説明

無線LAN端末および無線LAN端末用プログラム

【課題】LANにより互いに接続されている複数のアクセスポイント装置と無線接続される無線LAN端末において、チャンネルスキャン時間を確実に短縮することができる。
【解決手段】無線LAN端末がアクセスポイント装置に帰属していたときの当該アクセスポイント装置と無線LAN端末との位置関係に基づいて求められた当該アクセスポイント装置の通信範囲の情報を、当該アクセスポイント装置の使用チャンネルの情報と対応付けて記憶部に記憶する。チャンネルスキャンをする前に、位置検出手段により自端末の位置を検出する。検出された自端末の位置が含まれる通信範囲の情報が、記憶部に記憶されているか否か判別し、自端末の位置が含まれる通信範囲の情報が記憶部に記憶されていると判別されたときに、記憶部に通信範囲の情報と対応付けられて記憶されている使用チャンネルの情報で特定されるチャンネルから、チャンネルスキャンを開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LANにより互いに接続されている複数のアクセスポイント装置と無線接続する無線LAN端末に関し、特に、アクセスポイント装置との無線接続のためのチャンネルスキャンの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LANを構築する場合、その無線LANのカバーエリアの全体を一つのアクセスポイント装置でカバーすることができない場合には、有線LANまたは無線LANにより互いに接続されている複数のアクセスポイント装置を用いる。この場合に、複数のアクセスポイント装置のそれぞれは、無線LAN端末と無線接続して通信を行うための使用チャンネルを互いに異なるチャンネルとして、互いに混信が生じないようにしている。
【0003】
例えば、IEEE(The Institute Electrical and Electronics Engineers,Inc.)802.11b規格の無線LANでは、2.5GHzの周波数帯が用いられ、アクセスポイント装置の使用チャンネルは、1チャンネル〜14チャンネルの合計14チャンネルを用いることができる。各アクセスポイント装置には、この14個のチャンネルのうちの異なる1つのチャンネルが設定される。
【0004】
そして、無線LAN端末は、その位置の近くに在って、通信品質が良好となるアクセスポイント装置と無線接続をするようにするが、その無線接続に先立ち、無線接続可能なアクセスポイント装置の使用チャンネルを探索するチャンネルスキャンを行う。
【0005】
従来の無線LAN端末においては、このチャンネルスキャンは、前記1チャンネルから14チャンネルまでを、順番に1チャンネルずつ順次に切り替えてスキャンする方法や、複数のアクセスポイント装置が使用しているチャンネルの全てを無線LAN端末に登録し、登録チャンネルを優先的にスキャンする方法などが用いられている。そして、無線LAN端末は、アクセスポイント装置の使用チャンネルが検出できると、そこで、チャンネルスキャンを終了し、アクセスポイント装置と無線接続して当該アクセスポイント装置に帰属する状態となる。
【0006】
ところで、この無線LAN端末におけるチャンネルスキャンは、例えば無線LAN端末に電源を投入して起動するときだけでなく、無線LAN端末が移動して位置を変えたことに伴い、通信品質が良好であるアクセスポイント装置を切り替えるハンドオーバー動作時にも行う。無線LAN端末は、ハンドオーバーにより、無線接続により帰属するアクセスポイント装置を変更して、通信を継続して行えるようになる。
【0007】
そして、無線LAN端末は、チャンネルスキャン動作中は、アクセスポイント装置とのデータ通信が不可能であるために、チャンネルスキャンに要する時間は、できるだけ短い方が好ましい。しかしながら、1チャンネル〜14チャンネルまでを順次探索する場合には、比較的、スキャン時間が長くなってしまう問題があった。
【0008】
この問題にかんがみ、チャンネルスキャン時間を短縮化する方法が、従来から種々提案されている。例えば特許文献1(特開2005−151433号公報)に開示されたバックグランドスキャン方法では、アクセスポイント装置が使用可能な全てのチャンネルを複数グループに分けることにより、1回のバックグランドスキャンにかける時間を短縮するようにしている。
【0009】
また、特許文献2(特開2007−325064号公報)には、通信中のアクセスポイント装置の使用チャンネルを基準チャンネルとし、この基準チャンネルの前後の特定チャンネル範囲をスキャンチャンネル対象範囲として、所定のチャンネルステップでチャンネルスキャンを行うことで、スキャンチャンネル数を減少させ、スキャン時間を短縮する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−151433号公報
【特許文献2】特開2007−325064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1のバックグランドスキャン方法は、バックグランドスキャンを複数回かけて全チャンネルのスキャンを行うため、全スキャン終了までに要する時間は従来と同程度になってしまうという問題がある。
【0012】
また、特許文献2の方法の場合、毎回、同様にチャンネルスキャンを行うために、アクセスポイント装置の使用チャンネルが中々見つからない場合には、全てのチャンネルを検索したときと同様のスキャン時間を要するという問題がある。
【0013】
すなわち、上記の特許文献1および特許文献2は、いずれも、無線LANとして構築されたアクセスポイント装置の通信範囲やその使用チャンネルを知得してチャンネルスキャンに利用するものではないため、最悪の場合には、全てのチャンネルをスキャンしなければならない場合が生じ、その結果として、チャンネルスキャン時間の短縮化に対する貢献は小さくなってしまうという問題が生じてしまうのである。
【0014】
以上のことにかんがみ、この発明は、より確実にチャンネルスキャン時間を短縮することができるようにした無線LAN端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、この発明は、
LANにより互いに接続されている複数のアクセスポイント装置と無線接続される無線LAN端末において、
前記無線LAN端末が前記アクセスポイント装置に帰属していたときの当該アクセスポイント装置と前記無線LAN端末との位置関係に基づいて求められた当該アクセスポイント装置の通信範囲の情報を、当該アクセスポイント装置の使用チャンネルの情報と対応付けて記憶部に記憶する記憶手段と、
アクセスポイント装置と無線接続するためのチャンネルスキャンをする前に、自端末の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段で検出された前記自端末の位置が含まれる前記通信範囲の情報が、前記記憶部に記憶されているか否か判別する判別手段と、
前記判別手段で、前記位置検出手段で検出された前記自端末の位置が含まれる前記通信範囲の情報が前記記憶部に記憶されていると判別されたときに、前記記憶部に前記通信範囲の情報と対応付けられて記憶されている前記使用チャンネルの情報で特定されるチャンネルから、前記チャンネルスキャンを開始するスキャン手段と、
を備える無線LAN端末を提供する。
【0016】
上述の構成のこの発明においては、無線LAN端末の記憶部には、無線LAN端末がアクセスポイント装置に帰属していたときの当該アクセスポイント装置と無線LAN端末との位置関係に基づいて求められた当該アクセスポイント装置の通信範囲の情報が、当該アクセスポイント装置の使用チャンネルの情報と対応付けられて記憶されている。
【0017】
そして、位置検出手段により、無線LAN端末が、チャンネルスキャンを行う前に、そのときの無線LAN端末の位置が検出される。そして、判別手段により、その無線LAN端末の位置が含まれる通信範囲の情報が記憶部に記憶されていると判別されたときには、記憶部にその通信範囲の情報と対応付けられて記憶されているチャンネルから、無線LAN端末は、チャンネルスキャンを開始する。
【0018】
以上のように、この発明によれば、記憶部に記憶された、無線LANとして構築されたアクセスポイント装置の通信範囲やその使用チャンネルの情報と、無線LAN端末の現在位置の情報とから、チャンネルスキャンの開始チャンネルが決定される。すなわち、無線LAN端末の現在位置でのチャンネルスキャンは、当該位置を通信範囲とするアクセスポイント装置の使用チャンネルを開始チャンネルとして実行される。このため、チャンネルスキャン時間は非常に短いものとすることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、無線LAN端末の現在位置でのチャンネルスキャンを、当該位置を通信範囲とするアクセスポイント装置の使用チャンネルを開始チャンネルとして実行することが可能となり、チャンネルスキャン時間を非常に短いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明による無線LAN端末の第1の実施形態が適用されたシステムの例を示すブロック図である。
【図2】この発明による無線LAN端末の第1の実施形態におけるチャンネルスキャンの方法を説明するために用いる図である。
【図3】この発明による無線LAN端末の第1の実施形態におけるチャンネルスキャンの方法を説明するために用いる図である。
【図4】この発明による無線LAN端末の第1の実施形態におけるチャンネルスキャンの方法を説明するために用いる図である。
【図5】この発明による無線LAN端末の第1の実施形態におけるチャンネルスキャンの方法を説明するために用いる図である。
【図6】図1の例のシステムを構成するアクセスポイント装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】この発明による無線LAN端末の第1の実施形態としての携帯型電話端末の構成例を示すブロック図である。
【図8】図6の構成例のアクセスポイント装置の処理動作の一例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図9】この発明による無線LAN端末の第1の実施形態としての携帯型電話端末の処理動作の一例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図10】この発明による無線LAN端末の第1の実施形態としての携帯型電話端末の処理動作の一例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図11】この発明による無線LAN端末の第1の実施形態としての携帯型電話端末の処理動作の一例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図12】この発明による無線LAN端末の第2の実施形態におけるチャンネルスキャンの方法を説明するために用いる図である。
【図13】この発明による無線LAN端末の第2の実施形態におけるチャンネルスキャンの方法を説明するために用いる図である。
【図14】この発明による無線LAN端末の第2の実施形態としての携帯型電話端末の処理動作の一例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図15】この発明による無線LAN端末の第3の実施形態が適用されたシステムの例を示すブロック図である。
【図16】この発明による無線LAN端末の第3の実施形態としての携帯型電話端末の処理動作の一例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図17】この発明による無線LAN端末の第3の実施形態としての携帯型電話端末の処理動作の一例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図18】この発明による無線LAN端末の第3の実施形態と無線接続するアクセスポイント装置の処理動作の一例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図19】図15の例のシステムを構成する通信範囲管理サーバの処理動作の一例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図20】この発明による無線LAN端末の第4の実施形態が適用されたシステムの例を示すブロック図である。
【図21】この発明による無線LAN端末の第4の実施形態と無線接続するアクセスポイント装置の構成例を示すブロック図である。
【図22】この発明による無線LAN端末の第4の実施形態におけるチャンネルスキャンの方法を説明するために用いる図である。
【図23】この発明による無線LAN端末の第4の実施形態におけるチャンネルスキャンの方法を説明するために用いる図である。
【図24】この発明による無線LAN端末の第4の実施形態と無線接続するアクセスポイント装置の処理動作の一例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明による無線LAN端末の実施形態を、当該無線LAN端末が適用される無線LANシステムと共に、図を参照しながら説明する。以下に示す無線LANシステムの例は、この発明による無線LAN端末の実施形態を携帯型電話端末とすると共に、無線LANを用いて、主装置部と複数の携帯型電話端末の間を、無線通信路(無線リンク)を通じて接続するようにするビジネスホンシステムに用いた場合である。
【0022】
なお、この発明による無線LAN端末の実施形態が適用される無線LANシステムは、この例のような電話システムに限られるものではないことは言うまでもない。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は、この発明による無線LAN端末の実施形態を携帯型電話端末として用いたビジネスホンシステムの全体の構成例を示すブロック図である。この例で用いる無線LANは、IEEE802.11規格に準拠しており、通話音声情報や呼制御のための情報の他、全ての情報はパケット化されて送受される。
