する。車載機器2は、車載機器2が有する音量変更の操作手段が操作されることに応じて音量が変更される場合があり、この場合には、車載機器2から携帯電話機1へ音量更新通知を送信する。
【0014】
図2は、本実施形態にかかる携帯電話機1の構成を示したブロック図である。携帯電話機1は、制御部51、操作部52、表示部53、音声入出力部54、網通信部55、記憶部56、近距離無線通信部57、音量制御指示送信判断部58から構成される。
【0015】
制御部51は、CPU、ROM、RAMなどから構成され、携帯電話機1としての一般的な処理を行うほか、近距離無線通信部57、音量制御指示送信判断部58の処理を取り持つ。また、制御部51は、近距離無線通信部57からの情報に基づき、対向機器からのサポート機能通知によるサポート情報の解析と近距離無線通信部57を介した応答、対向機器からの音量更新通知による音量値の解析と近距離無線通信部57を介した応答、音量制御指示送信判断部58の判断の下行われる対向機器への音量値による近距離無線通信部57を介した音量制御指示、対向機器からまたは携帯電話からの音声リンク確立、その他一般的にHFPで規定される機能を満たすための制御などを行う。また制御部51は、デー
タ入力部からの情報や制御部51自身の情報などによっては、音量制御指示送信判断部58に音量制御が必要かどうかを判断の一部を委ねた上で、近距離無線通信部57に音量制御指示・音量更新通知応答指示を行う。
【0016】
操作部52は、操作キーまたはタッチパネル、タッチセンサなどから構成され、ユーザの操作に応じた信号を制御部51に入力する。操作部52には、音量変更を指示するためのボタンが含まれる。
【0017】
表示部53は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどによって構成され、アプリケーションの動作に応じて文字や画像を表示する。
【0018】
音声入出力部54は、スピーカおよびマイクロフォンから成り、無線電話通信部55による音声通話の通話音声の入出力や、音楽コンテンツや動画コンテンツの音声・音楽の出力などを行う。
【0019】
無線電話通信部55は、基地局を介して音声通信やパケット通信を行う。例えば、音声通信によって音声を送信する場合、音声入出力部54のマイクロフォンから音声を収音して得られた音声データに対して、符号化や誤り制御などの信号処理を行ったデータを電波に変換して、基地局へ送信する。また、受話音声は、基地局からの電波を受信し、電波から電気信号に変換した後、復号や誤り訂正などの信号処理を行い、音声入出力部54のスピーカから音声を出力する。なお、携帯電話機1の一般的な呼状態には、待ち受け中、通話中、着信中、発信中、応答保留中などがある。着信中とは、発信相手から当該電話番号を有する携帯電話機に発信を行うことで、基地局から当該電話番号を有する携帯電話機をサーチし、携帯電話機側において、発信相手からの呼び出しが発生していることが使用者に報知されている状態のことである。このとき例えばスピーカから着信音が鳴動したり、表示部に着信が発生していることが表示されたり、近距離無線通信部によって対向機器にその状態が通知されたりするのが一般的である。ここで使用者が応答操作をすれば通話中、着信拒否操作をすれば待ち受け中、保留操作をすれば応答保留中となる。ただし、携帯電話機1の状態は、これらに限定するものではない。
【0020】
記憶部56は、各種アプリケーションソフトウェアや、音楽コンテンツ、動画コンテンツなどを記憶する。
【0021】
近距離無線通信部57は、Bluetoothの通信モジュールなどから構成され、HFPによ
ってハンズフリー機器での音声通話を可能としたり、A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)によってオーディオケーブルを用いることなく対向機器にオーディオデ
ータを転送したりすることができる。近距離無線通信部57は、制御部51からの指示により、Bluetooth通信を主に行っているBluetoothチップへの物理的な制御や、Bluetooth
動作状態などの論理的な制御が可能である。物理的な制御としては、例えば電源供給に始まり、対向機器との無線通信を行うための物理的なセッション管理などが挙げられる。論理的な制御には、例えばHFP制御リンクのセッション管理、HFPオーディオリンクのセッション管理、HFPによる制御リンク上を流れるデータの解析及び生成などが挙げられる。
