説明

無線通信端末

【課題】無線通信端末が通信エリア外に滞在すると推定される時間に基づいて、予め取得するコンテンツを決定する。
【解決手段】ネットワーク上のサーバからコンテンツを取得する無線通信端末において、端末の位置、移動方向、移動速度および通信エリア情報に基づいて、端末が通信エリア外に滞在する時間を推定する通信エリア外滞在時間推定手段と、前記通信エリア外滞在時間推定手段により推定した時間に応じて、ユーザが閲覧すると推定されるコンテンツを決定する取得コンテンツ決定手段と、前記取得コンテンツ決定手段で決定したコンテンツを通信エリア内で予め取得するコンテンツ取得手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上のサーバからコンテンツを取得する無線通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、無線通信端末が通信エリア外にあってもネットワーク上のコンテンツを提供可能にするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、無線通信端末が通信エリア内にあったときに、無線通信端末が移動する位置を推定し、その位置に関連する位置情報コンテンツを予め取得しておくことで、無線通信端末が通信エリア外にあっても位置情報コンテンツの提示を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4317409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、無線通信端末が取得するコンテンツの数を無線強度に基づいた通信エリア内での通信可能時間により決定しているため、実際には参照される可能性の低いコンテンツまで取得してしまうという課題を有していた。
【0005】
本発明の目的は、無線通信端末が通信エリア外に滞在すると推定される時間に基づいて、予め取得するコンテンツを決定することで、無線通信端末の電力および通信資源を有効に利用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の無線通信端末は、ネットワーク上のサーバからコンテンツを取得する無線通信端末であって、前記無線通信端末の位置を取得する位置取得手段と、前記無線通信端末の移動方向を検出する移動方向検出手段と、前記無線通信端末の移動速度を検出する移動速度検出手段と、前記無線通信端末が通信できる通信エリア情報を管理する通信エリア情報管理手段と、前記位置、前記移動方向、前記移動速度および前記通信エリア情報に基づいて、前記無線通信端末が通信エリア外に滞在する時間を推定する通信エリア外滞在時間推定手段と、前記通信エリア外滞在時間推定手段により推定した前記無線通信端末が通信エリア外に滞在する時間に応じて、ユーザが取得すると推測されるコンテンツを決定する取得コンテンツ決定手段と、前記取得コンテンツ決定手段で決定した前記ユーザが取得すると推測されるコンテンツを通信エリア内で予め取得するコンテンツ取得手段と、を備える構成となっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、無線通信端末が通信エリア外に移動すると推定される場合に、通信エリア外に滞在すると推定される時間に基づいて、予め取得するコンテンツを決定することができるため、無線通信端末の電力および通信資源を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線通信端末の構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態に係る取得コンテンツ決定部の処理を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態に係るリンクリストの作成例を示す図
【図4】本発明の実施の形態に係るリンクリストからコンテンツを選択する処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1に、本実施の形態に係る無線通信端末100の構成を示す。
【0011】
無線通信端末100において、位置取得部101は、無線通信端末100の位置を計測し、計測した位置を通信エリア外滞在時間推定部105に出力する。また、移動方向検出部102は、無線通信端末100の移動方向を計測し、計測した移動方向を通信エリア外滞在時間推定部105に出力する。さらに、移動速度検出部103は、無線通信端末100の移動速度を計測し、計測した移動速度を通信エリア外滞在時間推定部105に出力する。
【0012】
通信エリア外滞在時間推定部105は、無線通信端末100の位置、移動方向、および移動速度と、通信エリア情報管理部104から取得した無線通信端末100が通信可能なエリア情報とから、無線通信端末100が通信エリア外に滞在する時間を推定する。
【0013】
また、地図管理部106から道路や鉄道路線の情報を取得することで、無線通信端末100を所持しているユーザが徒歩で移動しているか、車で高速道路を走行しているか、鉄道で移動しているかなどの移動交通手段を推定し、通信エリア情報管理部104に蓄積している鉄道や道路の路線上で通信が可能か否かに関する情報(例えば、地下やトンネルの中であり通信ができないことを示す情報)を利用することで、通信エリア外滞在時間の精度を向上させることが可能である。
