説明

無線通信装置

【課題】安定した通信がなされるとともに、効率のよい伝送を行う。
【解決手段】伝送経路部と、フレーム処理部とを備え、前記伝送経路部は、他の通信装置との間で信号を送受信し前記フレーム処理部に対し前記フレーム処理部との間の通信の使用通信レートを示す情報および前記他の通信装置との間の応答の許容時間を示す情報を送信する無線通信部と、前記フレーム処理部とを接続し、前記フレーム処理部は、前記使用通信レートを示す情報、および、前記他の通信装置との間の応答の許容時間を示す情報を受信し、当該使用通信レート、および、当該他の装置との間の応答の許容時間に基づいて、前記無線通信部と前記フレーム処理部との間の通信に所定時間当たりに割り当てられる通信フレームの数、および、前記通信フレームの順序を決定する、無線通信装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信方式に対応する無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のアンテナで複数系統の放送波を受信する無線通信装置がある。この無線通信装置は、例えば、乗用車等の車両に搭載される。車両に搭載された無線通信装置は、車両のアンテナ部近傍に配置された前段処理部とナビゲーションシステム内部などに配置された後段処理部との間で信号を伝送し、放送波受信や無線通信を行うことができる。放送波には、例えば、AM(Amplitude Modulation)ラジオ放送波、FM(Frequency Modulation)ラジオ放送波、地上デジタルテレビ放送波が含まれる。無線通信には、例えば、無線LAN(Local Area Network)通信、セルラ通信が含まれる。
【0003】
図1は、無線通信装置の例を示す図である。図1の無線通信装置は、アンテナに接続される前段処理部、および、後段処理部を含む。前段処理部は、AM放送波、FM放送波、又は、DTV(Digital Television)放送波を処理する。各前段処理部は、デイジーチェーン接続される。デイジーチェーン接続は、複数の機器を数珠繋ぎにつないでいく配線方法である。1つの前段処理部は、後段処理部と接続される。前段処理部から後段処理部に送信される信号は、当該前段処理部と後段処理部との間にある他の前段処理部を経由して、後段処理部に送られる。また、後段処理部から前段処理部に送信される信号も、後段処理部と当該前段処理部との間にある他の前段処理部を経由して、当該前段処理部に送られる。各前段処理部と後段処理部との間の通信は、例えば、TDD(Time Division Duplex、時分割複信)で行われる。TDDは、通信経路を時間軸で細かく区分し、送信と受信を高速に切り替える通信方法である。通信経路を時間軸で細かく区分されたうちの1つを通信フレーム(フレーム)と呼ぶ。後段処理部は、伝送処理部、復調部、バックエンド処理部を含む。後段処理部のバックエンド処理部は、出力装置に接続される。出力装置には、たとえば、音声信号の出力先であるスピーカ、映像信号の出力先であるディスプレイなどが含まれる。
【0004】
無線通信装置の各前段処理部は、アンテナで受信したAM放送波、FM放送波、又は、DTV放送波の信号を、デジタル信号に変換する。各前段処理部は、変換されたデジタル信号を、時分割された所定の通信フレームに割り付け多重化し、後段処理部に送信する。後段処理部の伝送処理部は、多重化されたデジタル信号を信号系統毎のデジタル信号に分離し、各復調部に送信する。各復調部は、それぞれ、受信したデジタル信号を復調してバックエンド処理部に送信する。バックエンド処理部は、復調された信号を適切に処理して、出力装置に出力する。出力装置としてのスピーカ、ディスプレイなどは、受信した情報を音声や映像などとして出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−294825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1のような無線通信装置の場合、放送波の受信に対応しているため、前段処理部から後段処理部への方向であるダウンリンク方向の通信が支配的となる。前段処理部から後段処理部へのデジタル信号は、後段処理部で各放送波の処理が間に合う速度で、伝送されればよい。よって、前段処理部と後段処理部との間で通信されるデジタル信号に対して、前
段処理部と後段処理部との間の、時分割された通信フレームが、各通信方式に対して、所定の順序で静的に割り当てられ得る。
【0007】
一方、無線通信装置は、無線LAN通信機能、セルラ通信機能を備えることもある。無線LAN通信、セルラ通信は、双方向通信である。通信方式によっては、双方向通信の信号を受信した無線通信装置は、信号を受信してから所定時間内に受領確認(ACK)を返信
することが求められる。
【0008】
図2は、無線LAN通信における、アクセスポイントとステーションとの間の通信シーケンスの例を示す図である。ステーションは、アクセスポイントを介することにより、他の装置と通信できる。ステーションは、オープンシステム認証により、次のように、アクセスポイントから認証を受けることができる。
【0009】
アクセスポイントは、ビーコン(Beacon)を100ms程度の間隔で送信している。ステーションが、アクセスポイントへの通信を行うためにチャネルスキャンをする。ステーションは、アクセスポイントからのビーコン(Beacon)を2回受信すると、当該アクセスポイントに認証要求を送信する。アクセスポイントは、認証要求に対し、受領確認(ACK
