説明

無線通信装置および無線通信システム

【課題】消費電力を効果的に抑制し、また、管理情報の漏洩防止を向上させる。
【解決手段】保守作業員40は、マンホール20の管理情報を取得する場合、ハンマー50でマンホール上蓋22を特定の起動用リズムパターンで叩く。無線タグ1は、このハンマー50で叩かれた振動のリズムパターンを検出し、検出された振動のリズムパターンが、所定の起動用リズムパターンと同一であるかを判定し、起動用リズムパターンと合致した場合には、無線タグ識別子や、浸水検知等の測定センサで測定した測定結果といった管理情報を送信する。受信装置30では、無線タグ1から送信された管理情報を受信して記憶したり、表示したりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールや電柱の通信ケーブル等の通信設備の管理を目的として、通信設備に設置して管理情報を無線で伝送する無線通信装置および無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
マンホール内に敷設された通信設備を、マンホールの外から遠隔で管理する技術が知られている。このような管理は、保守作業員がマンホールの中に入る必要がないため、マンホールの水抜き、送風などの作業が不要となり、作業時間の短縮、保守作業の危険性低減が可能となる。このような管理において、無線タグを利用する場合、マンホール内までの伝送距離が長く、電池を搭載しないパッシブ型無線タグを適用することが難しいため、電池を搭載するアクティブ型無線タグを利用することになる。
【0003】
アクティブ型無線タグは、間欠的に無線タグの無線タグ識別子、通信ケーブルの接続先情報、マンホール開閉状況、浸水状況等の管理情報を送信するが、保守作業員が保守作業を実施する時以外も管理情報を送信し続けることになり、電力の消費が大きく、電池の交換頻度が高くなってしまう。
【0004】
ところで、振動により起動する振動起動無線装置を構造物に設け、外部より振動発生部により構造物に振動を与え、該振動により起動した振動起動無線装置が発信する信号により、構造物の欠陥を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
そこで、上記構造物の欠陥を検出する技術をマンホール内の通信設備を管理する技術に応用し、保守作業時のみ管理情報を送信させるために、無線タグに振動センサなどの送信制御用センサをマンホール内に設け、保守作業時にマンホール蓋をハンマーで叩くなどして振動を発生させ、送信制御用センサが振動を検知したときのみ、無線タグが管理情報を送信することにより、電力消費を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−162391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来技術では、送信制御用センサが振動を検知したときのみ、アクティブ型無線タグから管理情報を送信することで、電力消費の抑制を可能にすることができる。しかしながら、マンホールは、通常、人や、車両などが通行する道路に設けられているため、マンホール蓋を叩くといった単純な振動を送信制御用センサに送るだけで、アクティブ型無線タグを起動して管理情報を送信するという機構では、誤振動によりアクティブ型無線タグが起動してしまったり、保守作業者以外の者に設備管理情報を容易に取得されたりしてしまう危険がある。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、アクティブ型無線タグの消費電力を効果的に抑制することができ、また、暗号化方式と比較して小さい処理負荷で、管理情報の漏洩を防止することができる無線通信装置および無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、所定のタイミングで自ら情報を送信する電源搭載型の無線通信装置であって、情報を収集する情報収集手段と、出力制御信号に応じて各種情報を送信する無線手段と、振動を検出する振動検出手段と、前記振動検出手段により検出された振動のリズムパターンが、所定のリズムパターンと一致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記振動のリズムパターンと所定のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力して前記情報収集手段により収集された情報を送信させる制御手段とを備えることを特徴とする無線通信装置である。
【0010】
本発明は、上記の発明において、前記判定手段は、前記振動検出手段により検出された振動のリズムパターンが、第1のリズムパターン、または該第1のリズムパターンと異なる第2のリズムパターンに一致するか否かを区別して判定し、前記制御手段は、前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第1のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力して前記第2のリズムパターンを示す情報を送信させ、前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第2のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力して前記情報収集手段により収集された情報を送信させる、ことを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記の発明において、前記制御手段は、前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第1のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力し、前記第2のリズムパターンを示す情報に代えて、前記第2のリズムパターンを特定する第2のリズムパターン識別子を送信させる、ことを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記の発明において、前記制御手段は、前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第1のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力し、前記第2のリズムパターンを示す情報に代えて、自装置を特定する装置識別子を送信させる、ことを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記の発明において、前記振動検出手段は、異なる材質の物体が衝突するときに生じる、異なる周波数成分を有する複数の振動を検出し、前記判定手段は、前記振動検出手段によって検出された異なる周波数成分を有する複数の振動のそれぞれのリズムパターンが、前記所定のリズムパターン、または前記第1のリズムパターン、または前記第2のリズムパターンと一致するか否かを判定する、ことを特徴とする。
