説明

無線電話システム

【課題】 自由に周波数を選択できかつ安価に構成可能な無線電話システムを提供する。
【解決手段】 少なくとも増幅器8と分配器5とを有するテレビジョン用アンテナ分配システムを利用した無線電話システムであって、分配器5に接続された複数のアンテナ分配用の同軸ケーブル10と、同軸ケーブル10に接続されたテレビジョン装置7と、同軸ケーブル10にスプリッタ2を介して接続され、かつ電話の音声信号を電波信号に変換する変換装置1と、変換装置1に接続された電話機3を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電話システムに関し、特に、家庭用の内線電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、内線電話システムを構築する場合、各電話機と交換装置を接続してシステムを構成する。また、一般家庭では、ケーブルの代わりにコードレス電話システム(1台の親機に複数の子機)を利用して無線にて内線電話を構成している。
【0003】
各電話機と交換装置を接続してシステムを構成する場合、各電話機間は電話専用の回線を用意する必要があり、交換機は複雑な切り替え制御が必要となる。
【0004】
また、コードレス電話システムを利用して無線にて内線電話を構成する場合、親機が子機を制御しており、また、許可された無線周波数は一般的に限られているため親機が無線チャネルの切り替え処理とチャネルの空き確認が必要で複雑になってしまう。
【0005】
また、関連する技術として、特開平4−367148号公報(特許文献1)があるが、この方式では音声信号の有無でトーンを切り替えているので単一の話し手しか送信できないという問題がある。
【0006】
このように、現状では、内線電話システムを構築する場合には、必要な回線分の電話回線を引くか無線電話を利用する。電話回線を引く場合、あとから引くことが難しい。一方、無線電話(例えば、コードレスホン)では使用できる周波数が限られているので同時に複数の子機同士で通話することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−367148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述した従来技術の課題を解決するための技術を提供することにあり、自由に周波数を選択できかつ安価に構成可能な無線電話システム及び無線機器システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、少なくとも増幅器と分配器とを有するテレビジョン用アンテナ分配システムを利用した無線電話システムであって、
前記分配器に接続された複数のアンテナ分配用の同軸ケーブルと、
前記同軸ケーブルに接続されたテレビジョン装置と、
前記同軸ケーブルにスプリッタを介して接続され、かつ電話の音声信号を電波信号に変換する変換装置と、
前記変換装置に接続された電話機を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の態様は、少なくとも分配器を有するテレビジョン用アンテナ分配システムを利用した無線機器システムであって、
前記分配器に接続された複数のアンテナ分配用の同軸ケーブルと、
前記同軸ケーブルに接続されたテレビジョン装置と、
前記同軸ケーブルにスプリッタを介して接続された変換装置と、
前記変換装置に接続された無線機器を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自由に周波数を選択でき、かつ微弱無線でよいので安価に無線電話システム及び無線機器システムを構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る一般家庭向け内線電話システムの構成を示す図である。
【図2】変換装置の詳細な構成を示す図である。
【図3】各変換装置の無線チャネルの状態を示す図である。
【図4】変換装置の動作を説明するための接続状態図である。
【図5】変換装置の動作を説明するための接続状態図である。
【図6】変換装置の動作を説明するための接続状態図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る変換装置の詳細な構成を示す図である。
【図8】変換装置の動作を説明するための接続状態図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る一般家庭向け無線機器システムの構成を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る無線LANシステムの変換装置の詳細な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る一般家庭向け内線電話システムの構成について説明する。
【0015】
