説明

無線LANシステム、無線LANアクセスポイント、無線LAN端末及びそれらに用いる起動制御方法

【課題】 無線LANのセキュリティ技術で認証サーバにて接続の認証を行い、また通信する際に他の端末と異なる暗号キーを使用し、かつ定期的に暗号キーを更新する環境においても、停止または休止している無線LAN端末を遠隔から起動制御することが可能な無線LANシステムを提供する。
【解決手段】 無線LANアクセスポイント2は管理端末1からの端末起動指示信号101を認識してビーコン送信間隔制御部21を制御し、ビーコン送信間隔制御部21はその指示によって通常動作モードとパターン化送信間隔モードとを切り換えて、ビーコンの送信間隔を制御する。無線LAN端末3のビーコン間隔検出回路31はビーコンの間隔を常に監視し、パターン化されたビーコンを検出すると、検出信号を出力する。無線LANモジュール30はビーコン間隔検出回路31から検出信号を受け取ると、無線LAN端末3へ起動要求を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線LANシステム、無線LANアクセスポイント、無線LAN端末及びそれらに用いる起動制御方法に関し、特に停止または休止している無線LAN(Local Area Network)端末を管理端末からの指示で起動する無線LANシステムにおいて無線区間にIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.1x等のセキュリティ使用している場合でも停止または休止している無線LAN端末を起動させる無線LANシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
既存のLANにおいてウェークオンラン(Wake on LAN)等と呼ばれている技術がある。この技術では、停止または休止している端末を遠隔から起動させるために管理端末から起動指示の信号を発行し、停止または休止している端末であっても無線LANモジュールのみが動作状態にある場合、起動指示信号を受信した無線LANモジュールによって当該モジュールが実装されている端末に起動指示信号を送る。
【0003】
この起動指示信号を受けた端末は停止または休止状態から稼動状態へと移行する。その際、端末に第三者による不正使用を防ぐためにパスワード機能が設けられていても、そのパスワード機能によるセキュリティを維持したままリモート管理を実現する技術もある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
また、無線LANに用いられるWEP(Wired Equivalent Privacy)キーによって暗号化されたデータも解析されてしまう可能性があると同時に、WEPキーが解析されることによって、無線LANを介するすべてのデータ通信まで解析されてしまう危険性があることが指摘されている。
【0005】
これらの危険性をできるだけ排除するためには、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.1x認証という無線基地局を介してのデータ通信のためにユーザ認証が必要であり(例えば、非特許文献1参照)、また無線LANでのデータ暗号化のための暗号化キーを動的に生成及び定期的に変更するという方法が用いられているケースが多々見られるようになってきている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−345205号公報
【特許文献2】特開2000−215167号公報
【非特許文献1】“6.Principle of operation”(“Port−Based Network Access Control”,IEEE802.1x,2001年6月14日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の無線LANシステムでは、上記のIEEE802.1x認証等の無線LANのセキュリティ技術を用いる場合、認証サーバにて接続の認証を行い、また通信する際に他の端末と異なる暗号キーを使用し、かつ定期的に暗号キーを更新している。この場合、無線LAN端末では、ウェークオンラン等による起動指示信号を受信することができなくなるケースがある。
【0008】
上記の無線LANのセキュリティ技術を用いる場合には、無線LANモジュールを実装する無線LAN端末本体のドライバと認証ソフトウェア及び無線LAN端末本体に持つディジタル証明書を使用して認証サーバとの認証を実現しており、無線LANモジュール単体では認証サーバとの認証を実現することができない。
【0009】
このため、無線LAN端末が停止または休止中に暗号キーの更新が行われた場合や認証期間が満了し再度認証が必要となった場合、無線LAN端末は無線LANアクセスポイントとの通信ができなくなり、起動指示信号を受信することができない。
【0010】
また、従来の無線LANシステムでは、複数の接続可能な無線LANアクセスポイントがある環境で、上述の無線LANのセキュリティ技術を使用している場合、無線LAN端末が起動指示信号を受信することができなくなるケースがある。
