説明

無線通信端末

【課題】フェリカ回路をメイン基板に搭載しても、簡単な接続構成で薄型化とアンテナへのノイズの影響回避とが実現できるような接触用金具を備えた無線通信端末を提供する。
【解決手段】フェリカ機能を実現させるフェリカ回路を搭載したメイン基板4とIR素子5bなどの機能部品を搭載したサブ基板5とが、第1の接触用金具10aによって電気的に接続されている。さらに、サブ基板5と、外部のリーダ・ライタへ電磁波を送受信するアンテナを搭載したフェリカ基板6とを、電気的に接続する第2の接触用金具10bが、第1の接触用金具10aの軸上に配置されている。これにより、メイン基板4のフェリカ回路とフェリカ基板6のアンテナとは、第1の接触用金具10aと第2の接触用金具10bとにより最短距離で接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェリカ機能を備えた無線通信端末に関し、特に、フェリカ機能に構造的な改良を加えた無線通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICチップとアンテナを備えた非接触ICカードを内蔵したり、ICチップとアンテナを分離して搭載したりして、アンテナからの電磁波によって外部のリーダ・ライタ(情報端末)と非接触で無線通信が行える、いわゆるフェリカ機能を備えた携帯電話機等の無線通信端末が普及している。このようなフェリカ機能付きの携帯電話機(以下、単に携帯電話機と言うこともある)は、交通機関の改札機にかざして乗車券として利用したり、大型販売店などにおいて電子マネーシステムに利用したりすることができる。したがって、このような携帯電話機は、使用時において外部のリーダ・ライタと携帯電話機側のアンテナとが近接していることが望ましいので、アンテナ部分は、携帯電話機の筐体内部の壁側に固定されているのが一般的である。
【0003】
図7は、一般的なフェリカ機能付きの携帯電話機の横断面図である。この携帯電話機101aは、フロントケース102側に液晶パネル103が配置され、液晶パネル103の裏面側に、メイン基板104、サブ基板105、及びアンテナ(図示せず)を実装したフェリカ基板106が、この順序で表面側から裏面側に向けてそれぞれ所望の空間を設けて三層構成で配置されている。そして、フェリカ基板106はリアカバー107の内部壁側に固着されている。また、メイン基板104の表面には、フェリカ機能を実現させるためのフェリカ回路(図示せず)及びメイン基板実装部品104aが実装され、サブフレーム108に取り付けられたサブ基板105には、カメラ用ライト105aやIR(Infrared:赤外線)を受発光するIR素子105bなど、携帯電話機101aの操作環境をサポートする機能部品が実装され、フェリカ基板106には図示しないアンテナが実装されている。また、リアカバー107の対向側裏面(図7の右側)には電池カバー109が設けられて電池(図示せず)が内蔵されている。さらに、メイン基板104に実装されたフェリカ回路とフェリカ基板106に実装されたアンテナとは、接触用金具110によって電気的に接続されている。
【0004】
また、特に図示されていないが、振動力の比較的弱いコイン型バイブモータなども筐体内部の壁側に固定されているが、フェリカ基板106のアンテナ通信への影響を避けるために、リアカバー107の内部壁−フェリカ基板106−コイン型バイブモータという順で固定され、かつ配線されている。さらに、フェリカ基板106に実装されたアンテナへのノイズの影響を避けるために、メイン基板104やサブ基板105の実装部品、コンポーネント部品、及び配線などは、フェリカ基板106からやや離れた位置に配置されている。また、サブ基板105に実装されたカメラ用ライト105aやIR素子105bは、受発光の動作時にノイズを発生させるので、フェリカ基板106のアンテナへのノイズの影響を避けるために、メイン基板104とフェリカ基板106とを接続する接触用金具110とは電気的に分離されている。
【0005】
