説明

無線非放射型エネルギー転送

【課題】共振器の特徴的なサイズよりも大きな距離をエネルギー伝送させる電磁エネルギー転送装置を提供する。
【解決手段】電磁エネルギー転送装置には、外部電源からエネルギーを受け取る第1の共振器構造が含まれる。第1の共振器構造は第1のQ因子を有する。第2の共振器構造は、第1の共振器構造から遠位に位置し、有用な動作電力を外部負荷に供給する。第2の共振器構造は第2のQ因子を有する。2つの共振器間の距離は、各共振器の特徴的なサイズよりも大きくすることができる。第1の共振器構造と第2の共振器構造との間の非放射型エネルギー転送は、それらの共振場エバネッセント・テールの結合を通して成立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願第10/698、442号明細書(2005年7月12日出願)からの優先権を主張する。この仮出願明細書は、本明細書において参照により全体として取り入れられている。
【0002】
本発明は、無線の非放射型エネルギー転送のための振動共振電磁モード、詳細には、局在化したゆっくりとしたエバネッセント場パターンを伴う振動共振電磁モードの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
電磁気学の初期の頃、電気ワイヤ・グリッドが使用される前に、エネルギーを長い距離に渡って無線で、どんな搬送媒体も用いずに輸送するための方式の開発に、高い関心と取り組みが向けられていた。これらの取り組みは、成功が(たとえあったとしても)ほとんどなかったようである。全方位アンテナの放射型モードは、情報転送に対して非常に良好に動作する。しかしこのようなエネルギー転送に対しては、好適ではない。なぜならば、大部分のエネルギーは、自由空間へと浪費されるからである。指向性の放射モードは、レーザまたは非常に指向性のアンテナを用いている。このモードは、エネルギー転送用に効率的に用いることが、長い距離(転送距離LTRANS≫LDEV、ここでLDEVは、装置の特徴的なサイズ)の場合でさえ可能である。しかし、遮られることがない見通し線および移動物体の場合には複雑な追跡システムの存在が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、自律型エレクトロニクス(たとえば、ラップトップ、携帯電話、家庭用ロボット、これらはすべて通常、化学エネルギー貯蔵に基づく)が急速に発展してきており、そのため、この問題を再検討して調べるだけの価値が出てきている。現在、既存の電気ワイヤ・グリッドによって、エネルギーはほとんどどこの場所へも運ばれており、中距離用の無線非放射型エネルギー転送でさえ非常に有用となろう。現在、いくつかの重要な応用例において用いられている方式の1つは誘導に基づくものだが、非常に近距離(LTRANS≪LDEV)のエネルギー転送に限られている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、電磁エネルギー転送装置が提供される。電磁エネルギー転送装置には、外部電源からエネルギーを受け取る第1の共振器構造が含まれる。第1の共振器構造は第1のQ因子を有する。第2の共振器構造は、第1の共振器構造から遠位に位置し、有用な動作電力を外部負荷に供給する。第2の共振器構造は第2のQ因子を有する。2つの共振器間の距離は、各共振器の特徴的なサイズよりも大きくすることができる。第1の共振器構造と第2の共振器構造との間の非放射型エネルギー転送は、それらの共振場エバネッセント・テールの結合を通して成立する。
【0006】
本発明の別の態様によれば、電磁エネルギーを転送する方法が提供される。本方法には、外部電源からエネルギーを受け取る第1の共振器構造を用意することが含まれる。第1の共振器構造は第1のQ因子を有する。また本方法には、第1の共振器構造から遠位に位置する第2の共振器構造が含まれ、有用な動作電力を外部負荷に供給することが含まれる。第2の共振器構造は第2のQ因子を有する。2つの共振器間の距離は、各共振器の特徴的なサイズよりも大きくすることができる。さらに本方法には、非放射型エネルギーを、第1の共振器構造と第2の共振器構造との間で、それらの共振場エバネッセント・テールの結合を通して転送することが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の典型的な実施形態を例示する概略図である。
【図2A】電場とともに半径rの高屈折率ディスク・キャビティに対する数値FDTD結果を示す図である。
【図2B】2つの共振ディスク・キャビティ間の中距離結合に対する数値FDTD結果を示す図である。当初、すべてのエネルギーは1つのキャビティ内にあり(左のパネル)、しばらくして後、両方のキャビティは一様に励起される(右のパネル)。
【図3】2つの容量装荷型導電性ワイヤ・ループを示す概略図である。
【図4A】外来物体からの散乱による共振ディスク・キャビティの放射Qの減少に対する数値FDTD結果を示す図である。
【図4B】外来物体からの散乱による共振ディスク・キャビティの放射Qの減少に対する数値FDTD結果を示す図である。
【図5】外来物体がある場合の2つの共振ディスク・キャビティ間の中距離結合に対する数値FDTD結果を示す図である。
【図6A】供給電力を、有用な動作(η)、装置における放射およびオーミック損失(η)、供給源における放射およびオーミック損失(η)、ならびに人間内部の放散(η)に変換する効率を、結合対κ/Γの関数として示すグラフであり、Γは、装置に貯蔵されるエネルギーが最小になるように選択される。