)を送信する。ステーションは、認証要求から所定時間内に受領確認が送信されたことを確認する。アクセスポイントは、認証完了を、ステーションに送信する。ステーションは、認証完了に対する受領確認を送信する。アクセスポイントは、認証完了送信から所定時間内に受領確認が送信されたことを確認する。ステーションは、アソシエーション要求をアクセスポイントに送信する。アクセスポイントは、アソシエーション要求に対する受領確認をステーションに送信する。ステーションは、アソシエーション要求から所定時間内に受領確認が送信されたことを確認する。これにより、アクセスポイントとステーションとの間の通信が可能となる。ここで、各受領確認の受信が、受信側の装置で、所定時間内に行われない場合、アクセスポイントとステーションとの間の通信が確立されないことがある。
【0010】
図3は、前段処理部と後段処理部との間の通信における時分割された通信フレームが所定の順序で割り当てられる例を示す図である。図3の例では、AM放送受信機能、FM放送受信機能、DTV放送受信機能、無線LAN通信機能、セルラ通信機能を有する無線通信装置において、前段処理部と後段処理部との間の時分割された通信フレームが、AM放送波等の各通信方式に対して、所定の順序で、割り当てられている。図3の例で、「受」および「送」は、それぞれ、ダウンリンク方向(前段処理部から後段処理部への方向)の信号(受信信号)に割り当てられる通信フレーム、およびアップリンク方向(後段処理部から前段処理部への方向)の信号(送信信号)に割り当てられる通信フレームを示す。
【0011】
多くの通信方式に対して、時分割された通信フレームが割り当てられると、1つの通信方式に割り当てられる通信フレーム同士の時間間隔が大きくなる場合がある。通信フレームの時間間隔が大きくなると、双方向通信における受領確認が所定の許容時間内に送信されないという問題が発生し得る。双方向通信における受領確認が所定の許容時間内に送信されないと、双方向通信の切断等により安定した通信ができなくなるおそれがある。また、データの再送等による通信量の増大にもつながり、通信効率が低下し得る。
【0012】
それぞれの通信方式において、割り当てられる通信フレーム同士の時間間隔は大きくならないことが望ましい。1つの通信方式における通信フレーム同士の時間間隔が大きくなると、コマ落ち等が発生するおそれがあり、通信品質を損なうからである。
【0013】
図3の例では、無線LAN通信の信号は、前段処理部と後段処理部との間の通信で、無線LAN通信に割り当てられた通信フレームでのみ、伝送される。よって、図3の例では
、無線LAN通信の信号は、前段処理部と後段処理部との間で伝送されると、少なくとも時間X1を経過しなければ次の伝送ができない。ここで、無線LAN方式における応答の許容時間が時間X2であるとすると、時間X2が時間X1よりも短い場合、通信相手から応答がなかったものとして無線LAN通信が切断されることがある。
【0014】
また、無線通信装置に搭載される機能は、ユーザの設定等により取捨選択され得る。通信フレームが所定の順序で静的に割り当てられると、ユーザが使用していない機能の通信方式に対して、通信フレームが割り当てられた状態になり、全体的な伝送効率が低下するという問題が発生し得る。
【0015】
本発明は、無線通信装置において、安定した通信がなされるとともに、効率のよい伝送が行われることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
開示の無線通信装置は、以下の手段を採用する。
【0017】
即ち、第1の態様は、
伝送経路部と、フレーム処理部とを備え、
前記伝送経路部は、他の通信装置との間で信号を送受信し前記フレーム処理部に対し前記フレーム処理部との間の通信の使用通信レートを示す情報および前記他の通信装置との間の応答の許容時間を示す情報を送信する無線通信部と、前記フレーム処理部とを接続し、
前記フレーム処理部は、前記使用通信レートを示す情報、および、前記他の通信装置との間の応答の許容時間を示す情報を受信し、当該使用通信レート、および、当該他の装置との間の応答の許容時間に基づいて、前記無線通信部と前記フレーム処理部との間の通信に所定時間当たりに割り当てられる通信フレームの数、および、前記通信フレームの順序を決定する、
無線通信装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、無線通信装置において、安定した通信がなされるとともに、効率のよい伝送が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、無線通信装置の構成例を示す図である。
【図2】図2は、無線LAN通信における、アクセスポイントとステーションとの間の通信シーケンスの例を示す図である。
【図3】図3は、通信フレームが所定の順序で割り当てられる例を示す図である。
【図4】図4は、無線通信装置の例を示す図である。
【図5】図5は、無線通信装置の前段処理部の例を示す図である。
【図6】図6は、無線通信装置の後段処理部の例を示す図である。
【図7】図7は、無線通信装置の動作フローの例を示す図である。
【図8】図8は、後段処理部の記憶部に格納される固有識別情報、通信レート、許容時間の例を示す図である。
【図9】図9は、後段処理部によるフレーム割り当ての例を示す図である。
【図10】図10は、無線通信装置の動作フローの例(1)を示す図である。
【図11】図11は、無線通信装置の動作フローの例(2)を示す図である。
【図12】図12は、後段処理部の記憶部に格納される固有識別情報、通信レート、通信確立前の許容時間、通信確立後の許容時間の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施形態に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0021】
〔実施形態1〕