【0014】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、所定のタイミングで自ら情報を送信する電源搭載型の無線通信装置と、前記無線通信装置と通信する受信装置とからなる無線通信システムであって、前記無線通信装置は、情報を収集する情報収集手段と、出力制御信号に応じて各種情報を送信する無線手段と、振動を検出する振動検出手段と、前記振動検出手段により検出された振動のリズムパターンが、第1のリズムパターン、または該第1のリズムパターンと異なる第2のリズムパターンに一致するか否かを区別して判定する判定手段と、前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第1のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力して前記第2のリズムパターンを特定可能な第2のリズムパターン特定情報を送信させ、前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第2のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力して前記情報収集手段により収集された情報を送信させる制御手段とを備え、前記受信装置は、前記無線送信装置から前記第2のリズムパターン特定情報、または前記情報収集手段により収集された情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記第2のリズムパターン特定情報から前記第2のリズムパターンを取得する第2のリズムパターン取得手段と、前記受信手段により受信された、前記第2のリズムパターン取得手段により取得された前記第2のリズムパターン、または前記情報収集手段により収集された情報を表示する表示手段とを備えることを特徴とする無線通信システムである。
【0015】
本発明は、上記の発明において、前記制御手段は、前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第1のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力し、前記第2のリズムパターン特定情報として、前記第2のリズムパターンを特定する第2のリズムパターン識別子を送信させ、前記第2のリズムパターン取得手段は、前記受信手段により受信された前記第2のリズムパターン識別子から前記第2のリズムパターンを取得する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記の発明において、前記制御手段は、前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第1のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力し、前記第2のリズムパターン特定情報として、自装置を特定する装置識別子を送信させ、前記第2のリズムパターン取得手段は、前記受信手段により受信された前記装置識別子から前記第2のリズムパターンを取得する、ことを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記の発明において、前記振動検出手段は、異なる材質の物体が衝突するときに生じる、異なる周波数成分を有する複数の振動を検出し、前記判定手段は、前記振動検出手段によって検出された異なる周波数成分を有する複数の振動のそれぞれのリズムパターンが、前記第1のリズムパターン、または前記第2のリズムパターンと一致するか否かを判定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、アクティブ型無線タグの消費電力を効果的に抑制することができ、また、暗号化方式と比較して小さい処理負荷で、管理情報の漏洩を防止することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態による通信設備管理用無線タグシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本第1実施形態による無線タグの構成を示すブロック図である。
【図3】本第1実施形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本第1実施形態による無線タグを起動させるための起動用リズムパターンの例を示す概念図である。
【図5】本第1実施形態による通信設備管理用無線タグシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本第2実施形態による、通信設備管理用無線タグシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本第3実施形態による通信設備管理用無線タグシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本第3実施形態による、情報取得用リズムパターンIDと情報取得用リズムパターンとの対応表を示す概念図である。
【図9】本第4実施形態による通信設備管理用無線タグシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本第5実施形態による通信設備管理用無線タグシステムにおいて、無線タグ1から管理情報を取得する際に、保守作業員がハンマーで叩くリズムパターンの変形例を説明するための概念図である。