【0024】
この例のビジネスホンシステムは、主装置部1と、複数個の携帯型電話端末2と、この複数個の携帯型電話端末2と主装置部1とを接続するための接続インターフェース部3とからなる。
【0025】
主装置部1は、サーバ装置11と、ゲートウエイ12とを備えて構成されている。サーバ装置11は、この例のビジネスホンシステムの場合には、電話通信中継交換装置の役割をもするものであり、ゲートウエイ12を通じて外部ネットワーク13、この例においては、公衆交換電話網(PSTN;Public Switched Telephone Network)にも接続される。なお、外部ネットワーク13には、インターネットをも含むものである。
【0026】
この例においては、主装置部1は、電話通信用として、複数回線分を収容することが可能とされており、サーバ装置11は、収容している電話通信用回線のそれぞれに識別情報(例えば回線番号)を付与して管理している。この例においては、収容する電話通信用回線としては、アナログ回線、ISDN(Integrated Service Digital Network)回線、VoIP(Voice over Internet Protocol)回線(以下、IP回線という)など、複数種の回線を収容可能であり、各回線番号に対応して、その回線の回線種別も登録されて記憶管理されている。
【0027】
接続インターフェース部3は、複数個の無線LAN用アクセスポイント装置(以下、AP装置という)31,32,33,…3n(nは2以上の整数)が有線LAN4により互いに接続されて構成されている。有線LAN4には、主装置部1のサーバ装置11が接続されており、複数個のAP装置31,32,33,…3nは、この有線LAN4を通じて、主装置部1のサーバ装置11と接続されている。また、複数個のAP装置31,32,33,…3nは、無線LAN5を構成するためのもので、複数個の携帯型電話端末2とは、この無線LAN5を通じて接続されている。
【0028】
なお、複数個のAP装置31,32,33,…3nは、全く同じ構成を有するものであるので、以下の説明において、複数個のAP装置31,32,33,…3nのそれぞれを区別する必要が無いときには、AP装置30と記載することとする。
【0029】
AP装置30は、携帯型電話端末2と無線接続する際の認証処理機能を備えると共に、サーバ装置11と、携帯型電話端末2との間におけるパケットの送受の中継を、主として行なう。
【0030】
一方、携帯型電話端末2のそれぞれは、無線LAN用端末側ステーション装置の機能部および電話機能部を備える。そして、携帯型電話端末2は、無線LAN用端末側ステーション装置の機能部により、複数個のAP装置30のいずれかと無線接続してそのAP装置30に帰属する。当該AP装置30に帰属する際には、チャンネルスキャンを行って、帰属しようとするAP装置30の使用チャンネルを探索する。そして、AP装置30の使用チャンネルを検出した携帯型電話端末2は、そのAP装置30に対して登録処理および相互認証処理を行って、その登録処理および認証処理の完了により、当該AP装置30との無線通信が可能となり、携帯型電話端末2は、AP装置30に帰属する状態となる。
【0031】
なお、ここで、「AP装置30に帰属する」とは、携帯型電話端末2がAP装置30の通信範囲内にあってAP装置30と無線接続することが可能な状態にあることを意味し、実際に通信路が接続されて通信を実行しているか否かは問わない状態を言う。
【0032】
そして、ユーザが携帯型電話端末2を携帯して移動し、AP装置30との無線通信における通信品質を維持することができなくなると、携帯型電話端末2は、そのAP装置30から帰属を外れ、ハンドオーバーを行って良好な通話品質で無線通信することができる他のAP装置30を探索して、当該他のAP装置30に帰属するようになる。AP装置30は、自装置に帰属した携帯型電話端末2の識別情報を、有線LAN4を通じて主装置1のサーバ11に送る。
【0033】
サーバ装置11は、AP装置31,32,33,…3nのそれぞれを通じて送られてくる情報に基づいて、無線LAN5に接続されている携帯型電話端末2のそれぞれについて、帰属しているAP装置30の情報を含む当該無線LAN5上のアドレス情報を管理している。そして、サーバ装置11は、無線LAN5を通じた携帯型電話端末2についての電話通信の通話路を管理する。例えば、サーバ装置11は、外部ネットワーク13に接続された複数の通信用回線のそれぞれについて、当該通信用回線を通じた他の電話端末と、AP装置30および無線LAN5を介した携帯型電話端末2との間の通話(外線通話)について、通信制御およびその管理をする。
【0034】
また、サーバ装置11は、管理しているアドレス情報を用いて、複数台の携帯型電話端末2のいずれか一つと、他の一つとの間での、AP装置30および無線LAN5を通じた内線通話についての通信制御および管理をも行なうようにしている。
【0035】
[第1の実施形態における高速チャンネルスキャンの概要]
この実施形態の携帯型電話端末2の無線LAN用端末側ステーション装置の機能部は、AP装置30と無線接続の際のチャンネルスキャンを高速に行えるようにする手段を備える。すなわち、携帯型電話端末2は、チャンネルスキャンを高速に行えるようにするために、携帯型電話端末2の現在位置を検出するための位置検出手段の例としてのGPS(Global Positioning System)測位手段と、検出した現在位置が、いずれかのAP装置30の通信範囲内にあるかどうかを判定する判定手段と、その判定の結果、現在位置を含む通信範囲があれば、その通信範囲をカバーするAP装置の使用チャンネルからチャンネルスキャンを開始するチャンネルスキャン手段とを備える。
【0036】
そして、この第1の実施形態では、携帯型電話端末2は、自端末が過去に帰属したAP装置30の使用チャンネル情報と、その通信範囲の情報とを対応付けてAP装置探索用情報として記憶するAP装置探索用情報記憶部を備える。この場合、GPS測位手段により検出された現在位置の情報には、緯度、経度のみではなく、高さ(標高)も含まれるが、説明の簡単のため、以下の説明においては、AP装置30の設置位置および複数個の携帯型電話端末2の移動する場所は、同一の高さ上である場合として、高さの情報は考慮しないものとする。
【0037】
この第1の実施形態では、AP装置30の通信範囲は、AP装置30の位置を中心とした円形の通信範囲を想定している。そこで、AP装置30の通信範囲の情報としては、AP装置30の位置(通信範囲の円の中心位置)と、円の半径、あるいはこの円の半径を規定するため円周上の一点の位置情報とされる。
【0038】
以上のことから、この実施形態では、AP装置30は、その位置情報を携帯型電話端末2に報知する必要がある。このため、この実施形態では、AP装置30は、その位置情報を検知して携帯型電話端末2に送信するために、後述するように、GPS測位手段を備えている。
【0039】
次に、図2〜図5を参照して、この第1の実施形態における携帯型電話端末2における高速チャンネルスキャンのための処理動作の概要を説明する。
【0040】
図2は、携帯型電話端末2が新規にシステムに投入されて、AP装置31に帰属している状態を示している。携帯型電話端末2は、AP装置31に帰属しているときに、当該AP装置31から、その位置情報Pap1を取得し、一時保持するようにする。また、携帯型電話端末2は、このAP装置31の使用チャンネル(この例では第1チャンネル(中心周波数は2412MHz))の情報を、前記位置情報Pap1と対応付けて一時保持しておくようにする。
【0041】
ここで、使用チャンネルの情報としては、チャンネル番号そのものであっても良いし、チャンネルを識別するための情報であってもよい。後者の場合には、端末は、チャンネルを識別するための情報からチャンネル番号を特定する手段を備えるものである。
【0042】
そして、携帯型電話端末2が移動して、AP装置31からの受信電波の受信強度が所定値以下となったため、AP装置31との無線通信品質を保持して通信することができないと判別される位置Ph1になると、携帯型電話端末2は、その位置Ph1をハンドオーバーが必要な位置と認識して、AP装置31から帰属を外れ、ハンドオーバー処理動作を行う。
【0043】
携帯型電話端末2は、AP装置31から帰属を外れた場合、ハンドオーバー処理動作の開始に先立ち、GPS測位手段により、自端末の現在位置Ph1を検出すると共に、前述したAP装置探索用情報記憶部を参照する。ここでは、携帯型電話端末2は、新規にシステムに投入されたので、AP装置探索用情報記憶部には、記憶情報は存在しない。このため、携帯型電話端末2は、従来と同様に、予め定められた順序でチャンネルスキャンを開始する。
【0044】
そして、図2の例では、携帯型電話端末2は、このチャンネルスキャンにより、AP装置32の使用チャンネルにより無線接続が可能となることを検知して、AP装置31からAP装置32にハンドオーバーして、AP装置32に帰属する。この実施形態では、その後、携帯型電話端末2は、一時記憶していたハンドオーバー前のAP装置31の使用チャンネルの情報と、AP装置31の通信範囲の情報とを、対応付けて、図3に示すように、AP装置探索用情報記憶部に記憶する。
【0045】
この例の場合、AP装置31の通信範囲の情報としては、AP装置31の位置Pap1の情報と、この位置Pap1からハンドオーバーが必要となった自端末の位置Ph1までの距離として算出された、通信範囲の半径R1の情報とからなるものとされる。なお、半径R1の代わりに、前記ハンドオーバーが必要となった自端末の位置Ph1を記憶するようにしても良いことは前述の通りである。
【0046】
そして、携帯型電話端末2は、AP装置32に帰属しているときに、当該AP装置32から、その位置情報Pap2を取得し、一時保持するようにする。また、携帯型電話端末2は、このAP装置32の使用チャンネル(この例では第11チャンネル(中心周波数は2462MHz))の情報を一時保持しておくようにする。
【0047】
そして、携帯型電話端末2が移動して、例えば図4に示すように、AP装置32からの受信電波の受信強度が所定値以下となったため、AP装置32との無線通信品質を保持して通信することができないと判別される位置Ph2になると、携帯型電話端末2は、その位置Ph2をハンドオーバーが必要な位置と認識して、AP装置32から帰属を外れ、ハンドオーバー処理動作を行う。
【0048】
携帯型電話端末2は、AP装置32から帰属を外れた場合、ハンドオーバー処理動作の開始に先立ち、GPS測位手段により、自端末の現在位置Ph2を検出すると共に、AP装置探索用情報記憶部を参照し、検出した自端末の現在位置Ph2が、記憶されているいずれかのAP装置30の通信範囲内にあるかどうかを判定する。
【0049】
ここで、このAP装置探索用情報記憶部には、図3に示したように、AP装置31の使用チャンネル情報と通信範囲の情報とが対応付けられて、AP装置探索用情報として記憶されている。
【0050】
したがって、図4に示すように、携帯型電話端末2の現在位置Ph2が、AP装置31の通信範囲内である場合には、携帯型電話端末2は、現在位置Ph2が、AP装置31の通信範囲内にあることを、AP装置探索用情報記憶部に記憶されているAP装置31の通信範囲情報から判別する。そして、携帯型電話端末2は、この判別結果に基づいて、AP装置探索用情報記憶部に記憶されているAP装置31の使用チャンネルを認識し、このAP装置31の使用チャンネルから、チャンネルスキャンを開始する。
【0051】
そして、図4の例では、携帯型電話端末2は、このチャンネルスキャンにより、AP装置31の使用チャンネルにより無線接続が可能となることを検知するので、AP装置32からAP装置31にハンドオーバーする。この場合、AP装置31の使用チャンネルからチャンネルスキャンが開始されるので、短時間でチャンネルスキャンが終了して、ハンドオーバーが完了する。
【0052】
その後、携帯型電話端末2は、一時記憶していたハンドオーバー前のAP装置32の使用チャンネル(第11チャンネル)の情報と、AP装置32の位置Pap2の情報と、AP装置32の通信範囲の情報(その半径R2あるいはハンドオーバーが必要となった自端末の位置Ph2の情報)とを、対応付けて、AP装置探索用情報として、図5に示すように、AP装置探索用情報記憶部に追加記憶する。
【0053】
その後は、携帯型電話端末2は、上述の動作を繰り返す。したがって、携帯型電話端末2を、無線LAN5内で移動しながら利用してゆくと、携帯型電話端末2のAP装置探索用情報記憶部には、無線LAN5内の全てのAP装置31〜3nについての使用チャンネルの情報と通信範囲の情報とが格納されるようになる。そのようになると、携帯型電話端末2では、常に、隣接していてハンドオーバーが可能なAP装置の使用チャンネルからチャンネルスキャンを開始することが可能となるので、チャンネルスキャンを、常に短時間で終了させて、短時間でハンドオーバーすることができるようになる。
【0054】
ところで、携帯型電話端末2は、バッテリー駆動であるために、使用しないときには、電源をオフにしておくようにして、省電力化を図るようにしている。そして、電源オンにしたときには、携帯型電話端末2は、チャンネルスキャンを行って、当該端末2の現在位置を通信範囲内とするAP装置30に帰属するようになる。この実施形態では、上述したハンドオーバー時のみではなく、このような携帯型電話端末2の起動時においても、AP装置探索用情報記憶部の記憶内容を参照して、チャンネルスキャンを行うことで、起動時間を短縮化するようにしている。
【0055】
次に、上述の第1の実施形態のシステムを構成するAP装置30および携帯型電話端末2の詳細な構成例および動作例を説明する。
【0056】
