説明

無臭木質板製板用接着剤

【課題】建材用等に用いられる木質板から放出させるホルムアルデヒドの放散量を低減した無臭木質板を提供する。
【解決手段】メラミン系化合物および/またはメラミン樹脂の粉末(a)と、アミノ基を有する化合物の水溶液(b)からなる木質板用接着剤にアミノ系化合物と酸性物質からなる塩を添加することを特徴とする無臭木質板製板用接着剤とすることにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材用等に用いられる木質板から放出されるホルムアルデヒドの放散量が少なく、且つ、強度、耐水性に優れた無臭木質板用接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】木質板製板用の接着剤としては、尿素系、メラミン系、フェノール系などのホルムアルデヒドと共縮合して得られる、いわゆるホルムアルデヒド系樹脂が、優れた接着性、耐水性、使用方法の簡便さ、低価格等の理由から用いられている。しかしながら、これらの樹脂は、接着後微量のホルムアルデヒドが遊離するため、これらの樹脂を使用した木質板、収納家具などは、後日大気中にホルムアルデヒドを放出し、人体に対して頭痛、吐き気、目の刺激、皮膚障害などの健康障害を引き起こす可能性があることが、問題視されている。このためホルムアルデヒド発生防止対策が要望されている。
【0003】樹脂としては、特に尿素やメラミンを用いた、いわゆるアミノ系樹脂が、他の樹脂に比べて、ホルムアルデヒド放散量が多く、問題視されている。これらの樹脂は、酸に弱く、酸により、加水分解を受けて、ホルムアルデヒドを放出すると言われている。
【0004】ホルムアルデヒドを発生防止する方法としては、これまでにホルムアルデヒドの反応モル比を下げる方法、あるいはホルムアルデヒドトラップ剤の添加が行われているが、モル比の低下に伴い、接着剤の安定性、保存性の低下、硬化に時間がかかるなどの問題があった。またさらに、製板後に化学的あるいは物理的処理を施すことにより、放散ホルムアルデヒドを低減する方法も行われているが、コスト的に不利な点があり、普及していない。
【0005】このような状況の中、従来と同等の接着性、硬化性を維持しつつ、ホルムアルデヒド臭を低減させることが可能な木質板用接着剤が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような現状を鑑み、アミノ系樹脂接着剤において、接着性、硬化性、耐水性等、従来の性能を発現し、且つ、放散ホルムアルデヒド量を低減した木質板を与える無臭木質板用接着剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題点を解決するため鋭意検討した結果、接着性の良いメラミン系化合物及びメラミン系樹脂を粒子状で接着剤中に存在させることで、その粒子を木材に浸透させずに接着界面に残留せしめ、硬化させることにより、接着性を発現させ、また、アミノ基を有する化合物が、接着剤中の水と共に、木材に浸透して、それらに含まれる過剰のアミノ基が、放散されるホルムアルデヒドにトラップ剤として機能して、製板される木質板より放散するホルムアルデヒドを低減させることが可能となり、接着性と低ホルムアルデヒド放散性を両立する接着剤が得られることを見いだし、本発明を完成するにいたった。
【0008】即ち、本発明は、メラミン系化合物及び/又はメラミン系樹脂(a)と、アミノ基を有する化合物(b)と、酸性物質あるいはアミノ系化合物と酸性物質からなる塩(c)とからなる接着剤であって、前記成分(a)の粒子を含んでなる水溶液であることを特徴とする無臭木質板製板用接着剤である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いるメラミン系化合物(成分(a))としては、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、テトラヘキサノールメラミン等、及びこれらの混合物が、挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンが好ましい。
