説明

無菌凍結、乾燥、保存、分析及び充填方法(SFD−SAF法)(非経口生物薬剤用のペレット凍結乾燥法)

プロダクトの滴を凍結してペレットを形成し、ペレットを凍結乾燥し、アッセイし、コンテナに入れる、凍結乾燥生成物で充填されたコンテナの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレット化した生物薬剤プロダクトの凍結乾燥(又はフリーズ・ドライ)、保存、アッセイ(または分析)及び例えばバイアル等の最終コンテナへの充填を含む、滅菌(又は無菌)製造のための方法に関する。本発明の方法は、最終コンテナに入れられる最終プロダクトの正確なアッセイ、従って、充填する量の正確なコントロールのベースを提供する。
【背景技術】
【0002】
非経口生物薬剤を製造して包装する従来の方法は、バルク溶液を調製するために用いる中間体物質の測定される生物活性に基づいてバルク溶液を調製することを含む。多くの場合、特に方法の最後で、アッセイを実施するためにバルク溶液を凍結して保存する。この目的のため、凍結溶液を数日または数週間も保存することがある。バイアルのような最終コンテナの充填ために、例えばエンドユーザーへの分配のために、通常凍結した中間体溶液を解凍して溶液にして、例えばバイアルに充填し、その後、バイアル内で凍結乾燥する。
【0003】
バイアルのような最終コンテナに充填する解凍したバルク溶液の量は、中間体溶液のアッセイを基準に算出する。この算出は、通常、(1)生物学的アッセイの大きなバラツキ、および(2)その後の無菌充填および凍結乾燥プロセスでの収率ロスのために、大きな安全マージンを考慮する。収率ロスは、この最初の凍結、保存および解凍工程、ならびにその後の第2の充填、凍結および乾燥工程の間のプロダクトのストレスのためである。この算出は、当然ながら非常に困難であり、全プロセスの経験的な知識に影響を受ける。
【0004】
(図1に示すような)これまでの既知の方法に基づくと、最終精製工程に活性剤溶液をアッセイし、その後、確認した個々のロット(いくつかの袋からなる)を凍結し、その後に使用するために保存または輸送する。その後、凍結した配合物を解凍し、溶液にし、その後、濾過してバルクコンテナに入れる。バルクコンテナをプロダクトラインに配置し、バルクコンテナ内の液体プロダクトを例えば個々のバイアルに算出量を充填する。充填前に、通常バイアルを洗浄して滅菌する。充填した(即ち、満たした)バイアルを次に搬送テーブルに配置し、凍結乾燥機に入れ、適当な凍結プロセスで凍結し、適当な乾燥プロセスで乾燥し、乾燥プロセスから搬送テーブルに取り出し、キャッピングラインに搬送して、そこでシールする。
【0005】
従来の方法は、幾つかの特許および刊行物に記載されている優れた方法および技術の付加である。「フリーズ・ドライイング(Freeze Drying)」(G.W. Oetjen, Wiley- VCH, 1999, pages 127-195)のような新しい文献は、非常に正確で詳細な現在の技術状態を記載している。
【0006】
米国特許第2,441,730号は、シェルフリーザーおよび凍結状態からプロダクトを乾燥するドライヤーを開示する。シェルフリーザーにおいて、軸方向に回転するバイアルの内壁にプロダクトを凍結させる。米国特許第3,281,954号は、溶液としてトレイに充填するバルク物質に用いる凍結乾燥機を開示する。これらのトレイは、温度制御されるシェルに配置され、低温で凍結される。凍結したプロダクトを凍結乾燥し、コンテナに取り出す。
【0007】
米国特許第3,397,462号は、水相を含む物質を凍結乾燥する装置を開示する。この特許は、滅菌溶液を含むコンテナ、バイアルまたはアンプルを含む、ハーメチックシール可能なセルローダーを開示する。このセルローダーは、予備凍結およびその後の凍結プロダクトの凍結乾燥機への無菌搬送に使用できる。
【0008】
ヨーロッパ特許第429348号は、植物を凍結乾燥するために用いるような、小さいボトルの装填装置を開示する。ボトルを集めて振動テーブル上で保存し、機械は、振動テーブルトレイにボトルを移す。凍結乾燥機への装填デバイスを用いて充填コンテナを搬送する方法がクレームされている。
【0009】
ヨーロッパ特許第219520号は、平らなプレートまたはトレイを例えば凍結乾燥チャンバーのような処理チャンバーの水平シェルフに搬送する工業的規模の機械的操作トラックを開示する。
【0010】
典型的な従来技術の方法のブロックダイヤグラムを図1に示す。図示するように、凍結乾燥方法は、温度制御される壁を有さない、標準的な凍結乾燥チャンバーで通常凍結乾燥を実施する。残念ながら、このような乾燥機は、乾燥機チャンバーに配置されたバイアルに対して不均一な熱移動をもたらす。特に、縁に配置されたバイアルは、チャンバーの壁と重ねたプレート/シェルフとの間のギャップにおける自然対流および輻射熱交換のために、プレートの中央に配置されたバイアルより激しくエネルギー交換する。この不均一なエネルギー分布によって縁のバイアルと中央のバイアルとの間で凍結・乾燥動力学のムラをもたらし、それぞれのバイアルの活性成分の活性にムラをもたらし得る。最終プロダクトの均一性を確保するために、実験室規模および工業的規模の双方で広範囲に開発して確認する検討が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、上述の欠点を回避する方法の必要性が長く望まれている。本発明はその必要性を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、今回、バルク溶液の細かい滴を凍結して凍結ペレットを形成し、凍結ペレットを凍結乾燥し、必要であれば均一化(又は均質化)し、アッセイ(分析、測定又は検査)し、最終コンテナに充填し;全てを無菌条件下で実施する方法を提供する。場合により、凍結乾燥ペレットは、均一化および/またはアッセイの前または後で、保管(又は保存)してよい。
