説明

無線通信装置およびWAN側回線切替方法

【課題】WAN側回線として移動通信回線と無線LAN回線の切り替えを行う無線通信装置およびWAN側回線切替方法を提供する。
【解決手段】無線LAN回線を含む複数のWAN側回線に接続できる機能を有し、無線LANエリア内では無線LAN回線に接続し、無線LANエリア外では移動通信回線に接続する無線通信装置において、一定周期で受信するGPS信号から位置情報を取得し、さらに時系列の位置情報から移動平均速度を算出して所定の経路を移動する乗り物に乗車中であるか下車中であるかを判別する移動状態判別手段と、移動状態判別手段で乗車中と判別された場合には、無線LANエリア外から無線LANエリア内に入っても移動通信回線の接続を継続し、移動状態判別手段で下車中と判別されたときに無線LANエリア内であれば無線LAN回線に接続する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道路線の車内または下車した駅構内で、WAN側回線として移動通信回線と無線LAN回線の切り替えを行う無線通信装置およびWAN側回線切替方法に関する。
【0002】
ここで、無線通信装置は、移動通信回線と無線LAN回線に接続できる2つのインタフェース(IF)を備えた端末装置であってもよいし、無線LAN端末を移動通信回線または無線LAN回線に接続する無線中継装置(モバイル無線ルータ)のWAN側の通信機能部であってもよい。また、移動通信回線は、携帯電話回線やWiMAX(Worldwide interoperability for microwave access)回線などであるが、以下簡単のために携帯電話回線を例に説明する。
【背景技術】
【0003】
複数のWAN側回線IFを備える無線通信装置では、自動的に最適なWAN側回線を選択して接続を行う。無線通信装置が携帯電話回線および無線LAN回線に対応できるとき、例えば駅のホームなどの公衆無線LANサービスのエリア内にいるときは無線LAN回線を利用し、そのエリア外に移動したときは携帯電話回線に自動的に切り替わる(特許文献1、非特許文献1)。
【0004】
すなわち、接続可能な無線LANエリア内にいるときはWAN側で無線LAN回線に接続し、無線LANエリア内からエリア外に移動したときは、無線LAN回線の切断検出によりWAN側回線を携帯電話回線に切り替える。また、無線LANエリア外からエリア内にへ移動したときは、無線LAN回線の受信レベル等により無線LANエリア内であることを検出すると、WAN側回線を無線LAN回線に切り替え、携帯電話回線を切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−021878号公報(無線中継装置)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ポータブルコグニティブ無線ルータhttp://www.ntt-bp.net/pc/company/news/090715.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
WAN側で携帯電話回線または無線LAN回線を選択して接続する無線通信装置では、一方のWAN側回線を介してネットワークに接続中に、他方のWAN側回線に切り替える際には、通信できない時間が発生してしまう。
【0008】
このような無線通信装置を電車等で移動中に利用する場合、電車の走行中は公衆無線LANエリア外のために携帯電話回線に接続し、駅に停車すると公衆無線LANエリア内に入るため、携帯電話回線から無線LAN回線に切り替わる。その後、発車して駅から離れると、再び携帯電話回線に切り替わるというように、駅に到着するごとにWAN側回線の切り替えが頻繁に発生する。このように、WAN側回線の切り替えが頻繁に発生すると、それに伴い通信できない時間が頻繁に発生することになる。
【0009】
本発明は、複数のWAN側回線に接続可能な無線通信装置において、乗車中や下車中などの状況に応じてWAN側回線の切り替えを抑制し、安定した通信を実現する無線通信装置およびWAN側回線切替方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、無線LAN回線を含む複数のWAN側回線に接続できる機能を有し、無線LANエリア内では無線LAN回線に接続し、無線LANエリア外では移動通信回線に接続する無線通信装置において、一定周期で受信するGPS信号から位置情報を取得し、さらに時系列の位置情報から移動平均速度を算出して所定の経路を移動する乗り物に乗車中であるか下車中であるかを判別する移動状態判別手段と、移動状態判別手段で乗車中と判別された場合には、無線LANエリア外から無線LANエリア内に入っても移動通信回線の接続を継続し、移動状態判別手段で下車中と判別されたときに無線LANエリア内であれば無線LAN回線に接続する制御手段とを備える。
【0011】
移動状態判別手段は、移動平均速度が所定値V0 以上であれば乗車中と判別し、移動平均速度が所定値V0 未満になってから一定時間内に所定値V0 以上になれば乗車中と判別し、移動平均速度が所定値V0 未満になってから一定時間を経過しても所定値V0 未満であれば下車中と判別する構成である。
【0012】
移動状態判別手段は、移動平均速度が所定値V2 以上であれば乗車中と判別し、移動平均速度が所定値V1 未満(V1 <V2 )になってから一定時間内に所定値V2 以上になれば乗車中と判別し、移動平均速度が所定値V1 未満になってから一定時間を経過しても所定値V2 未満であれば下車中と判別する構成である。
【0013】