【0010】これらメラミン系化合物の合成方法としては、ホルムアルデヒドとメラミンとを、アルカリ性下で、任意のモル比で20分間程度加熱還流し反応させて得られる反応物を、冷却したメタノール中に添加することでメラミン系化合物を析出させ、メラミン系化合物の粒子を含む反応液が得られる。また、この反応液を、濾過、乾燥することにより、メラミン系化合物の粉末が得られる。
【0011】メラミン系化合物の合成における反応系をアルカリ性にするアルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、アンモニア、各種アミン類等が例示できる。
【0012】本発明に用いるメラミン系樹脂(成分(a))としては、メラミン樹脂、ユリア・メラミン樹脂、メラミン・フェノール共縮合樹脂等メラミンで合成された樹脂が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができ、中でもメラミン樹脂、ユリア・メラミン樹脂、メラミン・フェノール共縮合樹脂が、好ましい。
【0013】本発明に用いるメラミン系樹脂を得る方法としては、公知の合成方法で製造され、メラミンと、ホルムアルデヒドと、尿素、フェノールなどの各種モノマーとを、アルカリ性で、ホルムアルデヒド(F)とアミノ基(-NH2)のモル比がF/-NH2=0.3〜2.2で仕込み、30分以上加熱還流し反応させることにより得られた反応物に、高速攪拌下、酸性物質を添加することでメラミン樹脂の粒子を含む反応液が得られる。また、前記反応液を、冷却したメタノールに添加し、得られた析出物を、濾過、乾燥することにより、あるいはスプレードライにより、メラミン系樹脂の粉末が得られる。
【0014】メラミン系樹脂の合成における反応系をアルカリ性にするアルカリ性物質としては、前記と同様のものが用いられる。酸性物質とは、塩酸、ギ酸、マレイン酸、パラトルエンスルホン酸等の無機および有機酸である。
【0015】メラミン系樹脂の合成においてモル比が、F/-NH2=0.3未満の場合には、接着強度が発揮されない。F/-NH2=2.2を越える場合は、ホルムアルデヒド放散量が増大する。
【0016】成分(a)において、エマルジョンとして用いる場合は、それぞれ加熱還流し反応させて得られた反応液に、ポリビニルアルコール(PVA)等の分散安定剤を添加すれば、きわめて容易に小粒径のエマルジョンが得られ、またエマルジョンの保存安定性も向上する。PVAは、分子量1000以上の、部分けん化タイプが望ましい。PVAのけん化度は、60〜95モル%程度が望ましい。
【0017】また、エマルジョン粒子の特性として、重要なことは、常温水には溶けず、熱水に可溶であることである。このことが、前記粒子が単板に浸透することを防ぎ、接着界面に残留せしめ、熱プレスを行った際に、前記粒子が溶融、硬化反応し、単板を接着する。
【0018】本発明に用いるメラミン系化合物及び/又はメラミン系樹脂は、接着剤総量中に固形分として10〜80重量%の割合で含まれていることが好ましく、10重量%未満では、接着強度が十分に発揮されないことがあり、80重量%以上では、高粘度になり作業性が悪くなることがある。
【0019】本発明に用いるアミノ基を有する化合物(b)としては、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、メチル尿素、エチル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、アセチル尿素などの尿素類、メタノールアミン、エタノールアミンなどのアルコールアミン類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのジアミン類、ヒドラジン、メチルヒドラジン、ヒドラジノ安息香酸などのヒドラジン類、ジメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミンなどのアルキルアミン類の他、アンモニア、メラミン、ベンゾグアナミン、セトグアナミン、ジシアノジアミド、炭酸グアニジン、アラニン、モルホリン、グアニン、ピペラジン、各種タンパク質、各種ビタミンなどが例示できるが、これらの中で、尿素が好ましい。これらは1種単独あるいは2種以上の組み合わせにより使用される。
