説明

無線通信装置、無線通信システム、無線通信方法及びプログラム

【課題】無線タグとの通信部との通信負荷を考慮することで、干渉の低減と通信効率の向上とを両立させた無線通信装置を提供する。
【解決手段】無線通信装置2Aは、無線タグ1と複数の通信部21との通信内容を登録する登録手段25と、登録手段25に登録されている通信内容を解析することにより、チャンネル割当対象の通信部に対する通信内容の通信負荷を算出する算出手段26と、算出手段26により算出された通信負荷を対象チャンネルに設定した場合に、対象チャンネルに対する通信負荷が所定の通信負荷条件を満たすか否かを判断する判断手段27と、判断手段27により、対象チャンネルに対する通信負荷が所定の通信負荷条件を満たすと判断された場合、チャンネル割当対象の少なくとも2つの通信部に対して同一の対象チャンネルを割り当てる割当手段28とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグとの無線通信を実行する無線通信装置、該無線通信装置が複数個配置された無線通信システム、無線タグと無線通信するための無線通信方法、及び無線タグと無線通信するための処理をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
HF帯(13.56MHz帯域)などの無線タグを用いた無線システムでは、通信距離が30〜50cm程度と短く、通信距離の拡大が望まれている。そこで、無線通信を行う対象の無線タグとの通信距離が2〜5mと長いUHF帯域(950MHz帯域)やマイクロ波帯域(2.45GHz帯域)を用いた無線通信システムが提案されはじめている。従来例1では、使用可能な周波数帯域を分割して得られたチャンネル(例えばハイパワータイプのUHF帯域では9チャンネル)を規定時間ごとに、割り当てる無線通信装置を変更して、全ての無線通信装置にチャンネルを順次割り当てる処理を繰り返すRFID(Radio Frequency IDentification)システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されているRFIDシステムでは、ある無線通信装置が対象の無線タグに送信する無線信号にそれぞれ時分割でチャンネルが割り当てられており、同一の時間帯では、同一のチャンネルにおいて一つの通信しか行なわれない。そのため、広い干渉領域内(例えば、無線周波数としてUHF帯を用いた場合、約100m−約500mの距離範囲内)にある他の無線通信装置の対象の無線タグからの情報の読み取りや対象の無線タグへの情報の書き込みに悪影響(干渉)を与えることなく、許容されたチャンネルの数以上に無線通信装置を増やすことが可能となる。
【0004】
また前記従来例1の変形例として複数のアンテナと、該複数のアンテナに接続された1つの制御部とから構成され、1つの制御部により複数のアンテナを時分割で切り換えて無線タグと無線通信を行う無線通信装置が従来から知られている。
【0005】
この従来の無線通信装置では、1つの制御部が複数のアンテナで共有され、複数のアンテナから同時に無線電波が送波されることはないため、アンテナ間での干渉がない、という利点がある。
【0006】
次に、従来例2として、無線通信において連続して行なわれる実行内容を示す命令の一群を予め登録しておき、必要時に命令の一群を呼び出して無線通信を実行させる無線タグリーダ/ライタが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2に開示されている無線タグリーダ/ライタでは、無線タグリーダ/ライタが上位の制御機器と処理毎に通信を行って、データのやりとり、処理結果の確認等を行う必要がなく、上位の制御機器からの指示内容を簡略化して、一連の処理を高速に実行することが可能となる。
【0008】
ところで、無線通信装置と無線タグとの無線通信に用いられる無線電波は、一般的に通信可能領域と通信不可能領域からなる不規則なパターンを有し、特に、通信距離の長い上記UHF帯域を無線通信に用いた場合、通信距離の短いHF帯域を無線通信に用いた場合に比べて、通信可能領域と通信不可能領域のパターンはより不規則となる。この場合、例えば工場の製造ラインにて、コンベアで搬送されるパレットに貼付されて無線通信装置に対して相対的に移動する無線タグが、無線通信装置に近づくと、通信不可能状態から一旦通信可能状態になった後、再び一時的に通信不可能状態となり、その後また通信可能状態となる。また、条件によっては、通信可能領域内に通信不可能領域が点在することもある。この現象は、特にUHF帯以上の周波数帯で顕著となる。
【特許文献1】特開2006−148258号公報
【特許文献2】特開2007−094889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来例1では、1対1の関係でチャンネルを割り当てる無線通信装置を規定時間ごとに変更してチャンネル割り当てを行うに過ぎず、無線通信装置の無線タグに対する通信データ量(通信負荷)を考慮していないため、通信データ量の多い無線通信装置と通信データ量の少ない無線通信装置に対して同様にチャンネルが割り当てられた場合、システム全体の通信効率が低下する可能性がある。
【0010】
また、上記従来例2でも、多量の通信データを送受信する設定がなされた無線タグリーダ/ライタ(又は、アンテナ)と、少量の通信データを送受信する設定がなされた無線タグリーダ/ライタ(又は、アンテナ)とを自動的に区別して、最適な干渉低減の設定を導き出すような提案はなく、干渉を十分に低減することができない、という問題がある。
【0011】
さらに、上記のようにUHF帯以上で通信可能領域と通信不可能領域のパターンの不規則性が顕著になるという現象を考慮したものはなく、命令群の実行の途中で、通信不可能領域に入ったとしても、命令群の実行がスタックするだけで、再び無線タグが通信可能領域に入ってくるまでは、通信がストップしてしまうという問題があるため、必要なアクセスを完了するまでの時間のトータルの処理時間が長くなり、アクセスの高速化は達成できない、という問題がある。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、無線タグとの無線通信の通信負荷を考慮することで、干渉の低減と通信効率の向上とを両立させた無線通信装置、該無線通信装置が複数個配置された無線通信システム、無線タグと無線通信するための無線通信方法、及び無線タグと無線通信するための処理をコンピュータに実行させるプログラムを提供することを第1の目的とする。
【0013】
また、本発明は、最適な干渉低減の設定を導き出すという目的に加えて、UHF帯以上の無線信号を用いた場合でも、無線通信の全体としての処理時間を短縮して、アクセスの高速化を図ることができる無線通信装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の目的を達成するため、第1発明に係る無線通信装置は、特定の周波数帯域の電波を用いて、無線タグとの間で通信データを送受信する通信部と、特定の周波数帯域で許容されているチャンネル数よりも多い数の通信部が接続可能なコントローラ部とを有し、コントローラ部は、無線タグへの通信部の送信データを、通信部毎に対応させて登録する登録手段と、登録手段により登録された送信データに基づいて、無線タグから通信部に受信される受信データの量を求め、送信データの量および受信データの量から通信部毎の通信負荷を算出する算出手段と、チャンネル毎に割り当てる通信負荷を設定するための通信負荷条件を記憶する記憶手段と、算出手段より算出された通信部毎の通信負荷に基づいて、チャンネル毎の通信負荷が記憶手段に記憶された通信負荷条件を満たすように通信部毎にチャンネルを割り当てる割当手段とを備え、許容されているチャンネル数よりも多い数の通信部が使用される場合、割当手段は、チャンネル毎の通信負荷が記憶手段に記憶された通信負荷条件を満たすように2以上の通信部に同一のチャンネルを割り当てることで通信部に割り当てられるチャンネル数を許容されているチャンネル数以下とすることを特徴とする。
【0015】
斯かる構成により、割当手段は、チャンネル毎の通信負荷が記憶手段に記憶された通信負荷条件を満たすように2以上の通信部に同一のチャンネルを割り当てるので、通信部に割り当てられるチャンネル数を許容されているチャンネル数以下とすることができる。このように、無線タグとの無線通信の通信負荷を考慮することで、干渉の低減と通信効率の向上とを両立させた無線通信装置を提供することが可能となる。なお、本明細書中で「送受信」とは、通信データを受け取ることを意味し、「干渉」とは、同一のチャンネルの周波数帯域で、同時に複数の通信を行おうとした場合に、通信データの送受信に何らかの影響が出ることであり、具体的には受信データが受取れなくなる場合などを意味する。