【図11】本第5実施形態による通信設備管理用無線タグシステムにおいて、無線タグ1から管理情報を取得する際に、保守作業員がハンマーで叩くリズムパターンの変形例を説明するための概念図である。
【図12】本第6実施形態による通信設備管理用無線タグシステムにおいて、無線タグ1から管理情報を取得する際に、保守作業員がハンマーで叩くリズムパターンの変形例を説明するための概念図である。
【図13】本第6実施形態による通信設備管理用無線タグシステムにおいて、無線タグ1から管理情報を取得する際に、保守作業員がハンマーで叩くリズムパターンの変形例を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
A.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態による通信設備管理用無線タグシステムの構成を示すブロック図である。図において、無線タグ1は、マンホール20内の管理対象の通信設備である通信ケーブル10やクロージャ21またはマンホール20内の壁面に設置され、マンホール20内や、クロージャ21内の浸水検知、温度、湿度等の測定を行い、マンホール20の外にいる保守作業員40がハンマー50でマンホール上蓋22を叩いたときの所定のリズムパターンの振動が検出されると、無線タグ1を識別するための無線タグ識別子や、上記浸水検知、温度、湿度等の測定結果などといった管理情報を送信する。受信装置30は、マンホール20の外にいる保守作業員40に携帯され、無線タグ1が送信する管理情報を受信する。
【0022】
図2は、本第1実施形態による無線タグの構成を示すブロック図である。無線タグ1は、測定センサ11、送信制御センサ12、記憶装置13、無線送信部14、及び制御部15からなる。測定センサ11は、無線タグ1内部(または外側)に設置され、マンホール20内や、クロージャ21内の浸水検知、温度、湿度等を測定する。送信制御用センサ12は、マンホール20の外部から発生される振動を検知するものであり、振動を検知する振動センサ、超音波を検知する超音波センサ等を利用する。具体的には、送信制御用センサ12は、マンホール20の外側から保守作業員40がマンホール上蓋22をハンマー50で叩いたときの振動を電気信号に変換し、制御部15に供給する。
【0023】
無線タグ1は、該送信制御用センサ12により何らかの振動が検出された場合に起動するようになっているが、前述したように、単純な振動では、送信制御用センサ12がハンマー50による振動以外も検出してしまい、誤起動する可能性がある。そこで、本第1実施形態では、無線タグ1は、送信制御用センサ12で何らかの振動が検出されると起動するが、送信制御用センサ12で検出された振動が、特定のリズムの振動(以下、起動用リズムパターンという)でない場合には、管理情報を送信せず、特定の起動用リズムパターンであった場合にのみ、管理情報を送信するようになっている。なお、起動用リズムパターンの詳細については後述する。
【0024】
記憶装置13は、無線タグ1を識別するための無線タグ識別子や、上記起動用リズムパターン、測定センサ11により測定される測定結果などを記憶する。無線送信部14は、制御部15による制御の下、無線タグ識別子や、浸水検知等の測定センサ11で測定した測定結果といった管理情報を送信する。制御部15は、送信制御用センサ12によって検出された振動のパターンが上記記憶装置13に記憶されている起動用リズムパターンと同一であるかを判定し、判定の結果、リズムパターンが合致した場合に、無線タグ1の無線タグ識別子や、浸水検知等の測定センサ11で測定した測定結果といった管理情報を無線送信部14から送信させる。
【0025】
図3は、本第1実施形態による受信装置の構成を示すブロック図である。受信装置30は、無線受信部31、記憶装置32、表示装置33、及び制御部34からなる。無線受信部31は、無線タグ1から送信される無線タグ識別子や、浸水検知等の測定結果といった管理情報を受信する。記憶装置32は、制御部34の動作プログラムや、受信した管理情報などを記憶する。表示部33は、無線タグ1から受信した管理情報などを表示する。制御部34は、上記各部の動作を制御する。
【0026】
図4は、本第1実施形態による無線タグを起動させるための起動用リズムパターンの例を示す概念図である。本第1実施形態では、上述したように、マンホール20の外側からマンホール上蓋22をハンマー50で叩いた振動が所定の起動用リズムパターンに一致した場合に無線タグ1を起動させる。すなわち、保守作業員は、マンホール20の管理情報を取得する場合、ハンマー50でマンホール上蓋22を特定の起動用リズムパターンで叩く。
【0027】
起動用リズムパターンとしては、一定のテンポで「叩く」か、「休む」かのリズムを8テンポで構成する。図4(a)に示す起動用リズムパターン例Aでは、1回叩いた後、1回休み、3回叩き、2回休み、1回叩くパターンを示している。また、図4(b)に示す起動用リズムパターン例Bでは、2回叩いた後、1回休み、2回叩き、2回休み、1回叩くパターンを示している。起動用リズムパターンは、いずれのパターンでもよいが、図示の例に限定されず、自然には発生しないような人為的なパターンとすればよい。
【0028】
図5は、本第1実施形態による通信設備管理用無線タグシステムの動作を説明するためのフローチャートである。保守作業員40は、マンホール20の管理情報を取得する場合、ハンマー50でマンホール上蓋22を特定の起動用リズムパターンで叩く(ステップS1)。
【0029】
無線タグ1では、このハンマー50で叩かれた振動のリズムパターンを送信制御センサ12で検出し(ステップS2)、制御部15により、送信制御センサ12で検出された振動のリズムパターンが、記憶装置13内の起動用リズムパターンと同一であるかを判定する(ステップS3)。判定の結果、記憶装置13内の起動用リズムパターンと合致した場合には、無線タグ識別子や、浸水検知等の測定センサ11で測定した測定結果といった管理情報を無線送信部14から送信する(ステップS3のOK)。なお、振動のリズムパターンが、起動用リズムパターンと一致しない場合には、何も送信しない。
【0030】
保守作業員40が持つ受信装置(リーダ)30では、無線タグ1から送信された管理情報を無線受信部31で受信し、記憶装置32に記憶したり、表示装置33に表示したりすることで保守作業を行う(ステップS4)。
【0031】