【0020】本発明に用いるアミノ基を有する化合物(b)は、接着剤において固形分として成分(a)100重量部に対し10〜400重量部含まれていることが好ましく、10重量部未満では、ホルムアルデヒド放散量の低減効果が認められず、400重量部を越えると接着強度を低下させる。
【0021】本発明に用いる酸性物質としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、炭酸、パラトルエンスルホン酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、クエン酸、マレイン酸等の有機酸が好ましい。中でも、硫酸、塩酸、硝酸、炭酸、燐酸、クエン酸、蟻酸、酢酸、及びマレイン酸が好ましく、特に好ましくは塩酸、硫酸である。これらは1種単独あるいは2種以上の組み合わせにより使用される。
【0022】本発明に用いるアミノ系化合物と酸性物質からなる塩としては、前記したアミノ基を有する化合物(b)と前記酸性物質との混合により生成され、これらは1種単独あるいは2種以上の組み合わせにより使用される。中でも、塩に用いるアミノ基を有する化合物としては、アンモニア、メラミン、アルコールアミン類、ジアミン類、ヒドラジン類及びアルキルアミン類が好ましい。特に好ましくはアンモニアである。
【0023】前記酸性物質、及びアミノ系化合物と酸性物質からなる塩(c)は、いわゆる硬化剤として機能し、接着剤中で解離したアミノ系化合物が遊離ホルムアルデヒドと反応し、塩酸を発生させることによりpHを低下させ接着剤を硬化せしめる。
【0024】本発明に用いる酸性物質、あるいはアミノ系化合物と酸性物質からなる塩(c)は、接着剤において固形分として、メラミン系化合物及び/又はメラミン系樹脂(a)に対し0.01〜10重量部の割合で含まれていることが好ましく、0.01重量部未満では、酸の発生量が十分でなく、硬化が進行せず、接着強度、ホルムアルデヒド放散量共に悪化する。10重量部を越えると、逆に酸の発生量が多くなり、硬化後に酸が樹脂内に残ることにより樹脂を分解しやすくなり、接着強度、ホルムアルデヒド放散量が悪化する。
【0025】本発明の無臭木質板製板用接着剤は、前記成分(a)と成分(b)と酸性物質あるいはアミノ系化合物と酸性物質からなる塩(c)を混合することにより得ることができるが、その際、成分(a)の粉末粒子を用いる場合は、成分(a),(b),(c)の混合物に水を混合し、成分(a)のエマルジョン又は成分(a)の粒子を含む反応液を用いる場合は、成分(b)及び成分(c)は、粉末でも良い。混合は、通常の方法で行えば良く、添加の順序は特に限定されないものの、使用直前に混合することが好ましい。
【0026】本発明の無臭木質板製板用接着剤には、上記成分以外に、必要に応じて、充填剤、小麦粉等の増量剤、防腐剤、着色剤、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等の硬化剤等の添加剤を加えることができる。
【0027】得られた無臭木質板製板用接着剤は、白色の乳濁液であり、少なくとも成分(a)が粒子状で存在し、粘度は20〜4000mPa・s、固形分30〜80重量%に調整されるが、常温で安定であり、水の添加により凝集物等を生じることがなく、接着剤を使用する機器の洗浄に際しても何ら問題ない。
【0028】本発明の無臭木質板製板用接着剤は、従来の接着剤と同様の方法で用いることが可能であり、木材への塗布なども従来と同様の方法で行える。
【0029】本発明の無臭木質板用接着剤は、主として合板に使用でき、公知の装置、方法により成型される。
【0030】
【実施例】以下、本発明の詳細を実施例にて説明するが、本発明は、なんら、これらに限定されない。
【0031】[合成例1](ヘキサメチロールメラミンの合成)
還流冷却管、温度計、攪拌機、滴下ロートを備えた反応フラスコにメラミン50重量部、37%ホルムアルデヒド194.5重量部、20%NaOH 2重量部を仕込み、20分間加熱還流後、まだ熱いうちに、反応物を冷却したメタノール中に添加した。析出物を濾過、乾燥し、ヘキサメチロールメラミン(H1と略記する)を得た。ホルムアルデヒド(F)とアミノ系化合物のアミノ基(-NH2)のモル比(F/-NH2)=2.0
