説明

無線通信装置、無線通信方法、プログラムおよび無線通信システム

【課題】接続設定をより簡単に行うための無線通信装置、無線通信方法、プログラムおよび無線通信システムを提供する。
【解決手段】アプリケーションと、周囲の無線通信装置を発見するための探索処理、および周囲の無線通信装置との接続処理を制御する通信制御部と、前記探索処理により発見された前記周囲の無線通信装置の表示を含む表示画面を生成する表示制御部と、を備え、前記通信制御部は、前記アプリケーションの起動により前記探索処理の制御を開始し、前記表示画面において選択された無線通信装置との前記接続処理を制御する、無線通信装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信方法、プログラムおよび無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近日、無線通信規格としてIEEE802.11が広く普及している。このIEEE802.11には、複数の無線通信装置がアクセスポイントを介して通信を行うインフラストラクチャーモードと呼ばれる通信方式、および、複数の無線通信装置がアクセスポイントを介さずに直接通信するアドホックモードと呼ばれる通信方式が定義されている。ユーザは、このいずれの通信方式を利用する場合であっても、接続のための設定を事前に行う。
【0003】
例えばインフラストラクチャーモードにおいては、まず無線通信装置が周囲のアクセスポイントを探索し、探索されたアクセスポイントからユーザが接続先を選択する。ここで、ユーザは、接続先のアクセスポイントの選択に際し、SSID(Service Set IDentifier)と呼ばれるネットワーク識別子を接続情報として設定する必要がある。また、多くのアクセスポイントは、セキュリティの確保のために、無線通信を暗号化する機能を有効にしている。このため、ユーザは、暗号化機能を有効にしているアクセスポイントを選択した場合、暗号鍵を設定する必要がある。また、TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)やCCMP(Counter Mode with Cipher Block Chaining Message Authentication Code Protocol)などの暗号方式や、WPA-PSK(Wi−Fi Protected Access Pre−Shared Key)やWPA2−PSKなどの認証方式の設定も必要となる場合がある。
【0004】
このように、接続設定には専門的な知識が必要であるので、接続設定に関する知識のないユーザは無線通信装置の接続を行うことが困難であった。
【0005】
この点に関し、Wi−Fi Allianceにより、WPS(Wi−Fi Protected Setup)と呼ばれる簡単接続のための規格が策定された。このWPSでは、接続する2つの無線通信装置の双方に特定の数字列を入力するPIN(Personal Identification Number)方式と、接続する2つの無線通信装置の双方の特定のボタンを押すPBC(Push Button Configuration)方式が定義されている。ユーザは、このいずれかの方式によって2つの無線通信装置で接続情報を交換することが可能である。
【0006】
また、WPS以外にも、接続設定を簡素化するための方法が多く提案されている。例えば、特許文献1には、アクセスポイントの設定情報をUSBメモリのような着脱可能な記憶媒体に保存し、この記憶媒体を無線通信装置に装着し、無線通信装置が自動的に設定情報を記憶媒体から読み込む方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−85455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、WPSでは、接続設定が簡略化されたものの、接続設定のさらなる簡略化が望まれた。また、特許文献1に記載の方法は、アクセスポイントがUSBメモリのような記憶媒体を装着でき、かつ、装着された記憶媒体に設定情報を書き込む機能を有する場合に実現可能であるが、これら機能を有さないアクセスポイントに適用することは困難であった。なお、無線通信装置を、アクセスポイントでなく、他の無線通信装置に接続する場合にも同様の問題が生じる。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、接続設定をより簡単に行うことが可能な、新規かつ改良された無線通信装置、無線通信方法、プログラムおよび無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、アプリケーションと、周囲の無線通信装置を発見するための探索処理、および周囲の無線通信装置との接続処理を制御する通信制御部と、前記探索処理により発見された前記周囲の無線通信装置の表示を含む表示画面を生成する表示制御部と、を備え、前記通信制御部は、前記アプリケーションの起動により前記探索処理の制御を開始し、前記表示画面において選択された無線通信装置との前記接続処理を制御する、無線通信装置が提供される。
【0011】
前記通信制御部は、前記探索処理において、前記アプリケーションに対応する機能の有無を前記周囲の無線通信装置に問い合わせる通信を制御し、前記表示制御部により生成される前記表示画面は、前記周囲の無線通信装置のうちで、前記アプリケーションに対応する機能を有する無線通信装置の表示を含んでもよい。
【0012】
前記表示制御部により生成される前記表示画面は、前記周囲の無線通信装置の表示、および、1または2以上のコンテンツデータの各々に対応する表示を含み、前記通信制御部は、前記表示画面において、いずれかの周囲の無線通信装置およびコンテンツデータが選択されると、選択された無線通信装置との接続処理を制御し、接続処理後、選択されたコンテンツデータの送信を制御してもよい。
【0013】
前記表示制御部は、前記表示画面において選択された無線通信装置が前記アプリケーションに対応する複数の機能を有する場合に機能の一覧表示を生成し、前記通信制御部は、前記一覧表示において選択された機能を前記表示画面において選択された無線通信装置へ通知するための制御を行なってもよい。
【0014】