なお、測定センサ11では、起動用リズムパターンが合致した時に、浸水検知、温度、湿度等を測定することも、一定周期で測定し、記憶装置13で記憶しておくことも可能である。
【0032】
また、保守作業員40がハンマー50で叩く起動用リズムパターンが無線タグ1に記憶している起動用リズムパターンと合致しない場合には、無線タグ1は何も送信しない(ステップS3のNG)。しかし、保守作業員40が合致しないことを認識するために、起動用リズムパターンが合致しない旨を受信装置30に送信することも可能である。
【0033】
ここでは、マンホール20内の通信設備管理の例を示したが、電柱に配線された通信ケーブルや、クロージャ等の管理に適用することも可能である。電柱の場合には、電柱自体を叩くといったことで起動用リズムパターンに合致した振動を発生させればよい。
【0034】
上述した第1実施形態によれば、マンホール20等の通信設備に設置した無線タグ1からの管理情報を読み取る場合、外部から特定の起動用リズムパターンの振動を受けたときにのみ無線タグ1から管理情報を送信するようにしたことにより、無線タグ1の消費電力を効果的に抑制することができ、その特定の起動用リズムパターンを知っている保守作業員のみが管理情報を取得可能となり、その他の保守作業者以外の者が管理情報を取得することを困難とすることで、管理情報の漏洩を防止することができる。
【0035】
なお、管理情報の漏洩対策としては、送信する管理情報をデジタル処理により暗号化する方法もあるが、測定センサ11の測定結果といった送信情報が逐次変化する場合には、その暗号化の演算を無線タグ1で逐次行う必要が生じる。これに対して、本第1実施形態では、一般に、演算のための消費電力も必要となる暗号化の演算処理を、演算処理能力が低い無線タグ1で行う必要がないので、暗号化方式と比較して処理負荷を軽減することが可能となる。
【0036】
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本第2実施形態による、通信設備管理用無線タグシステムの動作を説明するためのフローチャートである。なお、無線タグ1、受信装置30の構成は、上述した第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0037】
本第2実施形態では、保守作業員40が起動用リズムパターンを叩いた後、起動した無線タグ1から管理情報を取得するためのリズムパターン(以下、情報取得用リズムパターンという)を送信し、受信装置30で、該情報取得用リズムパターンを受信し、保守作業員40がその情報取得用リズムパターンに従ってハンマー50でマンホール上蓋22を叩くことで管理情報を取得する。そのため、本第2実施形態では、無線タグ1の記憶装置13には、起動用リズムパターンに加え、予め、情報取得用リズムパターンが記憶されている。
【0038】
保守作業員40は、マンホール20の管理情報を取得する場合、まず、マンホール20の外からマンホール上蓋22をハンマー50で特定のリズムパターンである起動用リズムパターンを叩く(ステップS10)。
【0039】
無線タグ1では、このハンマー50で叩かれた振動のリズムパターンを送信制御センサ12で検出し(ステップS11)、制御部15により、送信制御センサ12で検出された振動のリズムパターンが、記憶装置13内にある起動用リズムパターンと同一であるかを判定する(ステップS12)。判定の結果、振動のリズムパターンが、起動用リズムパターンと合致した場合には、保守作業員40が叩く必要がある情報取得用リズムパターンを無線送信部14から送信する(ステップS12のOK)。この時点では、無線タグ1は、管理情報の送信は行わない。なお、振動のリズムパターンが、起動用リズムパターンと一致しない場合には、何も送信しない。
【0040】
保守作業員40が持つ受信装置30では、無線タグ1から送信された情報取得用リズムパターンが無線受信部31で受信され、表示装置33に表示される(ステップS13)。保守作業員40は、受信装置30に表示された情報取得用リズムパターンに従って、マンホール上蓋22をハンマー50で叩く(ステップS14)。
【0041】
無線タグ1では、このハンマー50で叩かれた振動のリズムパターンを送信制御センサ12で検出し(ステップS15)、制御部15により、送信制御センサ12で検出された振動のリズムパターンが、記憶装置13内の情報取得用リズムパターンと同一であるかを判定する(ステップS16)。判定の結果、記憶装置13内の情報取得用リズムパターンと同一である場合には、無線タグ識別子や、浸水検知等の測定結果といった管理情報を無線送信部14から送信する(ステップS16のOK)。なお、振動のリズムパターンが、情報取得用リズムパターンと一致しない場合には、何も送信しない。
【0042】
保守作業員40が持つ受信装置30では、無線タグ1から送信された管理情報を無線受信部31で受信し、記憶装置32に記憶したり、表示装置33に表示したりすることで保守作業を行う(ステップS17)。
【0043】
上述した第2実施形態によれば、マンホール20等の通信設備に設置した無線タグ1からの管理情報を読み取る場合、外部から特定の起動用リズムパターンおよび情報取得用リズムパターンの振動を受けたときにのみ無線タグ1から管理情報を送信するようにしたことにより、無線タグ1の消費電力を効果的に抑制することができ、その特定の起動用リズムパターンを知っており、かつ情報取得用リズムパターンを受信可能な受信装置を持つ保守作業員のみが管理情報を取得可能となり、その他の保守作業者以外の者が管理情報を取得することを困難とすることで、管理情報の漏洩を防止することができる。
【0044】
また、演算のための消費電力も必要となる暗号化の演算処理を、演算処理能力が低い無線タグ1で行う必要がないので、暗号化方式と比較して処理負荷を軽減することが可能となる。
【0045】
なお、測定センサ11では、情報取得用リズムパターンが合致した時に、浸水検知、温度、湿度等測定することも、一定周期で測定し、記憶装置13で記憶しておくことも可能である。また、保守作業員40がハンマー50で叩く起動用リズムパターンおよび情報取得用リズムパターンが無線タグ1に記憶しているリズムパターンと合致しない場合には、無線タグ1は何も送信しない(ステップS16のNG)。しかし、保守作業員40が合致しないことを認識するために、リズムパターンが合致しない旨を受信装置30に送信することも可能である。