【0022】
音量制御指示送信判断部58は、制御部51からの指示に基づき、着信状態および音声リンク状態に基づいて、音量制御指示送信判断を行う。音量制御指示送信判断部58は、以下の3つのモードのいずれかに設定可能である。なお、音量制御指示送信判断部58は、以下の3つのモードのいずれか1つだけを有していても良いし、3つのうちいずれか2つのモードから選択可能であっても良いし、3つのモードのいずれかを選択可能であっても良い。
[モード1]近距離無線通信部57により音声リンクが確立されている場合には、近距離無線通信部57を介した対向機器への音量制御指示を行い、近距離無線通信部57により音声リンクが確立されていない場合には、近距離無線通信部57を介した対向機器への音量制御指示を行わない。
[モード2]携帯電話機1が着信中である場合には、近距離無線通信部57を介した対向機器への音量制御指示を行い、携帯電話機1が着信中でない場合には、近距離無線通信部57を介した対向機器への音量制御指示を行わない。
[モード3]近距離無線通信部57により音声リンクが確立されている場合または携帯電話機1が着信中である場合には、近距離無線通信部57を介した対向機器への音量制御指示を行い、近距離無線通信部57により音声リンクが確立されていない場合であって携帯電話機1が着信中でない場合には、近距離無線通信部57を介した対向機器への音量制御指示を行わない。
【0023】
なお、音声リンクが確立されている場合とは、対向機器によるマイクロフォン入力が符号化され、音声リンクを介して携帯電話機に送信され、それを携帯電話機のマイクロフォン入力とみなすことと、携帯電話機のスピーカから鳴動すべきデータを、符号化し、音声リンクを介して対向機器に送信し、対向機器によって符号化を解除した後、そのスピーカ出力によって出力されている状態のことであり、基地局網及び携帯電話を介し、対向機器において通話相手との通話を行っている場合や対向機器に発信音を通知している場合や、インバンド着信音鳴動時に、対向機器にインバンド着信音を通知している場合などである。
【0024】
音量制御指示を行う場合は、少なくとも対向機器へ音量値が送信される。なお、音量制御指示を行う場合に、表示部53に音量制御可能を意味する画像や文字などの情報が通知されても良く、また音声入出力部54に音量制御可能であることを示す音(例えば、ピピッといった音)が通知されていても良い。
【0025】
音量制御指示を行わない場合は、少なくとも対向機器に音量値の送信はされない。このとき表示部53に音量制御不可能を意味する画像や文字などの情報が通知されても良く、また音声入出力部54に音量制御不可能であることを示す音(例えば、ピピピッといった音)が通知されていても良い。
【0026】
図3は、音量制御指示送信判断部58の処理を示すフローチャートである。図3のフローチャートでは、上述のモード1が設定されているものとして説明する。まず、携帯電話機1から対向機器の音量制御が可能な状態であるとする(S1)。すなわち、携帯電話機1はBluetoothのHFPを搭載しており、対向機器との間でHFP接続を確立するときに
、対向機器から音量制御機能をサポートしていることを示すサポート機能通知を受信し、対向機器との間でHFP接続を確立した後に、対向機器から最初の音量更新通知(対向機器の初期音量値を示す音量更新通知)を受信した状態であるとする。この状態で、操作部52を介してユーザからの音量変更指示を取得する(S2)。すると、音量制御指示送信判断部58は、対向機器との間で音声リンクを確立しているか否かを判断する(S3)。
そして、音声リンクを確立していれば(S3のYes)、音量制御指示を対向機器へ送信する(S4)。それに対して、音声リンクを確立していなければ(S3のNo)、音量制御指示を対向機器へ送信しない。
【0027】
音量制御指示送信判断部58にモード2が設定されている場合には、図3のフローチャートのステップS4の判断を、着信が発生しているか否かの判断に置き換える。また、音量制御指示送信判断部58にモード3が設定されている場合には、ステップ4の判断を、「音声リンクが確立している状態」と「着信が発生している状態」の少なくともいずれか一方に該当するか否かの判断に置き換える。
【0028】
