説明

無線ICタグのコンクリート埋設構造及びその埋設方法、並びにコンクリート情報管理システム

【課題】無線ICタグの埋設位置が一目で確認できるとともに、鉄筋によるデータ送受信の障害を無くし、かつICタグの埋設によるコンクリート本体の断面欠損を無くして耐久性の維持を図り得るようにする。
【解決手段】コンクリート管理情報を記憶させた無線ICタグ1をコンクリート構造物3の内部に埋設するための埋設構造であって、前記コンクリート構造物3の表面から突出する凸部2を設けるとともに、この凸部2内に前記無線ICタグ1を埋設する。前記無線ICタグ1に記憶されるコンクリート管理情報は、構造データ、コンクリート配合データ、施工記録データ、強度試験データ、使用材料データおよびコンクリート受入試験値データの内のいずれか又は組合せからなる初期登録情報と、必要に応じて維持管理後に追加される取得追加情報とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の内部に、管理情報を記憶させた無線ICタグ(RFID)を埋設するための埋設構造及びその埋設方法、並びにコンクリート情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流管理、在庫管理、トレーサビリティ管理、生産ライン管理、入退室管理などの分野で管理情報を記憶させた無線ICタグを用いる技術が盛んに利用されているが、前記無線ICタグの活用分野の拡大に伴い、建設分野においても、コンクリート二次製品又はコンクリート構造物等の維持管理や情報提供のためにコンクリートに無線ICタグにより情報を付与することが行われている。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、合成樹脂製表側部材と合成樹脂製裏側部材との間に非接触型ICタグを挟入し、表側部材と裏側部材の外周縁に沿う内側箇所をローレット接着により相互に気密に止着するとともに、前記表側部材と裏側部材の外周縁箇所をベタ接着により相互に気密に止着し、市販の接着材料により建築現場の建材に取り付けて用いる非接触型IC内蔵プレートが提案されている。
【0004】
下記特許文献2では、ICタグが装填された防湿性の合成樹脂フィルム包装袋が管理対象部材に対して、ホッチキス、くぎ、ピン又は接着剤などにより装着又は固着されてなる建築用又は住宅用ICタグ付き部材が提案されている。
【0005】
下記特許文献3では、例えばコンクリート配合、混合比、設計情報、強度、水分比、スランプ、製造時期、補修履歴等のコンクリートの仕様に関する情報を記憶させた無線ICタグを防水性のビニールシートで被覆し、これをコンクリート部材内に埋設することが提案されている。
【0006】
下記特許文献4では、コンクリート内部に無線ICタグを埋設するための治具に係り、所定の深さと姿勢を維持して適切に埋設するため、「く」の字形部材の屈曲部周辺をICタグの保持部とし、その「く」の字の始端部と終端部に夫々、鉄筋への嵌合部材を一体的に設けてなるICタグの設置治具が提案されている。
【0007】
下記特許文献5では、建設資材外周面よりも内部へ引っ込んだ位置に、専用の設置治具を用いてアンテナ指向方向を上記外周面に向けて無線ICタグを設置した建設資材(コンクリート二次製品)が提案されている。
【特許文献1】特開2004−37902号公報
【特許文献2】特開2003−141483号公報
【特許文献3】特開2005−330729号公報
【特許文献4】特開2000−317931号公報
【特許文献5】特開2000−91963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に記載されるように、コンクリート等の建設部材の表面にICタグを機械的結合手段や接着剤等により付設する場合には、経年により前記ICタグ製品がコンクリート部材から脱落し紛失するおそれがある。
【0009】
また、上記特許文献3に記載されるように、無線ICタグをコンクリート部材内に埋設するようにした場合には紛失するおそれはないが、無線ICタグの埋設場所が不明となることがあり、探索に時間や手間が掛かるなどの問題があるとともに、コンクリート部材内に多数埋設されている鉄筋(導電性部材)がデータの送受信の弊害となり、データの交信が不能になったり、データ通信に不具合が生じたりすることがあるなどの問題があるとともに、ICタグの埋設部分がコンクリートの断面欠損となるため耐久性低下の問題が生じることがある。