【0046】
ここでは、マンホール20内の通信設備管理の例を示したが、電柱に配線された通信ケーブルや、クロージャ等の管理に適用することも可能である。電柱の場合には、電柱自体を叩くといったことで起動用リズムパターンおよび情報取得用リズムパターンに合致した振動を発生させればよい。
【0047】
C.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図7は、本第3実施形態による通信設備管理用無線タグシステムの動作を説明するためのフローチャートである。なお、無線タグ1、受信装置30の構成は、上述した第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0048】
本第3実施形態では、保守作業員40が起動用リズムパターンを叩いた後、起動した無線タグ1から管理情報を取得するための情報取得用リズムパターンの識別子(以下、情報取得用リズムパターンIDという)を送信し、受信装置30で、該情報取得用リズムパターンIDを受信し、保守作業員40が該IDに該当する情報取得用リズムパターンに従ってハンマー50でマンホール上蓋22を叩くことで、管理情報を取得する。
【0049】
そのため、本第3実施形態では、無線タグ1の記憶装置13には、起動用リズムパターンに加え、予め、情報取得用リズムパターンID、および情報取得用リズムパターンが記憶されている。また、受信装置30の記憶装置32には、図8に示すように、情報取得用リズムパターンID毎に情報取得用リズムパターンが対応付けられた対応表が記憶されている。
【0050】
保守作業員40は、マンホール20の管理情報を取得する場合、まず、マンホール20の外側からマンホール上蓋22をハンマー50で特定のリズムパターンである起動用リズムパターンを叩く(ステップS20)。
【0051】
無線タグ1では、このハンマー50で叩かれた振動のリズムパターンを送信制御センサ12で検出し(ステップS21)、制御部15により、送信制御センサ12で検出された振動のリズムパターンが、記憶装置13内にある起動用リズムパターンと同一であるかを判定する(ステップS22)。判定の結果、振動のリズムパターンが、起動用リズムパターンと合致した場合には、情報取得用リズムパターンの識別子である情報取得用リズムパターンIDを無線送信部14から送信する(ステップS22のOK)。この時点では、無線タグ1からは、管理情報は送信されず、さらに情報取得用リズムパターンも送信されることはない。なお、振動のリズムパターンが、起動用リズムパターンと一致しない場合には、何も送信しない。
【0052】
保守作業員40が持つ受信装置30では、無線受信部31により情報取得用リズムパターンIDを受信し(ステップS23)、制御部34により、記憶装置32の対応表(図8)を参照し、無線タグ1から送信された情報取得用リズムパターンIDに対応する情報取得用リズムパターンを検索し、表示装置33に表示する(ステップS24)。次いで、保守作業員40は、表示された情報取得用リズムパターンに従って、マンホール上蓋22をハンマー50で叩く(ステップS25)。
【0053】
無線タグ1では、このハンマー50で叩かれた振動のリズムパターンを送信制御センサ12で検出し(ステップS26)、制御部15により、送信制御センサ12で検出された振動のリズムパターンが、記憶装置13内の先ほど送信した情報取得用リズムパターンIDに該当する情報取得用リズムパターンと同一であるかを判定する(ステップS27)。判定の結果、記憶装置13内の情報取得用リズムパターンと同一である場合には、無線タグ識別子や、浸水検知等の測定結果といった管理情報を無線送信部14から送信する(ステップS27のOK)。なお、振動のリズムパターンが、情報取得用リズムパターンと一致しない場合には、何も送信しない。
【0054】
保守作業員40が持つ受信装置30では、無線タグ1から送信された管理情報を無線受信部31で受信し、記憶装置32に記憶したり、表示装置33に表示したりすることで保守作業を行う(ステップS28)。
【0055】
上述した第3実施形態によれば、マンホール20の外部からの振動を検出し、該振動のリズムパターンが所定の起動用リズムパターンと一致した場合に無線タグ1を起動させ、さらに、情報取得用リズムパターンIDに対応する情報取得用リズムパターンと一致した場合に無線タグ1から管理情報を送信するようにしたので、アクティブ型の無線タグ1の消費電力を効果的に抑制することができる。
【0056】
また、無線タグ1と受信装置30とが予め決めた情報取得用リズムパターンIDと情報取得用リズムパターンとの対応表を保持しておき、無線タグ1からは、管理情報を取得するための情報取得用リズムパターンIDを送信するようにしたので、無線タグ1からはリズムパターン自体を送信しないため、これが保守作業員以外の者に傍受されたとしても、管理情報を取得するための情報取得用リズムパターンを知ることはできず、さらなる管理情報漏洩の抑制効果を向上させることができる。
【0057】
また、演算のための消費電力も必要となる暗号化の演算処理を、演算処理能力が低い無線タグ1で行う必要がないので、暗号化方式と比較して処理負荷を軽減することが可能となる。
【0058】
なお、上記説明では、情報取得用リズムパターンIDと情報取得用リズムパターンとが対応付けられた対応表を、受信装置30の記憶装置32内に保持しておく方式について述べたが、これに限らず、保守作業員40が受信装置30とは別に対応表を携帯しておき、受信した情報取得用リズムパターンIDに該当する情報取得用リズムパターンを保守作業員自身が対応表から読み取って、それに従って叩くことも可能である。また、受信装置30に通信機能を搭載し、通信ネットワークを介して該通信ネットワークに接続されたサーバから対応表を取得することも可能である。
【0059】
また、測定センサ11では、情報取得用リズムパターンが合致した時に、浸水検知、温度、湿度等測定することも、一定周期で測定し、記憶装置13で記憶しておくことも可能である。
【0060】
また、上述した第3実施形態では、保守作業員40がハンマー50で叩く起動用リズムパターンおよび情報取得用リズムパターンが無線タグ1に記憶しているリズムパターンと合致しない場合には、無線タグ1は何も送信しないとしたが(ステップS22のNG、ステップS27のNG)、これに限らず、保守作業員40が合致しないことを認識するために、リズムパターンが合致しない旨を受信装置30に送信することも可能である。