なお、近距離無線通信部57、制御部51、音量制御指示送信判断部58の構成及び処理分担については、上記に限定されるものではない。例えば、音量制御指示送信判断部58は、制御部51に含まれても良い。
【0029】
また音量変更指示は、必ずしも操作部52を介する必要はなく、例えば通話をフェードアウトさせたい場合など、制御部51の処理の中で発生しても良い。
【0030】
図4は、以上のような構成を有し、音量制御指示送信判断部58がモード1に設定されている携帯電話機1と車載機器2のシーケンス図である。
【0031】
まず、携帯電話機1の電源が投入されて、待ち受け画面が表示部53に表示される。制御部51は、HFP接続状態、音量制御のサポート状態、および音量更新通知の状態を管理する変数を有しており、携帯電話機1の電源投入直後、これらの変数は、HFP接続が無く、サポート情報が無く、音量更新通知が無いことを示す。
【0032】
次に、車載機器2と携帯電話機1は下位層が接続確立し、携帯電話機1は車載機器2からサポート機能通知を受信する。制御部51は、車載機器2から受信したサポート機能通知によって、車載機器2が音量制御をサポートしていることが分かると、音量制御のサポート状態を管理する変数を、サポートしていることを示す変数に変更する。また、HFP接続が確立されると、HFP接続状態を示す変数を、HFP接続していることを示す変数に変更する。更に、HFP接続が確立された後に、携帯電話機1が車載機器2の音量値の初期値を示す音量更新通知を車載機器2から受信すると、携帯電話機1の制御部51は、音量更新通知の状態を管理する変数を、音量更新通知があったことを示す変数に変更する。これによって、携帯電話機1は車載機器2の音量を制御することが可能な状態となる。
【0033】
続いて、網通信部55によって着信を受け、操作部52を介して着信応答の操作を受け付けると、音声パスが携帯電話機1の状態で通話状態となる。このとき、携帯電話機1の操作部52によって音量変更の操作が受け付けられると、音量制御指示送信判断部58は、音量制御指示を行うか否かの判断を行う。例えば音量制御指示送信判断部58に設定されているモードがモード1であった場合、携帯電話機1と車載機器2との間で音声リンクが確立していないため、携帯電話機1は車載機器2に対して音量制御指示を行わない。音量変更の操作が連続して受け付けられたとしても同様に、携帯電話機1は音量制御指示を行わない。
【0034】
このような音量制御指示送信判断部58の判断によって、例えば、車載機器2のスピーカがミュートに設定されている状態で携帯電話機1の操作部52によって音量変更の操作が受け付けられたとしても、携帯電話機1から車載機器2に対する音量制御指示が送信されないため、車載機器2の音量は変更されず、車載機器2のスピーカをミュート状態から解除されたときに、車載機器2のスピーカから突然大音量の音声が出力されることを防ぐことができる。
【0035】
携帯電話機1の操作部52が操作されることによって、携帯電話機1と車載機器2との間の音声リンクが確立され、車載機器2に音声パスが切り替わると、通話音声は車載機器2から鳴動する。
【0036】
ここで、携帯電話機1の操作部52により音量変更の操作が受け付けられると、音量制御指示送信判断部58は音量制御指示を行うか否かの判断を行う。例えば音量制御指示送信判断部58に設定されているモードがモード1であった場合、携帯電話機1と車載機器2との間で音声リンクが確立しているため、携帯電話機1は車載機器2に対して音量制御指示を行う。例えば、携帯電話機1と車載機器2とのHFP接続が確立したときに音量更新通知を用いて車載機器2から携帯電話機1に対して車載機器2の音量設定初期値「10」が通知された場合、携帯電話機1の操作部52によって音量を下げる操作が受け付けられると、少なくとも音量設定値「0」〜「9」のいずれかの値が車載機器2へ送信される。
【0037】
このような音量制御指示送信判断部58の判断によって、音声リンクが確立されている場合にのみ、対向機器の音量変更制御を携帯電話機1によって行うことができるため、ユーザが不用意に音量制御を行ってしまった場合において、対向機器の音量が適切になるよう制御することができる。
【0038】
図5は、音量制御指示送信判断部58がモード2に設定されている携帯電話機1と車載機器2のシーケンス図である。図5に示したシーケンスで、音量制御可能な状態となるまでの動作については、図4に示したシーケンスで説明した動作と同じであるため、説明を省略する。携帯電話機1と車載機器2とのHFP接続が確立し、携帯電話機1から車載機器2を音量制御可能な状態となり、音声パスは携帯電話機1にあるとする。