【0013】
従って、本発明の方法は、四つの工程:1.凍結ペレットの形成、2.そのペレットの凍結乾燥、3.凍結ペレットの保存、均一化およびアッセイ、4.そのペレットの分析結果に基づく最終コンテナへのペレットの充填と、それによる過充填の排除に基づく(図4)。全ての工程を無菌状態で実施する。
【0014】
凍結ペレットを製造できる当業者に既知の多くの方法がある。
米国特許第3,162,019号は、溶液の凝固点より低い沸点を有する低温液体中に液体配合物を滴下することによってペレットを製造する方法を開示する。その後、凍結ペレットを分離手段によって冷却液体から分離し、昇華乾燥機に移す。
【0015】
米国特許第4,077,227号は、同じ極性の電荷を各々の滴に誘起するために、十分な強さの電界を滴を付す製造手法を開示する。これらの帯電した滴は、低温液体の表面に導かれ、そこで、瞬間的に浮かびながら、固体凍結状態に変わる。この間、同じ極性の電荷は、凝集を抑制し、その結果、各々の滴は個々のペレットとして沈む。
【0016】
ヨーロッパ特許第0284 837号(米国特許第4,829,837号)は、狭い粒子サイズ分布を有する凍結ペレットの製造方法を開示する。滴は、金属プレートの位置が変わると、2つの穴の開口領域が変わるように配置できる二枚の穴あき金属プレートによって形成さる。穴の出口は、ほとんど均一な滴のサイズ分布を形成するように特別に設計されている。これらの滴は低温流体に滴下され、そこで、固体凍結状態に変えられる。
【0017】
ドイツ国特許第40 07 164号は、あるサイズ分布の滴を形成する二流体ノズルを用いて凍結した流動性粒子を製造する方法を開示する。これらの滴は低温流体の表面に導かれる。プロペラント(又は推進)ガスおよび/または液体溶液/メルトの圧力を変えることによって、滴のサイズ分布を広い範囲にわたって変えることができ、その結果、極めて細かい凍結粉末の製造が可能になる。
【0018】
ドイツ国特許第31 05 623号/英国特許第1,559,920号は、チャンバーの頂部に配置されたノズルによって製造される液体窒素の流れに導かれる滴の製造に遠心力を利用したアトマイザーを用いる方法を開示する。液体窒素と並流で落下する滴は、落下時間の間に凍結状態に変わり、更に真空チャンバーに移すために、チャンバーの底部で凍結ペレットとして集められる。
【0019】
ドイツ国特許第26 59 546号は、沸騰液体冷却剤の流れに滴を並流で噴霧することによって凍結した滴を形成する方法を開示する。滴のサイズを、噴霧溶液の粘度および/または注入圧力ならびにノズルの直径を変えることによって制御することができる。凍結した滴を噴霧塔の底部でコンベヤーによって集めて、連続動作凍結乾燥機に凍結粒子を運ぶ。
【0020】
ドイツ国特許第197 50 679号は、例えば液体窒素のような液体ガスの注入によって操作する噴霧塔で、凍結した滴を形成する幾つかの方法を開示する。並流または向流の冷却ガスストリームによって落下する間に滴スプレーは固体凍結状態に変わり、噴霧塔の底部で集められる。
【0021】
米国特許第5 230 162号(Oyler, 1993)は、大気圧で冷却空気を用いて第1スプレーチャンバーでスプレー滴を形成する方法を開示する。滴はその落下時間の間に凍結状態に変わり、真空封止を介して凍結乾燥機として作用する第2真空チャンバー内に計量される。
【0022】
ヨーロッパ特許第0 742 888号(米国特許第5,737,333号)は、真空噴霧塔でスプレーを形成する方法を開示する。過冷却挙動を考慮して溶液を適当な温度に予冷する。更に、液滴の冷却を真空チャンバー中で昇華冷却によって推し進める。最終滴温度は、噴霧チャンバー内の真空圧力とその真空圧力における滴の溶媒内容物の昇華/沸騰温度によって決められる。真空圧力は、最終滴温度が溶媒の凝固点よりある程度低いように選択する必要がある。凍結した滴は、チャンバー底部で収集表面上に集められ、その場の真空によって凍結乾燥される。収集表面の温度は、再融解を防止する温度に制御される。
【0023】
英国特許第1 196 299号(Nestle, 1966, 1970)は、真空チャンバー、チャンバー内の凍結粒状物質用サポート、サポートを振動する手段、含まれる揮発性固体を昇華させる、凍結物質を加熱するための少なくとも1つの加熱デバイス、チャンバーから昇華した蒸気を除去するための少なくとも1つの蒸気出口、及び凍結物質から除去された微粒子を保持するための少なくとも1つのフィルターを含んで成る粒状材料用連続運転凍結乾燥機を開示する。このフィルターは、サポートと蒸気出口との間でチャンバー内に配置される。凍結粒状物質用のトレイとして機能するサポートにヒーターは一体化される。
【0024】
ドイツ国特許公開第26 25 658号は、相互に重なった幾つかのプレートを有するチャンバーを有して成る粒状物質用凍結乾燥機を開示する。プロダクトは、頂部から底部プレートへ移動する。各々のプレートの面積は、頂部から底部に向かってある量で大きくなる。粒状物質用表面は、頂部から底部に向かって連続的に直径が変わる螺旋形として設計することもできる。頂部の直径は最も小さく、螺旋形の底部の直径は最も大きい。これらの変化する直径は、乾燥機の各レベルでの蒸気発生のためである。粒状物質の表面にわたる圧力勾配を避けるために、全てのプレートの間のギャップと直径を適用させることによって、蒸気の流れのための圧力降下を最小限にする。
【0025】
フランス国特許第2093123号は、凍結粒状物質の深さを変わるようにプラットフォームのアレンジメントを有する凍結乾燥チャンバーを開示し、比較的厚い粒の床の下方部分から真空チャンバー壁への、急激な蒸気の発生による粒のはねを最小限にする。
【0026】
ドイツ国特許第3105623号は、真空気密性計量供給デバイスによって凍結粒子製造用チャンバーと接続した凍結乾燥機、および凍結粒子物質製造方法を開示する。連続的に操作する凍結乾燥機は、凍結昇華粒状物質を搬送する加熱コンベヤーおよび蒸気を凝縮する低温コンデンサから成る。
【0027】
ソ連国特許第901782号 は、熱移動を強化するために電気要素を含むフィン付きロッドと形成された熱伝導要素を有するトレイ型昇華凍結乾燥機を開示する。プロダクトの粒子が動いている状態を保つためにトレイは振動する。
【0028】
米国特許第5,230,162号(Oyler, 1993)も、凍結−ペレット化に関し、細かい噴霧滴の凍結プロセス用に冷ガスを用いて第1チャンバー内でスプレーを凍結する噴霧凍結乾燥方法を開示する。加熱壁を有する第2真空チャンバー内に真空封止によって凍結粒状物質を計量供給する。細かい分配した凍結粉末は、加熱壁と凍結粉末との間の輻射熱交換のために昇華し、カラムの底部に向かって落下する間、完全に乾燥する必要がある。乾燥粉末は、第2真空封止を介して塔を離れて真空コンテナ内に入る。
【0029】
ドイツ国特許第1952381号は、凍結粒子を暖めるために加熱して、それから水分を蒸発させる、反転状態で垂直方向に離間し、横断方向で交互に下向きに傾斜して対向するように配置されたカスケード要素を有する真空チャンバーを有する凍結乾燥機を開示する。この要素は、それらが蒸気抽出チャンネルと粒状物が層状に堆積する支持要素を形成するように離間し、層はこの要素にわたって連続的または間欠的に動く。
【0030】
米国特許第3648379号は、コンベヤーの表面に分配された溶液を凍結するように、−40℃に冷却されたコンベヤーから成る、コーヒーを凍結乾燥するために特に設計された凍結乾燥機を開示する。凍結溶液を粗く破壊し、その後、要求される粒子サイズ分布に粉砕する。粒子を振動させその表面を露出させるために共振周波数で長手方向に振動する多数の水平コンベヤーを含む凍結乾燥チャンバー内にベーパー・ロック(vapor lock)を介して粒子を入れる。
【0031】
米国特許第4,608,764号は、流動床内における凍結乾燥方法を開示する。粒子の凍結状態を維持するために、粒状物質を冷ガスによって流動化する。ガス温度より低い露点温度を有する乾燥ガスを用いて、凍結材料を凍結水分昇華することができる。
【0032】
国際公開第01/63191号(米国特許第6,584,782号)は、互いに接続された1組の流動床乾燥機を用いて操作する凍結乾燥法を開示する。凍結流体に同伴する微粒子を捕捉するためにフィルターバッグが、各流動床チャンバーに設けられている。第1の流動床チャンバーは、凍結粒子となるように凍結するのに適切な温度の流体中に滴を噴霧することによって凍結粒子/粒体(particle/granule)を製造する。その後、これらの粒子は、次の流動床チャンバーで凍結乾燥によって乾燥する。この凍結乾燥のために、処理チャンバー内における凍結乾燥中の少なくとも実質的な間、粒子の少なくとも実質的な部分がフィルターと接触するように、冷却した(コンディショニングした)処理ガスを底部から頂部に向かって処理チャンバーとフィルターとを通るように導入する。粒子と冷却ガスとの間の大きい熱移動のために、この方法によって極めて迅速に粒子のバッチの乾燥が可能となる。
【0033】
ドイツ国特許19654134号(米国特許第3,613,839号)は、ゆっくり回転するドラム内で生物的物質に用いる凍結乾燥機を開示する。乾燥チャンバーの内壁が加熱され、ゆっくり回転する。昇華によって放出される蒸気は取り出される。この方法は、凍結粒体又はペレットに適する。
【0034】
本発明は、以下の点で有利である:
(1)生物薬剤プロダクトのための生物学的アッセイにおいて大きなばらつき(通常>±10%)によって生じる不確実性のために予め必要とされる最終プロダクトの過剰充填の必要性を除去する。
(2)プロダクト収率を向上させて、凍結乾燥処理の均質性を改善する。
(3)ユーザーが規定する活性成分含量で最終コンテナを充填することを可能とする。
(4)最終コンテナ(バイアル)当たり活性成分の任意の量に対して唯一の単一の配合物を調製するように、配合処理を減ずる。
(5)多目的の薬剤を作るために、各最終コンテナ(バイアル)に、種々の量の複数の異なる乾燥活性成分を充填することを可能にする。
(6)下記要素に基づいて、均質な乾燥プロダクトを提供する:
−凍結乾燥法は、バッチプロセスでも連続プロセスでも行うことができる。
−方法は、バイアル中で凍結乾燥ケーキの代わりにペレットを用いる。
−狭い粒子サイズ分布を有するペレットを均一な処理条件下凍結し、その結果、各ペレットは同じ凍結及び乾燥温度条件に付され、各ペレット内部において、また、全てのペレットにわたり均質な微細構造(マイクロストラクチャー)を生ずる。
−均質なペレットを均質な乾燥条件を与える凍結乾燥機で乾燥し、それによって、乾燥チャンバー内における不均質な分圧およびエッジ効果を避ける。
−プロダクトマトリックス中の均質な凍結及び乾燥条件によって(ペレットはバイアルケーキと比較して極めて小さなディメンションを有する)、プロダクトへの損傷を最小限にする。
(7)凍結乾燥ペレットをコンテナに充填し、もし必要であれば、または望ましければ、コンテナに充填される量の均一性および内容物の均一な濃度(または稠度)を与えるために、穏やかな混合処理によって均質化してよい。