【0061】
ここでは、マンホール20内の通信設備管理の例を示したが、電柱に配線された通信ケーブルや、クロージャ等の管理に適用することも可能である。電柱の場合には、電柱自体を叩くといったことで起動用リズムパターンおよび情報取得用リズムパターンに合致した振動を発生させればよい。
【0062】
D.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図9は、本第4実施形態による通信設備管理用無線タグシステムの動作を説明するためのフローチャートである。なお、無線タグ1、受信装置30の構成は、上述した第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0063】
本第4実施形態では、保守作業員40が起動用リズムパターンを叩いた後、起動した無線タグ1から無線タグ識別子を送信し、受信装置30で、該無線タグ識別子を受信し、該無線タグ識別子に対して演算を行うことで情報取得用リズムパターンIDを算出し、保守作業員40が該情報取得用リズムパターンIDに該当する情報取得用リズムパターンに従ってハンマー50でマンホール上蓋22を叩くことで管理情報を取得する。
【0064】
そのため、本第4実施形態では、無線タグ1の記憶装置13には、起動用リズムパターンに加え、予め、情報取得用リズムパターンID、および情報取得用リズムパターンが記憶されている。また、受信装置30は、無線タグ識別子から一意に決まる情報取得用リズムパターンIDを演算することができる、所定の演算アルゴリズムを実行可能となっており、さらに、記憶装置32には、情報取得用リズムパターンID毎に情報取得用リズムパターンが対応付けられた対応表が記憶されている。
【0065】
保守作業員40は、マンホール20の管理情報を取得する場合、まず、マンホール20の外側からマンホール上蓋22をハンマー50で特定のリズムパターンである起動用リズムパターンを叩く(ステップS30)。
【0066】
無線タグ1では、このハンマー50で叩かれた振動のリズムパターンを送信制御センサ12で検出し(ステップS31)、制御部15により、送信制御センサ12で検出された振動のリズムパターンが、記憶装置13内にある起動用リズムパターンと同一であるかを判定する(ステップS32)。判定の結果、振動のリズムパターンが、起動用リズムパターンと合致した場合には、無線タグ識別子を無線送信部14から送信する(ステップS32のOK)。この時点では、無線タグ1からは、無線タグ識別子以外の管理情報は送信されず、さらに情報取得用リズムパターンも送信されることはない。なお、振動のリズムパターンが、起動用リズムパターンと一致しない場合には、何も送信しない。
【0067】
保守作業員40が持つ受信装置30では、無線受信部31により無線タグ識別子を受信し(ステップS33)、制御部34により、受信した無線タグ識別子に対して、ハッシュ演算や、排他的論理和(EX−OR)などの演算を行う(ステップS34)。この演算結果が情報取得用リズムパターンIDとなる。次に、制御部34により、記憶装置32の対応表を参照し、算出された情報取得用リズムパターンIDに対応する情報取得用リズムパターンを検索し、表示装置33に表示する(ステップS35)。次いで、保守作業員40は、表示された情報取得用リズムパターンに従って、マンホール上蓋22をハンマー50で叩く(ステップS36)。
【0068】
無線タグ1では、このハンマー50で叩かれた振動のリズムパターンを送信制御センサ12で検出し(ステップS37)、制御部15により、送信制御センサ12で検出された振動のリズムパターンが、記憶装置13内にある起動用リズムパターンと同一であるかを判定する(ステップS38)。判定の結果、振動のリズムパターンが、起動用リズムパターンと合致した場合には、情報取得用リズムパターンの識別子である情報取得用リズムパターンIDを無線送信部14から送信する(ステップS38のOK)。なお、振動のリズムパターンが、情報取得用リズムパターンと一致しない場合には、何も送信しない。
【0069】
保守作業員40が持つ受信装置30では、無線タグ1から送信された管理情報を無線受信部31で受信し、記憶装置32に記憶したり、表示装置33に表示したりすることで保守作業を行う(ステップS39)。
【0070】
上述した第4実施形態によれば、マンホール20の外部からの振動を検出し、該振動のリズムパターンが所定の起動用リズムパターンおよび情報取得用リズムパターンと一致した場合に無線タグ1から管理情報を送信するようにしたので、アクティブ型の無線タグ1の消費電力を効果的に抑制することができる。
【0071】
また、受信装置30で無線タグ1から送信される無線タグ識別子に対して演算を行うことで情報取得用リズムパターンIDを算出し、該情報取得用リズムパターンIDに該当する情報取得用リズムパターンを取得するようにしたので、無線タグ1からはリズムパターン自体を送信しないため、これが保守作業員以外の者に傍受されたとしても、管理情報を取得するための情報取得用リズムパターンを知ることはできず、さらなる管理情報漏洩の抑制効果を向上させることができる。
【0072】
また、演算のための消費電力も必要となる暗号化の演算処理を、演算処理能力が低い無線タグ1で行う必要がないので、暗号化方式と比較して処理負荷を軽減することが可能となる。
【0073】
なお、上記説明では、情報取得用リズムパターンIDと情報取得用リズムパターンとが対応付けられた対応表を、受信機30の記憶装置32内に保持しておく方式について述べたが、これに限らず、保守作業員40が受信装置30とは別に対応表を携帯しておき、受信した情報取得用リズムパターンIDに該当する情報取得用リズムパターンを保守作業員自身が対応表から読み取って、それに従って叩くことも可能である。また、受信装置30に通信機能を搭載し、通信ネットワークを介して該通信ネットワークに接続されたサーバから対応表を取得することも可能である。
【0074】
また、測定センサ11では、情報取得用リズムパターンが合致した時に、浸水検知、温度、湿度等測定することも、一定周期で測定し、記憶装置13で記憶しておくことも可能である。
【0075】