【0016】
第2発明に係る無線通信装置は、第1発明において、無線タグと通信部との間で送受信される通信データの総量又は通信所要時間であることを特徴とする。
【0017】
斯かる構成により、通信負荷として、通信データの総量又は通信所要時間を用いることで、通信データ量の多い又は通信所要時間の長い通信部同士には異なるチャンネルを割り当て、さらに通信データ量の少ない又は通信所要時間の短い通信部同士に同一のチャンネルを時分割に割り当てることができ、チャンネル数と時分割処理量とのバランスを考慮した効率的なアクセスが可能となる。
【0018】
第3発明に係る無線通信装置は、第2発明において、通信負荷条件とは、チャンネル毎の通信負荷の中で、最大の通信負荷と最小の通信負荷との差が、予め定められた範囲内となる条件であることを特徴とする。
【0019】
斯かる構成により、各チャンネルの通信負荷があるばらつき範囲内に収まるため、許容されているチャンネル数以下のチャンネル数で通信効率のよい無線通信が可能となる。
【0020】
第4発明に係る無線通信装置は、第2発明において、通信負荷条件とは、許容されているチャンネル数以下の複数のチャンネルに、該複数のチャンネルよりも多い数の複数の通信部を割当手段により割り当てる際に、複数のチャンネルと複数の通信部との割り当ての全ての組合せにおいて、各組合せにおけるチャンネル毎の通信負荷の中での最大の通信負荷をそれぞれ求め、各組合せの最大の通信負荷の中で、最大の通信負荷が最小となる組合せを抽出し、該組合せで複数のチャンネルに複数の通信部を割り当てる条件であることを特徴とする。
【0021】
斯かる構成により、全ての組合せを総当りし、その中で通信負荷が最も均一化された組合せで、複数の通信部を複数のチャンネルに割り当てられるため、より効率的な無線通信が可能となる。
【0022】
第5発明に係る無線通信装置は、第1乃至第4発明において、コントローラ部はさらに、割当手段により通信部毎にチャンネルを割り当てる際に、通信負荷条件が満たされない場合には、通信負荷条件が満たされない旨を報知する報知手段を備えることを特徴とする。
【0023】
斯かる構成により、通信負荷が大きく、ユーザにより設定された通信負荷条件を満たさない通信部が存在する旨をユーザに知らせることができる。
【0024】
第6発明に係る無線通信装置は、第5発明において、さらに通信負荷条件が満たされないチャンネルがいずれであるかを報知することを特徴とする。
【0025】
斯かる構成により、ユーザにより設定された所定の通信負荷条件を満たさない通信部がいずれであるか旨をユーザに知らせることができる。
【0026】
第7発明に係る無線通信装置は、第6発明において、報知手段は、通信部の送信データ、通信負荷条件、使用する通信部の数の中で、いずれを変更すべきかを報知するようにしてあることを特徴とする。
【0027】
斯かる構成により、通信負荷条件を満たすために変更すべき項目をユーザが知ることができる。
【0028】
第8発明に係る無線通信装置は、第1乃至第7発明のいずれか一つにおいて、特定の周波数帯域は、UHF帯域であることを特徴とする。
【0029】
斯かる構成により、通信距離が長いUHF帯域の数が限られたチャンネルを、チャンネル数よりも多い通信部に有効に割り当てることができる。
【0030】
前記第2の目的を達成するため、第9発明に係る無線通信装置は、第1乃至第8発明のいずれか一つにおいて、コントローラ部はさらに、通信部に対して相対的に移動する無線タグが通信部と通信データを送受信することが可能な通信可能領域に存在するか不可能な通信不可能領域に存在するかを検出する検出手段と、無線タグが検出手段により、通信部の通信可能領域に存在すると検出された場合には、無線タグに対して送信データの送信を開始し、送信データの送信または送信データに対する無線タグからの受信データの受信の途中で、検出手段により無線タグが通信不可能領域に入ったことが検出された場合には、無線タグに対して送信データの送信を中断する送信制御手段と、送信制御手段により、無線タグに対する送信データの送信が中断されている場合に、通信部と同じチャンネルに割り当てられた他の通信部の通信可能領域に他の無線タグが存在することが検出手段により検出された場合には、他の通信部から他の無線タグへの他の送信データの送信を開始する開始制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0031】
斯かる構成により、ある通信部が送信データを送信している間に、検出手段により、相対移動する無線タグが通信不可能領域に入ったことが検出された場合、無線タグが通信可能領域に移動してくるまで送信データの再送信を待つのではなく、通信可能領域に存在する別の無線タグに対して別の通信部が送信データの送信を開始するので、時分割処理の効率化を図ることができる。
【0032】
第10発明に係る無線通信装置は、第9発明において、送信制御手段が、さらに、検出手段により、送信データの送信が中断された無線タグが、通信部の通信可能領域に再度入ったことが検出されたかつ、開始制御手段により開始された他の送信データに対する他の無線タグからの受信データの受信が完了したこと、または他の無線タグが他の通信部の通信不可能領域に入ったことが検出手段により検出されたときに、送信データの送信が中断されていた通信部に対して、送信データの送信を再開することを特徴とする。
【0033】
斯かる構成により、予め登録された送信データを確実に送信しながら、無線通信装置全体としての処理時間を短縮することができるので、アクセスの高速化を達成できる。
【0034】
第11発明に係る無線通信装置は、第10発明において、登録手段に登録される送信データは、無線タグに対する複数の読出し命令もしくは書き込み命令、または読出し命令と書き込み命令の組合せからなる命令群であり、送信制御手段は、さらに、送信データの送信が中断されていた通信部に対して、送信データの送信を再開する際に、送信データの命令群の中で、無線タグからの受信データの受信が未完了の命令から送信を再開することを特徴とする。
【0035】
斯かる構成により、送信データの送信を再開する際に、送信データの命令群の中で、無線タグからの受信データの受信が未完了の命令から送信を再開するため、送信データの再送信が効率よく行なわれ、全体としての通信効率をあげることができる。
【0036】
第12発明に係る無線通信方法は、特定の周波数帯域の電波を用いて、無線タグとの間で通信データを送受信する無線通信装置と、特定の周波数帯域で許容されているチャンネル数よりも多い数の無線通信装置が接続可能な演算装置とを有する無線通信システムであって、演算装置は、無線タグへの無線通信装置の送信データを、無線通信装置毎に対応させて登録する登録手段と、登録手段により登録された送信データに基づいて、無線タグから無線通信装置に受信される受信データの量を求め、送信データの量および受信データの量から無線通信装置毎の通信負荷を算出する算出手段と、チャンネル毎に割り当てる通信負荷を設定するための通信負荷条件を記憶する記憶手段と、算出手段より算出された無線通信装置毎の通信負荷に基づいて、チャンネル毎の通信負荷が記憶手段に記憶された通信負荷条件を満たすように無線通信装置毎にチャンネルを割り当てる割当手段とを備え、
許容されているチャンネル数よりも多い数の無線通信装置が使用される場合、割当手段は、チャンネル毎の通信負荷が記憶手段に記憶された通信負荷条件を満たすように2以上の無線通信装置に同一のチャンネルを割り当てることで無線通信装置に割り当てられるチャンネル数を許容されているチャンネル数以下とすることを特徴とする。
【0037】
斯かる構成により、割当手段は、チャンネル毎の通信負荷が記憶手段に記憶された通信負荷条件を満たすように2以上の無線通信装置に同一のチャンネルを割り当てるので、無線通信装置に割り当てられるチャンネル数を許容されているチャンネル数以下とすることができる。このように、無線タグとの通信負荷を考慮することで、干渉の低減と通信効率の向上とを両立させた無線通信システムを提供することが可能となる。
【0038】