本実施形態の無線通信装置は、AM放送等の放送波受信機能、および、無線LAN通信等の双方向通信機能を有する。本実施形態の無線通信装置は、アンテナによる信号の送受信を行う通信方式毎の前段処理部と、信号の処理を行う後段処理部とを含む。前段処理部と後段処理部との間の通信は、例えば、TDDにより時分割された通信フレームを使用して行われる。後段処理部は、各前段処理部(各通信方式)に対して、後段処理部と前段処理部との間の通信で使用される時分割された通信フレームを、割り当てる。
【0022】
(構成例)
図4は、無線通信装置の例を示す図である。本実施形態の無線通信装置1は、例えば、乗用車等の車両に搭載される。無線通信装置1の前段処理部20は、例えば、車両のアンテナ10の近傍に配置される。無線通信装置1の後段処理部30は、例えば、車両のナビ
ゲーションシステム内部などに配置される。無線通信装置1は、AM放送波受信機能、FM放送波受信機能、DTV放送波受信機能、無線LAN通信機能、および、セルラ通信機能を有する。これらの各機能は、ユーザ等の都合により、取捨選択可能である。例えば、ユーザによっては、無線通信装置1に、DTV放送受信機能、無線LAN無線機能、セルラ通信機能のみが搭載されることもある。また、無線通信装置1に搭載された、一部の機能を任意に停止することも可能である。無線通信装置1には、他の通信方式による機能が搭載され得る。
【0023】
無線通信装置1は、通信方式毎に電波を送受信する前段処理部20(201〜205)と、受信した信号を復調し、送信する信号を変調する後段処理部30とを含む。各前段処理部20(201〜205)は、対応するアンテナ10(101〜105)に接続される。後段処理部30は、モニタ410、スピーカ420、セルラ430、PC(Personal Computer)440等の出力装置40に接続される。各前段処理部20は、同軸ケーブル、
光ケーブル等の信号線によって、デイジーチェーン接続される。後段処理部30は、1つの前段処理部20と、同軸ケーブル、光ケーブル等の信号線によって接続される。前段処理部20の通信方式には、AM放送、FM放送、地上デジタル放送などの放送、及び、セルラ、無線LANなどの双方向通信が含まれる。各前段処理部と後段処理部との間の通信は、例えば、TDD(Time Division Duplex、時分割複信)で行われる。TDDは、通信経路を時間軸で細かく区分し、送信と受信を高速に切り替える通信方法である。前段処理部20と後段処理部30との間の通信レート、および、各前段処理部20間の通信レートは、例えば、4Gbpsである。前段処理部20と後段処理部30との間の通信、および、各前段処理部20間の通信は、例えば、通信フレーム毎に行われる。1通信フレームは、例えば、ヘッダ部2バイト、データ部436バイト、フッタ部2バイトである。
【0024】
アンテナ10で受信された信号は、無線通信装置1で処理され、例えば、音声等となってスピーカ401等の出力装置40から出力される。
【0025】
アンテナ10には、AM放送波を受信するアンテナ101、FM放送波を受信するアンテナ102、地上デジタルテレビ放送波を受信するアンテナ103、セルラの電波を送受信するアンテナ104、無線LANの電波を送受信するアンテナ105等がある。各アンテナ10は、それぞれ、対応する前段処理部20に接続される。アンテナは、通信方式毎に設置され得る。また、アンテナ10は、異なる通信方式同士で共用されてもよい。
【0026】
図5は、無線通信装置の前段処理部の例を示す図である。各前段処理部20は、それぞれ、アンテナ10に接続される。前段処理部20は、前段処理部201、前段処理部202、前段処理部203、前段処理部204、前段処理部205の順に、デイジーチェーン接続される。前段処理部205は、後段処理部30に接続される。後段処理部30は、モニタ410、スピーカ420、セルラ430、PC(Personal Computer)440等の出
力装置40に接続される。出力装置40は、入力機能を有することができる。
【0027】
前段処理部201は、AM放送波に対応する。前段処理部201は、受信用の、高周波増幅部2011、周波数変換部2012、BPF(Band Pass Filter)2013、ADC(Analog Digital Converter)2014、伝送処理部2015を含む。
【0028】
高周波増幅部2011は、アンテナ101で受信された高周波信号を増幅する。周波数変換部2012は、高周波増幅部2011で増幅された高周波信号を中間周波信号に変換(ダウンコンバート)する。BPF(Band Pass Filter、バンドパスフィルタ)2013は、所望の周波数成分の信号を通過させる。ADC(Analog Digital Converter)2014は、アナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0029】
伝送処理部2015は、隣接する他の前段処理部20に接続される。伝送処理部2015は、接続される他の前段処理部20との間で信号の送受信を行う。伝送処理部2015は、後段処理部30からフレームの割り当て情報を受信する。伝送処理部2015は、後段処理部30から割り当てられたフレームで、ADC2014で変換されたデジタル信号を隣接する他の前段処理部20に送信する。
【0030】
伝送処理部2015は、後段処理部30から、他の前段処理部20を経由して、サーチ信号を受信する。伝送処理部2015は、サーチ信号に対する応答として、後段処理部30に、自前段処理部201の固有識別情報を送信する。固有識別情報は、前段処理部201を識別する情報、通信方式を識別する情報が含まれ得る。伝送処理部2015は、固有識別情報とともに、前段処理部201の、送信の通信レート、受信の通信レート、応答までの許容時間等を後段処理部30に送信する。
【0031】
