説明

無線通信装置、無線通信システムおよび経路探索方法

【課題】無線通信のスループットの低下を招くことがなく、車両の移動に支障を来さない経路探索が可能な経路探索機能を備えた無線通信装置、無線通信システムおよび経路探索方法を提供する。
【解決手段】接続中の基地局を通して周辺基地局のトラフィック情報とともに、周辺基地局の位置情報を取得する通信部2、取得した前記トラフィック情報に基づいて、周辺基地局の通信エリアを移動体が通過する際の該周辺基地局と無線通信装置との間での想定スループットを算出し、算出された想定スループットに基づいて、移動体の現在地から目的地までの経路探索を行う制御部1とを備え、制御部1は、想定スループットが、予め設定されたスループットの設定値を超える基地局のエリアを通る経路が選択されるように経路探索を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置および無線通信システムに関し、特に、経路探索機能を備えた無線通信装置、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のカーナビゲーションシステムにおいては、携帯電話や、無線LANなどの無線通信機能を有するものが増えており、動画像データや地図データなどを無線LANの基地局から受信して、それを車内のモニターに表示するとで、運転者の便宜に供している。
【0003】
このような無線LANなどの無線通信機能を有したカーナビゲーションシステムとしては、例えば特許文献1に開示されるものがある。
【0004】
特許文献1では、無線LANの送受信エリアが狭いために、自車両が無線LANが可能なエリアを通過できるように経路探索を行うことで通信の安定化を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4137576号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、GPS(Global Positioning System)で取得した位置情報に基づいて、高速通信が可能なエリアを通るように経路探索を行う技術を開示しているが、通過する高速通信が可能なエリアの通信トラフィックが高い場合には、無線通信のスループットが低下する可能性があり、大量のデータ通信ができない場合が発生する。
【0007】
また、高速通信が可能なエリアは、主に都市部にあることが多く、単に高速通信が可能なエリアを通ることを優先した経路探索では、都市部の交通量の多い道路を通ることとなり、車両の移動そのものに支障が生じる可能性がある。
【0008】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、無線通信のスループットの低下を招くことがなく、車両の移動に支障を来さない経路探索が可能な経路探索機能を備えた無線通信装置、無線通信システムおよび経路探索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る無線通信装置の第1の態様は、移動体に搭載され、ナビゲーション機能を有した無線通信装置であって、接続中の基地局を通して周辺基地局のトラフィック情報とともに、前記周辺基地局の位置情報を取得する通信部と、取得した前記トラフィック情報に基づいて、前記周辺基地局の通信エリアを前記移動体が通過する際の該周辺基地局と前記無線通信装置との間での想定スループットを算出し、算出された前記想定スループットに基づいて、前記移動体の現在地から目的地までの経路探索を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記想定スループットが、予め設定されたスループットの設定値を超える基地局のエリアを通る経路が選択されるように経路探索を行う。
【0010】
本発明に係る無線通信装置の第2の態様は、前記制御部が、前記周辺基地局のそれぞれについて前記想定スループットを算出し、算出された前記想定スループットに基づいて経路探索を行う。
【0011】
本発明に係る無線通信装置の第3の態様は、前記制御部が、前記現在地から前記目的地までの経路探索において、現実的に利用可能な利用可能経路が選ばれるように設定された限定条件をも満足するように経路を選択する。
【0012】
本発明に係る無線通信装置の第4の態様は、前記制御部が、前記移動体の現在地から目的地までの経路探索を、現実的に利用可能な利用可能経路が選ばれるように設定された限定条件を満足するように実施し、選択された経路中の前記周辺基地局のそれぞれについて前記想定スループットを算出する。
【0013】
本発明に係る無線通信装置の第5の態様は、前記制御部が、経路探索で得られた経路にある通過予定の基地局に対して、前記無線通信装置が必要とするリソースおよび通過時間の情報を通知する。
【0014】
本発明に係る無線通信装置の第6の態様は、前記設定値が、通信アプリケーションに関連付けて設定され、前記制御部は、前記通信アプリケーションが変更されると、変更後の前記通信アプリケーションに対応する設定値に基づいて経路探索を行う。
【0015】
本発明に係る無線通信装置の第7の態様は、移動体に搭載され、ナビゲーション機能を有した無線通信装置であって、接続中の基地局を介して、前記基地局を管理するセンター装置から各基地局の通信エリア内の各地点を前記移動体が通過する際の該周辺基地局と前記無線通信装置との間での想定スループットを取得する通信部と、取得した想定スループットに基づいて、前記移動体の現在地から目的地までの経路探索を行う制御部とを備え、前記想定スループットは、前記通信部が、前記基地局を介して前記センター装置に与える、前記移動体の現在位置の情報と、接続中の前記基地局からの信号の受信レベルに基づいて算出され、前記制御部は、前記想定スループットが、予め設定されたスループットの設定値を超える基地局のエリアを通る経路が選択されるように経路探索を行う。