また、上述した第4実施形態では、保守作業員40がハンマー50で叩く起動用リズムパターンおよび情報取得用リズムパターンが無線タグ1に記憶しているリズムパターンと合致しない場合には、無線タグ1は何も送信しないとしたが(ステップS32のNG、ステップS38のNG)、これに限らず、保守作業員40が合致しないことを認識するために、リズムパターンが合致しない旨を受信装置30に送信することも可能である。
【0076】
ここでは、マンホール20内の通信設備管理の例を示したが、電柱に配線された通信ケーブルや、クロージャ等の管理に適用することも可能である。電柱の場合には、電柱自体を叩くといったことで起動用リズムパターンおよび情報取得用リズムパターンに合致した振動を発生させればよい。
【0077】
E.第5実施形態
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図10、図11は、本第5実施形態による通信設備管理用無線タグシステムにおいて、無線タグ1から管理情報を取得する際に、保守作業員がハンマーで叩くリズムパターンの変形例を説明するための概念図である。
【0078】
本第5実施形態では、無線タグ1から管理情報を取得する際に、保守作業員40がハンマーで叩くリズムパターンとして、複数の周波数の振動を用いることを特徴としている。保守作業員40は、図10に示すように、マンホール上蓋22を叩くとき、異なる周波数の振動を発生可能なハンマー51、52を持つ。例えば、金属製のハンマー51と木製のハンマー52といったように、材質の異なるハンマーが適用可能である。図示の例では、ハンマー51が周波数Aの振動を発生し、ハンマー52が周波数Bの振動を発生する様子が示されている。
【0079】
そして、保守作業員40は、図11(a)、(b)に示すように、その複数のハンマー51、52でマンホール上蓋22を叩くことにより、異なる周波数A、Bの振動で、起動用リズムパターンもしくは情報取得用リズムパターン(以下、双方を合わせてリズムパターンという)を発生させる。このとき、異なる周波数A、Bで送出するリズムパターンは、順次発生させることも、同時に発生させることも可能である。
【0080】
無線タグ1は、このリズムパターンに従った周波数A、Bの振動を送信制御センサ12で検出し、これまで述べた処理により、管理情報、または情報取得用リズムパターン、または情報取得用リズムパターンID、または無線タグ識別子を受信装置30に送信する。保守作業員が持つ受信装置30は、前述した第1乃至第4実施形態で説明した、いずれかの手順に従って管理情報を取得する。
【0081】
上述した第5実施形態によれば、保守作業員40がハンマー51、52で叩くリズムパターンとして、複数の周波数の振動を用いることで、さらなる管理情報漏洩の抑制効果を向上させることができる。
【0082】
F.第6実施形態
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
図12、図13は、本第6実施形態による通信設備管理用無線タグシステムにおいて、無線タグ1から管理情報を取得する際に、保守作業員がハンマーで叩くリズムパターンの変形例を説明するための概念図である。
【0083】
本第6実施形態では、無線タグ1から管理情報を取得する際に、保守作業員40がハンマー50で叩くリズムパターンとして、複数の周波数の振動を用いることを特徴としている。上述した第5実施形態と異なる点は、図12に示すように、ハンマー50で叩くマンホール上蓋22に異なる材質x、y、zのプレート70、71、72を貼っておき、貼ってある箇所をハンマー50で叩くことで複数の周波数の振動を発生させることにある。例えば、マンホール蓋の表面に、鉄、アルミ、木といった異なる材質のプレート70、71、72を貼っておく。図示の例では、それぞれのプレート70、71、72から周波数xの振動、周波数yの振動、及び周波数zの振動を発生する様子が示されている。
【0084】
そして、保守作業員40は、ハンマー50でそれぞれのプレート70、71、72を叩くことにより、図13に示すように、異なる周波数x、y、zの振動で、起動用リズムパターンもしくは情報取得用リズムパターン(以下、双方を合わせてリズムパターンという)を発生させる。このとき、異なる周波数x、y、zで送出するリズムパターンは、順次発生させることも、同時に発生させることも可能である。
【0085】
無線タグ1は、このリズムパターンに従った周波数x、y、zの振動を送信制御センサ12で検出し、これまで述べた処理により、管理情報、または情報取得用リズムパターン、または情報取得用リズムパターンID、または無線タグ識別子を受信装置30に送信する。保守作業員が持つ受信装置30は、前述した第1乃至第4実施形態で説明した、いずれかの手順に従って管理情報を取得する。
【0086】
上述した第6実施形態によれば、保守作業員40がハンマー50で叩くリズムパターンとして、複数の周波数の振動を用いることで、さらなる管理情報漏洩の抑制効果を向上させることができる。
【0087】
上述の無線タグ1、受信装置30は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した通信設備管理用無線タグシステムの動作において、無線タグ1及び受信装置30が通信設備の管理情報を通信する処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0088】
1 無線タグ
10 通信ケーブル
20 マンホール
21 クロージャ
22 マンホール上蓋
30 受信装置
11 測定センサ
12 送信制御センサ
13 記憶装置
14 無線送信部
15 制御部
31 無線受信部
32 記憶装置
33 表示装置
34 制御部
40 保守作業員
50、51、52 ハンマー
70、71、72 プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のタイミングで自ら情報を送信する電源搭載型の無線通信装置であって、
情報を収集する情報収集手段と、
出力制御信号に応じて各種情報を送信する無線手段と、