<AP装置30のハードウエア構成例>
図6は、AP装置30のハードウエア構成例を示すブロック図である。この例のAP装置30は、例えばマイクロコンピュータが用いられて構成されており、システムバス100に対してCPU(Central Processing Unit)101と、プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)102と、ワークエリアとして働くRAM(Random Access Memory)103とが接続されている。
【0057】
また、この例では、システムバス100には、さらに、有線LANインターフェース104、パケット処理部105、接続用情報記憶部106、GPS測位部107、設置位置情報記憶部108、I/Oポート109、が接続されている。
【0058】
CPU101は、このAP装置30の全体の動作を制御するものである。ROM102には、このAP装置30における種々の制御処理を実行するためのプログラムやMACアドレスが記憶されている。CPU101は、RAM103をワークエリア用のメモリとして用いて、このROM102のプログラムにしたがった後述するような種々の制御処理を実行する。
【0059】
有線LANインターフェース104は、有線LAN4を通じてサーバ装置11に接続されており、有線LAN4を通じてサーバ装置11から受信した受信IPパケットをパケット処理部105に転送する機能と、パケット処理部105からの送信パケットを、有線LAN4を通じてサーバ装置11に送出する機能を備える。
【0060】
パケット処理部105は、受信したIPパケットを分解し、また、送信する情報を送信パケットに変換生成する機能を備える。
【0061】
接続用情報記憶部106は、無線LAN機能を備える端末と無線接続するための無線LAN用の接続用情報(認証用情報)、この例では、ネットワーク識別子としてのESSID(Extended Service Set Identifier)および暗号化のためのWEP(Wired Equivalent Privacy)キーを記憶する。
【0062】
GPS測位部107は、CPU101の制御の下、自AP装置30の現在位置を測位し、その測位した現在位置の情報を、設置位置情報記憶部108に格納する。この例では、GPS測位部107は、例えばAP装置30に電源が投入されたときに起動されて、現在位置の測位を実行し、測位した現在位置の情報を、設置位置情報記憶部108に格納する。なお、電源が投入されたまま、AP装置30が移動されることを想定して、数時間おきなどの所定時間おきに、GPS測位部107を起動させて、設置位置情報記憶部108の現在位置の情報を更新するようにしても良い。
【0063】
なお、AP装置30が固定的な位置に設置される場合には、その設置時に、例えば設置業者が所持するGPS測位装置を用いて各AP装置30の位置を検出して、その検出した位置情報を、それぞれのAP装置30の設置位置情報記憶部108に格納させるようにしておいても良い。その場合には、GPS測位部107を、AP装置30に設ける必要はない。
【0064】
I/Oポート109には、無線LAN送受信回路110が接続される。無線LAN送受信回路110は、送信用処理回路111と、受信用処理回路112と、送信アンプ113と、受信アンプ114と、アンテナ分配回路115と、送信アンテナ116と、受信アンテナ117とを備えて構成される。
【0065】
送信アンテナ116および受信アンテナ117は、無線LANを通じてのパケットの送受を行なうためのものである。AP装置30では、有線LANインターフェース104を通じて得た送信用パケットを、CPU101の制御に応じて、I/Oポート109から送信用処理回路111および送信アンプ113、また、アンテナ分配回路115を介して送信アンテナ116に供給して、無線接続されている携帯型電話端末2に対して無線送信する。
【0066】
また、受信アンテナ117を通じて受信した携帯型電話端末2からのパケットは、アンテナ分配回路115および受信アンプ114を通じて受信用処理回路112に供給される。そして、受信用処理回路112からのパケットは、I/Oポート109を通じてシステムバス100に送出される。
【0067】
なお、パケット処理部105は、ハードウエア構成とするのではなく、CPU101が、RAM103をワークエリアとして用いてROM102のプログラムにしたがって処理を実行するソフトウエア機能部として構成することもできる。
【0068】
<携帯型電話端末2のハードウエア構成例>
図7は、この第1の実施形態に使用される無線LAN端末の例としての携帯型電話端末2のハードウエア構成例を示すブロック図である。この例の携帯型電話端末2は、例えばマイクロコンピュータが用いられて構成されており、システムバス200に対してCPU201と、プログラム等を格納するROM202と、ワークエリアとして働くRAM203とが接続されている。
【0069】
また、この例では、システムバス200には、さらに、パケット処理部204、音声インターフェース205、ディスプレイインターフェース206、操作部インターフェース207、メモリ208、無線LAN用のI/Oポート209、GPS測位部210、チャンネルスキャン実行部211、が接続されている。
【0070】
CPU201は、この携帯型電話端末2の全体の動作を制御するものである。ROM202には、この携帯型電話端末2における種々の制御処理を実行するためのプログラムやMACアドレスが記憶されている。CPU201は、RAM203をワークエリア用のメモリとして用いて、このROM202のプログラムにしたがった種々の制御処理を実行する。
【0071】
パケット処理部204は、無線LAN用のI/Oポート209を通じて受信したパケットを分解し、また、無線LAN用のI/Oポート209を通じて送信するパケットを生成する機能を備える。パケット処理部204は、また、パケットヘッダおよびパケットデータを解析する機能を備え、解析結果をCPU201に通知する機能も備える。
【0072】
音声インターフェース205は、電話通信の受話音声信号をアナログ信号に変換し、アンプ212を通じてスピーカ213に供給して、受話音声を放音させるようにする。また、音声インターフェース205は、マイクロホン215で収音された送話音声信号をアンプ214を通じて受けて、デジタル音声信号に変換してパケット処理部204に転送する機能を備える。
【0073】
ディスプレイインターフェース206には、例えばLCDからなるディスプレイ216が接続されている。このディスプレイインターフェース206は、CPU201の制御にしたがった画像表示情報を、ディスプレイ216の表示画面に表示する。
【0074】
操作部インターフェース207には、電源オン・オフキーやテンキーなどを含む操作部217が接続されている。操作部インターフェース207は、操作部217からの操作入力情報をシステムバス200を通じてCPU201に送る。CPU201は、操作入力情報を認識して、どの様な操作入力がなされたかを判別し、その判別結果に応じた制御処理を行う。
【0075】
メモリ208には、電話通信用の電話帳データ、WebアクセスのためのURLデータや、無線LANの接続用情報が記憶される。そして、この実施形態では、メモリ208は、さらに、前述したAP装置探索用情報記憶部208Mを備える。
【0076】
I/Oポート209には、無線LAN送受信回路220が接続される。無線LAN送受信回路220は、送信用処理回路221と、受信用処理回路222と、送信アンプ223と、受信アンプ224と、アンテナ分配回路225と、送信アンテナ226と、受信アンテナ227とを備えて構成される。
【0077】
送信アンテナ226および受信アンテナ227は、無線LANを通じてのパケットの送受を行なうためのものである。CPU201の制御に応じてI/Oポート209からの送信用パケットは、送信用処理回路221および送信アンプ223、また、アンテナ分配回路225を介して送信アンテナ226に供給されて、無線接続されているAPに対して無線送信される。
【0078】
また、受信アンテナ227を通じて受信したAPからのパケットは、アンテナ分配回路225および受信アンプ224を通じて受信用処理回路222に供給される。そして、受信用処理回路222からのパケットは、I/Oポート209を通じてシステムバス200に送出される。
【0079】
GPS測位部210は、CPU201の制御にしたがって起動し、携帯型電話端末2の現在位置を測位して取得し、取得した現在位置の情報は、チャンネルスキャン実行部211に供給する。
【0080】
チャンネルスキャン実行部211は、CPU201の制御にしたがって起動し、GPS測位部210から取得した現在位置と、メモリ208のAP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されているAP装置探索用情報とから、前述したように、従来通りの順次スキャンを実行するか、この実施形態の高速チャンネルスキャンを実行するかを選定するスキャン選定手段を含む。
【0081】
このスキャン選定手段は、前述したように、GPS測位部210から取得した現在位置を含む通信範囲が、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されているか否かを判別する判別手段と、その判別手段の判別結果により、従来通りの順次スキャンを実行するか、または、この実施形態の高速チャンネルスキャンを実行するか決定する手段とを含む。
【0082】
そして、スキャン選定手段は、更に、この実施形態の高速チャンネルスキャンを実行すると決定したときには、AP装置探索用情報記憶部208Mの記憶情報を参照し、前述したようにして、チャンネルスキャンを開始するチャンネルを決定する手段も含む。
【0083】
前述した無線LAN用端末側ステーション装置の機能部は、メモリ208の記憶情報、チャンネルスキャン実行部211、無線LAN送受信回路220などを用いながら、CPU201がソフトウエア処理機能として実現するものである。
【0084】
なお、パケット処理部204、チャンネルスキャン実行部211は、ハードウエア構成とするのではなく、CPU201が、RAM203をワークエリアとして用いてROM202のプログラムにしたがって処理を実行するソフトウエア機能部として構成することもできる。
【0085】
次に、以上説明したこの第1の実施形態のAP装置30および携帯型電話端末2における、無線LAN端末のチャンネルスキャン方法に関連する処理動作について説明する。
【0086】
[AP装置30の処理動作例]
AP装置30は、無線LAN端末のチャンネルスキャン方法に関連する処理動作として、図8のフローチャートに示すような動作をする。
【0087】
すなわち、AP装置30のCPU101は、携帯型電話端末2が新たに、当該AP装置30に無線接続されて帰属されたか否か判別する(ステップS101)。このステップS101で、携帯型電話端末2が新たに無線接続されて帰属されてはいないと判別したときには、CPU101は、その他の処理を実行し(ステップS102)、その処理の終了後、ステップS101に戻る。
【0088】
また、ステップS101で、携帯型電話端末2が新たに自AP装置30に無線接続されて帰属されたと判別したときには、CPU101は、設置位置情報記憶部108に記憶されている自AP装置30の設置位置の情報を、新たに帰属した携帯型電話端末2に送信する(ステップS103)。そして、CPU101は、処理をステップS101に戻す。
【0089】
なお、この図8の例では、AP装置30は、携帯型電話端末2が無線接続されて帰属されたことを検知したときに、自装置の位置情報を、携帯型電話端末2に通知するようにしたが、当該帰属が検知されたときから所定時間後に、自AP装置の位置情報を、携帯型電話端末2に通知するようにしてもよい。
【0090】
また、AP装置30が所定時間おきにGPS測位部210により自装置の位置を測位して検出する場合には、その測位して自装置の位置を検出する毎に、携帯型電話端末2に、自装置の位置情報を通知するようにしても良い。
【0091】
[携帯型電話端末2の処理動作例]
携帯型電話端末2は、無線LAN端末のチャンネルスキャン方法に関連する処理動作として、図9〜図11のフローチャートに示すような動作をする。なお、この図9〜図11のフローチャートの各ステップの処理は、パケット処理部204およびチャンネルスキャン実行部211を含め、CPU201が、RAM203をワークエリアとして用いてROM202のプログラムにしたがってソフトウエア機能部として実行する場合である。
【0092】
この図9〜図11の処理は、携帯型電話端末2の電源がオンとされて起動されることにより開始され、電源がオフとされることにより、終了となる。
【0093】
CPU201は、操作部インターフェース207を通じた操作部217の操作入力情報を監視して、携帯型電話端末2の電源がオンにされたと判別したときには、図9〜図11のフローチャートの処理を開始して、先ず、GPS測位部210を起動し、自端末の位置を測定させる(ステップS201)。次に、CPU201は、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されているAP装置探索用情報を参照し(ステップS202)、ステップS201で検出された自端末の現在位置を含む通信範囲が、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されているか否か判別する(ステップS203)。
【0094】
ステップS203で、自端末の現在位置を含む通信範囲が、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されていないと判別したときには、CPU201は、従来と同様に、予め定められた順番でチャンネルスキャン(AP装置のスキャン)を開始する(ステップS204)。
【0095】