本発明の第1の実施の形態は、図1に示すように、一般家庭向けテレビジョンアンテナ分配システムを利用し、そこに変換装置を接続した一般家庭向け内線電話システムである。この一般家庭向け内線電話システムは、UHFテレビジョン/BS/CS衛星アンテナ6、混合器7、増幅器(ブースター、プリアンプ)8、ハイパスフィルタ9、分配器(1対n分配器、例えば、1対6分配器)5、スプリッタ2(図1では計6個)、変換装置1(1−0〜1−5:変換装置0〜5)、テレビジョン装置(TV)7(7−0〜7−5)、電話機3(3−1〜3−5:電話機1〜5)を有する。
【0016】
ここで、ハイパスフィルタ9は、FM帯〜BS/CSを通し、70MHz以下を通さない。また、変換装置1の周波数(70MHz)を通さず、それ以上の周波数を通すフィルタとする。
【0017】
また、分配器5は、例えば、1対6分配器であり、一般的にアンテナ6から入ってきた信号を分配するときのロスは、6分配の場合10dB程度で分配側のチャネル間は15dB程度である。例えば、変換装置1−1側から変換装置1−2側に通信する場合のロスは約15dBとなる仕様を使ってチャネル間の通信を行う。
【0018】
また、壁内配線11は、通常は目立たないように壁の中に配線している状態を想定している。
【0019】
この一般家庭向け内線電話システムは、構造としては無線電話と同じ構造でありながら、アンテナには無線電話の電波を放射しないため、電波法に抵触しないシステムである。また、万一、同軸が解放されアンテナ6が接続されてしまった場合でも免許を必要としない微弱無線となるように、各々の変換装置1自体も微弱無線の出力レベルにしてある。また、同軸ケーブル10で接続されているため、無線の場合にくらべ電波の減衰がすくなく、安定して通話ができる。
【0020】
また、電話機3を増やす場合、テレビジョン装置7を視聴する環境にあればどこにも電話機3を増設できる特徴があり、容易に電話機3を増設可能である。
【0021】
さらに、各電話機3毎に自由に周波数を割り当てられるので、すべての電話機3間で通話が可能である。
【0022】
複数の電話機3間で通話(たとえば会議)を行う場合は、必要な回線分の受信機を追加することで対応する(図2 22−n参照。合計3台の場合はn=3。5台の場合はn=5)。
【0023】
本発明の第1の実施の形態は、テレビジョン用のアンテナ分配用の同軸ケーブル10に電話の音声信号を電波信号に変換する変換装置1−0〜1−5を取り付ける。そのため、先に述べたように空中に電波を発しないため自由に周波数を使うことが可能で、この利点を利用し、変換装置1−0〜1−5に各々1つの送信チャネルを割り当てることで接続された電話機3同士で自由に双方向通話(複数の同時通話の電話会議を含む)を可能にする。
【0024】
以下、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る一般家庭向け内線電話システムの構成についてさらに詳細に説明する。
【0025】
図1に示すように、テレビジョンのアンテナ用同軸ケーブル10のところにスプリッタ2を挿入し、そこに変換装置1−0〜1−5を接続する。そして、増幅器8と分配機5との間にハイパスフィルタ9を挿入する。
【0026】
そして、一般公衆回線4に接続された1台の変換装置1−0(変換装置0)と、各電話機3(3−1〜3−5)が接続されたn台(図5では例として5台)の変換装置1−1〜1−5(変換装置1〜5)を有する。このように構成することにより、各テレビジョン装置(TV)7(7−0〜7−5)に接続した1同軸ケーブル10でテレビジョン装置にも無線電話機にも使うことができる。
【0027】
各ブロックの機能を説明すると、増幅器8の後段にハイパスフィルタ9を挿入しているが、これは各変換装置1がFM/VHF/UHF/衛星放送よりも十分に低い周波数(たとえば50MHz帯)を使っており、この変換装置1の電波が逆流してアンテナ6から放出させないために挿入している。スプリッタ2は2分配する目的で挿入する。例えば、テレビジョン用周波数とそれ以下の電話用の周波数を分別するアダプタもしくは1:2の分配器である。
【0028】
このような構成の下、各変換装置1から送信された電波はまず、スプリッタ2を通過し、さらに分配器5に入り他の接続先(他の変換装置1)に分配される。分配器5には通過ロスと端子間結合損失特性があり、本発明の実施の形態に係る内線電話システムでは、端子間結合損失特性を利用する。接続例の6分配で通過ロスが10dB前後で、端子間結合損失は15dBの分配器を使用した場合、変換装置1−1(変換装置1)側から変換装置1−2(変換装置2)側に通信する場合は、15dBロスが発生する。そして、変換装置に接続された各々のスプリッタとケーブルロスの合計約10dBを足して約25dB程度のロスが発生する。微弱無線のレベルは大体−40dBm程度の出力で、受信感度は−100dBm程度なので35dB程度の余裕があり問題なく通信が可能となる。