(8)最終ペレットの生物活性が既知であるので、従来技術における生物アッセイの不確実性によって生ずるプロダクトの過充填を防止できる。
(9)既知のアッセイおよび凍結乾燥ペレットの均質性のために、これまで必要とされた誤差のマージンは、最終コンテナ(バイアル)当たりの活性成分の十分な容量を確保するためにはもはや必要ではない。
(10)凍結乾燥ペレット安定性のために、各バイアルに種々の乾燥薬剤の組み合わせを提供することができ、その結果、多目的の薬剤/医薬/ワクチンを得ることができる。
(11)凍結乾燥ペレットの製造は、充填およびキャッピング工程とは完全に異存しないようにできる。
(12)充填工程は、液体充填システムの精度と同等の精度を有する粉体充填技術に基づく。
【0035】
凍結ペレットの形成は、上述の技術のような既知のいずれの技術によって実施してもよく、例えば「Kryogen Rapid Pelletizer」(Messer-Griesheeim, Germany)および「CRYOGENIC PELLETIZER」(IQFCRYOGRAN, Canada)のようなバッチ操作または連続操作装置をを用いるのが好ましい。後の凍結乾燥工程のために、凍結ペレットは500μm<
50<1500μm、好ましくは1000μmの範囲の狭い粒子サイズ分布を有する必要がある。分離の後、凍結ペレットを無菌の低温条件下で凍結乾燥機に搬送することができる。次に、ペレットを乾燥チャンバーの内部の保持面に分配する。保持面における分配は、例えばバイブレータのような分配デバイスを用いて実施し、均質なペレット層を形成する。
【0036】
均質な乾燥条件を形成するために、熱源とペレットとの間の熱交換を一様にする必要がある。温度制御した壁によってエッジ効果を防止できる。昇華乾燥は、基本的には、上述のもののようなペレットに対して適当ないずれの種類の凍結乾燥機においても使用できる。昇華蒸気の流れのための空間、制御された壁温および乾燥チャンバーとコンデンサとの間の適当な断面領域を有する凍結乾燥機が好ましい。これまでの既知の乾燥機は、いずれも上述の特性の組み合わせを完全に提供するものではない。従って、本発明は、上述の要求の全てを満足するデザインにも関する。図6は、本発明に基づいて一体化したKryopelletizer(低温ペレタイザー)およびFreeze Dryer(凍結乾燥機)の要素を図示している。
【0037】
図6において、
1)は、バルク溶液用のポンプである;
2)は、低温ペレット化すべき溶液の温度制御用の熱交換器である;
3)は、均一な滴を形成するための周波数制御可能滴製造機である(製造速度に応じて単一または複数のノズルで操作できる。滴のサイズは、一次的にはノズルの直径に異存する);
4)は、降下する滴の冷却および凍結のために適当な滞留時間をもたらすのに十分に長い断熱されたトンネルである;
5)は、ガス充填領域から低温液体を分離するシリンダーである;
6)は、沸騰低温液体から発生する低温ガス用の開口部である(これによってガスは降下する滴に対して部分的に向流で流れ、また、流れ抵抗のために乾燥チャンバーに部分的に流入する);
7)は、低温液体を有し、低温ガス流を連続的に発生させるための熱交換器を有する沸騰チャンバーである;
8)は、乾燥チャンバーへのガスの流れを制御するバルブである。
9)は、凍結ペレットを供給するトンネルである;
10)は、壁温を制御できる乾燥チャンバーである;
11)は、ペレット保持面に凍結ペレットを導くガイドである;
12)は、単一または複数のペレット保持体(キャリヤ)用のフィーダーチャンネルである;
13)は、単一または複数のペレット保持体である;
14)は、ペレット保持体に熱を輻射する加熱プレートである;
15)は、乾燥チャンバーを振動するためのバイブレータである;
16)は、低温液体用の貯蔵コンテナである;
17)は、低温液体用の無菌フィルターである;
18)は、凍結トンネルから低温流体タンクを隔離するバルブである;
19)は、乾燥チャンバーとコンデンサとの間のフレキシブル接続部である;
20)は、コールドトラップである;
21)は、凍結乾燥機およびコンデンサからの真空ポンプの接続/解接続用のバルブである;
22)は、真空ポンプである:
23)は、低音保持装置である;
24)は、ペレット保持体をおろすチャンネルである;
25)は、貯蔵コンテナに供給するチャンネルである;
26)は、貯蔵コンテナと供給チャンネルとの間の無菌接続部である;
27)は、貯蔵コンテナである;
28)は、凍結乾燥ペレットをチャンネルに導くガイドである;
29)は、断熱ハウジングである;
30)は、貯蔵コンテナ(27)から取り出す無菌接続ステーションである;
31)は、凍結および乾燥設備を含む断熱体である。
【0038】
図示するように、最終バルク溶液は、バルクコンテナ(図示せず)からポンプ(1)によって、あるいは圧力によって周波数制御滴製造装置(3)に投入される。この溶液は、熱交換器(2)によって、過冷却温度より高い、プロダクトによって決まる温度まで冷却される。滴製造装置(3)は、先に説明したように、単一のノズルまたは複数のノズルを有してよい。ノズルの数は、設計する製造速度によって決まる。滴は、シリンダー(5)から上向きに流れる低温ガスに対して向流で凍結トンネル(4)中を降下する。この低温ガスは、冷たい低温ガスを安定的に発生する熱源が組み込まれた沸騰チャンバー(7)において発生する。この冷ガス、例えば約−180℃で生成する液体窒素を使用して、降下する滴を冷却して凍結すると共に、乾燥チャンバー(10)およびペレット保持面を冷却する。バルブ(8)は、低温ペレット化プロセスが始まる前に、乾燥チャンバー(10)へのガス流を制御する。