第2の発明は、無線LAN回線を含む複数のWAN側回線に接続できる機能を有し、無線LANエリア内では無線LAN回線に接続し、無線LANエリア外では移動通信回線に接続する無線通信装置において、所定の経路を移動する乗り物から下車する場所を示す下車位置情報を登録し、一定周期で受信するGPS信号から位置情報を取得し、当該GPS信号から得た位置情報と登録された下車位置情報とを照合して下車する場所にいるか否かを判別する移動状態判別手段と、移動状態判別手段で下車する場所にいないと判別された場合には、無線LANエリア外から無線LANエリア内に入っても移動通信回線の接続を継続し、移動状態判別手段で下車する場所にいると判別されたときに無線LANエリア内であれば無線LAN回線に接続する制御手段とを備える。
【0014】
また、第1の発明の無線通信装置において、移動状態判別手段は、移動平均速度から所定の経路を移動する乗り物に乗車中であるか下車中であるかを判別する他に、所定の経路を移動する乗り物から下車する場所を示す下車位置情報を登録し、GPS信号から得た位置情報と登録された下車位置情報とを照合して当該下車する場所にいれば下車中と判別し、当該下車する場所にいなければ乗車中と判別する構成としてよい。
【0015】
第3の発明は、無線LAN回線を含む複数のWAN側回線に接続できる機能を有し、無線LANエリア内では無線LAN回線に接続し、無線LANエリア外では移動通信回線に接続する無線通信装置において、乗り物が移動する路線の位置情報と、路線ごとに乗り物内で無線LAN回線の利用の可否を示す回線モードを登録し、一定周期で受信するGPS信号から位置情報を取得し、当該GPS信号から得た位置情報と登録された路線の位置情報とを照合して登録された路線の乗り物に乗車中か否かを判別する移動状態判別手段と、移動状態判別手段で登録された路線の乗り物に乗車中と判別した場合には、当該路線の回線モードを参照し、乗り物内で無線LAN回線の利用可能であれば無線LAN回線を優先して移動通信回線に切り替えない「無線LAN優先モード」とする制御を行い、乗り物内で無線LAN回線の利用不可であれば移動通信回線を優先して無線LAN回線に切り替えない「移動通信優先モード」とする制御を行い、移動状態判別手段で登録された路線の乗り物に乗車中でないと判別した場合には、無線LAN回線に接続できないときに移動通信回線に接続する「通常モード」とする制御を行う制御手段とを備える。
【0016】
第3の発明の無線通信装置において、制御手段は、無線LAN優先モードのときに、無線LAN回線が一時的に切断しても再接続処理を行い、1回または複数回の再接続処理でも無線LAN回線に再接続できないときに、通常モードに切り替えて移動通信回線に接続する制御を行う構成としてもよい。
【0017】
第4の発明は、無線LAN回線を含む複数のWAN側回線に接続できる機能を有し、無線LANエリア内では無線LAN回線に接続し、無線LANエリア外では移動通信回線に接続する無線通信装置のWAN側回線切替方法において、移動状態判別手段で、一定周期で受信するGPS信号から位置情報を取得し、さらに時系列の位置情報から移動平均速度を算出して所定の経路を移動する乗り物に乗車中であるか下車中であるかを判別し、移動状態判別手段で乗車中と判別された場合には、無線LANエリア外から無線LANエリア内に入っても移動通信回線の接続を継続し、移動状態判別手段で下車中と判別されたときに無線LANエリア内であれば無線LAN回線に接続する。
【0018】
移動状態判別手段は、移動平均速度が所定値V0 以上であれば乗車中と判別し、移動平均速度が所定値V0 未満になってから一定時間内に所定値V0 以上になれば乗車中と判別し、移動平均速度が所定値V0 未満になってから一定時間を経過しても所定値V0 未満であれば下車中と判別する。
【0019】
移動状態判別手段は、移動平均速度が所定値V2 以上であれば乗車中と判別し、移動平均速度が所定値V1 未満(V1 <V2 )になってから一定時間内に所定値V2 以上になれば乗車中と判別し、移動平均速度が所定値V1 未満になってから一定時間を経過しても所定値V2 未満であれば下車中と判別する。
【0020】
第5の発明は、無線LAN回線を含む複数のWAN側回線に接続できる機能を有し、無線LANエリア内では無線LAN回線に接続し、無線LANエリア外では移動通信回線に接続する無線通信装置のWAN側回線切替方法において、移動状態判別手段で、所定の経路を移動する乗り物から下車する場所を示す下車位置情報を登録し、一定周期で受信するGPS信号から位置情報を取得し、当該GPS信号から得た位置情報と登録された下車位置情報とを照合して下車する場所にいるか否かを判別し、移動状態判別手段で下車する場所にいないと判別された場合には、無線LANエリア外から無線LANエリア内に入っても移動通信回線の接続を継続し、移動状態判別手段で下車する場所にいると判別されたときに無線LANエリア内であれば無線LAN回線に接続する。
【0021】
第4の発明の無線通信装置のWAN側回線切替方法において、移動状態判別手段は、移動平均速度から所定の経路を移動する乗り物に乗車中であるか下車中であるかを判別する他に、所定の経路を移動する乗り物から下車する場所を示す下車位置情報を登録し、GPS信号から得た位置情報と登録された下車位置情報とを照合して当該下車する場所にいれば下車中と判別し、当該下車する場所にいなければ乗車中と判別するとしてもよい。
【0022】
第6の発明は、無線LAN回線を含む複数のWAN側回線に接続できる機能を有し、無線LANエリア内では無線LAN回線に接続し、無線LANエリア外では移動通信回線に接続する無線通信装置のWAN側回線切替方法において、移動状態判別手段で、乗り物が移動する路線の位置情報と、路線ごとに乗り物内で無線LAN回線の利用の可否を示す回線モードを登録し、一定周期で受信するGPS信号から位置情報を取得し、当該GPS信号から得た位置情報と登録された路線の位置情報とを照合して登録された路線の乗り物に乗車中か否かを判別し、移動状態判別手段で登録された路線の乗り物に乗車中と判別した場合には、当該路線の回線モードを参照し、乗り物内で無線LAN回線の利用可能であれば無線LAN回線を優先して移動通信回線に切り替えない「無線LAN優先モード」とする制御を行い、乗り物内で無線LAN回線の利用不可であれば移動通信回線を優先して無線LAN回線に切り替えない「移動通信優先モード」とする制御を行い、移動状態判別手段で登録された路線の乗り物に乗車中でないと判別した場合には、無線LAN回線に接続できないときに移動通信回線に接続する「通常モード」とする制御を行う。
【0023】
第6の発明の無線通信装置のWAN側回線切替方法において、無線LAN優先モードのときに、無線LAN回線が一時的に切断しても再接続処理を行い、1回または複数回の再接続処理でも無線LAN回線に再接続できないときに、通常モードに切り替えて移動通信回線に接続する制御を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、無線通信装置を携帯するユーザが電車に乗車中であるかを判別し、乗車中である場合には無線LAN基地局への接続は行わずに移動通信回線(携帯電話回線)での接続を継続する。これにより、乗車中の電車が駅に停車し、またすぐに発車するといったときに、駅の無線LAN回線に接続することを抑制でき、WAN側回線の頻繁な切り替えによる通信できない時間を減少させ、安定した通信を実現することができる。
【0025】
一方、下車を判別したときや、予め登録した下車駅に到着時には、すぐに無線LAN回線に接続することや、電車内で無線LANサービスが提供されている場合には、無線LAN回線との接続を継続させることができる。これにより、WAN側回線の頻繁な切り替えを抑制して安定した通信を実現しながら、無線LAN回線に接続することにより、移動通信回線(携帯電話回線)よりも高速な通信を利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明が適用されるシステム構成例を示す図である。
【図2】本発明の無線通信装置の実施例1の構成を示す図である。
【図3】実施例1のWAN側回線切替手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】実施例1におけるWAN側回線の選択例を示すタイムチャートである。
【図5】実施例1における位置情報記憶部16の登録例を示す図である。
【図6】GPS信号を用いた乗車中フラグ判定手順の第1例を示すフローチャートである。
【図7】GPS信号を用いた乗車中フラグ判定手順の第2例を示すフローチャートである。
【図8】GPS信号を用いた乗車中フラグ判定手順の第2例の動作例を示すタイムチャートである。
【図9】本発明の無線通信装置の実施例2の構成を示す図である。
【図10】実施例2における下車駅位置情報記憶部18の登録例を示す図である。
【図11】実施例2のWAN側回線切替手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】実施例2における乗車中フラグ判定手順の例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の無線通信装置の実施例3の構成を示す図である。
【図14】実施例3における経路情報記憶部19の登録例を示す図である。
【図15】実施例3の接続モード設定手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】「通常モード」におけるWAN側回線切替手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】「無線LAN優先モード」におけるWAN側回線切替手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明が適用されるシステム構成例を示す。
図1において、ユーザは、無線LAN回線または携帯電話回線に接続可能な無線通信装置(モバイル無線ルータ)10および無線LAN端末30を携帯し、電車に乗車して移動する。その際、下車駅までの間に、1以上の駅で停車するものとする。通常、無線通信装置10はバッテリ電源で常時オンであり、無線LAN回線または携帯電話回線のいずれかに接続している。無線LAN端末30は必要に応じてONとなり、無線通信装置10と無線LAN接続し、無線通信装置10を介して無線LAN回線または携帯電話回線に接続する。これにより、無線LAN端末30は、無線通信装置10、無線LAN基地局APまたは携帯電話基地局BSを介してネットワークに接続される。なお、無線通信装置10は、単独で無線LAN基地局APまたは携帯電話基地局BSを介してネットワークとの通信が可能な通信機能を備えていてもよい。
【0028】
電車の走行中は、駅に設置される無線LANのエリア外のために携帯電話回線に接続し、駅に停車すると無線LANのエリア内に入るが、発車して駅から離れると再びエリア外になる。この場合、従来構成では携帯電話回線から無線LAN回線、無線LAN回線から携帯電話回線と頻繁に切り替えが発生して通信できない時間が増える。本実施例では、駅に到着しても乗車中であれば携帯電話回線から無線LAN回線への切り替えを制限するとともに、駅で下車した場合には、携帯電話回線から無線LAN回線への切り替えを有効とする。以下、停車した駅で乗車中であるか、下車したかを区別する方法を含めて、詳しく説明する。
【0029】
図2は、本発明の無線通信装置の実施例1の構成を示す。ここでは、無線LAN端末30を携帯電話回線または無線LAN回線に接続する無線中継装置(モバイル無線ルータ)10の構成例を示す。
【0030】
図2において、無線通信装置10は、WAN側で無線LAN回線に接続するWAN側無線LAN送受信部11と、携帯電話回線に接続するWAN側携帯電話送受信部12を備え、LAN側で無線LAN端末30に接続するLAN側無線LAN送受信部13を備え、WAN側回線の接続切替を行う制御部14を備える。
【0031】
