説明

無線通信装置

【課題】リンクの状況に応じて無線伝送方式を切り替える際に、無線通信装置間の距離情報を利用して、切替動作を安定させる。
【解決手段】距離測定部130は無線通信の相手局との間の距離を測定する。伝送方式選別部140は距離測定部130において測定された距離に応じて、無線伝送方式に要求される信号ノイズ比の範囲を選別する。リンク品質判定部120は信号ノイズ比やパケット誤り率などによりリンク品質を判定する。伝送方式決定部150はリンク品質に応じた無線伝送方式を決定する際に、伝送方式選別部140により選別された範囲を参照して適宜修正を加える。これにより、急激な位置の変化に追従した無線伝送方式の選択が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関し、特に予め定められた複数の無線伝送方式の1つを選択して通信を行う無線通信装置、および、その処理方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの無線通信システムにおいて、通信スループットの向上や揺らぎの低減を目的として、無線通信におけるリンク(伝播路)の状況に応じて無線伝送方式の切替えが行われている。特に、無線通信特有の現象であるフェージングを考慮して、信号ノイズ比(SNR:Signal to Noise Ratio)、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、パケット誤り率(PER:Packet Error Rate)といったパラメータによって信号レベルの変動を推定し、その情報に基づいて無線伝送方式の切り替えを行うものがある。
【0003】
このような無線通信システムとして、例えば、受信器の誤り訂正回路において得られる誤り率を用いて、送信器の変換回路における変調方式の切替えを行う制御機器が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3620563号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
信号ノイズ比やRSSIといった信号レベルの変動を用いて無線伝送方式を切り替える場合、これら信号ノイズ比やRSSIは、無線通信装置自身の移動や周辺の無線通信装置の配置などによって時間的に大きく変動する。また、一般に、無線通信を行っている無線通信装置同士でも互いに信号レベルは異なる可能性がある。したがって、送信側においてリンクの状況に応じて無線伝送方式の切替えを行うためには、受信側から信号ノイズ比等に関する情報をフィードバックする必要がある。
【0005】
そのようなフィードバックを行う際、理想的には、データパケット送信直前にパケット単位で伝播路状況を把握し、その結果を基にパケット送信を行うことが望ましい。しかし、それを実現するためには高速性が要求され、専用のハードウェアが必要になってしまう。したがって、ソフトウェアによる無線伝送方式の切替処理としては、パケット単位ではなく一定時間間隔で定期的に切替えを行う方法が採用される。
【0006】
しかしながら、ソフトウェアにより定期的に無線伝送方式を切り替えるために、信号ノイズ比やRSSIを利用した場合、瞬時に変動する性質を有することから、偶発的な極端なデータの取得により無線伝送方式を誤って切替処理を行ってしまう可能性がある。また、パケット誤り率を利用した場合、現在使用する無線伝送方式のパケット誤り率で無線伝送方式の切替処理を行うため、例えば、切替後の無線伝送方式のパケット誤り率が劣化する場合には、急激な劣化が定期的に発生してしまい、リアルタイム処理にうまく適用できなくなるおそれがある。
【0007】
これに対して、無線通信装置間の距離は、瞬時に大きく変動する性質を有することなく、また、その値によってある程度使用可能な無線伝送方式を絞ることができるため、比較的取扱いが容易である。
【0008】
そこで、本発明は、リンクの状況に応じて無線伝送方式を切り替える際に、無線通信装置間の距離情報を利用して、切替動作を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その第1の側面は、予め定められた複数の無線伝送方式の1つを使用して通信を行う無線伝送手段と、上記通信の相手局との間の距離を測定する距離測定手段と、上記距離測定手段によって測定された距離に基づいて上記複数の無線伝送方式の中から適合するものを選別する伝送方式選別手段と、上記通信におけるリンクの品質を判定するリンク品質判定手段と、上記伝送方式選別手段によって選別された無線伝送方式の中から上記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式を上記リンク品質に応じて決定する無線伝送方式決定手段とを具備することを特徴とする無線通信装置である。これにより、リンク品質に応じて無線伝送方式を決定する際に通信の相手局との間の距離を反映させるという作用をもたらす。
【0010】
また、この第1の側面において、上記リンク品質判定手段は、電波強度によって上記リンク品質を判定することができる。ここで、電波強度として上記リンクの信号ノイズ比やRSSIを用いることができる。これらは不規則に変動し得るパラメータであるが、本発明においては距離を考慮することにより、その変動による影響を緩和させるという作用をもたらす。
【0011】
また、電波強度によってリンク品質を判定する場合、上記無線伝送方式決定手段は、上記電波強度に基づいて上記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式の候補を選定する伝送方式候補選定手段と、上記伝送方式選別手段によって選別された無線伝送方式の中で上記候補と合致するものを上記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式として選択する伝送方式選択手段とを備えるようにしてもよい。これにより、電波強度に基づく候補を出発点として、距離の観点から妥当性を判断させるという作用をもたらす。
【0012】
このとき、上記伝送方式選別手段が上記適合する無線伝送方式として選択可能無線伝送方式および準選択可能無線伝送方式を選別し、上記伝送方式選択手段において、上記候補が選択可能無線伝送方式であれば上記候補を上記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式として選択し、上記候補が準選択可能無線伝送方式であれば選択可能無線伝送方式の中で必要な電波強度が最も低い無線伝送方式を選択するようにしてもよい。これにより、電波強度に基づく候補が距離に適合する場合に適切な無線伝送方式を選択させるという作用をもたらす。
【0013】
また、上記伝送方式選択手段は、上記伝送方式選別手段によって選別された無線伝送方式の中に上記候補と合致するものがない場合には上記選別された無線伝送方式の中で必要な電波強度が最も高い無線伝送方式を選択するようにしてもよい。これにより、電波強度に基づく候補が距離に適合しない場合であっても適切な無線伝送方式を選択させるという作用をもたらす。
【0014】
また、第1の側面において、上記リンク品質判定手段は、誤り率によって上記リンク品質を判定することができる。ここで、誤り率としてはリンクのパケット誤り率を用いることができる。誤り率を基準とした場合には一段階ずつ無線伝送方式を切り替えるのが基本になるが、高い性能を要求される無線伝送方式に切り替える際には距離を考慮することにより性能の低下を回避させるという作用をもたらす。
【0015】
また、誤り率によってリンク品質を判定する場合、上記無線伝送方式決定手段は、上記リンク品質判定手段において上記誤り率により上記リンク品質が第1の閾値よりも良好であると判定された場合には上記無線伝送手段で使用されている無線伝送方式より必要な電波強度の高い無線伝送方式が上記伝送方式選別手段によって選別された無線伝送方式に該当すれば当該必要な電波強度の高い無線伝送方式を上記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式として選択し、上記リンク品質判定手段において上記誤り率により上記リンク品質が第2の閾値よりも劣悪であると判定された場合には上記無線伝送手段で使用されている無線伝送方式より必要な電波強度の低い無線伝送方式を上記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式として選択する伝送方式選択手段を備えるようにしてもよい。これにより、誤り率が第1および第2の閾値に挟まれた範囲外となった際に無線伝送方式を切り替えさせるという作用をもたらす。
【0016】
また、第1の側面において、上記リンク品質判定手段が、電波強度によって上記リンク品質を判定する電波強度判定手段と、誤り率によって上記リンク品質を判定する誤り率判定手段とを備えるようにしてもよく、さらに、上記無線伝送方式決定手段が、上記電波強度に基づいて上記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式の候補を選定する伝送方式候補選定手段と、上記伝送方式選別手段によって選別された無線伝送方式の中で上記候補と合致するものを選択する電波強度基準伝送方式選択手段と、上記リンク品質判定手段において上記誤り率により上記リンク品質が第1の閾値よりも良好であると判定された場合には上記無線伝送手段で使用されている無線伝送方式より必要な電波強度の高い無線伝送方式が上記伝送方式選別手段によって選別された無線伝送方式に該当すれば当該必要な電波強度の高い無線伝送方式を選択し、上記リンク品質判定手段において上記誤り率により上記リンク品質が第2の閾値よりも劣悪であると判定された場合には上記無線伝送手段で使用されている無線伝送方式より必要な電波強度の低い無線伝送方式を選択する誤り率基準伝送方式選択手段と、上記リンク品質判定手段において上記誤り率により上記リンク品質が第1の閾値よりも良好であると判定された場合には上記電波強度基準伝送方式選択手段において選択された無線伝送方式および上記誤り率基準伝送方式選択手段において選択された無線伝送方式を比較して必要な電波強度が高い方を上記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式として選択し、上記リンク品質判定手段において上記誤り率により上記リンク品質が第2の閾値よりも劣悪であると判定された場合には上記電波強度基準伝送方式選択手段において選択された無線伝送方式および上記誤り率基準伝送方式選択手段において選択された無線伝送方式を比較して必要な電波強度が低い方を上記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式として選択する伝送方式比較手段とを備えるようにしてもよい。これにより、電波強度および誤り率を併用した基準により無線伝送方式を選択させるという作用をもたらす。
【0017】
また、本発明の第2の側面は、予め定められた複数の無線伝送方式の1つを使用して通信を行う無線通信装置において、上記通信の相手局との間の距離を測定する手順と、上記通信におけるリンクの品質を判定する手順と、上記測定された距離に基づいて上記複数の無線伝送方式の中から適合するものを選別する手順と、上記選別された無線伝送方式の中から上記通信において使用すべき無線伝送方式を上記リンク品質に応じて決定する手順とを備えることを特徴とする無線通信方式決定方法またはこれらの手順をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムである。これにより、リンク品質に応じて無線伝送方式を決定する際に通信の相手局との間の距離を反映させるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、リンクの状況に応じて無線伝送方式を切り替える際に、無線通信装置間の距離情報を反映させて、切替動作を安定させるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態における無線通信装置100の構成例を示す図である。この無線通信装置100は、無線伝送部110と、リンク品質判定部120と、距離測定部130と、伝送方式選別部140と、伝送方式決定部150とを備える。
【0021】
無線伝送部110は、他の無線通信装置との間の無線通信を行うものである。この無線伝送部110は、予め定められた複数の無線伝送方式の中から1つの無線伝送方式を選択して無線通信を行う。なお、無線伝送部110にはアンテナ109が接続されており、このアンテナ109を通じて他の無線通信装置との間の無線通信が行われる。
【0022】
リンク品質判定部120は、無線伝送部110によるリンク(伝播路)の品質を判定するものである。このリンク品質判定部120は、電波強度判定部121および誤り率判定部122を備えている。電波強度判定部121は、電波強度によってリンク品質を判定するものであり、例えば、信号ノイズ比(SNR:Signal to Noise Ratio)やRSSI(Received Signal Strength Indicator)を基準とする。また、誤り率判定部122は、誤り率によってリンク品質を判定するものであり、例えば、パケット誤り率(PER:Packet Error Rate)を基準とする。
【0023】
距離測定部130は、無線通信の相手局(他の無線通信装置)との間の距離を測定するものである。この距離測定部130における測定方法としては様々なものが考えられる。例えば、あるパケットを相手局に送信した後にそれに対する応答パケットを受信するまでの時間を計測して、各無線通信装置における固有時間を差し引いた時間を「2」で割った値が空間の伝搬時間であるから、これに電波の伝搬速度(=3×108[m/秒])を掛けたものが距離を表すことになる(例えば、特開2004−289815号公報参照)。なお、測定方法はこれに限られず、例えば、GPS(Global Positioning System)等を利用してもよい。
【0024】
伝送方式選別部140は、距離測定部130によって測定された相手局との間の距離に基づいて、無線伝送部110において予め定められた複数の無線伝送方式の中から、その距離に適合する無線伝送方式を選別するものである。一般に、高い伝送速度を実現するためには、無線伝送方式に対して要求される信号ノイズ比は高くなる。これは、無線伝送方式における変調多値数、拡散率、誤り訂正符号化率などに依存するものである。そこで、本発明の実施の形態では、要求される信号ノイズ比の高い順に無線伝送方式に優先順位を設けて、リンク品質に応じて優先順位の高い無線伝送方式を使用する。この伝送方式選別部140ではまず相手局との間の距離に基づいて無線伝送方式を絞り込み、その後、伝送方式決定部150においてリンク品質に応じた無線伝送方式の選択が行われる。
【0025】
すなわち、伝送方式決定部150は、伝送方式選別部140によって選別された無線伝送方式の中から、無線伝送部110において使用すべき無線伝送方式を、リンク品質に応じて決定するものである。この伝送方式決定部150は、伝送方式候補選定部151と、電波強度基準選択部152と、誤り率基準選択部153と、伝送方式比較部154とを備える。
【0026】
この伝送方式決定部150において、伝送方式候補選定部151は、電波強度判定部121によって判定された電波強度に従って、その電波強度に適した無線伝送方式を、無線伝送部110における無線伝送方式の候補として選定するものである。すなわち、この伝送方式候補選定部151は、電波強度が強い場合(例えば、信号ノイズ比が高い場合)には伝送速度の高い(すなわち、要求される信号ノイズ比の高い)無線伝送方式を選定し、電波強度が弱い場合(例えば、信号ノイズ比が低い場合)には伝送速度の低い(すなわち、要求される信号ノイズ比の低い)無線伝送方式を選定する。但し、この伝送方式候補選定部151において選定される無線伝送方式はあくまで候補であり、電波強度基準選択部152において調整される。
【0027】
電波強度基準選択部152は、伝送方式候補選定部151および伝送方式選別部140の出力に基づいて、電波強度を基準として、無線伝送部110において使用すべき無線伝送方式を決定するものである。すなわち、電波強度基準選択部152は、伝送方式候補選定部151において選定された無線伝送方式の候補が、伝送方式選別部140において選別された距離に適合する無線伝送方式と合致するか否かを判断し、その判断結果に応じて無線伝送部110において使用すべき無線伝送方式を決定する。
【0028】
誤り率基準選択部153は、誤り率判定部122および伝送方式選別部140の出力ならびに現在の無線伝送方式に基づいて、誤り率を基準として、無線伝送部110において使用すべき無線伝送方式を決定するものである。すなわち、誤り率基準選択部153は、誤り率判定部122において判定された誤り率に基づいて、リンク品質が良好であれば現在の無線伝送方式よりも伝送速度の高い(すなわち、要求される信号ノイズ比の高い)無線伝送方式を選択し、リンク品質が劣化していれば現在の無線伝送方式よりも伝送速度の低い(すなわち、要求される信号ノイズ比の低い)無線伝送方式を選択する。但し、伝送速度の高い無線伝送方式を選択する際に、その選択しようとする無線伝送方式が伝送方式選別部140において選別された距離に適合する無線伝送方式と合致しない場合には、現在の無線伝送方式を維持する。
【0029】
伝送方式比較部154は、電波強度基準選択部152において選択された無線伝送方式と誤り率基準選択部153において選択された無線伝送方式とを比較して、誤り率判定部122の判定結果に基づいて、何れかを適宜選択するものである。すなわち、伝送方式比較部154は、誤り率判定部122において判定された誤り率に基づいて、リンク品質が良好であれば電波強度基準選択部152において選択された無線伝送方式および誤り率基準選択部153において選択された無線伝送方式のうち伝送速度の高い(すなわち、要求される信号ノイズ比の高い)無線伝送方式を選択し、リンク品質が劣化していれば電波強度基準選択部152において選択された無線伝送方式および誤り率基準選択部153において選択された無線伝送方式のうち伝送速度の低い(すなわち、要求される信号ノイズ比の低い)無線伝送方式を選択する。
【0030】
この実施の形態では、電波強度基準選択部152において選択された無線伝送方式と誤り率基準選択部153において選択された無線伝送方式の何れかを伝送方式比較部154によって選択しているが、電波強度基準選択部152において選択された無線伝送方式または誤り率基準選択部153において選択された無線伝送方式をそのまま無線伝送部110における無線伝送方式として利用してもよい。
【0031】
電波強度を基準として選択された無線伝送方式は、電波強度の瞬時値を採用した場合、極端な値を利用している可能性があり、時間的変動の影響を受けるおそれがある。本発明の実施の形態における電波強度基準選択部152によって選択された無線伝送方式はそのような変動の影響を緩和するものである。これに対して、誤り率を基準として選択された無線伝送方式は、現在の無線伝送方式を中心として段階的に変更していくため、無線伝送方式は徐々に切り替わる。したがって、急激なリンク品質の変化には十分追随できない可能性がある。
【0032】
そこで、本発明の実施の形態では、電波強度を基準として選択された無線伝送方式と誤り率を基準として選択された無線伝送方式とを伝送方式比較部154によって組み合わせて、両者の強みを発揮させている。すなわち、リンク品質が良好な場合には、伝送速度の高い(すなわち、要求される信号ノイズ比の高い)無線伝送方式を選択することにより、無線通信装置間の距離が急激に近くなる場合にも信号ノイズ比の上昇に対して追随できるようになる。一方、リンク品質が劣悪な場合には、伝送速度の低い(すなわち、要求される信号ノイズ比の低い)無線伝送方式を選択することにより、無線通信装置間の距離が急激に遠くなる場合や干渉または妨害電波による信号ノイズ比の低下に対しても追随できるようになる。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態における距離の取扱い例を示す図である。図2(a)のように、2つの無線通信装置、すなわち通信局#Pおよび#Qが無線通信を行う際、相対的に距離XからYの範囲で移動すると想定する。本発明の実施の形態では、距離XからYの範囲をゾーンA、B、C、Dの4つに区分けする。すなわち、距離Xの近傍の範囲をゾーンAとして、距離Yの近傍の範囲をゾーンDとして、その間の範囲をゾーンBおよびCにそれぞれ区分けする。
【0034】
ここで、図2(b)のように、無線通信の際、距離Xの位置から距離Yの位置まで移動したものとする。このとき、信号ノイズ比(SNR)の平均値は、図2(c)のように、移動に伴って低い値から高い値になだらかに遷移する。しかし、実際の信号ノイズ比の瞬時値は不規則な変動を伴うため、長い周期によるサンプリングでは現実的なリンク品質を把握することが困難である。そこで、本発明の実施の形態では、2つの無線通信装置の間の距離とリンク品質との間の相関性に着目して、この距離を利用して無線伝送方式の絞込みを行う。
【0035】
図3は、本発明の実施の形態における距離と無線伝送方式との対応関係の一例を示す図である。ここでは、横方向に4つのゾーンA乃至Dが示されており、縦方向に4つの無線伝送方式A乃至Dが示されている。ゾーンA乃至Dにおいては、上述のように、ゾーンAが最も遠い位置の距離を示し、ゾーンDが最も近い位置の距離を示す。一方、無線伝送方式A乃至Dにおいては、無線伝送方式Aが最も伝送速度の低い(すなわち、要求される信号ノイズ比の最も低い)無線伝送方式を示し、無線伝送方式Dが最も伝送速度の高い(すなわち、要求される信号ノイズ比の最も高い)無線伝送方式を示す。
【0036】