前記表示制御部は、前記接続処理のために前記周囲の無線通信装置側に対する操作が必要であるか否かに応じ、前記表示画面における前記周囲の無線通信装置の表示を変化させてもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、アプリケーションを起動するステップと、周囲の無線通信装置を発見するための探索処理を行うステップと、前記探索処理により発見された前記周囲の無線通信装置の表示を含む表示画面を生成するステップと、前記表示画面において選択された無線通信装置と前記接続処理を行うステップと、を含む無線通信方法が提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、アプリケーションと、周囲の無線通信装置を発見するための探索処理、および周囲の無線通信装置との接続処理を制御する通信制御部と、前記探索処理により発見された前記周囲の無線通信装置の表示を含む表示画面を生成する表示制御部と、を備え、前記通信制御部は、前記アプリケーションの起動により前記探索処理の制御を開始し、前記表示画面において選択された無線通信装置との前記接続処理を制御する、無線通信装置として機能させるための、プログラムが提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、1または2以上の第1の無線通信装置と、アプリケーション、前記第1の無線通信装置を発見するための探索処理、および前記第1の無線通信装置との接続処理を制御する通信制御部、および前記探索処理により発見された前記第1の無線通信装置の表示を含む表示画面を生成する表示制御部、を有し、前記通信制御部は、前記アプリケーションの起動により前記探索処理の制御を開始し、前記表示画面において選択された第1の無線通信装置との前記接続処理を制御する、第2の無線通信装置と、を備える無線通信システムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、接続設定をより簡単に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態による無線通信システムの構成を示した説明図である。
【図2】WPSによる接続処理を示したフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態による無線通信装置のハードウェア構成を示したブロック図である。
【図4】本発明の実施形態による無線通信装置の構成を示した機能ブロック図である。
【図5】サービスディスカバリクエリの構成を示した説明図である。
【図6】サービスディスカバリレスポンスの構成を示した説明図である。
【図7】本発明の実施形態による第1の動作例を示したシーケンス図である。
【図8】表示部に表示される表示画面の具体例を示した説明図である。
【図9】本発明の実施形態による第2の動作例を示したシーケンス図である。
【図10】表示部に表示される表示画面の具体例を示した説明図である。
【図11】本発明の実施形態による第3の動作例を示したシーケンス図である。
【図12】表示部に表示される表示画面の具体例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて無線通信装置20A、20Bおよび20Cのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、無線通信装置20A、20Bおよび20Cを特に区別する必要が無い場合には、単に無線通信装置20と称する。
【0022】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.無線通信システムの構成
2.無線通信装置の構成
3.無線通信装置の動作
3−1.第1の動作例
3−2.第2の動作例
3−3.第3の動作例
4.むすび
【0023】
<1.無線通信システムの構成>
図1は、本発明の実施形態による無線通信システムの構成を示した説明図である。本発明の実施形態による無線通信システムは、複数の無線通信装置20を備える。一例として、図1においては、複数の無線通信装置20として、無線通信装置20A、および、無線通信装置20Aの通信可能範囲内に存在する無線通信装置20B、20Cおよび20Dを示している。
【0024】
無線通信装置20は、周囲の無線通信装置20と直接接続して通信グループを形成することにより、専用のアクセスポイントなどを介さずに周囲の無線通信装置20と通信することができる。
【0025】
例えば、無線通信装置20Aは、Wi−Fi Allianceで策定されたWi−Fi Directに従い、周囲の無線通信装置20と接続する際に親機(Group Owner)または子機(Client)のいずれとして動作するかを決定する。具体的には、無線通信装置20Aは、親機として動作するための優先度を示すパラメータを周囲の無線通信装置20B、20Cまたは20Dと交換し合い、優先度を示すパラメータを比較することにより、親機または子機のいずれとして動作するかを決定する。そして、無線通信装置20は、決定したトポロジ(親子関係)に従って周囲の無線通信装置20B、20Cまたは20Dと接続する。
【0026】
このような無線通信装置20は、例えば、PC(Personal Computer)、家庭用映像レコーダ、家庭用ゲーム機器、家電機器、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、表示装置、および音声出力装置などの情報処理装置であってもよい。
【0027】
また、無線通信装置20が周囲の無線通信装置20と通信するデータは、音楽、講演およびラジオ番組などの音声データや、テレビジョン番組、映画、ビデオプログラム、写真、文書、絵画および図表などの映像データや、ゲームおよびソフトウェアなどのコンテンツデータであってもよい。
【0028】
ところで、本発明の比較例においては、無線通信装置をアクセスポイントや他の無線通信装置に接続するための事前設定が必要であった。例えばインフラストラクチャーモードにおいては、まず無線通信装置が周囲のアクセスポイントを探索し、探索されたアクセスポイントからユーザが接続先を選択する。ここで、ユーザは、接続先のアクセスポイントの選択に際し、SSIDと呼ばれるネットワーク識別子を接続情報として設定する必要がある。また、多くのアクセスポイントは、セキュリティの確保のために、無線通信を暗号化する機能を有効にしている。このため、ユーザは、暗号化機能を有効にしているアクセスポイントを選択した場合、暗号鍵を設定する必要がある。また、TKIPやCCMPなどの暗号方式や、WPA-PSKやWPA2−PSKなどの認証方式の設定も必要となる場合がある。
【0029】
このように、接続設定には専門的な知識が必要であるので、接続設定に関する知識のないユーザは無線通信装置の接続を行うことが困難であった。
【0030】
この点に関し、Wi−Fi Allianceにより、WPSと呼ばれる簡単接続のための規格が策定された。このWPSでは、接続する2つの無線通信装置の双方に特定の数字列を入力するPIN方式と、接続する2つの無線通信装置の双方の特定のボタンを押すPBC方式が定義されている。以下、このようなWPSによる接続処理について図2を参照して説明する。なお、図2においては、比較例による無線通信装置がアクセスポイントに接続する場合の処理を示しているが、比較例による無線通信装置同士が接続する場合にも同様の処理が行われる。
【0031】
図2は、WPSによる接続処理を示したフローチャートである。無線通信装置のユーザは、無線通信装置をWPSによりアクセスポイントに接続させる場合、まず、無線通信装置のメニュー画面で「設定」を選択する(S91)。続いて、ユーザは、無線通信装置の選択画面から「無線設定」を選択し(S92)、「新規接続」を選択する(S93)。
【0032】
