説明

無通電タイプのブレーカ

【課題】可動接点金属板とバイメタルとを別の金属板として、異常時に速やかに電流を遮断しながら全体を薄くする。
【解決手段】無通電タイプのブレーカは、絶縁ケース2と外装金属板3とからなる外装ケース1の収納スペース20に、固定接点5を有する固定接点金属板4と、可動接点7を有する可動接点金属板6と、バイメタル8とヒーター9を内蔵している。外装金属板3と固定接点金属板4は対向する位置にあって絶縁ケース2に固定している。バイメタル8は中央凸に湾曲する形状で、ヒーター9と可動接点金属板6との間に配設している。絶縁ケース2は、両端に第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとを設けて、第1の外壁11Aに固定接点金属板4の中間部4Bを、第2の外壁11Bに可動接点金属板6の一部を固定している。外装金属板3は、インサート成形することなく第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとに固定して収納スペース20の開口部を閉塞している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてパック電池等の電気機器に内蔵されて、あらかじめ設定している温度よりも高くなると電流を遮断するブレーカに関し、とくにバイメタルに通電しない無通電タイプのブレーカに関する。
【背景技術】
【0002】
パック電池やモータなどの機器は、温度が異常に高くなる状態では電流を遮断して安全性を向上できる。このことを目的として、設定温度になると接点をオフに切り換えるブレーカが使用される。たとえば、リチウムイオン電池を内蔵するパック電池は、異常な使用状態で充放電されると温度が高くなるので、ブレーカを内蔵させて、これで異常な高温では電流を遮断して安全に使用できる。また、モータ等は過負荷な状態や異常な電流が流れる状態で温度が異常に高くなることがあるので、この状態ではブレーカで電流を遮断してモータを保護して安全に使用できる。
【0003】
このような用途に使用されるブレーカとして、異常な状態で電流を遮断するブレーカが開発されている。(特許文献1参照)
このブレーカは、図1に示すように、バイメタル108を可動接点金属板106とする通電タイプのブレーカである。このブレーカは、バイメタル108を可動接点金属板106とするので、バイメタルによって可動接点金属板106の電気抵抗が大きくなる欠点がある。また、この通電タイプのブレーカは、周囲温度でバイメタル108の可動接点金属板106が変形して電流を遮断した後、周囲温度が低下してバイメタル108が復帰すると、可動接点107が再び固定接点105に接触してオン状態に復帰する。このブレーカが、例えば、パック電池に使用されると、電池が異常な温度に上昇して電流を遮断した後、電池の温度が低下すると再び通電できる状態となって安全に使用できないことがある。パック電池やモータに使用されて、これらの機器が異常な温度に加熱されて電流を遮断する状態は、異常な状態であるから電流を遮断する状態に保持することで安全に使用できる。
【0004】
このブレーカの欠点を解消するブレーカとして、バイメタルと可動接点金属板とを別の金属板とし、さらにバイメタルを加熱するヒーターを内蔵する無通電タイプのブレーカが開発されている。(特許文献2参照)
特許文献2の無通電タイプのブレーカを図2に示す。このブレーカは、固定接点205を設けている固定接点金属板204と、この固定接点205に接触する可動接点207のある可動接点金属板206との間にバイメタル208を配置している。この無通電タイプのブレーカは、周囲温度が高くなるとバイメタル208が反転するように変形して、可動接点207を固定接点205から離して電流を遮断する。さらに、このブレーカは、異常時にバイメタル208を加熱するヒーター209を内蔵している。このブレーカは、たとえば、電池の異常な状態を保護回路などで検出し、保護回路のスイッチング素子でヒーターに通電して、バイメタルを加熱して電流を遮断することができる。また、バイメタルは周囲温度が高くなっても反転して電流を遮断するので、ヒーターに通電することなく、周囲温度を検出して電流を遮断することができる。さらに、ヒーターを内蔵するブレーカは、周囲温度が高くなって電流を遮断した後、ヒーターに通電してバイメタルを加熱状態に保持して、電流を遮断する状態に保持することもできる。したがって、特許文献2のブレーカは、周囲温度で電流を遮断し、また、保護回路などの異常な状態を検出して電流を遮断し、さらに電流を遮断する状態でヒーターに通電して電流を遮断する状態に保持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−100054号公報