ここで、ゾーンと無線伝送方式の交点の記号は、以下の意味を有する。まず、「◎」および「○」はそのゾーンにおいて選択可能な無線伝送方式であることを意味し、「選択可能無線伝送方式」とよぶ。特に、前者はベースとなる無線伝送方式であり、「基準無線伝送方式」とよぶ。また、「△」はそのゾーンにおいて選択可能な無線伝送方式ではあるが、より望ましい無線伝送方式が存在することを意味し、「準選択可能無線伝送方式」とよぶ。また、「×」はそのゾーンにおいて選択されない無線伝送方式であることを意味し、「不選択無線伝送方式」とよぶ。
【0037】
例えば、ゾーンBにおいては、基準無線伝送方式は無線伝送方式Bであり、標準的には無線伝送方式Bが利用される。ここで、選択可能無線伝送方式としては他にも無線伝送方式Aがあり、リンク品質が劣化した場合には無線伝送方式Aが利用される。
【0038】
また、他の例として、ゾーンDは距離が最も近いことから、標準的には最も伝送速度の高い(すなわち、要求される信号ノイズ比の最も高い)無線伝送方式Dが利用される。この例で、選択可能無線伝送方式としては他にも無線伝送方式A乃至Cがあり、リンク品質が劣化した場合にはこれらの無線伝送方式が適宜利用される。但し、ゾーンDのように近い距離であるにもかかわらず準選択可能無線伝送方式である無線伝送方式Aを選択するのは効率が良くない。したがって、この無線伝送方式Aを選択する根拠に不安定な要素が含まれている場合には、この無線伝送方式Aを選択しないようにする。ここで、不安定な要素を含む根拠とは、例えば、信号ノイズ比(またはRSSI等)の瞬時値を用いて無線伝送方式を選択しようとした場合である。換言すれば、準選択可能無線伝送方式という概念を導入したことによって、瞬時値を利用してリンク品質を推定しても適切な無線伝送方式を選択することができるようになる。
【0039】
図4は、本発明の実施の形態における信号ノイズ比と無線伝送方式の候補との対応関係の一例を示す図である。電波強度判定部121において判定された電波強度に基づいて、伝送方式候補選定部151により無線伝送方式の候補を選定する際には、交点の記号が「○」となっている無線伝送方式が候補として選定される。ここでは、電波強度として信号ノイズ比(図中では「S」と表記)を用いた例が示されている。
【0040】
例えば、信号ノイズ比がS1以下であれば、無線伝送方式Aが候補として選定される。また、信号ノイズ比がS1を超えてS2以下であれば、無線伝送方式Bが候補として選定される。また、信号ノイズ比がS2を超えてS3以下であれば、無線伝送方式Cが候補として選定される。また、信号ノイズ比がS3を超える場合には、無線伝送方式Dが候補として選定される。
【0041】
リンク品質の判定基準として電波強度を用いた場合、図4の対応関係により選定された無線伝送方式の候補が図3の対応関係に合致するか否かを、電波強度基準選択部152が判定して、適切な無線伝送方式を選択する。これに対して、リンク品質の判定基準として誤り率を用いた場合には、現在使用中の無線伝送方式を中心として、誤り率基準選択部153が無線伝送方式の伝送速度(要求される信号ノイズ比)を変更する。
【0042】
図5は、本発明の実施の形態におけるパケット誤り率と無線伝送方式との対応関係の一例を示す図である。この例では、パケット誤り率に対して良好スレショルドおよび劣悪スレショルドを設ける。良好スレショルドとは、リンク品質が良好であると判定できるパケット誤り率の閾値を示すものである。一方、劣悪スレショルドとは、リンク品質が劣悪であると判定できるパケット誤り率の閾値を示すものである。
【0043】
誤り率判定部122における判定の結果、劣悪スレショルドよりもパケット誤り率が高ければ、リンク品質が劣悪であるため、誤り率基準選択部153は、現在の無線伝送方式よりも伝送速度が一段階低い(すなわち、要求される信号ノイズ比が一段階低い)無線伝送方式を選択する。
【0044】
一方、良好スレショルドよりもパケット誤り率が低ければ、リンク品質が良好であるため、誤り率基準選択部153は、現在の無線伝送方式よりも伝送速度が一段階高い(すなわち、要求される信号ノイズ比が一段階高い)無線伝送方式を選択する。但し、その伝送速度が一段階高い無線伝送方式が、図3により説明した不選択無線伝送方式であれば、現在の無線伝送方式がそのまま選択される。
【0045】
なお、パケット誤り率が良好スレショルドよりも高く、かつ、劣悪スレショルドよりも低い場合には、無線伝送方式を変更する必要がないと判断され、現在の無線伝送方式がそのまま選択される。
【0046】
次に本発明の実施の形態における無線通信装置の動作について図面を参照して説明する。
【0047】
図6は、本発明の実施の形態において信号ノイズ比(SNR)を基準として無線伝送方式を選択する場合の処理手順の一例を示す図である。まず、距離測定部130によって相手局との間の距離に関する情報が取得され(ステップS911)、その距離に応じてゾーンが決定される(ステップS912)。
【0048】
また、電波強度判定部121によって信号ノイズ比が取得される(ステップS913)。ここで取得された信号ノイズ比に従って、伝送方式候補選定部151によって無線伝送方式の候補が選定される(ステップS914)。そして、この候補と伝送方式選別部140によって選別された無線伝送方式とが合致するか否かについて、電波強度基準選択部152において以下のように判断される。
【0049】
無線伝送方式の候補が不選択無線伝送方式の場合(ステップS915)、そのゾーンにおける選択可能無線伝送方式のうちで伝送速度の最も高い(すなわち、要求される信号ノイズ比の最も高い)無線伝送方式が選択される(ステップS917)。
【0050】