第13発明に懸かる無線通信方法は、特定の周波数帯域の電波を用いて、無線タグとの間で通信データを送受信する通信部と、特定の周波数帯域で許容されているチャンネル数よりも多い数の通信部が接続可能であり、チャンネル毎に割り当てる通信負荷を設定するための通信負荷条件を記憶する記憶部を有するコントローラ部とからなる無線通信装置で用いられる無線通信方法であって、無線タグへの通信部の送信データを、通信部毎に対応させて登録する登録工程と、登録工程により登録された送信データに基づき、無線タグから通信部に受信される受信データの量を求め、送信データの量および受信データの量から通信部毎の通信負荷を算出する算出工程と、許容されているチャンネル数よりも多い数の通信部が使用される場合、算出工程により算出された通信部毎の通信負荷に基づき、チャンネル毎の通信負荷が記憶部に記憶された通信負荷条件を満たすように2以上の通信部に同一のチャンネルを割り当てることで通信部に割り当てられるチャンネル数を許容されているチャンネル数以下とする割当工程とを含むことを特徴とする。
【0039】
斯かる構成により、割当工程は、チャンネル毎の通信負荷が記憶部に記憶された通信負荷条件を満たすように2以上の無線通信装置に同一のチャンネルを割り当てるので、無線通信装置に割り当てられるチャンネル数を許容されているチャンネル数以下とすることができる。このように、無線タグとの通信負荷を考慮することで、干渉の低減と通信効率の向上とを両立させた無線通信システムを提供することが可能となる。なお記憶部による通信負荷条件の記憶は、割当工程の前であればいつ行われても良い。
【0040】
第14発明に係るプログラムは、特定の周波数帯域の電波を用いて、無線タグとの間で通信データを送受信する通信部と、特定の周波数帯域で許容されているチャンネル数よりも多い数の通信部が接続可能であり、チャンネル毎に割り当てる通信負荷を設定するための通信負荷条件を記憶する記憶部を有するコントローラ部とからなる無線通信装置における処理をコントローラ部に搭載されたコンピュータに実行させるプログラムであって、無線タグへの通信部の送信データを、通信部毎に対応させて登録する登録処理と、登録処理により登録された送信データから、無線タグから通信部に受信される受信データの量を求め、送信データの量および受信データの量から通信部毎の通信負荷を算出する算出処理と、許容されているチャンネル数よりも多い数の通信部が使用される場合、算出処理により算出された通信部毎の通信負荷に基づき、チャンネル毎の通信負荷がコントローラ部で記憶された通信負荷条件を満たすように2以上の通信部に同一のチャンネルを割り当てることで通信部に割り当てられるチャンネル数を許容されているチャンネル数以下とする割当処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0041】
斯かる構成により、割当処理は、チャンネル毎の通信負荷が記憶部に記憶された通信負荷条件を満たすように2以上の無線通信装置に同一のチャンネルを割り当てるので、無線通信装置に割り当てられるチャンネル数を許容されているチャンネル数以下とすることができる。このように、無線タグとの通信負荷を考慮することで、干渉の低減と通信効率の向上とを両立させた無線通信装置用のプログラムを提供することが可能となる。なお記憶部による通信負荷条件の記憶は、割当処理の前であればいつ行われても良い。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、無線タグとの無線通信の通信負荷を考慮することで、干渉の低減と通信効率の向上とを両立させた無線通信装置、該無線通信装置が複数個配置された無線通信システム、無線タグと無線通信するための無線通信方法、及び無線タグと無線通信するための処理をコンピュータに実行させるプログラムを提供することが可能になる。
【0043】
また、本発明によれば、上記の効果に加えて、UHF帯以外の無線信号を用いた場合でも、無線通信の全体としての処理時間を短縮して、アクセスの高速化を図ることができる無線通信装置を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各実施の形態の説明で参照する図面を通じて、同一又は同様の構成又は機能を有する要素については、同一又は同様の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0045】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置2Aの一構成例を示すブロック図である。図1において、無線通信装置2Aは、例えば工場における製造ラインに適用され、製造ラインの搬送経路上を搬送される物品又はその物品を保持するパレットに予め取り付けられている複数の無線タグ1a、1b、…、1n(纏めて符号1で示す)との間で、特定の周波数帯域として例えばUHF帯域(950MHz帯域)を周波数分割して得られた各チャンネル(全部で9チャンネル)の無線信号の送受信による非接触通信を行う。また、UHF帯域より低い周波数においても干渉現象は発生するので、同様の構成を用いることができる。これは、以下の各実施の形態についても、同様である。
【0046】
図2は、無線タグ1の一構成例を示すブロック図である。図2において、無線タグ1は、ICチップ11と、このICチップ11に両端が接続された金属膜を成形して得られたアンテナ12とを含む。図3は、アンテナ12の一構造例を示すための無線タグ1の一構造例を示す平面図である。図3において、アンテナ12の一部に共振周波数がUHF帯となるよう設定された共振回路121が平板状の誘電体基板122上に形成されている。
【0047】
再び、図2を参照して、ICチップ11は、CPU13と、電源回路14と、送受信回路15と、メモリ16とを含む。CPU13は、メモリ16に記憶されている、無線タグ1に固有のタグ識別情報を含む通信データをメモリ16から読み出す処理を実行するとともに、送受信回路15から送られてきた通信データをメモリ16に書き込む処理を実行する。電源回路14は、アンテナ12に接続されており、アンテナ12で受波した無線電波を利用して電力を発生し、発生した電力をCPU13及び送受信回路15に供給する。送受信回路15は、高周波回路素子で構成され、CPU13による制御のもと、メモリ16から読み出された通信データを変調して得られた無線信号をアンテナ12に送るとともに、アンテナ12で受信した無線信号を復調して得られた通信データをCPU13に送る。なお、本願発明でいう通信データとは、無線タグ1と無線通信装置2Aとの間で送受信されるデータの総称であり、無線通信装置2Aから無線タグ1に送る通信データを送信データと呼び、無線タグ1から無線通信装置2Aに送られる通信データを受信データと呼ぶこととする。
【0048】
再び、図1を参照して、無線通信装置2Aは、複数の通信部21a、21b、…、21n(纏めて符号21で示す)と、コントローラ部40を備え、コントローラ部40は、切換手段22と、送受信回路23と、制御手段24Aと、登録手段25とを含む。制御手段24Aは、算出手段26と、判断手段27と、割当手段28とを含む。
【0049】
複数の通信部21は、アンテナとして機能し、無線タグ1に無線信号を送信するとともに、無線タグ1から無線信号を受信する。複数の通信部21は、UHF帯域のチャンネルの数(9個)よりも個数が多く、一の通信部から送信される無線電波を他の通信部で受波することが可能な領域(UHF帯では、約100m−約500mの通信距離範囲、いわゆる干渉領域)内に配置されている。図4は、複数の通信部21の一つの一構造例を示す平面図である。図4に示すように、複数の通信部21はそれぞれ、円盤状の導体211と、一端212aが導体211に接続されて給電点をなし、他端(図示しない)が切換手段22に電気的に接続された同軸ケーブル212とから構成される。
【0050】
切換手段22は、高周波スイッチとして機能し、制御手段24Aにより動作制御され、送受信回路23からの無線信号を時分割に切り換えて複数の通信部21a、21b、…、21nに送るとともに、複数の通信部21a、21b、…、21nからの無線信号を時分割に切り換えて送受信回路23に送る。
【0051】
送受信回路23は、高周波回路素子から構成され、通信データを変調して得られた無線信号を切換手段22に送るとともに、切換手段22から送られた無線信号を復調して得られた通信データを制御手段24Aに送る。
【0052】
制御手段24Aは、CPU、外部I/Fを含んで構成され、複数の通信部21に対する
通信負荷を考慮して、登録手段25、算出手段26、判断手段27、及び割当手段28の動作を制御して、複数の通信部21に各チャンネルを割り当てるチャンネル割当処理を実行させる。ここで、通信内容とは、通信部21と無線タグとの間で送受信される通信データの内容であり、通信負荷とは、無線タグと通信部との間で送受信される通信データの総量又は通信所要時間のことである。通信負荷として、通信データ量又は通信所要時間を用いることで、通信データ量の多い又は通信所要時間の長い通信部同士に異なるチャンネルを割り当て、さらに通信データ量の少ない又は通信所要時間の短い通信部同士に同一のチャンネルを時分割に割り当てることで、チャンネル数と時分割処理量とのバランスを考慮した効率的なアクセスが可能となる。なお、チャンネル割当処理については、後ほど詳細に説明する。