振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段により検出された振動のリズムパターンが、所定のリズムパターンと一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記振動のリズムパターンと所定のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力して前記情報収集手段により収集された情報を送信させる制御手段と
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記振動検出手段により検出された振動のリズムパターンが、第1のリズムパターン、または該第1のリズムパターンと異なる第2のリズムパターンに一致するか否かを区別して判定し、
前記制御手段は、
前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第1のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力して前記第2のリズムパターンを示す情報を送信させ、
前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第2のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力して前記情報収集手段により収集された情報を送信させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第1のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力し、前記第2のリズムパターンを示す情報に代えて、前記第2のリズムパターンを特定する第2のリズムパターン識別子を送信させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第1のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力し、前記第2のリズムパターンを示す情報に代えて、自装置を特定する装置識別子を送信させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記振動検出手段は、
異なる材質の物体が衝突するときに生じる、異なる周波数成分を有する複数の振動を検出し、
前記判定手段は、
前記振動検出手段によって検出された異なる周波数成分を有する複数の振動のそれぞれのリズムパターンが、前記所定のリズムパターン、または前記第1のリズムパターン、または前記第2のリズムパターンと一致するか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項6】
所定のタイミングで自ら情報を送信する電源搭載型の無線通信装置と、前記無線通信装置と通信する受信装置とからなる無線通信システムであって、
前記無線通信装置は、
情報を収集する情報収集手段と、
出力制御信号に応じて各種情報を送信する無線手段と、
振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段により検出された振動のリズムパターンが、第1のリズムパターン、または該第1のリズムパターンと異なる第2のリズムパターンに一致するか否かを区別して判定する判定手段と、
前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第1のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力して前記第2のリズムパターンを特定可能な第2のリズムパターン特定情報を送信させ、
前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第2のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力して前記情報収集手段により収集された情報を送信させる制御手段と
を備え、
前記受信装置は、
前記無線送信装置から前記第2のリズムパターン特定情報、または前記情報収集手段により収集された情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記第2のリズムパターン特定情報から前記第2のリズムパターンを取得する第2のリズムパターン取得手段と、
前記受信手段により受信された、前記第2のリズムパターン取得手段により取得された前記第2のリズムパターン、または前記情報収集手段により収集された情報を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第1のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力し、前記第2のリズムパターン特定情報として、前記第2のリズムパターンを特定する第2のリズムパターン識別子を送信させ、
前記第2のリズムパターン取得手段は、
前記受信手段により受信された前記第2のリズムパターン識別子から前記第2のリズムパターンを取得する、
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記判定手段により前記振動のリズムパターンと前記第1のリズムパターンとが一致すると判定された場合に、前記無線手段に前記出力制御信号を入力し、前記第2のリズムパターン特定情報として、自装置を特定する装置識別子を送信させ、
前記第2のリズムパターン取得手段は、
前記受信手段により受信された前記装置識別子から前記第2のリズムパターンを取得する、
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記振動検出手段は、
異なる材質の物体が衝突するときに生じる、異なる周波数成分を有する複数の振動を検出し、
前記判定手段は、
前記振動検出手段によって検出された異なる周波数成分を有する複数の振動のそれぞれのリズムパターンが、前記第1のリズムパターン、または前記第2のリズムパターンと一致するか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−250603(P2010−250603A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100033(P2009−100033)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】