【図6B】供給電力を、有用な動作(η)、装置における放射およびオーミック損失(η)、供給源における放射およびオーミック損失(η)、ならびに人間内部の放散(η)に変換する効率を、結合対κ/Γの関数として示すグラフであり、Γは、各κ/Γに対する効率ηが最大になるように選択される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
現時点で存在する方式とは対照的に、本発明では、局在化したゆっくりとしたエバネッセント場パターンを伴う長く続く振動共振の電磁モードを用いて無線非放射型エネルギー転送を行なう実現性が示される。この技術の基礎は、2つの同じ周波数の共振物体は結合する傾向があるが、他の非共振環境の物体とは相互作用が弱いということである。本発明の目的は、具体例を用いてこのメカニズムを定量化することであり、すなわち以下の質問に定量的に対処することである。このような方式は、どのくらいの距離まで効率的であり得るのか、また外乱に対してどれほど敏感であるのか、である。詳細な理論解析および数値解析によって、中距離(LTRANS≒数LDEV)の無線エネルギー交換は、実際に実現可能であり、他の非共振物体へのエネルギーの比較的小さい転送および放散のみを被るということが示される。
【0009】
近接場の全方向性であるが静的である(非損失性の)性質によって、このメカニズムは、モバイル無線受信機に対して好適なものとなっている。その結果、種々の応用例が考えられる。たとえば、有線の電気ネットワークに接続された供給源を工場室の天井に配置して、一方で、ロボット、車両、コンピュータなどの装置が部屋の中を自由に移動することである。他の考えられる応用例には、電気エンジン・バス、RFID、およびおそらくはナノ・ロボットでさえ含まれる。
【0010】
本発明の無線エネルギー転送方式の範囲および割合は、利用システムから動作へのエネルギー排出をまだ考えずに、検討する第1の主題である。共振物体間でのエネルギーの交換をモデリングするための適切な解析フレームワークは、「結合モード理論」と呼ばれる弱結合アプローチである。図1は、本発明の一般的な説明を示す概略図である。本発明では、供給源および装置を用いてエネルギー転送を行なう。供給源1および装置2は両方とも、共振器構造であり、互いから距離Dだけ離れている。この配置では、供給源1および装置2のシステムの電磁場は、以下のように近似される。F(r,t)≒a(t)F(r)+a(t)F(r)。ここで、F1,2(r)=[E1,2(r)H1,2(r)]は、供給源1および装置2の単独の固有モードである。そして電磁場振幅a(t)及びa(t)は、「結合モード理論」を満たすように示される。
【0011】
【数1】

ここで、ω1,2は個々の固有周波数であり、Γ1,2は、物体の固有の(吸収、放射などの)損失に起因する共振幅であり、κ12,21は結合係数であり、κ11,22は、各物体の複素周波数のシフト(他方の存在に起因する)をモデリングしている。
【0012】
方程式1のアプローチは、多くの場合に、同様の複素固有周波数(すなわち|ω−ω|≪|κ12,21|およびΓ≒Γ)(共振がかなり明確である)(すなわちΓ1,2&Im{κ11,22}≪|κ12,21|)の物体に対して、および弱結合の範囲(すなわち|κ12,21|≪ω1,2)において、共振現象の優れた記述を与えるものとして示されている。同時に、これらの要求によって、エネルギー転送に対する最適な動作も可能になる。また方程式(1)が示すのは、エネルギー交換が、正確な共振(ω=ωおよびΓ=Γ)においてほぼ完璧となり得ること、および「結合時間」がすべての「損失時間」よりもはるかに短いときに損失は最小になることである。したがって、本発明で必要とする共振モードは、低い固有損失率Γ1,2に対して高Q=ω/(2Γ)を有する共振モードであって、エバネッセント・テールが2つの物体の特徴的なサイズLおよびLよりも著しく長いことが、強結合率|κ12,21|に対して、長い距離Dに渡って成り立つような共振モードである。なおDは、2つの物体間の最も近い距離である。これは、広く調べられてはこなかった動作領域である。なぜならば通常は、近くの装置との干渉を最小にするために短いテールが好まれるからである。
【0013】
ほとんど無限の大きさの物体(たとえば誘電体導波路)は、エバネッセント・テールが物体から離れる方向に指数関数的に(カットオフ近くに調整された場合にはゆっくりと)減衰するガイドされたモードをサポートし、またほとんど無限のQを有する。本発明のエネルギー転送方式を実施する上で、このような幾何学的配置は、特定の応用例に対しては好適であるが、通常は、有限の物体、すなわち位相幾何学的にどこの場所でも空気に囲まれている物体の方が、適切である。
【0014】
残念ながら、有限の大きさの物体は、空気のすべての方向で指数関数的に減衰する電磁状態をサポートすることはできない。なぜならば、自由空間では
【0015】
【数2】

だからである。このため、無限Qの状態はサポートできないということが示される。しかし、非常に長く続く(いわゆる「高Q」の)状態を見出すことができる。この状態では、テールが、共振物体から離れるにつれて進む必要な指数関数的な減衰を示しており、この減衰が、十分に長い距離に渡って、テールが振動性(放射性)となる前に生じている。制限面(電磁場の挙動でこの変化が起こる場所)は、「放射火面」と呼ばれる。無線エネルギー転送方式が、非近接/放射場ではなくて近接場に基づくためには、結合される物体間の距離は、一方が他方の放射火面内にあるようなものでなければならない。
【0016】
本発明は非常に一般的なものであり、前記の要求を満たすものであればどんなタイプの共振構造も、本発明を実施するために用いることができる。例としておよび明確にするために、良く知られているが全く異なる2つの電磁共振システムを扱うことを選んでも良い。すなわち、誘電体ディスクおよび容量装荷型導電性ワイヤ・ループである。たとえ最適化されていなくても、またそれらの単純さにもかかわらず、両方とも、かなり良好な性能を示すものと示される。システムの差は主として、現実的な考察により適用可能な周波数範囲内にある。このような考察はたとえば、誘電体が主流の光学領域においてなされる。なぜならば、導電性材料は非常に損失が大きいからである。
【0017】
半径rおよび誘電率εの2Dの誘電体ディスク・キャビティが空気に囲まれて、高Qのウィスパーリング・ギャラリー・モードをサポートする場合を考える。これを図2Aに示す。このようなキャビティを、両方の解析モデリングを用いて調べる。たとえば円筒座標における変数の分離および境界条件の適用と、詳細な数値有限差分時間領域(FDTD)シミュレーション(分解能が30pts/r)とである。なお3Dの場合の物理は、著しく異なるわけではないだろうが、解析上の複雑さおよび数値的な要求が、非常に増えるであろう。2つの方法を、いわゆる「漏洩」固有モードの複素固有周波数および電磁場パターンに適用した結果は、対象とする種々の幾何学的配置およびパラメータに対して、互いに非常に良く一致している。
【0018】
放射方向のモードの減衰長によって、結合強度κ≡|κ21|=|κ12|が決定され、この減衰長は波長のオーダーである。したがって、近接場結合がキャビティ間で生じることが、キャビティ同士の距離がそれらのサイズよりもはるかに長い場合に起こるためには、サブ波長のサイズの共振物体(r≪λ)が必要となる。高放射Qおよび長テールのサブ波長共振の実現が可能となるのは、誘電率εが実際に可能な程度に大きく、(主数mの)方位電磁場の変化が遅い(すなわちmが小さい)ときである。
【0019】
このようなTE偏光された誘電体キャビティ・モードの例は、Qrad=1992およびλ/r=20(ε=147.7およびm=2を用いる)という好都合な特性を有するものであり、図2Aに示される。この例は、この種類の共振物体に対するその後のすべての計算における「テスト」キャビティ18となる。好適なキャビティの別の例は、Qrad≒9100およびλ/r≒10(ε≒65.61およびm=3を用いる)を有する。これらのεの値は、最初は非現実的に大きいものに見えるかも知れない。しかし、マイクロ波領域(メートル領域の結合応用例に対して適切である)において、相当に十分高い誘電率と低損失の両方を有する多くの材料が存在する(たとえば、チタニア(ε≒96、Im{ε}/ε≒10−3)、バリウム・テトラチタネート(ε≒37、Im{ε}/ε≒10−4)、タンタル酸リチウム(ε≒40、Im{ε}/ε≒10−4)など)だけでなく、その代わりに、sが、他の知られているサブ波長(λ/r≫1)の表面−波システムの効果的な屈折率を表わすことができる。このようなシステムは、たとえば金属様(負のε)材料または金属誘電体複合体フォトニック結晶の表面上の表面プラズモン・モードである。
【0020】
材料吸収に関しては、マイクロ波における典型的な損失正接(たとえば、前述の材料に対して列挙されたもの)により、Qabs〜ε/Im{ε}〜10000が示唆される。放射および吸収の効果を組み合わせると、前述の解析によって、適切にデザインされた共振装置の物体dに対して、Q〜2000の値が実現可能だろうということが示される。ただし共振源sは、実際には移動できないことが多く、その認められる幾何学的配置およびサイズの制約に対する厳しさは通常、装置のデザインの制約の場合よりもはるかに小さい。したがって、放射性損失を無視できるほどに小さくデザインして、Q〜10000を実現し、吸収のみによって限定されるようにすることはできると仮定することは妥当である。
【0021】
次に、実現可能なエネルギー転送速度を計算するために、2つのキャビティ20、22をそれらの中心間の距離がDとなるように配置する。これを図2Bに示す。したがって、組み合わせたシステムの通常のモードは、当初のモードの偶数の重ね合わせおよび奇数の重ね合わせであり、それらの周波数は、結合係数κ(これを計算しようと思っている)によって割られる。解析的には、結合モード理論によって、誘電性物体に対して、以下が与えられる。
【0022】
【数3】