【0016】
本発明に係る無線通信システムの第1の態様は、無線通信装置と、複数の基地局と、前記複数の基地局にネットワークを介して接続され、前記複数の基地局および前記無線通信装置を管理するセンター装置とを有した無線通信システムであって、前記無線通信装置は、ナビゲーション機能を有して移動体に搭載され、接続中の基地局を通して周辺基地局のトラフィック情報とともに、前記周辺基地局の位置情報を取得する通信部と、取得したトラフィック情報に基づいて、前記周辺基地局の通信エリアを前記移動体が通過する際の該周辺基地局と前記無線通信装置との間での想定スループットを算出し、算出された前記想定スループットに基づいて、前記移動体の現在地から目的地までの経路探索を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記想定スループットが、予め設定されたスループットの設定値を超える基地局のエリアを通る経路が選択されるように経路探索を行い、前記複数の基地局のそれぞれは、前記無線通信装置との間で、データの送受信を行う第1の通信部と、前記ネットワークを介して前記センター装置との間でデータの送受信を行う第2の通信部と、前記無線通信装置に対して、前記ネットワークを介して前記センター装置から前記周辺基地局の前記トラフィック情報を取得して送信するように、前記第1および第2の通信部を制御する制御部とを備え、前記センター装置は、前記複数の基地局の前記トラフィック情報を蓄積する。
【0017】
本発明に係る無線通信システムの第2の態様は、無線通信装置と、複数の基地局と、前記複数の基地局にネットワークを介して接続され、前記複数の基地局および前記無線通信装置を管理するセンター装置とを有した無線通信システムであって、前記無線通信装置は、ナビゲーション機能を有して移動体に搭載され、接続中の基地局を介して、前記センター装置から、各基地局の通信エリア内の各地点を前記移動体が通過する際の該周辺基地局と前記無線通信装置との間での想定スループットを取得する通信部と、取得した想定スループットに基づいて、前記移動体の現在地から目的地までの経路探索を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記想定スループットが、予め設定されたスループットの設定値を超える基地局のエリアを通る経路が選択されるように経路探索を行い、前記複数の基地局のそれぞれは、前記無線通信装置との間で、データの送受信を行う第1の通信部と、前記ネットワークを介して前記センター装置との間でデータの送受信を行う第2の通信部と、前記無線通信装置から、前記移動体の現在位置の情報と、接続中の前記基地局からの信号の受信レベルのデータを受け、前記ネットワークを介して前記センター装置に与えるように前記第1および第2の通信部を制御するとともに、前記センター装置から前記ネットワークを介して前記想定スループットのデータを受け、前記無線通信装置に与えるように前記第1および第2の通信部を制御する制御部とを備え、前記センター装置は、前記無線通信装置から、前記基地局を介して与えられる、前記移動体の前記現在位置の情報と、接続中の前記基地局からの前記信号の受信レベルに基づいて前記想定スループットを算出する。
【0018】
本発明に係る経路探索方法の態様は、移動体に搭載され、ナビゲーション機能を有した無線通信装置における経路探索方法であって、接続中の基地局を通して周辺基地局のトラフィック情報とともに、前記周辺基地局の位置情報を取得するステップ(a)と、取得した前記トラフィック情報に基づいて、前記周辺基地局の通信エリアを前記移動体が通過する際の該周辺基地局と前記無線通信装置との間での想定スループットを算出するステップ(b)と、算出された前記想定スループットに基づいて、前記移動体の現在地から目的地までの経路探索を行うステップ(c)とを備え、前記ステップ(c)は、前記想定スループットが、予め設定されたスループットの設定値を超える基地局のエリアを通る経路が選択されるように経路探索を行う。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、移動体からの無線通信において、無線通信のスループットの低下を招くことがなく、移動体の移動に支障を来さない経路探索が可能な経路探索機能を備えた無線通信装置、無線通信システムおよび経路探索方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】カーナビゲーションシステムによる経路探索動作を模式的に示す図である。
【図2】本発明に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】基地局の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る実施の形態の無線通信装置での経路探索動作の第1の例を説明するフローチャートである。
【図5】想定スループットの算出方法を説明するフローチャートである。
【図6】本発明に係る実施の形態の無線通信装置での経路探索動作の第2の例を説明するフローチャートである。
【図7】経路探索の結果を模式的に示す図である。
【図8】想定スループットの算出方法を説明するフローチャートである。