全てのペレット保持面(13)がペレットの凝固点より低い必要な温度となると、低温ペレット化プロセスを開始できる。バルブ(21)を閉じて、乾燥チャンバー(10)を流れる冷ガスの流れを止める。バルブ(8)を完全に開いて降下する凍結滴をフィードトンネルを通過させる。各ペレット保持面(13)の入口に位置するガイド(11)を開くと、降下する凍結滴がフィードチャンネルを通ってペレット保持体に流れ落ちる。保持体にわたってペレットを広げるために、短い時間間隔でバイブレータ(15)によって乾燥チャンネル全体を振動させる。別の態様として、ペレット支持体(13)のみを組み込んだ振動システム(図示せず)によって振動させる。そのインターバルは、プロダクトに依存し、また、ペレットの機械的安定性によって制限される。全てのペレット保持面(13)に充填した後、熱処理を開始できる。熱源(14)ならびにバルブ(8)による低温ガスによる対応の冷却および対応する壁の冷却によって、ペレットの層をいずれかの適当な温度/時間プログラムで処理できる。熱処理の後、凍結乾燥プロセスを開始できる。バルブ(8)を閉じる。コンデンサ(20)を設計温度まで下げる。バルブ(21)を開き、真空ポンプ(22)により蒸発プロセスを開始する。熱源(14)により温度/時間プログラムを始め、壁温をペレット温度に対応する温度に調節する。ペレットの機械的安定性に応じて、ペレット保持体をある間隔(または距離)で振動させる。ペレットが機械的に非常に不安定である場合、振動の間隔(または距離)を最小限にする必要がある。振動するペレット保持体(13)/乾燥チャンバー(10)をコンデンサ(20)から切り離すために、フレキシブルチューブ(19)が乾燥チャンバー(10)およびコンデンサ(20)を接続する。昇華サイクルが終了した後、ペレットを取り出す。無菌コンテナを無菌バルブ(26)に接続する。振動によってペレットが凍結乾燥機の中央付近に移動する。(プロダクトに応じて)堰(28)が各層内に下向きに次々と移動し、または全部が同時に移動し、動いているペレットを取り出しチャンネル(24)にガイドし、その後、貯蔵コンテナ(27)に供給するチャンネルにガイドする。その後、貯蔵コンテナ(27)をアイソレータに移す。統計的に適当な数のサンプルを貯蔵コンテナから取り出し、アッセイを実施する。貯蔵コンテナ(27)を無菌コンテナに入れた後、搬送して貯蔵する。各貯蔵コンテナ(27)の内容物のアッセイの後、全ての必要な特性、例えば活性成分含量が分かる。ユーザーが決めた量のペレットの最終コンテナへの充填プロセスを次に始めることができる。貯蔵コンテナ(27)を隔離した充填ラインに送り、無菌接続ステーションにて接続する。コンテナの内容物をアイソレータの内側で充填機の貯槽に移す。非常に低い過冷却温度および/または問題のある凍結動力学を有するバルク溶液の場合、別のペレット凍結を用いる(図6に図示せず)。この場合、滴を低温液体を有するコンテナ内に降下させ、完全な凍結状態に達するまで十分時間そこで滞留させる。凍結トンネル(4)の端における滴の深部温度および通常は凍結している滴の表面のために、低温液体中における凝集は最小限となる。ペレットサイズ分布は、殆ど変化しないままである。この技術の原理は先に説明した。有用な装置は適当な製造者から入手できる。隔離した後、凍結ペレットを適当なコンベア(例えば振動シュート)によってフィードチャンネル(9)に投入する。
【0039】
従来の方法と本発明の方法との間の相違点を図2に示す。従来の方法に対する新規なSFD−SAF法の比較によって、図3に示す工程を避けることができることが分かる。
【0040】
新規な方法の特別な利点は次のようなものである:(1)自動投入および取りだしシステム(Automatic Loading and Unloading (AUU)システム)を必要としないこと、(2)1つのバルク化工程のみ必要であること、(3)別の時期および場所で充填およびキャッピングを実施できる、より融通性に富むこと。
【0041】
本発明は、ペレット系プロダクトとしての非経口生物薬剤の製造に特に有用である。
【0042】
図4は、そのような方法を模式的に示す。凍結ペレットの形成、乾燥および貯蔵コンテナ内で得られる粒状物質の充填は、無菌状態で実施する必要がある。
【0043】
図5は、本発明の方法の1つの態様を示し、ここでは、凍結ペレットを凍結トンネルで形成する。
【0044】
図5に示す方法では、溶液の温度を過冷却温度より高い温度に下げる。既知の周波数補助ノズルを用いて滴を形成する。凍結粒子の好ましいサイズは、500μm〜1500μmである。液滴は、低温ガスの向流流れで降下する間に凍結状態に変わる。外部に設けたタンクからの低温ガス、好ましくは液体窒素は無菌濾過され、安定した沸騰工程のために加熱要素を有するタンクに配置され、降下する滴に対して向流で冷ガスの十分かつ定常な流れをもたらす。凍結トンネルの端にて、凍結粒子は、短い時間間隔で連続的または間欠的に振動する乾燥機の冷却面に落下する。この振動は、凍結粒子を冷却面全体にわたって広げるために用い、均一な粒子層を形成する。また、この振動は、冷却面の中央付近における粒子の連続的な運動のために使用する。凍結層の冷却温度は、温度制御プレートまたは冷却ガスによって調節され、その結果、凍結粒子の部分的溶融が避けられる。
【0045】
乾燥機は、そのような層のための1つの温度制御された面または図6に示すように複数の温度制御プレートを有する。また、乾燥機は、1つのコンベアまたは複数のコンベア(図示せず)を有するコンベア乾燥機として設計できる。そのような乾燥機は、例えばGEA NIRO ATLASから入手できる。
【0046】