【特許文献2】特開2006−338927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の無通電タイプのブレーカは、周囲温度でバイメタルを反転させて、可動接点を固定接点から分離して電流を遮断する。この構造の無通電タイプのブレーカは、バイメタルを可動接点金属板と別の金属板として、バイメタルを反転させて可動接点を固定接点から分離するので、バイメタルの反転に時間遅れが発生しやすい。バイメタルが可動接点金属板の内部にあるので、周囲温度がバイメタルに伝達されるのに時間がかかるからである。温度で電流を遮断する無通電タイプのブレーカは、異常な温度を検出して電流を遮断するので、周囲温度が上昇して設定温度よりも高くなると、できる限り速やかに電流を遮断する特性が要求される。周囲温度が急激に高くなっている状態でバイメタルの反転が遅れると、電池やモータに損傷を与えて安全に電流を遮断できなくなるからである。この弊害は、バイメタルの反転温度を低く設定して防止できる。ただ、低い温度で電流を遮断する無通電タイプのブレーカは、電池やモータが熱による弊害のない状態で長く使用されても電流を遮断してしまう弊害が発生する。また、バイメタルは積層している金属の熱膨張の差で反転するので、低温で反転させるバイメタルは設計も難しくなる。このことから、ブレーカが動作して電池やモータの電流を遮断する温度は、問題の発生しない温度においてはできる限り高くし、問題の発生する温度よりも低くすることが大切である。このことから、ブレーカは、機器に損傷を与えるよりも低い温度で速やかに電流を遮断する特性が要求される。
【0007】
本発明の第1の目的は、このことを実現すること、すなわち可動接点金属板とバイメタルとを別の金属板としてオン抵抗を小さくし、さらに、異常時には速やかに電流を遮断できる無通電タイプのブレーカを提供することにある。
【0008】
さらに、図2に示すように、バイメタルと可動接点金属板とを別の金属板としてオン抵抗を小さくし、さらにバイメタルを加熱するヒーターを内蔵する無通電タイプのブレーカは、全体が相当に厚くなる欠点もある。無通電タイプのブレーカはパック電池などの機器に内蔵されることから、薄くして小さな機器にも収納できる形状が要求される。
【0009】
本発明の第2の目的は、このことを実現すること、すなわち、全体を薄くしながら速やかに周囲温度で電流を遮断できる無通電タイプのブレーカを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
本発明の無通電タイプのブレーカは、プラスチック製の絶縁ケース2と外装金属板3とで形成してなる外装ケース1と、この外装ケース1の絶縁ケース2に固定してなる固定接点5を有する固定接点金属板4と、絶縁ケース2に固定されて、固定接点5と対向する位置に可動接点7を有する可動接点金属板6と、この可動接点金属板6をオンからオフに切り換えるバイメタル8と、このバイメタル8を加温するヒーター9とを備えている。外装金属板3と固定接点金属板4は対向する位置にあって絶縁ケース2に固定しており、固定接点金属板4と外装金属板3との間には、固定接点金属板4側から順番に、ヒーター9と、バイメタル8と、可動接点金属板6とを配置している。バイメタル8は、中央凸に湾曲する形状であって、可動接点7を固定接点5に接触させる状態で中央突出部を可動接点金属板6側に突出させる姿勢でヒーター9と可動接点金属板6との間に配設している。絶縁ケース2は、両端部分に第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとを突出して設けて、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとの間には収納スペース20を設けて、この収納スペース20には、ヒーター9とバイメタル8と可動接点金属板6の可動部分6Aを収納して、第1の外壁11Aには固定接点金属板4の中間部4Bを固定して、第2の外壁11Bには可動接点金属板6の一部を固定している。さらに、外装金属板3は、絶縁ケース2にインサート成形することなく、その両端部を第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとに固定して、収納スペース20の開口部を閉塞しており、この外装金属板3を外側面に露出させる状態で絶縁ケース2の収納スペース20を閉塞している。
【0011】