制御部14は、例えばWAN側無線LAN送受信部11で接続可能な無線LAN回線の受信レベルを検出し、当該受信レベルが閾値を超えていれば接続可能な無線LANエリア内と判別し、WAN側無線LAN送受信部11とLAN側無線LAN送受信部13を接続する。これにより、無線LAN端末30は、無線通信装置10、無線LAN回線を介してネットワークに接続される。一方、当該受信レベルが閾値以下であれば無線LANエリア外(携帯電話エリア)と判別し、WAN側携帯電話送受信部12とLAN側無線LAN送受信部13を接続する。これにより、無線LAN端末30は、無線通信装置10、携帯電話回線を介してネットワークに接続される。以上のWAN側回線の選択および切り替えは、WAN側で接続可能な無線LAN回線の受信レベルに応じて、あるいは一方のWAN側回線の切断検出により自動的に行われる。なお、WAN側の無線LAN回線と携帯電話回線の通信品質を比較し、通信品質が良好なWAN側回線に接続するようにしてもよい。
【0032】
さらに、本実施例の無線通信装置10は、一定周期で4つ以上のGPS衛星からのGPS信号(Global Positioning System)を受信し、受信地点の緯度、経度、高度の位置情報を算出し、さらに移動速度を算出するGPS信号受信部15と、位置情報および移動速度を登録する位置情報記憶部16と、無線通信装置10を携帯するユーザが乗車中か下車中かを示す乗車中フラグを登録する乗車中フラグ記憶部17を備える。なお、乗車中フラグは、乗車中は「1」、下車中は「0」とする。
【0033】
例えば、GPS信号から得られる位置情報の時間あたりの変化から移動速度を推定し、複数の移動速度から移動平均速度Va を算出し、図8に示すように、移動平均速度Va が閾値V2 以上であれば電車が走行中であり、移動平均速度Va が閾値V1 以下になっても一定時間内に閾値V2 以上になれば(V1 <V2 )、駅に停車しても乗車したまま電車が発車したことになるので、乗車フラグを「1(乗車中)」とする。一方、移動平均速度Va が閾値V1 以下になってから一定時間後に閾値V2 未満であれば、下車して駅構内にいるとみなして乗車フラグを「0(下車中)」とする。ここで、一定時間は、移動平均速度Va が閾値V1 から速度0になる時間と、各駅の最大停車時間と、移動平均速度Va が速度0から閾値V2 になる時間を加算した時間とする。閾値V1 は例えば電車がほぼ停車する速度2km/h、閾値V2 は例えば歩行速度より少し速い15km/hとする。すなわち、移動平均速度Va が閾値V1 以下になっても、ただちに乗車フラグを「0(下車中)」とするのではなく、移動平均速度Va が閾値V1 以下になってから一定時間内に閾値V2 以上になるか否かで乗車中か下車中かを判断する。詳しい乗車中フラグ判定手順については別途説明する。
【0034】
本発明の無線通信装置10では、制御部14において、乗車中フラグに基づいて以下に示すようにWAN側回線の切替制御を行う。
【0035】
図3は、実施例1のWAN側回線切替手順を示す。
図3において、無線通信装置10のWAN側回線を携帯電話回線に接続し(S1)、携帯電話回線の接続中に(S2)、一定周期で受信しているGPS信号から決定する乗車中フラグを参照して乗車中か下車中かを判別する(S3,S4)。
【0036】
乗車中フラグが「0(下車中)」である場合には、一定周期で無線LAN基地局の探索を行い、駅の無線LANエリアであるか否かを判別する(S5,S6)。無線LAN基地局が見つかれば、当該無線LAN回線の接続処理を行い(S7)、WAN側回線を携帯電話回線から無線LAN回線に切り替える。これにより、無線通信装置10は、無線LAN基地局を介してネットワークへ接続される。その後、駅の無線LANエリア内にいれば無線LAN回線に接続したままとなる。また、無線LAN回線に接続中に、電車に乗車して駅を離れたり、駅の無線LANエリアを出て無線LAN回線の切断や受信レベルの低下を検出すると(S8)、無線LAN回線から携帯電話回線への切り替えのために、ステップS1の携帯電話回線接続処理に戻る。
【0037】
乗車中フラグが「1(乗車中)」である場合には、無線LAN基地局の探索は行わずに、WAN側回線は携帯電話回線に接続のままとなり(S4→S2)、携帯電話回線による接続状態を継続する。
【0038】
実施例1におけるWAN回線の選択例を図4に示す。従来は、駅で停車したときに無線LAN基地局が見つかれば、その度に携帯電話回線から無線LAN回線に切り替え、駅から発車すると無線LAN回線から携帯電話回線へ切り替えるといった2回の切り替えが発生していた。本実施例では、駅で停車しても乗車中フラグが「1(乗車中)」であれば、携帯電話回線を無線LAN回線に切り替えることなく、携帯電話回線での接続を継続することができる。一方、乗車中フラグが「0(下車中」)であれば、携帯電話回線から無線LAN回線に切り替えることができる。
【0039】
図6は、GPS信号を用いた乗車中フラグ判定手順の第1例を示す。
図6において、GPS信号受信部15は、一定周期でGPS信号を受信し、受信地点の緯度,経度,高度の位置情報を算出し、位置情報記憶部16に登録する(S11)。さらに、2つのGPS信号の受信時刻の差から経過時間を求め、また緯度、経度、高度の差から移動距離を求め、移動距離/経過時間を計算してその間の移動速度を算出し、位置情報記憶部16に登録する(S12)。位置情報記憶部16に登録されるGPS信号の受信時刻、位置情報および移動速度の例を図5に示す。
【0040】
次に、制御部14は、以下のように乗車中であるか否かを判別して乗車中フラグを決定する。まず、位置情報記憶部16に登録された過去一定回数分(例えば5回分)の移動速度から移動平均速度Va を算出する(S13)。
【0041】
ここで、乗車中フラグを判別し(S14)、例えば無線通信装置10が駅構内で無線LAN回線に接続中であり、乗車中フラグが「0(下車中)」であれば、移動平均速度Va が閾値V0 (例えば15km/h)以上か否かを判別し(S15)、Va ≧V0 であれば、乗車した電車が発車したものと判別して乗車中フラグを「1(乗車中)」に変更し(S16)、GPS信号の受信に戻る。このとき、接続中の無線LAN回線の切断または受信レベル低下により、携帯電話回線への切り替えを行う。一方、Va <V0 であれば、乗車中フラグは「0」のままとし、GPS信号の受信に戻る。このとき、無線LAN回線に接続していればそのまま継続する。