また、ステップS203で、自端末の現在位置を含む通信範囲が、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されていると判別したときには、CPU201は、当該自端末の現在位置を含む通信範囲に対応付けられて記憶されている使用チャンネルを、AP装置探索用情報記憶部208Mの記憶情報から検出して、その検出した使用チャンネルから、チャンネルスキャンを開始する(ステップS205)。
【0096】
そして、ステップS204またはステップS205の次には、CPU201は、チャンネルスキャンの結果、新たなAP装置30と無線接続されて帰属状態になったか否か判別し(図10のステップS211)、新たなAP装置30に帰属していないと判別したときには、無線接続することが可能なAP装置を検出するまで、チャンネルスキャンを繰り返す。
【0097】
ステップS211で、新たなAP装置30への帰属状態になったと判別したときには、CPU201は、帰属状態となった新たなAP装置30から、その位置情報を取得して、そのAP装置30の使用チャンネルの情報と対応付けて、バッファメモリに一時記憶する(ステップS212)。
【0098】
次に、CPU201は、ハンドオーバーが必要な位置になったか否か監視する(ステップS213)。このステップS213で、ハンドオーバーが必要な位置になってはいないと判別したときには、CPU201は、その他の処理を実行する(ステップS214)。
【0099】
そして、ステップS214の処理終了後、CPU201は、操作部インターフェース207を通じた操作部217の操作入力情報を監視して、携帯型電話端末2の電源オフにされたか否か判別する(ステップS215)。そして、CPU201は、このステップS215で、電源オフにされてはいないと判別したときには、処理をステップS213に戻し、電源オフにされたと判別したときには、この処理ルーチンを終了する。
【0100】
また、ステップS213で、ハンドオーバーが必要な位置になったと判別したときには、CPU201は、GPS測位部210により自端末の現在位置を測定させる(ステップS216)。次に、CPU201は、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されているAP装置探索用情報を参照し(ステップS217)、ステップS216で検出された自端末の現在位置を含む通信範囲が、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されているか否か判別する(ステップS218)。
【0101】
ステップS218で、自端末の現在位置を含む通信範囲が、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されていないと判別したときには、CPU201は、従来と同様に、予め定められた順番でチャンネルスキャンを開始する(ステップS219)。
【0102】
また、ステップS218で、自端末の現在位置を含む通信範囲が、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されていると判別したときには、CPU201は、当該自端末の現在位置を含む通信範囲に対応付けられて記憶されている使用チャンネルを、AP装置探索用情報記憶部208Mの記憶情報から検出して、その検出した使用チャンネルから、チャンネルスキャンを開始する(ステップS220)。
【0103】
次に、CPU201は、チャンネルスキャンの結果、新たなAP装置30と無線接続されて帰属状態になったか否か判別し(図11のステップS231)、新たなAP装置30に帰属していないと判別したときには、無線接続することができるAP装置を検出するまで、チャンネルスキャンを繰り返す。
【0104】
ステップS231で、新たなAP装置30への帰属状態になったと判別したときには、CPU201は、ハンドオーバー前に帰属していたAP装置の使用チャンネルと、その通信範囲の情報とは、AP装置探索用情報記憶部208Mには、記憶済みであるか否か判別する(ステップS232)。
【0105】
このステップS232で、AP装置探索用情報記憶部208Mには記憶済みではないと判別したときには、CPU201は、ステップS212で一時記憶しているハンドオーバー前のAP装置の使用チャンネルと、ステップS212で一時記憶しているAP装置30の位置情報およびハンドオーバー時の位置情報から生成された通信範囲の情報とを、対応付けて、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶する(ステップS233)。
【0106】
また、ステップS232で、AP装置探索用情報記憶部208Mには記憶済みであると判別したときには、CPU201は、この例では、ステップS212で一時記憶しているハンドオーバー前に帰属していたAP装置の使用チャンネルと対応して記憶されている通信範囲の情報を、当該一時記憶しているAP装置30の位置の情報と、ハンドオーバーが必要となった自端末の位置の情報とにより更新する(ステップS234)。すなわち、通信範囲の情報のAP装置30の位置情報を更新すると共に、一時記憶しているハンドオーバーが必要となった自端末の位置によりAP装置30の位置と対応して記憶されている半径を更新、あるいは、AP装置30の位置と対応して、当該一時記憶されていたハンドオーバーが必要となった自端末の位置を更新する。
【0107】
ステップS233またはステップS234の次には、CPU201は、処理をステップS212に戻し、このステップS212以降の処理を繰り返す。
【0108】
なお、上述の例では、ステップS232で、ハンドオーバー前に帰属していたAP装置の使用チャンネルと通信範囲の情報は、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶済みであると判別したときには、ステップS234において、ステップS212で一時記憶しているハンドオーバー時の自端末の位置情報により、記憶済みの通信範囲を更新するようにした。これは、AP装置30の位置が移動することを考慮したためであり、また、ハンドオーバー位置は最新の情報の方が、通信範囲の情報として確からしいと見なしていることに起因する。
【0109】
しかし、AP装置30は、一度設置されたならば移動しないと想定し、また、ハンドオーバー前に帰属していたAP装置の通信範囲は、殆ど変化しないと見なす場合には、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶済みであると判別したときには、記憶済みの通信範囲をそのままとして更新しないようにしても良い。
【0110】
[実施形態の効果]
以上のようにして、上述の実施形態の発明によれば、携帯型電話端末がハンドオーバーしたときに、そのハンドオーバー時の自端末の位置と、ハンドオーバー前に帰属していたAP装置の位置とに基づいて、ハンドオーバー前に帰属していたAP装置の通信範囲を推定し、その推定した通信範囲の情報を、ハンドオーバー前に帰属していたAP装置の使用チャンネルと対応付けてAP装置探索用情報記憶部208Mに記憶して蓄積してゆく。
【0111】
したがって、無線LANを構成する複数個のAP装置の通信範囲は、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されるので、ハンドオーバー時に、AP装置探索用情報記憶部208Mの記憶情報を参照して、AP装置の通信範囲内に、携帯型電話端末の現在位置が含まれているAP装置の通信範囲を検出し、その検出した通信範囲の使用チャンネルから、チャンネルスキャンを開始することで、短時間に、当該AP装置と無線接続することが可能になる。
【0112】
そして、この実施形態においては、携帯型電話端末2が無線LAN5内を移動して、複数のAP装置の全てに帰属する状態になった後には、AP装置探索用情報記憶部208Mには、当該無線LAN5を構成する全てのAP装置の通信範囲の情報が記憶されるので、短時間のスムースなハンドオーバーにより、良好な通信状態を維持することができるようになる。
【0113】
また、上述の実施形態では、携帯型電話端末2は、電源オンとした起動時にも、記憶しているAP装置探索用情報を参照して、チャンネルスキャンをすることで、短時間で、所定のAP装置と無線接続することが可能となり、便利である。
【0114】
[第1の実施形態の変形例]
上述の第1の実施形態の説明では、AP装置探索用情報記憶部208Mには、AP装置30の通信範囲を円形と想定し、通信範囲の情報は、携帯型電話端末が帰属していたAP装置30の位置と、当該携帯型電話端末2がハンドオーバー処理を必要になった位置、あるいは、当該ハンドオーバー処理を必要になった位置とAP装置の位置とから定まる通信範囲の半径とした。つまり、上述の例では、携帯型電話端末2が実際にハンドオーバー処理を必要になった位置を検出し、この検出した位置と、AP装置30の位置とから、AP装置の円形の通信範囲を規定するようにしている。
【0115】
しかし、AP装置30の円形の通信範囲を求める方法は、携帯型電話端末2が実際にハンドオーバー処理を必要になった位置を用いる方法に限られるものではなく、以下のように、ハンドオーバーが必要になると想定される前記無線LAN端末の位置を推定する方法を用いることもできる。
【0116】
<第1の変形例>
AP装置30の通信範囲の半径を求める他の方法の第1の例は、携帯型電話端末2が、自端末2が帰属しているAP装置30の位置と、そのAP装置30からの信号を受信したときの信号レベル(受信電界強度)と、その信号を受けたときの自端末2の位置とから、ハンドオーバーが必要になると想定される携帯型電話端末2の位置を推定して、AP装置30の円形の通信範囲を推定する方法である。この処理は、携帯型電話端末2に専用のハードウエアを設けて行う場合の他、携帯型電話端末2のCPU201がソフトウエア処理により実行することもできる。
【0117】
この例においては、携帯型電話端末2は、AP装置30に帰属している状態の任意の位置で、AP装置30からの信号を受信する。この信号は、AP装置30からのビーコン信号であっても構わない。また、このAP装置30からの信号は、AP装置30の位置の情報を含むものであっても良い。
【0118】
この例においては、携帯型電話端末2は、AP装置30から受信した信号の信号レベル(受信電界強度)を検出する。そして、携帯型電話端末2は、AP装置30から前記信号を受信した位置を、GPS測位部210により検出する。また、携帯型電話端末2は、AP装置30の位置の情報を、前記信号とは別に、あるいは、同時に受信して、AP装置30の位置を検出する。
【0119】
次に、携帯型電話端末2は、検出したAP装置30の位置と、前記信号を受信した自端末2の位置とから、AP装置30から自端末2の受信位置までの距離Daを求める。そして、携帯型電話端末2は、前記AP装置30から当該距離Daだけ離れた位置において検出した前記信号レベル(受信電界強度)から、AP装置30の送信パワーを推定する。そして、携帯型電話端末2は、推定したAP装置30の送信パワーの値から、受信信号レベルが所定以下となるハンドオーバーが必要となると想定される前記AP装置30からの距離を推定し、この距離を、AP装置30の通信範囲の半径と推定する。
【0120】
携帯型電話端末2は、こうして求めた半径の値と、AP装置30の位置とを通信範囲の情報として、当該AP装置の使用チャンネルと対応付けて、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶するようにする。
【0121】
なお、携帯型電話端末2は、AP装置30に帰属しているときに、複数の位置で上記の半径を推定する処理を行い、得られた複数の半径の平均値を、AP装置30の位置と共に、通信範囲の情報として、当該AP装置の使用チャンネルと対応付けて、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶するようにしても良い。
【0122】
また、携帯型電話端末2は、既に通信範囲の情報がAP装置探索用情報記憶部208Mに記憶済みのAP装置30に再帰属したときには、そのAP装置30の通信範囲の情報を更新するようにしても良いことは、上述の実施形態と同様である。
【0123】
<第2の変形例>
AP装置30の通信範囲の半径を求める他の方法の第2の例は、AP装置30が、帰属している携帯型電話端末2に対して、AP装置30の位置と、送信パワーレベルの値とを報知し、携帯型電話端末2が、それらの情報から、AP装置30の円形の通信範囲を推定する方法である。この処理は、第1の例と同様に、携帯型電話端末2に専用のハードウエアを設けて行う場合の他、携帯型電話端末2のCPU201がソフトウエア処理により実行することもできる。
【0124】
すなわち、例えば、AP装置30は、帰属している携帯型電話端末2に対して、AP装置30の位置と送信パワーレベルの値とを含めた情報を送信する。この情報は、AP装置30からのビーコン信号に含めるようにしても良い。また、AP装置30の位置と送信パワーレベルの値とは、同時に送信されても良いし、別々に送信されても良い。
【0125】
携帯型電話端末2のCPU201は、受信した送信パワーレベルの値から、自端末2において受信信号レベルが所定以下となってハンドオーバーが必要となると想定される前記AP装置30からの距離を推定し、この距離を、AP装置30の通信範囲の半径と推定する。
【0126】
携帯型電話端末2は、こうして求めた半径の値と、AP装置30の位置とを通信範囲の情報として、当該AP装置の使用チャンネルと対応付けて、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶するようにする。
【0127】
この第2の例の場合にも、携帯型電話端末2は、既に通信範囲の情報がAP装置探索用情報記憶部208Mに記憶済みのAP装置30に、再帰属したとき、そのAP装置30の通信範囲の情報を更新するようにしても良い。