【0011】
上記の無線LANのセキュリティ技術を用いる場合には、上記と同様に、無線LANモジュール単体では認証サーバとの認証を実現することができない。また、停止または休止している間に無線LAN端末の移動や周囲環境の変化によって、無線LAN端末がローミングすることがある。
【0012】
この場合、ローミングした際も認証サーバとの認証が必要となるが、無線LAN端末本体は停止しているため、認証サーバとの認証ができず、この場合も通信が不可能となり、起動指示信号を受信することができなくなる。上記の問題点については、上述した特許文献1,2に記載の技術を用いても解決することができない。
【0013】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、無線LANのセキュリティ技術で認証サーバにて接続の認証を行い、また通信する際に他の端末と異なる暗号キーを使用し、かつ定期的に暗号キーを更新する環境においても、停止または休止している無線LAN端末を遠隔から起動制御することができる無線LANシステム、無線LANアクセスポイント、無線LAN端末及びそれらに用いる起動制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による無線LANシステムは、無線LAN(Local Area Network)のセキュリティ技術を用いるネットワークにおいて、停止及び休止のいずれかの状態の無線LAN端末の起動を無線LANアクセスポイントを介してリモートの管理端末からの指示で行う無線LANシステムであって、暗号化されないビーコンを用いて前記無線LAN端末への起動指示を行う手段を前記無線LANアクセスポイントに備えている。
【0015】
本発明による無線LANアクセスポイントは、無線LAN(Local Area Network)のセキュリティ技術を用いるネットワークにおいて、停止及び休止のいずれかの状態の無線LAN端末の起動をリモートの管理端末からの指示で行う無線LANシステムに用いられる無線LANアクセスポイントであって、暗号化されないビーコンを用いて前記無線LAN端末への起動指示を行う手段を備えている。
【0016】
本発明による無線LAN端末は、無線LAN(Local Area Network)のセキュリティ技術を用いるネットワークにおいて、停止及び休止のいずれかの状態の時に無線LANアクセスポイントを介したリモートの管理端末からの指示で起動される無線LAN端末であって、前記無線LANアクセスポイントからの暗号化されないビーコンを検出する手段を具備し、前記ビーコンの検出に応答して起動している。
【0017】
本発明による起動制御方法は、無線LAN(Local Area Network)のセキュリティ技術を用いるネットワークにおいて、停止及び休止のいずれかの状態の無線LAN端末の起動を無線LANアクセスポイントを介してリモートの管理端末からの指示で行う無線LANシステムに用いる起動制御方法であって、前記無線LANアクセスポイント側に、暗号化されないビーコンを用いて前記無線LAN端末への起動指示を行う処理を備えている。
【0018】
すなわち、本発明の無線LAN(Local Area Network)システムは、通常時に定められた一定の間隔でビーコンを無線LAN端末に送信し、端末起動指示信号を受けた時のみパターン化された間隔でビーコンを無線LAN端末に送信するビーコン送信間隔制御部を無線LANアクセスポイントに有している。
【0019】
ここで、無線LANアクセスポイントとは、通信サービスを利用する無線LAN端末を通信事業者のネットワークに接続するための接続点、あるいは有線LANへのゲートウェイとなる無線LANの親機を示している。また、通常時に定められた一定の間隔で送信されるビーコンは無線LANアクセスポイントが無線LAN端末に対してサポートしている機能やBSA(Basic Service Area)のID(SSID:Service Set IDentifier)を通知するためのフレームである。
【0020】
無線LAN端末に実装された無線LANモジュールはパターン化されたビーコン間隔検出回路を有し、この検出回路がビーコン間隔がパターン化されているビーコンを検出する機能を持っている。無線LANモジュールはパターン化されているビーコンを検出すると、無線LAN端末に起動要求する。同時に、無線LANアクセスポイントに対して新たに無線LAN端末の接続要求を行う機能を持つ。
【0021】
管理端末は停止または休止している無線LAN端末を起動させるため、無線LANアクセスポイントに対して無線LAN端末の起動を指示する端末起動指示信号を発信する。無線LANアクセスポイントは端末起動指示信号を受信すると、ビーコン送信間隔制御部によって一定間隔で発信されているビーコン送信を、パターン化された間隔でのビーコン送信に変更する。
【0022】