伝送処理部2015は、PRBS(Pseudo-random bit sequence)生成部を有する。PRBS生成部は、擬似ランダムビット列を生成する。PRBS生成部が生成した擬似ランダムビット列は、後段処理部30からの指示によりAM放送受信機能が停止されたとき、AM放送による信号の代わりに出力され得る。擬似ランダムビット列を出力するのは、所定の値が連続することによる通信への影響が生じないようにするためである。
【0032】
図5の例では、伝送処理部2015は、前段処理部202の伝送処理部2025に接続される。
【0033】
前段処理部202は、FM放送波に対応する。前段処理部202は、FM放送波の周波数帯に対応した、受信用の、高周波増幅部2021、周波数変換部2022、BPF2023、ADC2024、伝送処理部2025を含む。前段処理部202は、前段処理部201と同様の構成を有する。伝送処理部2025は、伝送処理部2015および伝送処理部2035に接続される。
【0034】
前段処理部203は、DTV放送波に対応する。前段処理部203は、DTV放送波の周波数帯に対応した、受信用の、高周波増幅部2031、周波数変換部2032、BPF2033、ADC2034、伝送処理部2035を含む。前段処理部203は前段処理部201と同様の構成を有する。伝送処理部2035は、伝送処理部2025および伝送処
理部2045に接続される。
【0035】
前段処理部204は、無線LANに対応する。前段処理部204は、双方向通信を行う。前段処理部204は、無線LAN通信の周波数帯に対応に対応した、受信用の、高周波増幅部2041、周波数変換部2042、BPF(Band Pass Filter)2043、ADC(Analog Digital Converter)2044、伝送処理部2045を含む。また、前段処理部204は、無線LAN通信の周波数帯に対応に対応した、送信用の、高周波増幅部2141、周波数変換部2142、BPF2143、DAC(Digital Analog Converter)、伝送処理部2145を含む。前段処理部204は、スイッチ2046を有する。
【0036】
高周波増幅部2041は、アンテナで受信された高周波信号を増幅する。周波数変換部2042は、高周波増幅部2041で増幅された高周波信号を中間周波信号に変換(ダウンコンバート)する。BPF(Band Pass Filter、バンドパスフィルタ)2043は、所望の周波数成分の信号を通過させる。ADC(Analog Digital Converter)2044は、アナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0037】
受信用の伝送処理部2045は、隣接する他の前段処理部20に接続される。また、伝送処理部2045は、伝送処理部2145と接続される。伝送処理部2045は、接続される他の前段処理部20または伝送処理部2145との間で信号の送受信を行う。伝送処理部2045は、後段処理部30からフレームの割り当て情報を受信する。伝送処理部2045は、後段処理部30から前段処理部204に割り当てられたフレームで、ADC2044で変換されたデジタル信号を伝送処理部2145に送信する。
【0038】
送信用の伝送処理部2145は、隣接する他の前段処理部20に接続される。また、伝送処理部2145は、伝送処理部2045と接続される。伝送処理部2145は、接続される他の前段処理部20または伝送処理部2045との間で信号の送受信を行う。伝送処理部2145は、後段処理部30からフレームの割り当て情報を受信する。伝送処理部2145は、後段処理部30から前段処理部204に割り当てられたフレームの信号を、DAC2144に送信する。
【0039】
伝送処理部2045および伝送処理部2055は、それぞれ、PRBS(Pseudo-random bit sequence)生成部を有する。伝送処理部2045および伝送処理部2055のPRBS生成部は、前段処理部204の無線LAN機能が停止した場合、擬似ランダムビット列を出力することができる。
【0040】
DAC(Digital Analog Converter)2144は、伝送処理部2145から送信されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。BPF2143は、所望の周波数成分の信号を通過させる。周波数変換部2142は、BPF2143を通過した信号を高周波信号に変換(アップコンバート)する。高周波増幅器2141は、周波数変換部2142で変換された信号を増幅する。
【0041】
スイッチ2046は、アンテナ104を高周波増幅部2041又は高周波増幅部2141に接続する。スイッチ2046は、受信時に、アンテナ104を高周波増幅部2041に接続し、送信時に、アンテナ104を高周波増幅部2141に接続する。
【0042】
前段処理部205は、セルラに対応する。前段処理部205は、セルラの周波数帯に対応した、受信用の、高周波増幅部2051、周波数変換部2052、BPF2053、ADC2054、伝送処理部2055を含む。前段処理部205は、セルラの周波数帯に対応した、送信用の、高周波増幅部2151、周波数変換部2152、BPF2153、ADC2154、伝送処理部2155を含む。前段処理部205は、前段処理部204と同
様の構成を有する。伝送処理部2155は、後段処理部30に接続される。
【0043】
前段処理部20は、ユーザの都合などにより増減可能である。無線通信装置1に、上に挙げたAM放送波受信機能等以外の機能を有する前段処理部が、含まれてもよい。
【0044】
図6は、無線通信装置の後段処理部の例を示す図である。後段処理部30は、前段処理部20に接続される。後段処理部30は、モニタ410、スピーカ420、セルラ430、PC440等の出力装置40に接続される。
【0045】