【0053】
また、制御手段24Aは、外部機器(図示しない)から複数の無線タグ1への送信データを受け取り、受け取った送信データを登録手段25に登録する。制御手段24Aは、切換手段22を時分割に切り換え、切換手段22の切換タイミングと同じタイミングで、登録手段25に登録されている切換後の通信部21の送信データに含まれる命令を読み出して、読み出した命令に従った処理内容を送受信回路23に時分割に送り、また送受信回路23から受信データを時分割に受け取り、登録手段25に登録するとともに、受け取った受信データを外部機器(図示しない)に送る。
【0054】
また、制御手段24Aは、外部機器(図示しない)から通信負荷条件を受け取り、登録手段25に含まれる記憶手段に記憶する。ここで、通信負荷条件とは、割当対象チャンネルにおける通信負荷の合計に対する所定の閾値、又は割当対象チャンネルにおける通信負荷の合計の各チャンネル間での所定のばらつき範囲であってもよい。通信負荷条件として所定の閾値を用いた場合、ユーザにより所定の閾値を自由に設定できるので、ユーザが許容する通信効率を確保することができる。また、所定の通信負荷条件として所定のばらつき範囲を用いた場合、通信負荷に応じて通信部をチャンネルに均等に割り当てることができるので、装置全体としての通信の効率化を図ることができる。
またさらに、通信負荷条件とは、許容されているチャンネル数以下の複数のチャンネルに、該複数のチャンネルよりも多い数の複数の通信部を割当手段により割り当てる際に、
複数のチャンネルと複数の通信部との割り当ての全ての組合せにおいて、各組合せにおけるチャンネル毎の通信負荷の中での最大の通信負荷をそれぞれ求め、各組合せの最大の通信負荷の中で、最大の通信負荷が最小となる組合せを抽出し、該組合せで複数のチャンネルに複数の通信部を割り当てる条件であってもよい。この場合には、全ての組合せの中で通信負荷が最も均一化されて、チャンネルに割り当てられるため、より効率的な無線通信が可能となる。
【0055】
登録手段25は、記憶手段としても機能し、制御手段24Aによる動作制御のもと、外部機器(図示しない)から送られた無線通信の通信内容を登録し、所定の通信負荷条件を記憶するとともに、外部機器(図示しない)に送る通信データを記憶する。
【0056】
算出手段26は、制御手段24Aによる動作制御のもと、登録手段25に登録されている送信データを読み出して、読み出した送信データから無線タグから通信部に受信される受信データの量を求めることにより通信内容を解析し、チャンネル割当対象の通信部21に対する通信負荷を算出する。
【0057】
判断手段27は、算出手段26により算出された通信負荷を対象チャンネルに設定した場合に、対象チャンネルに対する通信負荷の合計が所定の通信負荷条件を満たすか否かを判断する。通信負荷条件は、制御手段24Aによる動作制御のもと、登録手段25から読み出され、判断手段27に設定される。
【0058】
割当手段28は、判断手段27により、対象チャンネルに対する通信負荷の合計が所定の通信負荷条件を満たすと判断された場合、チャンネル割当対象の少なくとも2つの通信部21に対して同一の対象チャンネルを割り当てる。割り当てられた対象チャンネルの識別情報(例えば、j番目のチャンネル、j=1、2、…、9)は、対象チャンネルが割り当てられた通信部21の識別情報(例えば、i番目の通信部、i=1、2、…、n)と対応付けて、制御手段24Aによる動作制御のもと、登録手段25に登録される。
【0059】
次に、チャンネル割当処理について説明する。
【0060】
図5は、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置2Aの制御手段24Aによるチャンネル割当処理の各処理工程を示すフローチャートである。図5において、まず、制御手段24Aは、何番目の通信部であるかを示す変数i、及び何番目のチャンネルであるかを示す変数jに1を設定する(i←1、j←1:ステップS501)。次に、制御手段24Aは、登録手段25に登録されているi番目の通信部に対する送信データ等から通信内容の通信負荷を算出手段26に算出させる(ステップS502)。
【0061】
次に、制御手段24Aは、ステップS502で算出された通信負荷をj番目のチャンネルに設定した場合に、j番目のチャンネルに対する通信負荷の合計が所定の通信負荷条件を満たすか否かを判断手段27に判断させる(ステップS503)。判断手段27により、j番目のチャンネルに対する通信負荷の合計が所定の通信負荷条件を満たすと判断された場合(ステップS503:Yes)、制御手段24Aは、ステップS504に処理を分岐させて、割当手段28にi番目の通信部をj番目のチャンネルに割り当てさせ、変数iの値をインクリメントして(i←i+1:ステップS505)、ステップS507へと処理を進める。
【0062】
次に、制御手段24Aは、変数iの値は通信部の数より大きいか否かを判断する(ステップS507)。変数iの値が通信部の数よりも大きいと判断された場合(ステップS507:Yes)、処理を終了させる。一方、制御手段24Aは、変数iの値が通信部の数以下であると判断した場合(ステップS507:No)、ステップS508へと処理を進め、変数jの値がチャンネルの数より大きいか否かを判断する。制御手段24Aは、変数jの値がチャンネルの数よりも大きいと判断した場合(ステップS508:Yes)、処理を終了させる。一方、制御手段24Aは、変数jの値がチャンネルの数以下であると判断した場合(ステップS508:No)、ステップS502へと処理を戻す。
【0063】
制御手段24Aは、j番目のチャンネルに対する通信負荷の合計が所定の通信負荷条件を満たさないと判断した場合(ステップS503:No)、変数jの値をインクリメントして(j←j+1:ステップS506)、ステップS507へと処理を進める。なお、ステップS507及びS508での処理内容については、すでに説明したので、説明を省略する。以上のようにして、制御手段24Aによりチャンネル割当処理が実行される。
【0064】
以上説明したように、本発明の実施の形態1によれば、判断手段27により、対象チャンネルに対する通信負荷の合計が所定の通信負荷条件を満たすと判断された場合、割当手段28が、チャンネル割当対象の少なくとも2つの通信部に対して同一の対象チャンネルを割り当てるので、複数の通信部21に割り当てられたチャンネル数を特定の周波数帯域のチャンネル数以下とすることができ、このように、無線タグ1との無線通信の通信負荷を考慮することで、干渉の低減と通信効率の向上とを両立させた無線通信装置2Aを提供することが可能となる。ここでいう所定の通信負荷条件とは、上述したしきい値やばらつきに対する条件などをいう。なお課題を解決するための手段で述べた登録手段は登録手段25として実現され、算出手段は算出手段26として実現され、記憶手段は登録手段25に含まれながら実現され、割当手段は判断手段27と割当手段28により実現される。
【0065】
なお、本実施の形態1では、登録手段25を制御手段24Aの外部に設けた場合について例示及び説明したが、本発明はこの構成に限定されず、登録手段25を制御手段24Aの内部に設けてもよい。
【0066】
また、本実施の形態1では、切換手段22により、同一のチャンネルに割り当てられた複数の通信部21に対して無線信号が時分割に切り換えられて、無線タグ1との無線通信を行うように構成したが、異なるチャンネルに割り当てられた通信部に限って同時に無線信号を送信するように構成することもできる。
【0067】
例えば図6は、通信負荷条件を満たすように割り当てられたチャンネル割り当て状況を示すタイムチャートである。図6では、通信負荷を通信部21に対する通信時間で示している。また、「アンテナNo.」は通信部21を識別する情報として用いている。図6に示すように、各チャンネルでの通信時間の合計が、ユーザにより設定された基準時間61を超えないようにチャンネル割当処理が実行されている。優先度が高い順に割り当てた場合であっても、基準時間61を超えないようにチャンネル割り当てが行われるので、通信効率を向上させつつ干渉を低減させることができる。