次に、ユーザは、無線通信装置の接続方法選択画面において「WPS」を選択し(S94)、方式選択画面において「PBS」または「PIN」を選択する(S95)。その後、ユーザは、「PBS」を選択した場合にはアクセスポイントのWPSボタンを押し下げる(S96)。なお、ユーザは、「PIN」を選択した場合にはPINを入力する。
【0033】
そして、ユーザはWPSの完了を待機し(S97)、無線通信装置は、自動的またはユーザ指示に応じ、WPSにより取得した設定情報を適用することによりアクセスポイントと接続する(S98)。
【0034】
このように、WPSでは、接続設定が簡略化されたものの、それでも、S91〜S96およびS98に示したように、ユーザによる無線通信装置の操作が合計で5〜6回程度生じる。ユーザがこのように接続設定を意識して無線通信装置に対して多くの操作を行うことは煩雑であった。なお、無線通信装置を、アクセスポイントでなく、他の無線通信装置に接続する場合にも同様の問題が生じる。
【0035】
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態による無線通信装置20を創作するに至った。本発明の実施形態による無線通信装置20は、アプリケーションの起動に連動したより簡単な接続設定を実現することが可能である。以下、このような本発明の実施形態による無線通信装置20について詳細に説明する。
【0036】
<2.無線通信装置の構成>
(ハードウェア構成)
図3は、本発明の実施形態による無線通信装置20のハードウェア構成を示したブロック図である。無線通信装置20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、を備える。また、無線通信装置20は、ブリッジ205と、外部バス206と、インタフェース207と、入力装置208と、出力装置210と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、通信装置215とを備える。
【0037】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って無線通信装置20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。
【0038】
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205および外部バス206を分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0039】
入力装置208は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。無線通信装置20のユーザは、該入力装置208を操作することにより、無線通信装置20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0040】
出力装置210は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。さらに、出力装置210は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。出力装置210は、例えば、再生されたコンテンツを出力する。具体的には、表示装置は再生された映像データ等の各種情報をテキストまたはイメージで表示する。一方、音声出力装置は、再生された音声データ等を音声に変換して出力する。
【0041】
ストレージ装置211は、本実施形態にかかる無線通信装置20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置211は、ハードディスクを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0042】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、無線通信装置20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。また、ドライブ212は、リムーバブル記憶媒体24に情報を書き込むこともできる。
【0043】
通信装置215は、例えば、周囲の無線通信装置20に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、LTE(Long Term Evolution)対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0044】
(機能構成)
図4は、本発明の実施形態による無線通信装置20の構成を示した機能ブロック図である。図4に示したように、本発明の実施形態による無線通信装置20は、アンテナ216と、通信部220と、入力部224と、記憶部228と、表示部232と、通信制御部236と、アプリケーション240と、機能関連処理部244と、接続方法選択部248と、表示制御部250と、を備える。
【0045】
アンテナ216は、周囲の無線通信装置20と無線信号を送受信するインタフェースである。具体的には、アンテナ216は、通信部220から供給される電気的な送信信号を無線信号に変換して送信したり、周囲の無線通信装置20から受信した無線信号を電気的な受信信号に変換して通信部220に供給したりする。
【0046】
通信部220は、送信信号の生成、受信信号の復号および解析などを行う。例えば、通信部220は、通信制御部236やアプリケーション240などの上位レイヤからの指示に応じて各種制御メッセージやデータパケットを作成し、制御メッセージやデータパケットを搬送波の周波数帯に変調することにより送信信号を生成する。また、通信部220は、アンテナ216から供給される受信信号をダウンコンバージョンし、各種制御メッセージやデータパケットを復号する。
【0047】
入力部224は、ユーザが無線通信装置20に対して操作を行うための構成である。入力部224は、例えば、タッチパネル、ボタン、スイッチ、レバー、またはダイヤルなどであってもよい。または、入力部224は、ユーザによるジェスチャーを検出するための加速度センサであってもよい。
【0048】
記憶部228は、写真データや音楽データなどのコンテンツデータを記憶する記憶媒体である。このような記憶部228は、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ディスク、およびMO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。不揮発性メモリとしては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)があげられる。また、磁気ディスクとしては、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどがあげられる。また、光ディスクとしては、CD(Compact Disc)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))などがあげられる。
【0049】
表示部232は、周辺装置一覧、コンテンツ一覧、および処理方法一覧など、表示制御部250により生成される表示画面を表示する。