【図9】本発明に係る実施の形態の無線通信装置での経路探索動作の第3の例を説明するフローチャートである。
【図10】経路探索の結果を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施の形態>
図1は、カーナビゲーションシステムによる経路探索動作を模式的に示す図である。図1に示すように実施の形態に係る無線通信装置100を搭載した車両VC(移動体)が現在地から目的地を目指す場合、途中には複数の基地局200、201および202が設けられているものと想定する。これらを周辺基地局と呼称する。これらの基地局の通信可能エリアは、それぞれエリアAR、BRおよびCRで示されている。そして、何れのエリアを通っても目的地に到着することが可能であるものとする。
【0022】
このような場合、カーナビゲーションシステムの従来の経路探索方法を用いて経路探索を行うと、エリアAR、BRおよびCRをそれぞれ通る、3通りの経路を探索して運転者に提示し、何れを選択するか、あるいは予め設定された条件、例えば最短距離で到達できるという条件に基づいて、何れかの経路を提示する。
【0023】
しかし、例えば、動画像を受信しながら目的地に着きたい場合、通過するエリアの通信トラフィックが高い場合には、当該エリアでは無線通信のスループットが低下する可能性があり、大量のデータ通信を必要とする動画像の受信においては、動画像が不鮮明となったり、動画像が途切れることを繰り返すといった不具合が発生する可能性がある。
【0024】
一方、本発明に係る無線通信装置100では、移動体通信システムのトラフィック情報をナビゲーションシステムの経路探索に用いることで、通信トラフィックの低いエリアを通るように経路探索を行うので、データ通信のスループットの低下を防いで、動画像の受信を滞りなく行うことが可能となる。
【0025】
以下、本発明に係る無線通信装置100を用いた経路探索動作について説明する。まず、図2を用いて、本発明に係る無線通信装置100の構成について説明する。
【0026】
図2示すように、無線通信装置100は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって構成され装置全体の制御を行う制御部1と、送受信アンテナ8が接続された通信部2と、制御部1とディスプレイ4との接続を行うインタフェース部3と、運転者が各種設定を行う際に使用する操作部5と、GPSアンテナ9を介してGPS衛星からのGPS情報を受信するGPS受信部7と、地図情報や受信した情報を記憶する記憶部6とを備えている。なお、図2においては、本発明との関連がある構成についてのみ示しており、他の構成は省略している。
【0027】
送受信アンテナ8で受信した受信信号は通信部2に入力され、増幅処理やダウンコンバートを行って、ベースバンド信号に変換される。なお、送受信アンテナ8で受信される信号は、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調方式やQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調方式などで変調されている。また、通信部2は、制御部1からの指示に従い、BPSK変調方式やQPSK変調方式などで変調された無線信号を送出する。
【0028】
次に、図3を用いて無線通信装置100との間で無線通信を行う基地局200の構成および、複数の基地局によって形成されるネットワークについて説明する。
【0029】
図3に示すように基地局200は、例えばCPUによって構成され基地局全体の制御を行う制御部11と、送受信アンテナ14が接続された通信部12と、有線ネットワークNWとの間でのデータの送受信を行うデータ送受信部13とを備えている。なお、図3においては、本発明との関連がある構成についてのみ示しており、他の構成は省略している。
【0030】
有線ネットワークNWは、インターネットなどの広域通信網であり、基地局200のデータ送受信部13とは、図示されないゲートウェイ装置を介して接続されている。
【0031】
データ送受信部13は、有線ネットワークNWが光ファイバである場合は、ONU(Optical Network Unit)がこれに該当する。
【0032】
基地局200において、送受信アンテナ14で受信した受信信号は通信部12に入力され、増幅処理やダウンコンバートを行って、ベースバンド信号に変換される。なお、送受信アンテナ14で受信される信号は、BPSK変調方式やQPSK変調方式などで変調されている。また、通信部12は、制御部11からの指示に従い、BPSK変調方式やQPSK変調方式などで変調された無線信号を送出する。
【0033】
有線ネットワークNWには、他の基地局201および202等が接続されており、各基地局は、無線通信装置100から取得した情報に、受信レベルや空きリソースの情報を加えて、有線ネットワークNWを介してセンター装置300に通知する構成となっている。
【0034】
センター装置300は、無線通信装置100および基地局200〜202を管理する上位の管理装置であり、各基地局のトラフィック情報などを蓄積し、無線通信装置100にその情報を与えるなどの機能を有しているが、本発明に関する機能としては、各基地局から送られる、受信レベル、空きリソースの情報に基づいて、各基地局の通信エリアでの想定スループットを算出する機能も有している。
【0035】
<経路探索動作の第1の例>
次に、図4に示すフローチャートを用いて、図1〜図3を参照しつつ実施の形態に係る無線通信装置100での経路探索動作の第1の例について説明する。