【0014】
例えば、ユーザが北の方角に向かって鉄道で移動していたとき、ユーザが乗っている鉄道は1km先で東に曲がって進むとする。地図管理部106から取得した道路地図や鉄道網を利用しない場合は、1km先で東に方向を変えることは推定できないが、地図管理部106から取得した道路地図や鉄道網を利用する場合は、1km先で東に方向を変えて進むことは推定でき、通信エリア外滞在時間の精度を向上させることが可能である。ここでユーザが使用したナビゲーション機能の結果を用いて通信エリア外滞在時間の精度を向上させても良い。
【0015】
通信エリア外滞在時間推定部105は、無線通信端末100が通信エリア外に滞在する推定時間を取得コンテンツ決定部107に出力する。
【0016】
取得コンテンツ決定部107は、通信エリア外に滞在する推定時間内にユーザが閲覧すると推定されるコンテンツを決定する。
【0017】
コンテンツ取得部108は、取得コンテンツ決定部107においてユーザが閲覧すると推定されたコンテンツをコンテンツサーバ110より取得し、コンテンツデータベース109に蓄積する。
【0018】
図2に取得コンテンツ決定部107の処理フローを示す。
【0019】
まず、通信エリア外滞在時間推定部105より通信エリア外滞在時間を受信する(S200)。
【0020】
そして、受信した通信エリア外滞在時間が0より大きいかどうかを判断し(S201)、0の場合は、無線通信端末100が通信エリア外に移動しないと判断してコンテンツの取得は行わず処理を終了する。通信エリア外滞在時間が0より大きい場合はS202の処理に移る。
【0021】
S202では、現在閲覧しているコンテンツから参照されているコンテンツのリストをリンクリストとして作成する。例えば、Webページなどからリンクされているページのリストなどを指す。
【0022】
次に、無線通信端末100が通信エリア外に滞在する間に、ユーザが閲覧すると推定される閲覧推定コンテンツ数を決定する(S203)。例えば、ユーザがHTMLで記載されたWebページを閲覧していた時に、通信エリア外に3分間滞在すると推定された場合、1分間に1ページ分のコンテンツを閲覧すると仮定すると閲覧推定コンテンツ数は3となる。
【0023】
そして、S203で決定した閲覧推定コンテンツ数に基づいて、リンクリストからコンテンツを選択する(S205)。
【0024】
ここで、ユーザが閲覧中のコンテンツは本文と、広告とから構成され、本文からは複数のコンテンツがリンクされており、かつ、広告からも複数のコンテンツがリンクされていると仮定する。ユーザが閲覧中のコンテンツに記載されているHTMLのタグを解析し、コンテンツに含まれるリンクを本文からのリンクと、広告からのリンクとに分類する。閲覧推定コンテンツ数を3とした場合には、本文に分類されたリンクをページの先頭に近い順に3つ選択し、選択されたリンク先のコンテンツを通信エリア外に滞在する推定時間内にユーザが閲覧すると推定されるコンテンツとする。
【0025】
この際、ユーザの嗜好情報、過去のコンテンツ閲覧履歴、コンテンツ属性に関する情報を利用しても良い。さらに、リンク先のコンテンツがテキストと画像を含んでいた場合には、テキストのみをキャッシュするなどして通信時間を短縮しても良い。また、閲覧コンテンツはHTMLで記載されたWebページに限定されない。
【0026】
なお、S202で作成したリンクリストに含まれるコンテンツ数が、S203で決定した閲覧推定コンテンツ数より少ない場合には、リンクリストのコンテンツ1つから参照されているコンテンツよりリンクリストを再帰的に作成し、S203で決定した閲覧推定コンテンツ数に足りるコンテンツ数になるまで繰り返す。
【0027】
リンクリストの作成例を、図3を用いて示す。現在参照しているコンテンツ301がリンクA、リンクB、リンクCを含んでいるとする。リンクAはコンテンツA302を指しており、リンクBはコンテンツB303を指しており、リンクCはコンテンツC304を指している。この場合S202で作成したリンクリストはリンクA、リンクB,リンクCであり、リンクリストに含まれるコンテンツ数は3となる。ここで、S203で決定した閲覧推定コンテンツ数が15であった場合には、コンテンツA302、コンテンツB303、コンテンツC304についても再帰的にS202の処理を行い、それぞれのコンテンツが含むリンクをリンクリストに追加する。この段階でリンクリストは12個のコンテンツを含んでおり、S203で決定した閲覧推定コンテンツ数15に満たないため、コンテンツA−a305、コンテンツA−b306についても同様の処理を行うことでS203で決定した閲覧推定コンテンツ数15を満たすようにする。
【0028】
逆に、S202で作成したリンクリストに含まれるコンテンツ数が、S203で決定した閲覧推定コンテンツ数より多い場合には、リンクリストからユーザが閲覧すると推定される数だけのコンテンツを選択する(S205)。この際、ユーザの嗜好情報、過去の類似コンテンツを閲覧するのに要した時間、過去のコンテンツ閲覧履歴、コンテンツ属性に関する情報などを利用しても良い。