以上の無通電タイプのブレーカは、可動接点金属板とバイメタルとを別の金属板としてオン抵抗を小さくし、さらに、異常時には速やかに電流を遮断できる特徴がある。それは、以上の無通電タイプのブレーカが、外装ケースをプラスチック製の絶縁ケースと外装金属板とで構成し、絶縁ケースは両端に第1の外壁と第2の外壁とを設けてその間に収納スペースを設けて、収納スペースにヒーターとバイメタルと可動接点金属板の可動部分とを配置し、さらに外装金属板の両端部を第1の外壁と第2の外壁とにインサート成形することなく固定して、収納スペースを閉塞する独特の構造としているからである。
【0012】
さらに、以上の無通電タイプのブレーカは、可動接点金属板とは別の金属板であるバイメタルを内蔵すると共に、このバイメタルを加熱するヒーターを内蔵するにもかかわらず、全体を薄くして速やかに電流を遮断できる特徴も実現する。
【0013】
本発明の無通電タイプのブレーカは、外装金属板3の一端を、可動接点金属板6の非可動部分6Bに接触状態に積層して絶縁ケース2に固定することができる。
以上の無通電タイプのブレーカは、外装金属板を可動接点金属板に直接に積層して固定するので、全体をより薄くできると共に、外装金属板を可動接点金属板の接点として使用することもできる。
【0014】
本発明の無通電タイプのブレーカは、外装金属板3を、外壁11に接着し、又は外壁11に一体的に成形してなる連結リブ15を貫通させて外壁11に固定することができる。
以上の無通電タイプのブレーカは、外装金属板を接着し、あるいは絶縁ケースの外壁に設けている連結リブを介して絶縁ケースに固定するので、全体を薄くしながら、外装金属板を絶縁ケースに確実に固定できる特徴がある。
【0015】
本発明の無通電タイプのブレーカは、外装金属板3の表面に絶縁膜を設けることができる。
以上の無通電タイプのブレーカは、外装金属板に絶縁膜を設けているので、内蔵される機器に絶縁状態で、すなわち外装金属板が接触する状態で絶縁しながら内蔵できる。
【0016】
本発明の無通電タイプのブレーカは、絶縁ケース2が、外装金属板3を連結する連結リブ15を外壁11の先端面から突出する形状に一体的に成形して設けて、外装金属板3は、絶縁ケース2に設けている連結リブ15を貫通させる貫通孔25を有して、連結リブ15を貫通孔25に挿通して、外装金属板3を絶縁ケース2に固定することができる。
以上の無通電タイプのブレーカは、外装金属板を絶縁ケースに確実に固定できる。
【0017】
本発明の無通電タイプのブレーカは、外装金属板3の四隅部に貫通孔25を設けて、各々の貫通孔25に挿通される連結リブ15を絶縁ケース2の外壁11の先端面に設けることができる。
以上の無通電タイプのブレーカは、外形を薄くしながら、外装金属板をより確実に絶縁ケースに固定できる。
【0018】
本発明の無通電タイプのブレーカは、外装ケース1の第2の外壁11Bの先端面と外装金属板3との間に、可動接点金属板6の非可動部分6Bを挟着して固定し、貫通孔25を、固定接点金属板4と可動接点金属板6の両外側に配設することができる。
以上の無通電タイプのブレーカは、外装金属板を確実に固定しながら、可動接点金属板を確実に固定できる。
【0019】
本発明の無通電タイプのブレーカは、絶縁ケース2が、収納スペース20の両側にあって第1の外壁11Aと第2の外壁11Bの間を連結する対向壁12を有し、この対向壁12と外壁11とで収納スペース20の外周壁10を構成すると共に、外装金属板3が、対向壁12の外面に沿うように折曲してなる折曲側壁22を両側に有し、この折曲側壁22と対向壁12とを係止構造で連結することができる。
以上の無通電タイプのブレーカは、外装金属板3をより確実に絶縁ケース2に固定しながら、全体を薄くできる。
【0020】
本発明の無通電タイプのブレーカは、折曲側壁22と対向壁12の係止構造を、対向壁12の外側に設けてなる係止凸部16と、折曲側壁22に設けてなる係止凸部16を案内して係止してなる係止孔26とすることができる。
以上の無通電タイプのブレーカは、外装金属板3を簡単かつ容易に、しかも確実に絶縁ケース2に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来のブレーカを示す断面図である。
【図2】従来の他のブレーカを示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる無通電タイプのブレーカの斜視図である。
【図4】図3に示す無通電タイプのブレーカの垂直縦断面図である。
【図5】図4に示す無通電タイプのブレーカのオフ状態を示す断面図である。
【図6】図4に示す無通電タイプのブレーカのVI−VI線断面図である。
【図7】図4に示す無通電タイプのブレーカのVII−VII線断面図である。