使用する乾燥機は、バイアル用に従来から使用されているようなチャンバー乾燥機であってもよい。この場合、プロダクト保持体は、乾燥機の外部で充填され、その後、温度制御シェルフの間に配置されるトレイであり、従って、トレイと温度制御シェルフとの間で直接的な接触は生じない。昇華に必要な熱は、輻射のみによって提供されるのが好ましい。
【0047】
凍結ペレットによってプロダクト保持体を充填した後、いずれのタイプの熱処理(例えば晶析バルク化剤のためのアニールプロセス)も実施できる。この処理の後、フィードコンテナと凍結乾燥装置との間の無菌接続部を閉止して、閉鎖した乾燥チャンバーを真空にして昇華を開始できる。
【0048】
改善されたプロダクト層の熱移動および混合のために、プロダクト保持面の連続的な振動が好ましい。しかしながら、これは、ペレットの機械的安定性に依存する。この振動工程は、摩擦の影響によって微細物を発生させ得る。この機構によって望ましくない量の微細物の生成が特定のプロダクトに予想される場合、微細物の発生を最小限にするために、短時間のインターバルで振動を用いる必要がある。この場合、振動は、充填および取り出しの間、主として層の分配および均一化に寄与する。
【0049】
粒状プロダクト層の均一な乾燥のために、全てのエネルギー伝達領域は、その領域にわたって限られた温度差で温度制御する必要がある。この温度差は、±1.5℃の範囲内である必要がある。乾燥チャンバー内で最小限の圧力差とするために、例えば粒子の流動化に応じて、蒸気の流速は比較的低いレベルに制限する必要がある。このことは、全ての蒸気流のダクトは、適当な断面積である必要があることを意味する。同様のことが、乾燥チャンバーとコンデンサとの間の蒸気ダクトの断面にも当て嵌まる。長い乾燥機、例えばコンベア乾燥機の場合、乾燥チャンバーとコンデンサとの間で複数の蒸気ダクトが必要である。
【0050】
エッジ効果を最小限にするために、熱移動に関して別の推進力が存在しないように壁温を制御する。
【0051】
所望の範囲の粒子サイズ直径を有する凍結ペレットを製造する第2番目の可能性は、凍結トンネル(図5および図6)で、もう1つの既知の方法、例えばドイツ国特許第3711169号(米国特許第4,829,783号)のような幾つかの特許に開示されている方法で、ペレットを外部で/別に製造する方法である。この場合、凍結ペレットは、冷却ペレットコンテナへの無菌接続部を有する冷却投入チャンネルに冷却チェーンで搬送される。次に、凍結ペレットは、計量供給デバイスによって計量されて1またはそれ以上のプロダクト保持面(トレイ)に供給される。
【0052】
図6に示す態様では、乾燥プロダクトは、穏やかな振動によって1またはそれ以上のトレイにわたって運動し、堰によって取り出しチャンネルに導かれる。乾燥プロダクト用のコンテナは、無菌接続部を介して乾燥機の取り出しチャンネルに接続される。
【0053】
乾燥ペレットを有するコンテナは、要すれば、穏やかな混合および回転によって均質化してよく、その後、保存してアッセイする。
【0054】
この方法によって、非常に正確な情報、例えば質量、密度、活性成分含量および他の重要な最終プロダクトの性質をコンテナの内容物について得ることができる。この情報は、非常に正確な活性を有する最終プロダクトの販売に使用できる。
【0055】
乾燥ペレット化プロダクトの最終コンテナへの充填の最終工程は、既知の機械、例えばFa. Bausch +Stroebel、Bosch、Harro Hoefligerまたは他から入手できるものを使用して実施できる。
【0056】
本発明の方法は、敏感な生物活性を有する合成物、例えばワクチン、酵素および種々のタンパク質の配合に特に有用である。
【0057】
この方法によって得られる非常に均一なバルクペレットプロダクトのために、意図する内容物に関して、コンテナの過充填を10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下、最も好ましくは0%に減らすことができる。これは、勿論、最終コンテナに用いる充填方法/機械に影響を受ける。充填方法の機械の違いを補償するために必要な過充填はまだ考慮する必要がある。
【0058】
目的とする内容物に関して、10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下の誤差マージンで(即ち、過充填で)無菌凍結乾燥したペレットを無菌充填したコンテナ、好ましくはバイアルも本発明の対象である。
【0059】
また、このバイアルは、それぞれ薬学的または生物学的に活性な複数の成分を、それぞれ薬学的または生物学的に活性な複数の(例えば種々に乾燥された)成分の薬剤ペレットを含む配合物を充填することができる。凍結乾燥したペレットの安定性のために、異なって乾燥した薬剤の混合物を各バイアルに充填して、多目的薬剤/薬品/ワクチンを得ることができる。
【実施例】
【0060】
実施例1:
凍結ペレットの製造
図7および図8は、バイアルにおけるペレットの凍結乾燥と従来の凍結乾燥との相違を示す。図7に示すペレットは、500μm〜1500μmの範囲である。図8に示すバイアルは、6mlバイアルである。ペレットは、液体配合物の滴を液体窒素内に滴下することにより調製した。液体窒素を撹拌したが、凝集を完全に回避できた。しかしながら、図7のペレットと図8の凍結バイアルの内容物との間における作用物質(力値)−含量(log値で測定)の均一性の相違は明らかである。バイアル内で凍結したプロダクトの力値のバラツキは、凍結ペレット(図9)の非常にわずかなバラツキより遙かに大きい。冷却速度に対する影響に関して平均力値を比較すると、冷却速度の影響が大きいことが分かる。図10に示すように、力値は、凍結速度を増やすと向上する。
