説明

無菌化即席包装おこげ湯の製造方法

【解決手段】本発明は炒めた米と白米を混合して殺菌した後、炒めた米に熱水抽出炊飯水を加えておこげ湯を製造して、これを無菌状態で密封して蒸熟させた後冷却して無菌化即席包装おこげ湯を製造する方法に係り、これに伴い製造された無菌化即席包装おこげ湯は殺菌工程を経ることによって常温で6ヶ月以上の長期保存が可能で、炒めた米の香りが広がっておこげ湯特有の香りが極大化されて、米の澱粉が炊飯水で湧出されて特有の粘度を持つことになっておこげ湯の香りが生きていて、拡散性が優れて食感がやわらかい特徴を持っていて伝統的な家庭料理式方法で製造したおこげ湯と品質的に非常に同等で長期間保存が可能だ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炒めた米を利用した無菌化即席おこげ湯の製造方法に係り、より具体的には炒めた米と白米を混合して殺菌した後、炒めた米の熱水抽出炊飯水を加えておこげ湯を製造し、これを無菌状態で密封して蒸熟した後冷却して無菌化即席包装おこげ湯を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的におこげ湯は家庭でご飯を炊いた後焦げたご飯に一定量の水を入れて100℃で10分以上加熱することによって製造される。
【0003】
従来おこげ湯を製品化した製造方法ではインスタントおこげ湯茶またはおこげ湯飲み物の形態で製造する方法(特許文献1〜6など)が開示されている。また即席おこげ湯の製造方法に対する特許文献7には米または穀類混合物を自動式御飯釜で実らせた後、これをおこげ成形器を使っておこげで成形して、おこげをぬるい水に浸漬させて含水率80ないし90%になるようにして急速凍結乾燥した後、含水率5%以下で真空乾燥して真空包装する即席おこげ湯の製造方法が開示されている。
【0004】
また、おこげ湯を濃縮して殺菌包装して一般家庭で濃縮おこげ湯にお湯を入れておこげ湯を製造できる濃縮おこげ湯が開示されている(特許文献8)。また、水および白米と玄米を混合して140ないし180℃温度で等しく加熱して蒸熟と炒めが同時になされるようにした後自然乾燥させて製造した即席おこげ湯製品が開示されている(特許文献9)。
【0005】
しかし、すでに作られた乾燥おこげを一定量の米と共に使っておこげ湯を製造する場合、おこげ湯の香りが消失してその品質が非常に劣悪になる問題点があるだけでなく、米の表面には10〜10CFU/g程度の微生物が存在することが知られている。こういうおこげ湯の製造過程中にはおこげと米表面の微生物の一般細胞は死滅するが、耐熱性の胞子は完全に死滅しない。一般家庭でおこげ湯を作って飲んだり、工場で製造して一日以内に食べることになる一般のおこげ湯の場合にはこういう耐熱性微生物が問題にならないが、おこげ湯を常温条件でもう少し永らく保存および流通する場合にはこのような耐熱性微生物の増殖が大きな問題となる。したがって既存の方式でおこげ湯を製造する場合、長期保存が不可能だという問題点があった。
【0006】
本発明者などは前記の課題を解決するための調査と実験を鋭意繰り返した結果、味と香りおよび組織感が優れた品質特性を充足させる本発明の製造方法を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国特許出願第10−1974−1979号
【特許文献2】大韓民国特許出願第10−1983−2843号
【特許文献3】大韓民国特許出願第10−1984−6509号
【特許文献4】大韓民国特許出願第10−1987−9919号
【特許文献5】大韓民国特許出願第10−1990−18920号
【特許文献6】大韓民国特許出願第10−1991−22412号
【特許文献7】大韓民国特許出願第10−1993−934号
【特許文献8】大韓民国特許出願第10−2003−9247号