【0010】
上記特許文献4に記載されるように、鉄筋を支持体とする設置治具を用いてICタグをコンクリート中に埋設する場合も、コンクリート部材内に埋設される鉄筋(導電性部材)が近接することになり、データの送受信の障害となるなどの問題があるとともに、ICタグの埋設部分がコンクリートの断面欠損となるため耐久性低下の問題が生じることがある。
【0011】
上記特許文献5に記載される発明の場合も、コンクリート部材内に埋設される鉄筋(導電性部材)がデータの送受信の障害となることがあるとともに、ICタグの埋設部分がコンクリートの断面欠損となるため耐久性低下の問題が生じることがある。
【0012】
更には、コンクリート内部にICタグを埋設する場合、周囲がコンクリートによってきっちりと保護され、かつデータ送受信が可能な適性深さ位置に埋設することが重要であるところ、鉄筋等に支持部材としてICタグを埋設する場合には、鉄筋のかぶり厚や設置誤差によって埋設位置が種々異なってしまうなどの問題が生じるとともに、生コンクリートを打設する際の流動圧によって無線ICタグが治具から外れたりすることがあるため、ICタグが所定位置に埋設されたことを外部から視認できることが管理上重要である。
【0013】
そこで本発明の主たる課題は、第1に無線ICタグの埋設位置が一目が確認できるとともに、鉄筋によるデータ送受信障害を無くし、かつICタグの埋設によるコンクリート本体の断面欠損を無くして耐久性の維持を図り得るようにすることにある。
【0014】
第2に、上記第1課題に加えて、無線ICタグを常に一定の深さ位置に埋設することができるとともに、コンクリート打設時にICタグの埋設状態を視認できるようにすることにある。
【0015】
第3に、上記コンクリート内部に埋設した無線ICタグを用いたコンクリート情報管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、コンクリート管理情報を記憶させた無線ICタグをコンクリート製品又はコンクリート構造物の内部に埋設するための埋設構造であって、
前記コンクリート製品又はコンクリート構造物の表面から突出する凸部を設けるとともに、この凸部内に前記無線ICタグを埋設したことを特徴とする無線ICタグのコンクリート埋設構造が提供される。
【0017】
上記請求項1記載の発明においては、コンクリート製品又はコンクリート構造物の表面から突出する凸部を設けるとともに、この凸部内に前記無線ICタグを埋設するようにする。従って、無線ICタグの埋設場所が外部から一目で確認することができるようになるとともに、コンクリート表面から突出した凸部内にICタグを埋設しているため、鉄筋(導電性部材)によるデータ送受信の不具合が解消されるようになる。更に、コンクリート製品又はコンクリート構造物の本体に余分に追加した凸部内にICタグを設けるものであるため、ICタグの埋設部分がコンクリートの断面欠損となることも無くなり耐久性低下の問題も解消されるようになる。
【0018】
請求項2に係る本発明として、前記無線ICタグに記憶されるコンクリート管理情報は、構造データ、コンクリート配合データ、施工記録データ、強度試験データ、使用材料データおよびコンクリート受入試験値データの内のいずれか又は組合せからなる初期登録情報と、必要に応じて維持管理後に追加される取得追加情報とする請求項1記載の無線ICタグのコンクリート埋設構造が提供される。
【0019】
上記請求項2記載の本発明においては、前記無線ICタグに記憶されるコンクリート管理情報は、構造データ、コンクリート配合データ、施工記録データ、強度試験データ、使用材料データおよびコンクリート受入試験値データの内のいずれか又は組合せからなる初期登録情報と、必要に応じて維持管理後に追加される取得追加情報とするものであり、これらの情報を現場で簡単に取得することにより維持管理に資することができる。また、無線ICタグは書込み可能型とすることにより、その後の維持管理において取得された取得追加情報も順次、追加することが可能である。
【0020】