ここで、ε1,2(r)は、バックグラウンドの誘電体を除く(自由空間)の物体1単独または物体2単独のみの誘電関数を示し、ε(r)は、両物体が存在する空間全体の誘電関数を示す。数値的には、FDTDシミュレーションを用いて、キャビティの一方を励起して他方へのエネルギー転送時間を計算することによってか、または割られた通常モードの周波数を決定することによって、κを求めることが可能である。「テスト」ディスク・キャビティの場合、放射火面の半径rはr≒11rであり、非放射型結合D<rの場合には、したがってここでは、D/r=10、7、5、3を選択することができる。そして、図3のモード(2つのキャビティを接続するラインについては奇数である)の場合、解析的な予測は、ω/2κ=1602、771、298、48であり、一方で数値的な予測はそれぞれ、ω/2κ=1717、770、298、47であり、このように2つの方法は良く一致している。当初の2つのキャビティ・モードの放射場は干渉して、それらの相対的な位相および振幅に応じて、増大または減少する。その結果、正味の放射損失も増加または減少することになる。したがって、任意のキャビティ距離に対して、偶数および奇数の通常モードのQは、当初の単一キャビティのQ=1992よりも、1つは大きく、1つは小さいが(結合モード理論では表現されない現象)、平均のΓが常にほぼΓ≒ω/(2Q)となるようになっている。したがって、対応する結合対損失比は、κ/Γ=1.16、2.59、6.68、42.49である。これらの値は、理想的な動作領域κ/Γ≫1に入ることはないが、実現値はやはり十分に大きく、応用例にとって有用なものである。
【0023】
半径aの円形断面の導電性ワイヤからなる半径rのN個のコイルのループ10または12を空気が取り囲む場合を考える(図3に示す)。このワイヤのインダクタンスは、L=μr[ln(8r/a)−2]である。ここで、μは、自由空間の透磁率である。したがって、ワイヤをキャパシタンスCに接続することによって、ループ共振が、周波数ω=1/(LC)1/2で起こる。共振の性質は、コンデンサにかかる電圧によるコンデンサ内部の電場から、ワイヤ内の電流による自由空間内の磁場へとエネルギーが周期的に交換されることにある。この共振システムにおける損失は、ワイヤ内部のオーミック損失と自由空間への放射性損失とからなる。
【0024】
非放射型結合の場合、近接場領域を用いなければならず、領域の大きさは、大まかに波長λによって設定される。したがって、好ましい動作領域はループが小さい場所(r≪λ)である。このような範囲において、2つの損失経路に付随する抵抗はそれぞれ、Rohm={μρω/2}1/2Nr/aおよびRrad=π/6η(ωr/c)である。ここでρは、ワイヤ材料の抵抗率であり、η≒120πΩは、自由空間のインピーダンスである。したがって、このような共振の品質係数は、Q=ωL(Rohm+Rrad)となり、システム・パラメータによって決定されるある周波数において最も高くなる。それより低い周波数では、オーム損失が支配的であり、それより高い周波数では放射が支配的である。
【0025】
マイクロ波における粗い推定を行なうために、銅(ρ=1.69×10−8Ωm)ワイヤからなる1つのコイル(N=1)を用いることができる。そしてr=1cmおよびa=1mm(たとえば携帯電話に対して適切である)の場合、品質係数は、f=380MHzにおいて最大値Q=1225となり、r=30cmおよびa=2mm(ラップトップまたは家庭用ロボットに対する)の場合、f=17MHzにおいてQ=1103となり、一方でr=1mおよびa=4mm(部屋天井上で供給源ループとなり得る)の場合、f=5MHzにおいてQ=1315となる。このように一般に、予想される品質係数は、Q≒1000〜1500(λ/r≒50〜80において)であり、すなわち近接場結合にとって好適である。
【0026】
2つのループ10および12がそれらの中心間の距離Dで配置されている(図3に示す)ときのループ間のエネルギー転送の速度は、κ12=ωM/2(L1/2で与えられる。ここでMは、2つのループ10および12の相互インダクタンスである。r≪D≪λという範囲において、準静的な結果M=π/4μ(r/Dを用いることができる。この式は、ω/2κ〜{D/(r1/2を意味する。たとえば、D/=10、8、6を再び選択することによって、r=1cmの2つのループ(前に用いたのと同じ)に対して、ω/2κ=3033、1553、655がそれぞれ得られ、r=30cmに対してω/2κ=7131、3651、1540が得られ、またr=1mに対して、ω/2κ=6481、3318、1400が得られる。対応する結合対損失比のピーク(単一ループのQが最大になる周波数における)は、3つのループの種類および距離に対して、κ/Γ=0.4、0.79、1.97、および0.15、0.3、0.72、および0.2、0.4、0.94である。異なるループの例は、r=1m(天井上の供給源)ループとr=30cm(フロア上の家庭用ロボット)ループとが距離D=3m(部屋の高さ)だけ離れている場合であり、このときκ/(ΓΓ1/2=0.88がf=6.4MHzで最大となる。この値は個々のQのピークの間である。この場合も、これらの値は最適な領域κ/Γ≫1にはないが、十分なものであると示される。
【0027】
エネルギー転送に対して、この誘導方式とすでに使用されている近距離誘導方式との差として、後者の方式は非共振であるということを理解することは重要である。結合モード理論を用いて、以下のことが容易に示される。幾何学的配置と固定供給源に貯蔵されるエネルギーとを保ったままで、現在提案している共振結合誘導メカニズムによって、Qとして、従来の非共振メカニズムと比べてほぼ1000倍の電力を、装置での動作に対して送出することができる。これが、中距離用のエネルギー転送が可能となる理由である。容量装荷型導電性ループは実際、共振アンテナとして広く使用されている(たとえば携帯電話において)。しかしこれらの動作は非近接場領域(r/λ〜1)においてであり、放射Qは、アンテナを効率的にするために意図的に小さくデザインされている。そのため、それらはエネルギー転送にとっては適切ではない。
【0028】