後段処理部30は、伝送処理部310、復調部320、変調部321、バックエンド処理部330、記憶部340を含む。復調部321乃至復調部325は、それぞれ、AM放送波、FM放送波、DTV放送波、無線LAN、セルラに対応する。
【0046】
伝送処理部310は、無線通信装置1の電源が投入されると、接続されている前段処理部20を検索する。具体的には、伝送処理部310は、各前段処理部20に対し、サーチ信号を送信する。伝送処理部310は、サーチ信号に対する応答として、接続されているすべての前段処理部20から、固有識別情報等を受信する。伝送処理部310は、記憶部340に受信した固有識別情報等を格納する。固有識別情報等には、前段処理部20を識別する情報、通信方式を識別する情報、送信の通信レート、受信の通信レート、応答までの許容時間等が含まれ得る。
【0047】
伝送処理部310は、受信した固有識別情報等に基づいて、各前段処理部20に対するフレームの割り当てを決定する。特に、伝送処理部310は、応答までの許容時間を有する前段処理部に対しては、許容時間内に応答できるようにフレームの割り当てを決定する。前段処理部310は、決定したフレーム割り当てを各前段処理部20に送信する。
【0048】
伝送処理部310は、各前段処理部20に対して送信したフレーム割り当てに対する受領確認を、すべての前段処理部20から受信すると、フレーム割り当てに基づく信号伝送を開始する。伝送処理部310は、各前段処理部20との間で信号の送受信を行う。
【0049】
伝送処理部310は、前段処理部205から受信したデジタル信号をフレーム割り当てに従い、通信方式毎のデジタル信号に分離する。伝送処理部310は、分離したデジタル信号を、受信した固有識別情報等に基づいて適切な復調部320に送信する。また、伝送処理部310は、変調部321から受信した信号を、フレーム割り当てに従って、送信の通信フレームに格納し、前段処理部20に送信する。
【0050】
伝送処理部310は、ユーザ等の操作による機能のON(稼動)又はOFF(停止)を検出すると、フレーム割り当てを新たに決定し、新たなフレーム割り当てを各前段処理部20に通知する。伝送処理部310は、各前段処理部20に送信した新たなフレーム割り当てに対する受領確認を、すべての前段処理部20から受信すると、新たなフレーム割り当てに基づく信号伝送を開始する。
【0051】
復調部320は、受信した信号を復調する。復調部3201は、AM放送波による信号を復調する。復調部3202は、FM放送波による信号を復調する。復調部3203は、DTV放送波による信号を復調する。復調部3204は、無線LANによる信号を復調する。復調部3205は、セルラによる信号を復調する。
【0052】
変調部321は、アンテナ10から送信する信号を変調する。変調部3214は、無線LANによる信号を変調する。この変調部3214で変調された信号は、伝送処理部310から、前段処理部204に向けて送信される。前段処理部204は、受信した信号を処
理して、アンテナ104から送信する。変調部3215は、セルラによる信号を変調する。変調部3215で変調された信号は、伝送処理部310から、前段処理部204に向けて送信される。前段処理部205は、受信した信号を処理して、アンテナ105から送信する。
【0053】
バックエンド処理部330は、復調部320で復調された信号を、各出力装置40に出力する。バックエンド処理部330は、アンテナ10から送信する無線LANの信号、セルラの信号の処理を行う。
【0054】
前段処理部20と後段処理部30との間、及び、隣接する前段処理部20同士の間の伝送経路には、例えば、光ケーブル、同軸ケーブル等の信号線が使用され得る。
【0055】
(動作例)
図7は、無線通信装置の動作フローの例を示す図である。無線通信装置1の電源が投入されることを契機に図7の動作フローは開始される。無線通信装置1の電源は、例えば、車両のACC(Accessory)をONにすることにより、投入される。
【0056】
後段処理部30は、接続されている前段処理部20を検索する(S101)。後段処理部30は、前段処理部20にサーチ信号を送信することにより、接続されている前段処理部20を検索する。
【0057】
各前段処理部20は、後段処理部30からサーチ信号を受信すると、後段処理部30に自己の固有識別情報を送信する(S102)。固有識別情報は、前段処理部20を他の前段処理部20と識別する情報である。各前段処理部20は、固有識別情報とともに、通信レート及び許容時間を送信する。通信レートは、各前段処理部20が、後段処理部30との間で、必要とされる、所定時間に送信するデータ量および受信するデータ量である。許容時間は、双方向通信を行う前段処理部20において設定される。許容時間は、信号を送信してから応答完了するまでに許容される時間である。無線LAN通信の場合、例えば、他の装置が信号を送信し、アンテナ104で信号を受信し、無線通信装置1が当該信号を処理し、アンテナ104から応答信号を送信し、当該他の装置で当該応答信号を受信するまでに許容される時間である。信号を送信してから応答完了までが、許容時間を超える場合、通信相手先が応答しないと判断され、通信が確立できなかったり、通信が切断されたりすることがある。許容時間は、主として、通信方式に依存する。
【0058】
後段処理部30の伝送処理部310は、各前段処理部20から固有識別情報、通信レート、許容時間を受信する。伝送処理部310は、受信した固有識別情報、通信レート、許容時間を記憶部340に格納する。
【0059】