【0042】
乗車した電車が走行中で乗車中フラグが「1(乗車中)」の場合には、移動平均速度Va が閾値V0 以上か否かを判別し(S17)、Va ≧V0 であれば、走行中の電車に乗車中と見なして、乗車中フラグは「1」のままとする。ここでは、下車判定カウンタ値Cs をリセットする処理(S18)が入るが、これについては後述する。このとき、乗車中で携帯電話回線に接続していればそのまま継続する。一方、Va <V0 になれば、下車判定カウンタ値Cs をインクリメントする(S19)。そして、移動平均速度Va が閾値V0 未満になり、駅に停車し、発車した電車の移動平均速度Va が閾値V0 に達する所定時間に対応する閾値C0 に対して、Cs ≧C0 になるまで(S20)、ステップS11からステップS20の処理を繰り返す。GPS信号の受信を繰り返すごとに移動平均速度Va が更新されるが、連続してVa <V0 となり、Cs ≧C0 となると、電車が発車しても移動平均速度Va が閾値V0 未満であることから、電車から下車したものと見なして下車判定カウンタ値Cs をリセットし(S21)、乗車中フラグを「0(下車中)」に変更し(S22)、GPS信号の受信に戻る。このとき、携帯電話回線に接続していれば、下車により無線LAN基地局を探索し、無線LAN回線への切り替えを行う。
【0043】
また、Cs ≧C0 になるまでの間に、Va ≧V0 になれば、駅に停車した電車から下車せず、発車した電車に乗車中と見なして下車判定カウンタ値Cs をリセットし(S18)、乗車中フラグは「1」のままとする。このとき、携帯電話回線に接続していれば、駅に停車中に無線LAN回線への切り替えを行わず、携帯電話回線との接続を継続することになる。
【0044】
なお、電車が駅で停車したことを判定し、下車判定カウンタ値Cs のインクリメントを開始する速度の閾値V0 と、駅で停車した電車が発車したことを判定し、下車判定カウンタ値Cs をリセットして乗車中フラグの「1(乗車中)」を維持する速度の閾値V0 は、それぞれV1 とV2 とし、V1 <V2 のようにヒステリシスをもたせてもよい。例えば、下車判定カウンタ値Cs のインクリメントを開始する閾値V1 として、電車がほぼ停車する速度であるV1 =2(km/h)とし、下車した場合と乗車したまま電車が発車した場合を区別する閾値V2 として、歩行速度より少し早い速度であるV2 =15(km/h)とする。これにより、閾値C0 としてより正確に時間設定が可能である。また、各駅ごとに停車時間が異なる場合には、各駅の停車時間に合せて閾値C0 をその都度変更してもよい。この場合の乗車中フラグ判定手順の第2例および動作例を図7および図8に示す。
【0045】
図7に示す乗車中フラグ判定手順の第2例は、図6に示す第1例のステップS17の前に、ステップS23,S24を挿入し、乗車中フラグが「1(乗車中)」で、下車判定カウンタ値Cs が初期値0であれば、移動平均速度Va が閾値V1 以下になったときに(停車したときに)下車判定カウンタ値Cs のインクリメントを開始し、下車判定カウンタ値Cs のインクリメントを開始した後は、Cs ≧C0 になるまでの間に、Va ≧V2 になるか否かを判定している。
【0046】
なお、GPS信号を受信して移動速度を推定する代わりに、加速度センサなどのセンサにより乗車中であるか下車中であるかを推定し、乗車中フラグを決定してもよい。ただし、加速度センサで得られる加速度値を用いる場合、電車が一定速度で走行中と停車中の区別がつかないので、ともに乗車中フラグは「0(下車中)」となる。しかし、ステップS5,S6で無線LAN基地局を探索しても、走行中の駅間で無線LAN基地局が見つかることは稀であるので、結果的に携帯電話回線に接続したままとなり問題はない。ただし、加速度の絶対値が一定時間内に閾値を超えれば、電車が走行中(加速中、減速中)として乗車フラグを「1(乗車中)」に戻す必要がある。
【実施例2】
【0047】
実施例1は、駅で停車してもただちに無線LAN回線に切り替えることなく携帯電話回線での接続を継続し、電車の停車時間を経過した後に携帯無線装置10の移動平均速度Va が所定の走行速度に達しないときに電車から下車したものとみなし、携帯電話回線から無線LAN回線に切り替えていた。そのため、駅に停車してから乗車中フラグを「0(下車中)」に切り替え、無線LAN回線に切り替えるまでに停車時間以上の時間が必要であった。実施例2は、予め登録した下車駅では、GPS信号から得た位置情報から下車駅にいることが分かれば、ただちに無線LAN回線に切り替えることを特徴とする。
【0048】
図9は、本発明の無線通信装置の実施例2の構成を示す。
本実施例の無線通信装置10は、図2に示す実施例1の構成に加えて、下車駅の位置情報を登録する下車駅位置情報記憶部18を備える。下車駅位置情報記憶部18に登録される下車駅の位置情報の例を図10に示す。
【0049】
図11は、実施例2のWAN側回線切替手順を示す。
図11において、無線通信装置10のWAN側回線を携帯電話回線に接続し(S1)、携帯電話回線の接続中に(S2)、位置情報記憶部16に登録されている最新のGPS信号から算出された位置情報と、下車駅位置情報記憶部18に登録された下車駅の位置情報とを照合し、無線通信装置10が下車駅にいるか否かを判定する(S31,S32)。判定処理では、GPS信号から得た位置情報と各下車駅の位置情報との距離を算出し、最短距離のものが所定値以下(例えば 200m以内)であれば、下車駅にいると判定する。
【0050】
下車駅にいる場合には、一定周期で無線LAN基地局の探索を行い、駅の無線LANエリアであるか否かを判別する(S5,S6)。無線LAN基地局が見つかれば、当該無線LAN基地局への接続処理を行い(S7)、WAN側回線を携帯電話回線から無線LAN回線に切り替える。これにより、無線通信装置10は、無線LAN基地局を介してネットワークへ接続される。その後、駅の無線LANエリア内にいれば無線LAN回線に接続したままとなる。また、無線LAN回線に接続中に、電車に乗車して駅を離れたり、、駅の無線LANエリアを出て無線LAN回線の切断や受信レベルの低下を検出すると(S8)、無線LAN回線から携帯電話回線への切り替えのために、ステップS1の携帯電話回線接続処理に戻る。