明らかに、本発明の共振に基づく無線エネルギー転送方式の成功は、物体の共振が確固としていることに強く依存する。したがって、偶発的な非共振の外来物体が近接して存在する場合、そのことに対する共振の感度は、提案した方式の解析すべき別の態様である。外来物体の共振物体との相互作用は、方程式(1)における結合モード理論モデルを変更することで得られる。なぜならば、外来物体は明確な共振がないかまたは共振とはほど遠く、共振物体と外来物体との間のエネルギー交換は最小であるため、方程式(1)におけるκ12の項を落とすことができるからである。共振物体内の電磁場振幅a(t)に対する適切な解析モデルは以下のようになる。
【0029】
【数4】

すなわち、外来物体の影響は、単に共振物体の共振に対する摂動であり、2つの部分からなる。第1に、外来物体は、その共振周波数を、κ11の実部を通してシフトすることによって、他の共振物体からずらす。これは、フィードバック・メカニズムをすべての装置に設けることでかなり容易に修正できる問題である。フィードバック・メカニズムは、その周波数を、たとえば幾何学的配置をわずかに変えることによって補正して、供給源のそれとマッチさせる。第2に、外来物体は、強制的に、共振物体にモードのエネルギーを失わせる。これは、外来物体内の誘電分極または電流を通して外来物体からの放射へと消散させることにより、およびκ11の虚部を通して外来物体内で材料の吸収が生じることにより、起こる。このQの減少は、エネルギー転送方式の機能に対して有害な影響を及ぼす可能性がある。なぜならば、それは修復できないからである。したがってその大きさを定量化しておかなくてはならない。
【0030】
検討した共振物体の第1の例では、誘電体ディスクの種類、小型、低屈折率、低材料損失、またははるか遠くに散在する物体によって、小さい散乱および吸収が誘起される。したがって、Qを減少させる上でさらに危険な現実的なケースを検討するために、「テスト」誘電体ディスク・キャビティ40を次の近くに配置することができる。a)別の非共振物体42(たとえば人間)であって、大きなRe{ε}=49およびIm{ε}=16を有し、同じサイズだが異なる形状のもの(図4Aに示す)、b)粗面化された表面46(たとえば壁)であって、大きい広さであるが小さいRe{ε}=2.5およびIm{ε}=0.05であるもの(図4Bに示す)。
【0031】
解析的には、小さい摂動と相互作用する物体の場合、散乱により減少した放射Qの値は、以下の分極を用いて推定することができる。
【0032】
【数5】

これは、外来物体X=42内部の共振キャビティ1または粗面化された表面X=46によって誘起されるものである。検討したケースにおいて、外来物体の屈折率またはサイズは大きいため、これらの一次摂動理論の結果は、十分に正確ではないであろう。したがって、数値FDTDシミュレーションにのみ頼ることができる。これらの物体内部の吸収Qは、以下の式から推定することができる。
【0033】
【数6】

これらの方法を用いて、キャビティと外来物体との中心間の距離D/r=10、7、5、3に対して、次のことを見出すことができる。Qrad=1992は減少して、Qrad=1988、1258、702、226にそれぞれなること、および物体内部の吸収率は、Qabs=312530、86980、21864、1662であることである。これはすなわち、キャビティの共振が、高屈折率および/または高損失の外来物体から有害に乱されることは、(おそらく移動可能な)物体がキャビティの非常に近くまで来ない限り起こらない、ということである。キャビティから、粗面化された表面までの距離D/r=10、7、5、3、0に対して、次のことが見出される。すなわち、それぞれQrad=2101、2257、1760、1110、572であり、およびQabs>4000である。これはすなわち、当初の共振モードに対する影響は、キャビティが表面上に埋め込まれる極端な場合であっても満足できる程度に低い、ということである。なお金属物体が近接する場合も、共振場を著しく散乱することがあり得るが、簡単のために、このような物体は存在しないと仮定することができる。
【0034】
次に、組み合わせシステムとして、共振源の物体sを用いてエネルギーを共振装置の物体dまで無線で転送するが、非共振の外来物体eが存在するシステムを想定する。eに由来するすべての外来的な損失メカニズムの強度は、|E(r)|によって、共振源のテールの小さい振幅(外来物体の位置rにおいて値が求められる)の2乗を用いて決定されることが分かる。対照的に、供給源から装置へ送られるエネルギーの共振結合の係数は、同じオーダーのテール振幅|E(r)|(装置の位置rにおいて値が求められる)によって決定されるが、今回は2乗しない。したがって、供給源から装置までおよび供給源から外来物体までの距離が等しい場合、装置とのエネルギー交換に要する結合時間は、外来物体内部の損失の蓄積に必要な時間よりもはるかに短い。これは特に、共振場の振幅が、供給源から離れるにつれて指数関数的に減衰する場合に、当てはまる。性能を実際に最適化することは、システムのデザインを、供給源ではテールを短く装置ではテールを長くして望ましい結合が実現されるように行なうことで可能である。その結果、残りの物体から供給源に対してなされる干渉は最小となる。
【0035】