【特許文献9】大韓民国実用新案登録出願第20−2005−3671号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、炒めた米と白米を原料としておこげ湯を製造することにあって、無菌化包装工程で製品の安全性を確保して味と組織感および固有の香りが優れて長期間保管可能な無菌化包装おこげ湯を製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は白米と玄米を混合してロースティング(roasting)処理して炒めた米を製造する段階;炒めた米を水で洗米する段階;白米を洗米して水に浸漬させる段階;炒めた米と白米を混合して殺菌する段階;炒めた米を熱水抽出して、濾過してUV殺菌して炊飯水を製造する段階;殺菌した炒めた米と白米混合物に前記炊飯水を入れておこげ湯を製造する段階;及び炊飯が完了した後無菌状態で密封して蒸熟した後冷却して即席包装おこげ湯を製造する段階で成り立った、常温で6ヶ月以上の長期間保存が可能で微生物に対する安全性だけでなくおこげ湯固有の香りが生きている無菌化即席包装おこげ湯の製造方法を提供する。
【0010】
本発明で“白米”は10搗精度(以下‘分度’という)以上搗精した米を意味する。
【0011】
本発明で“玄米”は7〜8分度搗精した米を意味する。
【0012】
本発明で“炒めた米”は白米と玄米を塩と一緒にロースティング(roasting)処理して得たロースティングされた白米と玄米の混合物を意味する。
【0013】
本発明で“洗米”は米を洗う工程を意味する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の方法により製造された無菌化即席包装おこげ湯は殺菌工程を経ることによって常温で6ヶ月以上の長期保存が可能で、炒めた米の香りが広がっておこげ湯特有の香りが極大化されて、米の澱粉が炊飯水で湧出されて特有の粘度を持つことになっておこげ湯の香りが生き返って、拡散性が優れて食感がやわらかい特徴を持っていて、伝統的な家庭料理式方法で製造したおこげ湯と品質的に非常に同等で、長期間保存が可能で食品産業上非常に有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明による炒めた米を利用した無菌化即席おこげ湯の製造工程を示す順序図である。
【図2】図2は、実施例1ないし8で製造したおこげ湯の官能検査結果を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例1ないし8で製造したおこげ湯のカルボニル化合物の定量検証結果を示す図である。
【図4】図4は、実施例1ないし8で製造したおこげ湯のカルボニル化合物の定量検証結果を示す図である。
【図5】図5は、実施例1ないし8で製造したおこげ湯のフェノール化合物の定量検証結果を示す図である。
【図6】図6は、実施例1ないし8で製造したおこげ湯のフェノール化合物の定量検証結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の方法を図1を参考にして各段階別に詳細に説明する。
【0017】
まず白米と玄米を塩と一緒にロースティング処理して炒めた米を製造する。ロースティング処理は130ないし145℃で15ないし30分間遂行することが好ましい。
【0018】
このように製造された炒めた米で、米糠およびその他不純物を除去するために、洗米を実施する。洗米処理は5回実施することが好ましい。
【0019】
続いて、白米を精製水で洗って米粒の表面についている澱粉質とその他不純物などを除去した後、洗米が完了した米を1時間程度浸漬処理して、一定の容器、例えば微細金網に入れて水気を除去する。
【0020】
一定量の洗米処理した炒めた米と浸漬工程を経た白米を混合して耐熱性プラスチック容器に充填する。炒めた米と白米の混合比は1:1が好ましい。
【0021】
炒めた米と白米が充填された容器を高温加圧殺菌装置を使って、高温、好ましくは140℃以上で、より好ましくは140ないし143℃の温度で、4.5ないし5.0秒間、7ないし8回殺菌して原料米に存在できる微生物に対する殺菌処理を実施する。殺菌条件がとても過度になればおこげ湯の香りが消失するので適当に調整する必要がある。
【0022】
続いて、別途の工程で炒めた米を80〜90℃で30分間精製水を使用して熱水抽出して、濾過してUV殺菌して炊飯水を製造する。
【0023】
殺菌完了後、炒めた米と白米が充填された容器に一定量の炊飯水を充填する。炊飯水が注入された容器を100℃の蒸気温度で30分間炊飯を実施する。この時炒めた米の香りが広がっておこげ湯特有の香りが極大化されて、米の澱粉が炊飯水で湧出されて特有の粘度を持つことになる。
【0024】
炊飯が終了すれば無菌化室(Clean room;class 100以下、米国航空宇宙局の“clean roomに対する清浄度規格”1ft内に0.5μm以上の粒子数が100)にリードフィルム(lead film)で密封して蒸熟と冷却、そして乾燥工程を経て製品化させる。
【0025】
このように製造された無菌化即席包装おこげ湯は常温で6ヶ月以上の長期保存が可能である。
【0026】
以下、本発明の好ましい実施形態を下記の実施例を通じてより詳細に説明する。だが、本発明はこのような実施例に限定されるものではない。
【0027】
<実施例1>
白米200gを水で5回洗米して水に1時間の間浸漬させた後、微細金網に入れて水気を除去した。
【0028】
白米200gに水160gを添加して30分間加熱しておこげを製造した。このように製造したおこげ20gとご飯20gを水230gと共に入れて10分間加熱しておこげ湯を製造した。
【0029】
<実施例2>
白米200gを水で5回洗米して水に1時間の間浸漬させた後、微細金網に入れて水気を除去した。
【0030】
前記の洗米した白米20gと市中で購入した即席おこげ20gを容器に入れて高温加圧殺菌装置((株)shinwa製造)に入れて密閉した後、高圧蒸気を入れて140〜143℃の温度で5.0秒間殺菌した。このような高温蒸気殺菌過程を7回さらに繰り返した。
【0031】
高温蒸気殺菌を終えた後、殺菌された各容器ごとに230gの炊飯水(一般用水)を入れて、炊飯器の蒸気温度を100℃で一定に維持して30分間おこげ湯を製造した。
【0032】
炊飯が完了した後、無菌状態でリードフィルム(lead film)で密封して約12分間放置して蒸熟させた後、10℃の水で15分間冷却して製造を終了した。
【0033】
<実施例3>
白米200gを水で5回洗米して水に1時間の間浸漬させた後、微細金網に入れて水気を除去した。
【0034】
前記の洗米した白米20gと市中で購入した即席おこげ20gを容器に入れて高温加圧殺菌装置((株)shinwa製造)に入れて密閉した後、高圧蒸気を入れて140〜143℃の温度で5.0秒間殺菌した。このような高温蒸気殺菌過程を7回さらに繰り返した。
【0035】
別途の工程で、市中で購入したおこげ30gに水1000gを入れて90℃で30分間熱水抽出して炊飯水を製造した。
【0036】
前記の高温蒸気殺菌を終えた後、殺菌された各容器ごとに炊飯水230gを入れて、炊飯器の蒸気温度を100℃の一定に維持して30分間保持し、おこげ湯を製造した。
【0037】
炊飯が完了した後、無菌状態でリードフィルムで密封して約12分間放置して蒸熟させた後、10℃の水で15分間冷却して製造を終了した。
【0038】
<実施例4>
白米と玄米を混合して(1:1)塩と共に100〜115℃でロースティング処理して炒めた米を水で5回洗米して米糠とその他不純物を除去した。
【0039】
白米200gを洗浄水で5回洗米して米粒の表面についている澱粉質とその他不純物を除去して、水に1時間の間浸漬させた後、微細金網に入れて水気を除去した。
【0040】
前記の洗米した炒めた米20gと白米20gを容器に入れて高温加圧殺菌装置((株)shinwa製造)に入れて密閉した後、高圧蒸気を入れて140〜143℃の温度で5.0秒間殺菌した。このような高温蒸気殺菌過程を7回さらに繰り返した。
【0041】
別途の工程で、前記の洗米した炒めた米30gに水1,000gを入れて90℃で30分間熱水抽出して炊飯水を製造した。
【0042】
前記の高温蒸気殺菌を終えた後、殺菌された各容器ごとに炊飯水230gを入れて、炊飯器の蒸気温度を100℃の一定に維持して30分間保持し、おこげ湯を製造した。
【0043】
炊飯が完了した後、無菌状態でリードフィルムで密封して約12分間放置して蒸熟させた後、10℃の水で15分間冷却して製造を終了した。
【0044】
<実施例5>
炒めた米を得るためにロースティング処理を115〜130℃の温度で遂行したことを除いて、実施例4と同じ方法でおこげ湯を製造した。
【0045】
<実施例6>
炒めた米を得るためにロースティング処理を130〜145℃の温度で遂行したことを除いて、実施例4と同じ方法でおこげ湯を製造した。
【0046】
<実施例7>
炒めた米を得るためにロースティング処理を145〜160℃の温度で遂行したことを除いて、実施例4と同じ方法でおこげ湯を製造した。
【0047】
<実施例8>
炒めた米を得るためにロースティング処理を160〜180℃の温度で遂行したことを除いて、実施例4と同じ方法でおこげ湯を製造した。
【0048】
<実験例1>
前記の実施例1ないし8で製造したおこげ湯に対し各々官能検査を実施して、その結果を表1および図2に示した。
【0049】
【表1】

【0050】
すなわち、非常に良い5、良い4、普通である3、悪い2、非常に悪い1で評価した。
【0051】
<実験例2>
前記の実施例1ないし8で製造したおこげ湯に対しおこげ湯香味の成分として知られるカルボニル化合物とフェノール化合物を定量検証して、その結果を各々図3及び4、及び図5及び6に図示した。
【0052】
実施例1は伝統的な方法でおこげ湯を製造したことで、おこげ湯の香ばしい香りが生きていて、優れた米粒の組織感また優れたおこげ湯固有の風味で最も優れた。
【0053】
また、おこげ湯香りの主成分のカルボニル化合物とフェノール化合物の含有量も実施例7と実施例8を除いて全部高かった。
【0054】
実施例7と実施例8では、カルボニル化合物とフェノール化合物が一定水準より過度にたくさん生成されたが、これは官能上ロースティング香味がとても強くてむしろおこげ湯の香ばしい香りに否定的な影響を及ぼした。
【0055】
実施例2ないし実施例6では、カルボニル化合物とフェノール化合物の含有量に有意的な差が見え、実施例6の場合にはターゲット(target)品質を示す実施例1と最も類似の数値を示した。
【0056】
これは実際の官能検査を通じて同じ結果を見せている。
【0057】
実施例4と実施例5の場合にはおこげ湯固有の風味が不足したし、実施例2と実施例3の場合にはおこげ湯固有の風味不足の他にも食感でも良くない評価を受けた。
【0058】
したがっておこげ湯固有の風味を具現する最適条件は実施例6であることを確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の方法により製造された無菌化即席包装おこげ湯は殺菌工程を経ることによって常温で6ヶ月以上の長期保存が可能で、炒めた米の香りが広がっておこげ湯特有の香りが極大化されて、米の澱粉が炊飯水で湧出されて特有の粘度を持つことになっておこげ湯の香りが生きていて、拡散性が優れて食感がやわらかい特徴を持っていて伝統的な家庭料理式方法で製造したおこげ湯と品質的に非常に同等で長期間保存が可能で、食品産業上非常に有用した発明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白米と玄米を混合してロースティング処理して炒めた米を製造する段階と;
前記炒めた米を水で洗米する段階と;
白米を洗米して水に浸漬させる段階と;
炒めた米と白米を混合して容器に入れて殺菌する段階と;
炒めた米を熱水抽出して、濾過してUV殺菌して炊飯水を製造する段階と;
前記の殺菌して炒めた米と白米が混合した容器に前記炊飯水を入れておこげ湯を製造する段階と;
炊飯が完了した後、無菌状態で密封して蒸熟させた後、冷却して即席包装おこげ湯を製造する段階とを含んで成り立つ無菌化即席包装おこげ湯の製造方法。
【請求項2】
前記のロースティング処理を130〜145℃で遂行することを特徴とする請求項1に記載の無菌化即席包装おこげ湯の製造方法。
【請求項3】
前記炒めた米と白米の混合比が1:1であることを特徴とする請求項1に記載の無菌化即席包装おこげ湯の製造方法。
【請求項4】
前記炊飯水の熱水抽出を90℃で30分間遂行することを特徴とする請求項1に記載の無菌化即席包装おこげ湯の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−539972(P2010−539972A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527896(P2010−527896)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【国際出願番号】PCT/KR2008/005893
【国際公開番号】WO2009/048252
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(507421681)シージェイ チェイルジェダン コーポレーション (24)
【Fターム(参考)】