【0032】[合成例2](メラミン樹脂粉末の合成)
合成例1と同様の装置にメラミン143重量部、37%ホルムアルデヒド194.5重量部、20%NaOH 2重量部を仕込み、90分間加熱還流後、まだ熱いうちに、反応物を冷却したメタノール中に添加した。析出物を濾過、乾燥し、メラミン樹脂粉末(H2と略記する)を得た。F/-NH2=0.7
【0033】[合成例3](メラミン樹脂エマルジョンの合成)
合成例1と同様の装置ににメラミン143重量部、37%ホルムアルデヒド194.5重量部、ポリビニルアルコール(クラレ製、商品名PVA217S) 20重量部、20%NaOH 2重量部を仕込み、90分間加熱還流後冷却した。上記反応液に3mol/Lの塩酸を、徐々に滴下し、系内のpHを5.5に調整し均一な白色のエマルジョン(E1と略記する)を得た。ホルムアルデヒド(F)とアミノ系化合物のアミノ基(-NH2)のモル比(F/-NH2)=0.7、樹脂固形分(RC)=66%
【0034】[合成例4](メラミン樹脂エマルジョンの合成)
合成例1と同様の装置にメラミン50重量部、37%ホルムアルデヒド194.5重量部、ポリビニルアルコール(クラレ製、商品名PVA217S) 20重量部、20%NaOH2重量部を仕込み、20分間加熱還流後、上記反応液に3mol/Lの塩酸を徐々に滴下し系内のpHを5.5に調整し、さらに20分間還流した。反応物の冷却後均一な白色のエマルジョン(E2と略記する)を得た。F/-NH2=2.0樹脂固形分(RC)=54%
【0035】[合成例5](ユリア・メラミン樹脂エマルジョンの合成)
合成例1と同様の装置に尿素16重量部、メラミン143重量部、37%ホルムアルデヒド194.5重量部、ポリビニルアルコール(クラレ製、商品名PVA217S) 20重量部、20%NaOH2重量部を仕込み、90分間加熱還流後冷却した。上記反応液に3mol/Lの塩酸を徐々に滴下し系内のpHを5.5に調整し均一な白色のエマルジョン(E3と略記する)を得た。F/-NH2=0.6、樹脂固形分(RC)=67%、メラミン変性率57%(固形分中)
【0036】実施例1、2合成例1で得たH1を20重量部及び尿素50重量部、小麦粉(赤花)16重量部、水59重量部に対し、塩化アンモニウムを表1に示す割合で配合し、それぞれの接着剤を調整した。厚さ1.3mmのラワン単板に、前記で得た接着剤を、それぞれ片面に165g/m2の量を塗布し、1.0MPaの圧力で20分間冷圧した後、120℃で78秒間熱圧して3層の合板を作成した。
【0037】実施例3,4合成例1で得たH1を20重量部及び尿素20重量部、小麦粉(赤花)16重量部、水29重量部に対し、塩化アンモニウムを表1に示す割合で配合し、それぞれの接着剤を調整した。これら以外は、実施例1〜2と同様に操作して、3層合板を作成した。
【0038】実施例5,6合成例1で得たH1を20重量部及び尿素10重量部、小麦粉(赤花)16重量部、水29重量部に対し、塩化アンモニウムを表1に示す割合で配合し、それぞれの接着剤を調整した。これら以外は、実施例1〜2と同様に操作して、3層合板を作成した。
【0039】比較例1配合に於いて、合成例1で得たH1を40重量部、尿素2重量部、水72重量部、及び塩化アンモニウムの配合を表1とした以外は、全て実施例1,2と同様にして3層の合板を作成した。
【0040】比較例2配合に於いて、合成例1で得たH1を40重量部、尿素200重量部、水200重量部、及び塩化アンモニウムの配合を表1とした以外は、全て実施例1,2と同様にして3層の合板を作成した。
【0041】比較例3,4配合に於いて、塩化アンモニウムのみの配合を表1とした以外は、全て実施例1,2と同様にして3層の合板を作成した。
【0042】実施例7,8合成例2で得たH2を20重量部及び尿素50重量部、小麦粉(赤花)16重量部、水59重量部に対し、2.7mol/L塩酸を表2に示す割合で配合し、それぞれの接着剤を調整した。これ以外は、実施例1〜2と同様に操作して、3層合板を作成した。
【0043】比較例5配合に於いて、合成例2で得たH2を40重量部、尿素2重量部、水62重量部、及び2.7mol/L塩酸の配合を表2とし、それぞれの接着剤を調整した以外は、全て実施例1,2と同様にして3層の合板を作成した。