請求項3に係る本発明として、前記無線ICタグに、コンクリート製品又はコンクリート構造物のコンクリート管理情報とともに、情報識別のためのID番号を付与してある請求項1,2いずれかに記載の無線ICタグのコンクリート埋設構造が提供される。
【0021】
上記請求項3記載の発明においては、前記無線ICタグに、コンクリート製品又はコンクリート構造物のコンクリート管理情報とともに、情報識別のためのID番号を付与するものである。ICタグの記憶容量は少量であるため、設計図書や画像を含む維持管理記録の大容量データは無線ICタグに記憶しておくことができないため、その代わりに上記データに対応するID番号を記憶させておき、現場に持ち込んだコンピューター又はインターネット等の情報回線網を介して情報通信可能とされるコンピューターに前記大容量データを記憶しておき、無線ICタグから読み込んだID番号を頼りに当該大容量データを携帯したコンピューターのモニタに表示させるようにするのがよい。
【0022】
請求項4に係る本発明として、コンクリート管理情報を記憶させた無線ICタグをコンクリート製品又はコンクリート構造物の内部に埋設するための埋設方法であって、
筒状部材の片面側に少なくとも一部に透明部分を有する封鎖板を取り付けるとともに、前記筒状部材と分離可能に筒状部材内を横架する横断部材を設け、この横断部材に無線ICタグを一体的に取り付けたICタグ埋設用治具を用意しておき、前記コンクリート製品を製作又はコンクリート構造物を築造する際に、型枠に前記筒状部材に対応した開口を形成するとともに、前記開口を塞ぐように型枠に前記ICタグ埋設用治具を設置した後、型枠内に生コンクリートを充填したならば、コンクリートの硬化の後、前記筒状部材を取り外すとともに、型枠を取り外すことを特徴とする無線ICタグのコンクリート埋設方法が提供される。
【0023】
上記請求項4記載の発明においては、筒状部材の片面側に少なくとも一部に透明部分を有する封鎖板を取り付けるとともに、前記筒状部材と分離可能に筒状部材内を横架する横断部材を設け、この横断部材に無線ICタグを一体的に取り付けたICタグ埋設用治具を用いて、コンクリート打設時に無線ICタグをコンクリート内に埋設するようにする。前記ICタグ埋設用治具によれば、常に一定の深さ位置に無線ICタグを埋設することが可能であるとともに、コンクリートの打設時の無線ICタグの埋設状態を外部から視認できるようになる。
【0024】
請求項5に係る本発明として、情報回線網を介して相互に情報通信可能に接続されたサーバーコンピューターとモバイルコンピューターとを備えるとともに、前記モバイルコンピューターはコンクリート製品又はコンクリート構造物の内部に埋設された無線ICタグとリーダ・ライタを介して情報通信可能とされ、
前記無線ICタグに、構造データ、コンクリート配合データ、施工記録データ、強度試験データ、使用材料データおよびコンクリート受入試験値データの内のいずれか又は組合せからなる初期登録情報と、必要に応じて維持管理後に追加される取得追加情報とからなる第1コンクリート管理情報と共に、情報識別のためのID番号を付与しておき、
前記サーバーコンピューターには、前記ID番号に対応して当該コンクリート製品又はコンクリート構造物に係る設計図書および維持管理記録の内のいずれか又は組合せからなる第2コンクリート管理情報が蓄積され、
コンクリート製品又はコンクリート構造物に埋設した無線ICタグからモバイルコンピューターに第1コンクリート管理情報を読み込んだ際に、該モバイルコンピューターは前記情報回線網を介してサーバーコンピューターに蓄積されている前記ID番号に対応した第2コンクリート管理情報を読み込むようにすることを特徴とするコンクリート情報管理システムが提供される。
【0025】
上記請求項5記載の発明によれば、コンクリート内部に埋設した無線ICタグに記憶された第1コンクリート管理情報と、サーバーコンピューターに蓄積されている第2コンクリート管理情報とを現場に持ち込んだモバイルコンピューター内に取り込むことができ、これらのコンクリート管理情報に基づいて効率的にコンクリートの維持管理が行えるようになる。
【発明の効果】
【0026】
以上詳説のとおり本発明に係る無線ICタグの埋設構造によれば、無線ICタグの埋設位置が一目が確認できるようになるとともに、鉄筋によるデータ送受信障害を無くし、かつICタグの埋設によるコンクリート本体の断面欠損を無くして耐久性の維持を図り得るようになる。