図8は、後段処理部の記憶部に格納される固有識別情報、通信レート(受信Rx、送信Tx)、許容時間の例を示す図である。これらの情報は、各前段処理部20から後段処理部30に送信される。例えば、固有識別情報が「AM放送a」であるものは、AM放送受信機能を有する前段処理部201を示す。前段処理部201の受信の通信レートは20Mbps、送信の通信レートは1Mbpsである。AM放送に対応する前段処理部201は、アンテナから信号を送信することはないが、送信の通信レートが0でないのは、後段処理部30から前段処理部201に対して、制御信号を送信することがあるからである。同様の理由により、FM放送、DTV放送に対応する前段処理部の、送信の通信レートは、0でない。また、AM放送等の放送波受信に対応する前段処理部は、許容時間を有しない。放送波受信に対応する前段処理部は所定時間内に応答することはないからである。
【0060】
図7に戻って、後段処理部30の伝送処理部310は、各前段処理部20に対するフレ
ームの割り当てを決定する(S103)。即ち、伝送処理部310は、各前段処理部20との間の信号の送信または受信に使用する所定時間当たりのフレームの数、および、順序を決定する。伝送処理部310は、所定のフレーム数のフレームに対する、フレーム割り当てを行う。このとき、伝送処理部310は、通信レート、許容時間に基づいて、フレーム割り当てを決定する。最初に、伝送処理部310は、所定時間内に所定のデータ量を送受信できるように、各前段処理部20が必要とする通信レートから、各前段処理部20に割り当てる所定時間当たりのフレームの数を決定する。次に、伝送処理部310は、許容時間を有する前段処理部に対しては許容時間内に双方向通信が行えるように、フレームの順序を決定する。後段処理部30は、無線通信装置1と相手先の装置との間の伝送時間、無線通信装置1での信号の処理時間等を含めて、許容時間内に双方向通信が行えるように、フレームを割り当てることができる。
【0061】
フレームの順序の決定において、伝送処理部310は、例えば、最初に、許容時間を有する前段処理部20に対して、許容時間内に双方向通信が行えるようにフレームを割り当てる。伝送処理部310は、許容時間を有する前段処理部20の中で、許容時間が小さいものから順番に、フレームを割り当てる。例えば、伝送処理部310は、前段処理部204と前段処理部205とでは、許容時間の小さい前段処理部204からフレームを割り当てる。その後、伝送処理部310は、許容時間を有しない前段処理部20に対して、フレームを割り当てる。これにより、許容時間を有する前段処理部20に対しては、許容時間内に双方向通信が行え、かつ、要求される通信レートを満たすようにフレームを割り当てられる。また、許容時間を有しない前段処理部20に対しては、要求される通信レートを満たすフレームを割り当てられる。
【0062】
後段処理部30の伝送処理部310は、決定したフレーム割り当てを、各前段処理部20に送信する(S104)。
【0063】
各前段処理部20は、後段処理部30からフレーム割り当てを受信すると、後段処理部30に対し、受領確認(ACK)を送信する。後段処理部30は、すべての前段処理部20から受領確認を受信したか否かを確認する(S105)。後段処理部30がすべての前段処理部20から受領確認を受信していない場合(S105;NO)、処理がステップS104に戻る。
【0064】
後段処理部30がすべての前段処理部20から受領確認を受信した場合(S105;YES)、前段処理部20及び後段処理部30は、前段処理部20と後段処理部30との間で、決定したフレーム割り当てに従って、信号伝送を開始する(S106)。例えば、前段処理部201は、アンテナ101で受信した信号を高周波増幅部2011等で処理する。高周波増幅部2011等で処理された信号は、後段処理部30から前段処理部201に受信用(ダウンリンク用)として割り当てられたフレームを利用して、伝送処理部2015から後段処理部30に向けて送信される。
【0065】
図9は、後段処理部によるフレーム割り当ての例を示す図である。無線LANにおける許容時間が時間Y2であるとする。図9の例では、無線LANの信号を受信してから、無線LANの信号を送信完了するまでの時間が時間Y1となるようにフレームが割り当てられている。時間Y1が、無線LANにおける許容時間である時間Y2より短いため、無線通信装置1と外部装置との間の無線LAN通信は正常に行われる。
【0066】
図7に戻って、後段処理部30は、ユーザの操作等により、前段処理部20のいずれかが新たにON状態またはOFF状態にされたかを確認する(S107)。ON状態とは、機能が動作している状態である。OFF状態とは、機能が停止している状態である。前段処理部20のいずれかが新たにON状態又はOFF状態にされた場合(S107;YES
)、処理がステップS103に戻り、後段処理部30は、機能が動作している前段処理部20に対し、新たにフレーム割り当てを行う。これにより、例えば、応答の許容時間が短い通信方式で動作する前段処理部20が新たに動作した場合であっても、適切に通信フレームを割り当てられる。前段処理部20のいずれかが新たにON状態又はOFF状態にされていない場合(S107;NO)、即ち、前段処理部20の状態に変化がない場合、ステップS107の処理が繰り返される。前段処理部20と後段処理部30との通信は、割り当てられたフレームに基づいて、継続される。
【0067】
(実施形態1の作用効果)
実施形態1によると、無線通信装置1は、通信方式に依存する許容時間に応じて、通信フレームを割り当てる。また、無線通信装置1は、前段処理部20の状態が変化した場合、新たに通信フレームを割り当てる。即ち、無線通信装置1は、例えば、比較的短い応答の許容時間を要求する新たな前段処理部20が追加された場合であっても、適切に通信フレームを割り当てられる。
【0068】
実施形態1によれば、無線通信装置1において、多くの通信方式が混在する場合であっても、応答の許容時間が短い通信を優先させることで、双方向通信の通信を確立させ、維持させることができる。また、応答の許容時間内に通信できることで、通信のタイムアウトが発生しにくくなり、データの再送信の発生が抑制される。無線通信装置1において、安定した通信がなされるとともに、効率の良い伝送を行うことができる。