【0051】
下車駅にいない場合には、停車した駅では乗車中のため、無線LAN基地局の探索は行わずに、WAN側回線は携帯電話回線に接続のままとなり(S4→S2)、携帯電話回線による接続状態を継続する。
【0052】
このように、登録された下車駅でなければ、携帯電話回線を無線LAN回線に切り替えることなく、携帯電話回線での接続を継続することができる。一方、登録された下車駅に到着すれば、ただちに携帯電話回線から無線LAN回線に切り替えることができる。
【0053】
また、実施例1における乗車中フラグ判定手順の中で、乗車中フラグが「1(乗車中)」で、移動平均速度Va が閾値V0 未満または閾値V2 未満になったときに、下車駅にいるか否かを判定するようにしてもよい。例えば、図6に示す乗車中フラグ判定手順に適用した例を図12に示すが、ステップS17で移動平均速度Va が閾値V0 未満のときに、GPS信号から得た位置情報と登録された下車駅の位置情報とを照合し(S31,S32)、下車駅にいれば下車判定カウンタ値Cs をインクリメントせずに直ちに乗車中フラグを「0(下車中)」に設定する。これにより、一定周期で無線LAN基地局の探索を行い、無線LAN基地局が見つかれば当該無線LAN基地局への接続処理を行うことができる。図7に示す乗車中フラグ判定手順においても同様である。
【実施例3】
【0054】
本実施例は、電車の車内に無線LAN基地局が設置されていて乗車中に無線LAN回線が利用可能な場合に、当該路線では乗車中および停車中ともに当該無線LAN回線を優先し、携帯電話回線に切り替わらないようにする(以下、「無線LAN優先モード」という)。一方、車内に無線LAN基地局が設置されていない場合に、当該路線では乗車中および停車中ともに携帯電話回線を優先し、無線LANに切り替わらないようにする(以下、「携帯電話優先モード」という)。
【0055】
無線通信装置10は、GPS信号から得られる位置情報が登録された路線に一致するときに、一致する路線に応じた接続モードを選択する。また、GPS信号から得られる位置情報が当該路線から外れる場合には、下車したものと判別し、無線LAN回線を優先しながら、無線LAN回線に接続できないときに携帯電話回線に接続する「通常モード」を選択する。
【0056】
図13は、本発明の無線通信装置の実施例3の構成を示す。
本実施例の無線通信装置10は、図9に示す実施例2の乗車フラグ記憶部17および下車駅位置情報記憶部18に代えて、経路情報記憶部19および接続モード記憶部20を備える。経路情報記憶部19の登録情報の例を図14に示す。登録情報は、予め利用する路線の経路情報と、各路線の電車が無線LAN基地局を備えているか否かに応じて、WAN側回線として「無線LAN回線」または「携帯電話回線」を指定するWAN側回線情報である。路線の経路情報は、路線の緯度経度情報を登録するが、GPX(GPS eXchange Format)ファイルのように、経路上の複数の緯度経度を登録する。接続モード記憶部20には、無線通信装置10の接続モードを規定する「通常モード」、「無線LAN優先モード」、「携帯電話優先モード」のいずれかが設定される。
【0057】
図15は、実施例3の接続モード設定手順を示す。
図15において、GPS信号受信部15は、一定周期でGPS信号を受信し、受信地点の緯度,経度,高度の位置情報を算出し、位置情報記憶部16に登録する(S41)。次に、制御部14は、位置情報記憶部16の位置情報と、経路情報記憶部19の経路情報を照合し、その差分である最短距離を算出し(S42)、最短距離が一定値内であるか否かを判定する(S43)。最短距離が一定値以内であれば、経路情報の路線に乗車していると判別する。そして、当該路線のWAN回線モードを判別し(S44)、WAN回線モードが無線LANの場合は、接続モード記憶部20に「無線LAN優先モード」と設定する(S45)。路線のWAN回線モードが携帯電話の場合は、接続モード記憶部20に「携帯電話優先モード」と設定する(S46)。一方、GPS信号から得られる位置情報と経路情報の距離が一定値を超える場合は、登録された路線に乗車していないと判別し、接続モード記憶部20に「通常モード」と設定する(S47)。
【0058】
図16は、「通常モード」におけるWAN回線切替手順を示す。通常モードでは、無線LANエリア内であれば無線LANへ接続し、無線LANエリア外であれば携帯電話回線を利用する。
【0059】
図16において、WAN側回線として無線LAN回線を選択して接続処理を行い(S51)、無線LAN回線に接続ができればそのまま無線LAN回線を利用する(S52,S53)。無線LAN回線に接続ができなかった場合(S52:No)や、一度無線LAN回線に接続したが、エリア外へ移動して無線LAN回線が切断された場合(S53:No)は、携帯電話回線による接続処理を行う(S54)。携帯電話回線で接続中も無線LANエリアに移動したかを判別するために、一定周期で無線LAN基地局の探索を行う(S55,S56)。探索の結果、接続可能な無線LAN基地局が見つれば、ステップS51に戻って無線LAN回線による接続処理を行う。なお、通常モードとして、実施例1または実施例2に示したWAN回線切替手順を採用してもよい。
【0060】
図17は、「無線LAN優先モード」におけるWAN回線切替手順を示す。無線LAN優先モードでは、登録された路線の電車内など近くに無線LAN基地局があると推測できるので、できるだけ無線LAN基地局へ接続する制御を行う。
【0061】