【0039】
携帯電話機1の操作部52により、インバンド無しに設定する操作を受け付けた場合、携帯電話機1から車載機器2へインバンド無し設定指示が通知される。携帯電話機1が網通信部55によって着信を受けると、車載機器2に対して着信の通知を行うが、インバンド無しの設定がなされていると、着信音は通知されずに、着信を示す情報のみが車載機器2に対して送信される。車載機器2は、携帯電話機1から着信を示す情報のみが通知されると、車載機器2は内蔵している着信音を鳴動させる。
【0040】
このとき、携帯電話機1の操作部52によって音量変更操作が受け付けられると、音量制御指示送信判断部58は、音量制御指示を行うか否かの判断を行う。例えば音量制御指示送信判断部58に設定されているモードがモード2であった場合、携帯電話機1が着信中の状態であるため、携帯電話機1から車載機器2に対して音量変更制御指示を行う。例えば、携帯電話機1と車載機器2とのHFP接続が確立したときに音量更新通知を用いて車載機器2から携帯電話機1に対して車載機器2の音量設定初期値「10」が通知された場合、携帯電話機1の操作部52によって音量を下げる操作が受け付けられると、少なくとも音量設定値「0」〜「9」のいずれかの値が車載機器2へ送信される。
【0041】
このように、着信が発生しているときには、携帯電話機1から対向機器に対する音量制御指示を行うことができるため、例えば対向機器が音量変更のための操作手段を持たないヘッドセットであっても、対向機器の音量が適切となるよう制御することができる。
【0042】
この後、車載機器2に対して着信拒否の操作が入力されると、車載機器2は携帯電話機1に対して着信拒否の通知を行う。着信拒否の通知を受けた携帯電話機1は、網通信部55によって着信を終了するよう制御する。このように着信が終了すると、着信状態でも通話状態でもなくなり、待ち受け中の状態となる。携帯電話機1の呼状態が着信状態ではないときに、操作部52によって音量変更の操作が受け付けられた場合、音量制御指示送信判断部58は、着信が発生していないため、音量制御指示を行わないと判断する。
【0043】
このように、着信が発生していないときには携帯電話機1から対向機器に対して音量制御を行わないよう制御する。ユーザが誤って携帯電話機1の操作部52を介した音量変更操作を入力した場合に、不用意に音量制御を行うと、その後着信が発生したときや音声リンクが確立した場合に、対向機器から突然大音量の音声が出力される可能性があるが、着信が発生していないときに携帯電話機1から対向機器に対して音量制御を行わないよう制御することによって、これを防ぐことができる。
【0044】
以上のように、図4と図5に示したシーケンス図を用いて、音量制御指示送信判断部58がモード1に設定されている場合とモード2に設定されている場合を説明した。音量制御指示送信判断部58がモード3に設定されている場合は、モード1で音量制御指示を行うと判断される場合もしくはモード2で音量制御指示を行うと判断される場合の少なくともいずれか一方に当てはまれば、音量制御指示を行うと判断する。そのため、音量制御指示送信判断部58がモード3に設定されている場合には、図4を用いて説明した通話中や発信音と通知している場合に加えて、図5を用いて説明した着信時にも対向機器の音量制御が可能となる。
【0045】
なお、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更しても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 携帯電話機、2 車載機器、51 制御部、52 操作部、53 表示部、54 音声入出力部、55 網通信部、56 記憶部、57 近距離無線通信部、58 音量制御指示送信判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信によってハンズフリー通話装置と通信する近距離無線通信手段と、
移動通信網から送信された着信信号を受信する網通信手段と、