前述の考え方は、誘電体ディスク・キャビティの場合には、図2A、2Bと図4A、4Bとを組み合わせるシミュレーションによって検証することができる。すなわち2つの(供給源−装置の)「テスト」キャビティ50が1Orだけ離れて配置され、それらの間に同じサイズの外来物体52(ε=49)が、大きな粗面化された表面56(ε=2.5)から距離5rのところに存在するシミュレーションである(図5に示す)。その結果、当初の値であるQ=1992、ω/2κ=1717(したがってκ/Γ=1.16)は減少して、Q=765、ω/2κ=965(したがってκ/Γ=0.79)になる。この変化は、考えられる外部摂動の大きさを考慮すると、満足できる程に小さく、またシステム・デザインが最適化されてはいないので、結合対損失比の最終値は期待できる値であり、この方式はエネルギー転送に対して有用であり得る。
【0036】
説明している共振物体の第2の例である導電性ワイヤ・ループでは、共振に対する外来物体の影響はほとんどない。この理由は、考察中の動作の準静的領域(r≪λ)では、ループを囲む空気領域での近接場が主に磁場だからである。なぜならば、電場はコンデンサの内部に局在化されるからである。したがって、外来物体として、この場と相互作用することができ共振に対する摂動として働くものは、著しい磁気特性(透磁率Re{μ}>1または磁気損失Im{μ}>0)を有するものである。良く知られている材料はほとんどすべて非磁性であるため、磁場に対するそれらの応答は自由空間の場合と同じように行なわれ、したがって導電性ワイヤ・ループの共振を乱すことはない。これらの共振に影響すると予想される唯一の摂動は、大きな金属構造が近接することである。
【0037】
前記した事実の極めて重要な意味は、人間に対する安全性の配慮に関する。人間はまた非磁性であり、わずかな危険も被ることなく強力な磁場に耐えることができる。これは明らかに、この種類の共振システムが現実の多くの応用例に対して有する優位性である。他方で、高い(効果的な)屈折率の誘電体システムには、次のような優位性がある。すなわち、システムの効率は、大きな値κ/Tが実現されたことから判断すると、もっと高いように思われること、およびシステムは、はるかに短い長さスケールに対しても適用できることであり、前記した通りである。
【0038】
次に、共振源sおよび装置dの組み合わせシステムを、人間hおよび壁がある場合について再び考えてみる。まず、この共振に基づくエネルギー転送方式の効率を、エネルギーが使用装置から作業動作へと排出されている場合について、調べてみる。すでに求めたパラメータを用いることができる。誘電体ディスクの場合、供給源における吸収が主体の損失はQ〜10、装置における放射が主体の損失はQ〜10(人間および壁からの散乱を含む)、人間における供給源および装置エネルギーの吸収はQs−h、Qd−h〜10〜10(物体からそれほど近くないその人間の距離に依存する)、および壁内では無視できる吸収損失。導電性ワイヤ・ループの場合、Q〜Q〜10であり、人間および壁からの摂動は無視できる。対応する損失率Γ=ω/2Q、距離依存性の結合κ、および動作電力が取り出される速度Γを用いて、装置の電磁場振幅に対する結合モード理論方程式は以下のようになる。
【0039】
【数7】

種々の一時的な方式を用いて、装置から電力を取り出すことができ、それらの効率は、組み合わせシステムのパラメータに対して種々の依存性を示す。ここで、定常状態を想定して、供給源内部の電磁場振幅が一定に維持されるようにすることができる。すなわちa(t)=A−iωtであり、したがって装置内部の電磁場振幅は、a(t)=A−iωt(ここでA=iκ/(Γ+Γd−h+Γ)Aとなる。したがって、供給源で損失される電力はP=2Γ|Aであり、装置ではP=2Γ|Aであり、人間において吸収される電力はP=2Γs−h|A+2Γd−h|Aであり、有用な取り出される電力は、P=2Γ|Aである。エネルギー保存から、システムに入る総電力は、Ptotal=P+P+P+Pとなる。全体の損失率として、Γtot=Γ+Γs−hおよびΓtot=Γ+Γd−hを示す。目標とする応用例に応じて、動作排出率として、Γ=Γtotを選択して、共振物体内に貯蔵される必要なエネルギーが最小になるようにするか、またはΓ=Γtot{(1+κ)/(ΓtotΓtot)}1/2>Γtotを選択して、有用対損失電力の比率、すなわち効率η=P/Ptotalがκのある値に対して最大になるようにしなければならない。2つの異なる選択に対する効率ηを、κ/Γ性能指数の関数として、図6Aおよび6Bにそれぞれ示す。性能指数それ自体は、供給源−装置距離に依存する。
【0040】
図6Aおよび6Bには、誘電体ディスクのシステムにおいて最適の効率を選択する場合、効率は大きくなる可能性がある(たとえば少なくとも40%である)ことが示されている。人間内部のエネルギーの放散は十分に小さく、5%未満が、値κ/Γ>1およびQ>10に対して、すなわち中距離の供給源−装置距離(D/r<10)、および最大の人間−供給源/装置距離(D/r>8)に対して、得られる。たとえば、D/r=10およびD/r=8において、10Wを負荷に送らなければならない場合には、図6Bより、〜0.4Wが人間内部で放散され、〜4Wが供給源内部で吸収され、−2.6Wが自由空間に放射される。導電性ワイヤ・ループのシステムの場合、実現される効率はもっと小さく、κ/Γ≒1の場合に−20%である。しかし著しく優位なことは、人間内部のエネルギーの放散がないことであり、前述した通りである。
【0041】