【0068】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係る無線通信装置2Bの一構成例を示すブロック図である。本実施の形態2は、実施の形態1の制御手段24Aの代わりに、報知手段29が追加された制御手段24Bを有する。その他の構成は実施の形態1と同じであるので、説明を省略し、以下では主に報知手段29の機能、及び報知手段29を追加した場合のチャンネル割当処理について説明する。
【0069】
図7において、判断手段27により、対象チャンネルに対する通信負荷の合計が所定の通信負荷条件を満たさないと判断され、また、制御手段24Bにより、チャンネルが割り当てられなかった通信部が存在すると判断された場合、報知手段29は、チャンネルが割り当てられなかった通信部が存在する旨をユーザに報知する。その他、割り当てられていない該当通信部の識別情報(例えば名前又は番号)と、割り当てられなかった通信部に対する通信内容の通信負荷が大きくユーザにより設定された所定の通信負荷条件を満たさない旨とをユーザに報知してもよい。
【0070】
また、報知手段29は、チャンネル割当対象の通信部の通信内容、所定の通信負荷条件、及び使用する通信部の数のうち少なくとも一つの変更を要する旨を報知する。これにより、全ての通信部21にチャンネルを割り当てるには、ユーザにより設定された条件の変更を要する旨をユーザに知らせることができる。
【0071】
さらに、報知手段29は、チャンネル割当対象の通信部の通信内容、所定の通信負荷条件、及び無線通信に使用する通信部の数の変更内容を報知する。これにより、全ての通信部にチャンネルを割り当てるためには、どの条件をどの程度変更すべきかをユーザに知らせ、ユーザは簡単な条件の再設定だけで、チューニングのやり直しをすることができる。
【0072】
次に、チャンネル割当処理について説明する。
【0073】
図8は、本発明の実施の形態2に係る無線通信装置2Bの制御手段24Bによるチャンネル割当処理の各処理工程を示すフローチャートである。なお、図8において、実施の形態1の説明で参照した図5と同じ処理工程については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0074】
図8において、制御手段24Bが、変数iの値は通信部の数より大きいと判断した場合(ステップS507:Yes)、処理を終了させる。制御手段24Bが、変数iの値は通信部の数以下であると判断し(ステップS507:No)、変数jの値はチャンネルの数より大きいと判断した場合(ステップS508:Yes)、ステップS801に処理を進める。
【0075】
制御手段24Bは、報知内容として、割り当てられなかった通信部の識別情報と、チャンネル割当対象の通信部の通信内容(送信データもしくは対応した受信データ)、所定の通信負荷条件、及び無線通信に使用する通信部の数のうち少なくとも一つの条件変更を要する旨と、条件変更の内容とを報知手段29に報知させて(ステップS801)、処理を終了させる。
【0076】
以上のようにして、制御手段24Bによりチャンネル割当処理が実行される。
【0077】
以上説明したように、本発明の実施の形態2によれば、上記実施の形態1の利点に加えて、チャンネル割当に失敗した通信部がどれであるのか、どの条件を変更すべきか、また、どの条件をどの程度変更すれば、全ての通信部にチャンネルを割り当てることができるのかをユーザに知らせることができる。
【0078】
なお、本実施の形態2では、所定の通信負荷条件を満たさない場合にはチャンネル割当処理を実行していないが、通信負荷条件を満たさない場合であっても、チャンネル割当処理を実行しても良い。これにより、通信負荷条件を満たしていないチャンネルを確認することができ、報知手段29により、どのチャンネルが通信負荷条件を満たしていないか報知することができる。
【0079】
例えば図9は、通信負荷条件を満たしていない場合のチャンネル割り当て状況を示すタイムチャートである。図9では、図6と同様、通信負荷を通信部21に対する通信時間で示している。また、「アンテナNo.」は通信部21を識別する情報として用いている。図9に示すように、チャンネル9での通信時間の合計は、ユーザにより設定された基準時間61を超えてしまうようにチャンネル割当処理が実行されている。したがって、チャンネル9、すなわちアンテナ9−1にてチャンネル割当に失敗していることを確実に検知し、報知することができ、どの条件を変更すべきか、また、どの条件をどの程度変更すれば、全ての通信部21にチャンネルを割り当てることができるのかをユーザに知らせることができる。
【0080】
所定の通信負荷条件を満たさない場合、ユーザの通信負荷条件に近接する第二の通信負荷条件にてチャンネルを割り当て、結果として当初の通信負荷条件が満たされないチャンネルがどのチャンネルであるのか明示しても良い。
【0081】
この場合、例えば通信負荷条件の閾値を通常用と非常用と2つ設けておき、通常用閾値を超えた場合であっても非常用閾値を超えていないときにはチャンネル割当処理を実行することにより、チャンネル割当処理を再度やり直すことなく、割当作業の効率を向上させることが可能となる。
【0082】
例えば図10は、通信負荷条件の閾値を2つ設けた場合のチャンネル割り当て状況を示すタイムチャートである。図10では、図6と同様、通信負荷を通信部21に対する通信時間で示している。また、「アンテナNo.」は通信部21を識別する情報として用いている。図10に示すように、チャンネル9での通信時間の合計は、ユーザにより設定された基準時間61を超えてしまうようにチャンネル割当処理が実行されている。しかし、ユーザにより設定されている非常用の基準時間62は超えないようにチャンネル割当処理が実行されており、チャンネル9、すなわちアンテナ9−1にてチャンネル割当に失敗していることを確実に検知し、報知することができるとともに、実行されたチャンネル割り当てをそのまま生かして通信することも可能となる。
【0083】
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3に係る無線通信装置2Cの一構成例を示すブロック図である。本実施の形態3は、実施の形態2の制御手段24Bの代わりに、検出手段30と、命令実行制御手段31とが追加された制御手段24Cを有する。その他の構成は実施の形態2と同じであるので、説明を省略し、以下では主に、検出手段30及び命令実行制御手段31の機能、及び検出手段30及び命令実行制御手段31を追加した場合の命令実行処理について説明する。
【0084】
図11において、登録手段25に登録される通信内容(送信データ)には、無線タグに対する複数の読出し命令もしくは書き込み命令、または読出し命令と書き込み命令の組合せからなる命令群とすることができる。これにより、各通信部21a、21b、…、21nに対する一連の処理内容を命令群として登録手段25に予め登録しておけば、必要時に命令群を即座に呼び出して一連の通信データの送受信を実行することができる。
【0085】
検出手段30は、通信部21に対して相対的に移動する無線タグ1が通信部21と無線通信することが可能な通信可能領域に存在するか不可能な通信不可能領域に存在するかを検出する。検出手段30は、通信部21により無線タグ1に送信された無線信号を無線タグ1が受信し、無線タグ1から送信される無線信号を通信部21が受信できたか否かを、送受信回路23から通信データが送られてきたか否かに基づき、無線タグ1が通信可能領域に存在するのか通信不可能領域に存在するのかを検出する。
【0086】
命令実行手段31は、図示しない送信制御手段と、開始制御手段とから構成されている。送信制御手段は、無線タグ1(例えば、無線タグ1a)が検出手段により、通信部21(例えば通信部21a)の通信可能領域に存在すると検出された場合には、無線タグ1aに対して送信データの送信を開始し、送信データの送信または送信データに対する無線タグ1aからの受信データの受信の途中で、検出手段により無線タグ1aが通信不可能領域に入ったことが検出された場合には、無線タグ1aに対して送信データの送信を中断する。上述の送信制御手段により、無線タグ1aに対する送信データの送信が中断されている場合に、開始制御手段は、通信部21aと同じチャンネルに割り当てられた他の通信部21(例えば通信部21b)の通信可能領域に他の無線タグ(例えば無線タグ1b)が存在することが検出手段により検出された場合には、他の通信部21bから他の無線タグ1bへの他の送信データの送信を開始する。
【0087】
命令実行制御手段31は、通信部21aが送信データの送信を実行している間に、検出手段30により移動する無線タグ1aが通信不可能領域に入ったことが検出された場合、無線タグ1aが通信可能領域に移動してくるまで送信データの送信を待つのではなく、通信可能領域に存在する別の無線タグ1bに対して別の通信部21bによる無線通信を開始させる制御を行うので、時分割処理の効率化を図ることができる。
【0088】
また、命令実行制御手段31の送信制御手段は、検出手段30により、送信データの送信が中断されていた通信部21aと通信対象であった無線タグ1aが通信可能領域に再度入ったことが検出されたときでかつ、開始制御手段により開始された他の送信データに対する他の無線タグ1bからの受信データの受信が完了したこと、または他の無線タグ1bが他の通信部21bの通信不可能領域に入ったことが検出手段30により検出され、他の通信部の21bの送信データの送信を中断されたとき、送信データの送信が中断されていた通信部21aに対して、中断されていた送信データの送信を再開させる制御を行う。特に送信データが、上述した複数の読出し命令もしくは書き込み命令、または読出し命令と書き込み命令の組合せからなる命令群である場合には、無線タグ1aからの受信データの受信が未完了の命令から送信を再開する。これにより、予め登録された命令群を確実に実行しながら、無線通信装置全体としての処理時間を短縮することができるので、アクセスの高速化を達成できる。
【0089】
次に、送信データの送信処理を、特に通信部21に命令群が登録された場合を例にして説明する。ここで、書き込み命令または読出し命令である送信データとその送信データに対応した受信データの受信をまとめて「命令の実行」と呼ぶことにする。
【0090】
図12は、本発明の実施の形態3に係る無線通信装置2Cの制御手段24Cによる命令実行処理のうち、特定の通信部21aの送信処理を中心に、他の通信部21bに送信処理に移る工程を示すフローチャートである。図12において、まず、制御手段24Cは、登録手段25に命令群が登録されているか否かを判断する(ステップS1201)。制御手段24Cは、登録手段25に命令群が登録されていないと判断した場合(ステップS1201:No)、処理を終了させる。
【0091】
一方、制御手段24Cは、登録手段25に命令群が登録されていると判断した場合(ステップS1201:Yes)、命令群が登録されている通信部21aと無線通信を行う無線タグ1aが、通信可能領域に存在するか否かを判断する(ステップS1202)。制御手段24Cは、該当する無線タグ1aが通信可能領域に存在すると判断した場合(ステップS1202:Yes)、登録されている命令群の実行を許可する(ステップS1203)。
【0092】
次に、制御手段24Cは、全ての命令群の実行が終了しているか否かを判断し(ステップS1204)、全ての命令群の実行が終了していないと判断した場合(ステップS1204:No)、無線タグ1aが移動して通信不可能領域に入ったか否かを判断し(ステップS1205)、無線タグ1aが通信不可能領域に入ったと判断した場合(ステップS1205:Yes)、命令群の実行を中断する(ステップS1206)。
【0093】
次に、制御手段24Cは、他の無線タグ1bが他の通信部21bの通信可能領域に存在するか否かを判断し(S1207)、他の無線タグ1bが他の通信部21bの通信可能領域に存在すると判断した場合(S1207:Yes)には、他の命令群の実行の許可する(S1208)。存在しなかった場合には(S1207:No)、実行の許可をしないで次の処理に移行する。さらに命令群の実行が中断されていた無線タグ1aが移動して、通信部21aの通信可能領域に再度入ったか否かを判断し(ステップS1209)、無線タグ1aが通信可能領域に再度入ったと判断した場合(ステップS1209:Yes)は、さらに他の無線タグ1bが他の通信部21bの通信不可能領域に入った、もしくは他の命令群の実行が終了したか否かを判断し、(ステップS1210)、その判断が真の場合には、中断されていた命令群の中から、受信データの受信が未完了の命令の実行を再開して(ステップ1211)、ステップS1204へ処理を戻して上述した処理を繰り返す。またS1209,S1210の各判断ステップでは、その判断が真となるまで判断を繰り返す。制御手段24Cが、全ての命令群の実行が終了したと判断した場合(ステップS1204:Yes)、処理を終了させる。
【0094】
以上のようにして、制御手段24Cにより命令実行処理が実行される。
【0095】
以上説明したように、本発明の実施の形態3によれば、上記実施の形態2の利点に加えて、各通信部21a、21b、…、21nに対する送信データのうち複数の読出し命令もしくは書き込み命令、または読出し命令と書き込み命令の組合せを命令群として登録手段25に予め登録しておけば、必要時に命令群を即座に呼び出して連続的な送信を実行することができ、また、移動する無線タグ1aが通信不可能領域に入ったことが検出された場合、無線タグ1aが通信可能領域にくるまで命令群の実行を待つのではなく、通信可能領域に存在する別の無線タグ1bに対して別の通信部21bが命令群の実行を開始するので、時分割処理の効率化を図ることができる。さらに、予め登録された命令群を確実に実行しながら、無線通信装置全体としての処理時間を短縮することができるので、アクセスの高速化を達成できる。
【0096】
なお、本実施の形態3では、図12にて、通信部21a,21bに命令群が登録されていた場合で説明したが、もちろんこれに限られず単体の命令からなる送信データであったとしても、上述した制御手法が応用できることは言うまでもない。また制御手段24Cに報知手段29を設けた構成について例示及び説明したが、本発明はこの構成に限定されず、報知手段29を設けない構成についても本発明の範囲内である。
【0097】
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4に係る無線通信システムの全体構成の一例を示すブロック図である。図13において、本実施の形態4に係る無線通信システムは、例えば工場における製造ライン1001a、1001b、1001cに適用され、複数の無線通信装置2Dと、該複数の無線通信装置2Dに接続された演算装置1002とから構成される。本実施の形態4では、演算装置1002が、上位の外部機器として機能し、複数の無線通信装置2Dに対するチャンネル割当処理を実行する。
【0098】
図14は、図13の一つの無線通信装置2D及び演算装置1002の一構成例を示すブロック図である。図14において、本実施の形態4の無線通信装置2Dの制御手段24Dは、実施の形態1で例示及び説明した登録手段25、算出手段26、判断手段27、及び割当手段28を含まない。登録手段25、算出手段26、判断手段27、及び割当手段28は、演算装置1002に含まれる。また、算出手段26、判断手段27、及び割当手段28は、主制御手段1003を構成する。主制御手段1003は、CPU、外部I/Fなどから構成される。
【0099】
なお、登録手段25、算出手段26、判断手段27、及び割当手段28の構成及び機能については、実施の形態1のそれら構成及び機能と同じであるので、説明を省略する。
【0100】
演算装置1002により実行されるチャンネル割当処理は、上述した実施の形態1乃至3と同様の処理を、全チャンネルを通し番号として実行すれば足りることから、特に詳細な説明は省略する。
【0101】
以上説明したように、本発明の実施の形態4によれば、判断処理により対象チャンネルに対する通信負荷が所定の通信負荷条件を満たすと判断された場合、割当処理によりチャンネル割当対象の少なくとも2つの無線通信装置2Dに対して同一の対象チャンネルが割り当てられるので、無線通信装置2Dに割り当てられたチャンネル数を特定の周波数帯域のチャンネル数以下とすることができ、このように、無線タグとの無線通信の通信負荷を考慮することで、干渉の低減と通信効率の向上とを両立させた無線通信システム、無線通信方法、及び該無線通信方法の処理工程を主制御手段1003に実行させるプログラムを提供することが可能となる。
【0102】
なお、本実施の形態4の変形例として、実施の形態2の報知手段29が演算装置1002に設けられ、また、実施の形態3の検出手段30及び命令実行制御手段31が複数の無線通信装置2Dの制御手段24Dに設けられてもよい。
【0103】
(実施の形態の変形例)
上記各実施の形態の変形例として、無線通信装置は、チャンネル毎の通信ノイズを計測するノイズ計測手段を有し、割当手段28が、ノイズ計測手段(例えば、キャリアセンス)による計測結果と所定の通信負荷条件とを考慮してチャンネル割当処理を行ってもよい。これにより、チャンネル毎のノイズ状況をチャンネル割当に反映させることができる。この場合、通信部毎に優先度を予め設定し、割当手段28は、優先度が高い通信部に、ノイズ計測手段により計測されたノイズの少ないチャンネルを割り当ててもよい。これにより、チャンネル毎のノイズ状況と通信部毎の優先度も考慮したチャンネル割当が実現できる。
【0104】
また、上記各実施の形態の変形例として、無線通信装置は、チャンネル毎に、計測領域に存在する無線タグ1と無線通信を行うことで、無線電波の送信出力の余裕度を計測する余裕度計測手段と、該余裕度計測手段により計測された送信出力の余裕度に応じて、通信部毎に送信出力を調整する出力調整手段とを有してもよい。これにより、送信出力の余裕度が大きい通信部に対しては、送信出力を下げたとしてもアクセスが十分可能な範囲で、出力調整手段により送信出力を下げることで、通信部毎に無線電波の干渉を最適に低減することができる。
【0105】
この場合、計測領域に存在する無線タグ1と複数回の無線通信を行うことで、余裕度計測手段は、送信出力の複数個の余裕度を計測し、計測した送信出力の複数個の余裕度の平均を算出してもよい。これにより、送信出力の余裕度の計測精度を向上させ、さらなる干渉の低減を達成することができる。
【0106】
この場合、余裕度計測手段は、計測領域に存在する無線タグ1と複数回の無線通信を行い、無線タグ1とのアクセスが成功した回数に基づいて、アクセス余裕度を計測してもよい。これにより、アクセス余裕度が大きい通信部に対しては、送信出力を下げたとしてもアクセスが十分可能な範囲で、出力調整手段により送信出力を下げることで、通信部毎に無線電波の干渉を最適に低減することができる。
【0107】
また、上記実施の形態4の変形例として、無線通信システムは、一の無線通信装置の通信部から無線電波を送波し他の無線通信装置の通信部で受波し、受波した無線電波の強度を計測して、計測した無線電波の強度から無線通信装置の通信部毎の電波干渉の強度を算出するような構成を有し、割当手段28は、算出した電波干渉の強度に応じてチャンネル割当を行うようにしてもよい。これにより、電波干渉の強度の大きい通信部同士には異なるチャンネルを割り当てることで、電波干渉の強度を考慮したチャンネル割当を行うことができる。
【0108】
また、上記各実施の形態の変形例として、無線通信装置は、1つの無線タグ(例えば、1a)に対して複数の通信部(例えば、21a、21b)が配置され、通信部21aと無線タグ1との無線通信が失敗し、通信部21bと無線タグ1との無線通信が成功した場合、無線タグ1aとの無線通信には通信部21bを用いる構成を有してもよい。これにより、無線タグ1aが取り付けられるワークの大きさに応じて、複数の通信部21a、21bのいずれかを自動的に選択することができる。
【0109】
また、上記実施の形態1、2及び3の変形例として、無線通信装置は、無線通信装置間で、チャンネル割当処理に関する情報、登録されている命令内容などを知り、また、無線通信装置同士が同期をとって、同一のチャンネルに割り当てられた通信部同士が異なるタイミングで無線タグ1と無線通信するために、同期I/Fを有してもよい。この場合、同期I/Fを経由して、前工程用の通信部のアクセス結果情報を次工程用の通信部が参照して、次工程用の通信部は、前工程用の通信部と同じ命令に対する無線通信を行わないことで、各通信部に対するユーザによる命令設定の負担が軽減される。
【0110】
この場合、工場に主製造ラインと副製造ラインとが設けられており、主製造ラインに組み付けるモジュールの組立てを副製造ラインで行うときに、副製造ラインのモジュール完成工程に対応して配置された無線通信装置の制御手段が、対応する無線タグの製造情報を一括して読み出し、読み出した無線タグの製造情報を、同期I/Fを経由して、主製造ラインの組立初期工程に対応して配置された無線通信装置に転送し、該無線通信装置の制御手段が、転送されてきた無線タグの製造情報を対応する無線タグに一括して書き込むこともできる。これにより、外部機器による処理の負担を軽減することができる。
【0111】
また、上記実施の形態3の変形例として、制御手段24Cが、通信部間で、登録手段25に登録される命令群の内容は同一であり、参照するアドレスのみ異なると判断した場合、不変部分はそのままコピーし、可変部分はアドレスをインクリメントしてコピーするように構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明にかかる無線通信装置は、非接触で無線タグに記録された情報を読み取る無線タグリーダ/ライタに適用できる。例えばデータキャリアシステム等と呼ばれる個別対象物認識システムとして、無線タグを物品に付与してこの物品の識別を行う。この用途としては、FA(Factory Automation)分野における工作機の工具や工場における部品、製品の管理、物流システム等に用いられる物品の識別システム、鉄道切符及びスーパーマーケットの価格読み取り等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の一構成例を示すブロック図
【図2】本発明の各実施の形態にて用いられる無線タグの一構成例を示すブロック図
【図3】本発明の各実施の形態にて用いられる無線タグの一構造例を示す平面図
【図4】本発明の各実施の形態に係る無線通信装置の通信部の一構造例を示す平面図
【図5】本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の制御手段によるチャンネル割当処理の各処理工程を示すフローチャート
【図6】通信負荷条件を満たすように割り当てられたチャンネル割り当て状況を示すタイムチャート
【図7】本発明の実施の形態2に係る無線通信装置の一構成例を示すブロック図
【図8】本発明の実施の形態2に係る無線通信装置の制御手段によるチャンネル割当処理の各処理工程を示すフローチャート
【図9】通信負荷条件を満たしていない場合のチャンネル割り当て状況を示すタイムチャート
【図10】通信負荷条件の閾値を2つ設けた場合のチャンネル割り当て状況を示すタイムチャート
【図11】本発明の実施の形態3に係る無線通信装置の一構成例を示すブロック図
【図12】本発明の実施の形態3に係る無線通信装置の制御手段による命令実行処理のうち、特定の通信部での処理工程を示すフローチャート
【図13】本発明の実施の形態4に係る無線通信システムの全体構成の一例を示すブロック図
【図14】図13の一つの無線通信装置及び演算装置の一構成例を示すブロック図
【符号の説明】
【0114】
1、1a、1b、…、1n 無線タグ
2A、2B、2C、2D 無線通信装置
21、21a、21b、…、21n 通信部
22 切換手段
23 送受信回路
24A、24B、24C、24D 制御手段
25 登録手段
26 算出手段
27 判断手段
28 割当手段
29 報知手段
30 検出手段
31 命令実行制御手段
1001a、1001b、1001c 製造ライン
1002 演算装置
1003 主制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の周波数帯域の電波を用いて、無線タグとの間で通信データを送受信する通信部と、
前記特定の周波数帯域で許容されているチャンネル数よりも多い数の前記通信部が接続可能なコントローラ部とを有する無線通信装置であって、
前記コントローラ部は、
前記無線タグへの前記通信部の送信データを、前記通信部毎に対応させて登録する登録手段と、
前記登録手段により登録された前記送信データに基づいて、前記無線タグから前記通信部に受信される受信データの量を求め、前記送信データの量および前記受信データの量から前記通信部毎の通信負荷を算出する算出手段と、
前記チャンネル毎に割り当てる通信負荷を設定するための通信負荷条件を記憶する記憶手段と、
前記算出手段より算出された前記通信部毎の通信負荷に基づいて、前記チャンネル毎の通信負荷が前記記憶手段に記憶された通信負荷条件を満たすように前記通信部毎に前記チャンネルを割り当てる割当手段とを備え、
前記許容されているチャンネル数よりも多い数の前記通信部が使用される場合、前記割当手段は、前記チャンネル毎の通信負荷が前記記憶手段に記憶された通信負荷条件を満たすように2以上の前記通信部に同一の前記チャンネルを割り当てることで前記通信部に割り当てられるチャンネル数を前記許容されているチャンネル数以下とすることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記通信負荷は、前記無線タグと前記通信部との間で送受信される通信データの総量又は通信所要時間である請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記通信負荷条件とは、前記チャンネル毎の通信負荷の中で、最大の通信負荷と最小の通信負荷との差が、予め定められた範囲内となる条件であること特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記通信負荷条件とは、