【0044】比較例6配合に於いて、合成例2で得たH2を40重量部、尿素200重量部、水200重量部、及び2.7mol/L塩酸の配合を表2とし、それぞれの接着剤を調整した以外は、全て実施例1,2と同様にして3層の合板を作成した。
【0045】比較例7,8配合に於いて、2.7mol/L 塩酸のみの配合を表2とした以外は全て、実施例7,8と同様にして3層の合板を作成した。
【0046】実施例9,10合成例3で得たE1の100重量部及び尿素165重量部、小麦粉(赤花)16重量部、水40重量部に対し、硫酸アンモニウムを表3に示す割合で配合し、それぞれの接着剤を調整した。これ以外は、実施例1〜2と同様に操作して、3層合板を作成した。
【0047】実施例11,12合成例3で得たE1の100重量部及び尿素66重量部、小麦粉(赤花)16重量部、水20重量部に対し、硫酸アンモニウムを表3に示す割合で配合し、それぞれの接着剤を調整した。これ以外は、実施例1〜2と同様に操作して、3層合板を作成した。
【0048】実施例13,14合成例3で得たE1の100重量部及び尿素33重量部、小麦粉(赤花)16重量部、水10重量部に対し、硫酸アンモニウムを表3に示す割合で配合し、それぞれの接着剤を調整した。これ以外は、実施例1〜2と同様に操作して、3層合板を作成した。
【0049】比較例9配合に於いて、合成例3で得たE1の40重量部、尿素1.3重量部、水2重量部及び硫酸アンモニウムの配合を表3に示す割合とし、それぞれの接着剤を調整した以外は、全て実施例1,2と同様にして3層の合板を作成した。
【0050】比較例10配合に於いて、合成例3で得たE1の40重量部、尿素132重量部、水60重量部及び硫酸アンモニウムの配合を表3に示す割合とし、それぞれの接着剤を調整した以外は、全て実施例1,2と同様にして3層の合板を作成した。
【0051】比較例11,12配合に於いて、硫酸アンモニウムのみの配合を表3に示す割合とした以外は、全て実施例9,10と同様にして3層の合板を作成した。
【0052】実施例15,16合成例4で得たE2を100重量部及び尿素54重量部、小麦粉(赤花)16重量部、水20重量部に対し、0.5mol/L硫酸を表4に示す割合で配合し、それぞれの接着剤を調整した。これ以外は、実施例1〜2と同様に操作して、3層合板を作成した。
【0053】比較例13配合に於いて、合成例4で得たE2を40重量部、尿素1重量部、水10重量部、及び0.5mol/L 硫酸の配合を表4に示す割合とし、それぞれの接着剤を調整した以外は、全て実施例1,2と同様にして3層の合板を作成した。
【0054】比較例14配合に於いて、合成例4で得たE2を40重量部、尿素108重量部、水60重量部、及び0.5mol/L硫酸の配合を表4に示す割合とし、それぞれの接着剤を調整した以外は、全て実施例1,2と同様にして3層の合板を作成した。
【0055】比較例15、16配合に於いて、0.5mol/L硫酸のみの配合を表1とした以外は全て実施例15,16と同様にして3層の合板を作成した。
【0056】実施例17,18合成例5で得たE3を100重量部及び尿素29重量部、小麦粉(赤花)16重量部、水20重量部に対し、50%ギ酸を表5に示す割合でを配合し、それぞれの接着剤を調整した。これ以外は、実施例1〜2と同様に操作して、3層合板を作成した。
【0057】比較例17合成例5で得たE3を60重量部、尿素1.7重量部、及び50%ギ酸の添加量を表5に示す割合とし、それぞれの接着剤を調整した以外は全て実施例1,2と同様に操作して3層の合板を作成した。
【0058】比較例18合成例5で得たE3を60重量部、尿素140重量部、水100重量部、及び50%ギ酸の添加量を表5に示す割合とし、それぞれの接着剤を調整した以外は全て実施例1,2と同様に操作して3層の合板を作成した。
【0059】比較例19,20配合に於いて、50%ギ酸のみの配合を表5に示す割合とした以外は全て実施例17,18と同様に操作して3層の合板を作成した。
【0060】比較例23ユリア・メラミン樹脂(住友ベークライト株式会社製MA−216K、JAS規格F−2合格、樹脂含量60%)100重量部、小麦粉(赤花)16重量部、水9重量部、塩化アンモニウム1重量部、混合して接着剤を調製した。これ以外は、実施例1〜2と同様に操作して、3層合板を作成した。