【0027】
また、本発明に係る無線ICタグの埋設方法によれば、無線ICタグを常に一定の深さ位置に埋設することができるとともに、コンクリート打設時にICタグの埋設状態を視認できるようになる。
【0028】
更に、本発明に係るコンクリート情報管理システムによれば、必要十分なコンクリート管理情報を現場で簡単に取得することが可能になり、これらのコンクリート管理情報に基づいて効率的にコンクリートの維持管理が行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0030】
図1は本発明に係る無線ICタグの埋設状態を示すコンクリート構造物の要部斜視図、図2はICタグ設置治具を示す裏面斜視図、図3はICタグ設置治具の取付け要領を示す斜視図である。
【0031】
図1に示されるように、本IC無線タグ(以下、単にICタグという。)の埋設構造は、コンクリート構造物3の表面に突出する凸部2を設け、この凸部2内に前記ICタグ1を埋設するものである。なお、前記コンクリート構造物3の本体内部には多数の鉄筋4,4…が配設されているが、前記凸部2の内部には鉄筋が埋設しておらず、コンクリートのみで構成されている。
【0032】
前記ICタグ1に記憶されるコンクリート情報は、構造データ、コンクリート配合データ、施工記録データ、強度試験データ、使用材料データおよびコンクリート受入試験値データの内のいずれか又は組合せからなる初期登録情報と、必要に応じて維持管理後に追加される取得追加情報とから構成される。
【0033】
前記初期登録情報に関して、前記構造データとしては、例えばコンクリート厚、鉄筋種別、鉄筋径、ピッチ、かぶり等からなる。前記コンクリート配合データとしては、例えば単位水量、単位セメント量、水セメント比、単位細骨材料、単位粗骨材量、細骨材率等からなる。前記施工記録データとしては、例えば工事名、施工業者、コンクリート打設日、生コン工場名、配合記号等からなる。前記強度試験データとしては、圧縮強度試験値(4週、13週、26週)等からなる。前記使用材料データとしては、例えばセメント会社、細・粗骨材産地等からなる。前記コンクリート受入試験値データとしては、例えばスランプ、空気量、塩分量等からなる。
【0034】
また、必要に応じて維持管理後に追加される取得追加情報としては、維持管理で取得した例えば、浮き、剥離、漏水等の調査データや内部応力の経時変化、ひび割れ計測、中性化深さ、化学的腐食等の調査データからなる。
【0035】
更に、前記ICタグ1には、当該コンクリート構造物3のコンクリート管理情報とともに、情報識別のためのID番号を付与するのが望ましい。ICタグ1の記憶容量は小さく、例えば設計図書(図面及び数量表等)や画像付の維持管理記録等は記憶させることができない。そこで、現場に持ち込んだモバイルコンピューターや、後述するように、インターネット等の情報回線網を介して別途設置されたサーバーコンピューター15内に上記データを情報識別のためのID番号と共に蓄積しておき、必要に応じて取り出せるようにしておくことが望ましい。
【0036】
前記コンクリート表面に凸部2を形成し、この凸部2内部にICタグ1を埋設するには、図2に示されるICタグ埋設用治具5を使用するのが望ましい。前記ICタグ埋設用治具5は、筒状部材6の片面側に少なくとも一部に透明部分を有する封鎖板7を取り付けるとともに、前記筒状部材6と分離可能に筒状部材6内を横架する横断部材8を設け、この横断部材8にICタグ1を一体的に取り付けた治具である。更に、詳述すると、
前記筒状部材6は、円筒又は角筒状等の任意形状を成す筒状部材が用いられ、片面側に少なくとも一部に透明部分を有する封鎖板、図示例では透明樹脂板7を取り付けた部材であり、基端側に小幅の鍔部6aを有するとともに、少なくとも周縁2箇所にボルト孔6cが形成された固定用座板部6bを備えている。
【0037】
前記横断部材8は、好ましくはカッター等により切断可能なように樹脂からなる小幅の板状部材であり、両側に夫々前記筒状部材6のボルト孔6cに対応した位置にボルト孔8a、8aが形成されるとともに、略中央部にICタグ支持台9を備え、該ICタグ支持台9の頂面にICタグ1が接着剤等により固定される。
【0038】
前記筒状部材6と横断部材8とは、ボルト孔6c、8aを貫通するボルト10及びナット11により連結されるようになっている。