一方、無線伝送方式の候補が準選択可能無線伝送方式の場合(ステップS916)、そのゾーンにおける選択可能無線伝送方式のうちで伝送速度の最も低い(すなわち、要求される信号ノイズ比の最も低い)無線伝送方式が選択される(ステップS919)。
【0051】
これ以外の場合、すなわち無線伝送方式の候補が選択可能無線伝送方式の場合、その候補が無線伝送方式として選択される(ステップS918)。
【0052】
図7は、本発明の実施の形態においてパケット誤り率(PER)を基準として無線伝送方式を選択する場合の処理手順の一例を示す図である。まず、距離測定部130によって相手局との間の距離に関する情報が取得され(ステップS921)、その距離に応じてゾーンが決定される(ステップS922)。この点は信号ノイズ比を基準とする場合と同様である。
【0053】
次に、誤り率判定部122によってパケット誤り率が取得される(ステップS923)。そして、このパケット誤り率が所定の範囲外にあるか否かについて、誤り率基準選択部153において以下のように判断される。
【0054】
パケット誤り率が良好スレショルドよりも低い場合、すなわちリンク品質が良好である場合(ステップS925)、現在の無線伝送方式よりも伝送速度が一段階高い(すなわち、要求される信号ノイズ比が一段階高い)無線伝送方式が選択される(ステップS928)。但し、その選択しようとする無線伝送方式が不選択無線伝送方式であれば、ステップS928は実行されず(ステップS927)、現在の無線伝送方式がそのまま選択される。
【0055】
一方、劣悪スレショルドよりもパケット誤り率が高い場合、すなわちリンク品質が劣悪な場合(ステップS926)、現在の無線伝送方式よりも伝送速度が一段階低い(すなわち、要求される信号ノイズ比が一段階低い)無線伝送方式が選択される(ステップS929)。
【0056】
図8は、本発明の実施の形態において信号ノイズ比およびパケット誤り率を併用した基準により無線伝送方式を選択する場合の処理手順の一例を示す図である。ここでは、まず図6と同様の手順により信号ノイズ比を基準として無線伝送方式を選択し(ステップS910)、図7と同様の手順により誤り率を基準として無線伝送方式を選択する(ステップS920)。そして、誤り率判定部122によるパケット誤り率が所定の範囲外にあるか否かによって、電波強度を基準として選択された無線伝送方式または誤り率を基準として選択された無線伝送方式が伝送方式比較部154において以下のように選択される。
【0057】
パケット誤り率が良好スレショルドよりも低い場合、すなわちリンク品質が良好である場合(ステップS935)、電波強度を基準として選択された無線伝送方式と誤り率を基準として選択された無線伝送方式とが比較され、伝送速度が高い(すなわち、要求される信号ノイズ比が高い)方の無線伝送方式が選択される(ステップS937)。
【0058】
一方、劣悪スレショルドよりもパケット誤り率が高い場合、すなわちリンク品質が劣悪な場合(ステップS936)、電波強度を基準として選択された無線伝送方式と誤り率を基準として選択された無線伝送方式とが比較され、伝送速度が低い(すなわち、要求される信号ノイズ比が低い)方の無線伝送方式が選択される(ステップS939)。
【0059】
また、パケット誤り率が何れにも該当しない場合には、無線伝送方式の変更はなく、同じ無線伝送方式が引き続き使用される。
【0060】
このように、本発明の実施の形態によれば、距離測定部130において測定された距離に応じて伝送方式選別部140によって選別された無線伝送方式の範囲内で無線伝送方式が決定されるため、リンクの状況に応じて安定した無線伝送方式の切替えを行うことができる。
【0061】
すなわち、信号ノイズ比を基準として無線伝送方式とする場合には、距離に相応した無線伝送方式を選択することにより、瞬時値を用いた推定による影響を緩和することができる。また、パケット誤り率を基準として無線伝送方式とする場合には、伝送速度が一段階高い無線伝送方式を選択しようとする際に距離に相応するか否かを判断することにより、位置の変化に的確に対応することができる。さらに、信号ノイズ比およびパケット誤り率を併用した基準により無線伝送方式を選択する場合には、段階的な変化に限らず一気に距離に相応した無線伝送方式を選択するため、急激な位置の変化に的確に対応することができる。
【0062】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、以下に示すように特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【0063】
すなわち、請求項1において、無線伝送手段は例えば無線伝送部110に対応する。また、距離測定手段は例えば距離測定部130に対応する。また、伝送方式選別手段は例えば伝送方式選別部140に対応する。また、リンク品質判定手段は例えばリンク品質判定部120に対応する。また、無線伝送方式決定手段は例えば伝送方式決定部150に対応する。
【0064】
また、請求項5において、伝送方式候補選定手段は例えば伝送方式候補選定部151に対応する。また、伝送方式選択手段は例えば電波強度基準選択部152に対応する。
【0065】
また、請求項10において、伝送方式選択手段は例えば誤り率基準選択部153に対応する。また、第1の閾値は例えば良好スレショルドに対応する。また、第2の閾値は例えば劣悪スレショルドに対応する。
【0066】