図17において、WAN側回線として無線LAN回線を選択して接続処理を行い(S61)、無線LAN回線に接続ができればそのまま無線LAN回線を利用する(S62)。ここで、無線LAN回線が切断されたとしても、無線LANエリアから外れたわけではなく一時的に電波強度が弱くなったと判別できるので、すぐに携帯電話回線への切り替えを行わず、無線LAN回線への再接続を試みる(S63,S64)。1回または複数回無線LAN回線への再接続処理を行い、それでも無線LAN回線に接続できない場合には、接続モードを「通常モード」へ変更し(S65)、携帯電話回線への接続処理を行う(図16:S54)。
【0062】
また、「携帯電話優先モード」におけるWAN回線切替手順は、無線LAN基地局の探索は行わず、携帯電話回線で接続を続ける。
【0063】
以上の動作により、車内に無線LAN基地局を備えた路線では当該無線LAN回線との接続を継続し、車内に無線LAN基地局を備えない路線では携帯電話回線との接続を継続し、登録された路線以外の路線では「通常モード」で無線LANエリア内であれば無線LANへ接続し、無線LANエリア外であれば携帯電話回線を利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
10 無線通信装置
11 WAN側無線LAN送受信部
12 WAN側携帯電話送受信部
13 LAN側無線LAN送受信部
14 制御部
15 GPS信号受信部
16 位置情報記憶部
17 乗車中フラグ記憶部
18 下車駅位置情報記憶部
19 経路情報記憶部
20 接続モード記憶部
30 無線LAN端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN回線を含む複数のWAN側回線に接続できる機能を有し、無線LANエリア内では無線LAN回線に接続し、無線LANエリア外では移動通信回線に接続する無線通信装置において、
一定周期で受信するGPS信号から位置情報を取得し、さらに時系列の位置情報から移動平均速度を算出して所定の経路を移動する乗り物に乗車中であるか下車中であるかを判別する移動状態判別手段と、
前記移動状態判別手段で乗車中と判別された場合には、前記無線LANエリア外から前記無線LANエリア内に入っても前記移動通信回線の接続を継続し、前記移動状態判別手段で下車中と判別されたときに前記無線LANエリア内であれば前記無線LAN回線に接続する制御手段と
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信装置において、
前記移動状態判別手段は、前記移動平均速度が所定値V0 以上であれば乗車中と判別し、前記移動平均速度が所定値V0 未満になってから一定時間内に所定値V0 以上になれば乗車中と判別し、前記移動平均速度が所定値V0 未満になってから一定時間を経過しても所定値V0 未満であれば下車中と判別する構成である
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の無線通信装置において、
前記移動状態判別手段は、前記移動平均速度が所定値V2 以上であれば乗車中と判別し、前記移動平均速度が所定値V1 未満(V1 <V2 )になってから一定時間内に所定値V2 以上になれば乗車中と判別し、前記移動平均速度が所定値V1 未満になってから一定時間を経過しても所定値V2 未満であれば下車中と判別する構成である
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
無線LAN回線を含む複数のWAN側回線に接続できる機能を有し、無線LANエリア内では無線LAN回線に接続し、無線LANエリア外では移動通信回線に接続する無線通信装置において、
所定の経路を移動する乗り物から下車する場所を示す下車位置情報を登録し、一定周期で受信するGPS信号から位置情報を取得し、当該GPS信号から得た位置情報と登録された下車位置情報とを照合して下車する場所にいるか否かを判別する移動状態判別手段と、
前記移動状態判別手段で前記下車する場所にいないと判別された場合には、前記無線LANエリア外から前記無線LANエリア内に入っても前記移動通信回線の接続を継続し、前記移動状態判別手段で前記下車する場所にいると判別されたときに前記無線LANエリア内であれば前記無線LAN回線に接続する制御手段と
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の無線通信装置において、
前記移動状態判別手段は、前記移動平均速度から前記所定の経路を移動する乗り物に乗車中であるか下車中であるかを判別する他に、所定の経路を移動する乗り物から下車する場所を示す下車位置情報を登録し、前記GPS信号から得た位置情報と登録された下車位置情報とを照合して当該下車する場所にいれば前記下車中と判別し、当該下車する場所にいなければ前記乗車中と判別する構成である
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
無線LAN回線を含む複数のWAN側回線に接続できる機能を有し、無線LANエリア内では無線LAN回線に接続し、無線LANエリア外では移動通信回線に接続する無線通信装置において、
乗り物が移動する路線の位置情報と、路線ごとに乗り物内で前記無線LAN回線の利用の可否を示す回線モードを登録し、一定周期で受信するGPS信号から位置情報を取得し、当該GPS信号から得た位置情報と登録された路線の位置情報とを照合して登録された路線の乗り物に乗車中か否かを判別する移動状態判別手段と、
前記移動状態判別手段で前記登録された路線の乗り物に乗車中と判別した場合には、当該路線の回線モードを参照し、前記乗り物内で前記無線LAN回線の利用可能であれば前記無線LAN回線を優先して前記移動通信回線に切り替えない「無線LAN優先モード」とする制御を行い、前記乗り物内で前記無線LAN回線の利用不可であれば前記移動通信回線を優先して前記無線LAN回線に切り替えない「移動通信優先モード」とする制御を行い、前記移動状態判別手段で前記登録された路線の乗り物に乗車中でないと判別した場合には、前記無線LAN回線に接続できないときに前記移動通信回線に接続する「通常モード」とする制御を行う制御手段と