【0050】
通信制御部236は、通信部220による通信全般を制御する。例えば、通信制御部236は、利用周波数の決定、制御メッセージの作成や送信命令、制御メッセージの解釈、接続処理制御などの動作を行う。なお、無線通信装置20が子機としても親機としても動作可能である場合、制御メッセージとしては、ビーコン、ビーコンの受信応答、Wi−Fi Directに規定されるプローブリクエスト、プローブレスポンス、サービスディスカバリクエリおよびサービスディスカバリレスポンスなどの報知情報があげられる。通信制御部236は、プローブリクエスト、プローブレスポンス、サービスディスカバリクエリおよびサービスディスカバリレスポンスの通信、すなわち、周囲の無線通信装置20の探索処理を制御することにより、周囲の無線通信装置20を発見することができる。
【0051】
より詳細に説明すると、通信制御部236は、プローブリクエストおよびプローブレスポンスの通信により周囲の無線通信装置20を発見し、発見した周囲の無線通信装置20が有する機能、扱えるコンテンツの種類、および対応する接続方法などの情報を収集する。例えば、通信制御部236は、機能関連処理部244により特定されるアプリケーション240に対応する機能の有無を問い合わせるための機能確認要求としてサービスディスカバリクエリの送信を制御する。また、通信制御部236は、通信部220により他の無線通信装置20からサービスディスカバリクエリが受信された場合、サービスディスカバリクエリの示す機能の有無を示す機能確認応答としてサービスディスカバリレスポンスの送信を制御する。
【0052】
具体例として、アプリケーション240が周囲の無線通信装置20に写真データを表示させるためのアプリケーションである場合、機能関連処理部244は、アプリケーション240に対応する機能として「写真表示」を特定する。この場合、通信制御部236は、「写真表示」機能の有無を問い合わせるためのサービスディスカバリクエリの送信を制御する。反対に、通信部220により「写真表示」機能の有無を問い合わせるためのサービスディスカバリクエリが受信された場合、機能関連処理部244は、アプリケーション240が「写真表示」機能を有するか否かを判断する。そして、通信制御部236は、機能関連処理部244による判断結果を示すサービスディスカバリレスポンスの送信を制御する。
【0053】
または、アプリケーション240が周囲の無線通信装置20における何かしらの処理のために写真データを提供するアプリケーションである場合、機能関連処理部244は、アプリケーション240に対応する機能として「写真」に関する機能を特定する。この場合、通信制御部236は、「写真」に関する機能の有無を問い合わせるためのサービスディスカバリクエリの送信を制御する。反対に、通信部220により「写真」に関する機能の有無を問い合わせるためのサービスディスカバリクエリが受信された場合、機能関連処理部244は、アプリケーション240の「写真」に関する機能を判断する。そして、通信制御部236は、機能関連処理部244による判断結果(例えば、表示、保存、アップロードなど)を示すサービスディスカバリレスポンスの送信を制御する。
【0054】
なお、本発明の実施形態では、このサービスディスカバリクエリおよびサービスディスカバリレスポンスとして、パブリックアクションフレーム(Public Action Frame)が使用される。パブリックアクションフレームは、アクションフレームの一種であり、無線通信装置同士の接続前に送信可能なマネジメントフレーム(Management Frame)としてIEEE802.11kで定義拡張されたフレームである。このようなサービスディスカバリクエリ、およびサービスディスカバリレスポンスの詳細な構成については、図5および図6を参照して後述する。
【0055】
アプリケーション240は、上述したように、コンテンツデータを利用する任意のアプリケーションである。例えば、アプリケーション240としては、写真データを周囲の無線通信装置20に表示させるためのアプリケーション、または周囲の無線通信装置20から供給される写真データを表示するためのアプリケーションなどが挙げられる。本発明の実施形態においては、このアプリケーション240の起動が周囲の無線通信装置20との無線接続のトリガとなる。なお、アプリケーション240は、例えばユーザによるアプリケーションの選択操作や実行操作などにより起動される。
【0056】
機能関連処理部244は、上述したように、アプリケーション240に対応する機能の特定、受信されたサービスディスカバリクエリの示す機能にアプリケーション240が対応しているか否かの判断などを行う。また、機能関連処理部244は、接続先の無線通信装置20に行わせる処理を選択する。機能関連処理部244より選択された処理、またはユーザにより選択された処理は、通信制御部236により接続先の無線通信装置20に通知される。
【0057】
接続方法選択部248は、周囲の無線通信装置20の探索処理結果を用い、周囲の無線通信装置20との接続方法、または接続方法の候補を選択する。接続方法は、WPSであってもよいし、以前に接続した事のある周囲の無線通信装置20が接続先である場合、以前の設定情報を用いる方法であってもよい。通信制御部236は、接続方法選択部248により選択された接続方法、または接続方法の候補からユーザにより選択された接続方法に従って周囲の無線通信装置20との接続処理を制御する。
【0058】
表示制御部250は、図4に示したように、周辺装置一覧表示制御部252、コンテンツ一覧表示制御部254、処理方法一覧表示制御部256、および接続方法一覧表示制御部258の各々の機能を包含する。
【0059】
周辺装置一覧表示制御部252は、通信制御部236による探索処理により発見された周囲の無線通信装置20の表示を制御する。ここで、周辺装置一覧表示制御部252は、サービスディスカバリクエリおよびサービスディスカバリレスポンスの通信により発見されたアプリケーション240に対応する機能を有する周囲の無線通信装置20のみを表示部232に表示させてもよい。ユーザは、この周辺装置一覧から接続先を選択することができる。
【0060】
なお、周辺装置一覧表示制御部252は、アイコンや文字列などの多様な形式で発見された周囲の無線通信装置20を表示部232に表示させることができる。また、周辺装置一覧表示制御部252は、接続処理のために周囲の無線通信装置20側に対する操作が必要であるか否かに応じ、表示部232における周囲の無線通信装置20の表示を変化させてもよい。
【0061】
例えば、周囲の無線通信装置20が、一時的にWPSを自動的に受け付ける状態、すなわち、常にWPSを実行している状態であるWPSモードである場合、周囲の無線通信装置20に対する操作は不要である。この場合、周辺装置一覧表示制御部252は、周囲の無線通信装置20の表示を色、明るさ、または大きさなどを変化させてもよい。かかる構成により、ユーザは、周囲の無線通信装置20の表示形態により、周囲の無線通信装置20に対する操作の要否を認識することができる。
【0062】
コンテンツ一覧表示制御部254は、記憶部228に記憶されているコンテンツデータの各々のアイコンやサムネイルからなるコンテンツ一覧の表示を制御する。ユーザは、このコンテンツ一覧からコンテンツデータを選択することができる。なお、このコンテンツ一覧および周辺装置一覧からなる表示画面の具体例については図8および図10を参照して後述する。
【0063】
処理方法一覧表示制御部256は、アプリケーション240に対応する複数の処理機能を接続先の無線通信装置20が有する場合に、複数の処理機能を示す処理方法一覧の表示を制御する。例えば、アプリケーション240が写真データの提供アプリケーションであり、接続先の無線通信装置20が写真データの表示、保存およびアップロードなどの処理機能を有する場合、処理方法一覧表示制御部256は、表示、保存およびアップロードを示す処理方法一覧を表示部232に表示させる。ユーザは、この処理方法一覧から接続先の無線通信装置20に行わせる処理を選択することができる。
【0064】
接続方法一覧表示制御部258は、接続方法選択部248により選択された接続方法の候補を示す接続方法一覧の表示を制御する。ユーザは、この接続方法一覧から周囲の無線通信装置20との接続方法を選択することができる。
【0065】
(フレーム構成)
ここで、図5および図6を参照し、アプリケーション240に関する情報を交換するためのサービスディスカバリクエリおよびサービスディスカバリレスポンスの構成を説明する。
【0066】
図5は、サービスディスカバリクエリの構成を示した説明図である。図5に示したように、サービスディスカバリクエリは、MACヘッダ(MAC header)、GASイニシャルリクエストアクションフレーム、およびFCSで構成される。
【0067】
GASイニシャルリクエストアクションフレームは、他の無線通信装置に無線通信を要求するために送信されるフレームとして定義されており、カテゴリフィールド701、アクションフィールド702、ダイアログトークンフィールド703、アドバタイズメントプロトコルインフォメーションエレメントフィールド704、クエリリクエストレングスフィールド705、ANQPクエリリクエストフィールド706を含む。
【0068】
カテゴリ(Category)フィールド701には、IEEE802.11で定義されたマネジメントフレーム(Management Frame)のカテゴリとして、パブリックアクションフレームを指定する情報が格納される。すなわち、カテゴリフィールド701は、サービスディスカバリクエリがパブリックアクションフレームであることを示す。
【0069】
アクション(Action)フィールド702には、パブリックアクションフレームのアクションタイプとして、GASイニシャルリクエストアクションフレームを指定する情報が格納される。すなわち、アクションフィールド702は、サービスディスカバリクエリがGASイニシャルリクエストアクションフレームであることを示す。
【0070】
ダイアログトークン(Dialog Token)フィールド703には、サービスディスカバリクエリを一意に特定するための情報が格納される。識別情報、宛先情報、及び応答要求情報は、例えばこのダイアログトークンフィールド703に格納される。
【0071】
アドバタイズメントプロトコルインフォメーションエレメント(Advertisement Protocol Information Element)フィールド704には、ANQP(Access Network Query Protocol)を示す情報が格納される。
【0072】
クエリリクエストレングス(Query Request Length)フィールド705には、ANQPクエリリクエストフィールドフィールド706の長さを示す情報が格納される。
【0073】
ANQPクエリリクエストフィールド(ANQP Query Request Field)706には、サービスディスカバリクエリが要求するサービスプロトコルタイプ(Service Protocol Type)を示す情報が格納される。詳細には、ANQPクエリリクエストフィールドフィールド706は、インフォメーションID(Info ID)フィールド、レングスフィールド、OIフィールド、及びANQPクエリリクエストベンダスペシフィックコンテンツ(ANQP Query Request Vendor Specific Content)フィールド707で構成される。
【0074】
アプリケーション240に対応する機能の有無を問い合わせる情報などは、このANQPクエリリクエストベンダスペシフィックコンテンツフィールド707に格納される。
【0075】
図6は、サービスディスカバリレスポンスの構成を示した説明図である。図6に示したように、サービスディスカバリレスポンスは、MACヘッダ(MAC header)、GASイニシャルレスポンスアクションフレーム、およびFCSで構成される。
【0076】
GASイニシャルレスポンスアクションフレームは、他の無線通信装置からの無線通信の要求に対して応答するために送信されるフレームとして定義されており、カテゴリフィールド801、アクションフィールド802、ダイアログトークンフィールド803、ステータスコードフィールド804、GASカムバックディレイフィールド805、アドバタイズメントプロトコルインフォメーションエレメントフィールド806、クエリレスポンスレングスフィールド807、ANQPクエリレスポンスフィールド808を含む。
【0077】
カテゴリフィールド801には、カテゴリフレーム701と同様の情報が格納される。アクションフィールド802には、パブリックアクションフレームのアクションタイプとして、GASイニシャルレスポンスアクションフレームを指定する情報が格納される。すなわち、アクションフィールド802は、サービスディスカバリレスポンスがGASイニシャルレスポンスアクションフレームであることを示す。
【0078】
ダイアログトークン(Dialog Token)フィールド803には、サービスディスカバリレスポンスを一意に特定するための情報が格納される。識別情報、宛先情報、及び応答情報は、例えばこのダイアログトークンフィールド803に格納される。
【0079】
ステータスコード(Status Code)フィールド804には、IEEE802.11uで定義されたステータスを示す情報が格納される。
【0080】
GASカムバックディレイ(GAS Comeback Delay)フィールド805には、サービスディスカバリレスポンスのディレイタイム(Delay Time)を示す情報が格納される。
【0081】
アドバタイズメントプロトコルインフォメーションエレメントフィールド806には、アドバタイズメントプロトコルインフォメーションエレメントフィールド704と同様の情報が格納される。
【0082】
クエリレスポンスレングス(Query Response Length)フィールド807には、ANQPクエリレスポンスフィールド808の長さを示す情報が格納される。
【0083】
ANQPクエリレスポンスフィールド(ANQP Query Response Field)808には、サービスディスカバリレスポンスが要求するサービスプロトコルタイプを示す情報が格納される。詳細には、ANQPクエリレスポンスフィールド808は、インフォメーションIDフィールド、レングスフィールド、OIフィールド、およびANQPクエリレスポンスベンダスペシフィックコンテンツ(ANQP Query Response Vendor Specific Content)フィールド809で構成される。
【0084】
サービスディスカバリクエリによる問い合わせ対象の機能をアプリケーション240が有するか否かを示す情報などは、このANQPクエリレスポンスベンダスペシフィックコンテンツフィールド809に格納される。
【0085】
<3.無線通信装置の動作>
以上、本発明の実施形態による無線通信装置20の構成を説明した。続いて、本発明の実施形態による無線通信装置20の動作を説明する。
【0086】
(3−1.第1の動作例)
図7は、本発明の実施形態による第1の動作例を示したシーケンス図である。図7に示したように、無線通信装置20Aの周囲に無線通信装置20Bおよび20Cが存在している環境において、無線通信装置20Aは、アプリケーションの選択操作や実行操作などのユーザ操作によりアプリケーション240が起動されると(S304)、Wi−Fi Directに規定されるデバイスディスカバリを開始する。
【0087】
具体的には、無線通信装置20Aの通信制御部236は、装置発見要求としてプローブリクエストのブロードキャストを制御する(S308)。その後、無線通信装置20Aは、プローブリクエストに対して無線通信装置20Bおよび20Cから装置発見要求として送信されるプローブレスポンスを受信することにより、無線通信装置20Bおよび20Cを発見する(S312、S316)。
【0088】
続いて、無線通信装置20Aは、発見された無線通信装置20Bおよび20Cの各々と、Wi−Fi Directに規定されるサービスディスカバリを実行する。具体的には、無線通信装置20Aの通信制御部236は、機能関連処理部244により特定されるアプリケーション240に対応する機能の有無を問い合わせる機能確認要求としてサービスディスカバリクエリを無線通信装置20Bに送信する(S320)。ここでは、アプリケーション240に対応する機能が「写真表示」であるものとする。この場合、無線通信装置20Bは、「写真表示」機能を有するので、「写真表示」が可能であることを示す機能確認応答としてサービスディスカバリレスポンスを無線通信装置20Aに送信する(S324)。
【0089】
同様に、無線通信装置20Aの通信制御部236は、「写真表示」機能の有無を問い合わせるサービスディスカバリクエリを無線通信装置20Cに送信する(S328)。これに対し、無線通信装置20Cは、「写真表示」機能を有さないので、「写真表示」が不可能であることを示すサービスディスカバリレスポンスを無線通信装置20Aに送信する(S332)。
【0090】
このように、S312およびS316の端末発見応答により無線通信装置20Bおよび20Cが特定され、S324およびS332で無線通信装置20Bおよび20Cから機能確認応答が受信されたことをトリガに(ユーザ操作無しに)、無線通信装置20Aの表示制御部250は、「写真表示」機能を有する無線通信装置20Bのアイコンからなる周辺装置一覧、および写真のサムネイルからなるコンテンツ一覧を含む表示画面を表示部232に表示させる(S336)。
【0091】
図8は、表示部232に表示される表示画面の具体例を示した説明図である。図8に示したように、表示部232に表示される表示画面は、複数の写真のサムネイル#1〜#9と、無線通信装置20BのアイコンD1を含む。なお、図8においてはコンテンツ一覧が各写真に対応するサムネイルからなる例を示しているが、コンテンツ一覧は、各写真のファイル名で構成されてもよい。同様に、図8においては周辺装置一覧が接続先の無線通信装置20Bのアイコンからなる例を示しているが、周辺装置一覧は、無線通信装置20Bの型番や名称などで構成されてもよい。
【0092】
このような表示画面において、ユーザは、写真の表示先、および表示先に表示させたい写真のサムネイルを選択する(S340)。例えば、ユーザは、写真#8を無線通信装置20Bに表示させたい場合、写真#8のサムネイル#8を無線通信装置20BのアイコンD1にドラッグ&ドロップすることにより、写真#8および無線通信装置20Bを選択してもよい。または、ユーザは、写真のサムネイルおよび表示先のアイコンに対するタップや、入力部224を構成するボタン群224aに対する操作などにより、写真および表示先を選択してもよい。
【0093】
ユーザにより写真および表示先(無線通信装置20B)が選択されると、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20BはWPSによる接続処理を開始する(S344)。ここで、無線通信装置20Bは、ユーザ操作の簡略化のためにWPSモードで動作していてもよい。または、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20Bは、ユーザにより写真および表示先が選択され(S340)、かつ、無線通信装置20Bの本体またはリモートコントローラに設けられたWPSボタンが押下げられた場合に接続処理を開始してもよい。
【0094】
なお、無線通信装置20Aの接続方法一覧表示制御部258は、S344の接続処理に際し、接続方法の候補を示す接続方法一覧を表示部232に表示してもよい。そして、無線通信装置20Aおよび無線通信装置20Bは、この接続方法一覧においてユーザにより選択された接続方法に従って接続処理を行ってもよい。
【0095】
その後、接続処理が完了すると、無線通信装置20Aは、S340において選択された写真データを無線通信装置20Bに転送する(S348)。ここで、無線通信装置20Aの通信制御部236は、写真データの送信と共に、「表示」という処理方法を無線通信装置20Bに通知する。なお、この第1の動作例においては、接続先での処理方法が「表示」に限定されているので、ユーザによる処理方法の選択は必要でない。
【0096】
無線通信装置20Bは、無線通信装置20Aから写真データおよび処理方法の通知を受信すると、アプリケーションを起動し(S352)、無線通信装置20Aから受信した写真データを、無線通信装置20Aからの通知に従って表示する(S356)。
【0097】
以上説明したように、第1の動作例によれば、無線通信装置20は、アプリケーション240の起動によりデバイスディスカバリやサービスディスカバリなどの探索処理を開始し、転送するコンテンツデータと接続先の候補を表示する。このため、ユーザは、無線接続のための複雑な設定作業を意識することなく表示画面の誘導に従って転送するコンテンツデータと接続先を選択することができる。
【0098】
ここで、無線通信装置20は、接続先の無線通信装置20におけるコンテンツデータの処理内容が決まっている場合、その処理内容を接続先の無線通信装置20に通知する。このため、転送するコンテンツデータと接続先の選択により、接続処理、コンテンツデータの送信、および接続先におけるコンテンツデータの処理を実現できる。
【0099】
このように、第1の動作例によれば、接続先におけるコンテンツデータの処理までに他の方式で必要であった接続設定などの多くの操作をユーザから隠蔽できるので、ユーザは、少なく、かつ直観的な操作により、接続先におけるコンテンツデータの処理という目的を達成できるようになる。
【0100】
(3−2.第2の動作例)
図9は、本発明の実施形態による第2の動作例を示したシーケンス図である。図9に示したように、無線通信装置20Dの周囲に無線通信装置20Eおよび20Fが存在している環境において、無線通信装置20Dは、アプリケーションの選択操作や実行操作などのユーザ操作によりアプリケーション240が起動されると(S404)、Wi−Fi Directに規定されるデバイスディスカバリを開始する。無線通信装置20Dは、このデバイスディスカバリにより、無線通信装置20Eおよび20Fを発見する(S412、S416)。
【0101】
続いて、無線通信装置20Dは、発見された無線通信装置20Eおよび20Fの各々と、Wi−Fi Directに規定されるサービスディスカバリを実行する。具体的には、無線通信装置20Dの通信制御部236は、写真に対して行うことが可能な処理を問い合わせるサービスディスカバリクエリを無線通信装置20Eに送信する(S420)。これに対し、無線通信装置20Eは、写真の表示機能を有するので、「表示」が可能であることを示すサービスディスカバリレスポンスを無線通信装置20Dに送信する(S424)。
【0102】
同様に、無線通信装置20Dの通信制御部236は、写真に対して行うことが可能な処理を問い合わせるサービスディスカバリクエリを無線通信装置20Fに送信する(S428)。これに対し、無線通信装置20Eは、写真の表示機能、保存機能、アップロード機能を有するので、「表示」、「保存」および「アップロード」が可能であることを示すサービスディスカバリレスポンスを無線通信装置20Dに送信する(S432)。
【0103】
このように、S412およびS416の端末発見応答により無線通信装置20Eおよび20Fが特定され、S424およびS432で無線通信装置20Eおよび20Fから機能確認応答が受信されたことをトリガに、無線通信装置20Dの表示制御部250は、写真に対して何かしらの処理を行うことが可能な無線通信装置20Eおよび20Fのアイコンからなる周辺装置一覧、および写真のサムネイルからなるコンテンツ一覧を含む表示画面を表示部232に表示させる(S436)。
【0104】
このような表示画面において、ユーザは転送する写真のサムネイルをタップにより選択し(S440)、接続先の無線通信装置20をタップにより選択する(S444)。ここで、ユーザが接続先として無線通信装置20Fを選択した場合を考える。この場合、無線通信装置20Dの処理方法一覧表示制御部256は、図10に示すように、無線通信装置20Fが写真に対して行うことが可能な処理を示す処理方法一覧を表示部232に表示させる(S448)。
【0105】
図10は、表示部232に表示される表示画面の具体例を示した説明図である。図10に示したように、表示部232に表示される表示画面は、複数の写真のサムネイル#1〜#9と、無線通信装置20EのアイコンD2、無線通信装置20FのアイコンD3、および処理方法一覧42を含む。処理方法一覧42は、「表示」、「保存」および「アップロード」の表示を含む。
【0106】
ユーザは、このような表示画面の処理方法一覧42から、無線通信装置20Fに行わせる処理方法をタップにより選択する(S452)。ユーザにより処理方法が選択されると、無線通信装置20Dおよび無線通信装置20Fは接続処理を開始する(S456)。
【0107】
その後、接続処理が完了すると、無線通信装置20Dは、S440において選択された写真データを無線通信装置20Fに転送する(S456)。ここで、無線通信装置20Dの通信制御部236は、写真データの送信と共に、S452において選択された処理方法として例えば「保存」を無線通信装置20Fに通知する。
【0108】
無線通信装置20Fは、無線通信装置20Dから写真データおよび処理方法の通知を受信すると、アプリケーションを起動し(S464)、無線通信装置20Dから受信した写真データを、無線通信装置20Dからの通知に従って保存する(S468)。
【0109】
以上説明したように、第2の動作例によれば、アプリケーション240の起動によりデバイスディスカバリやサービスディスカバリなどの探索処理が開始され、転送するコンテンツデータ、接続先、コンテンツデータの処理方法の3つの要素の選択により接続処理が開始される。したがって、ユーザは、無線接続のための複雑な設定作業を意識することなく、所望の複数の無線通信装置20を簡単に接続することが可能となる。
【0110】
(3−3.第3の動作例)
なお、第2の動作例では、転送するコンテンツデータ、接続先、コンテンツデータの処理方法の3つの要素の選択により接続処理が開始される例を説明したが、いずれかの要素は接続処理の開始後に選択されてもよい。以下、図11を参照し、コンテンツデータの処理方法が接続処理の開始後に選択される第3の動作例を説明する。
【0111】
図11は、本発明の実施形態による第3の動作例を示したシーケンス図である。第3の動作例によるS404〜S444の処理は、第2の動作例と共通の処理であるので、詳細な説明を省略する。
【0112】
無線通信装置20Dは、転送する写真、および接続先として無線通信装置20Fがユーザにより選択されると(S440、S444)、無線通信装置20Fと接続処理を開始する(S472)。
【0113】
続いて、無線通信装置20Dの処理方法一覧表示制御部256は、図10に示したように、無線通信装置20Fが写真に対して行うことが可能な処理を示す処理方法一覧を表示部232に表示させる(S476)。ユーザは、このような処理方法一覧42から、無線通信装置20Fに行わせる処理方法をタップにより選択する(S480)。
【0114】
その後、無線通信装置20Dは、接続処理が完了すると、S440において選択された写真データを無線通信装置20Fに転送する(S484)。ここで、無線通信装置20Dの通信制御部236は、写真データの送信と共に、S480において選択された処理方法として例えば「保存」を無線通信装置20Fに通知する。
【0115】
無線通信装置20Fは、無線通信装置20Dから写真データおよび処理方法の通知を受信すると、アプリケーションを起動し(S488)、無線通信装置20Dから受信した写真データを、無線通信装置20Dからの通知に従って保存する(S492)。
【0116】
以上説明したように、第3の動作例においては、接続処理の実行中にユーザがコンテンツデータの処理方法を選択する。このため、第3の動作例によれば、全体の処理時間の短縮を図ることが可能である。
【0117】
なお、上記ではアプリケーション240の起動により無線通信装置20が自動的にデバイスディスカバリを開始する例を説明したが、無線通信装置20は、ユーザにより確認操作が行われた後にデバイスディスカバリを開始してもよい。
【0118】
例えば、無線通信装置20の表示制御部250は、アプリケーション240が起動された場合に図12に示す確認画面を表示し、当該確認画面においてユーザにより確認操作が行われた後にデバイスディスカバリを開始してもよい。具体的には、図12に示した確認画面は、「はい」という表示からなるボタン52、「はい(以降、非表示)」という表示からなるボタン54、および「いいえ」という表示からなるボタン56を含む。
【0119】
無線通信装置20は、この確認画面において、ボタン52が選択された場合にデバイスディスカバリを開始し、ボタン56が選択された場合にはデバイスディスカバリを行わなくてもよい。また、無線通信装置20は、ボタン54が選択された場合、デバイスディスカバリを開始し、以降はこの確認画面を表示しなくてもよい。
【0120】
<4.むすび>
以上説明したように、本発明の実施形態による無線通信装置20は、アプリケーション240の起動によりデバイスディスカバリやサービスディスカバリなどの探索処理を開始し、転送するコンテンツデータと接続先の候補を表示する。そして、無線通信装置20は、ユーザにより接続先とコンテンツデータが選択されると、選択された接続先との接続処理を開始し、接続処理の完了後にコンテンツデータを送信する。ここで、ユーザは、無線接続のための複雑な設定作業を意識することなく表示画面の誘導に従って転送するコンテンツデータと接続先を選択することができる。すなわち、本発明の実施形態によれば、接続先へのコンテンツデータの送信までに他の方式で必要であった接続設定などの多くの操作をユーザから隠蔽できるので、ユーザは、少なく、かつ直観的な操作により、接続先へのコンテンツデータの送信という目的を達成できるようになる。
【0121】
さらに、無線通信装置20は、接続先におけるコンテンツデータの処理方法が決定している場合、この処理方法を接続先に通知することにより、接続先におけるコンテンツデータの処理までを自動的に実現することが可能となる。
【0122】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0123】
例えば、本明細書の無線通信装置20の処理における各ステップは、必ずしもシーケンス図として記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、電力交換システム、または無線通信装置20の処理における各ステップは、シーケンス図として記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0124】
また、無線通信装置20に内蔵されるCPU201、ROM202およびRAM203などのハードウェアを、上述した無線通信装置20の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0125】
20 無線通信装置
216 アンテナ
220 通信部
224 入力部
228 記憶部
232 表示部
236 通信制御部
240 アプリケーション
244 機能関連処理部
248 接続方法選択部
250 表示制御部
252 周辺装置一覧表示制御部
254 コンテンツ一覧表示制御部
256 処理方法一覧表示制御部
258 接続方法一覧表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションと、
周囲の無線通信装置を発見するための探索処理、および周囲の無線通信装置との接続処理を制御する通信制御部と、
前記探索処理により発見された前記周囲の無線通信装置の表示を含む表示画面を生成する表示制御部と、
を備え、
前記通信制御部は、前記アプリケーションの起動により前記探索処理の制御を開始し、前記表示画面において選択された無線通信装置との前記接続処理を制御する、無線通信装置。
【請求項2】
前記通信制御部は、前記探索処理において、前記アプリケーションに対応する機能の有無を前記周囲の無線通信装置に問い合わせる通信を制御し、
前記表示制御部により生成される前記表示画面は、前記周囲の無線通信装置のうちで、前記アプリケーションに対応する機能を有する無線通信装置の表示を含む、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記表示制御部により生成される前記表示画面は、前記周囲の無線通信装置の表示、および、1または2以上のコンテンツデータの各々に対応する表示を含み、
前記通信制御部は、前記表示画面において、いずれかの周囲の無線通信装置およびコンテンツデータが選択されると、選択された無線通信装置との接続処理を制御し、接続処理後、選択されたコンテンツデータの送信を制御する、請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記表示画面において選択された無線通信装置が前記アプリケーションに対応する複数の機能を有する場合に機能の一覧表示を生成し、
前記通信制御部は、前記一覧表示において選択された機能を前記表示画面において選択された無線通信装置へ通知するための制御を行う、請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記接続処理のために前記周囲の無線通信装置側に対する操作が必要であるか否かに応じ、前記表示画面における前記周囲の無線通信装置の表示を変化させる、請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
アプリケーションを起動するステップと、
周囲の無線通信装置を発見するための探索処理を行うステップと、
前記探索処理により発見された前記周囲の無線通信装置の表示を含む表示画面を生成するステップと、
前記表示画面において選択された無線通信装置と前記接続処理を行うステップと、
を含む、無線通信方法。
【請求項7】
コンピュータを、
アプリケーションと、
周囲の無線通信装置を発見するための探索処理、および周囲の無線通信装置との接続処理を制御する通信制御部と、
前記探索処理により発見された前記周囲の無線通信装置の表示を含む表示画面を生成する表示制御部と、
を備え、
前記通信制御部は、前記アプリケーションの起動により前記探索処理の制御を開始し、前記表示画面において選択された無線通信装置との前記接続処理を制御する、無線通信装置として機能させるための、プログラム。
【請求項8】
1または2以上の第1の無線通信装置と、
アプリケーション、
前記第1の無線通信装置を発見するための探索処理、および前記第1の無線通信装置との接続処理を制御する通信制御部、および
前記探索処理により発見された前記第1の無線通信装置の表示を含む表示画面を生成する表示制御部、
を有し、
前記通信制御部は、前記アプリケーションの起動により前記探索処理の制御を開始し、前記表示画面において選択された第1の無線通信装置との前記接続処理を制御する、第2の無線通信装置と、
を備える、無線通信システム。













【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−175614(P2012−175614A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38158(P2011−38158)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】