無線LANモジュールは無線LAN端末の停止または休止時も、常に無線LANアクセスポイントからのビーコン間隔を監視し、パターン化されたビーコン間隔検出回路でパターン化されたビーコン間隔を検出した時、無線LAN端末に起動を促す。同時に、無線LANモジュールは無線LANアクセスポイントに対して、一度、無線切断要求を行い、新たな接続動作を通常通り行う。通常と同じ接続過程において、無線LAN端末は認証や暗号キーを取得することができるため、その後も通信が可能となる。
【0023】
また、無線LANモジュールは無線LAN端末が停止または休止している状態の時にローミングを検出した場合、ローミング先の無線LANアクセスポイントへの接続動作を行わず、ローミング先の無線LANアクセスポイントが発信するビーコンのみを監視し、パターン化されたビーコン間隔を検出した時に無線LAN端末に起動を促し、上述した接続動作と同様の接続動作に入る。ここで、ローミングとは複数のBSA間での無線LAN端末の移動を示している。
【0024】
これによって、本発明の無線LANシステムでは、無線LANのセキュリティ技術で認証サーバにて接続の認証を行い、また通信する際に他の端末と異なる暗号キーを使用し、かつ定期的に暗号キーを更新する環境においても、停止または休止している無線LAN端末を遠隔から起動制御することが可能となる。
【0025】
つまり、本発明の無線LANシステムでは、暗号化されないビーコンを使用してウェークオン(Wake on)させるため、暗号キーの変化や再認証を必要としないので、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.1x等の無線LANのセキュリティ技術を用いる無線LANネットワークにおいても、無線LAN端末の停止または休止を復帰させるウェークオンラン(Wake on LAN)を行うことが可能となる。
【0026】
通常、IEEE802.1x等の無線LANのセキュリティ技術を用いる場合には、定期的に無線区間の暗号キーを変化させたり、定期的に認証サーバとの間で認証を行ったりしている。その際、暗号キーの書換えや認証動作を行う場合には、無線LANモジュール単体ではそれらの動作を実行することができず、無線LANを実装する端末のOS(Operating System)またはソフトウェアが必要となる。また、ディジタル証明書で認証サーバとの認証を行う場合には、無線LAN端末本体の記憶装置が必要となる。
【0027】
また、本発明の無線LANシステムでは、上記のように、暗号化されないビーコンを使用してウェークオンさせるため、暗号キーの変化や再認証を必要としないので、無線LAN端末の停止または休止中にローミングが発生しても、無線LAN端末の停止または休止を復帰させるウェークオンランを行うことが可能となる。
【0028】
通常、無線LANのセキュリティ技術を使用しているネットワークでは、ローミング時に改めて認証等を行い、これらも無線LANモジュール単体ではそれらの動作を実現することができない。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、以下に述べるような構成及び動作とすることで、無線LANのセキュリティ技術で認証サーバにて接続の認証を行い、また通信する際に他の端末と異なる暗号キーを使用し、かつ定期的に暗号キーを更新する環境においても、停止または休止している無線LAN端末を遠隔から起動制御することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例による無線LAN(Local Area Network)システムの構成を示すブロック図である。図1において、本発明の一実施例による無線LANシステムは管理端末1と、無線LANアクセスポイント2と、無線LAN端末3とから構成されている。
【0031】
管理端末1は無線LAN端末3の電源起動制御を管理し、停止または休止中の無線LAN端末3を起動させる必要がある場合、無線LANアクセスポイント2に対して端末起動指示信号101を送信する。
【0032】
端末起動指示信号101は、例えば、無線LANアクセスポイント2固有のMIB(Management Information Base:マネージメント・インフォメーション・ベース)を使用したSNMP(Simple Network Management Protocol:シンプル・ネットワーク・マネージメント・プロトコル)の信号で、これを受信した無線LANアクセスポイント2はビーコン間隔をパターン化する。
【0033】
無線LANアクセスポイント2はビーコン間隔をパターン化するためのビーコン送信間隔制御部21を備えており、また端末起動指示信号101を認識してビーコン送信間隔制御部21を制御する。ここで、無線LANアクセスポイント2とは、通信サービスを利用する無線LAN端末3を通信事業者のネットワークに接続するための接続点、あるいは有線LANへのゲートウェイとなる無線LANの親機を示している。
【0034】
また、通常時に定められた一定の間隔で送信されるビーコンは無線LANアクセスポイント2が無線LAN端末に対してサポートしている機能やBSA(Basic Service Area)のID(SSID:Service Set IDentifier)を通知するためのフレームである。