【0029】
次に、図2を参照して、各変換装置1−0〜1−5の複数の電話機3−1〜3−5との接続方法について説明する。
【0030】
変換装置1は、1つの送信機21と2個以上の受信機22(22−1〜22−n:受信機1、受信機2、受信機3〜n)と複数の受信機22に分配するためのプリアンプ23、送信機21と受信機22を制御する送受信制御部24、電話機3を制御する電話機制御部25、電源部26、停電時のバックアップ用充電池27及び逆流防止ダイオード29を有する。そして、変換装置1は、ACアダプタ28に接続されている。
【0031】
次に、図3に各変換装置1の無線チャネルの状態を示す。
【0032】
各変換装置1は重複しない呼び出し用の受信機1(図2の受信機22−1)のチャネルと受信機2〜n(図2の受信機22−2〜22−n)で示す通話用の受信チャネルをもっている。同時通話に必要な数の受信機22を必要に応じて接続して対応する。
【0033】
図3に示すように、変換装置1ごとに呼び出しチャネルと送信専用チャネルを持っているため、呼び出し時以外で混信が発生せず、通話には影響を与えない。各々の機器は未使用の機器と通信をすればよく、効率良く通信が可能になる。また、閉じられた無線システムのため他の変換装置1からの混信は考えなくて良い(変換装置1はあらかじめ重複しない周波数で通信を行う)。
【0034】
各変換装置1は常に受信機1にて呼び出しを受けるのを監視しており、各機器は自分を示す鍵(個別の低周波信号、以下、トーン(パイロット信号)という)を持っており、トーン周波数を判別することでどの変換装置1から呼び出しがあったか判別する。つまり、受信機1が受信するトーン周波数を判別することで、どの変換装置1から呼び出しがあったか判断する。トーン周波数はたとえば電話帯域を15KHzとした場合、15KHzより十分高い周波数(たとえば20KHz以上)とする。
【0035】
例えば、変換装置0(図1の変換装置1−0)のトーン周波数を20KHz、変換装置1(図1の変換装置1−1)を22KHz、変換装置2(図1の変換装置1−2)を24KHzで判別可能な周波数(2KHz毎)ずらす。これにより各々の変換装置1が判別される。各々の変換装置1は、上述のように、専用の送信チャネルを持っているため、そのチャネルを受信すれば通信が成立し、そこに受信すべきトーンを検知すれば電話の通話が成立する。これにより、各変換装置1間で接続が行われ、複数の受信機22があれば複数の変換装置1と通話ができ、その場合は通信が成立している変換装置1の分トーンが重複されている。
【0036】
例えば、変換装置0(図1の変換装置1−0)が変換装置1(図1の変換装置1−1)と変換装置2(図1の変換装置1−2)と通信する場合は、変換装置1のトーン22KHzと変換装置2のトーン24KHzを載せる。また、変換装置1は変換装置0と変換装置2と通信するのでトーン20KHzと24KHzを載せる。これが電話会議も可能とする接続の基本である。
【0037】
次に、図2に示す変換装置1の動作について、図3〜図6の接続状態図を使用して説明する。尚、以下の説明では、変換装置0〜5の状態を示しているが、未通信装置の状態は変化しないため、記載を省略し通信を行う装置のみ抜き出す。また、前の状態から変化があった箇所を太線で囲んで示す。
【0038】
1)変換装置1の電話機が変換装置0の公衆電話回線に接続する場合(図4参照)
まず、図2に示す送信機21及び各受信機22は、すべての機器が待ち受け状態のため非通話状態とし、この場合、図3に示すようなチャネルで受信している(STEP1)。
【0039】
変換装置1から変換装置0を呼び出す場合、図4を参照するとまず、STEP2で変換装置1は変換装置0の受信機1のCH7へトーン1を送信すると同時に、変換装置0が送信してくるCH1を受信する。
【0040】
変換装置0はCH7で待ち受けしており、ここに変換装置1からトーン1が送信されるので、変換装置1から呼び出されたことがわかる。そこでSTEP3に進み、変換装置0はCH1からトーン1を送信し、同時に、変換装置1の送信器のCH2を受信する。
【0041】
次に、STEP4に進み、変換装置1が変換装置0からのトーン1を検知するので、変換装置1の送信機CH2からトーン0を送信すると同時に、電話機をオンラインにして接続を完了する。
【0042】
次に、STEP5へ進み、変換装置0は変換装置1からトーン0を受信するため、電話回線をオンラインにして接続を完了する。
【0043】
2)変換装置1と変換装置0が通話中に変換装置5が電話会議に参加する場合(図5参照)
さらに、変換装置5が通話に加わる場合、図5を参照すると、STEP6の状態で変換装置5は変換装置1と通信したいので、CH2を受信することで変換装置1の状態がわかり、トーン0を検知するので変換装置0と通信中であることが判明する。
【0044】
そこで、STEP7になり、変換装置1の呼び出しチャネルCH8へトーン5を送信し、同時に受信機3を変換装置0のCH1で受信する。