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
請求項6に記載の無線通信装置において、
前記制御手段は、前記無線LAN優先モードのときに、前記無線LAN回線が一時的に切断しても再接続処理を行い、1回または複数回の再接続処理でも前記無線LAN回線に再接続できないときに、前記通常モードに切り替えて前記移動通信回線に接続する制御を行う構成である
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項8】
無線LAN回線を含む複数のWAN側回線に接続できる機能を有し、無線LANエリア内では無線LAN回線に接続し、無線LANエリア外では移動通信回線に接続する無線通信装置のWAN側回線切替方法において、
移動状態判別手段で、一定周期で受信するGPS信号から位置情報を取得し、さらに時系列の位置情報から移動平均速度を算出して所定の経路を移動する乗り物に乗車中であるか下車中であるかを判別し、
前記移動状態判別手段で乗車中と判別された場合には、前記無線LANエリア外から前記無線LANエリア内に入っても前記移動通信回線の接続を継続し、前記移動状態判別手段で下車中と判別されたときに前記無線LANエリア内であれば前記無線LAN回線に接続する
ことを特徴とする無線通信装置のWAN側回線切替方法。
【請求項9】
請求項8に記載の無線通信装置のWAN側回線切替方法において、
前記移動状態判別手段は、前記移動平均速度が所定値V0 以上であれば乗車中と判別し、前記移動平均速度が所定値V0 未満になってから一定時間内に所定値V0 以上になれば乗車中と判別し、前記移動平均速度が所定値V0 未満になってから一定時間を経過しても所定値V0 未満であれば下車中と判別する
ことを特徴とする無線通信装置のWAN側回線切替方法。
【請求項10】
請求項8に記載の無線通信装置のWAN側回線切替方法において、
前記移動状態判別手段は、前記移動平均速度が所定値V2 以上であれば乗車中と判別し、前記移動平均速度が所定値V1 未満(V1 <V2 )になってから一定時間内に所定値V2 以上になれば乗車中と判別し、前記移動平均速度が所定値V1 未満になってから一定時間を経過しても所定値V2 未満であれば下車中と判別する
ことを特徴とする無線通信装置のWAN側回線切替方法。
【請求項11】
無線LAN回線を含む複数のWAN側回線に接続できる機能を有し、無線LANエリア内では無線LAN回線に接続し、無線LANエリア外では移動通信回線に接続する無線通信装置のWAN側回線切替方法において、
移動状態判別手段で、所定の経路を移動する乗り物から下車する場所を示す下車位置情報を登録し、一定周期で受信するGPS信号から位置情報を取得し、当該GPS信号から得た位置情報と登録された下車位置情報とを照合して下車する場所にいるか否かを判別し、
前記移動状態判別手段で前記下車する場所にいないと判別された場合には、前記無線LANエリア外から前記無線LANエリア内に入っても前記移動通信回線の接続を継続し、前記移動状態判別手段で前記下車する場所にいると判別されたときに前記無線LANエリア内であれば前記無線LAN回線に接続する
ことを特徴とする無線通信装置のWAN側回線切替方法。
【請求項12】
請求項8に記載の無線通信装置のWAN側回線切替方法において、
前記移動状態判別手段は、前記移動平均速度から前記所定の経路を移動する乗り物に乗車中であるか下車中であるかを判別する他に、所定の経路を移動する乗り物から下車する場所を示す下車位置情報を登録し、前記GPS信号から得た位置情報と登録された下車位置情報とを照合して当該下車する場所にいれば前記下車中と判別し、当該下車する場所にいなければ前記乗車中と判別する
ことを特徴とする無線通信装置のWAN側回線切替方法。
【請求項13】
無線LAN回線を含む複数のWAN側回線に接続できる機能を有し、無線LANエリア内では無線LAN回線に接続し、無線LANエリア外では移動通信回線に接続する無線通信装置のWAN側回線切替方法において、
移動状態判別手段で、乗り物が移動する路線の位置情報と、路線ごとに乗り物内で前記無線LAN回線の利用の可否を示す回線モードを登録し、一定周期で受信するGPS信号から位置情報を取得し、当該GPS信号から得た位置情報と登録された路線の位置情報とを照合して登録された路線の乗り物に乗車中か否かを判別し、
前記移動状態判別手段で前記登録された路線の乗り物に乗車中と判別した場合には、当該路線の回線モードを参照し、前記乗り物内で前記無線LAN回線の利用可能であれば前記無線LAN回線を優先して前記移動通信回線に切り替えない「無線LAN優先モード」とする制御を行い、前記乗り物内で前記無線LAN回線の利用不可であれば前記移動通信回線を優先して前記無線LAN回線に切り替えない「移動通信優先モード」とする制御を行い、前記移動状態判別手段で前記登録された路線の乗り物に乗車中でないと判別した場合には、前記無線LAN回線に接続できないときに前記移動通信回線に接続する「通常モード」とする制御を行う
ことを特徴とする無線通信装置のWAN側回線切替方法。
【請求項14】
請求項13に記載の無線通信装置のWAN側回線切替方法において、
前記無線LAN優先モードのときに、前記無線LAN回線が一時的に切断しても再接続処理を行い、1回または複数回の再接続処理でも前記無線LAN回線に再接続できないときに、前記通常モードに切り替えて前記移動通信回線に接続する制御を行う
ことを特徴とする無線通信装置のWAN側回線切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−10241(P2012−10241A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146177(P2010−146177)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】