【0036】
図1を用いて説明したように、通過するエリアの通信トラフィックが高い場合には、当該エリアでは無線通信のスループットが低下する可能性がある。スループットが低くても、データ通信量が少量で済む情報、例えば渋滞情報などを受信できれば良いのであれば、無線通信装置100に備わる、従来の経路探索方法によって得られた経路でも良いが、動画像などの大量のデータ通信が必要な場合は、本発明に係る経路探索方法に切り替えることで、動画像の受信を滞りなく行うことが可能となる。
【0037】
具体的には、目的地までの経路探索を行う場合に、まず、無線通信装置100に所望するアプリケーションを滞りなく実行させるために必要なスループットを設定する(ステップS1)。
【0038】
例えば、動画像をディスプレイ4(図2)に表示させたい場合、最低でも5Mbpsのスループットを維持する必要があるのであれば、必要なスループットとして5Mbpsを設定する。この場合、具体的な数値で設定することとしても良いが、スループット設定の画面を選択すると、ディスプレイ4上に通信アプリケーションの項目一覧が表示されるように、必要なスループットの設定値を通信アプリケーションに関連付けるように構成し、その中から「動画像受信」などの項目を選択することで、自動的に必要なスループットが設定され、それに基づいて自動的に経路探索を実施するように構成すれば、ユーザーにとって使いやすい仕様となる。
【0039】
なお、スループットの設定値の例としては、地図情報であれば2Mbps、周辺施設の検索であれば1Mbps、渋滞情報であれば500Kbpsなどが挙げられ、上述のように、通信アプリケーションの項目一覧として、それぞれ「地図情報」、「周辺施設の検索」、「渋滞情報」などの項目としてディスプレイ4上に表示し、何れかをユーザーが選択することで必要なスループットが設定されるように構成する。
【0040】
なお、使用するアプリケーションを変更する場合は、変更後のアプリケーションで再度の経路探索を行うようにする。
【0041】
必要とするスループットが設定されると、無線通信装置100の通信部2は、接続中の基地局を通して、周辺基地局のトラフィック情報を取得する(ステップS2)。すなわち、接続中の基地局から有線ネットワークNW(図3)を介して、周辺基地局200〜202のトラフィック情報を取得することが可能である。なお、基地局でのトラフィックとは、ある基地局が通信している情報量であり、これが判れば、各基地局での空きリソース量を知ることができる。
【0042】
次に、取得したトラフィック情報に基づいて、無線通信装置100の制御部1において、各周辺基地局の想定スループットを算出する(ステップS3)。想定スループットは、各周辺基地局を無線通信装置100が通る場合に、各基地局との間で得られると予測されるスループットである。なお、想定スループットの算出については後に説明する。
【0043】
次に、算出された想定スループットに基づいて、制御部1において、利用可能経路内での想定スループットが、ステップS1で設定したスループットを超える基地局のエリアを通る経路であって、かつ、利用可能な経路を探索する(ステップS4)。
【0044】
すなわち、図1の例によれば、現在地から目的地までの経路として、エリアARを通る第1の経路R1と、エリアBRを通る第2の経路R2と、エリアCRを通る第3の経路R3が、設定したスループットを超える基地局のエリアを通る経路であって、かつ現実的に利用可能な経路として選ばれる。
【0045】
そして、これらの3つの経路の中で、想定スループットの最も高い基地局のエリアを通る経路を選択して経路探索結果とする。
【0046】
なお、利用可能経路は、迂回制限時間あるいは迂回制限距離で設定することができる。すなわち、周辺基地局としては、図1に示す周辺基地局200〜202以外にも存在し、それらの基地局のエリア内を通ることでも目的地に着くことはできるが、それらの基地局を通るような経路を選択すると、現在値から目的地までの最短時間、および、最短距離との差分(迂回時間、および、迂回距離)が大きくなり現実的ではない。そこで、従来の経路探索方法を用いて、迂回時間が迂回制限時間を超える場合、あるいは、迂回距離が迂回制限距離を超える場合、それらについては利用可能な経路とはしないようにすることで経路探索を簡略化できる。なお、迂回制限時間は、一定値であっても、現在値から目的地までの最短時間が大きくなるにつれ、値が大きくなるよう設定してもよい。また、迂回制限距離は、一定値であっても、現在値から目的地までの最短距離が大きくなるにつれ、値が大きくなるよう設定しても良い。
【0047】
次に、経路探索結果として得られた経路にある通過予定の基地局に対して、無線通信装置100が必要とするリソースおよび通過時間などの情報を通知する(ステップS5)。
【0048】
この情報を受けた通過予定の基地局は、無線通信装置100の通過時間に合わせて、必要リソースを確保し、無線通信装置100の通過時にリソースを割り当てることでハンドオーバーをスムーズに行うことができる。
【0049】
このように、本発明に係る無線通信装置100では、移動体通信のトラフィック情報を用いて経路探索を行うので、データ通信のスループットの高いエリアを選んで通ることが可能となり、通信データの受信を滞りなく行うことが可能となる。
【0050】
また、通過予定の基地局に対して、無線通信装置100が必要とするリソースおよび通過時間などの情報を予め通知しておくことで、無線通信装置100の通過時のハンドオーバーをスムーズに行うことができる。
【0051】