【0045】
STEP8で、変換装置1は変換装置5からの呼び出しに応答し、送信機からトーン0に加えてトーン5を送信すると同時に受信機3で変換装置5の送信チャネルCH6を受信する。
【0046】
次に、STEP9に進み、変換装置5は送信機をCH6に切り替えトーン0とトーン1を送信すると同時に、変換装置1の回線をオンラインにする。また、変換装置0は変換装置1と通信中で、トーン5を検知するので、変換装置5からの通信を検知するので受信機3をCH6に切り替え受信すると同時に送信機からトーン1と5を送信する。
【0047】
次に、STEP10に進み、変換装置0は変換装置5からのトーン0の送信を確認し、変換装置5と回線をオンラインにする。同時に変換装置1は変換装置5からのトーン1を検知し、変換装置5と回線をオンラインにする。また、同時に変換装置5は変換装置0からのトーン0を確認し変換装置0と回線をオンラインにして変換装置0と1と5の電話会議が成立する。
【0048】
この状態で、さらに変換装置2、変換装置3あるいは変換装置4からの要求が追加する場合は受信機が接続したいチャネル分あれば同じ方法で接続を増やすことができる。
【0049】
3)回線を切断する場合(図6参照)
また、図6を参照すると、逆に通話を終了する場合は、たとえば変換装置0と変換装置1と変換装置5が通話中(STEP11)、変換装置1の通話を終了する場合、変換装置5は受話器が切られることを確認したらSTEP12に移り、送信器のCH6から送信されているトーン0と5を停止する。
【0050】
次に、STEP13に進み、変換装置0と変換装置5はそれぞれ変換装置1のトーンがOFFするので回線が切られたことを検知するので、それぞれ変換装置1との回線を切断すると同時に、変換装置1の受信を停止すると同時にトーン1の送信を停止する。
【0051】
次に、STEP14に進み、変換装置1は変換装置0と変換装置5からトーン1がとまるのを確認して、送信機からの送信を停止する。こうすることで無線が停止するときのホワイトノイズの発生を防ぐと共に、変換装置0と変換装置5の通話は維持されている。
【0052】
さらに、変換装置0か変換装置5の通信を終了する場合も同様でそれぞれの装置は相手のトーンを停止することで回線断をつたえて、回線が切断される。
【0053】
このように、このシステムでは、あらかじめ必要な数の受信機を設けておけば複数の子機と同時に通信が可能になり、複雑な制御は不要で、ただ、受信されるトーン周波数を調べれば良い。
【0054】
また、通話中でも待ち受けチャネルを時分割で切り替え、各送信チャネルをスキャンすることで通信中の機器を調べ、表示することもできる。
【0055】
接続から切断までの流れを説明したが、これにより、内線通話システムが完成する。
【0056】
上述のように、本発明の第1の実施の形態では、微弱無線にして周波数を自由に使えるようにした上で、電波のように簡単に外から受信されてしまわないようにテレビジョンのアンテナ分配システムを使う。
【0057】
また、変換装置1自体の構成は複雑な回線接続の手順を減らし、トーン(鍵)をつかうことで自由に接続できるようにする。これにより、複雑な処理が不要になり、単にトーンの周波数を周波数分析すれば良い。
【0058】
本発明の第1の実施の形態では、以下のような効果を有する。
【0059】
第1の効果は、自由に周波数を選択できるし、微弱無線でよいので安価に構成できる点である。
【0060】
第2の効果は、複雑な交換器の処理が不要で単純にトーン周波数のみ確認することで自由に複数の装置同士が通信できる点である。
【0061】
例えば、変換装置0と変換装置1が通話しているときに変換装置2と変換装置3も通話できる。さらに、変換装置4と変換装置5も通話できるし、変換装置0と変換装置1と変換装置2の通話と変換装置3と変換装置4と変換装置5の通話が別々にできる。つまり、交換機不要で自分自身で交換機と同様の機能を実現できる。
【0062】
第3の効果は、どのトーンが出ているか確認するだけでどの機器と通信しているかが明らかになる点である。
【0063】
第4の効果は、トーンを接続に使用しているので複数の装置が通信しており、1つの装置の通信終了時のノイズの発生を最小限にすることができる点である。
【0064】
トーンを使用しないと無線通信の切断を検知して終了とする必要があり、この場合一瞬“ザー”音(ホワイトノイズ)を出してしまう。上記実施の形態では、このような問題は発生しない。ただし、上記実施の形態でも、意図せずに通話中に物理的に同軸ケーブルを切断してしまうと、一種“ザー”音(ホワイトノイズ)を出してしまうが、通常の無線機と同様にスケルチにて最小限にする機能を入れておけば問題とはならない。
【0065】
第5の効果は、一般家庭にあるテレビジョンのアンテナ分配システムに挿入するだけでシステムが構築される点である。
【0066】