図8は、別形態の一般的なフェリカ機能付きの携帯電話機の横断面図である。前述の図7では、メイン基板104のフェリカ回路(図示せず)からフェリカ基板106へ、直接、接触用金具110によって電気的に接続されていたが、図8では、メイン基板104からサブ基板105へA接触用金具110aによって電気的に接続し、さらに、サブ基板105からフェリカ基板106へB接触用金具110bによって電気的に接続している。この場合は、サブ基板105は、カメラ用ライト105a、IR素子105b、及びサブ基板実装部品105cなどを搭載すると共に、フェリカ回路(図示せず)も搭載している。これによって、サブ基板105のフェリカ回路からフェリカ基板106のアンテナへの配線経路を短くして、ノイズによる影響を少なくしている。もちろん、サブ基板105に搭載されたカメラ用ライト105a、IR素子105b、及びサブ基板実装部品105cなどは、B接触用金具110bとは回路的に分離され、かつ、B接触用金具110bやフェリカ基板106に搭載されたアンテナとは比較的離れた位置に配置されている。
【0006】
すなわち、これまでの一般的なフェリカ機能付き携帯電話機では、図7に示すように、CPUやフェリカ回路などを搭載しているメイン基板104から、アンテナを搭載しているフェリカ基板106へ、接触用金具110によって直接接続しているか、または、図8に示すように、サブ基板105に、カメラ用ライト105aやIR素子105bなどの機能部品と共にフェリカ回路も搭載して、サブ基板105からアンテナを搭載しているフェリカ基板106へB接触用金具110bによって直接接続している。
【0007】
なお、関連技術として、端子ピッチが異なる電極の中継端子であるインターポーザを用いて、多層基板の複数の電極間を一括して接続すると共に、それぞれの電極間を回路的に独立して接続させる多層基板間の接続技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、多数の独立回路が構成されているLSI回路などをコンパクトに構成することができる。また、他の関連技術として、異なる機能を有する複数のアンテナが配置されている多層基板について、各アンテナ特性に影響しないように、それぞれの基板間の最適な位置に電極間接続部材を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−108963号公報
【特許文献2】特開2009−239683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図7に示すようなフェリカ機能付きの携帯電話機では、CPUやフェリカ回路を搭載したメイン基板104から、距離の離れた位置にあるアンテナ搭載用のフェリカ基板106へ接触用金具110を用いて直接接続しているため、背丈の高い太めの接触用金具110を用いて両基板間を接続しなければならない。そのため、携帯電話機101aの厚み方向が高くなってしまうので、該携帯電話機101aを薄型化するための妨げとなる。また、背丈の高い太めの接触用金具110を用いることによって接触用金具110が大型化するために、メイン基板104の実装領域の面積を接触用金具110が侵食してしまうので、この面からも携帯電話機101aを小型化する妨げとなっている。
【0010】
そこで、携帯電話機の薄型化・小型化を実現させるために、図8に示すように、カメラ用ライト105aやIR素子105bなどの機能部品が搭載されているサブ基板105へフェリカ回路も搭載して、メイン基板104とサブ基板105は別系統のA接触用金具110aで接続すると共に、サブ基板105からアンテナを搭載したフェリカ基板106へは、背丈の低いB接触用金具110bを用いて直接接続している。しかし、サブ基板105に機能部品とフェリカ回路(図示せず)が共に搭載されているために、サブ基板105の機能部品のノイズがフェリカ回路を通してフェリカ基板106のアンテナに悪影響を及ぼすおそれがある。このような影響を避けるために、サブ基板105において、機能部品から離れた位置にフェリカ回路を搭載すると、携帯電話機101bが大型化してしまうおそれもある。
【0011】
なお、特許文献1に開示された技術は、LSI回路などのように複雑な回路部品が搭載された多層基板の複数の電極間を、インターポーザを用いて一括接続する技術であるので、フェリカ機能を備えた携帯電話機において、フェリカ回路を搭載した基板とアンテナを搭載した基板とを効果的に接続する技術に応用することは不適切である。すなわち、携帯電話機の基板間接続にインターポーザを用いた技術を適用すると製造コストが嵩んでしまう。また、特許文献2に開示された技術は、複数のアンテナが配置されている多層基板について、各アンテナ特性に影響しないように、各基板間の最適な位置に電極間接続部材を設ける技術であるが、この技術をもって、フェリカ機能付きの携帯電話機においてフェリカ回路を搭載した基板とアンテナを搭載した基板とを最適な状態で接続する技術に適用することはコスト的に困難である。