【0061】
Mini-GT凍結乾燥機(図13)を用いて種々の凍結乾燥方法(従来のバイアルにおける凍結乾燥方法vs.ペレット凍結乾燥)の比較を実施した。この凍結乾燥機は、制御可能な凍結乾燥条件を提供する。温度制御壁が備えられ、エッジ効果を防止する。非常に迅速に作動するバルブによって、Barometric Temperature Measurement(BTM-測定、圧力による温度測定)が可能となり、乾燥方法を観察できる。ペレット凍結乾燥のために、良好な熱伝導をもたらすサイズに仕上げた平坦な底部を有するアルミニウムシェルを使用した。層の高さは、10mmであった。図11および図12は、2つの方法の異なる挙動を示す。バイアル方法は、BTM-測定の間、主乾燥期間の初めにより大きい圧力上昇を示し、このことは、昇華表面におけるより高いプロダクト温度を意味し、他方、ペレット凍結乾燥法は、非常に短い時間インターバル(4〜6秒)の間乾燥チャンバーを閉じた時、小さい圧力上昇を示すに過ぎない。このことは、系の圧力によって決まる小さい温度差を意味するに過ぎない。
【0062】
本実施例は、ペレット凍結乾燥が穏やかなプロセスではあるが、この場合では、異なる凍結乾燥方法は力値に影響を与えなかったことを示す。全体としての収率の増加は、凍結方法の向上によって達成された。
【0063】
実施例2:
ペレット凍結乾燥方法と従来のバイアルに基づく凍結乾燥方法との間の1つの重要な相違点は、充填プロセスに存する。固体の流れ特性が種々の特性によって影響を受けるために、固体のコンテナへの充填は、一般的に困難なプロセスである。更に、充填プロセスに使用する計量供給デバイスで計量供給する間、粒子の相互作用によって生じる静電気のために、しばしば問題が生じる。本発明の機械的に安定なペレットを充填することは、困難性は一般的に用いる粉末充填プロセスより少ない。安定なペレットの流動性は、粉末の流動性より良好なオーダーである。
【0064】
本発明の方法の正確性を例証するために、2つの異なる固体物質充填システムを用いて一連のテストを実施した。これらは、双方ともBausch & Stroebelから入手できる。一方のシステムにおいて、スクリューコンベアを用い、他方のシステムにおいて振動シュートを使用した。双方のシステムを無菌条件下で操作した。
【0065】
統計的に意味のある結果を示す4つのテストを実施した:各テストは、少なくとも200の連続充填操作から成った。3種の異なるサイズを使用した:微細粒(〜500μm)、粗粒(〜1000−2000μm)およびこれらの混合物。目標投入量は100mgであり、ある場合には50mgであった。使用したコンテナは20mlバイアルであった。
【0066】
イオン発生器によって静電気に対して保護した振動シュートは、いずれの場合においても、優秀な精度で作動した。最大偏差(目標である100mg/50mgの過充填)は2mgであった。充填頻度は、約5〜6秒/バイアルであった。
【0067】
結果:
凍結乾燥物質は非常に小さい残留水分含量を有するだけであるので、物質を搬送して充填する場合に静電気の影響による問題が生じる。スクリューコンベアによって生じる静電気は、例えば、粒子がバイアルに落下する性能を阻害した。空気のイオン化はそれほどの改善をもたらさなかった。
【0068】
また、静電気は、特に微細な物質を用いる場合、振動シュートによっても観察された。しかしながら、この場合、静電気は、スクリューコンベアを使用する場合よりも小さく、空気のイオン化によって易流動性物質となった。更に、スクリューコンベアと比較して、振動シュートは、イオン発生器を粒子の表面近傍に配置できるという利点があった。
【0069】
4つのテスト(粗物質、微細物質、100mgの投入量の混合物質、50mgの投入量の微細物質)において、図14〜18に示すように、振動シュートを用いて優秀な結果が得られた。
【0070】
振動シュートは、2つの搬送スピードを有した:全投入量の約90〜95%を投入する速いスピード、および残りを高精度で投入する遅いスピード。100mgの投入量の時間間隔は、高速搬送スピードでは約4秒であり、低速搬送スピードでは約2秒であった。従って、全体で100mgを投入するには、約6秒要した。時間間隔の長さはおよび振動頻度は、投入すべきプロダクトの流動性に基づいて選択する。
【0071】
投入に用いる原理は重力であった。従って、投入誤差は、2つの要素から成る:秤量器の誤差(±1mg)、および投入の誤差(これも±1mg)。投入の誤差は、例えば振動を停止した後にシュートからこぼれ続ける傾向の程度から生じるので、物質の性質に依存する。使用した粒子は、この点に関して理想的な挙動を示した。従って、最大誤差は、±2mgであった。振動シュートの制御によって少なくとも最小限の投入量を確保するので、粒子が非常に大きく、投入インターバルの最後にてシュートから落下する場合、相当の過充填が時には生じ得る。上述の試験では、非常に稀に充填における誤差が観察された。更に、過剰または過小充填したバイアルが充填ラインから自動的に排除できるように、誤差をモニターできる。従って、最小限の充填を確保するために、本発明の方法を用いる場合、それほどの過充填をする必要はない。秤量器の誤差がある場合には、それを過充填によって補償する必要がある。
【0072】
広いサイズ分布の影響をテストするために、微細な物質と粗い物質を混合することによって、二峰サイズ分布を得た。粒子をシュートに搬送する堰において小さな閉塞物(または障害物、blockade)を物質が形成するので、二峰性は時々問題を引き起こした。振動シュートの内蔵コントローラは、規格外の閉塞物を補償することができた。しかしながら、そのような閉塞物に関して、過小充填が生じるのを防止できなかった。サイズ分布が「標準的な」広がり(normal spread)を有するほぼ一峰性の粒子は、そのような閉塞物を回避するのを助けることができる。