第6の効果は、アンテナ分配用の同軸ケーブルのシステムに挿入するため、他の同じ周波数を使っている無線機器への影響を与えない点である。
【0067】
第7の効果は、微弱無線を使うため、テレビジョンの受信感度にあたえる影響を最小限にすることができる点である。
【0068】
このような効果により、本発明の第1の実施の形態では、テレビジョン用のアンテナ分配用の同軸ケーブルに電話の音声信号を電波信号に変換する変換装置を接続し、同軸ケーブルを使うことで外部に電波を放出しない。このため、自由に周波数を使うことが可能になる。この特徴を利用して、変換装置に接続された電話機同士で自由に通話(複数の同時通話の電話会議を含む)を可能にしたシステムを提供できる。
【0069】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0070】
上記第1の実施の形態だと、図2に示すように、送信機が1つしかないため、通話中の変換装置1から他の子機を呼び出して会議に参加させるには一旦回線を切断して接続し直すか、必ず未接続の変換装置1から通話中の変換装置1を呼ぶ必要がある。
【0071】
この問題を解決するために、第2の実施の形態では、図7に示すようにもう1台の送信機70(呼出用送信機2)を追加し、通話中に他の子機を呼び出す機能を追加した。もう1台の送信機70を追加することによりさらに便利になり、自由に電話会議を行う機器を増やすことができる。その他の構成は、図2に示す構成と同様なのでその説明は省略する。
【0072】
次に、図8を参照して、第2の実施の形態による接続方法について説明する。
【0073】
まず、STEP5では、変換装置0と変換装置1が通信中で、その状態で変換装置1が変換装置2を参加させたい場合、STEP6-2で変換装置1は送信機2(呼出)をつかって変換装置2の待ち受けチャネル(CH9)に対してトーン1を送信すると同時に、変換装置1の送信機から送出しているトーン0に対してトーン2も加えて送信する。
【0074】
そうすると、変換装置2が変換装置1の送信チャネル(CH2)を受信し、変換装置0とも通信中であることがわかる。
【0075】
そのため、次のSTEP7-2にて変換装置2はトーン0と1を合わせて送信すると同時に変換装置0(CH1)と変換装置1(CH2)を受信し、まず、変換装置1とオンラインになる。
【0076】
また、変換装置0は変換装置1からのトーン2が追加されたことがわかるため、
変換装置2の受信を開始する。
【0077】
次に、STEP8-2にて、変換装置0はトーン1に加えてトーン2も送出し、変換装置2ともオンラインとなる。一方、変換装置1は変換装置2からのトーン1の送出を確認し、変換装置0に加えて変換装置2ともオンラインになる。
【0078】
最後に、STEP9-2にて、変換装置2が変換装置0のトーン2を確認し変換装置0ともオンラインになり、変換装置1、変換装置2及び変換装置3の接続が完了する。
【0079】
つまり、呼出用の送信機70を1個追加し、受信機22を必要なチャネル分だけ追加することで、どの変換装置1からも呼び出し可能な1対nの電話会議システムが構築可能である。そのため、受信機22は、変換装置1の回線の数だけ用意する必要があるが、送信機は2個あればよく3個以上は必要としない。
【0080】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0081】
上記第1及び第2の実施の形態では、一般家庭向け内線電話システムを例にとり説明したが、本発明は無線LANシステムにも適用可能である。
【0082】
第3の実施の形態は、図9に示すように、図10に示す無線LANシステムを組み込んだ一般家庭向け無線機器システムである。
【0083】
上記第1の実施の形態では、変換装置1には電話機3が接続されているが、第3の実施の形態では、電話機3の代わりにパソコン90がそれぞれ接続されている。また、図1のハイパスフィルタ9の代わりにノッチフィルタ(無線LANのみ遮断)91が設けられている。さらに、図1の電話外線4の代わりにルーター92が設けられている。その他の構成は、図1に示す構成と同様なのでその説明は省略する。
【0084】
また、図10に示す無線LANシステムの変換装置1は、無線LAN通信モジュール101、LAN−データ変換装置102、コントローラ103、電源部104を有する。また、LAN−データ変換装置102はイーサネット(登録商標)LANケーブル105を介してパソコン106に接続されている。さらに、変換装置1は、逆流防止ダイオード108を有し、ACアダプタ107に接続されている。
【0085】
このように、無線電話の替わりに無線LANを接続することによりPLCのようなクローズした通信環境をつくることができる。無線LANの欠点として電波が弱い場所や外来電波、障害物により通信が切断されたり、通信速度が落ちる問題があるが、これを第3の実施の形態のシステムに接続することで無線の減衰や外来ノイズの影響を受けなくすることができる。