【0128】
[他の変形例]
なお、上述の第1の実施形態では、ハンドオーバーした後に、ハンドオーバー前に帰属していたAP装置の使用チャンネルと、その通信範囲の情報とを、AP装置探索用情報記憶部に記憶するようにしたが、ハンドオーバー前に、当該AP装置の使用チャンネルと、その通信範囲の情報とを、AP装置探索用情報記憶部に記憶するようにしても良い。しかし、ハンドオーバーの終了までの時間を短縮化することを優先に考えた場合、AP装置探索用情報記憶部への記憶は、ハンドオーバーした後であった方が良い。
【0129】
[第2の実施形態]
この第2の実施形態も、第1の実施形態の変形例の一つである。上述した第1の実施形態では、AP装置30の通信範囲を円形と見なし、AP装置30の位置(通信範囲の中心位置)と、通信範囲の半径あるいは円周上の一点の位置とを通信範囲の情報として記憶するようにした。しかし、実際のAP装置30の通信範囲は、障害物などの影響で円形とは異なることが多い。この点にかんがみ、この第2の実施形態では、記憶するAP装置30の通信範囲を、実際の形状にできるだけ近似させることができるようにする。
【0130】
この第2の実施形態のハードウエア構成は、前述した第1のハードウエア構成と同様である。この第2の実施形態では、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶するAP装置30の通信範囲の情報が、第1の実施形態とは異なる。
【0131】
図12は、この第2の実施形態の概要を説明するための図である。また、図13は、この第2の実施形態におけるAP装置探索用情報記憶部208Mに記憶するAP装置探索用情報の例を示している。
【0132】
この第2の実施形態では、携帯型電話端末2は、所定のAP装置30に帰属している状態において、ハンドオーバーが必要になった位置(以下、ハンドオーバー位置という)になると、GPS測位部210を用いて、その位置を検出し、検出した位置の情報を、当該AP装置30の使用チャンネルおよびAP装置30の位置の情報に対応付けて、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶するようにする。
【0133】
この場合に、GPS測位部210での位置検出精度は、数メートル〜10メートル程度であることから、この第2の実施形態では、当該AP装置30の使用チャンネルに対応して記憶するハンドオーバー位置は、例えば5メートル程度毎で良い。
【0134】
また、AP装置30の通信範囲は、基本的には円形の通信範囲と仮定することが可能である。しかも、AP装置30の通信範囲の情報として記憶された、ハンドオーバー位置の数が少ないときには、仮定した円形の通信範囲を基準にして、記憶されたハンドオーバー位置の情報で、通信範囲を補正する方が良い。
【0135】
そして、AP装置30の通信範囲の情報として記憶された、ハンドオーバー位置の数が、AP装置30の通信範囲を規定するのに十分な程度になったら、仮定した円形の通信範囲を無視して、AP装置30の通信範囲の情報として記憶された、ハンドオーバー位置の情報のみにより、AP装置30の通信範囲を規定することができる。
【0136】
図12および図13を参照して、この第2の実施形態の一例を説明する。図12に示すように、AP装置31に帰属している携帯型電話端末2が、ハンドオーバー位置Ph10に移動したとする。このとき携帯型電話端末2のAP装置探索用情報記憶部208Mには、AP装置31の使用チャンネルである第1チャンネル(1ch)についての通信範囲の情報が記憶されてはいなかったとしたときには、ハンドオーバー後に、ハンドオーバー前に帰属していたAP装置31の使用チャンネルと、前記ハンドオーバー位置Ph10が記憶されると共に、AP装置31の位置Pap1と前記ハンドオーバー位置Ph10との距離が、AP装置31の通信範囲の半径R1として、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶される(図13参照)。
【0137】
その後、携帯型電話端末2が、AP装置31に再度帰属して、ハンドオーバー位置Ph11,Ph12,Ph13,Ph14,Ph15,Ph16,Ph17になって、ハンドオーバーが実行される毎に、図13に示すように、そのハンドオーバー位置Ph11,Ph12,Ph13,Ph14,Ph15,Ph16,Ph17の情報が、AP装置31の使用チャンネル(1ch)に対応付けられて追加記憶される。
【0138】
なお、半径R1の値は、新たに記憶されたハンドオーバー位置の情報により更新されても良いし、記憶されているハンドオーバー位置の情報に基づいて算出された半径の平均値でも良い。この例では、半径R1の値は、当該携帯型電話端末2が、当該AP装置31に帰属している状態から、初めてハンドオーバーが必要になった位置Ph10に基づいて定められた値としている。
【0139】
そして、この第2の実施形態においては、AP装置31の通信範囲の情報として記憶されるハンドオーバー位置の個数が少ない状態のときには、AP装置31の位置Pap1と半径R1とで定まる円形の通信範囲、あるいはその円形の通信範囲を記憶している複数個のハンドオーバーが必要となった位置により補正した通信範囲を、AP装置31の通信範囲として、高速チャンネルスキャンの際のスキャン開始チャンネルを決定する際に用いるようにする。
【0140】
そして、AP装置探索用情報記憶部208Mに、AP装置31の通信範囲の情報として記憶されるハンドオーバー位置の個数が多くなり、例えば図12に示すように、5メートルごと程度の間隔で、ハンドオーバー位置が得られると、例えば、それらのハンドオーバー位置の隣り合うもの同士を直線で結んだ領域範囲を、AP装置31の通信範囲とするようにする。この場合には、通信範囲を特定するための情報としては、AP装置31の位置の情報およびその半径R1の情報は不要となる。
【0141】
この第2の実施形態における携帯型電話端末2の処理動作は、前述した第1の実施形態の携帯型電話端末2について示した図9〜図11のフローチャートの処理動作のうち、図9および図10に示した部分は、ほぼ同様である。ただし、ステップS202およびステップS203、また、ステップS217およびステップS218における高速チャンネルスキャンの際のスキャン開始チャンネルを決定する際に用いるAP装置30の通信範囲は、上述したように、第1の実施形態とは異なる。
【0142】
そして、この第2の実施形態では、前述の図11に示した部分の第1の実施形態の処理フローが、図14に示すような処理フローに変更される。ただし、この図14のフローチャートにおいて、図11と同一のステップ部分には、同一参照符号を付与することとする。
【0143】
すなわち、この第2の実施形態においては、図10のステップS220の次のステップS231において、CPU201は、チャンネルスキャンの結果、新たなAP装置30と無線接続されて帰属状態になったか否か判別する。そして、このステップS231で、新たなAP装置30と無線接続されないと判別したときには、CPU201は、無線接続することができるAP装置を検出するまで、チャンネルスキャンを繰り返す。
【0144】
ステップS231で、新たなAP装置30と無線接続されて帰属状態になったと判別したときには、CPU201は、ハンドオーバー前に帰属していたAP装置の使用チャンネルと、その通信範囲の情報とは、AP装置探索用情報記憶部208Mには、記憶済みであるか否か判別する(ステップS232)。
【0145】
このステップS232で、AP装置探索用情報記憶部208Mには記憶済みではないと判別したときには、CPU201は、ステップS212で一時記憶しているハンドオーバー前のAP装置の使用チャンネルおよびAP装置30の位置の情報と、ハンドオーバーが必要になった位置の情報と、AP装置30の位置とハンドオーバーが必要となった位置とから算出した半径の情報とを、AP装置探索情報用記憶部208Mに記憶する(ステップS235)。このステップS235の後は、CPU201は、図10に示したフローチャートのステップS212に処理を戻す。
【0146】
また、ステップS232で、AP装置探索用情報記憶部208Mには記憶済みであると判別したときには、CPU201は、ハンドオーバーが必要となった自端末の位置は、記憶済みの過去のハンドオーバー時の位置とは所定距離、例えば5メートル以上離れているか否か判別する(ステップS236)。
【0147】
このステップS236で、記憶済みの過去のハンドオーバー時の位置とは所定距離以上離れていると判別したときには、CPU201は、ハンドオーバー前に帰属していたAP装置の使用チャンネルの通信範囲の情報として、今回のハンドオーバー時の位置の情報を、AP装置探索用情報記憶部208Mに追加記憶する(ステップS237)。このステップS237の後は、CPU201は、図10に示したフローチャートのステップS212に処理を戻す。
【0148】
また、ステップS236で、記憶済みの過去のハンドオーバー時の位置とは所定距離以上離れていないと判別したときには、CPU201は、ステップS237をバイパスして、処理を図10に示したフローチャートのステップS212に戻す。
【0149】
上述した第2の実施形態によれば、AP装置の通信範囲の形状を円形ではなく、実際の形状に近いものとすることができ、より実際的な高速チャンネルスキャンが可能となる。
【0150】
なお、上述の第2の実施形態の説明では、実際上、ハンドオーバーが必要となった携帯型電話端末2の位置を、AP装置の通信範囲を定めるための情報として記憶するようにしたが、上述の第1の実施形態の第1の変形例を適用して、ハンドオーバーが必要と想定される位置を、AP装置の通信範囲を定めるための情報として記憶するようにしても良い。
【0151】
すなわち、携帯型電話端末2は、前述の第1の変形例と同様にして、自端末2が帰属しているAP装置30の位置と、そのAP装置30からの信号を受信したときの信号レベル(受信電界強度)と、その信号を受けたときの自端末2の位置とから、自端末2が帰属しているAP装置30の送信パワーを推定する。そして、携帯型電話端末2は、推定したAP装置30の送信パワーの値から、受信信号レベルが所定以下となるハンドオーバーが必要となると想定される前記AP装置30からの距離を推定する。
【0152】
次に、この第2の実施形態の場合には、携帯型電話端末2は、AP装置30の位置と、AP装置30からの信号を受信した自端末の位置とを結んだ直線の延長上において、前記推定した距離となる位置を算出し、当該位置を、ハンドオーバーが必要となると想定される位置として、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶するようにする。
【0153】
[第3の実施形態]
上述の第1および第2の実施形態では、AP装置探索用情報は、無線LAN端末である携帯型電話端末2のそれぞれが生成して、それぞれのAP装置探索用情報記憶部に記憶するようにした。このため、無線LAN端末としての携帯型電話端末2は、無線LANに所属するAP装置であっても、当該AP装置に帰属するまでは、そのAP装置の使用チャンネルおよび通信範囲の情報は、AP装置探索用情報記憶部に記憶することができない。
【0154】
第3の実施形態は、その問題を解決できるようにした場合である。この第3の実施形態の無線LAN端末は、AP装置探索用情報をサーバ装置から取得するようにする。
【0155】
すなわち、この第3の実施形態の無線LAN端末は、AP装置探索用情報の生成に必要な情報を、サーバ装置に提供する。サーバ装置は、提供された情報から、AP装置探索用情報を生成して、自装置の記憶部に格納しておく。そして、第3の実施形態の無線LAN端末は、サーバ装置に、AP装置探索用情報の取得要求をして、当該サーバ装置からAP装置探索用情報を取得する。そして、各無線LAN端末は、サーバ装置から取得したAP装置探索用情報を、自端末のAP装置探索用情報記憶部に格納する。
【0156】
そして、この第3の実施形態の無線LAN端末においても、上述した第1および第2の実施形態と同様に、チャンネルスキャンを行うに際し、自端末の位置を検出すると共に、AP装置探索用情報記憶部の記憶情報を参照して、当該自端末の位置を通信範囲として含むAP装置の使用チャンネルを探索できたときには、その使用チャンネルからチャンネルスキャンを開始するようにする。
【0157】
以下に、上述の第1および第2の実施形態と同様に、ビジネスホンシステムに、この発明の無線LAN端末の第3の実施形態を携帯型電話端末として用いた場合の例について説明する。
【0158】
図15は、この第3の実施形態の無線LAN端末の実施形態を携帯型電話端末として用いたビジネスホンシステムの全体の構成例を示すブロック図である。この図15において、前述の図1と同一部分には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0159】
すなわち、この例のビジネスホンシステムは、第1および第2の実施形態と同様に、主装置部1と、第3の実施形態の無線LAN端末である携帯型電話端末20の複数個と、この複数個の携帯型電話端末20と主装置部1とを接続するための接続インターフェース部3とを備えると共に、通信範囲管理サーバ6を備える。
【0160】
そして、前述の実施形態と同様に、接続インターフェース部3は、複数個のAP装置31〜3nが有線LAN4により互いに接続されて構成されている。そして、この有線LAN4には、主装置部1のサーバ装置11が接続されているとともに、通信範囲管理サーバ6が接続されている。そして、前述の実施形態と同様に、複数個の携帯型電話端末20は、複数個のAP装置31〜3nと、無線LAN5を通じて無線接続される。
【0161】
AP装置31〜3nのハードウエア構成は、図6に示したものと全く同様である。また、その処理動作も、携帯型電話端末20と通信範囲管理サーバ6との情報のやり取りを中継する動作を除けば、上述した実施形態と同様である。
【0162】