【0035】
ビーコン送信間隔制御部21は無線LANアクセスポイント2からの指示によって通常動作モードとパターン化送信間隔モードとを切り換えて、ビーコンの送信間隔を制御する。通常動作モード時には無線LANアクセスポイント2に、例えば100msと設定されているとする場合、100msに1回の一定間隔でビーコンの送信を行う。パターン化送信間隔モード時には、例えば200ms間隔で2回、続いて300ms間隔で2回、続いて200ms間隔で2回というように、200ms間隔と300ms間隔とを繰り返す。
【0036】
無線LAN端末3は無線LANモジュール30を実装する端末である。また、無線LAN端末3は端末の停止(シャットダウン)や休止(スタンバイ)等を行った場合に、端末本体のCPU(中央処理装置)や記憶装置、または電源等が停止状態であっても、無線LANモジュール(4)への電源供給を常時行う機能を持っている。
【0037】
さらに、無線LAN端末3は端末の停止(シャットダウン)や休止(スタンバイ)状態の時でも、無線LANモジュール30の起動要求があった場合、端末の起動を開始する機能を持つ。
【0038】
無線LANモジュール30はパターン化されたビーコン間隔検出回路31を備えており、またビーコン間隔検出回路31から検出信号を受け取ると、無線LAN端末3へ起動要求を行い、同時に無線LANアクセスポイント2に対して無線切断要求を行った後、通常の接続処理に移行する機能を持つ。
【0039】
また、無線LAN端末3が停止(シャットダウン)や休止(スタンバイ)等状態の場合はローミングを検出した場合でも、通常のローミング動作を行わず、移動先の無線LANアクセスポイント2のビーコンを受信しつづけ、ビーコン間隔検出回路31から検出信号を受けた時に、通常の接続処理に移行する機能を持つ。
【0040】
ビーコン間隔検出回路31は無線LAN端末3が停止(シャットダウン)や休止(スタンバイ)等の状態の場合に、ビーコンの間隔を常に監視する。例えば、ビーコン間隔が100msの場合には「0」とし、ビーコン間隔が200msの場合には「A」とし、ビーコン間隔が300msの場合には「B」と判別する。
【0041】
上述したように、無線LANアクセスポイント2が100ms間隔から200ms間隔で2回、続いて300ms間隔で2回と送信された場合、ビーコン間隔検出回路31は「0」,・・・・,「0」,「A」,「A」,「B」,「B」,「0」,・・・・,「0」と判別し、「A」と「B」とが2回ずつ繰り返された場合、検出信号を無線LANモジュール30に出力する。
【0042】
図2は本発明の一実施例による無線LANシステムにおける起動制御を示すシーケンスチャートである。これら図1及び図2を参照して本発明の一実施例による無線LANシステムにおける起動制御について説明する。
【0043】
無線LANアクセスポイント2は通常の起動後に(図2のa1)、ビーコンを通常モードで送出する(図2のa2,a3)。この場合、例えば、通常モードのビーコンを100ms間隔としている。
【0044】
無線LAN端末3も通常の起動後に(図2のa4)、通常通りに、無線LANモジュール30に対して無線LANの接続指示を行う(図2のa5)。接続指示を受けた無線LANモジュール30は無線LANアクセスポイント2に対して接続要求を行う(図2のa6)。
【0045】
その後、無線LAN端末3はIEEE802.1x認証サーバとの間でIEEE802.1x認証を行い(図2のa7)、最後に暗号キーを取得し(図2のa8)、ネットワークへの接続が可能となって通信が開始される(図2のa9)。この時、ビーコン間隔検出回路31はビーコンのパターン検出を行わない。
【0046】
無線LAN端末3は運用終了時等の場合、停止または休止とされ(図2のa10)、CPUや記憶装置、内部電源等が停止される。この時、無線LANモジュール30へは電源が常時供給され、動作状態となっているものとする。無線LAN端末3は停止または休止となる際、無線LANモジュール31に対して起動指示を受ける準備を促す待機指示を行う(図2のa11)。
【0047】
無線LANモジュール30は待機指示を受けると、ビーコン間隔検出回路31にパターン待機指示を行う(図2のa12)。ビーコン間隔検出回路31はパターン待機指示を受けると、図示せぬパターン検出回路を動作させ、ビーコンのパターン化の検出を行いつつ待機する(図2のa13)。
【0048】
停止または休止中の無線LAN端末3をリモートから起動させる場合、管理端末1は無線LANアクセスポイント2に対して無線LAN端末起動指示を行う(図2のa14)。無線LANアクセスポイント2は無線LAN端末起動指示を受けると、ビーコン送信間隔制御部21に対してビーコンパターン化指示を行う(図2のa15)。
【0049】
ビーコン送信間隔制御部21はビーコンパターン化指示を受けると、ビーコンのパターンモードとなり、通常モードで100ms間隔送出していたビーコン間隔を変化させる(図2のa16,a17)。この場合、例えば、ビーコン送信間隔制御部21はパターンモード後の1つ目のビーコンを200ms後、2つ目のビーコンを200ms後、3つ目のビーコンを300ms後、4つ目のビーコンを300ms後にそれぞれ送出後、再度通常モードの100ms間隔とする。