【0086】
そして電波を発するシステムは盗聴されたり、妨害されたりする危険性があるが、これを有線にすることで盗聴や妨害の危険を無くすことができる。
【0087】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0088】
例えば、本発明では、テレビジョン用アンテナ分配同軸線をつかった閉じた無線環境を提供するので、アンテナをつかって空中に電波を出す代わりに閉じた環境をつかって通信ができる。このため、有線になるという制限はあるが、電話や無線LAN以外にブルーツースや、ワイヤレスプリンタ、ワイヤレスUSB等あらゆる無線機器に応用が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 変換装置
2 スプリッタ
3 電話機
4 電話外線
5 分配器
6 アンテナ
7 混合器
8 増幅器
9 ハイパスフィルタ
10 同軸ケーブル
11 壁内配線
21 送信機
22 受信機
23 プリアンプ
24 送受信制御部
25 電話機制御部
26 電源部
27 停電用バックアップ充電池
28 ACアダプタ
29 逆流防止ダイオード
70 送信機(呼出用)
90 パソコン
91 ノッチフィルタ
92 ルーター
101 無線LAN通信モジュール
102 LAN−データ変換装置
103 コントローラ
104 電源部
105 イーサネットLANケーブル
106 パソコン
107 ACアダプタ
108 逆流防止ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも増幅器と分配器とを有するテレビジョン用アンテナ分配システムを利用した無線電話システムであって、
前記分配器に接続された複数のアンテナ分配用の同軸ケーブルと、
前記同軸ケーブルに接続されたテレビジョン装置と、
前記同軸ケーブルにスプリッタを介して接続され、かつ電話の音声信号を電波信号に変換する変換装置と、
前記変換装置に接続された電話機を有することを特徴とする無線電話システム。
【請求項2】
前記増幅器と分配器との間には、前記変換装置の電波信号が逆流してアンテナから放出することを防止するハイパスフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の無線電話システム。
【請求項3】
前記複数の変換装置の内の一の変換装置から送信された電波信号は、前記スプリッタを介して前記分配器に入り他の変換装置に分配されることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線電話システム。
【請求項4】
前記変換装置は、少なくとも、
1つの送信機と、
2つ以上の受信機と、
前記電話機を接続するための制御部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無線電話システム。
【請求項5】
前記送信機に加えて通話中に他の電話機を呼び出すための呼出用送信機をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の無線電話システム。
【請求項6】
前記2つ以上の受信機は、呼び出し用チャネルを有する第1の受信機と通話用の受信チャネルを有する第2の受信機を有し、
前記送信機は、専用の送信チャネルを有することを特徴とする請求項4又は5に記載の無線電話システム。
【請求項7】
前記変換装置の各々は、前記第1の受信機にて呼び出しを受けるのを監視し、前記変換装置の各々は、各変換装置にそれぞれ割り当てられたトーンを有し、このトーンの周波数を判別することによりどの変換装置から呼び出しがあったか判別することを特徴とする請求項6に記載の無線電話システム。
【請求項8】
前記変換装置の各々は、前記専用の送信チャネルを受信することにより通信が成立し、受信すべき前記トーンを検知することにより電話の通話が成立することを特徴とする請求項7に記載の無線電話システム。
【請求項9】
前記トーンは低周波信号であることを特徴とする請求項7又は8に記載の無線電話システム。
【請求項10】
少なくとも分配器を有するテレビジョン用アンテナ分配システムを利用した無線機器システムであって、
前記分配器に接続された複数のアンテナ分配用の同軸ケーブルと、
前記同軸ケーブルに接続されたテレビジョン装置と、
前記同軸ケーブルにスプリッタを介して接続された変換装置と、
前記変換装置に接続された無線機器を有することを特徴とする無線機器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−259340(P2011−259340A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133608(P2010−133608)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】