また、携帯型電話端末20のハードウエア構成は、図7に示した前述した実施形態の携帯型電話端末2と全く同様であるが、そのCPU201のソフトウエア処理動作が後述するように異なっている。
【0163】
また、通信範囲管理サーバ6は、図示は省略するが、例えばパーソナルコンピュータで構成することができる。そして、通信範囲管理サーバ6は、後述するように、AP装置31〜3nを通じて携帯型電話端末20からのAP装置探索用情報の更新用情報を受け取って、無線LAN5を構成する複数のAP装置31〜3nの通信範囲の情報を生成する機能部と、生成したAP装置31〜3nの通信範囲の情報を、AP装置31〜3nのそれぞれの使用チャンネルと対応付けて記憶するAP装置探索用情報記憶部を備える。
【0164】
そして、通信範囲管理サーバ6は、携帯型電話端末20からの取得要求に応じて、AP装置探索用情報記憶部に記憶している、AP装置31〜3nの使用チャンネルと、それぞれの通信範囲の情報との対応情報であるAP装置探索用情報を、携帯型電話端末20に送信する機能部も備える。
【0165】
なお、AP装置31〜3nの通信範囲の情報を生成する機能部は、上述した第1の実施形態、その変形例1,2、また、第2の実施形態に記載した通信範囲の情報の生成方法のいずれの方法も用いることができるが、以下に説明する例では、上述の第1の実施形態で説明した方法により生成する場合とする。
【0166】
[携帯型電話端末20の処理動作例]
携帯型電話端末20は、無線LAN端末のチャンネルスキャン方法に関連する処理動作として、第3の実施形態においては、図16および図17のフローチャートに示すような動作をする。なお、この図16および図17のフローチャートの各ステップの処理は、パケット処理部204およびチャンネルスキャン実行部211を含め、CPU201が、RAM203をワークエリアとして用いてROM202のプログラムにしたがってソフトウエア機能部として実行する場合である。
【0167】
この図16および図17の処理は、携帯型電話端末20の電源がオンとされて起動されることにより開始され、電源がオフとされることにより、終了となる。
【0168】
CPU201は、携帯型電話端末2の電源がオンにされたと判別したときには、図16および図17のフローチャートの処理を開始して、先ず、GPS測位部210を起動し、自端末の位置を測定させる(ステップS241)。次に、CPU201は、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されているAP装置探索用情報を参照し(ステップS242)、ステップS241で検出された自端末の現在位置を含む通信範囲が、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されているか否か判別する(ステップS243)。
【0169】
ステップS243で、自端末の現在位置を含む通信範囲が、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されていないと判別したときには、CPU201は、従来と同様に、予め定められた順番でチャンネルスキャンを開始する(ステップS244)。
【0170】
また、ステップS243で、自端末の現在位置を含む通信範囲が、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されていると判別したときには、CPU201は、当該自端末の現在位置を含む通信範囲に対応付けられて記憶されている使用チャンネルを、AP装置探索用情報記憶部208Mの記憶情報から検出して、その検出した使用チャンネルから、チャンネルスキャンを開始する(ステップS245)。
【0171】
そして、ステップS244またはステップS245の次には、CPU201は、チャンネルスキャンの結果、新たなAP装置30と無線接続されて帰属状態になったか否か判別し(ステップS246)、新たなAP装置30と無線接続されないと判別したときには、無線接続することが可能なAP装置を検出するまで、チャンネルスキャンを繰り返す。
【0172】
ステップS246で、新たなAP装置30への帰属状態になったと判別したときには、CPU201は、帰属状態となった新たなAP装置30から、その位置情報を取得して、そのAP装置30の使用チャンネルの情報と対応付けて、バッファメモリに一時記憶する(ステップS247)。
【0173】
次に、CPU201は、通信範囲管理サーバ6宛てのAP装置探索用情報取得要求を、帰属しているアクセスポイント装置30に対して送出する(ステップS248)。そして、通信範囲管理サーバ6から送られてくるAP装置探索用情報を、帰属しているアクセスポイント装置30経由で受信する(ステップS249)。
【0174】
次に、CPU201は、ハンドオーバーが必要な位置になったか否か監視する(図17のステップS251)。このステップS251で、ハンドオーバーが必要な位置になってはいないと判別したときには、CPU201は、その他の処理を実行する(ステップS252)。
【0175】
そして、ステップS252の処理終了後、CPU201は、操作部インターフェース207を通じた操作部217の操作入力情報を監視して、携帯型電話端末2の電源オフにされたか否か判別する(ステップS253)。そして、CPU201は、このステップS253で、電源オフにされてはいないと判別したときには、処理をステップS251に戻し、電源オフにされたと判別したときには、この処理ルーチンを終了する。
【0176】
また、ステップS251で、ハンドオーバーが必要な位置になったと判別したときには、CPU201は、GPS測位部210により自端末の現在位置を測定させる(ステップS254)。次に、CPU201は、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されているAP装置探索用情報を参照し(ステップS255)、ステップS254で検出された自端末の現在位置を含む通信範囲が、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されているか否か判別する(ステップS256)。
【0177】
ステップS256で、自端末の現在位置を含む通信範囲が、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されていないと判別したときには、CPU201は、従来と同様に、予め定められた順番でチャンネルスキャンを開始する(ステップS257)。
【0178】
また、ステップS256で、自端末の現在位置を含む通信範囲が、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されていると判別したときには、CPU201は、当該自端末の現在位置を含む通信範囲に対応付けられて記憶されている使用チャンネルを、AP装置探索用情報記憶部208Mの記憶情報から検出して、その検出した使用チャンネルから、チャンネルスキャンを開始する(ステップS258)。
【0179】
次に、CPU201は、チャンネルスキャンの結果、新たなAP装置30と無線接続されて帰属状態になったか否か判別し(ステップS259)、新たなAP装置30に帰属していないと判別したときには、無線接続することができるAP装置を検出するまで、チャンネルスキャンを繰り返す。
【0180】
ステップS259で、新たなAP装置30への帰属状態になったと判別したときには、CPU201は、ステップS247で一時記憶しているハンドオーバー前のAP装置の使用チャンネルと、AP装置30の位置情報と、ハンドオーバー時の自端末の位置情報とからなるAP装置探索用情報の更新用情報を、通信範囲管理サーバ6宛てに、帰属しているAP装置30経由で送信する(ステップS260)。その後、処理をステップS247に戻し、このステップS247以降の処理を繰り返す。
【0181】
[AP装置30の処理動作例]
第3の実施形態においては、AP装置30は、無線LAN端末のチャンネルスキャン方法に関連する処理動作として、図18のフローチャートに示すような動作をする。
【0182】
すなわち、AP装置30のCPU101は、携帯型電話端末20が、新たに当該AP装置30に無線接続されて帰属されたか否か判別する(ステップS301)。このステップS301で、携帯型電話端末20が新たに帰属されてはいないと判別したときには、CPU101は、その他の処理を実行し(ステップS302)、その処理の終了後、ステップS301に戻る。
【0183】
また、ステップS301で、携帯型電話端末20が新たに自AP装置30に帰属されたと判別したときには、CPU101は、設置位置情報記憶部108に記憶されている自AP装置30の設置位置の情報を、新たに帰属した携帯型電話端末20に送信する(ステップS303)。
【0184】
次に、CPU101は、新たに帰属された携帯型電話端末20から、通信範囲管理サーバ6宛ての、AP装置の使用チャンネルとそのAP装置の位置情報とハンドオーバー時の携帯型電話端末の位置情報とからなるAP装置探索用情報の更新用情報(新規情報を含む。以下、同じ)を、受信したか否か判別する(ステップS304)。
【0185】
ステップS304で、通信範囲管理サーバ6宛ての、AP装置探索用情報の更新用情報を受信したと判別したときには、CPU101は、その受信したAP装置探索用情報の更新用情報を、有線LAN4を通じて通信範囲管理サーバ6に転送する(ステップS305)。
【0186】
次に、CPU101は、新たに帰属された携帯型電話端末20から、通信範囲管理サーバ6宛てのAP装置探索用情報の取得要求を、受信したか否か判別する(ステップS306)。ステップS304で、通信範囲管理サーバ6宛ての、AP装置探索用情報の更新用情報を受信してはいないと判別したときにも、CPU101は、ステップS305をバイパスして、このステップS306に進み、新たに帰属された携帯型電話端末20から、通信範囲管理サーバ6宛てのAP装置探索用情報の取得要求を、受信したか否か判別する。
【0187】
このステップS306で、新たに帰属された携帯型電話端末20から、通信範囲管理サーバ6宛てのAP装置探索用情報の取得要求を、受信してはいないと判別したときには、CPU101は、処理をステップS304に戻し、このステップS304以降の処理を繰り返す。
【0188】
また、ステップS306で、新たに帰属された携帯型電話端末20から、通信範囲管理サーバ6宛てのAP装置探索用情報の取得要求を、受信したと判別したときには、CPU101は、通信範囲管理サーバ6に、有線LAN4を通じて、AP装置探索用情報の取得要求を転送する(ステップS307)。
【0189】
次に、CPU101は、通信範囲管理サーバ6から送られてくるAP装置探索用情報を、取得要求した携帯型電話端末20に転送する(ステップS308)。そして、CPU101は、処理をステップS301に戻し、このステップS301以降の処理を繰り返す。
【0190】
[通信範囲管理サーバ6の処理動作]
第3の実施形態においては、通信範囲管理サーバ6は、無線LAN端末のチャンネルスキャン方法に関連する処理動作として、図19のフローチャートに示すような動作をする。
【0191】
すなわち、通信範囲管理サーバ6は、AP装置30からの情報を受信したか否か判別し(ステップS401)、AP装置30からの情報を受信してはいないと判別したときには、処理をステップS401に戻す。
【0192】
ステップS401で、AP装置30からの情報を受信したと判別したときには、通信範囲管理サーバ6は、受信した情報は、AP装置探索用情報の更新用情報であるか否か判別する(ステップS402)。
【0193】
そして、ステップS402で、受信した情報はAP装置探索用情報の更新用情報であると判別したときには、通信範囲管理サーバ6は、その更新用情報を用いて、AP装置探索用情報記憶部に記憶しているAP装置探索用情報を更新する(ステップS403)。
【0194】
このステップS403においては、通信範囲管理サーバ6は、その更新用情報に含まれるAP装置の使用チャンネルについてのAP装置探索用情報が記憶されているか否か先ず判別する。記憶されていないと判別したときには、この例では、受信した更新用情報に含まれるAP装置30の位置情報とハンドオーバー時の携帯型電話端末20の位置情報とから、当該AP装置30の通信範囲の半径を算出する。そして、算出した半径とAP装置30の位置の情報とからなる通信範囲の情報を、受信した更新用情報に含まれるAP装置の使用チャンネルと対応付けて、AP装置探索用情報記憶部に記憶する。
【0195】
また、通信範囲管理サーバ6は、更新用情報に含まれるAP装置の使用チャンネルについてのAP装置探索用情報が記憶されていると判別したときには、受信した更新用情報に含まれるAP装置30の位置情報とハンドオーバー時の携帯型電話端末20の位置情報とから、当該AP装置30の通信範囲の半径を算出する。そして、通信範囲管理サーバ6は、その算出した半径の値と、受信した更新用情報に含まれるAP装置の位置情報とにより、受信した更新用情報に含まれるAP装置の使用チャンネルと対応付けられて記憶されている通信範囲のAP装置の位置情報および半径の値を更新する。
【0196】
なお、この第3の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様に、AP装置30が固定的な位置に設置されていること、通信範囲の半径は変化が無いと仮定できることから、更新用情報に含まれるAP装置の使用チャンネルについてのAP装置探索用情報が記憶されていると判別したときには、受信した更新用情報による更新は省略するようにしても良い。
【0197】
このステップS403の次には、CPU101は、処理をステップS401に戻し、このステップS401以降の処理を繰り返す。
【0198】