【0069】
〔実施形態2〕
次に実施形態2について説明する。実施形態2は、実施形態1との共通点を有する。従って、主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0070】
本実施形態では、無線通信装置1と他の通信装置との間の通信が確立する前後で、異なる許容時間を採用する。
【0071】
(構成例)
本実施形態の無線通信装置は、実施形態1の無線通信装置1と同様の構成である。
【0072】
(動作例)
図10および図11は、無線通信装置の動作フローの例を示す図である。図10の「A」および「B」は、それぞれ、図11の「A」および「B」に接続する。無線通信装置1の電源が投入されることを契機に図10および図11の動作フローは開始される。無線通信装置1の電源は、例えば、車両のACC(Accessory)をONにすることにより、投入
される。
【0073】
後段処理部30は、接続されている前段処理部20を検索する(S201)。後段処理部30は、前段処理部20にサーチ信号を送信することにより、接続されている前段処理部20を検索する。
【0074】
各前段処理部20は、後段処理部30からサーチ信号を受信すると、後段処理部30に自己の固有識別情報を送信する(S202)。各前段処理部20は、固有識別情報とともに、通信レート及び通信確立前の許容時間および通信確立後の許容時間を送信する。通信確立前の許容時間は、無線通信装置1と他の装置との間の通信が確立する前の、信号を受信してから応答完了するまでに許容される時間である。信号を送信してから応答完了までが、通信確立前の許容時間を超える場合、通信が確立されないことがある。通信確立後の許容時間は、無線通信装置1と他の装置との間の通信が確立した後の、信号を送信してから応答完了するまでに許容される時間である。信号を送信してから応答完了までが、通信
確立後の許容時間を超える場合、通信が切断されることがある。通信確立後の許容時間は、通信確立前の許容時間より長いことが多い。従って、通信確立後の許容時間を、通信確立前の許容時間より長く設定することで、通信確立後には、フレーム割り当ての自由度を大きくすることができる。つまり、通信確立後は、各通信方式において、より等間隔になるようにフレームを割り当てることができ、通信の安定化を図ることができる。また、無線通信装置1から他の通信装置への方向であるアップリンク方向と、他の通信装置から無線通信装置1への方向であるダウンリンク方向とで、異なる許容時間が設定されてもよい。
【0075】
後段処理部30の伝送処理部310は、各前段処理部20から、固有識別情報、通信レート、通信確立前の許容時間、通信確立後の許容時間を受信する。伝送処理部310は、受信した固有識別情報、通信レート、許容時間を記憶部340に格納する。
【0076】
図12は、後段処理部の記憶部に格納される固有識別情報、通信レート(受信Rx、送信Tx)、通信確立前の許容時間、通信確立後の許容時間の例を示す。これらの情報は、各前段処理部20から後段処理部30に送信される。例えば、固有識別情報が「無線LANd」であるものは、無線LAN通信機能を有する前段処理部204を示す。前段処理部204の受信の通信レートは500Mbps、送信の通信レートは500Mbpsである。また、通信確立前の許容時間は10μs、通信確立後の許容時間は100μsである。
【0077】
図10に戻って、後段処理部30の伝送処理部310は、フレームの割り当てを決定する(S203)。このとき、伝送処理部310は、通信レート、通信確立前の許容時間に基づいて、フレーム割り当てを決定する。伝送処理部310は、所定時間内に所定のデータ量を送受信でき、かつ、許容時間を有する前段処理部に対しては許容時間内に双方向通信が行えるように、フレームを割り当てる。ここでのフレームの割り当ては、実施形態1の場合と同様にできる。
【0078】
後段処理部30の伝送処理部310は、決定したフレーム割り当てを、各前段処理部20に送信する(S204)。
【0079】
各前段処理部20は、後段処理部30からフレーム割り当てを受信すると、後段処理部30に対し、受領確認(ACK)を送信する。後段処理部30は、すべての前段処理部20から受領確認を受信したか否かを確認する(S205)。後段処理部30がすべての前段処理部20から受領確認を受信していない場合(S205;NO)、処理がステップS204に戻る。
【0080】
後段処理部30がすべての前段処理部20から受領確認を受信した場合(S205;YES)、前段処理部20及び後段処理部30は、前段処理部20と後段処理部30との間で、決定したフレーム割り当てに従って、信号伝送を開始する(S206)。
【0081】
後段処理部30は、双方向通信を行う前段処理部(204および205)と他の装置との間の通信が確立したか否かを確認する(S207)。後段処理部30は、例えば、バックエンド処理部330が他の装置への認証要求に対する受領確認(ACK)を受信したことにより、通信の確立を認識することができる。他の装置との通信が確立しない場合(S207;NO)、ステップS203で割り当てたフレーム割り当てに基づいて、通信を継続する。他の装置との間の通信が確立した場合(S207;YES)、後段処理部30の伝送処理部310は、再びフレームの割り当てを決定する(S208)。このとき、伝送処理部310は、通信レート、通信確立後の許容時間に基づいて、フレーム割り当てを決定する。ここでのフレームの割り当ては、実施形態1の場合と同様にできる。
【0082】
ここで、他の装置との通信が確立した場合(S207;YES)、後段処理部30は、通信が確立した前段処理部20対して、通信確立後の応答の許容時間を要求して、通信確立後の応答の許容時間を取得してもよい。
【0083】