なお、以上の説明においては、無線通信装置100の周辺の基地局について想定スループットを算出することで経路探索を行う例を示しており、目的地が比較的近い場合に特に有効である。また、目的地が遠い場合には、通過予定の基地局に到達するまでに時間がかかり、想定スループットの精度が低下してしまうという問題が生じるが、その精度を上げるため、無線通信装置100が移動する先々で、経路探索を繰り返すことで遠い目的地であっても通信データの受信を滞りなく行うことが可能となる。
【0052】
また、トラフィック情報の取得、および周辺基地局の想定スループットの算出は、経路探索動作を始めてから行うのではなく、経路探索動作を行わない場合にも常時実施しておくことで、経路探索に要する時間を短縮することが可能となる。
【0053】
<想定スループットの算出方法>
次に、図5に示すフローチャートを用いて、想定スループットの算出方法を説明する。まず、周辺基地局の位置情報を取得するとともに、図4に示したステップS2で取得した周辺基地局のトラフィック情報から各周辺基地局における空きリソース情報(空きリソース量)を取得する(ステップS11)。
【0054】
次に、GPS受信部7(図2)で受信したGPS情報から得られた自車両の位置情報と、ステップS11で取得した周辺基地局の位置情報とに基づいて、各周辺基地局と利用可能経路との距離(例えば、周辺基地局の位置と、当該周辺基地局の通信可能エリア内であって利用可能経路上にある複数箇所の所定地点との平均距離)を算出し、得られた距離に基づいて受信レベルを算出する(ステップS12)。
【0055】
ここで、周辺基地局との距離によって電波の強弱が決まるので、周辺基地局までの距離が遠い場合には受信レベルは低く算出され、周辺基地局までの距離が近い場合には受信レベルは高く算出される。
【0056】
次に、算出した受信レベルから使用可能な変調方式を算出し、伝送レートを取得する(ステップS13)。すなわち、受信レベルが決まれば、使用可能な変調方式が判明する。すなわち、受信レベルが低い場合にはBPSK変調方式やQPSK変調方式などの比較的伝送レートの低い変調方式を使用することとなり、受信レベルが高い場合には、64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)などの比較的伝送レートの高い変調方式を使用することとなる。そして、伝送レートは変調方式に対応して決まっているので、変調方式が決まれば伝送レートを得ることができる。
【0057】
次に、ステップS11で取得した周辺基地局の空きリソース情報と、ステップS13で取得した伝送レートを掛け合わせることで、想定スループットを算出することができる(ステップS14)。
【0058】
<経路探索動作の第2の例>
図4を用いて説明した経路探索動作の第1の例では、まず、無線通信装置100の周辺基地局のトラフィック情報を取得し、その後に従来の経路探索方法によって利用可能経路を選ぶ方法を採ったが、以下に図6に示すフローチャートを用いて説明する経路探索動作の第2の例のように、まず、従来の経路探索方法によって利用可能経路を選び、選ばれた利用可能経路中の基地局について想定スループットを算出する方法を採っても良い。これにより、想定スループットの算出対象となる基地局を減らして、想定スループットの算出に費やす時間を削減できる。
【0059】
まず、無線通信装置100に所望するアプリケーションを滞りなく実行させるために必要なスループットを設定する(ステップS21)。
【0060】
次に、従来の経路探索方法によって目的地までの経路探索を実施し、利用可能経路を選ぶ(ステップS22)。
【0061】
すなわち、図1の例によれば、現在地から目的地までの経路として、エリアARを通る第1の経路R1と、エリアBRを通る第2の経路R2と、エリアCRを通る第3の経路R3を従来の経路探索方法によって選び、これらの3つの経路を利用可能経路とする。なお、利用可能経路は、迂回制限時間あるいは迂回制限距離で設定されることは先に述べた通りである。
【0062】
次に、ステップS22で得られた利用可能経路中の各基地局について想定スループットを算出する(ステップS23)。なお、想定スループットの算出については、図5を用いて説明した方法と同様であるが、より遠い位置にある基地局も対象となるので、図5を用いて説明したステップS12の受信レベルの算出においては、対象となる基地局と利用可能経路との距離がある程度以上離れている場合には受信レベルが算出できないものとし、最低の受信レベルを算出受信レベルとすることで対応する。
【0063】
次に、ステップS22で得られた利用可能経路中の各基地局について、ステップS23で算出した想定スループットを当てはめ、その結果、全ての経路の想定スループットがステップS21で設定された必要なスループット未満となる基地局のエリアを通る経路であるか否かを判定する(ステップS24)。
【0064】
そして、全ての経路が、必要なスループット未満となる基地局のエリアを通る経路である場合には、当該経路に対して、再度、ステップS22およびステップS23と同じ経路探索を実施する。この場合も、利用可能経路が選ばれるように限定条件を設定する(ステップS25)。このような再探索を行うのは、誤った探索結果が得られる可能性を排除するためである。
【0065】
なお、ステップS24において、全ての経路が、必要なスループット未満となる基地局のエリアを通る経路ではない場合(1つでも必要なスループット以上となる基地局のエリアを通る経路がある場合)には、ステップS27に進む。
【0066】