【0050】
ビーコンは無線電波であり、無線LAN端末3はすべてのビーコンを確実に受信できないこともあるため、このパターンモードを数回繰り返すことによって、無線LAN端末3がパターン化されたビーコンを識別することができる確率を高くする。
【0051】
一方、ビーコン間隔検出回路31はすべてのビーコンを受信しており、100ms毎にビーコンの有無を確認している。ビーコン間隔検出回路31は直前のビーコンから100ms後に次のビーコンを受信した場合に「0」、直前のビーコンから200ms後に次のビーコンを受信した場合に「A」、直前のビーコンから300ms後に次のビーコンを受信した場合に「B」というように検出するパターン検出回路を持つ。
【0052】
この結果、ビーコン間隔検出回路31は「A,A,B,B」という連続したパターンを検出すると、それをパターン化されたビーコンとして判断し、無線LANモジュール30に対してパターン検出を通知する(図2のa18)。無線LANモジュール30はパターン検出の通知を受けると、無線LAN端末3に対して起動指示を通知する(図2のa19)。
【0053】
また、ビーコン間隔検出回路31は無線LANアクセスポイント2の動作が停止し、ビーコンを受信できなくなり、一度切断後、再度ビーコンを受信できるようになる場合や別の無線LANアクセスポイントにローミングする場合、再接続の無線LANアクセスポイントまたはローミング先の無線LANアクセスポイントに対して接続要求を行わず、再接続の無線LANアクセスポイントまたはローミング先の無線LANアクセスポイントのビーコンのみを受信し続けてパターン化されたビーコンの検出を行う。
【0054】
無線LAN端末3は起動指示を受けると、起動を開始し(図2のa20)、無線LANモジュール30に対して接続指示を行い(図2のa21)、通常の起動時と同様に接続を開始する(図2のa22〜a25)。
【0055】
このように、本実施例では、暗号化されないビーコンを使用してウェークオン(Wake on)させるため、暗号キーの変化や再認証を必要としないので、IEEE802.1x等の無線LANのセキュリティ技術を用いる無線LANネットワークにおいても、無線LAN端末の停止または休止を復帰させるウェークオンラン(Wake on LAN)を行うことができる。
【0056】
通常、IEEE802.1x等の無線LANのセキュリティを用いると、定期的に無線区間の暗号キーを変化させたり、定期的に認証サーバとの間で認証を行ったりしている。その際、暗号キーの書き換えや認証動作を行う場合、無線LANモジュール30単体ではそれらの動作を実行することができず、無線LANを実装する無線LAN端末のOS(Operating System)またはソフトウェアが必要となる。また、ディジタル証明書で認証を行う場合には無線LAN端末本体の記憶装置が必要となる。本実施例では、上記の制約が全て不要となる。
【0057】
また、本実施例では、上記と同様に、暗号化されないビーコンを使用してウェークオンさせるため、暗号キーの変化や再認証を必要としないので無線LAN端末3の停止または休止中にローミングが発生しても、無線LAN端末3の停止または休止を復帰させるウェークオンランを行うことができる。
【0058】
通常、無線LANのセキュリティ技術を使用しているネットワークでは、ローミング時に改めて認証等を行い、これらも無線LANモジュール単体ではできない。しかしながら、本実施例ではこの制約も不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施例による無線LANシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例による無線LANシステムにおける起動制御を示すシーケンスチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 管理端末
2 無線LANアクセスポイント
3 無線LAN端末
21 ビーコン送信間隔制御部
30 無線LANモジュール
31 ビーコン間隔検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN(Local Area Network)のセキュリティ技術を用いるネットワークにおいて、停止及び休止のいずれかの状態の無線LAN端末の起動を無線LANアクセスポイントを介してリモートの管理端末からの指示で行う無線LANシステムであって、暗号化されないビーコンを用いて前記無線LAN端末への起動指示を行う手段を前記無線LANアクセスポイントに有することを特徴とする無線LANシステム。
【請求項2】
前記起動指示を行う手段は、前記ビーコンの送信間隔を変化させて前記無線LAN端末への起動指示を行うことを特徴とする請求項1記載の無線LANシステム。
【請求項3】
前記送信間隔を変化させてパターン化されたビーコンを検出する手段を前記無線LAN端末に含むことを特徴とする請求項2記載の無線LANシステム。