【0061】作成した合板のホルムアルデヒド放散量及び接着性は、次の方法により測定し、結果を表1〜6に示す。
1)接着剤の放散ホルムアルデヒド濃度JASの測定方法に従い、接着剤を塗布した合板のサンプルを20℃で24時間デシケータ中に放置し純水に吸収させ、定色は、アセチルアセトン法により415nmにおける吸光度を用いて濃度測定した。5ppm以下のものをF2、0.5ppm以下のものをF1と呼ぶ。
2)接着強度合板の接着強度試験はJAS測定方法の常態接着力試験に従い測定した。合格値は0.7MPa以上である。
3)木破率接着力試験後、接着面の木材破損割合を目視により観察した。数字は、大きい方が良好。
4)一類浸漬剥離試験JAS測定方法の一類浸漬剥離試験に従い測定した。
【0062】
【表1】


【0063】
【表2】


【0064】
【表3】


【0065】
【表4】


【0066】
【表5】


【0067】
【表6】


【0068】表1〜6より、実施例は、比較例と比べて、接着性および低ホルムアルデヒド放散性に優れる。
【0069】
【発明の効果】本発明の無臭木質板製造用接着剤は、従来のアミノ系樹脂接着剤に比べて、接着性、硬化性、耐水性等、従来の性能を維持したまま、放散ホルムアルデヒド量を低減した木質板を与えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 メラミン系化合物及び/又はメラミン系樹脂(a)と、アミノ基を有する化合物(b)と、酸性物質あるいはアミノ系化合物と酸性物質からなる塩(c)とからなる接着剤であって、前記成分(a)の粒子を含んでなる水溶液であることを特徴とする無臭木質板製板用接着剤。
【請求項2】前記成分(a)が、エマルジョンであることを特徴とする請求項1記載の無臭木質板用接着剤。
【請求項3】 メラミン系化合物が、ヘキサメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、及びモノメチロールメラミンからなる群より選ばれた1種以上である請求項1記載の無臭木質板製板用接着剤。
【請求項4】 メラミン系樹脂が、メラミン樹脂、ユリア・メラミン樹脂、及びメラミン・フェノール共縮合樹脂からなる群より選ばれた1種以上である請求項1記載の無臭木質板製板用接着剤。
【請求項5】 アミノ基を有する化合物(b)が、尿素である請求項1記載の無臭木質板製板用接着剤。
【請求項6】 酸性物質が、硫酸、塩酸、硝酸、炭酸、燐酸、クエン酸、蟻酸、酢酸、及びマレイン酸からなる群より選ばれる1種以上である請求項1記載の無臭木質板用接着剤。
【請求項7】 アミノ系化合物と酸性物質からなる塩が、アンモニア、メラミン、アルコールアミン類、ジアミン類、ヒドラジン類、及びアルキルアミン類からなる群より選ばれた1種以上と酸性物質とからなる塩であることを特徴とする請求項1記載の無臭木質板製板用接着剤。
【請求項8】 アミノ基を有する化合物(b)が、固形分でメラミン系化合物及び/又はメラミン系樹脂(a)100重量部に対し、10〜400重量部の割合で含まれていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の無臭木質板製板用接着剤。
【請求項9】 酸性物質あるいはアミノ系化合物と酸性物質からなる塩(c)が、固形分でメラミン系化合物及び/又はメラミン系樹脂(a)100重量部に対し、0.01〜10重量部の割合で含まれていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の無臭木質板製板用接着剤。

【公開番号】特開2002−105425(P2002−105425A)
【公開日】平成14年4月10日(2002.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−297553(P2000−297553)
【出願日】平成12年9月28日(2000.9.28)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】