共振物体のデザインを最適化すれば、なおいっそう良好な性能が実現可能であろう。また、放射Qがもっと大きい通常モードの周波数における連続波動作などの結合された物体の放射場間の前述した干渉効果を利用することによって、システム全体の機能をさらに改善することができる。このように、本発明の無線エネルギー転送方式は多くの最新の応用例に対して有望である。検討した事柄はすべて、静的な幾何学的配置に対するものであるが、結果はすべて、移動可能な物体の動的な幾何学的配置に対して直接適用することができる。なぜならば、エネルギー転送時間κ−1〜1μsは、巨視的な物体の移動に付随するどんな時間スケールよりもはるかに短いからである。
【0042】
本発明は、中距離用の無線非放射型エネルギー転送に対する共振に基づく方式を提供する。非常に単純な実施上の幾何学的配置を分析すれば、提案したメカニズムの潜在的な適用性に対して有望な性能特性が得られる。たとえば、巨視的な世界では、この方式を用いて電力を、工場室内のロボットおよび/もしくはコンピュータに、またはハイウェイ上の電気バス(この場合、供給源キャビティは、ハイウェイ上方を伝わる「パイプ」となるであろう)に送ることができる。微視的な世界では、はるかに短い波長が使用され、より小さい電力が必要とされるが、それを用いて、CMOSエレクトロニクスに対する光学的な相互接続を実施すること、あるいはエネルギーを自律的なナノ物体に転送することを、供給源と装置との間の相対的な位置合わせをそれほど気にすることなく、行なうことができる。またエネルギー転送距離は、物体のサイズと比較してさらに長くなることができる。なぜならば、誘電体材料のIm{ε(ω)}は、必要とされる光周波数では、マイクロ波周波数の場合よりも、はるかに小さいからである。
【0043】
将来の科学研究の立場として、異なる材料システムについて、性能強化または異なる範囲の適用性を調べなくてはならない。たとえば、プラズモニック・システムを検討することによって性能を著しく向上させることも可能であり得る。このようなシステムでは、多くの場合、それらの表面上での電磁場の空間的変化は、自由空間の波長よりもはるかに短くなることができる。まさにこの特徴が、必要なスケール分離を可能にする。共振物体は、その電磁場の指数関数的なテールよりも著しく小さくなることができる。さらにまた、良く知られた凝縮系物体を介して供給源および装置を接続している応用例に対して、音響共振を用いて詳しく調べなければならない。
【0044】
本発明を、複数の好ましい実施形態について図示し説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、その形態および詳細に対する種々の変更、省略、および追加を行なっても良い。
【0045】
尚、国際出願の英文明細書中にJISコードで表記できない箇所があったため、この翻訳文では代替表記を使用した、具体的には、ある量Xの平方根は、
【0046】
【数8】

のように、国際出願の明細書では「X」に「√」記号をかぶせて表現されていたが、便宜上、翻訳文では(X)1/2と表現した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁エネルギーを無線で転送する方法であって、
外部電源からエネルギーを受け取る第1の共振器構造を用意することであって、第1のQ因子Qを有する前記第1の共振器構造を用意すること、
前記第1の共振器構造から遠位に位置し、有用な動作電力を外部負荷に供給する第2の共振器構造を用意することであって、第2のQ因子Qを有する前記第2の共振器構造を用意すること、
前記第1の共振器構造と前記第2の共振器構造との間で、非放射型エネルギーを、それらの共振場エバネッセント・テールの結合を通して転送すること、
を備え、
前記各共振器構造は、低い固有損失率Γ1、2に対して高Q=ω/(2Γ)の共振モードを、前記非放射型エネルギーの転送に用いる、電磁エネルギーを転送する方法。
【請求項2】
>100およびQ>100である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
√(Q・Q)>100である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記各共振モードは、前記各共振器構造間の長い距離Dに渡る高エネルギー転送効率を可能にする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記各共振モードは、前記2つの共振器構造のサイズLおよびLよりも著しく長いエバネッセント・テールを有し、
κ/sqrt(Γ*Γ)>0.2、0.5、1、2、5、およびD/L=1、2、3、5である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
電磁エネルギー無線転送装置であって、
外部電源からエネルギーを受け取る第1の共振器構造であって、第1のQ因子Qを有する前記第1の共振器構造と、
前記第1の共振器構造から遠位に位置し、有用な動作電力を外部負荷に供給する第2の共振器構造であって、第2のQ因子Qを有する前記第2の共振器構造と、
を備え、
前記第1の共振器構造は、前記第2の共振器構造と共に用いるためのものであり、
前記第1の共振器構造と前記第2の共振器構造との間の非放射型エネルギー転送は、それらの共振場エバネッセント・テールの結合を通して成立し、
前記各共振器構造は、低い固有損失率Γ1、2に対して高Q=ω/(2Γ)の共振モードを用いる、電磁エネルギー無線転送装置。
【請求項7】
>100およびQ>100である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
√(Q・Q)>100である、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記各共振モードは、前記各共振器構造間の長い距離Dに渡る高エネルギー転送効率を可能にする、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記各共振モードは、前記2つの共振器構造のサイズLおよびLよりも著しく長いエバネッセント・テールを有し、
κ/sqrt(Γ*Γ)>0.2、0.5、1、2、5、およびD/L=1、2、3、5である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の共振器構造は容量装荷型導電性ワイヤ・ループを備え、前記特徴的なサイズLは前記ループの半径である、請求項6に記載の装置。
【請求項12】
前記第2の共振器構造は、モバイル無線受信機の一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記モバイル無線受信機は、ロボット、車両、またはコンピュータのいずれかである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の共振器構造は、モバイル無線受信機の一部である、請求項6に記載の装置。
【請求項15】
前記モバイル無線受信機は、ロボット、車両、またはコンピュータのいずれかである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1及び第2の共振器構造の共振をマッチさせるフィードバック・メカニズムを加えること、
をさらに備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1及び第2の共振器構造の共振をマッチさせるフィードバック・メカニズムと、
をさらに備えた、請求項6に記載の装置。
【請求項18】
前記外部電源と、
をさらに備え、
前記第1の共振器構造は前記外部電源からエネルギーを受け取る、請求項6に記載の装置。
【請求項19】
外部電源からエネルギーを受け取る第1の共振器構造であり第1のQ因子Qを有する前記第1の共振器構造と共に用いるための電磁エネルギー無線転送装置であって、
前記第1の共振器構造から遠位に位置し、有用な動作電力を外部負荷に供給する第2の共振器構造であって、第2のQ因子Qを有する前記第2の共振器構造と、
を備え、
前記第1の共振器構造と前記第2の共振器構造との間の非放射型エネルギー転送は、それらの共振場エバネッセント・テールの結合を通して成立し、
前記各共振器構造は、低い固有損失率Γ1、2に対して高Q=ω/(2Γ)の共振モードを用いる、電磁エネルギー無線転送装置。
【請求項20】
前記第2の共振器構造は容量装荷型導電性ワイヤ・ループを備え、前記特徴的なサイズLは前記ループの半径である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
>100およびQ>100である、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
√(Q・Q)>100である、請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記第2の共振器構造は、モバイル無線受信機の一部である、請求項19に記載の装置。
【請求項24】
前記モバイル無線受信機は、ロボット、車両、またはコンピュータのいずれかである、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記第1及び第2の共振器構造の共振をマッチさせるフィードバック・メカニズムを加えること、
をさらに備えた、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記各共振器構造は、少なくとも5MHzの共振周波数で駆動される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記各共振器構造は、少なくとも5MHzの共振周波数で駆動されるように設定される、請求項6に記載の装置。
【請求項28】
前記各共振器構造は、少なくとも5MHzの共振周波数で駆動されるように設定される、請求項19に記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2011−177018(P2011−177018A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−83009(P2011−83009)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【分割の表示】特願2008−521453(P2008−521453)の分割
【原出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(500219537)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (25)
【氏名又は名称原語表記】MASSACHUSETTS INSTITUTE OF TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】77 Massachusetts Avenue, Cambridge, Massachussetts 02139,U.S.A