【0073】
表6.1:投入試験の結果

*: コントローラによる閉塞物の修正を含む
**:閉塞物の誤差を含まない
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、常套の従来技術の無菌充填・凍結プロセス(Sterile Filling and Freezing process:SFF法)を説明する。
【図2】図2は、本発明の好ましい態様のブロック図である。
【図3】図3は、本発明の方法によって避けられる常套の従来技術のプロセスの工程を説明する。
【図4】図4は、無菌凍結乾燥−保存・アッセイ・充填プロセス(Sterile Freezing and Drying-Storing, Assaying and Filling Process:SFD−SAF)の概略図である。
【図5】図5は、凍結トンネルで凍結ペレットを形成する本発明の態様のフローチャートである。
【図6】図6は、温度制御プレートを含む、図5に示す乾燥機の詳細を説明する。
【図7】図7は、本発明の方法によって製造されるプロダクトの写真である。
【図8】図8は、プロダクトをバイアル中で凍結乾燥する、常套の先行技術によって製造されたプロダクトの写真である。
【図9】図9は、凍結工程に依存する収率の増加を示す。
【図10】図10は、凍結プロセス(バイアル対ペレットプロセス)に依存する活性成分の均一性を示す。
【図11】図11は、ワクチンのバイアル凍結乾燥のサイクルを示す。
【図12】図12は、ワクチンのペレット凍結乾燥のサイクルを示す。
【図13】図13は、本発明の方法を常套の先行技術の方法と比較するために使用するミニ凍結乾燥機の模式図である。
【図14】図14は、振動シュート投入機の写真である。
【図15】図15は、スクリューコンベヤー投入機の写真である。
【図16】図16は、静電気によって阻害される振動シュート投入機の粒子の連続流れの写真である。
【図17】図17は、スクリューコンベヤーからバイアルへの粒子の充填を阻害する静電気の影響の写真である。
【図18】図18は、静電気の影響を是正するようにイオン化装置を加えた、振動シュート投入機の写真である。
【図19】図19は、本発明の方法によって、微細粒子を目標投入量100mgで充填した200個のバイアルの充填量分布を示すグラフである。
【図20】図20は、本発明の方法によって、微細粒子を目標投入量50mgで充填した100個のバイアルの充填量の分布を示すグラフである。
【図21】図21は、本発明の方法によって、粗い粒子と微細粒子との混合物を目標投入量100mgで充填した100個のバイアルの充填量の分布を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロダクトの滴を凍結してペレットを形成する工程、ペレットを凍結乾燥する工程、凍結乾燥したペレットをアッセイする工程および凍結乾燥したペレットをコンテナに充填する工程を含んで成る凍結乾燥プロダクトのコンテナの製造方法。
【請求項2】
ペレットを凍結乾燥する工程と凍結乾燥したペレットをアッセイする工程との間に、凍結乾燥したペレットを保存して均一化する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
該滴を凍結する工程は、低温ガス中を向流で滴を通すことによって行なう請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
該プロダクトは、1またはそれ以上の薬学的または生物学的に活性な成分を含んで成り、目標投入量は、該1またはそれ以上の該薬学的または生物学的に活性な成分に対して規定され、該アッセイは、該凍結乾燥ペレット中の該1またはそれ以上の薬学的または生物学的に活性な成分の活性分含有を測定し、該目標投入量に等しい、または目標投入量を10%未満しか越えない投入量となる該凍結乾燥プロダクトの量でコンテナを充填する請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
無菌凍結乾燥ペレットの形態の薬学的または生物学的に活性なプロダクトの単一回数投入コンテナであって、該プロダクトの量は、所定の単一回数投入量を10%未満しか超えない単一回数投入コンテナ。
【請求項6】
該プロダクトは、複数の薬学的または生物学的に活性な成分を含んで成る配合物である請求項5に記載の単一回数投入コンテナ。

【公表番号】特表2008−507307(P2008−507307A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521842(P2007−521842)
【出願日】平成17年7月9日(2005.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007455
【国際公開番号】WO2006/008006
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(504109610)バイエル・テクノロジー・サービシーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (75)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Technology Services GmbH
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】