【0039】
前記ICタグ埋設用治具5を型枠に設置するには、図3に示されるように、型枠12に前記筒状部材6に対応した開口12aを形成するとともに、該開口12aの両側に形成したボルト孔に型枠内側からボルト10のネジ部を臨ませた状態とし、横断部材8及び筒状部材6を型枠外面に設置した後、型枠12内に生コンクリートを充填したならば、コンクリートの硬化の後、前記筒状部材6を取り外すとともに、型枠12を取り外す。この場合は、型枠の撤去時に凸部2から突出した横断部材8の両端部は夫々切断するようにすればよい。
【0040】
また、図4に示されるように、型枠12に前記筒状部材6に対応した開口12aを形成するとともに、該開口12aの内側に横断部材8を配設するとともに、該横断部材8を固定した状態で前記開口12aの両側に形成したボルト孔に型枠内側からボルト10のネジ部を臨ませた状態とし、筒状部材6を型枠外面に設置した後、型枠12内に生コンクリートを充填したならば、コンクリートの硬化の後、前記筒状部材6を取り外すとともに、型枠12を取り外すようにする。
【0041】
コンクリート構造物3の内部に埋設されたICタグ1とのデータ交信は、図5に示されるように、ノート型パソコン、ポケットコンピューター、携帯情報通信端末(PDA)等のモバイルコンピューター13と接続されたICタグ用のリーダ・ライタ14を介して行われる。
【0042】
また、前記ICタグ1としては、電源を搭載しないパッシブ型と、電源を搭載したアクティブ型とが存在するが、タグ寿命、小型化、製品コストの点から電源を搭載しないパッシブ型を使用するのが望ましい。また、前記リーダ・ライタ14とICタグ1との交信方法は、相互誘導方式、誘導電磁界方式、放射電磁界方式等の方式が存在するがいずれの方式であってもよい。
【0043】
前記ICタグ1を用いたコンクリート管理情報システムとしては、図6に示されるように、インターネット等の情報回線網を介して接続されたサーバーコンピューター15と、各地の管理対象構造物場所に携帯されるとともに、前記情報回線網を介して前記サーバーコンピューター15と情報通信可能とされるモバイルコンピューター13、13…とを備えるとともに、前記モバイルコンピューター13,13…はコンクリート構造物3の内部に埋設された無線ICタグ1とリーダ・ライタ14を介して情報通信可能とされ、前記無線ICタグ1に、構造データ、コンクリート配合データ、施工記録データ、強度試験データ、使用材料データおよびコンクリート受入試験値データの内のいずれか又は組合せからなる初期登録情報と、必要に応じて維持管理後に追加される取得追加情報からなる第1コンクリート管理情報とともに、情報識別のためのID番号を付与しておき、前記サーバーコンピューター15には、前記ID番号に対応して当該コンクリート構造物3に係る設計図書および維持管理記録の内のいずれか又は組合せからなる第2コンクリート管理情報が蓄積され、コンクリート構造物3に埋設した無線ICタグ1からモバイルコンピューター13に第1コンクリート管理情報を読み込んだ際に、該モバイルコンピューター13は前記情報回線網を介してサーバーコンピューター15に蓄積されている前記ID番号に対応した第2コンクリート管理情報を読み込むようにする。
【0044】
従って、調査作業員は、モバイルコンピューター13およびリーダ・ライタ14を現場に持ち込むだけで、調査員は当該コンクリート構造物に係るすべての若しくは大部分のコンクリート管理情報を簡単に取得することが可能となり、これらのコンクリート管理情報に基づいて効率的にコンクリートの維持管理が行えるようになる。
【0045】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、現地に築造されるコンクリート構造物3に対してICタグ1を埋設する場合について述べたが、本発明は現地でヤード製作されるコンクリート製品や工場製作されるコンクリート製品に対しても全く同様に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る無線ICタグ1の埋設状態を示すコンクリート構造物の要部斜視図である。
【図2】ICタグ設置治具5を示す裏面斜視図である。
【図3】ICタグ設置治具5の取付け要領(その1)を示す斜視図である。
【図4】ICタグ設置治具5の取付け要領(その2)を示す斜視図である。
【図5】ICタグ1とモバイルコンピューターとの交信要領図である。
【図6】コンクリート管理情報の管理システムを示す概略図である。
【符号の説明】
【0047】
1…ICタグ、2…凸部、3…コンクリート構造物、4…鉄筋、5…ICタグ埋設用治具、6…筒状部材、7…封鎖板、8…横断部材、10…ボルト、11…ナット、12…型枠、12a…開口、13…モバイルコンピューター、14…リーダ・ライタ、15…サーバーコンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート管理情報を記憶させた無線ICタグをコンクリート製品又はコンクリート構造物の内部に埋設するための埋設構造であって、
前記コンクリート製品又はコンクリート構造物の表面から突出する凸部を設けるとともに、この凸部内に前記無線ICタグを埋設したことを特徴とする無線ICタグのコンクリート埋設構造。
【請求項2】
前記無線ICタグに記憶されるコンクリート管理情報は、構造データ、コンクリート配合データ、施工記録データ、強度試験データ、使用材料データおよびコンクリート受入試験値データの内のいずれか又は組合せからなる初期登録情報と、必要に応じて維持管理後に追加される取得追加情報とする請求項1記載の無線ICタグのコンクリート埋設構造。
【請求項3】
前記無線ICタグに、コンクリート製品又はコンクリート構造物のコンクリート管理情報とともに、情報識別のためのID番号を付与してある請求項1,2いずれかに記載の無線ICタグのコンクリート埋設構造。
【請求項4】
コンクリート管理情報を記憶させた無線ICタグをコンクリート製品又はコンクリート構造物の内部に埋設するための埋設方法であって、
筒状部材の片面側に少なくとも一部に透明部分を有する封鎖板を取り付けるとともに、前記筒状部材と分離可能に筒状部材内を横架する横断部材を設け、この横断部材に無線ICタグを一体的に取り付けたICタグ埋設用治具を用意しておき、前記コンクリート製品を製作又はコンクリート構造物を築造する際に、型枠に前記筒状部材に対応した開口を形成するとともに、前記開口を塞ぐように型枠に前記ICタグ埋設用治具を設置した後、型枠内に生コンクリートを充填したならば、コンクリートの硬化の後、前記筒状部材を取り外すとともに、型枠を取り外すことを特徴とする無線ICタグのコンクリート埋設方法。
【請求項5】
情報回線網を介して相互に情報通信可能に接続されたサーバーコンピューターとモバイルコンピューターとを備えるとともに、前記モバイルコンピューターはコンクリート製品又はコンクリート構造物の内部に埋設された無線ICタグとリーダ・ライタを介して情報通信可能とされ、
前記無線ICタグに、構造データ、コンクリート配合データ、施工記録データ、強度試験データ、使用材料データおよびコンクリート受入試験値データの内のいずれか又は組合せからなる初期登録情報と、必要に応じて維持管理後に追加される取得追加情報とからなる第1コンクリート管理情報と共に、情報識別のためのID番号を付与しておき、
前記サーバーコンピューターには、前記ID番号に対応して当該コンクリート製品又はコンクリート構造物に係る設計図書および維持管理記録の内のいずれか又は組合せからなる第2コンクリート管理情報が蓄積され、
コンクリート製品又はコンクリート構造物に埋設した無線ICタグからモバイルコンピューターに第1コンクリート管理情報を読み込んだ際に、該モバイルコンピューターは前記情報回線網を介してサーバーコンピューターに蓄積されている前記ID番号に対応した第2コンクリート管理情報を読み込むようにすることを特徴とするコンクリート情報管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−224654(P2007−224654A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48602(P2006−48602)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(301031392)独立行政法人土木研究所 (107)
【出願人】(000166432)戸田建設株式会社 (328)
【Fターム(参考)】