後段処理部30の伝送処理部310は、決定したフレーム割り当てを、各前段処理部20に送信する(S209)。
【0084】
各前段処理部20は、後段処理部30からフレーム割り当てを受信すると、後段処理部30に対し、受領確認(ACK)を送信する。後段処理部30は、すべての前段処理部20から受領確認を受信したか否かを確認する(S210)。後段処理部30がすべての前段処理部20から受領確認を受信していない場合(S210;NO)、処理がステップS209に戻る。
【0085】
後段処理部30がすべての前段処理部20から受領確認を受信した場合(S210;YES)、前段処理部20及び後段処理部30は、前段処理部20と後段処理部30との間で、ステップS208で決定したフレーム割り当てに従って、信号伝送を開始する(S211)。
【0086】
後段処理部30は、前段処理部20のいずれかが新たにON状態又はOFF状態にされたかを確認する(S212)。ON状態とは、機能が動作している状態である。OFF状態とは、機能が停止している状態である。前段処理部20のいずれかが新たにON状態またはOFF状態にされた場合(S212;YES)、処理がステップS203に戻る。後段処理部30は、機能が動作している前段処理部に対し、新たにフレーム割り当てを行う。前段処理部20のいずれかが新たにON状態又はOFF状態にされていない場合(S2127;NO)、即ち、前段処理部20の状態に変化がない場合、ステップS212の処理が繰り返される。
【0087】
(実施形態2の作用効果)
実施形態2によると、無線通信装置1は、他の装置のとの、通信の確立の前において、通信方式に依存する通信確立前の許容時間に応じて、通信フレームを割り当てる。また、無線通信装置1は、他の装置のとの、通信の確立の後において、通信確立後の許容時間に応じて、新たに通信フレームを割り当てる。
【0088】
実施形態2によれば、無線通信装置1において、双方向通信の通信確立後に、より安定した伝送を行うことができる。
【符号の説明】
【0089】
無線通信装置 1
アンテナ 10
前段処理部 20
前段処理部(AM放送) 201
高周波増幅部 2011
周波数変換部 2012
BPF 2013
ADC 2014
伝送処理部 2015
前段処理部(FM放送) 202
前段処理部(地上デジタル放送) 203
前段処理部(無線LAN) 204
高周波増幅部 2041
周波数変換部 2042
BPF 2043
ADC 2044
伝送処理部 2045
高周波増幅部 2141
周波数変換部 2142
BPF 2143
DAC 2144
伝送処理部 2145
前段処理部(セルラ) 205
後段処理部 30
伝送処理部 310
復調部 320
変調部 321
バックエンド処理部 330
記憶部 340
出力装置 40
モニタ 410
スピーカ 420
セルラ 430
PC 440

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送経路部と、フレーム処理部とを備え、
前記伝送経路部は、他の通信装置との間で信号を送受信し前記フレーム処理部に対し前記フレーム処理部との間の通信の使用通信レートを示す情報および前記他の通信装置との間の応答の許容時間を示す情報を送信する無線通信部と、前記フレーム処理部とを接続し、
前記フレーム処理部は、前記使用通信レートを示す情報、および、前記他の通信装置との間の応答の許容時間を示す情報を受信し、当該使用通信レート、および、当該他の装置との間の応答の許容時間に基づいて、前記無線通信部と前記フレーム処理部との間の通信に所定時間当たりに割り当てられる通信フレームの数、および、前記通信フレームの順序を決定する、
無線通信装置。
【請求項2】
前記フレーム処理部は、前記無線通信部と前記フレーム処理部との間の通信に割り当てられる通信フレームの時間間隔が、前記応答の許容時間以内となる、前記通信フレームの順序を決定する請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記無線通信部は、前記フレーム処理部に対し、前記他の通信装置との間の通信確立前の応答の許容時間を示す情報、および、前記他の通信装置との間の通信確立後の応答の許容時間を示す情報、を送信し、
前記フレーム処理部は、前記他の通信装置との間の通信確立前の応答の許容時間を示す情報、および、前記他の通信装置との間の通信確立後の応答の許容時間を示す情報、を受信し、前記他の通信装置との接続が確立していない場合、前記無線通信部と前記フレーム処理部との間の通信に割り当てられる通信フレームの時間間隔が、前記通信確立前の応答の許容時間以内となる、前記通信フレームの順序を決定し、前記他の通信装置との接続が確立している場合、前記無線通信部と前記フレーム処理部との間の通信に割り当てられる通信フレームの時間間隔が、前記通信確立後の応答の許容時間以内となる、前記通信フレームの順序を決定する請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記フレーム処理部は、前記伝送経路部上で通信可能な無線通信部を探索するサーチ信号を送信し、
前記無線通信部は、前記サーチ信号に対する応答として、前記無線通信部を識別する情報とともに、前記使用通信レートを示す情報、および、前記他の通信装置との間の応答の許容時間を示す情報を、前記フレーム処理部に送信する、
請求項1に記載の無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−234077(P2011−234077A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101868(P2010−101868)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】