【請求項4】
前記パターン化されたビーコンを検出する手段は、前記パターン化されたビーコンの検出時に自端末の起動指示を行うことを特徴とする請求項3記載の無線LANシステム。
【請求項5】
前記パターン化されたビーコンを検出する手段は、前記停止及び休止のいずれかの状態の時に動作する無線LANモジュールに配設されたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の無線LANシステム。
【請求項6】
前記無線LANモジュールは、自端末が前記停止及び休止のいずれかの状態の時に前記無線LANアクセスポイントとの接続において再接続及びローミングのいずれかが発生しても前記無線LANアクセスポイントへのアソシエーションを行わずに前記パターン化されたビーコンの検出を行うことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか記載の無線LANシステム。
【請求項7】
無線LAN(Local Area Network)のセキュリティ技術を用いるネットワークにおいて、停止及び休止のいずれかの状態の無線LAN端末の起動をリモートの管理端末からの指示で行う無線LANシステムに用いられる無線LANアクセスポイントであって、暗号化されないビーコンを用いて前記無線LAN端末への起動指示を行う手段を有することを特徴とする無線LANアクセスポイント。
【請求項8】
前記起動指示を行う手段は、前記ビーコンの送信間隔を変化させて前記無線LAN端末への起動指示を行うことを特徴とする請求項7記載の無線LANアクセスポイント。
【請求項9】
無線LAN(Local Area Network)のセキュリティ技術を用いるネットワークにおいて、停止及び休止のいずれかの状態の時に無線LANアクセスポイントを介したリモートの管理端末からの指示で起動される無線LAN端末であって、前記無線LANアクセスポイントからの暗号化されないビーコンを検出する手段を含み、前記ビーコンの検出に応答して起動することを特徴とする無線LAN端末。
【請求項10】
前記ビーコンを検出する手段は、送信間隔を変化させてパターン化されたビーコンを検出することを特徴とする請求項9記載の無線LAN端末。
【請求項11】
前記ビーコンを検出する手段は、前記停止及び休止のいずれかの状態の時に動作する無線LANモジュールに配設したことを特徴とする請求項9または請求項10記載の無線LAN端末。
【請求項12】
前記無線LANモジュールは、自端末が前記停止及び休止のいずれかの状態の時に前記無線LANアクセスポイントとの接続において再接続及びローミングのいずれかが発生しても前記無線LANアクセスポイントへのアソシエーションを行わずに前記パターン化されたビーコンの検出を行うことを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか記載の無線LAN端末。
【請求項13】
無線LAN(Local Area Network)のセキュリティ技術を用いるネットワークにおいて、停止及び休止のいずれかの状態の無線LAN端末の起動を無線LANアクセスポイントを介してリモートの管理端末からの指示で行う無線LANシステムに用いる起動制御方法であって、前記無線LANアクセスポイント側に、暗号化されないビーコンを用いて前記無線LAN端末への起動指示を行う処理を有することを特徴とする起動制御方法。
【請求項14】
前記起動指示を行う処理は、前記ビーコンの送信間隔を変化させて前記無線LAN端末への起動指示を行うことを特徴とする請求項13記載の起動制御方法。
【請求項15】
前記無線LAN端末側に、前記送信間隔を変化させてパターン化されたビーコンを検出する処理を含むことを特徴とする請求項14記載の起動制御方法。
【請求項16】
前記パターン化されたビーコンを検出する処理は、前記パターン化されたビーコンの検出時に自端末の起動指示を行うことを特徴とする請求項15記載の起動制御方法。
【請求項17】
前記パターン化されたビーコンを検出する処理は、前記停止及び休止のいずれかの状態の時に動作する無線LANモジュールに配設されたことを特徴とする請求項15または請求項16記載の起動制御方法。
【請求項18】
前記無線LANモジュールが、自端末が前記停止及び休止のいずれかの状態の時に前記無線LANアクセスポイントとの接続において再接続及びローミングのいずれかが発生しても前記無線LANアクセスポイントへのアソシエーションを行わずに前記パターン化されたビーコンの検出を行うことを特徴とする請求項15から請求項17のいずれか記載の起動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−60336(P2006−60336A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237827(P2004−237827)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】