次に、再探索で得られた経路について、全ての経路が、想定スループットがステップS21で設定された必要なスループット未満となる基地局のエリアを通る経路であるか否かを判定する(ステップS26)。
【0067】
そして、全ての経路が、必要なスループット未満となる基地局のエリアを通る経路ではない場合(1つでも必要なスループット以上となる基地局のエリアを通る経路がある場合)にはステップS27に進む。
【0068】
ステップS27では、必要なスループット以上となる基地局のエリアを通る経路が複数あるか否かを判定する。
【0069】
そして、必要なスループット以上となる基地局のエリアを通る経路が1つである場合は、当該経路を経路探索結果として経路探索を終了し、必要なスループット以上となる基地局のエリアを通る経路が複数ある場合には、想定スループットの最も高い基地局のエリアを通る経路を選択して経路探索結果とする(ステップS28)。
【0070】
なお、ステップS26において、全ての経路が、必要なスループット未満となる基地局のエリアを通る経路である場合には。ステップS29に進み、探索した中での最大の想定スループットの基地局のエリアを通る経路を選択して経路探索結果とする。
【0071】
また、ステップS25の再探索においては、迂回制限時間あるいは迂回制限距離などの限定条件を緩和するなどして、探索範囲を広げるようにしても良い。さらに、再探索が不要である場合は、ステップS24において、全ての経路が、必要なスループット未満となる基地局のエリアを通る経路である場合には、ステップS25,26の処理を省略し、そのままステップS29に進んでもよい。
【0072】
なお、経路探索結果として得られた経路にある通過予定の基地局に対して、無線通信装置100が必要とするリソースおよび通過時間などの情報を通知することで、この情報を受けた通過予定の基地局が、無線通信装置100の通過時間に合わせて、必要リソースを確保するように構成しても良いことは言うまでもなく、無線通信装置100の通過時にリソースを割り当てることでハンドオーバーをスムーズに行うことが可能となる。
【0073】
図7には、図4を用いて説明した経路探索動作の第1の例および図6を用いて説明した経路探索動作の第2の例による経路探索の結果を模式的に示す。
【0074】
図7に示すように、現在地から目的地に達する経路R11、R12の2通りがある場合、従来の経路探索方法で経路探索を行うと、例えば最短距離で目的地に到達するように設定されているならば、経路R11を選択して経路探索結果とする。しかし、経路R11には、途中に想定スループットが必要なスループット未満となる基地局のエリアDRが存在している。
【0075】
一方、経路探索動作の第1の例および第2の例による経路探索を実行すると、想定スループットが必要なスループット未満となる基地局のエリアDRを迂回する経路R12を選択して経路探索結果とするので、目的地までの距離は長くなっても、データ通信のスループットの低いエリアを通ることがなく、通信データの受信を滞りなく行うことが可能となる。
【0076】
<経路探索動作の第3の例>
図4を用いて説明した経路探索動作の第1の例および図6を用いて説明した経路探索動作の第2の例では、想定スループットは無線通信装置100が算出するものとして説明したが、経路探索動作の第3の例では想定スループットをセンター装置300(図3)が算出し、その情報を基地局を介して無線通信装置100に転送する方法を採る。以下、経路探索動作の第3の例について説明する。
【0077】
<想定スループットの算出方法>
まず、経路探索動作の第3の例における想定スループットの算出方法について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0078】
無線通信装置100(端末)は、GPS受信部7(図2)で受信したGPS情報から得られた自車両の位置情報と、現在通信している基地局からの信号の受信レベルを、当該基地局に通知する(ステップS31)。
【0079】
基地局では、無線通信装置100(端末)から受信した情報に、当該端末からの信号の受信レベルおよび空きリソース情報を加え、有線ネットワークNW(図3)を介してセンター装置300(図3)に通知する(ステップS32)。
【0080】
センター装置300では、基地局からの受信レベル、空きリソース情報に基づいて、各基地局の通信エリア内の各地点での想定スループットを算出する(ステップS33)。ここで、端末は1つではなく、複数の車両にそれぞれ搭載された複数の端末から、各基地局の通信エリア内の各地点での情報を送って来ており、センター装置300ではそれらの情報を集約することで、各基地局の通信エリア内の各地点での想定スループットを算出する。すなわち、経路探索動作の第3の例は、各端末が、現在の自車両の位置情報と、現在通信している基地局からの信号の受信レベルをセンター装置300に提供することで、センター装置300が各基地局の通信エリア内の各地点での想定スループットを算出して、各端末に送信するシステムに基づいている。なお、想定スループットの算出については、図5を用いて説明した方法と同じである。
【0081】
無線通信装置100は、センター装置300に、各基地局の通信エリア内の各地点での想定スループットを要求し、センター装置300は、算出した想定スループットを何れかの基地局を介して端末に通知する(ステップS34)。
【0082】
無線通信装置100が、センター装置300で算出された想定スループットを受け取ることで想定スループットの算出が終了する。
【0083】
なお、センター装置300は、スループット情報として、各地点ごとの想定スループットを、定期的に複数の端末に向けて報知する構成としても良い。
【0084】
次に、図9に示すフローチャートを用いて経路探索動作の第3の例について説明する。まず、無線通信装置100に所望するアプリケーションを滞りなく実行させるために必要なスループットを設定する(ステップS41)。
【0085】
先に説明したように、各地点ごとの想定スループットはセンター装置300で算出されるので、無線通信装置100が、センター装置300に想定スループット情報を要求して取得するか、センター装置300が定期的に端末を特定せずに報知する想定スループット情報を受けて取得する(ステップS42)。
【0086】
無線通信装置100では、各地点での想定スループット情報を地図情報に当てはめ、当該地図情報に基づいて経路探索を行う。この場合、限定条件として想定スループットが必要なスループット未満となる地点は通らないものとし、想定スループットがステップS41で設定された必要なスループット未満となる地点を通る経路は排除するように経路探索を行う(ステップS42)。
【0087】
そして、経路探索結果に対して、設定された必要なスループット以上となる地点を通る経路が存在するか否かの確認を行い(ステップS44)、設定された必要なスループット以上となる地点を通る経路が存在する場合はステップS46に進んで、経路を確定する。なお、ステップS46では、必要なスループット以上となる地点を通る経路が1つである場合は、当該経路を経路探索結果とし、必要なスループット以上となる地点を通る経路が複数ある場合には、想定スループットの最も高い地点を通る経路を選択して経路探索結果とする。
【0088】
一方、設定された必要なスループット以上となる地点を通る経路が存在しない場合には、ステップS45において必要なスループットの設定値を下げて、ステップS43以下の経路探索を再実行する。
【0089】
図10には、図9を用いて説明した経路探索動作の第3の例による経路探索の結果を模式的に示す。
【0090】
図10に示すように、現在地から目的地に達する経路R11、R12の2通りがある場合、従来の経路探索方法で経路探索を行うと、例えば最短距離で目的地に到達するように設定されているならば、経路R11を選択して経路探索結果とする。しかし、経路R11は、設定された必要なスループット未満となる地点を通る経路である。
【0091】
一方、経路探索動作の第3の例による経路探索を実行すると、想定スループットが必要なスループット未満となる経路は排除され、必要なスループット以上となる地点を通る経路R12を選択して経路探索結果とするので、目的地までの距離は長くなっても、データ通信のスループットの低いエリアを通ることがなく、通信データの受信を滞りなく行うことが可能となる。
【0092】
また、経路探索動作の第3の例では、各端末が、現在の自車両の位置情報と、現在通信している基地局からの信号の受信レベルをセンター装置300に提供することで、センター装置300が各基地局の通信エリア内の各地点での想定スループットを算出して、各端末に送信するので、想定スループットを各基地局の通信エリア内の各地点、すなわち、何れかの端末が実際に基地局と通信を行った地点での受信レベルに基づいた想定スループットが与えられるので、より細かい情報に基づいた経路探索可能となる。
【符号の説明】
【0093】
100 無線通信装置
200,201,201 基地局
300 センター装置
NW 有線ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、ナビゲーション機能を有した無線通信装置であって、
接続中の基地局を通して周辺基地局のトラフィック情報とともに、前記周辺基地局の位置情報を取得する通信部と、
取得した前記トラフィック情報に基づいて、前記周辺基地局の通信エリアを前記移動体が通過する際の該周辺基地局と前記無線通信装置との間での想定スループットを算出し、算出された前記想定スループットに基づいて、前記移動体の現在地から目的地までの経路探索を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記想定スループットが、予め設定されたスループットの設定値を超える基地局のエリアを通る経路が選択されるように経路探索を行うことを特徴とする、無線通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記周辺基地局のそれぞれについて前記想定スループットを算出し、算出された前記想定スループットに基づいて経路探索を行う、請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記現在地から前記目的地までの経路探索において、現実的に利用可能な利用可能経路が選ばれるように設定された限定条件をも満足するように経路を選択する、請求項1記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記移動体の現在地から目的地までの経路探索を、現実的に利用可能な利用可能経路が選ばれるように設定された限定条件を満足するように実施し、選択された経路中の前記周辺基地局のそれぞれについて前記想定スループットを算出する、請求項1記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、
経路探索で得られた経路にある通過予定の基地局に対して、前記無線通信装置が必要とするリソースおよび通過時間の情報を通知する、請求項2または請求項4記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記設定値は、通信アプリケーションに関連付けて設定され、
前記制御部は、
前記通信アプリケーションが変更されると、変更後の前記通信アプリケーションに対応する設定値に基づいて経路探索を行う、請求項1記載の無線通信装置。
【請求項7】
移動体に搭載され、ナビゲーション機能を有した無線通信装置であって、
接続中の基地局を介して、前記基地局を管理するセンター装置から各基地局の通信エリア内の各地点を前記移動体が通過する際の該周辺基地局と前記無線通信装置との間での想定スループットを取得する通信部と、
取得した想定スループットに基づいて、前記移動体の現在地から目的地までの経路探索を行う制御部と、を備え、
前記想定スループットは、前記通信部が、前記基地局を介して前記センター装置に与える、前記移動体の現在位置の情報と、接続中の前記基地局からの信号の受信レベルに基づいて算出され、
前記制御部は、
前記想定スループットが、予め設定されたスループットの設定値を超える基地局のエリアを通る経路が選択されるように経路探索を行うことを特徴とする、無線通信装置。
【請求項8】
無線通信装置と、複数の基地局と、前記複数の基地局にネットワークを介して接続され、前記複数の基地局および前記無線通信装置を管理するセンター装置とを有した無線通信システムであって、
前記無線通信装置は、
ナビゲーション機能を有して移動体に搭載され、
接続中の基地局を通して周辺基地局のトラフィック情報とともに、前記周辺基地局の位置情報を取得する通信部と、
取得したトラフィック情報に基づいて、前記周辺基地局の通信エリアを前記移動体が通過する際の該周辺基地局と前記無線通信装置との間での想定スループットを算出し、算出された前記想定スループットに基づいて、前記移動体の現在地から目的地までの経路探索を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記想定スループットが、予め設定されたスループットの設定値を超える基地局のエリアを通る経路が選択されるように経路探索を行い、
前記複数の基地局のそれぞれは、
前記無線通信装置との間で、データの送受信を行う第1の通信部と、
前記ネットワークを介して前記センター装置との間でデータの送受信を行う第2の通信部と、
前記無線通信装置に対して、前記ネットワークを介して前記センター装置から前記周辺基地局の前記トラフィック情報を取得して送信するように、前記第1および第2の通信部を制御する制御部と、を備え、
前記センター装置は、
前記複数の基地局の前記トラフィック情報を蓄積する、無線通信システム。
【請求項9】
無線通信装置と、複数の基地局と、前記複数の基地局にネットワークを介して接続され、前記複数の基地局および前記無線通信装置を管理するセンター装置とを有した無線通信システムであって、
前記無線通信装置は、
ナビゲーション機能を有して移動体に搭載され、
接続中の基地局を介して、前記センター装置から、各基地局の通信エリア内の各地点を前記移動体が通過する際の該周辺基地局と前記無線通信装置との間での想定スループットを取得する通信部と、
取得した想定スループットに基づいて、前記移動体の現在地から目的地までの経路探索を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記想定スループットが、予め設定されたスループットの設定値を超える基地局のエリアを通る経路が選択されるように経路探索を行い、
前記複数の基地局のそれぞれは、
前記無線通信装置との間で、データの送受信を行う第1の通信部と、
前記ネットワークを介して前記センター装置との間でデータの送受信を行う第2の通信部と、
前記無線通信装置から、前記移動体の現在位置の情報と、接続中の前記基地局からの信号の受信レベルのデータを受け、前記ネットワークを介して前記センター装置に与えるように前記第1および第2の通信部を制御するとともに、前記センター装置から前記ネットワークを介して前記想定スループットのデータを受け、前記無線通信装置に与えるように前記第1および第2の通信部を制御する制御部と、を備え、
前記センター装置は、
前記無線通信装置から、前記基地局を介して与えられる、前記移動体の前記現在位置の情報と、接続中の前記基地局からの前記信号の受信レベルに基づいて前記想定スループットを算出する、無線通信システム。
【請求項10】
移動体に搭載され、ナビゲーション機能を有した無線通信装置における経路探索方法であって、
(a)接続中の基地局を通して周辺基地局のトラフィック情報とともに、前記周辺基地局の位置情報を取得するステップと、
(b)取得した前記トラフィック情報に基づいて、前記周辺基地局の通信エリアを前記移動体が通過する際の該周辺基地局と前記無線通信装置との間での想定スループットを算出するステップと、
(c)算出された前記想定スループットに基づいて、前記移動体の現在地から目的地までの経路探索を行うステップと、を備え、
前記ステップ(c)は、
前記想定スループットが、予め設定されたスループットの設定値を超える基地局のエリアを通る経路が選択されるように経路探索を行うことを特徴とする、経路探索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−247290(P2012−247290A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118870(P2011−118870)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】