また、請求項11において、電波強度判定手段は例えば電波強度判定部121に対応する。また、誤り率判定手段は例えば誤り率判定部122に対応する。また、伝送方式候補選定手段は例えば伝送方式候補選定部151に対応する。また、電波強度基準伝送方式選択手段は例えば電波強度基準選択部152に対応する。また、誤り率基準伝送方式選択手段は例えば誤り率基準選択部153に対応する。また、第1の閾値は例えば良好スレショルドに対応する。また、第2の閾値は例えば劣悪スレショルドに対応する。また、伝送方式比較手段は例えば伝送方式比較部154に対応する。
【0067】
また、請求項12または13において、通信の相手局との間の距離を測定する手順
は例えばステップS911またはS921に対応する。また、通信におけるリンクの品質を判定する手順は例えばステップS913またはS923に対応する。また、測定された距離に基づいて複数の無線伝送方式の中から適合するものを選別する手順は例えばステップS915、S916またはS927に対応する。また、選別された無線伝送方式の中から通信において使用すべき無線伝送方式をリンク品質に応じて決定する手順は例えばステップS917乃至S919またはS928乃至S929に対応する。
【0068】
なお、本発明の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態における無線通信装置100の構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における距離の取扱い例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における距離と無線伝送方式との対応関係の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における信号ノイズ比と無線伝送方式の候補との対応関係の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるパケット誤り率と無線伝送方式との対応関係の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態において信号ノイズ比を基準として無線伝送方式を選択する場合の処理手順の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態においてパケット誤り率を基準として無線伝送方式を選択する場合の処理手順の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態において信号ノイズ比およびパケット誤り率を併用した基準により無線伝送方式を選択する場合の処理手順の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
100 無線通信装置
109 アンテナ
110 無線伝送部
120 リンク品質判定部
121 電波強度判定部
122 誤り率判定部
130 距離測定部
140 伝送方式選別部
150 伝送方式決定部
151 伝送方式候補選定部
152 電波強度基準選択部
153 誤り率基準選択部
154 伝送方式比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた複数の無線伝送方式の1つを使用して通信を行う無線伝送手段と、
前記通信の相手局との間の距離を測定する距離測定手段と、
前記距離測定手段によって測定された距離に基づいて前記複数の無線伝送方式の中から適合するものを選別する伝送方式選別手段と、
前記通信におけるリンクの品質を判定するリンク品質判定手段と、
前記伝送方式選別手段によって選別された無線伝送方式の中から前記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式を前記リンク品質に応じて決定する無線伝送方式決定手段と
を具備することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記リンク品質判定手段は、電波強度によって前記リンク品質を判定することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記リンク品質判定手段は、前記電波強度として前記リンクの信号ノイズ比を用いることを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記リンク品質判定手段は、前記電波強度として前記リンクのRSSIを用いることを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記無線伝送方式決定手段は、
前記電波強度に基づいて前記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式の候補を選定する伝送方式候補選定手段と、
前記伝送方式選別手段によって選別された無線伝送方式の中で前記候補と合致するものを前記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式として選択する伝送方式選択手段とを備える
ことを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記伝送方式選別手段は、前記適合する無線伝送方式として選択可能無線伝送方式および準選択可能無線伝送方式を選別し、
前記伝送方式選択手段は、前記候補が選択可能無線伝送方式であれば前記候補を前記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式として選択し、前記候補が準選択可能無線伝送方式であれば選択可能無線伝送方式の中で必要な電波強度が最も低い無線伝送方式を選択する