前記許容されているチャンネル数以下の複数のチャンネルに、該複数のチャンネルよりも多い数の複数の前記通信部を前記割当手段により割り当てる際に、
前記複数のチャンネルと前記複数の通信部との割り当ての全ての組合せにおいて、
各前記組合せにおける前記チャンネル毎の通信負荷の中での最大の通信負荷をそれぞれ求め、
前記各組合せの前記最大の通信負荷の中で、前記最大の通信負荷が最小となる組合せを抽出し、該組合せで前記複数のチャンネルに前記複数の通信部を割り当てる条件であることを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記コントローラ部はさらに、
前記割当手段により前記通信部毎に前記チャンネルを割り当てる際に、前記通信負荷条件が満たされない場合には、前記通信負荷条件が満たされない旨を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記報知手段は、さらに前記通信負荷条件が満たされない前記チャンネルがいずれであるかを報知することを特徴とする請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記報知手段は、前記通信部の前記送信データ、前記通信負荷条件、使用する前記通信部の数の中で、いずれを変更すべきかを報知するようにしてあることを特徴とする請求項5または6のいずれか一項記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記特定の周波数帯域は、UHF帯域であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記コントローラ部はさらに、
前記通信部に対して相対的に移動する前記無線タグが前記通信部と前記通信データを送受信することが可能な通信可能領域に存在するか不可能な通信不可能領域に存在するかを検出する検出手段と、
前記無線タグが前記検出手段により、前記通信部の通信可能領域に存在すると検出された場合には、前記無線タグに対して前記送信データの送信を開始し、前記送信データの送信または前記送信データに対する前記無線タグからの受信データの受信の途中で、前記検出手段により前記無線タグが前記通信不可能領域に入ったことが検出された場合には、前記無線タグに対して前記送信データの送信を中断する送信制御手段と、
前記送信制御手段により、前記無線タグに対する前記送信データの送信が中断されている場合に、前記通信部と同じ前記チャンネルに割り当てられた他の前記通信部の通信可能領域に他の無線タグが存在することが前記検出手段により検出された場合には、前記他の通信部から前記他の無線タグへの他の前記送信データの送信を開始する開始制御手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記送信制御手段は、さらに、
前記検出手段により、前記送信データの送信が中断された前記無線タグが、前記通信部の通信可能領域に再度入ったことが検出され、かつ、
前記開始制御手段により開始された前記他の送信データに対する前記他の無線タグからの受信データの受信が完了したこと、または前記他の無線タグが前記他の通信部の通信不可能領域に入ったことが前記検出手段により検出されたときに、
前記送信データの送信が中断されていた前記通信部に対して、前記送信データの送信を再開することを特徴とする請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記登録手段に登録される前記送信データは、前記無線タグに対する複数の読出し命令もしくは書き込み命令、または読出し命令と書き込み命令の組合せからなる命令群であり、
前記送信制御手段は、さらに、
前記送信データの送信が中断されていた前記通信部に対して、前記送信データの送信を再開する際に、前記送信データの前記命令群の中で、前記無線タグからの受信データの受信が未完了の命令から送信を再開することを特徴とする請求項10に記載の無線通信装置。
【請求項12】
特定の周波数帯域の電波を用いて、無線タグとの間で通信データを送受信する無線通信装置と、
前記特定の周波数帯域で許容されているチャンネル数よりも多い数の前記無線通信装置が接続可能な演算装置とを有する無線通信システムであって、
前記演算装置は、
前記無線タグへの前記無線通信装置の送信データを、前記無線通信装置毎に対応させて登録する登録手段と、
前記登録手段により登録された前記送信データに基づいて、前記無線タグから前記無線通信装置に受信される受信データの量を求め、前記送信データの量および前記受信データの量から前記無線通信装置毎の通信負荷を算出する算出手段と、
前記チャンネル毎に割り当てる通信負荷を設定するための通信負荷条件を記憶する記憶手段と、
前記算出手段より算出された前記無線通信装置毎の通信負荷に基づいて、前記チャンネル毎の通信負荷が前記記憶手段に記憶された通信負荷条件を満たすように前記無線通信装置毎に前記チャンネルを割り当てる割当手段とを備え、
前記許容されているチャンネル数よりも多い数の前記無線通信装置が使用される場合、前記割当手段は、前記チャンネル毎の通信負荷が前記記憶手段に記憶された通信負荷条件を満たすように2以上の前記無線通信装置に同一の前記チャンネルを割り当てることで前記無線通信装置に割り当てられるチャンネル数を前記許容されているチャンネル数以下とすることを特徴とする無線通信システム。
【請求項13】
特定の周波数帯域の電波を用いて、無線タグとの間で通信データを送受信する通信部と、
前記特定の周波数帯域で許容されているチャンネル数よりも多い数の前記通信部が接続可能であり、前記チャンネル毎に割り当てる通信負荷を設定するための通信負荷条件を記憶する記憶部を有するコントローラ部と、
からなる無線通信装置で用いられる無線通信方法であって、
前記無線タグへの前記通信部の送信データを、前記通信部毎に対応させて登録する登録工程と、
前記登録工程により登録された前記送信データに基づき、前記無線タグから前記通信部に受信される受信データの量を求め、前記送信データの量および前記受信データの量から前記通信部毎の通信負荷を算出する算出工程と、
前記許容されているチャンネル数よりも多い数の前記通信部が使用される場合、前記算出工程により算出された前記通信部毎の通信負荷に基づき、前記チャンネル毎の通信負荷が前記記憶部に記憶された通信負荷条件を満たすように2以上の前記通信部に同一の前記チャンネルを割り当てることで前記通信部に割り当てられるチャンネル数を前記許容されているチャンネル数以下とする割当工程と
を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項14】
特定の周波数帯域の電波を用いて、無線タグとの間で通信データを送受信する通信部と、
前記特定の周波数帯域で許容されているチャンネル数よりも多い数の前記通信部が接続可能であり、前記チャンネル毎に割り当てる通信負荷を設定するための通信負荷条件を記憶する記憶部を有するコントローラ部と、
からなる無線通信装置における処理を前記コントローラ部に搭載されたコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記無線タグへの前記通信部の送信データを、前記通信部毎に対応させて登録する登録処理と、
前記登録処理により登録された前記送信データから、前記無線タグから前記通信部に受信される受信データの量を求め、前記送信データの量および前記受信データの量から前記通信部毎の通信負荷を算出する算出処理と、
前記許容されているチャンネル数よりも多い数の前記通信部が使用される場合、前記算出処理により算出された前記通信部毎の通信負荷に基づき、前記チャンネル毎の通信負荷が前記コントローラ部で記憶された通信負荷条件を満たすように2以上の前記通信部に同一の前記チャンネルを割り当てることで前記通信部に割り当てられるチャンネル数を前記許容されているチャンネル数以下とする割当処理と
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−118076(P2009−118076A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287587(P2007−287587)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】