また、ステップS402で、受信した情報はAP装置探索用情報の更新用情報ではないと判別したときには、通信範囲管理サーバ6は、受信した情報はAP装置探索用情報の取得情報であるか否か判別する(ステップS404)。このステップS404で、受信した情報はAP装置探索用情報の取得情報であると判別したときには、通信範囲管理サーバ6は、AP装置探索用情報記憶部に記憶しているAP装置探索用情報の全てを、取得要求してきた携帯型電話端末20に、AP装置30経由で送信する(ステップS405)。その後、通信範囲管理サーバ6は、処理をステップS401に戻し、このステップS401以降の処理を繰り返す。
【0199】
また、ステップS404で、受信した情報はAP装置探索用情報の取得情報ではないと判別したときには、通信範囲管理サーバ6は、受信した情報に応じたその他の処理を実行し(ステップS406)、その処理の終了後、処理をステップS401に戻し、このステップS401以降の処理を繰り返す。
【0200】
第3の実施形態においては、以上のように通信範囲管理サーバ6は、無線LAN5を構成する複数のAP装置31〜3nのいずれかに帰属した携帯型電話端末20の全てから、AP装置探索用情報の更新用情報(新規情報を含む)を取得する。そして、その取得したAP装置探索用情報の更新用情報(新規情報を含む)を用いて、AP装置31〜3nのそれぞれの使用チャンネルの情報と、その通信範囲の情報とからなるAP装置探索用情報を生成して、AP装置探索用情報記憶部に格納する。
【0201】
したがって、第3の実施形態の携帯型電話端末20のそれぞれは、第1の実施形態や第2の実施形態の場合には自端末が帰属しなれば得られなかったAP装置の使用チャンネルおよび通信範囲の情報をも、通信範囲管理サーバ6に取得要求するだけで、自端末のAP装置探索用情報記憶部208Mに取り込むことができる。
【0202】
そして、通信範囲管理サーバ6は、携帯型電話端末20のいずれかが無線LAN5を構成するAP装置31〜3nのいずれかに帰属したときに、AP装置探索用情報の更新用情報(新規情報を含む)を取得するので、AP装置31〜3nのAP装置探索用情報を取得する機会が多い。このため、通信範囲管理サーバ6のAP装置探索用情報記憶部には、無線LAN5を構成する複数のAP装置31〜3nの全ての使用チャンネルの情報と、その通信範囲の情報とからなるAP装置探索用情報が、比較的短期間で記憶され、全ての携帯型電話端末20が、それを早期に利用することが可能になる。
【0203】
したがって、この第3の実施形態の場合には、無線LAN5に、後から投入される携帯型電話端末20は、始めから、当該無線LAN5を構成する全てのAP装置31〜3nの使用チャンネルの情報と、その通信範囲の情報とを、自端末のAP装置探索用情報記憶部208Mに格納することができ、ハンドオーバーをスムースに行うことができるというメリットもある。
【0204】
なお、前述もしたが、この第3の実施形態における通信範囲管理サーバ6は、AP装置30の通信範囲の情報の生成方法として、AP装置30の位置と、通信範囲の半径を特定するための情報を用いる前述した第1の実施形態と同様の方法を適用する場合に限られるものではなく、第1の実施形態の変形例1、変形例2および第2の実施形態の方法を適用することもできるものである。
【0205】
また、この第3の実施形態においては、携帯型電話端末20からAP装置30を通じて通信範囲管理サーバ6にAP装置探索用情報の更新用情報(新規情報を含む)を送るタイミングおよび携帯型電話端末20から通信範囲管理サーバ6にAP装置探索用情報の取得要求をするタイミングは、携帯型電話端末20がAP装置30に帰属されたことを検知したときとした。しかし、このタイミングに限られるものではなく、携帯型電話端末20がAP装置30に帰属している間であれば、いずれのタイミングであっても良い。
【0206】
なお、上述の実施形態では、通信範囲管理サーバ6は有線LAN4に接続し、携帯型電話端末20は、AP装置31〜3nを通じて、通信範囲管理サーバにアクセスするようにした。しかし、通信範囲管理サーバ6は、外部ネットワーク13に含まれるインターネットに接続するようにし、携帯型電話端末20は、AP装置31〜3nを通じ、また、インターネットを通じて、通信範囲管理サーバ6にアクセスするようにしても良い。
【0207】
また、携帯型電話端末20に、無線LAN接続機能の他に、直接に、インターネットを通じて通信範囲管理サーバにアクセスする通信機能を別途搭載するようにして、インターネットに接続された通信範囲管理サーバ6に直接にアクセスするようにしても良い。
【0208】
また、上述の第3の実施形態の説明においては、携帯型電話端末20は、AP装置探索用情報の更新用情報として、通信範囲を生成するための情報を、通信範囲管理サーバ6に送信するようにした。しかし、携帯型電話端末20は、通信範囲を特定するための情報として、例えば半径を算出して、その半径の値を、AP装置探索用情報の更新用情報に含めて、通信範囲管理サーバ6に送信するようにしても良い。
【0209】
[第4の実施形態]
上述の第3の実施形態では、無線LAN端末は、AP装置探索用情報をサーバ装置から取得するようにした。第4の実施形態においては、無線LAN端末は、サーバ装置ではなく、AP装置31〜3nのそれぞれから、AP装置探索用情報を取得するようにする。
【0210】
すなわち、この第4の実施形態の無線LAN端末は、ハンドオーバーしてAP装置に帰属したときに、そのハンドオーバー前に帰属していたAP装置についてのAP装置探索用情報の生成に必要な情報を、帰属したAP装置に提供する。無線LAN端末がハンドオーバー前に帰属していたAP装置は、帰属後のAP装置に隣接するAP装置である。
【0211】
したがって、無線LAN端末が帰属したAP装置は、提供された情報から、当該AP装置に隣接するAP装置の探索用情報(隣接AP装置探索用情報)を生成して、記憶部に記憶する。そして、第4の実施形態の無線LAN端末は、帰属したAP装置に、隣接AP装置探索用情報の取得要求をして、当該AP装置から隣接AP装置探索用情報を取得する。そして、各無線LAN端末は、サーバ装置から取得した隣接AP装置探索用情報を、自端末のAP装置探索用情報記憶部に格納する。
【0212】
そして、この第4の実施形態の無線LAN端末においても、上述した第1〜第3の実施形態と同様に、チャンネルスキャンを行うに際し、自端末の位置を検出すると共に、AP装置探索用情報記憶部の隣接AP装置探索用情報を参照して、当該自端末の位置を通信範囲として含むAP装置の使用チャンネルを探索できたときには、その使用チャンネルからチャンネルスキャンを開始するようにする。
【0213】
以下に、上述の第1〜第3の実施形態と同様に、ビジネスホンシステムに、この発明の無線LAN端末の第4の実施形態を携帯型電話端末として用いた場合の例について説明する。
【0214】
この第4の実施形態の無線LAN端末の実施形態を携帯型電話端末として用いたビジネスホンシステムの全体の構成例は、図20に示すように、図1に示したシステム構成例と同様であるが、有線LAN4に、この第4の実施形態における複数個のAP装置301〜30nが接続されると共に、この複数個のAP装置301〜30nに対して無線LAN5を通じて、第4の実施形態の無線LAN端末である携帯型電話端末21が無線接続される点が、図1の構成例とは異なる。
【0215】
なお、前述の実施形態と同様に、複数個のAP装置301,302,303,…30nは、全く同じ構成を有するものであるので、以下の説明おいて、複数個のAP装置301〜30nのそれぞれを区別する必要がないときには、AP装置300と記載することとする。
【0216】
携帯型電話端末21のハードウエア構成は、第3の実施形態と同様に、図7に示した前述した第1の実施形態の携帯型電話端末2と全くと同様である。そして、その処理動作は、前述した第3の実施形態の図16および図17に示した処理動作と同様である。ただし、この第4の実施形態の携帯型電話端末21では、ステップS247およびステップS260における処理が、第3の実施形態とは異なる。
【0217】
すなわち、この第4の実施形態では、ステップS260においては、ハンドオーバー後にAP装置300に帰属したときに、ハンドオーバー前に帰属していたAP装置300の位置の情報と、その使用チャンネルの情報と、ハンドオーバーが必要になった自端末の位置の情報とを、通信範囲管理サーバ6ではなく、第4の実施形態では、ハンドオーバーにより帰属したAP装置300に送信するようにする。
【0218】
また、第4の実施形態では、ステップS247においては、携帯型電話端末21は、通信範囲管理サーバ6ではなく、帰属しているAP装置300に取得要求して、隣接AP装置探索用情報を取得するようにする。
【0219】
次に、この第4の実施形態の場合におけるAP装置300のハードウエア構成例のブロック図を図21に示す。この図21において、図6のAP装置30のハードウエア構成例と全く同一の部分については、同一参照符号を付して、その説明は省略する。
【0220】
すなわち、図21に示すように、この第4の実施形態の場合におけるAP装置300は、隣接AP装置探索用情報記憶部120を備える点が異なるだけで、他は前述の実施形態と同様の構成を有する。
【0221】
図22に、任意のAP装置30i(1≦i≦n)の隣接AP装置探索用情報記憶部120の記憶内容の例を示す。また、図23は、この図22の記憶内容を説明するために用いる図であり、隣接するAP装置300の通信範囲の関係を示す図である。
【0222】
すなわち、図23に示すように、AP装置30iの通信範囲に隣接して、AP装置301、302および303が存在している。携帯型電話端末21は、AP装置301に帰属している状態から、ハンドオーバーしてAP装置30iに帰属する状態になったときに、ハンドオーバー前に帰属していたAP装置301の位置Pap1の情報と、その使用チャンネルの情報(1ch)と、ハンドオーバーが必要になった自端末の位置の情報とを、AP装置30iに送信する。
【0223】
AP装置30iは、受信したAP装置301の位置Pap1の情報とハンドオーバーが必要になった携帯型電話端末21の位置の情報とから、AP装置301の通信範囲の半径R1を算出する。そして、AP装置30iは、算出した半径R1とAP装置301の位置Pap1とを、隣接するAP装置301の通信範囲の情報として、当該AP装置301の使用チャンネルの情報と対応付けて、隣接AP装置探索用情報記憶部120に記憶する。
【0224】
AP装置30iに隣接する他のAP装置302、303の隣接AP装置探索用情報についても、携帯型電話端末21が、それらのAP装置302、303からAP装置30iへのハンドオーバー時に、上述したAP装置301からのハンドオーバー時と同様にして、AP装置30iが、隣接AP装置探索用情報を生成して、隣接AP装置探索用情報記憶部120に記憶する。
【0225】
そして、この第4の実施形態においては、携帯型電話端末21は、AP装置30iに帰属する状態になると、隣接AP装置探索用情報の取得要求を、その帰属しているAP装置30iに送信する。AP装置30iは、この取得要求に応じて、隣接AP装置探索用情報記憶部120に記憶している隣接AP装置探索用情報を、取得要求してきた携帯型電話端末21に送信する。
【0226】
携帯型電話端末21は、受信した隣接AP装置探索用情報を、自端末のAP装置探索用情報記憶部208Mに記憶する。この場合に、携帯型電話端末21のAP装置探索用情報記憶部208Mには、無線LAN5を構成する複数のAP装置301〜30nについての全ての隣接AP装置探索用情報を格納するようにしても良いが、この第4の実施形態では、携帯型電話端末21は、自端末のAP装置探索用情報記憶部208Mには、帰属したAP装置300から取得した隣接AP装置探索用情報のみを格納するようにする。
【0227】
つまり、この第4の実施形態では、携帯型電話端末21は、帰属したAP装置300から隣接AP装置探索用情報を取得すると、その取得した隣接AP装置探索用情報により、自端末のAP装置探索用情報記憶部208Mの記憶内容を重ね書きして更新するようにする。したがって、第4の実施形態では、携帯型電話端末21のAP装置探索用情報記憶部208Mの記憶容量は、一つのAP装置300についての隣接AP装置探索用情報を記憶することができる容量であればよく、AP装置探索用情報記憶部208Mは、上述の実施形態の場合よりも小容量の記憶部で構成することができるというメリットがある。
【0228】
そして、この第4の実施形態においては、携帯型電話端末21は、ハンドオーバー時にチャンネルスキャンを行うに際し、自端末の位置を検出すると共に、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されている隣接AP装置探索用情報を参照して、当該自端末の位置を通信範囲として含むAP装置の使用チャンネルを探索できたときには、その使用チャンネルからチャンネルスキャンを開始するようにする。
【0229】
なお、この第4の実施形態においては、携帯型電話端末21が電源オンとされた起動時におけるチャンネルスキャン時には、隣接AP装置探索用情報しか、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶されていないために、自端末の位置を通信範囲に含むAP装置300の使用チャンネルを検出できず、従来の通りの順次チャンネルスキャンが実行されてしまい、AP装置300に帰属するのに時間がかかる場合もある。しかし、この第4の実施形態では、携帯型電話端末21が、いずれかのAP装置300に帰属したときには、そのAP装置300から、隣接AP装置探索用情報を取得して、AP装置探索用情報記憶部208Mに記憶することができるため、その後は、高速チャンネルスキャンを行うことができるようになるという効果を奏する。
【0230】
図24に、この第4の実施形態の場合におけるAP装置300の、無線LAN端末のチャンネルスキャン方法に関連する処理動作の例のフローチャートを示す。
【0231】