ことを特徴とする請求項5記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記伝送方式選択手段は、前記伝送方式選別手段によって選別された無線伝送方式の中に前記候補と合致するものがない場合には前記選別された無線伝送方式の中で必要な電波強度が最も高い無線伝送方式を選択する
ことを特徴とする請求項5記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記リンク品質判定手段は、誤り率によって前記リンク品質を判定することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記リンク品質判定手段は、前記誤り率として前記リンクのパケット誤り率を用いることを特徴とする請求項8記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記無線伝送方式決定手段は、
前記リンク品質判定手段において前記誤り率により前記リンク品質が第1の閾値よりも良好であると判定された場合には前記無線伝送手段で使用されている無線伝送方式より必要な電波強度の高い無線伝送方式が前記伝送方式選別手段によって選別された無線伝送方式に該当すれば当該必要な電波強度の高い無線伝送方式を前記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式として選択し、前記リンク品質判定手段において前記誤り率により前記リンク品質が第2の閾値よりも劣悪であると判定された場合には前記無線伝送手段で使用されている無線伝送方式より必要な電波強度の低い無線伝送方式を前記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式として選択する伝送方式選択手段を備える
ことを特徴とする請求項8記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記リンク品質判定手段は、
電波強度によって前記リンク品質を判定する電波強度判定手段と、
誤り率によって前記リンク品質を判定する誤り率判定手段とを備え、
前記無線伝送方式決定手段は、
前記電波強度に基づいて前記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式の候補を選定する伝送方式候補選定手段と、
前記伝送方式選別手段によって選別された無線伝送方式の中で前記候補と合致するものを選択する電波強度基準伝送方式選択手段と、
前記リンク品質判定手段において前記誤り率により前記リンク品質が第1の閾値よりも良好であると判定された場合には前記無線伝送手段で使用されている無線伝送方式より必要な電波強度の高い無線伝送方式が前記伝送方式選別手段によって選別された無線伝送方式に該当すれば当該必要な電波強度の高い無線伝送方式を選択し、前記リンク品質判定手段において前記誤り率により前記リンク品質が第2の閾値よりも劣悪であると判定された場合には前記無線伝送手段で使用されている無線伝送方式より必要な電波強度の低い無線伝送方式を選択する誤り率基準伝送方式選択手段と、
前記リンク品質判定手段において前記誤り率により前記リンク品質が第1の閾値よりも良好であると判定された場合には前記電波強度基準伝送方式選択手段において選択された無線伝送方式および前記誤り率基準伝送方式選択手段において選択された無線伝送方式を比較して必要な電波強度が高い方を前記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式として選択し、前記リンク品質判定手段において前記誤り率により前記リンク品質が第2の閾値よりも劣悪であると判定された場合には前記電波強度基準伝送方式選択手段において選択された無線伝送方式および前記誤り率基準伝送方式選択手段において選択された無線伝送方式を比較して必要な電波強度が低い方を前記無線伝送手段において使用すべき無線伝送方式として選択する伝送方式比較手段とを備える
ことを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項12】
予め定められた複数の無線伝送方式の1つを使用して通信を行う無線通信装置において、
前記通信の相手局との間の距離を測定する手順と、
前記通信におけるリンクの品質を判定する手順と、
前記測定された距離に基づいて前記複数の無線伝送方式の中から適合するものを選別する手順と、
前記選別された無線伝送方式の中から前記通信において使用すべき無線伝送方式を前記リンク品質に応じて決定する手順と
を備えることを特徴とする無線通信方式決定方法。
【請求項13】
予め定められた複数の無線伝送方式の1つを使用して通信を行う無線通信装置において、
前記通信の相手局との間の距離を測定する手順と、
前記通信におけるリンクの品質を判定する手順と、
前記測定された距離に基づいて前記複数の無線伝送方式の中から適合するものを選別する手順と、
前記選別された無線伝送方式の中から前記通信において使用すべき無線伝送方式を前記リンク品質に応じて決定する手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−174010(P2007−174010A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365768(P2005−365768)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】