【0029】
この場合の処理例を図4に示す。まず、ユーザの嗜好に合致するコンテンツをS202で作成したリンクリストから抽出する(S401)。
【0030】
次に、S401で抽出したコンテンツの数と、S203で決定した閲覧推定コンテンツ数とを比較する(S402)。
【0031】
S401で抽出したコンテンツ数がS203で決定した閲覧推定コンテンツ数より少ない場合は、S401で抽出したコンテンツを閲覧推定コンテンツとして決定(S407)して処理を終了する。ここで、ユーザの嗜好に合致しなかったコンテンツを、リンクリストの先頭から順に、S203で決定した閲覧推定コンテンツ数になるまで閲覧推定コンテンツとして決定しても良い。
【0032】
S401で抽出したコンテンツ数がS203で決定した閲覧推定コンテンツ数より多い場合は、S401で抽出したコンテンツの中から1つコンテンツを選択する(S403)。
【0033】
そして、S403で選択したコンテンツが文章を多く含んでいるか、画像を多く含んでいるかを判断する(S404)。ここで、コンテンツのサイズなど他のコンテンツの属性を利用しても良い。
【0034】
文章を多く含んでいるコンテンツは、ユーザから参照される可能性が高いと判断し、閲覧推定コンテンツとして決定する(S405)。一方、画像を多く含んでいるコンテンツはユーザから閲覧される可能性が低いと判断し、閲覧推定コンテンツには含めない。ここで、ユーザのコンテンツ閲覧履歴より、文章を多く含むコンテンツは閲覧される可能性が低く、画像を多く含むコンテンツは閲覧される可能性が高いと判断できる場合には、画像を多く含むコンテンツを閲覧推定コンテンツとしても良い。
【0035】
次に、S405で決定した閲覧推定コンテンツの累積数とS203で決定した閲覧推定コンテンツ数とを比較する(S406)。S405で決定した閲覧推定コンテンツの累積数が、S203で決定した閲覧推定コンテンツ数より少ない場合はS403の処理に戻る。逆に、S405で決定した閲覧推定コンテンツの累積数がS203で決定した閲覧推定コンテンツ数より多くなった場合は処理を終了する。
【0036】
以上のように、本実施の形態によれば、無線通信端末が通信エリア外に移動すると推定される場合に、通信エリア外に滞在すると推定される時間に基づいて、予め取得するコンテンツを決定することができるため、無駄な処理を削減でき、無線通信端末の電力および通信資源を有効に利用することができる。
【0037】
さらに、ユーザの嗜好や閲覧履歴に基づいて取得するコンテンツを決定することにより、閲覧される可能性の高いコンテンツを選択して取得しておくことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、ネットワーク上のサーバからコンテンツを取得する携帯電話、情報端末などの無線通信端末に利用できる。
【符号の説明】
【0039】
100 無線通信端末
101 位置取得部
102 移動方向検出部
103 移動速度検出部
104 通信エリア情報管理部
105 通信エリア外滞在時間推定部
106 地図管理部
107 取得コンテンツ決定部
108 コンテンツ取得部
109 コンテンツデータベース
110 コンテンツサーバ
301 現在参照しているコンテンツ
302 コンテンツA
303 コンテンツB
304 コンテンツC
305 コンテンツA−a
306 コンテンツA−b

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上のサーバからコンテンツを取得する無線通信端末であって、
前記無線通信端末の位置を取得する位置取得手段と、
前記無線通信端末の移動方向を検出する移動方向検出手段と、
前記無線通信端末の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
前記無線通信端末が通信できる通信エリア情報を管理する通信エリア情報管理手段と、
前記位置、前記移動方向、前記移動速度および前記通信エリア情報に基づいて、前記無線通信端末が通信エリア外に滞在する時間を推定する通信エリア外滞在時間推定手段と、
前記通信エリア外滞在時間推定手段により推定した前記無線通信端末が通信エリア外に滞在する時間に応じて、ユーザが取得すると推測されるコンテンツを決定する取得コンテンツ決定手段と、
前記取得コンテンツ決定手段で決定した前記ユーザが取得すると推測されるコンテンツを通信エリア内で予め取得するコンテンツ取得手段と、
を備えた無線通信端末。
【請求項2】
前記通信エリア情報管理手段では、鉄道または道路の路線上において通信できるか否かの情報を管理する請求項1記載の無線通信端末。
【請求項3】
道路または鉄道路線の情報を管理する地図管理手段を備え、
前記通信エリア外滞在時間推定手段では、前記地図管理手段からの前記道路または鉄道路線の情報に基づいて前記無線通信端末が通信エリア外に滞在する時間を推定する請求項1または請求項2に記載の無線通信端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate