説明

無線通信装置、受信処理装置及び通信制御方法

【課題】妨害波成分が存在する場合においても、適切な受信処理が可能な無線通信装置、受信処理装置、及び、通信制御方法を提供する。
【解決手段】0系受信部1内のAGC回路7は、RSSIの値が閾値を超える場合、現在のAGC制御値よりも小さな値の新たなAGC制御値を導出し、AGCAMP6に設定する。新たなAGC制御値は、A/Dコンバータ9への入力信号のレベルが、当該A/Dコンバータ9がオーバーフローしない範囲(入力可能範囲)となるような値である。また、AGC回路7は、新たな乗算値を導出し、乗算器11に設定する。新たな乗算値は、新たなAGC制御値から閾値を差し引いた値である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、受信処理装置及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CPRI(Common Public Radio Interface)を備えたLTE(Long Term Evolution)方式の無線基地局装置には、フェージングやマルチパスのノイズの改善、受信感度の向上が求められている。このため、LTE方式の無線基地局装置は、一般的に2つの受信系統を設けたダイバーシチ受信方式を採用している。LTE方式の無線基地局装置は、2系統で無線信号を受信した場合には、デジタル処理において、各系統の受信信号を合成し、復調することにより、ダイバーシチゲイン分の受信感度の向上や、最適なパスの選択による外乱の影響の抑制を図ることができる。
【0003】
具体的には、従来のダイバーシチ受信方式を採用したLTE方式の無線基地局装置は、2系統の受信部である0系受信部及び1系受信部と、当該0系受信部及び1系受信部をCPRIを介して接続するチャネル処理部と有する。0系受信部及び1系受信部の双方にアンテナからの信号が入力される場合(両系受信の場合)、0系受信部及び1系受信部内のA/D(Analogue/Digital)コンバータは、アンテナからの受信信号をデジタル信号に変換する。チャネル処理部は、0系受信部及び1系受信部からのデジタル信号を合成し、合成後のデジタル信号を復調する。
【0004】
一方、0系受信部及び1系受信部の一方のみにアンテナからの信号が入力され、他方が無入力系となる場合(片系受信の場合)、チャネル処理部は、無入力系の受信部からのデジタル信号からノイズ成分をある程度除去でき、熱雑音(KTBF)等のノイズのみが残る。従って、ノイズレベルは低下し、合成時にノイズの影響は小さくなる。
【0005】
また、無線基地局装置が、希望波成分の信号を受信中に、その希望波成分の周波数の近傍に高レベル(高電界)の妨害波成分が入力された場合を想定する。この場合、受信部内のA/Dコンバータは、高レベルの信号が入力されるためにオーバーフローしてしまう。このため、A/Dコンバータは、正常なデジタル変換処理ができなくなり、後段のチャネル処理部も正常な復調処理ができなくなる。このようなA/Dコンバータにおけるオーバーフローを防止するために、受信部は、AGC(Auto Gain Control)回路と、A/Dコンバータの前段のAGCAMP(Auto Gain Control Amplifier)とを備える。AGC回路は、A/Dコンバータの入力レベルがオーバーフローしない範囲となるように、AGCAMPの増幅率を制御する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−186946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、AGC回路がAGCAMPの増幅率を低下させると、A/Dコンバータに入力される信号のレベルは、妨害波成分のみならず、希望波成分まで低下してしまう。上述した片系受信を想定すると、妨害波成分が存在する片系受信では、希望波成分と妨害波成分とを受信した受信部内のAGC回路は、希望波成分のレベルを低下させてしまう。このため、チャネル処理部が、各受信部からの信号を合成する場合、無入力系の受信部からのKTBF等のノイズのレベルが低くても、当該ノイズが低いレベルの希望波成分に重畳されることにより、所要のC/N(Carrier to Noise ratio:希望波と干渉波の比)を満たすことができなくなる。特に、CPRIの仕様において信号のレベルが一定のレベルに規定されていない場合には、各受信部が出力する信号のレベルに差が生じることがあるため、所要のC/Nを満たせなくなる可能性が高い。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、妨害波成分が存在する場合においても、適切な受信処理が可能な無線通信装置、受信処理装置、及び、通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る無線通信装置は、
無線信号を受信する複数のアンテナと、前記アンテナと1対1に接続され、前記無線信号の受信処理を行う複数の受信処理部と、前記複数の受信処理部を接続し、前記複数の受信処理部からの信号を合成して復調する受信制御部とを有する無線通信装置であって、
前記受信処理部は、
前記無線信号の受信レベルが閾値以下である場合に、第1の増幅率で前記無線信号を増幅し、前記無線信号の受信レベルが前記閾値を超える場合に、前記第1の増幅率よりも低い第2の増幅率で前記無線信号を増幅する第1の利得制御手段と、
前記第1の利得制御手段により増幅された信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
前記アナログ/デジタル変換手段から出力されるデジタル信号から希望波成分を抽出するフィルタ手段と、
前記第1の利得制御手段により前記第2の増幅率で無線信号が増幅された場合に、前記フィルタ手段から出力される希望波成分のデジタル信号を第3の増幅率で増幅する第2の利得制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る受信処理装置は、
アンテナによって受信された無線信号の受信処理を行う受信処理装置であって、
前記無線信号の受信レベルが閾値以下である場合に、第1の増幅率で前記無線信号を増幅し、前記無線信号の受信レベルが前記閾値を超える場合に、前記第1の増幅率よりも低い第2の増幅率で前記無線信号を増幅する第1の利得制御手段と、
前記第1の利得制御手段により増幅された信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
前記アナログ/デジタル変換手段から出力されるデジタル信号から希望波成分を抽出するフィルタ手段と、
前記第1の利得制御手段により前記第2の増幅率で無線信号が増幅された場合に、前記フィルタ手段から出力される希望波成分のデジタル信号を第3の増幅率で増幅する第2の利得制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係る通信制御方法は、
無線通信装置における通信制御方法であって、
無線信号の受信レベルが閾値以下である場合に、第1の増幅率で前記無線信号を増幅し、前記無線信号の受信レベルが前記閾値を超える場合に、前記第1の増幅率よりも低い第2の増幅率で前記無線信号を増幅する第1のステップと、
前記第1のステップにおいて増幅された信号をデジタル信号に変換する第2のステップと、
前記第2のステップにおいて得られる前記デジタル信号から希望波成分を抽出する第3のステップと、
前記第1のステップにおいて前記第2の増幅率で無線信号が増幅された場合に、前記第3のステップにおいて得られる希望波成分のデジタル信号を第3の増幅率で増幅する第4のステップと
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来のものと比べて、妨害波成分が存在する場合においても、適切な受信処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線基地局装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るAGC回路の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る無線基地局装置と、従来の無線基地局装置との利得の差異を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る無線基地局装置と、従来の無線基地局装置とのスループット特性の差異を示す図である。
【図5】本発明の変形例に係る無線基地局装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の変形例に係るAGC回路の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る無線通信装置、受信処理装置及び通信制御方法を説明する。
【0015】
図1に示す無線基地局装置Aは、CPRIを備えたLTE方式の無線基地局装置である。また、無線基地局装置Aは、ダイバーシチ受信方式を採用している。無線基地局装置Aは、図示しない無線端末との間で無線信号の送信及び受信を行う。
【0016】
無線基地局装置Aは、受信処理部及び受信処理装置としての0系受信部1と、当該0系受信部1に接続されるアンテナ2と、受信処理部及び受信処理装置としての1系受信部21と、当該1系受信部21に接続されるアンテナ22と、0系受信部1及び1系受信部21を接続する受信制御部としてのチャネル処理部15と、0系受信部1とチャネル処理部15とのインタフェースであるCPRI16と、1系受信部21とチャネル処理部15とのインタフェースであるCPRI36とを備える。
【0017】
図1に示す0系受信部1は、帯域通過フィルタ3、アンプ4、ミキサ5、AGCAMP6、AGC回路7、RSSI(Receive Signal Strength Indication)回路8、A/Dコンバータ9、デジタルフィルタ10、乗算器11を備える。
【0018】
帯域通過フィルタ3は、アンテナ2により受信された信号(受信信号S0)を入力する。帯域通過フィルタ3は、受信信号S0のうち、希望波成分の周波数帯を含む所定周波数帯の信号を通過させ、後段のアンプ4へ出力する。アンプ4は、帯域通過フィルタ3からの信号を所定の増幅率で増幅させ、後段のミキサ5へ出力する。ミキサ5は、アンプ4からの信号に、所定の信号を混合して、信号の周波数変換を行う。例えば、ミキサ5は、無線周波数帯の信号をベースバンド帯の信号に変換して出力する。ミキサ5は、周波数変換後の信号を、後段のAGCAMP6へ出力する。
【0019】
AGCAMP6は、増幅率が可変のアンプである。AGCAMP6の増幅率は、後述するAGC回路7により制御される。AGCAMP6は、入力した信号を、その時点で設定されている増幅率で増幅し、後段のA/Dコンバータ9へ出力する。
【0020】
A/Dコンバータ9は、AGCAMP6からの信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、後段のデジタルフィルタ10へ出力する。RSSI回路8は、A/Dコンバータ9への入力信号のレベル(電界強度)を検出する。なお、A/Dコンバータ9は利得がないので、A/Dコンバータ9の入力信号のレベルとA/Dコンバータ9の出力信号のレベルとが等しくなる。そのため、A/Dコンバータ9の出力レベルを検出することで、A/Dコンバータ9の入力信号のレベルが検出される。さらに、RSSI回路8は、検出した入力信号のレベルに基づいて、アンテナ2におけるNF値(雑音指数値)を含んだ受信信号電界強度(RSSI)を検出する。RSSI回路8は、RSSIの値を、後段のAGC回路7へ出力する。
【0021】
AGC回路7は、AGCAMP6における増幅率を制御するとともに乗算器11における乗算値を制御する。具体的には、AGC回路7は、以下の動作を行う。
【0022】
図2に示すように、AGC回路7は、RSSI回路8によって検出されたRSSIの値を確認する(ステップS101)。次に、AGC回路7は、RSSIの値が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS102)。閾値は、A/Dコンバータ9がオーバーフローしない場合のRSSIの値の上限値である。例えば、閾値は、AGC回路7の内部、あるいは、外部に設けられた図示しないメモリに記憶されている。
【0023】
RSSIの値が閾値以下である場合(ステップS102:NO)、AGC回路7は、AGCAMP6の増幅率の値(AGC制御値)を、予め定められた初期値(AGC初期値)に設定する。本実施形態では、AGC初期値は、アンテナ2からA/Dコンバータ9までの利得が所定値となるような値である。また、AGC回路7は、後述する乗算器11における乗算値を、予め定められた初期値(乗算初期値)に設定する(ステップS103)。本実施形態では、乗算初期値は0[dB]である。例えば、AGC初期値と乗算初期値とは、AGC回路7の内部、あるいは、外部に設けられた図示しないメモリに記憶されている。その後、AGCAMP6は、入力した信号を、AGC初期値が示す増幅率で増幅し、後段のA/Dコンバータ9へ出力する。また、AGC回路7は、AGC初期値を、現在のAGC制御値として、例えば、AGC回路7の内部、あるいは、外部に設けられた図示しないメモリに記憶させる。
【0024】
一方、RSSIの値が閾値を超える場合(ステップS102:YES)、AGC回路7は、現在のAGC制御値を確認する(ステップS104)。例えば、現在のAGC制御値は、AGC回路7の内部、あるいは、外部に設けられた図示しないメモリに記憶されている。
【0025】
次に、AGC回路7は、現在のAGC制御値よりも小さな値である新たなAGC制御値を導出するとともに、新たな乗算値を導出する(ステップS105)。具体的には、AGC回路7は、A/Dコンバータ9への入力信号のレベルが、当該A/Dコンバータ9がオーバーフローしない範囲(入力可能範囲)となるように、新たなAGC制御値を導出する。新たなAGC制御値と新たな乗算値とは、新たなAGC制御値が小さいほど、新たな乗算値は大きくなるという関係がある。ここでは、AGC回路7は、新たなAGC制御値から閾値を差し引いた値を、乗算値として導出する。
【0026】
次に、AGC回路7は、新たなAGC制御値をAGCAMP6に設定し、新たな乗算値を乗算器11に設定する(ステップS106)。その後、AGCAMP6は、入力した信号を、新たなAGC制御値が示す増幅率で増幅し、後段のA/Dコンバータ9へ出力する。また、AGC回路7は、導出した新たなAGC制御値を、現在のAGC制御値として、例えば、AGC回路7の内部、あるいは、外部に設けられた図示しないメモリに記憶させる。
【0027】
デジタルフィルタ10は、A/Dコンバータ9からのデジタル信号のうち、希望波成分に対応するデジタル信号を通過させ、後段の乗算器11へ出力する。
【0028】
乗算器11は、デジタルフィルタ10からのデジタル信号に、AGC回路7により設定された乗算値を乗算することで、デジタル信号のレベルを変換する。さらに、乗算器11は、レベルが変換されたデジタル信号を、CPRI16を介して、チャネル処理部15へ出力する。
【0029】
図1に示す1系受信部21は、帯域通過フィルタ23、アンプ24、ミキサ25、AGCAMP26、AGC回路27、RSSI回路28、A/Dコンバータ29、デジタルフィルタ30、乗算器31を備える。
【0030】
1系受信部21は、上述した0系受信部1と同様の処理を行う。すなわち、帯域通過フィルタ23は、アンテナ22により受信された信号(受信信号S1)を入力する。帯域通過フィルタ23は、受信信号S1のうち、所定周波数帯の信号のみを通過させ、後段のアンプ24へ出力する。アンプ24は、帯域通過フィルタ3からの信号を所定の増幅率で増幅させ、後段のミキサ25へ出力する。ミキサ25は、アンプ34からの信号に、所定の信号を混合して、信号の周波数変換を行い、周波数変換後の信号を、後段のAGCAMP26へ出力する。
【0031】
AGCAMP26は、後述するAGC回路27により増幅率が制御される。AGCAMP26は、入力した信号を、その時点で設定されている増幅率で増幅し、後段のA/Dコンバータ29へ出力する。
【0032】
A/Dコンバータ29は、AGCAMP26からの信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、後段のデジタルフィルタ30へ出力する。RSSI回路28は、A/Dコンバータ29へ入力される信号のレベルを検出する。なお、上述したとおり、A/Dコンバータ9の出力信号のレベルを検出することで、A/Dコンバータ9の入力信号のレベルが検出される。さらに、RSSI回路28は、検出した入力信号のレベルに基づいて、アンテナ22におけるNF値を含んだRSSIを検出し、当該RSSIの値を、後段のAGC回路27へ出力する。
【0033】
AGC回路27は、RSSI回路28からのRSSIの値を確認し、当該RSSIの値と予め定められた閾値とを比較する。RSSIの値が閾値を超えない場合、AGC回路27は、AGCAMP26のAGC制御値を、AGC初期値に設定する。また、AGC回路27は、後述する乗算器31における乗算値を、乗算初期値に設定する。その後、AGCAMP26は、入力した信号を、AGC初期値が示す増幅率で増幅し、後段のA/Dコンバータ29へ出力する。
【0034】
一方、RSSIの値が閾値を超える場合、AGC回路27は、現在のAGC制御値を確認する。AGC回路27は、現在のAGC制御値よりも小さな値の新たなAGC制御値を導出する。さらに、AGC回路27は、新たな乗算値を導出する。
【0035】
新たなAGC制御値及び新たな乗算値の導出後、AGC回路27は、新たなAGC制御値を、AGCAMP26の増幅率の値に設定する。その後、AGCAMP26は、入力した信号を、新たなAGC制御値が示す増幅率で増幅し、後段のA/Dコンバータ29へ出力する。また、AGC回路27は、新たな乗算値を、乗算器31の乗算値に設定する。
【0036】
デジタルフィルタ30は、A/Dコンバータ29からのデジタル信号のうち、希望波成分に対応するデジタル信号を通過させ、後段の乗算器31へ出力する。
【0037】
乗算器31は、デジタルフィルタ30からのデジタル信号に、乗算値を乗算することで、デジタル信号のレベルを変換して、CPRI36を介して、チャネル処理部15へ出力する。
【0038】
図1に示すチャネル処理部15は、チャネル推定回路12、チャネル推定回路32、合成回路13及び復調部14を備える。
【0039】
チャネル推定回路12は、CPRI16を介して、0系受信部1内の乗算器11に接続されている。チャネル推定回路12は、乗算器11からのデジタル信号に基づいて、0系受信部1により受信された信号のチャネル推定を行うとともに、ノイズ除去を行う。
【0040】
チャネル推定回路32は、CPRI36を介して、1系受信部21内の乗算器31に接続されている。チャネル推定回路32は、乗算器31からのデジタル信号に基づいて、1系受信部31により受信された信号のチャネル推定を行うとともに、ノイズ除去を行う。
【0041】
合成回路13は、チャネル推定回路12及びチャネル推定回路32からのチャネル推定及びノイズ除去後の信号を合成し、合成信号を復調部14へ出力する。復調部14は、合成回路13からの合成信号を復調する。
【0042】
次に、本実施形態の無線基地局装置Aの具体的な動作をいくつかの代表的な受信処理を例に挙げて説明する。以下においては、閾値は−65.0[dBm]とする。また、0系受信部1における希望波成分の信号の受信レベルが閾値−65.0[dBm]以下の場合、AGC回路7は、アンテナ2からA/Dコンバータ9までの利得が60.0[dB]となるように、AGCAMP6にAGC初期値を設定するとともに、乗算器11に乗算初期値である1.0[dB]を設定するものとする。同様に、1系受信部21における希望波成分の信号の受信レベルが閾値−65.0[dBm]以下の場合、AGC回路27は、アンテナ22からA/Dコンバータ29までの利得が60.0[dB]となるように、AGCAMP26にAGC初期値を設定するとともに、乗算器31に乗算初期値である1.0[dB]を設定するものとする。また、復調部14において復調可能なC/N比(所要C/N比)は0.0[dB]とする。アンテナ2及びアンテナ22におけるNF値は3.3[dB]とする。KTBFのレベルは、信号の帯域幅が4.5[MHz]の場合に−104.0[dBm]とする。チャネル推定回路12及びチャネル推定回路32のノイズ除去能力は−15.0[dBm]とする。A/Dコンバータ9及びA/Dコンバータ29のノイズフロアは−70.0[dBm]とする。ダイバーシチゲインは3.0[dB]とする。また、帯域制限フィルタ3及び帯域制限フィルタ23は、希望波成分の周波数帯域から5.0[MHz]以内の妨害波成分を除去することができないものとする。
【0043】
[第1の処理(両系受信の場合)]
まず、0系受信部1及び1系受信部21が、それぞれ−95.5[dBm]の希望波成分の信号を受信する場合の処理(第1の処理)を説明する。この場合、0系受信部1ではRSSI回路8によりRSSIの値が検出されるとともに、1系受信部21ではRSSI回路28によりRSSIの値が検出される。それぞれのRSSIの値は、受信した希望波成分の信号レベルと、上述したKTBFのレベルとを用いて算出され、具体的には、下記数式1に示す
【0044】
【数1】

となる。すなわち、各RSSIの値は、それぞれ閾値−65.0[dBm]以下となる。
従って、0系受信部1においては、AGC回路7は、AGCAMP6にAGC初期値を設定するとともに、乗算器11に乗算初期値を設定する。これにより、アンテナ2からA/Dコンバータ9までの利得は、60.0[dB]となる。同様に、1系受信部21においては、AGC回路27は、AGCAMP26にAGC初期値を設定するとともに、乗算器31に乗算初期値を設定する。これにより、アンテナ22からA/Dコンバータ29までの利得は、60.0[dB]となる。ここで、A/Dコンバータ9及びA/Dコンバータ29のノイズフロア(−70.0[dBm])は、アンテナ22からA/Dコンバータ29までの利得(60.0[dB])分を足したRSSIの値(−34.9[dBm])に対して、十分小さいために無視できる。そこで、ダイバーシチゲインのみを考慮すると、合成回路13が出力する信号のC/N比は、0系受信部1又は1系受信部21が受信した希望波成分の信号の値と、KTBFのレベルと、ダイバーシチゲインとを用いて算出され、具体的には下記数式2に示す
【0045】
【数2】

となる。この算出したC/N比は、復調部14における所要C/N比を満たす。すなわち、算出したC/N比は、0.0[dB]以上となる。従って、復調部14は、正常な復調処理を行うことができる。
【0046】
[第2の処理(片系受信の場合)]
次に、0系受信部1が−95.5[dBm]の希望波成分の信号を受信し、1系受信部21が無入力である片系受信の場合の処理(第2の処理)を説明する。この場合、0系受信部1では、上述したRSSIの値を検出する処理と同様の処理が行われる。これにより、上述した数式を用いてRSSIの値(−94.9[dBm])が算出される。なお、この算出したRSSIの値は、閾値−65.0[dBm]以下である。
従って、AGC回路7は、アンテナ2からA/Dコンバータ9までの利得が60.0[dB]となるように、AGCAMP6にAGC初期値を設定するとともに、乗算器11に乗算初期値である1.0[dB]を設定する。
【0047】
一方、1系受信部21ではRSSI回路28によるRSSIの値を検出する処理が行われる。このとき、1系受信部21は希望波成分の信号を受信していないため、RSSIの値はKTBFのレベル(−104.0[dBm])と同じ大きさになる。すなわち、検出したRSSIの値は、閾値−65.0[dBm]以下である。従って、AGC回路27は、アンテナ22からA/Dコンバータ29までの利得が60.0[dB]となるように、AGCAMP26にAGC初期値を設定するとともに、乗算器31に乗算初期値(1.0[dB])を設定する。
【0048】
このようにして0系受信部1から合成回路13に入力される希望波成分の信号のレベルCは、0系受信部1が受信した希望波成分の信号のレベルと、アンテナ22からA/Dコンバータ29までの利得と、を用いて算出され。具体的には、下記数式3に示すように、
【0049】
【数3】

となる。また、0系受信部1におけるKTBFは、希望波成分の信号と同様に、アンテナ22からA/Dコンバータ29までの間で増幅される。そのため、0系受信部1におけるKTBFのレベルは、KTBFのレベルと、アンテナ2からA/Dコンバータ9までの利得とを用いて算出され、具体的には、下記数式4に示すように、
【0050】
【数4】

となる。さらに、0系受信部1から合成回路13に入力されるノイズのレベルN0は、KTBFとA/Dコンバータ9のノイズフロアとを用いて算出され、具体的には、下記数式5に示す
【0051】
【数5】

となる。
【0052】
一方、1系受信部21から合成回路13に入力されるノイズのレベルN1は、チャネル推定回路32のノイズ除去能力により低減される。従って、ノイズのレベルN1は、KTBFのレベルと、アンテナ22からA/Dコンバータ29までの利得と、チャネル推定回路32のノイズ除去能力とを用いて算出され、具体的には、下記数式6に示す
【0053】
【数6】

となる。このことから、合成回路13が出力する信号のC/N比は、
【0054】
【数7】

となる。この算出したC/N比は、復調部14における所要C/N比を満たす。すなわち、算出したC/N比は、0.0[dB]以上となる。従って、復調部14は、正常な復調処理をおこなうことができる。
【0055】
[第3の処理]
次に、0系受信部1が−95.5[dBm]の希望波成分の信号と、当該希望波成分の周波数の近傍で−66.0[dBm]の妨害波成分の信号とを受信し、1系受信部21が無入力である片系受信の場合の処理(第3の処理)を説明する。この場合、0系受信部1内のRSSI回路8が検出するRSSIの値は、受信した希望波成分の信号レベルと、妨害波成分の信号レベルとを用いて算出され、具体的には、下記数式8に示す
【0056】
【数8】

となり、その結果、上述した閾値−65.0[dBm]以下となる。
【0057】
従って、AGC回路7は、アンテナ2からA/Dコンバータ9までの利得が60.0[dB]となるように、AGCAMP6にAGC初期値を設定するとともに、乗算器11に乗算初期値である1.0[dB]を設定する。一方、1系受信部21は、上述した第2の処理と同様の処理を行う。この結果、合成回路13が出力する信号のC/N比は、8.4[dB]となる。このC/N比は、復調部14における所要C/N比を満たす。従って、復調部14は、正常な復調処理を行うことができる。
【0058】
[第4の処理]
次に、0系受信部1が−95.5[dBm]の希望波成分の信号と、当該希望波成分の周波数の近傍で−42.5[dBm]の妨害波成分の信号とを受信し、1系受信部21が無入力である片系受信の場合の処理(第4の処理)を説明する。この場合、0系受信部1内のRSSI回路8が検出するRSSIの値は、受信した希望波成分の信号レベルと、妨害波成分の信号レベルとを用いて算出され、具体的には、下記数式9に示す
【0059】
【数9】

となり、その結果、ほぼ−42.0[dBm]となる。従って、RSSIの値は、閾値−65.0[dBm]を超える。
【0060】
AGC回路7は、現在のAGC制御値を確認するとともに、A/Dコンバータ9がオーバーフローしない新たなAGC制御値を算出する。新たなAGC制御値は、閾値と、妨害波成分の信号レベルとを用いて算出され、具体的には、下記数式10に示す
【0061】
【数10】

となる。また、乗算器11の乗算値として、AGC制御値分を打ち消す+23.0[dB]を、新たなAGC制御値補正値として算出する。この場合、アンテナ2から0系受信部1の終端までの利得は、アンテナ2からA/Dコンバータ9までのAGC制御値が0[dB]時の利得から、新たなAGC制御値と、乗算器補正値とを用いて算出され、具体的には、下記数式11に示す
【0062】
【数11】

となる。すなわち、RSSI回路8が検出するRSSIの値は、受信した希望波成分の信号レベルと、上述したKTBFのレベルと、妨害波成分の信号レベルとを用いて算出され、その結果、上述した閾値−65.0[dBm]を超える。そのため、AGCAMP6の増幅率が減少しても、乗算器11によって補完されるため、0系受信部1の全体の利得は低下しない。
【0063】
この結果、0系受信部1から合成回路13に入力される希望波成分の信号のレベルCは、受信した希望波成分の信号のレベルと、RSSI回路8が検出したRSSIの値とを用いて算出され、具体的には、下記数式12に示す
【0064】
【数12】

となる。また、0系受信部1におけるKTBFとA/Dコンバータ9のノイズフロアとの合成レベルは、下記数式13に示す
【0065】
【数13】

となる。さらに、0系受信部1から合成回路13に入力されるノイズのレベルN0は、上述した合成レベルと、乗算器11の乗算値とを用いて算出され、具体的には、下記数式14に示す
【0066】
【数14】

となる。
【0067】
一方、1系受信部21におけるKTBFとA/Dコンバータ9のノイズフロアとの合成レベルは、下記数式15に示す
【0068】
【数15】

となる。さらに、1系受信部21から合成回路13に入力されるノイズのレベルN1は、チャネル推定回路によるチャネル推定回路32のノイズ除去能力により低減される。従って、ノイズのレベルN1は、1系受信部21におけるKTBFとA/Dコンバータ9のノイズフロアとの合成レベルと、チャネル推定回路32のノイズ除去能力とを用いて算出され、具体的には、下記数式16に示す
【0069】
【数16】

となる。そして、合成回路13が出力する信号のC/N比は、希望波成分の信号のレベルCと、ノイズNとを用いて算出される。また、ノイズNは、ノイズN0と、ノイズN1とを用いて算出される。具体的に、合成回路13が出力する信号のC/N比は、下記数式17に示す
【0070】
【数17】

となる。この算出したC/N比は、復調部14における所要C/N比を満たす。すなわち、算出したC/N比は、0.0[dB]以上となる。従って、復調部14は、正常な復調処理を行うことができる。
【0071】
[従来の処理]
次に、従来の無線基地局装置が、上述した第4の処理に対応する処理を行う場合について説明する。従来の無線基地局装置は、図1に示す本実施形態の無線基地局装置Aから乗算器11及び乗算器31を除いた構成である。
【0072】
従来の無線基地局装置において、0系受信部1が−95.5[dBm]の希望波成分の信号と、当該希望波成分の周波数の近傍で−42.0[dBm]の妨害波成分の信号とを受信し、1系受信部21が無入力である片系受信の場合を想定する。この場合には、0系受信部内のRSSI回路8が検出するRSSIの値は、閾値−65.0[dBm]を超える。AGC回路7は、A/Dコンバータ9がオーバーフローしないAGC制御値を、閾値と、妨害波成分の信号レベルとを用いて算出する。具体的には、下記数式18に示す
【0073】
【数18】

となる。この場合、アンテナ2から0系受信部1の終端までの利得は、アンテナ2からA/Dコンバータ9までのAGC制御値が0dB時の利得から、A/Dコンバータ9がオーバーフローしないAGC制御値を用いて算出され、具体的には、下記数式19に示す
【0074】
【数19】

となる。すなわち、AGC制御値が、A/Dコンバータ9がオーバーフローしない値に設定されることにより、アンテナ2から0系受信部1の終端までの利得は低下してしまう。この結果、0系受信部1から合成回路13に入力される希望波成分の信号のレベルCは、下記数式20に示す
【0075】
【数20】

となる。すなわち、希望波成分の信号のレベルCは、上記数式15に示すようにアンテナ2から0系受信部1の終端までの利得が低下した分だけ、低下する。また、0系受信部1から合成回路13に入力されるノイズのレベルN0は、アンテナ2からA/Dコンバータ9までの間で増幅されたKTBFと、上述したA/Dコンバータ9のノイズフロアとを用いて算出され、具体的には下記数式21に示す
【0076】
【数21】

となる。
【0077】
一方、1系受信部21におけるKTBFとA/Dコンバータ29のノイズフロアとの合成レベルは、下記数式22に示す
【0078】
【数22】

である。さらに、1系受信部21から合成回路18に入力されるノイズのレベルN1は、チャネル推定回路32のノイズ除去能力により低減される。従って、ノイズのレベルN1は、KTBFとA/Dコンバータ29のノイズフロアとを合成したノイズと、チャネル推定回路32のノイズ除去能力とを用いて算出され、具体的には、下記数式23に示す
【0079】
【数23】

となる。そして、合成回路13が出力する信号のC/N比は、希望波成分の信号のレベルCと、ノイズNとを用いて算出される。また、ノイズNは、ノイズN0と、ノイズN1とを用いて算出される。具体的に、合成回路13が出力する信号のC/N比は、下記数式24に示す
【0080】
【数24】

となる。このC/N比は、復調部14における所要C/N比を満たさない。従って、復調部14は、正常な復調処理を行うことができない。
【0081】
図3は、本実施形態に係る無線基地局装置Aと、従来の無線基地局装置との利得の差異を示す図である。図3(a)及び図3(b)において、実線は、本実施形態に係る無線基地局装置Aにおける利得を示し、点線は、乗算器が存在しない従来の無線基地局装置の利得を示す。また、図4は、本実施形態に係る無線基地局装置Aと、従来の無線基地局装置とのスループット特性の差異を示す図である。図4において、実線は、本実施形態に係る無線基地局装置Aにおけるスループット特性を示し、点線は、乗算器が存在しない従来の無線基地局装置のスループット特性を示す。
【0082】
図3(a)に示すように、本実施形態に係る無線基地局装置A及び従来の無線基地局装置のアンテナからデジタルフィルタまでの利得を比較する。本実施形態に係る無線基地局装置A及び従来の無線基地局装置の何れにおいても、アンテナ2からデジタルフィルタ10までの利得は、RSSIが−65.0[dBm]以下では、60.0[dB]が維持される。しかし、RSSIが−65.0[dBm]を超えると、A/Dコンバータ9がオーバーフローしてしまうことを防止するため、AGCAMP6の増幅率が下げられる。このため、例えば、妨害波成分が1.0[dB]増加する毎に、アンテナ2からデジタルフィルタ10までの利得は、1.0[dB]減少する。
【0083】
一方、図3(b)に示すように、本実施形態に係る無線基地局装置A及び従来の無線基地局装置のアンテナ2から受信部の終端までの利得を比較する。従来の無線基地局装置では、受信部の終端は、デジタルフィルタ10である。従って、アンテナ2から受信部の終端までの利得は、図3(a)の場合と同様である。しかし、本実施形態に係る無線基地局装置Aでは、受信部の終端は、乗算器11である。乗算器11は、AGCAMP6における利得の低下を打ち消すように増幅する。従って、RSSIが−65.0[dBm]を超えてAGCAMP6の増幅率が下げられても、アンテナ2から受信部の終端までの利得は維持される。
【0084】
図3(b)に示すように、本実施形態に係る無線基地局装置A及び従来の無線基地局装置のアンテナ2から受信部の終端までの利得に差異がある結果、本実施形態に係る無線基地局装置Aは、スループット特性が向上する。図4では、従来の無線基地局装置は、妨害波のレベルが−43.0[dBm]まで上昇すると、スループットが最大値の95%となる。これに対し、本実施形態の無線基地局は、妨害波のレベルが−32.0[dBm]まで上昇すると、スループットが最大値の95%となる。
【0085】
以上、本実施形態によれば、無線基地局装置Aは、ダイバーシチ受信方式を採用し、アンテナ2と、当該アンテナ2に接続される0系受信部1と、アンテナ22と、当該アンテナ22に接続される1系受信部21と、0系受信部1及び1系受信部21を接続するチャネル処理部15とを備える。
【0086】
この無線基地局装置Aにおいて、0系受信部1が希望波成分の信号を受信し、1系受信部21が無入力である片系受信が行われる場合、高電界の妨害波成分が存在することにより、RSSI回路8によって検出されたRSSIの値が閾値を超えると、0系受信部1内のAGC回路7は、現在のAGC制御値よりも小さな値の新たなAGC制御値を導出し、AGCAMP6に設定する。新たなAGC制御値は、A/Dコンバータ9への入力信号のレベルが、当該A/Dコンバータ9がオーバーフローしない範囲(入力可能範囲)となるような値である。また、AGC回路7は、新たな乗算値を導出し、乗算器11に設定する。新たな乗算値は、新たなAGC制御値から閾値を差し引いた値である。
【0087】
AGC回路7が、新たなAGC制御値及び新たな乗算値を導出、設定することにより、AGCAMP6の増幅率が低下し、A/Dコンバータ7がオーバーフローすることが防止される。また、乗算器11は、AGCAMP6における利得の低下を打ち消すように増幅する。従って、AGCAMP6の増幅率が下げられても、アンテナ2から0系受信部1の終端までの利得は維持される。さらに、合成回路13が、0系受信部1からの希望波成分と、1系受信部21からの無入力系のノイズとを合成する際に、希望波成分のレベルが維持されるため、無入力系のノイズの影響を回避することができる。このため、0系受信部1が、従来の妨害波の入力レベルの限界値よりも更に高い妨害波を受信しても、復調部14における所要C/Nを満たすことができる。すなわち、3GPPの妨害波の規格に対して、余裕度を大きくとることができるため、A/Dコンバータのノイズフロアのばらつき、温度変動、経年変化等による受信部の利得変動に対する耐性が向上する。
【0088】
なお、上述した実施形態では、片系受信時の場合について説明したが、両系受信時の場合においても、同様に、本発明を適用できる。例えば、0系受信部1が希望波成分の信号を受信中、妨害波成分の信号を受信し、1系受信部21が妨害波成分の信号を受信した場合、0系受信部1の希望波成分が乗算器11にて増幅されることにより、合成回路13における合成時に、1系受信部21のノイズによる影響を小さくすることができる。このため、従来のCPRIを備えたLTE方式の無線基地局装置では不可能であった所要C/Nの0.0[dB]を満たすことができる。
【0089】
また、上述した実施形態では、閾値は、A/Dコンバータ9がオーバーフローしない場合のRSSIの値の上限値であったが、A/Dコンバータ9がオーバーフローしない場合のRSSIの値の上限値以下の値であればよい。
【0090】
また、上述した実施形態では、CPRIを備えたLTE方式で、且つ、ダイバーシチ受信方式を採用した無線基地局装置について説明したが、ダイバーシチ受信方式を採用した無線基地局装置であれば、本発明を適用できる。さらには、無線基地局装置以外の無線通信装置であっても、ダイバーシチ受信方式を採用した無線通信装置であれば、本発明を適用できる。
【0091】
[変形例]
以上実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、AGC回路が、乗算器の乗算値に上限を設ける機能を有していてもよい。この場合には、乗算器から出力されたデジタル信号が、チャネル推定回路においてオーバーフローすることが防止される。その結果、無線基地局装置の受信動作をより安定化させることができる。以下、変形例に係る無線基地局装置の構成と作用を説明する。
【0092】
図5は、本発明の変形例に係る無線基地局装置A’の構成を示す図である。なお、上述した無線基地局装置Aと同一の構成については同一符号を付して説明を省略する。図5に示すように、無線基地局装置A’は、AGC回路7の代わりにAGC回路7’を備えている。
【0093】
AGC回路7’は、上述したAGC回路7と同様に、AGC制御値を設定するとともに、乗算器11の乗算値を設定する。また、AGC回路7’は、乗算器11の乗算値に上限を設ける機能を有しており、乗算器11の乗算値が所定値以上とならないように制御可能に構成されている。これにより、チャネル推定回路12に入力されるデジタル信号の電力値が所定値未満となるように制御される。デジタル信号の電力値としては、例えば、デジタル換算値で+36dBであり、LTE変調波におけるデジタル換算で平均電力+26dBである。
【0094】
このように、無線基地局装置A’によれば、AGC回路7’が、乗算器11の乗算値に上限を設定する機能を有しているため、乗算器11から入力されたデジタル信号が、チャネル推定回路12においてオーバーフローすることを防止することができる。これにより、無線基地局装置A’では、安定した受信動作を行うことができる。
【0095】
次に、無線基地局装置A’の動作の具体的な例を説明する。
【0096】
[片系受信処理]
まず、0系受信部1が−95.5[dBm]の希望波成分の信号を受信中に、−32.0[dBm]の妨害波成分が入力され、かつ、1系受信部21が無入力系となる場合の処理(片系受信処理)を説明する。
【0097】
図6に示すように、AGC回路7は、RSSIの値を確認する(ステップS201)。この処理に先立ち、RSSI回路8は、A/Dコンバータ9への入力信号のレベル(電界強度)を検出し、検出した入力信号のレベルに基づいて、アンテナ2におけるNF値(雑音指数値)を含んだ受信信号電界強度(RSSI)を検出する。なお、上述したとおり、A/Dコンバータ9の出力信号のレベルを検出することで、A/Dコンバータ9の入力信号のレベルが検出される。RSSIの値は、希望波成分の信号レベルと、妨害波成分の信号レベルとを用いて算出され、具体的には、下記数式25に示す
【0098】
【数25】

となる。次に、AGC回路7’は、RSSIの値が閾値を超えるか判定する(ステップS202)。この処理では、上記数式21において算出したRSSIの値(−32.0[dBm])と、閾値(−65.0[dBm])とを比較する。
【0099】
AGC回路7’が、RSSIの値が閾値を超えると判定すると(ステップS202:Yes)、現在の現在のAGC制御値を確認する(ステップS204)。なお、AGC回路7’が、RSSIの値が閾値を超えないと判定すると(ステップS202:No)、AGC回路7’は、AGC制御値及び乗算値を初期値に設定し、ステップS202に処理を戻す。
【0100】
次に、AGC回路7’は、新たなAGC制御値及び乗算値を算出する(ステップS205)。この処理では、AGC回路7’は、RSSIの値が閾値以下となるような新たなAGC制御値を算出する処理を行う。新たなAGC制御値は、閾値と、算出したRSSIの値とを用いて算出され、具体的には、下記数式26に示す
【0101】
【数26】

となる。また、AGC回路7’は、乗算器11の乗算値が、AGC制御値を打ち消すように、当該乗算値の補正値を算出する。このときの算出した補正値は、下記数式27に示す
【0102】
【数27】

となる。次に、AGC回路7’は、算出した乗算値の補正値が+30.0[dB]を超えるか判定する(ステップS206)。AGC回路7’は、算出した補正値が+30.0[dB]を超えないと判定すると(ステップS206:No)、AGC回路7’は、算出した値を補正値として設定する(ステップS207)。一方、AGC回路7’は、算出した補正値が+30.0[dB]を超えると判定すると(ステップS206:Yes)、乗算器11の補正値を+30.0[dB]に変更し(ステップS208)、ステップS207へ処理を進める。
【0103】
次に、AGC回路7’は、ステップS207で設定した乗算器の補正値に基づいて、AGC制御値を再設定する(ステップS209)。
【0104】
上述の処理により再設定されたAGC制御値や乗算器の補正値は以下のように用いられる。すなわち、AGC回路7’がAGC制御を行うと、アンテナ2からA/Dコンバータ9までの利得が、AGC制御値および乗算器の補正値に応じて変化する。
【0105】
例えば、AGC制御値が初期値(0.0[dB])である場合、0系受信部1の総合利得は、アンテナ2からA/Dコンバータ9までの利得(+60.0[dB])と同じ値になる。ところが、AGC回路7による制御を行うことで、0系受信部1の総合利得は、アンテナ2からA/Dコンバータ9までの利得に、AGC制御値及び乗算器11の補正値を加えた値となる。具体的には、下記数式28に示す
【0106】
【数28】

となる。また、合成回路13における0系受信部1の希望波成分の信号レベルCは、受信した希望波成分の信号レベルと、0系受信部1の総合利得とを用いて算出され、具滝的には、下記数式29に示す
【0107】
【数29】

となる。一方、0系受信部1において発生するノイズとしては、KTBFがアンテナ2からA/Dコンバータ9までの間で利得分だけ増加したノイズ(KTBFG)と、A/Dコンバータ9のノイズフロアNA/Dとがある。0系受信部1において発生するノイズの値は、KTBFGと、ノイズフロアNA/Dとを用いて算出され、具体的には、下記数式30に示す
【0108】
【数30】

となる。0系受信部1において発生するノイズは、乗算器11において増幅される(ノイズN0)。この乗算器11において増幅されたノイズN0の値は、0系受信部1において発生するノイズと、乗算器11の補正値とを用いて算出され、具体的には下記数式31に示す
【0109】
【数31】

となる。なお、デジタルフィルタ10が、妨害波成分の信号レベルを、受信動作には影響を与えない十分低いレベルまで抑制しているため、ここでは、妨害波成分を考慮する必要はない。
【0110】
一方、1系受信部21には高レベルの妨害波成分が入力されていないため、AGC制御値および乗算器11の補正値はそれぞれ0.0[dB]となる。すなわち、AGC回路27’はAGC制御を行わず、アンテナ22からA/Dコンバータ29までの利得は初期値(+60.0[dB])となる。従って、1系受信部21において発生するノイズの値は下記数式32に示す
【0111】
【数32】

となる。1系受信部21から合成回路13に入力されるノイズのレベルN1は、チャネル推定回路32のノイズ除去能力により低減される。従って、ノイズのレベルN1は、1系受信部21において発生するノイズの値と、チャネル推定回路32のノイズ除去能力とを用いて算出され、具体的には、下記数式33に示す
【0112】
【数33】

となる。また、合成回路13におけるノイズNは、ノイズN0(−39.2[dBm])と、ノイズN1(−59.0[dBm])とを用いて算出され、具体的には、下記数式34に示す
【0113】
【数34】

となる。また、合成時のC/Nは上記数式25で算出した信号レベルC(−38.5[dBm])と、ノイズNとを用いて算出され、具体的には、下記数式35に示す
【0114】
【数35】

となる。この算出したC/N比は、復調部14における所要のC/N(0.0[dB])を満たす。従って、復調部14は、チャネル推定回路12におけるオーバーフローを防止することができ、正常な復調処理を行うことができる。
【0115】
次に、0系受信部1において、A/Dコンバータ9がオーバーフローするレベルを超えた値(−32.0[dBm])の希望波成分の信号のみを受信した場合を説明する。例えば、AGC制御値が初期値(0.0[dB])である場合、0系受信部1の総合利得は、アンテナ2からA/Dコンバータ9までの利得(+60.0[dB])と同じ値になる。ところが、AGC回路7による制御を行うことで、0系受信部1の総合利得は、アンテナ2からA/Dコンバータ9までの利得に、AGC制御値及び乗算器11の補正値を加えた値となる。具体的には、下記数式36に示す
【0116】
【数36】

となる。従って、チャネル処理部15での希望波成分の信号レベルは、希望波成分の受信レベル(−32.0[dBm])と、アンテナ2からA/Dコンバータ9までの利得とを用いて算出され、具体的には、下記数式37に示す
【0117】
【数37】

となる。このように、チャネル推定回路12では平均電力26.0[dBm]以下であれば、ピーク値であっても+36.0[dBm]以下に抑制される。これにより、正常に処理ができる。また、ノイズレベルNは、下記数式38に示す
【0118】
【数38】

となる。
【0119】
【数39】

となる。この算出したC/N比は、復調部14における所要のC/N(0.0[dB])を満たす。これにより、チャネル推定回路12におけるオーバーフローが防止され、復調部14では正常な復調処理が行われる。
【0120】
このように、無線基地局装置A’によれば、乗算器11の乗算値の上限を設定可能に構成されたAGC回路7’を備えているため、例えば、通常ではA/Dコンバータ9がオーバーフローするレベル(−34.0[dBm])以上の高レベルの希望波成分の信号のみを受信した場合であっても、チャネル推定回路12におけるオーバーフローを防止することができる。これにより、復調部14において正常な復調処理を行うことができる。すなわち、正常な受信動作を行うことができる。
【0121】
さらに、無線基地局装置A’では、AGC回路7’が乗算器11の乗算値に上限を設定する機能を有していても、上述した無線基地局装置Aと同等の耐妨害波特性を有する。従って、妨害波成分の信号レベル−32.0[dBm]まで耐えることができる。
【0122】
しかも、無線基地局装置A’では、上述した無線基地局装置Aに対して、特別なハードウェアの変更を行うことなく、ソフトウェアの軽微な変更を行うことで、上述した機能を付与することができる。これにより、より安定した受信動作を実現することができる無線基地局装置を安価に提供することができる。
【0123】
仮に、本変形例に係るAGC回路7’のように、乗算器11の乗算値に上限を設定する機能を有していない場合には、以下の問題が生じる。すなわち、0系受信部1に、例えば、信号レベルが−32.0[dBm]の希望波成分の信号のみが入力されると、希望波成分の信号レベルは、下記数式40に示す
【0124】
【数40】

となる。この場合には、チャネル推定回路12にて+26.0[dBm]を超えるためオーバーフローしてしまう。その結果、復調部14にて正常な復調ができず、受信動作に問題が生じてしまう。
【0125】
このような場合に、上述した無線基地局装置Aでは、アンテナ2にて希望波を受信中に受信帯域近傍に高電界の妨害波を受信した際、A/Dコンバータ9の入力レベルがオーバーフローレベルに達しないよう、AGCAMP6の利得が低下するよう制御し、デジタルの乗算器11にてAGCAMP6及び26で低下した分だけレベルが増加するよう補正していた。
しかし、チャネル処理部15におけるチャネル推定回路12においてデジタル換算の電力値+36.0[dBm]以上、すなわちLTE変調波におけるデジタル換算での平均電力+26.0[dBm]以上が入力されるとピーク値で+36.0[dBm]を超えるためオーバーフローしてしまい、受信動作に支障をきたす恐れがある。そこで、無線基地局装置A’では、乗算器11の乗算値に上限を設ける機能を有するAGC回路7’を備えることで、これらの課題を解決している。
【0126】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0127】
(付記1)
無線信号を受信する複数のアンテナと、前記アンテナと1対1に接続され、前記無線信号の受信処理を行う複数の受信処理部と、前記複数の受信処理部を接続し、前記複数の受信処理部からの信号を合成して復調する受信制御部とを有する無線通信装置であって、
前記受信処理部は、
前記無線信号の受信レベルが閾値以下である場合に、第1の増幅率で前記無線信号を増幅し、前記無線信号の受信レベルが前記閾値を超える場合に、前記第1の増幅率よりも低い第2の増幅率で前記無線信号を増幅する第1の利得制御手段と、
前記第1の利得制御手段により増幅された信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
前記アナログ/デジタル変換手段から出力されるデジタル信号から希望波成分を抽出するフィルタ手段と、
前記第1の利得制御手段により前記第2の増幅率で無線信号が増幅された場合に、前記フィルタ手段から出力される希望波成分のデジタル信号を第3の増幅率で増幅する第2の利得制御手段と
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【0128】
(付記2)
前記第1の利得制御手段は、前記無線信号の受信レベルが高いほど、前記第2の増幅率を下げることを特徴とする付記1に記載の無線通信装置。
【0129】
(付記3)
前記第2の利得制御手段は、前記第2の増幅率が低いほど、前記第3の増幅率を上げることを特徴とする付記1又は2に記載の無線通信装置。
【0130】
(付記4)
前記閾値は、前記アナログ/デジタル変換手段における処理可能範囲となる信号の入力レベルの上限値以下の値である付記1乃至3の何れか1つに記載の無線通信装置。
【0131】
(付記5)
前記第2の利得制御手段は、前記第2の増幅率から前記閾値を差し引いた値を、前記第3の増幅率とする付記4に記載の無線通信装置。
【0132】
(付記6)
アンテナによって受信された無線信号の受信処理を行う受信処理装置であって、
前記無線信号の受信レベルが閾値以下である場合に、第1の増幅率で前記無線信号を増幅し、前記無線信号の受信レベルが前記閾値を超える場合に、前記第1の増幅率よりも低い第2の増幅率で前記無線信号を増幅する第1の利得制御手段と、
前記第1の利得制御手段により増幅された信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
前記アナログ/デジタル変換手段から出力されるデジタル信号から希望波成分を抽出するフィルタ手段と、
前記第1の利得制御手段により前記第2の増幅率で無線信号が増幅された場合に、前記フィルタ手段から出力される希望波成分のデジタル信号を第3の増幅率で増幅する第2の利得制御手段と
を備えることを特徴とする受信処理装置。
【0133】
(付記7)
無線通信装置における通信制御方法であって、
無線信号の受信レベルが閾値以下である場合に、第1の増幅率で前記無線信号を増幅し、前記無線信号の受信レベルが前記閾値を超える場合に、前記第1の増幅率よりも低い第2の増幅率で前記無線信号を増幅する第1のステップと、
前記第1のステップにおいて増幅された信号をデジタル信号に変換する第2のステップと、
前記第2のステップにおいて得られる前記デジタル信号から希望波成分を抽出する第3のステップと、
前記第1のステップにおいて前記第2の増幅率で無線信号が増幅された場合に、前記第3のステップにおいて得られる希望波成分のデジタル信号を第3の増幅率で増幅する第4のステップと
を備えることを特徴とする通信制御方法。
【0134】
その他、本発明は、上記実施形態の説明及び図面によって限定されるものではなく、上記実施形態及び図面に適宜変更等を加えることは可能である。
【符号の説明】
【0135】
1、1’ 0系受信部
2、22 アンテナ
3、23 帯域通過フィルタ
4、24 アンプ
5、25 ミキサ
6、26 AGCAMP
7、7’、27、27’ AGC回路
8、28 RSSI回路
9、29 A/Dコンバータ
10、30 デジタルフィルタ
11、31 乗算器
12、32 チャネル推定回路
13 合成回路
14 復調部
15 チャネル処理部
16、36 CPRI
21,21’ 1系受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を受信する複数のアンテナと、前記アンテナと1対1に接続され、前記無線信号の受信処理を行う複数の受信処理部と、前記複数の受信処理部を接続し、前記複数の受信処理部からの信号を合成して復調する受信制御部とを有する無線通信装置であって、
前記受信処理部は、
前記無線信号の受信レベルが閾値以下である場合に、第1の増幅率で前記無線信号を増幅し、前記無線信号の受信レベルが前記閾値を超える場合に、前記第1の増幅率よりも低い第2の増幅率で前記無線信号を増幅する第1の利得制御手段と、
前記第1の利得制御手段により増幅された信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
前記アナログ/デジタル変換手段から出力されるデジタル信号から希望波成分を抽出するフィルタ手段と、
前記第1の利得制御手段により前記第2の増幅率で無線信号が増幅された場合に、前記フィルタ手段から出力される希望波成分のデジタル信号を第3の増幅率で増幅する第2の利得制御手段と
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記第1の利得制御手段は、前記無線信号の受信レベルが高いほど、前記第2の増幅率を下げることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記第2の利得制御手段は、前記第2の増幅率が低いほど、前記第3の増幅率を上げることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記閾値は、前記アナログ/デジタル変換手段における処理可能範囲となる信号の入力レベルの上限値以下の値である請求項1乃至3の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記第2の利得制御手段は、前記第2の増幅率から前記閾値を差し引いた値を、前記第3の増幅率とする請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
アンテナによって受信された無線信号の受信処理を行う受信処理装置であって、
前記無線信号の受信レベルが閾値以下である場合に、第1の増幅率で前記無線信号を増幅し、前記無線信号の受信レベルが前記閾値を超える場合に、前記第1の増幅率よりも低い第2の増幅率で前記無線信号を増幅する第1の利得制御手段と、
前記第1の利得制御手段により増幅された信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
前記アナログ/デジタル変換手段から出力されるデジタル信号から希望波成分を抽出するフィルタ手段と、
前記第1の利得制御手段により前記第2の増幅率で無線信号が増幅された場合に、前記フィルタ手段から出力される希望波成分のデジタル信号を第3の増幅率で増幅する第2の利得制御手段と
を備えることを特徴とする受信処理装置。
【請求項7】
無線通信装置における通信制御方法であって、
無線信号の受信レベルが閾値以下である場合に、第1の増幅率で前記無線信号を増幅し、前記無線信号の受信レベルが前記閾値を超える場合に、前記第1の増幅率よりも低い第2の増幅率で前記無線信号を増幅する第1のステップと、
前記第1のステップにおいて増幅された信号をデジタル信号に変換する第2のステップと、
前記第2のステップにおいて得られる前記デジタル信号から希望波成分を抽出する第3のステップと、
前記第1のステップにおいて前記第2の増幅率で無線信号が増幅された場合に、前記第3のステップにおいて得られる希望波成分のデジタル信号を第3の増幅率で増幅する第4のステップと
を備えることを特徴とする通信制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate