説明

無線通信装置、通信状態通知方法、無線通信システム、およびプログラム

【課題】無線通信装置、通信状態通知方法、無線通信システム、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】間欠的に所定の通信管理信号を送受信して自律分散的な無線ネットワークを形成する無線通信装置に、前記通信管理信号を受信する受信部と、前記受信部による前記通信管理信号の受信の履歴に基づき、前記無線ネットワークにおける前記無線通信装置の通信状態を評価する評価部252と、前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じた通知を行なう通知部と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、通信状態通知方法、無線通信システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近日、IETF MANET(Internet Engineering Task Force Mobile Ad−hoc Networks)やIEEE802.11sなどの団体において、メッシュネットワークの標準化が進められている。
【0003】
メッシュネットワークによれば、複数の無線通信装置が、インフラストラクチャーモードと異なりアクセスポイントに依存せず通信することができる。このため、メッシュネットワークにおいては、アクセスポイントとの位置関係を考慮せずに無線通信装置を配置可能である。ただし、各無線通信装置の配置位置によっては、他の無線通信装置からの電波が到達せず孤立してしまう無線通信装置が存在したり、トラッフィックが集中してしまう箇所が存在し、正常な無線通信が阻害される場合がある。
【0004】
上記事情により、メッシュネットワークにおいて各無線通信装置がより適切な位置に配置されるための一手段として、ユーザに各無線通信装置の通信状態を把握させることは重要である。当該事項に関連し、例えば特許文献1には、ユーザにネットワークの構成を表示する情報処理装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−189960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の情報処理装置は、有線で接続されているネットワークの構成を表示するものであった。これに対し、無線ネットワークであるメッシュネットワークを構成する各無線通信装置は無線で接続されるため、従来の情報処理装置では、ユーザに各無線通信装置の通信状態を通知することができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、無線ネットワークを構成する無線通信装置の通信状態を通知することが可能な、新規かつ改良された無線通信装置、通信状態通知方法、無線通信システム、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、間欠的に所定の通信管理信号を送受信して自律分散的な無線ネットワークを形成する無線通信装置であって、前記通信管理信号を受信する受信部と、前記受信部による前記通信管理信号の受信の履歴に基づき、前記無線ネットワークにおける前記無線通信装置の通信状態を評価する評価部と、前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じた通知を行なう通知部と、を備える無線通信装置が提供される。
【0009】
かかる構成においては、評価部が、受信部による通信管理信号の受信の履歴に基づいて無線ネットワークにおける当該無線通信装置の通信状態を評価し、通知部が当該無線通信装置の通信状態の評価結果に応じた通知を行なう。したがって、当該無線通信装置は、当該無線通信装置のユーザに当該無線通信装置の通信状態を容易に把握させることができる。すなわち、当該無線通信装置は、無線ネットワークにおける各無線通信装置の適切な位置へのユーザによる配置に資することができる。
【0010】
前記評価部は、周囲の無線通信装置の各々からの前記受信部による前記通信管理信号の受信成功率が高いほど、前記通信状態が良好であると評価してもよい。ここで、他の無線通信装置との通信リンクが良好であるほど通信管理信号の受信成功率が高いと考えられる。したがって、上記のように評価部が通信管理信号の受信成功率が高いほど、通信状態が良好であると評価することにより、通知部が妥当性のある通知をユーザにすることができる。
【0011】
前記評価部は、周囲の無線通信装置の各々から送信された前記通信管理信号が前記受信部により受信される間隔の変動が少ないほど、前記通信状態が良好であると評価してもよい。ここで、他の無線通信装置との通信リンクが安定しているほど通信管理信号が受信部により受信される間隔の変動が少ないと考えられる。したがって、評価部が、上記のように通信管理信号が受信部により受信される間隔の変動が少ないほど、通信状態が良好であると評価することにより、通知部が妥当性のある通知をユーザにすることができる。
【0012】
前記評価部は、周囲の無線通信装置の各々から送信された前記通信管理信号の前記受信部による受信の履歴に基づいて前記周囲の無線通信装置の各々との接続関係を判定し、前記接続関係が所定条件を満たすと判定した周囲の無線通信装置の数が多いほど前記通信状態が良好であると評価してもよい。
【0013】
前記評価部は、前記接続関係が所定条件を満たすと判定した周囲の無線通信装置の数が所定数を上回る場合、前記無線通信装置の通信状態が異常であると評価してもよい。ここで、過度に無線通信装置が一領域に集中すると、トラッフィックも集中してしまうことにより正常な無線通信が妨げられかねない。そこで、評価部に上記機能を実装することにより、周囲の無線通信装置の数が所定数を上回る場合に通信状態が異常である旨を通知部が通知可能となる。
【0014】
前記通知部は、前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じた表示画面を生成してもよい。かかる構成においては、ユーザが表示画面を介して無線通信装置の通信状態を把握することが可能となる。
【0015】
前記表示画面には、前記無線通信装置および周囲の無線通信装置を示す表示が含まれ、前記通知部は、前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じ、前記無線通信装置を示す表示の色を変更してもよい。かかる構成においては、ユーザが、無線通信装置の表示色に基づいて無線通信装置の通信状態を把握することが可能となる。
【0016】
前記通知部は、前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じ、前記表示画面の背景色を変更してもよい。かかる構成においては、ユーザが、表示画面の背景色に基づいて無線通信装置の通信状態を把握することが可能となる。
【0017】
前記通知部は、前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じた音声を出力してもよい。かかる構成においては、ユーザが、音声に基づいて無線通信装置の通信状態を把握することが可能となる。
【0018】
前記受信部による前記通信管理信号の受信の履歴が記録される被記録媒体をさらに備えてもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、間欠的に所定の通信管理信号を送受信して自律分散的な無線ネットワークを形成する無線通信装置において実行される通信状態通知方法であって、前記通信管理信号を受信するステップと、前記通信管理信号の受信の履歴に基づき、前記無線ネットワークにおける前記無線通信装置の通信状態を評価するステップと、前記通信状態の評価結果に応じた通知を行なうステップと;
を含む通信状態通知方法が提供される。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、間欠的に所定の通信管理信号を送受信して自律分散的な無線ネットワークを形成する無線通信装置を複数備える無線通信システムであって、前記無線通信装置の各々は、前記通信管理信号を受信する受信部と、前記受信部による前記通信管理信号の受信の履歴に基づき、前記無線ネットワークにおける前記無線通信装置の通信状態を評価する評価部と、前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じた通知を行なう通知部と、を備える無線通信システムが提供される。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、間欠的に所定の通信管理信号を送受信して自律分散的な無線ネットワークを形成する無線通信装置であって、前記通信管理信号の受信の履歴に基づき、前記無線ネットワークにおける前記無線通信装置の通信状態を評価する評価部と、前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じた通知を行なう通知部、を備える無線通信装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0022】
かかるプログラムは、例えばCPU、ROMまたはRAMなどを含むコンピュータのハードウェア資源に、上記のような評価部および通知部の機能を実行させることができる。すなわち、当該プログラムを用いるコンピュータを、上述の無線通信装置として機能させることが可能である。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明にかかる無線通信装置、通信状態通知方法、無線通信システム、およびプログラムによれば、無線ネットワークを構成する無線通信装置の通信状態を通知することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
また、以下の順序にしたがって当該「発明を実施するための最良の形態」を説明する。
〔1〕本実施形態にかかる無線通信システムの概要
〔2〕第1の実施形態にかかる無線通信装置
〔2−1〕第1の実施形態にかかる無線通信装置のハードウェア構成
〔2−2〕第1の実施形態にかかる無線通信装置の機能
〔2−3〕第1の実施形態にかかる無線通信装置の動作
〔3〕第2の実施形態にかかる無線通信装置
〔4〕まとめ
【0026】
〔1〕本実施形態にかかる無線通信システムの概要
まず、図1を参照し、本実施形態にかかる無線通信システム1について概略的に説明する。
【0027】
図1は、本実施形態にかかる無線通信システム1の構成を示した説明図である。図1に示したように、当該無線通信システム1は、複数の無線通信装置20A〜20Hを含む。また、図1においては、各無線通信装置20A〜20Hの電波到達範囲22A〜22Hを点線で示している。以下、各無線通信装置20A〜20Hを特に区別する必要が無い場合は、符号の後に大文字のアルファベットを付さず、単に無線通信装置20と総称する。電波到達範囲22A〜22Hについても同様である。
【0028】
図1に示した無線通信システム1においては、無線通信装置20Aの電波到達範囲22A内に無線通信装置20Bおよび20Cが配置されている。また、無線通信装置20Bの電波到達範囲22B内に無線通信装置20A、20F、20Gおよび20Hが配置されており、無線通信装置20Cの電波到達範囲22C内に無線通信装置20A、20D、20Eおよび20Fが配置されている。
【0029】
さらに、無線通信装置20Dの電波到達範囲22D内に無線通信装置20Cが配置され、無線通信装置20Eの電波到達範囲22E内に無線通信装置20Cが配置され、無線通信装置20Fの電波到達範囲22F内に無線通信装置20Bおよび20Cが配置されている。同様に、無線通信装置20Gの電波到達範囲22G内に無線通信装置20Bが配置され、無線通信装置20Hの電波到達範囲22H内に無線通信装置20Bが配置されている。
【0030】
各無線通信装置20A〜20Hは、所定周期で通信管理情報の一例としてのハローメッセージを送受信してメッシュネットワークを形成する。ハローメッセージの詳細については図5を参照して後述する。そして、メッシュネットワークを構成する各無線通信装置20A〜20Hは各種データを送受信することができる。各種データとしては、音楽、講演およびラジオ番組などの音楽データや、映画、テレビジョン番組、ビデオプログラム、写真、文書、絵画および図表などの映像データや、ゲームおよびソフトフェアなどの任意のデータが挙げられる。
【0031】
このように、図1に示した無線通信システム1においては、電波的に孤立した無線通信装置が存在せず、各無線通信装置20がメッシュネットワーク(アドホックネットワーク)を構成する上で適切な位置に配置されている。なお、図1は無線通信システム1を示しており、同時にメッシュネットワークを示しているため、無線通信システム1とメッシュネットワークはほぼ同義として用いることが可能であるとも考えられる。しかし、一般にネットワークという語はノード(無線通信装置)に加えてリンクを含む構造体を指すため、メッシュネットワークは無線通信装置20A〜20Hに加えてリンクを含む点で無線通信システム1と相違すると捉えることもできる。
【0032】
なお、無線通信装置20は、例えばPC(Personal Computer)、家庭用映像処理装置(DVDレコーダ、ビデオデッキなど)、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、PDA(Personal Digital Assistants)、家庭用ゲーム機器、携帯用ゲーム機器、家電機器などの情報処理装置であってもよい。
【0033】
一方、例えば図2に示すように無線通信装置20A〜20Hが配置されている場合もある。
【0034】
図2は、無線通信装置20A〜20Hの配置例を示した説明図である。図2に示した配置例においては、無線通信装置20Eの電波到達範囲22E内に他の無線通信装置20が存在しない。一方、無線通信装置20Bは、5つの無線通信装置20A、20D、20C、20Fおよび20Hの電波到達範囲に含まれており、この場合、無線通信装置20Bの周辺において干渉が発生する。
【0035】
したがって、無線通信装置20A〜20Hを、図1に示したような適切な位置に配置することが望まれる。そのためには、ユーザに無線通信装置20A〜20Hの通信状態を把握させることが一手段として有効である。
【0036】
上記事情に鑑みて本実施形態にかかる無線通信装置20を創作するに至った。本実施形態にかかる無線通信装置20は、メッシュネットワークにおける通信状態をユーザに通知することができる。以下、当該無線通信装置20について詳細に説明する。
【0037】
〔2〕第1の実施形態にかかる無線通信装置
〔2−1〕第1の実施形態にかかる無線通信装置のハードウェア構成
図3は、無線通信装置20のハードウェア構成を示したブロック図である。無線通信装置20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、ブリッジ205と、外部バス206と、インタフェース207と、入力装置208と、出力装置210と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、通信装置215とを備える。
【0038】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って無線通信装置20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。
【0039】
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205および外部バス206を分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0040】
入力装置208は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。無線通信装置20のユーザは、該入力装置208を操作することにより、無線通信装置20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0041】
出力装置210は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Display)装置およびランプなどの表示装置と、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置で構成される。出力装置210は、例えば、再生されたコンテンツを出力する。具体的には、表示装置は再生、または生成された映像データ等の各種情報をテキストまたはイメージで表示する。一方、音声出力装置は再生、または生成された音声データ等を音声に変換して出力する。
【0042】
ストレージ装置211は、本実施形態にかかる無線通信装置20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置211は、ハードディスクを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。また、このストレージ装置211には、後述の、近隣装置リストなどが記録される。
【0043】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、無線通信装置20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。
【0044】
通信装置215は、例えば、通信網12に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。この通信装置215は、他の無線通信装置20’との間で、各種データを送受信する。
【0045】
〔2−2〕第1の実施形態にかかる無線通信装置の機能
以上、図3を参照して無線通信装置20のハードウェア構成について説明した。続いて、図4〜図13を参照して無線通信装置20の機能を説明する。
【0046】
図4は、第1の実施形態にかかる無線通信装置20の構成を示した機能ブロック図である。図4に示したように、当該無線通信装置20は、通信部216と、送信信号生成部220と、GPS224と、通信制御部228と、電波強度測定部232と、受信率算出部236と、リンク状態判断部240と、通信可否判断部244と、記憶部248と、評価部252と、表示画面生成部256と、表示部260と、を備える。
【0047】
通信部216は、周囲の無線通信装置20’とのインターフェースであって、周囲の無線通信装置20’と各種信号、データを送受信する受信部および送信部としての機能を有する。例えば、通信部216は、周囲の無線通信装置20’から受信した無線信号をダウンコンバージョンしたり、送信信号生成部220により生成された送信信号を無線信号として送信したりする。なお、当該通信部216が送受信する無線信号には、ハローメッセージも含まれる。
【0048】
送信信号生成部220は、通信部216を介して送信するための各種信号を生成する。例えば、送信信号生成部220は、図5に示すハローメッセージを生成する。
【0049】
図5は、ハローメッセージの構成例を示した説明図である。図5に示したように、ハローメッセージは、送信元アドレス32、宛先アドレス34、通信状態一覧36、位置情報一覧38、および通信予約情報40を含む。
【0050】
送信元アドレス32は、当該ハローメッセージを送信する無線通信装置20のアドレスである。宛先アドレス34は、当該ハローメッセージの受信先の装置の無線通信装置20’のアドレスである。無線通信装置20がハローメッセージを送信することの目的の一つは、自装置の存在を周囲に報知することであるため、宛先アドレス34には例えばブロードキャストアドレスが記載される。
【0051】
通信状態一覧36は、無線通信装置20の通信状態、および他の無線通信装置20’の通信状態を示す情報である。他の無線通信装置20’の通信状態は、他の無線通信装置20’から受信されたハローメッセージに含まれる通信状態一覧36から抽出可能である。当該通信状態一覧36は、ビットマップ形式で表現されてもよい。
【0052】
位置情報一覧38は、無線通信装置20の位置情報、および他の無線通信装置20’の位置情報を示す情報である。無線通信装置20の位置情報は、GPS(Global Positioning System)224が衛星から取得可能である。他の無線通信装置20’の位置情報は、他の無線通信装置20’から受信されたハローメッセージに含まれる位置情報一覧38から抽出可能である。位置情報は、例えば緯度情報、経度情報を含んでもよい。
【0053】
通信予約情報40は、メッシュネットワークが時分割制御に基づいて動作する場合、無線通信装置20が通信を行う時間帯(スロット)を予約するための情報である。したがって、通信予約情報40には、通信相手装置のアドレスと、通信を予約する時間帯の組が含まれてもよい。
【0054】
ここで、図4を参照して無線通信装置20の構成の説明に戻ると、通信制御部228は、
通信部216に送信処理を指示したり、受信処理を指示したりする。例えば、所定周期(スーパーフレーム周期)でハローメッセージの送受信期間(ビーコン期間)が到来する場合、通信制御部228は、自装置のハローメッセージの送信時間帯に通信部216に送信信号生成部220により生成されたハローメッセージを送信させる。また、通信制御部228は、ハローメッセージの送受信期間であって、自装置のハローメッセージの送信時間帯以外の時間帯においては、通信部216に周囲から送信されたハローメッセージの受信処理を行わせる。
【0055】
電波強度測定部232は、通信部216により受信されたハローメッセージの電波強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を測定する。そして、電波強度測定部232は、測定した電波強度、または電波強度の平均値を、ハローメッセージの送信元装置ごとに記憶部248に記録する。
【0056】
受信率算出部236は、周期的に周囲の無線通信装置20’から送信されるハローメッセージの通信部216による受信成功率を、ハローメッセージの送信元装置ごとに算出する。例えば、ハローメッセージが送信される周期は既知であるため、受信率算出部236は、所定期間中に受信されたハローメッセージの数に基づいてハローメッセージの通信部216による受信成功率を算出することができる。受信率算出部236により算出された受信成功率は、ハローメッセージの送信元装置ごとに記憶部248に記録される。なお、受信が成功したか否かの判断は、ハローメッセージに含まれるFCS(Frame Check Sequence)によりハローメッセージ内に誤りが検出されたか否かに基づいて行なわれてもよい。
【0057】
リンク状態判断部240は、電波強度測定部232により測定された電波強度や、受信率算出部236により算出された受信率に基づいて、ハローメッセージの送信元装置ごとに無線通信装置20とのリンク(通信路)状態を判断する。例えば、リンク状態判断部240は、リンク状態が、Good、Poor、Badの3段階のいずれかであると判断する。
【0058】
具体的には、リンク状態判断部240は、受信電波強度が第1の強度(例えば、60db/m)以上、かつ、ハローメッセージの受信率が第1の受信率(例えば、90%)以上である場合に、該当する無線通信装置20’とのリンク状態がGoodであると判断してもよい。また、リンク状態判断部240は、受信電波強度が第1の強度以上であること、または、ハローメッセージの受信率が第1の受信率以上であること、のいずれかの条件を満たす場合に該当する無線通信装置20’とのリンク状態がPoorであると判断してもよい。さらに、リンク状態判断部240は、受信電波強度が第1の強度以下であって、かつ、ハローメッセージの受信率が第1の受信率以下である場合、該当する無線通信装置20’とのリンク状態がBadであると判断してもよい。
【0059】
または、リンク状態判断部240は、受信電波強度の大きさに応じた強度評価値と、ハローメッセージの受信率に応じた受信率評価値の総和に基づいて該当する無線通信装置20’とのリンク状態を判断してもよい。例えば、リンク状態判断部240は、強度評価値と受信率評価値の総和が、第1の閾値以上である場合にリンク状態がGoodであると判断し、第2の閾値以下である場合にリンク状態がBadであると判断し、第2の閾値と第1の閾値の間である場合にリンク状態がPoorであると判断してもよい。
【0060】
通信可否判断部244は、リンク状態判断部240により判断された各無線通信装置20’とのリンク状態に基づいて、各無線通信装置20’との通信可否を判断する。例えば、
通信可否判断部244は、所定条件としてリンク状態がGoodまたはPoorである無線通信装置20’とは通信可能であると判断し、リンク状態がBadである無線通信装置20’とは通信困難と判断してもよい。
【0061】
記憶部248は、電波強度測定部232により測定された受信電波強度、受信率算出部236により算出された受信率、リンク状態判断部240により判断されたリンク状態、通信可否判断部244により判断された通信可能性を、ハローメッセージの送信元装置ごとに近隣装置リストとして記憶している。なお、電波強度測定部232により測定された受信電波強度、受信率算出部236により算出された受信率、リンク状態判断部240により判断されたリンク状態、通信可否判断部244により判断された通信可能性などは、通信部216によるハローメッセージの受信の履歴として用いられる。
【0062】
図6は、近隣装置リストの具体例を示した説明図である。図6に示したように、近隣装置リストには、アドレスと、受信電波強度と、ハローメッセージの受信率と、リンク状態と、通信可能性と、位置情報が含まれる。具体的には、アドレスが「20B」である無線通信装置20B(本明細書においては、説明の都合上、無線通信装置の符号とアドレスが一致するものとする。)には、受信電波強度「40」、ハローメッセージの受信率「90」、リンク状態「Poor」、通信可能性「OK」、位置情報「cc、dd」が対応付けられている。
【0063】
また、記憶部248には、通信可能性が「OK」である装置数と、通信部216が受信できたハローメッセージの送信元の装置数とを図7に示すように記憶している。
【0064】
図7は、記憶部248が記憶している通信可能装置数および接続装置数の具体例を示した説明図である。図6に示したように、通信可能性が「OK」である装置が20Bおよび20Dの2つである場合、記憶部248は通信可能装置数が2つであると記録される。また、図6に示したように、通信部216が受信できたハローメッセージの送信元の装置が20B、20Cおよび20Dの3つである場合、接続装置数が3つであると記録される。
【0065】
なお、このような記憶部248は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリや、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどの磁気ディスクや、CD−R(Compact Disc Recordable)/RW(ReWritable)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)/RW/+R/+RW/RAM(Ramdam Access Memory)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))―R/BD−REなどの光ディスクや、MO(Magneto Optical)ディスクなどの被記録媒体であってもよい。
【0066】
評価部252は、記憶部248に記憶されている近隣装置リストに基づいて、無線通信装置20のメッシュネットワークにおける通信状態を評価する。そして、表示画面生成部256が評価部252による通信状態の評価結果に応じた表示画面を生成し、表示画面生成部256により生成された表示画面を表示部260が表示する。すなわち、表示画面生成部256および表示部260は、評価部252による通信状態の評価結果に応じた通知を行なう通知部としての機能を有する。なお、上記では表示画面生成部256が表示画面を生成すると説明したが、当該事項は、表示画面を表示部260が表示するために用いる映像信号を表示画面生成部256が生成するということと等価である。
【0067】
一例として、無線通信装置20には、図8に示すような通信状態評価テーブルが保持されており、評価部252は該通信状態評価テーブルに基づいて無線通信装置20の通信状態を評価する。
【0068】
図8は、通信状態評価テーブルの具体例を示した説明図である。図8に示したように、通信状態評価テーブルにおいては、通信可能装置数、Goodリンク数、Poorリンク数の組合せに、表示色および表示メッセージが対応付けられている。評価部252は、通信可能装置数、リンク状態がGoodであるリンク数、およびリンク状態がPoorであるリンク数が、通信状態評価テーブルのいずれの行に該当するかを評価する。そして、表示画面生成部256は、評価部252により該当すると評価された行に対応付けられている内容の表示画面を生成する。
【0069】
当該通信状態評価テーブルによれば、基本的には、他の条件が同一であればGoodリンク数が多いほど通信状態が良好であると評価される。ここで、Goodリンク数はハローメッセージの受信率に依存するため、評価部252はハローメッセージの受信率が高いほど無線通信装置20の通信状態が良好であると評価することとなる。
【0070】
ただし、通信可能装置数、またはGoodリンク数が所定数を上回る場合、通信状態評価テーブルの最下段に示したように無線通信装置20の数がキャパシティを超えている可能性があると評価される。なお、数に基づいてキャパシティを超えている(通信状態が異常である)と評価された場合の表示態様としては、後述するように、例えば、表示画面の背景色を変える、各無線通信装置20のアイコンなどの表示色を変える、その旨のメッセージを表示するなどがあげられる。このような通信状態評価テーブルを用いた通信状態の評価および通知方法の具体例を、図9〜図13を参照して説明する。
【0071】
図9は、表示部260により表示される表示画面の一例を示した説明図である。より具体的には、無線通信装置20Aの通信可能装置数が無線通信装置20Bおよび20Cの2つであり、無線通信装置20Aおよび20B間のリンクがGoodであり、無線通信装置20Aおよび20Cの間のリンクがPoorである場合の表示画面を示している。なお、図9には無線通信装置20Aに設けられている表示部260に表示される表示画面を想定して示しているが、当該表示画面は、他の無線通信装置20B〜20Hの表示部260に表示されても、さらにメッシュネットワーク外の表示装置に表示されてもよい。また、表示画面における各無線通信装置20A〜20Hの表示位置は、例えばハローメッセージに含まれる位置情報一覧38に基づいて決定されてもよい。
【0072】
図9に示した状態においては、無線通信装置20Aの通信状態は通信状態評価テーブルの3行目に該当すると評価される。また、Goodリンク数が1つしかない場合、Goodリンクの相手先装置への依存度が高い。したがって、表示画面生成部256は、図10に示すような表示画面を生成する。
【0073】
図10は、表示部260により表示される表示画面の他の例を示した説明図である。図10に示したように、表示画面生成部256は、無線通信装置20Aの表示色を黄色にし、「無線通信装置20Aは通信が不安定になる可能性があります。」というメッセージを表示画面に重畳する。
【0074】
かかる構成により、無線通信装置20Aのユーザは、無線通信装置20Aの通信状態が不安定であることを把握し、無線通信装置20Aの配置位置を改善することができる。なお、図9および図10においては、GoodリンクとPoorリンクとを実線、点線で区別しているが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば、GoodリンクとPoorリンクとを、線の形状、線の太さ、線の色、線の透明度、記号などで区別してもよい。
【0075】
図11は、表示部260により表示される表示画面の他の例を示した説明図である。図11に示した例では、無線通信装置20Eの通信可能装置数が0であるため、評価部252は無線通信装置20Eの通信状態が通信状態評価テーブルの1行目に該当すると評価される。その結果、表示画面生成部256は、表示画面の背景を赤色にし、「無線通信装置20Eには通信可能な無線通信装置が存在しません。」というメッセージを表示画面に重畳している。
【0076】
なお、図11に示した表示画面は、無線通信装置20Eの表示部260に表示されてもよいし、メッシュネットワーク外の表示装置に表示されてもよい。無線通信装置20Eの表示部260が図11に示した表示画面を表示する場合、表示画面生成部256は、他の無線通信装置20A〜20D、20F〜20Hと通信していたときに取得した他の無線通信装置20A〜20D、20F〜20Hの位置情報に基づいて他の無線通信装置20A〜20D、20F〜20Hの表示位置を決定してもよい。また、メッシュネットワーク外の表示装置が図11に示した表示画面を表示する場合、メッシュネットワーク外の表示装置は無線通信装置20A〜20Hから任意の通信経路で無線通信装置20A〜20Hの位置情報を取得して無線通信装置20A〜20Hの表示位置を決定してもよい。
【0077】
図12は、表示部260により表示される表示画面の他の例を示した説明図である。図12に示したように、任意の無線通信装置20の表示画面生成部256は、各無線通信装置20の通信状態に応じて表示画面における各無線通信装置20の表示色を変更してもよい。図12に示した例では、無線通信装置20A、20B、20C、および20Fが赤色で表示され、無線通信装置20Dが黄色で表示され、無線通信装置20Gが緑色で表示され、無線通信装置20Hが橙色で表示されている。
【0078】
図13は、表示部260により表示される表示画面の他の例を示した説明図である。図13に示したように、例えば無線通信装置20Aの表示画面生成部256は、他の無線通信装置20B〜20Fとの関係を示す表と、「通信は極めて安定しています」というメッセージを表示画面に重畳してもよい。また、図13に示した例では、無線通信装置20Aの通信状態は通信状態評価テーブルの最下行に該当するため、表示画面生成部256は他の無線通信装置20B〜20Fとの関係を示す表の色を青色にしてもよい。
【0079】
図13に示したような他の無線通信装置20B〜20Fとの関係を示す表を各無線通信装置20の位置関係に代えて表示画面に重畳することは、他の無線通信装置20B〜20Fの位置情報を無線通信装置20Aが取得できない場合に有効である。
【0080】
〔2−3〕第1の実施形態にかかる無線通信装置の動作
以上、第1の実施形態にかかる無線通信装置20の機能について説明した。続いて、図14を参照して第1の実施形態にかかる無線通信装置20の動作を説明する。
【0081】
図14は、第1の実施形態にかかる無線通信装置20において実行される通信状態通知方法の流れを示したフローチャートである。図14に示したように、まず、無線通信装置20の通信部216によりハローメッセージが受信されると(S304)、必要に応じ、電波強度測定部232、受信率算出部236、リンク状態判断部240、および通信可否判断部244が近隣装置リストを更新する(S308)。なお、当該近隣装置リストの更新は定期的に行なわれてもよい。
【0082】
その後、近隣装置リストが更新された場合、評価部252は、通信状態評価テーブルにおいて通信可能装置数が一致する行を検索する(S316)。その後、評価部252は、通信可能装置数が一致すると検索された行のうちから、通信状態評価テーブルにおいてGoodリンク数が一致する行を検索する(S320)。さらに、評価部252は、Goodリンク数が一致すると検索された行のうちで、Poorリンク数が一致する行を検索する(S324)。
【0083】
そして、表示画面生成部256は、S324において検索された行に対応付けられている内容の表示画面を生成し、表示部260が表示画面生成部256により生成された表示画面を表示する(S328)。
【0084】
以上説明したように、第1の実施形態にかかる無線通信装置20は、表示色や表示メッセージという形で無線通信装置20の通信状態(近隣装置状態)を抽象化して表示することで、ユーザによる無線通信装置20の通信状態の把握の負担を軽減することができる。
【0085】
〔3〕第2の実施形態にかかる無線通信装置
次に、第2の実施形態にかかる無線通信装置21について図15および図16を参照して説明する。第2の実施形態にかかる無線通信装置21は、無線通信装置21の通信状態を、表示画面に加えて音声によりユーザに通知することができる点で第1の実施形態と異なる。
【0086】
図15は、本実施形態にかかる無線通信装置21の構成を示した機能ブロック図である。図15に示したように、無線通信装置21は、通信部216と、送信信号生成部220と、GPS224と、通信制御部228と、電波強度測定部232と、受信率算出部236と、リンク状態判断部240と、通信可否判断部244と、記憶部248と、評価部252と、表示画面生成部256と、表示部260と、出力音声生成部264と、音声出力部268を備える。
【0087】
通信部216、送信信号生成部220、GPS224、通信制御部228、電波強度測定部232、受信率算出部236、リンク状態判断部240、通信可否判断部244、記憶部248、表示画面生成部250、および表示部260の構成は実質的に第1の実施形態にかかる無線通信装置20と同一であるため、説明を省略する。
【0088】
評価部252は、記憶部248に記憶されている近隣装置リストに基づいて、無線通信装置20のメッシュネットワークにおける通信状態を評価する。そして、表示画面生成部256が評価部252による通信状態の評価結果に応じた表示画面を生成し、表示画面生成部256により生成された表示画面を表示部260が表示する。
【0089】
さらに、出力音声生成部264が評価部252による通信状態の評価結果に応じた出力音声を生成し、出力音声生成部264により生成された出力音声を音声出力部268が出力する。すなわち、表示画面生成部256、表示部260、出力音声生成部264、および音声出力部268は、評価部252による通信状態の評価結果に応じた通知を行なう通知部としての機能を有する。
【0090】
なお、出力音声を生成するとは、事前に保持されている出力音声のアナログ形式またはデジタル形式のデータを読出し、デジタル形式のデータの場合にはアナログ形式に変換することであってもよい。
【0091】
具体的には、第2の実施形態にかかる無線通信装置21は、図16に示す通信状態判断テーブルに基づいてユーザに無線通信装置21の通信状態を通知する。
【0092】
図16は、第2の実施形態における通信状態判断テーブルの具体例を示した説明図である。図16に示したように、第2の実施形態における通信状態判断テーブルにおいては、通信可能装置数、RSSI>50(db/m)である装置数に、表示色、表示メッセージ、および音に関する情報が対応付けられている。
【0093】
例えば、評価部252により無線通信装置21の通信状態が第2の実施形態における通信状態判断テーブルの3行目に該当すると評価されると、出力音声生成部264が「ピピッ」という音パターン2の音を生成し、音声出力部268が出力音声生成部264により生成された音を出力する。
【0094】
かかる構成によれば、音によりユーザに無線通信装置21の通信状態を通知することができるため、必ずしも表示部260を無線通信装置21に設ける必要が無くなり、無線通信装置21の構成の簡素化を図ることができる。また、ユーザは、各無線通信装置21の表示部260を同時に確認することは困難であるが、各無線通信装置21の音声出力部268が出力する音声を同時に確認し得る点で有効である。
【0095】
〔4〕まとめ
以上説明したように、本実施形態によれば、評価部252が、記憶部248に記憶されている近隣装置リストに基づいてメッシュネットワークにおける当該無線通信装置20の通信状態を評価し、表示部260が当該無線通信装置20の通信状態の評価結果に応じた表示画面を表示する。したがって、当該無線通信装置20は、当該無線通信装置20のユーザに当該無線通信装置20の通信状態を把握させることができる。すなわち、当該無線通信装置20は、メッシュネットワークにおける各無線通信装置20の適切な位置へのユーザによる配置に資することができる。
【0096】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0097】
例えば、上記第1の実施形態では、各無線通信装置20の通信状態を各無線通信装置20の表示色を変更することにより通知する場合を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、表示画面上の任意の位置に人物や動物などを模ったキャラクターを表示させ、各無線通信装置20の通信状態に応じて該キャラクターの表情や動作を変更してもよい。また、各無線通信装置20の通信状態に応じ、表示画面における各無線通信装置20の表示の大きさを変更してもよい。
【0098】
また、上記実施形態においては、ハローメッセージの受信電波強度や、受信成功率をハローメッセージの受信履歴として用いて通信状態が評価される場合を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、評価部252は、ハローメッセージの受信間隔を利用して無線通信装置20の通信状態を評価してもよい。ハローメッセージは周期的に送信されるが、リンク状態が悪いと、ハローメッセージの受信間隔が変動する。そこで、評価部252は、ハローメッセージの受信間隔の変動が小さいほど、無線通信装置20の通信状態が良好であると評価してもよい。
【0099】
また、本明細書の無線通信装置20、21の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、無線通信装置20、21の処理における各ステップは、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)を含んでもよい。
【0100】
また、無線通信装置20、21に内蔵されるCPU201、ROM202およびRAM203などのハードウェアを、上述した無線通信装置20、21の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。また、図4の機能ブロック図で示したそれぞれの機能ブロックをハードウェアで構成することで、一連の処理をハードウェアで実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本実施形態にかかる無線通信システムの構成を示した説明図である。
【図2】無線通信装置の配置例を示した説明図である。
【図3】無線通信装置のハードウェア構成を示したブロック図である。
【図4】第1の実施形態にかかる無線通信装置の構成を示した機能ブロック図である。
【図5】ハローメッセージの構成例を示した説明図である。
【図6】近隣装置リストの具体例を示した説明図である。
【図7】記憶部が記憶している通信可能装置数および接続装置数の具体例を示した説明図である。
【図8】通信状態評価テーブルの具体例を示した説明図である。
【図9】表示部により表示される表示画面の一例を示した説明図である。
【図10】表示部により表示される表示画面の他の例を示した説明図である。
【図11】表示部により表示される表示画面の他の例を示した説明図である。
【図12】表示部により表示される表示画面の他の例を示した説明図である。
【図13】表示部により表示される表示画面の他の例を示した説明図である。
【図14】第1の実施形態にかかる無線通信装置の動作の流れを示したフローチャートである。
【図15】第2の実施形態にかかる無線通信装置の構成を示した機能ブロック図である。
【図16】第2の実施形態における通信状態判断テーブルの具体例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0102】
20、21 無線通信装置
216 通信部
232 電波強度測定部
236 受信率算出部
240 リンク状態判断部
244 通信可否判断部
248 記憶部
252 評価部
260 表示部
268 音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠的に所定の通信管理信号を送受信して自律分散的な無線ネットワークを形成する無線通信装置であって:
前記通信管理信号を受信する受信部と;
前記受信部による前記通信管理信号の受信の履歴に基づき、前記無線ネットワークにおける前記無線通信装置の通信状態を評価する評価部と;
前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じた通知を行なう通知部と;
を備えることを特徴とする、無線通信装置。
【請求項2】
前記評価部は、周囲の無線通信装置の各々からの前記受信部による前記通信管理信号の受信成功率が高いほど、前記通信状態が良好であると評価することを特徴とする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記評価部は、周囲の無線通信装置の各々から送信された前記通信管理信号が前記受信部により受信される間隔の変動が少ないほど、前記通信状態が良好であると評価することを特徴とする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記評価部は、周囲の無線通信装置の各々から送信された前記通信管理信号の前記受信部による受信の履歴に基づいて前記周囲の無線通信装置の各々との接続関係を判定し、
前記接続関係が所定条件を満たすと判定した周囲の無線通信装置の数が多いほど前記通信状態が良好であると評価することを特徴とする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記評価部は、前記接続関係が所定条件を満たすと判定した周囲の無線通信装置の数が所定数を上回る場合、前記無線通信装置の通信状態が異常であると評価することを特徴とする、請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記通知部は、前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じた表示画面を生成することを特徴とする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記表示画面には、前記無線通信装置および周囲の無線通信装置を示す表示が含まれ、
前記通知部は、前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じ、前記無線通信装置を示す表示の色を変更することを特徴とする、請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記通知部は、前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じ、前記表示画面の背景色を変更することを特徴とする、請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記通知部は、前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じた音声を出力することを特徴とする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記受信部による前記通信管理信号の受信の履歴が記録される被記録媒体をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項11】
間欠的に所定の通信管理信号を送受信して自律分散的な無線ネットワークを形成する無線通信装置において実行される通信状態通知方法であって:
前記通信管理信号を受信するステップと;
前記通信管理信号の受信の履歴に基づき、前記無線ネットワークにおける前記無線通信装置の通信状態を評価するステップと;
前記通信状態の評価結果に応じた通知を行なうステップと;
を含むことを特徴とする、通信状態通知方法。
【請求項12】
間欠的に所定の通信管理信号を送受信して自律分散的な無線ネットワークを形成する無線通信装置を複数備える無線通信システムであって:
前記無線通信装置の各々は、
前記通信管理信号を受信する受信部と;
前記受信部による前記通信管理信号の受信の履歴に基づき、前記無線ネットワークにおける前記無線通信装置の通信状態を評価する評価部と;
前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じた通知を行なう通知部と;
を備えることを特徴とする、無線通信システム。
【請求項13】
コンピュータを、
間欠的に所定の通信管理信号を送受信して自律分散的な無線ネットワークを形成する無線通信装置であって、
前記通信管理信号の受信の履歴に基づき、前記無線ネットワークにおける前記無線通信装置の通信状態を評価する評価部と、
前記評価部による前記通信状態の評価結果に応じた通知を行なう通知部、
を備える無線通信装置として機能させるための、プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−147646(P2009−147646A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322458(P2007−322458)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】