すなわち、AP装置300のCPU101は、携帯型電話端末21が新たに、当該AP装置300に無線接続されて帰属されたか否か判別する(ステップS311)。このステップS311で、携帯型電話端末21が新たに帰属されてはいないと判別したときには、CPU101は、その他の処理を実行し(ステップS312)、その処理の終了後、ステップS311に戻る。
【0232】
また、ステップS311で、携帯型電話端末21が新たに自AP装置300に帰属されたと判別したときには、CPU101は、設置位置情報記憶部108に記憶されている自AP装置300の設置位置の情報を、新たに帰属した携帯型電話端末21に送信する(ステップS313)。
【0233】
次に、CPU101は、新たに帰属された携帯型電話端末21から、隣接するAP装置の使用チャンネルとそのAP装置の位置情報とハンドオーバー時の携帯型電話端末の位置情報とからなる隣接AP装置探索用情報の更新用情報(新規情報を含む。以下、同じ)を、受信したか否か判別する(ステップS314)。
【0234】
ステップS314で、隣接AP装置探索用情報の更新用情報を受信したと判別したときには、CPU101は、その受信した隣接AP装置探索用情報の更新用情報により、隣接AP装置探索用情報記憶部120に記憶されている隣接AP装置探索用情報を更新する(ステップS315)。
【0235】
次に、CPU101は、新たに帰属された携帯型電話端末21から、隣接AP装置探索用情報の取得要求を受信したか否か判別する(ステップS316)。ステップS314で、隣接AP装置探索用情報の更新用情報を受信してはいないと判別したときにも、CPU101は、ステップS315をバイパスして、このステップS316に進み、新たに帰属された携帯型電話端末21から、隣接AP装置探索用情報の取得要求を受信したか否か判別する。
【0236】
このステップS316で、新たに帰属された携帯型電話端末21から、隣接AP装置探索用情報の取得要求を受信してはいないと判別したときには、CPU101は、処理をステップS314に戻し、このステップS314以降の処理を繰り返す。
【0237】
また、ステップS316で、新たに帰属された携帯型電話端末21から、隣接AP装置探索用情報の取得要求を受信したと判別したときには、CPU101は、隣接AP装置探索用情報を、隣接AP装置探索用情報記憶部120から読み出して、取得要求してきた携帯型電話端末21に送信する(ステップS317)。そして、CPU101は、処理をステップS311に戻し、このステップS311以降の処理を繰り返す。
【0238】
以上説明したように、この第4の実施形態では、携帯型電話端末21は、帰属しているAP装置300から、ハンドオーバー時の高速チャンネルスキャンを行うための隣接AP装置探索用情報を取得してAP装置探索用情報記憶部208Mに記憶しているので、ハンドオーバー時には、この発明の高速チャンネルスキャンが可能となる確率が高くなる。
【0239】
そして、隣接AP装置探索用情報は、AP装置300に帰属した携帯型電話端末21の全てから取得した情報に基づいて生成することができる。したがって、この第4の実施形態においては、第3の実施形態と同様に、第1の実施形態に比較すると、早期に、AP装置300のそれぞれが、必要な全ての隣接するAP装置300についての使用チャンネルの情報および通信範囲の情報を含む隣接AP探索用情報を生成して、隣接AP装置探索用情報記憶部120に記憶することができるという効果がある。
【0240】
なお、上述の第4の実施形態の説明では、AP装置300の通信範囲の情報の生成方法として、AP装置300の位置と、通信範囲の半径を特定するための情報を用いる前述した第1の実施形態と同様の方法を適用するようにした。しかし、これに限られるものではなく、第3の実施形態と同様に、第1の実施形態の変形例1、変形例2および第2の実施形態の方法を適用することもできるものである。
【0241】
また、この第4の実施形態においては、携帯型電話端末21からAP装置300に隣接AP装置探索用情報の更新用情報(新規情報を含む)を送るタイミングおよび携帯型電話端末21からAP装置300に隣接AP装置探索用情報の取得要求をするタイミングは、携帯型電話端末21がAP装置300に帰属されたことを検知したときとした。しかし、このタイミングに限られるものではなく、携帯型電話端末21がAP装置300に帰属している間であれば、いずれのタイミングであっても良い。
【0242】
また、上述の第4の実施形態の説明においては、携帯型電話端末21は、AP装置探索用情報の更新用情報として、通信範囲を生成するための情報を、AP装置300に送信するようにした。しかし、携帯型電話端末21は、通信範囲を特定するための情報として、例えば半径を算出して、その半径の値を、AP装置探索用情報の更新用情報に含めて、AP装置300に送信するようにしても良い。
【0243】
[他の実施形態および変形例]
なお、上述の無線LAN端末の実施形態としての携帯型電話端末は、電話システム専用の子機としたが、AP装置と無線接続していないときには、携帯電話網を通じて携帯電話通信を行える機能を備えるものであっても良い。
【0244】
また、上述の実施形態の説明では、GPS測位した位置情報の高さは説明の簡略化のために無視するようにしたが、無線LANをビルの複数階に渡って構築する場合には、AP装置の位置情報および無線LAN端末の位置情報には、高さも含むことはいうまでもない。
【0245】
また、上述の実施形態では、複数のアクセスポイント装置は、有線LANで接続するようにしたが、これら複数のアクセスポイント装置の間も、別の無線LANで接続するようにしても良い。
【0246】
また、上述の実施形態は、この発明が適用されるシステムがIP電話通信システムである場合を例に説明したが、この発明が適用されるシステムは、複数のAP装置に対して、1以上の無線LAN端末が無線接続する無線LANを含むシステムであれば、どのような通信システムであっても良い。
【符号の説明】
【0247】
2,20,21…無線LAN端末の例としての携帯型電話端末、31〜3n、301〜30n…アクセスポイント装置、4…有線LAN、5…無線LAN、6…通信範囲管理サーバ、107,210…GPS測位部、120…隣接AP装置探索用情報記憶部、208M…AP装置探索用情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LANにより互いに接続されている複数のアクセスポイント装置と無線接続される無線LAN端末において、
前記無線LAN端末が前記アクセスポイント装置に帰属していたときの当該アクセスポイント装置と前記無線LAN端末との位置関係に基づいて求められた当該アクセスポイント装置の通信範囲の情報を、当該アクセスポイント装置の使用チャンネルの情報と対応付けて記憶部に記憶する記憶手段と、
アクセスポイント装置と無線接続するためのチャンネルスキャンをする前に、自端末の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段で検出された前記自端末の位置が含まれる前記通信範囲の情報が、前記記憶部に記憶されているか否か判別する判別手段と、
前記判別手段で、前記位置検出手段で検出された前記自端末の位置が含まれる前記通信範囲の情報が前記記憶部に記憶されていると判別されたときに、前記記憶部に前記通信範囲の情報と対応付けられて記憶されている前記使用チャンネルの情報で特定されるチャンネルから、前記チャンネルスキャンを開始するスキャン手段と、
を備える無線LAN端末。
【請求項2】
アクセスポイント装置から他のアクセスポイント装置へのハンドオーバーが必要となったときに、前記位置検出手段、前記判別手段および前記スキャン手段を動作させる
ことを特徴とする請求項1に記載の無線LAN端末。
【請求項3】
自端末のアクセスポイント装置との無線通信機能が起動されたときに、前記位置検出手段、前記判別手段および前記スキャン手段を動作させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線LAN端末。
【請求項4】
前記無線LAN端末が前記アクセスポイント装置に帰属していたときの当該アクセスポイント装置と前記無線LAN端末との位置関係に基づいて求められた当該アクセスポイント装置の通信範囲の情報は、当該アクセスポイント装置の位置の情報と、当該アクセスポイント装置から他のアクセスポイント装置へのハンドオーバーが必要となった前記無線LAN端末の位置、あるいは、前記ハンドオーバーが必要になると想定される前記無線LAN端末の位置に関する情報である
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の無線LAN端末。
【請求項5】
一つの使用チャンネルに対応付けられて記憶される前記通信範囲の情報には、前記アクセスポイント装置から他のアクセスポイント装置へのハンドオーバーが必要となった前記無線LAN端末の位置、あるいは、前記ハンドオーバーが必要になると想定される前記無線LAN端末の位置に関する情報の複数個を含む
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の無線LAN端末。
【請求項6】
前記記憶部に記憶される前記通信範囲の情報は、前記アクセスポイント装置の位置情報と、前記アクセスポイント装置に帰属している前記無線LAN端末が前記アクセスポイント装置からの受信信号の受信レベルと、前記受信レベルを検知したときの前記無線LAN端末の位置の情報と、に基づいて推定された前記通信範囲の情報、あるいは、前記アクセスポイント装置の位置情報と、前記アクセスポイント装置に帰属しているときに、前記無線LAN端末が前記アクセスポイント装置から受信した前記アクセスポイント装置の送信パワーの情報と、に基づいて推定された前記通信範囲の情報である
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の無線LAN端末。
【請求項7】
ハンドオーバー前に帰属していた第1のアクセスポイント装置の使用チャンネルの情報と、前記第1のアクセスポイント装置の位置と自端末との位置関係に関連する情報とを、前記ハンドオーバー後に帰属した第2のアクセスポイント装置に送信する手段を備え、
前記アクセスポイント装置のそれぞれは、受信した前記第1のアクセスポイント装置の位置と自端末との位置関係に関連する情報に基づいて自アクセスポイント装置と通信範囲を隣接する他のアクセスポイント装置の通信範囲を求め、求めた自アクセスポイント装置と通信範囲を隣接する他のアクセスポイント装置の使用チャンネルの情報と、当該他のアクセスポイント装置の通信範囲の情報とを対応付けて記憶しており、
前記第2のアクセスポイント装置に帰属しているときに、前記第2のアクセスポイント装置と通信範囲を隣接する前記他のアクセスポイント装置の使用チャンネルの情報と通信範囲の情報とを、前記第2のアクセスポイント装置から取得する隣接アクセスポイント装置情報取得手段を設け、
前記記憶手段は、前記隣接アクセスポイント装置情報取得手段で取得した前記他のアクセスポイント装置の使用チャンネルの情報と前記通信範囲の情報を前記記憶部に記憶する
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の無線LAN端末。
【請求項8】
ハンドオーバー前に帰属していた第1のアクセスポイント装置の位置と自端末との位置関係に関連する情報を、サーバ装置に、直接に、あるいは前記ハンドオーバー後に帰属した第2のアクセスポイント装置を介して、送出する手段を備え、
前記サーバ装置は、受信した前記第1のアクセスポイント装置の位置と無線LAN端末との位置関係に関連する情報に基づいて前記第1のアクセスポイント装置の通信範囲を求めることにより、無線LANを構成する全てのアクセスポイント装置の通信範囲の情報と、それぞれの使用チャンネルの情報とを対応付けて記憶しており、
前記第2のアクセスポイント装置に帰属しているときに、前記サーバ装置から、直接に、あるいは、前記第2のアクセスポイント装置を介して、前記無線LANを構成する全てのアクセスポイント装置の通信範囲の情報と、それぞれの使用チャンネルの情報とを取得するアクセスポイント装置情報取得手段を設け、
前記記憶手段は、前記アクセスポイント装置情報取得手段で取得した前記通信範囲の情報と、それぞれの使用チャンネルの情報とを対応付けて前記記憶部に記憶する
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の無線LAN端末。
【請求項9】
LANにより互いに接続されている複数のアクセスポイント装置と無線接続するためのチャンネルスキャンを行う無線LAN端末が備えるコンピュータが、
前記無線LAN端末が前記アクセスポイント装置に帰属していたときの当該アクセスポイント装置と前記無線LAN端末との位置関係に基づいて求められた当該アクセスポイント装置の通信範囲の情報を、当該アクセスポイント装置の使用チャンネルの情報と対応付けて記憶部に記憶する記憶手段、
アクセスポイント装置と無線接続するためのチャンネルスキャンをする前に、自端末の位置を検出する位置検出手段、
前記位置検出手段で検出された前記自端末の位置が含まれる前記通信範囲の情報が、前記記憶部に記憶されているか否か判別する判別手段、
前記判別手段で、前記位置検出手段で検出された前記自端末の位置が含まれる前記通信範囲の情報が前記記憶部に記憶されていると判別されたときに、前記記憶部に前記通信範囲の情報と対応付けられて記憶されている前記使用チャンネルの情報で特定されるチャンネルから、前記チャンネルスキャンを開始するスキャン手段、
として実行させるための無線LAN端末用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−85154(P2013−85154A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224430(P2011−224430)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】