すなわち、本発明では、簡単かつ低コストな構成で、携帯電話機の小型・薄型化とフェリカ機能へのノイズの影響の回避とが実現できるように、携帯電話機の構造を改良することを目指しているので、特許文献2のような複雑な電極間の接続技術を適用することはコスト的に不利である。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、フェリカ回路をメイン基板に搭載しても、簡単な接続構成で薄型化とアンテナへのノイズの影響回避とが実現できるような接触用金具を備えた無線通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明は、外部の情報端末と非接触で通信して情報の送受信を行うフェリカ機能を備えた無線通信端末であって、前記フェリカ機能を実現させるフェリカ回路を搭載したメイン基板と操作環境をサポートする機能部品を搭載したサブ基板とを、電気的に接続する第1の接触用金具と、前記第1の接触用金具の延在方向と一致する方向へ延びるように配置され、前記情報端末との間で電磁波の送受信を行うアンテナを搭載したフェリカ基板と前記サブ基板とを、電気的に接続する第2の接触用金具と、を備えることを特徴とする無線通信端末を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、メイン基板からサブ基板へ第1の接触用金具でバネ圧接続し、かつ、同軸上の位置で、サブ基板からフェリカ基板へ第2の接触用金具でバネ圧接続することにより、サブ基板をポイント的な中継地点としてのみ使用しているので、サブ基板内でのフェリカ特性のロスを極力回避することが可能である。また、フェリカ特性を確保するためには、接続用部品(第1の接触用金具及び第2の接触用金具)と電気回路部品との距離(クリアランス)が影響するが、サブ基板をメイン基板とフェリカ基板の間に介在させ、かつフェリカ回路をメイン基板へ搭載することにより、接続用部品と電気回路部品とを一様なクリアランスに確保することができるので、無線通信端末の薄型化とフェリカ特性へのノイズの影響回避とを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に適用される携帯電話機の背面図である。
【図2】図1に示す携帯電話機のA−A断面図である。
【図3】図2に示すメイン基板の実装面の外形図である。
【図4】図2に示すサブフレームの搭載面の外形図である。
【図5】図2に示すサブ基板の実装面の外形図である。
【図6】図2に示すフェリカ基板における接触用金具の接触領域面の外形図である。
【図7】一般的なフェリカ機能付き携帯電話機の横断面図である。
【図8】別形態の一般的なフェリカ機能付き携帯電話機の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《概要》
本発明に係るフェリカ機能付きの携帯電話機(無線通信端末)は、フェリカ回路を搭載したメイン基板と、携帯電話機の操作環境をサポートする機能部品を搭載したサブ基板と、アンテナを搭載したフェリカ基板との三層構造で構成されている。そして、サブ基板を中継点にして、2つの接触用金具でメイン基板とフェリカ回路とを最短距離で接続している。これによって接触用金具を小さくすることができるので、携帯電話機を小型・薄型化することができると共に、メイン基板とフェリカ基板が最短距離の直線配線になるので、フェリカ機能を実現させるアンテナへのノイズの影響を低減させることができる。
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るフェリカ機能付きの携帯電話機について、図面を参照しながら好適な実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、フェリカ機能付きの携帯電話機を単に携帯電話機と言うことにする。また、以下の実施形態に用いる各図面において、同一の構成要素は原則として同一符号を付し、かつ、重複する説明は可能な限り省略する。
【0018】
《実施形態》
図1は、本発明の実施形態に適用される携帯電話機1の背面図である。また、図2は、図1に示す携帯電話機1のA−A断面図である。図2に示すように、携帯電話機1は、フロントケース2側に液晶パネル3が配置され、この液晶パネル3の裏面側に、メイン基板4、サブ基板5、及びアンテナ(図示せず)を実装したフェリカ基板6が、この順序で表面側から裏面側に向けてそれぞれ所定の空間を設けて三層構成で配置されている。そして、フェリカ基板6は、リアカバー7の内部壁側の一方の隅(図2では右側の隅)に固着されている。
【0019】
メイン基板4の表面には、非接触で外部のリーダ・ライタと無線通信を行ってフェリカ機能を実現させるフェリカ回路(図示せず)やメイン基板実装部品4aなどが実装されている。また、サブフレーム8に取り付けられたサブ基板5の表面には、カメラ用ライト5aや赤外線を受発光するIR素子5bなどの、携帯電話機1の操作環境をサポートする機能部品が実装されている。さらに、フェリカ基板6には、外部のリーダ・ライタと電磁波によって無線通信を行うアンテナ(図示せず)が実装されている。なお、リアカバー7の対向側側面(図2では右側の側面)には電池カバー9が設けられ、その内部には電池(図示せず)が収納されている。
【0020】
ここで、サブ基板5は、フェリカ基板6のアンテナ領域の直下を極力避けるようにして、該フェリカ基板6の領域にまで延在されている。すなわち、メイン基板4とサブ基板5、及びサブ基板5とフェリカ基板6を、それぞれ最短距離で一直線に接続できるようにし、かつ、サブ基板5の領域がフェリカ基板6のアンテナ領域の真下に存在するのを可能な限り少なくなるようにして、サブ基板5をフェリカ基板6の真下の領域まで延在させている。その理由は、サブ基板5の機能部品や回路配線からのノイズがフェリカ基板6のアンテナに与える影響をできるだけ避けるためである。
【0021】
言い換えると、フェリカ基板6に搭載されたアンテナが環状に形成されたループアンテナで構成されている場合、サブ基板5は、ループアンテナにノイズの影響を与えないような範囲内で、フェリカ基板6の真下の投影領域まで延在されている。このとき、望ましくは、サブ基板5は、フェリカ基板6に搭載されたループアンテナの真下の投影領域を避けた状態で、フェリカ基板6の真下の投影領域まで延在させる。あるいは、サブ基板5は、フェリカ基板6に搭載されたループアンテナの真下の投影領域のうち、ループアンテナの一端のみが投影される真下の領域まで延在させる。
【0022】
上述のような基板配置による、メイン基板4とサブ基板5とフェリカ基板6の三層構成において、フェリカ回路(図示せず)が実装されたメイン基板4と機能部品が実装されたサブ基板5とは、第1の接触用金具10aで電気的に接続され、さらに、サブ基板5とアンテナが搭載されたフェリカ基板6とは、第1の接触用金具10aの延在方向と一致する方向へ延びるように配置された第2の接触用金具10bによって電気的に接続されている。すなわち、メイン基板4とサブ基板5とフェリカ基板6は、第1の接触用金具10aと第2の接触用金具10bとによって一直線状に最短距離で接続されている。このとき、前記サブ基板5は、フェリカ機能を実現させる信号をメイン基板4からフェリカ基板6へ伝送するための中継点としての機能を果たしている。これによって、フェリカ基板6に搭載されたアンテナは、メイン基板4とサブ基板5の各実装部品や配線経路によるノイズの影響を最小限にすることができる。
【0023】
さらに詳しく述べると、携帯電話機1の実装効率を高めるためにメイン基板4にフェリカ回路が実装されていても、メイン基板4のフェリカ回路とフェリカ基板6のアンテナとを接続する場合には、メイン基板4とフェリカ基板6との間に介在されたサブ基板5を用いて接続経路を中継することにより、メイン基板4とサブ基板5との接続距離を近づけて、かつ、背丈の低い小さな第1の接触用金具10aを用いることができる。さらに、サブ基板5とアンテナが搭載されたフェリカ基板6との接続距離を近づけて、背丈の低い小さな第2の接触用金具10bを用いることができる。その結果、各基板の部品実装面積を確保しながら、小型・薄型化された携帯電話機1を実現することができる。
【0024】
なお、メイン基板4とサブ基板5を接続する第1の接触用金具10a、及びサブ基板5とフェリカ基板6とを接続する第2の接触用金具10bは、何れも、例えばバネ圧接続ができるような付勢押圧機能を備えたコンタクト部品を用いることが望ましい。このように、バネ圧接続ができるようなコンタクト部品を用いることにより、メイン基板4の上にサブ基板5を組立てるときに、自動的にメイン基板4とサブ基板5の所定位置が第1の接触用金具(第1のコンタクト部品)10aで付勢押圧されてバネ圧接続される。さらに、サブ基板5の上にフェリカ基板6の固着されたリアカバー7を被せることによって、第1の接触用金具(第1のコンタクト部品)10aの真上の位置で、サブ基板5とフェリカ基板6の所定位置が第2の接触用金具(第2のコンタクト部品)10bで付勢押圧されてバネ圧接続される。
【0025】
なお、特に図示されていないが、振動力の比較的弱いコイン型バイブモータなども携帯電話機1の筐体内部の壁側に固定されているが、フェリカ基板6のアンテナ通信への影響を避けるために、リアカバー7の内部壁−フェリカ基板6−コイン型バイブモータという順で固定され、かつ配線されている。さらに、フェリカ基板6に実装されたアンテナへのノイズの影響を避けるために、メイン基板4やサブ基板5の実装部品、コンポーネント部品、及び配線などは、フェリカ基板6から離れた位置に配置されている。また、サブ基板5に実装されたカメラ用ライト5aやIR素子5bは、受発光の動作時にノイズを発生させるので、フェリカ基板6のアンテナへのノイズの影響を避けるために、メイン基板4とサブ基板5とを接続する第1の接触用金具10aやサブ基板5とフェリカ基板6とを接続する第2の接触用金具10bとは、電気的に分離されている。
【0026】
次に、図2に示すメイン基板4とサブ基板5を接続する第1の接触用金具10a、及びサブ基板5とフェリカ基板6とを接続する第2の接触用金具10bの、各基板上の配置構成について説明する。図3は、図2に示すメイン基板4の実装面の外形図であり、図4は、図2に示すサブフレーム8の搭載面の外形図であり、図5は、図2に示すサブ基板5の実装面の外形図であり、図6は、図2に示すフェリカ基板6における接触用金具の接触領域面の外形図である。
【0027】
図3に示すように、メイン基板4は、サブ基板5(図2参照)が所定の空間を隔てた上部に配置される領域において、メイン基板4とサブ基板5を接続するための第1の接触用金具10a1、10a2、10a3、10a4が配置されている。図2に表示されている第1の接触用金具10aは、図3では第1の接触用金具10a1に相当する。すなわち、図3に示すように、メイン基板4には、複数の箇所に分散して複数の第1の接触用金具10a1、10a2、10a3、10a4が配置されているが、必要に応じて第1の接触用金具の使用個数を使い分けることができる。なお、図3に表示されている第1の接触用金具10a2、10a3、10a4は図2では表示されていない。
【0028】
次に、図4に示すように、サブ基板5(図2参照)を搭載するサブフレーム8は、図3に示すメイン基板4に配置された第1の接触用金具10a1、10a2、10a3、10a4のそれぞれに対応する位置に、それぞれ開口穴8a1、8a2、8a3、8a4が形成されている。すなわち、図3のメイン基板4に配置された第1の接触用金具10a1、10a2、10a3、10a4は、サブフレーム8のそれぞれに対応する開口穴8a1、8a2、8a3、8a4を貫通できるようになっている。このように形成されたサブフレーム8の上部にサブ基板5(図2参照)が搭載される。
【0029】
次に、図5に示すように、サブ基板5には、図3に示すメイン基板4の第1の接触用金具10a1、10a2、10a3、10a4とそれぞれ対応する位置に、第2の接触用金具10b1、10b2、10b3、10b4が配置されている。これらの第2の接触用金具10b1、10b2、10b3、10b4の裏面側には、スルーホールによって導通したそれぞれの電極(図示せず)が形成されている。したがって、図3に示すメイン基板4の第1の接触用金具10a1、10a2、10a3、10a4は、それぞれ、図4に示すサブフレーム8の対応する開口穴8a1、8a2、8a3、8a4を貫通して、図5に示すサブ基板5の第2の接触用金具10b1、10b2、10b3、10b4の裏面側の対応する電極(図示せず)に接続することができる。
【0030】
なお、図5に示すように、サブ基板5には、カメラ用ライト5aやIR素子5bが搭載されていると共に、メイン基板4とサブ基板5を接続するための接続コネクタ5cが設けられている。この接続コネクタ5cは、メイン基板4のフェリカ回路とフェリカ基板6のアンテナとを接続するフェリカ機能の信号系統以外の、メイン基板4のCPUや各種搭載部品とサブ基板5のカメラ用ライト5aやIR素子5bとの信号系統を接続するためのコネクタである。
【0031】
次に、図6に示すように、フェリカ基板6のサブ基板5(図2参照)との対向面(図2ではフェリカ基板6の裏面)には、図5に示すサブ基板5の第2の接触用金具10b1、10b2、10b3、10b4のそれぞれに接続する金具接続領域6b1、6b2、6b3、6b4が形成されている。そして、これらの金具接続領域6b1、6b2、6b3、6b4から図示しないアンテナに接続されている。なお、フェリカ基板6に搭載するアンテナ(ループアンテナ)は、図6に示すフェリカ基板6の裏面側(図2では、リアカバー7側)に設けた方が外部のリーダ・ライタと近接するので好ましいが、アンテナからの電磁波の放射能力が充分であれば、アンテナをフェリカ基板6の金具接続領域6b1、6b2、6b3、6b4と同じ側に設けてもよい。
【0032】
なお、フェリカ基板6のアンテナ領域の真下にはサブ基板5が配置されないようにすることが最も望ましいが、必要に応じて、フェリカ基板6に搭載されたアンテナの一端の真下までサブ基板5が延在されるような構成であってもよい。
【0033】
すなわち、図3に示すようなメイン基板4と、図4に示すようなサブフレーム8と、図5に示すようなサブ基板5と、図6に示すようなフェリカ基板6とを、この順序で順次組立てて行くことにより、先ず、メイン基板4の第1の接触用金具10a1、10a2、10a3、10a4が、バネ圧によって、図4に示すサブフレーム8の対応する開口穴8a1、8a2、8a3、8a4を貫通し、図5に示すサブ基板5の第2の接触用金具10b1、10b2、10b3、10b4の裏面側の対応する電極(図示せず)に接続される。
【0034】
さらに、図5に示すサブ基板5の第2の接触用金具10b1、10b2、10b3、10b4が、バネ圧によって、図6に示すフェリカ基板6の金具接続領域6b1、6b2、6b3、6b4に接続される。これによって、メイン基板4に搭載されたフェリカ回路は、第1の接触用金具10a1、10a2、10a3、10a4と第2の接触用金具10b1、10b2、10b3、10b4とを介して、それぞれの金具接続領域6b1、6b2、6b3、6b4から図示しない各アンテナへ最短距離で接続される。
【0035】
《まとめ》
すなわち、従来のフェリカ機能付きの携帯電話機の構成では、メイン基板から距離の離れたフェリカ基板へ直接接続するためには、背丈が高くて太い接続部品(接触用金具)を実装する必要があるので、接続部品すなわち実装部品が大型化してしまってメイン基板の部品実装面積を大きく侵食することで、携帯電話機の小型・薄型化が困難であった。また、フェリカ回路をサブ基板へ実装することでサブ基板とメイン基板との接続はコネクタにて可能であるが、フェリカ回路をサブ基板へ実装することにより、携帯電話機のサイズを小型・薄型化することが困難であった。
【0036】
さらに、メイン基板とサブ基板とがコネクタで接続されているので、内部実装部品の影響による配線ロスやノイズの影響を低減させるように、フェリカ基板への接触用金具を集中的に実装するエリアを確保したり、フェリカ基板への接触用金具をコネクタの近傍へ実装するエリアを確保したりすることは、部品実装レイアウトの自由度を拘束するために困難であった。言い換えると、フェリカ基板に搭載されたアンテナに対してノイズの影響を与えないように、フェリカ回路を搭載したメイン基板からアンテナを搭載したフェリカ基板への接触用金具を効率的かつ効果的に配置することは困難であった。
【0037】
そこで、本発明の実施形態では、フェリカ回路をメイン基板へ実装したまま、メイン基板とフェリカ基板との間に介在されたサブ基板を用いて接触用金具を中継することにより、小さい接触用金具をつなぎ合わせて、メイン基板−サブ基板−フェリカ基板のルートで接続することにより、小さい接触用金具の選定が可能となる。その結果、接触用金具の実装面積を確保して小型化な携帯電話機を実現することができる。
【0038】
言い換えると、ノイズに影響されないフェリカ特性を確保するために、サブ基板をフェリカ基板の近傍直下まで延在させると共に、最小限の実装エリアで実装部品の隙間をくぐり抜けるようにメイン基板からサブ基板へ、第1の接続端子(第1の接触用金具10a)による中継ポイントを設ける。そして、この中継ポイントと同軸上に、サブ基板からフェリカ基板へ第2の接続端子(第2の接触用金具10b)を設ける。このようにして2つの接続端子(第1の接触用金具10aと第2の接触用金具10b)を構成することにより、サブ基板をフェリカ基板の接続中継点として利用して最短距離でメイン基板とフェリカ基板とを接続することができるので、ノイズによるフェリカ特性の劣化を最小限に抑えることができる。
【0039】
すなわち、本発明の実施形態に係るフェリカ機能付きの携帯電話機によれば、フェリカ機能を通信する配線経路の接触用金具を分割して小型化することにより、良好なフェリカ特性を確保しながら、基板上における接触用金具の占有面積を少スペースにして携帯電話機の小型・薄型化を図ることができる。さらに、メイン基板からダイレクトにフェリカ基板へ電気的な接続を行う配線構成であるため、フェリカ基板に搭載されたアンテナへのノイズの影響を最小限に抑えて、良好なフェリカ特性を確保することができる。
【0040】
以上、本発明に係る携帯端末の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、本発明の具体的に構成は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもそれらは本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、フェリカ機能を備えた携帯電話機に限らず、PDA(Personal Digital Assistance)やPHS(Personal Handy Phone System)などのハンディタイプのあらゆる無線通信端末に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 携帯電話機(無線通信端末)
2 フロントケース
3 液晶パネル
4 メイン基板
4a メイン基板実装部品
5 サブ基板
5a カメラ用ライト
5b IR素子
6 フェリカ基板
6b1、6b2、6b3、6b4 金具接触領域
7 リアカバー
8 サブフレーム
8a1、8a2、8a3、8a4 開口穴
9 電池カバー
10a(10a1、10a2、10a3、10a4) 第1の接触用金具
10b(10b1、10b2、10b3、10b4) 第2の接触用金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の情報端末と非接触で通信して情報の送受信を行うフェリカ機能を備えた無線通信端末であって、
前記フェリカ機能を実現させるフェリカ回路を搭載したメイン基板と操作環境をサポートする機能部品を搭載したサブ基板とを、電気的に接続する第1の接触用金具と、
前記第1の接触用金具の延在方向と一致する方向へ延びるように配置され、前記情報端末との間で電磁波の送受信を行うアンテナを搭載したフェリカ基板と前記サブ基板とを、電気的に接続する第2の接触用金具と、
を備えることを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
前記サブ基板は、前記メイン基板から前記フェリカ基板へ前記フェリカ機能を実現させる信号を伝送する中継点としての機能を果たしていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項3】
前記アンテナはループアンテナであって、
前記サブ基板は、前記アンテナの投影領域を避けて、該フェリカ基板の投影領域まで延在されていることを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信端末。
【請求項4】
前記第1の接触用金具が、前記メイン基板と前記サブ基板とをそれぞれ付勢し、前記第2の接触用金具が、前記サブ基板と前記フェリカ基板とをそれぞれ付勢することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の無線通信端末。
【請求項5】
前記サブ基板を搭載するサブフレームを備え、該サブフレームは、前記第1の接触用金具が貫通できる位置に開口穴が設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の無線通信端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−5069(P2013−5069A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131843(P2011−131843)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】