前記近距離無線通信手段によって前記ハンズフリー通話装置の音量を制御可能となった状態で、前記ハンズフリー通話装置への音量値変更指示が生じると、前記近距離無線通信手段を介して前記ハンズフリー通話装置との間で音声リンクが確立されているならば、前記近距離無線通信手段を介して前記ハンズフリー通話装置に音量値変更指示を通知するよう制御する制御手段を有することを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
近距離無線通信によってハンズフリー通話装置と通信する近距離無線通信手段と、
移動通信網から送信された着信信号を受信する網通信手段と、
前記近距離無線通信手段によって前記ハンズフリー通話装置の音量を制御可能となった状態で、前記ハンズフリー通話装置への音量値変更指示が生じると、前記網通信手段によって着信信号を受信しているならば、前記近距離無線通信手段を介して前記ハンズフリー通話装置に音量値変更指示を通知するよう制御する制御手段を有することを特徴とする無線通信端末。
【請求項3】
近距離無線通信によってハンズフリー通話装置と通信する近距離無線通信手段と、
移動通信網から送信された着信信号を受信する網通信手段と、
前記近距離無線通信手段によって前記ハンズフリー通話装置の音量を制御可能となった状態で、前記ハンズフリー通話装置への音量値変更指示が生じると、前記近距離無線通信手段を介して前記ハンズフリー通話装置との間で音声リンクが確立されているか前記網通信手段によって着信信号を受信しているならば、前記近距離無線通信手段を介して前記ハンズフリー通話装置に音量値変更指示を通知するよう制御する制御手段を有することを特徴とする無線通信端末。
【請求項4】
前記制御手段は、前記近距離無線通信手段によって前記ハンズフリー通話装置の音量を制御可能となった状態で、前記ハンズフリー通話装置への音量値変更指示が生じたときに、前記近距離無線通信手段を介して前記ハンズフリー通話装置との間で音声リンクが確立されていないならば、前記近距離無線通信手段を介した前記ハンズフリー通話装置への音量値変更指示を通知しないことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項5】
前記制御手段は、前記近距離無線通信手段によって前記ハンズフリー通話装置の音量を制御可能となった状態で、前記ハンズフリー通話装置への音量値変更指示が生じたときに、前記網通信手段によって着信信号を受信していないならば、前記近距離無線通信手段を介した前記ハンズフリー通話装置への音量値変更指示を通知しないことを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末。
【請求項6】
前記制御手段は、前記近距離無線通信手段によって前記ハンズフリー通話装置の音量を制御可能となった状態で、前記ハンズフリー通話装置への音量値変更指示が生じたときに、前記近距離無線通信手段を介して前記ハンズフリー通話装置との間で音声リンクが確立されておらず前記網通信手段によって着信信号を受信していないならば、前記近距離無線通信手段を介した前記ハンズフリー通話装置への音量値変更指示を通知しないことを特徴とする請求項3に記載の無線通信端末。
【請求項7】
音量変更のための操作を受け付ける操作手段を更に有し、
前記制御手段は、前記操作手段による音量変更のための操作受け付けに応じて、前記ハンズフリー通話装置への音量値変更指示が生じたと判断することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の無線通信端末。
【請求項8】
前記近距離無線通信手段によって前記ハンズフリー通話装置の音量を制御可能となった状態とは、前記近距離無線通信手段を介して前記ハンズフリー通話装置から前記ハンズフリー通話装置が音量制御機能をサポートしていることを示す情報を受信し、前記近距離無線通信手段によって前記ハンズフリー通話装置から前記ハンズフリー通話装置の音量値を少なくとも1度受信した状態であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の無線通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−24120(P2011−24120A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169241(P2009−169241)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】