【図8】図4に示す無通電タイプのブレーカのVIII−VIII線断面図である。
【図9】連結リブの他の一例を示す断面図であって、図4のIX−IX線断面に相当する図である。
【図10】連結リブの他の一例を示す断面図であって、図4のVI−VI線断面に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための無通電タイプのブレーカを例示するものであって、本発明は無通電タイプのブレーカを以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0023】
以下の無通電タイプのブレーカは、主としてパック電池に内蔵され、電池や周囲温度が高温になり、あるいはパック電池が異常な状態で使用されるときに、バイメタルを変形させて電流を遮断する用途に使用される。とくに、本発明の無通電タイプのブレーカは、バイメタルを加温するヒーターを内蔵するので、このヒーターでバイメタルを加温して電流を遮断した状態に保持する用途に最適である。ただし、本発明の無通電タイプのブレーカは、用途をパック電池に特定するものではなく、たとえばモータの等のように温度上昇を検出して電流を遮断する全ての用途に使用できる。
【0024】
図3ないし図8に示す無通電タイプのブレーカは、外装ケース1に、固定接点金属板4と、可動接点金属板6とを固定して、可動接点金属板6を変形させるバイメタル8と、このバイメタル8を加温するヒーター9とを内蔵している。
【0025】
外装ケース1は、プラスチック製の絶縁ケース2と外装金属板3とで形成している。外装ケース1は、絶縁ケース2の底部13に固定接点金属板4をインサート成形して固定して、上面に外装金属板3を固定している。絶縁ケース2は、両端部分に、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとを突出するように設けて、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとの間に収納スペース20を設けている。この収納スペース20は、インサート成形して固定している固定接点金属板4で底面を閉塞して、外装金属板3で上面を閉塞している。したがって、外装ケース1は、底面側の表面には固定接点金属板4が露出し、上面側の表面には外装金属板3が露出している。外装金属板3は、プラスチック製の絶縁ケース2にインサート成形して固定されず、ほぼ全面を上面側に露出させている。
【0026】
絶縁ケース2は、収納スペース20の両側に、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bの間を連結する対向壁12を設けて、この対向壁12と外壁11とで収納スペース20の周囲を囲む外周壁10を構成している。したがって、収納スペース20は、周囲を外周壁10で囲み、底面を固定接点金属板4で閉塞し、さらに上面を外装金属板3で閉塞して内部を閉塞された中空状としている。
【0027】
絶縁ケース2は、第1の外壁11Aに固定接点金属板4の一部を、図4と図5においては固定接点金属板4の中間部4Bを第1の外壁11Aの途中にインサート成形して固定している。したがって、固定接点金属板4は、第1の外壁11Aを貫通する状態で絶縁ケース2に固定され、収納スペース20の内部に露出する部分を固定接点5とし、外部に引き出される部分を接続端子4Xとしている。
【0028】
絶縁ケース2は、第2の外壁11Bに可動接点金属板6の非可動部分6Bを固定している。図4と図5の無通電タイプのブレーカは、第2の外壁11Bの上端面に可動接点金属板6の非可動部分6Bを固定している。可動接点金属板6は、接着して第2の外壁11Bに固定され、あるいは外装金属板3に挟まれて第2の外壁11Bの上端面に固定される。図の外装ケース1は、外装金属板3の一端部を、可動接点金属板6の非可動部分6Bに接触状態に積層して絶縁ケース2に固定している。この構造は、外装金属板3を可動接点金属板6に直接に積層して固定するので、全体をより薄くできる。
【0029】
さらに、図4ないし図6の断面図に示す絶縁ケース2は、収納スペース20にヒーター9を配置する収納凹部21を設けている。収納凹部21は収納スペース20の中央部にあって、その底面を固定接点金属板4の先端部4Aで閉塞している。収納凹部21は、ここにヒーター9を挿入できるように、内形をヒーター9の外形よりもわずかに大きくしている。また、収納凹部21は、外周縁に沿って突出部14を設けている。収納凹部21に挿入されるヒーター9は、突出部14の上面からわずかに突出して、上面に湾曲するバイメタル8を熱結合状態に載せている。
【0030】
収納スペース20は、収納凹部21の底面を固定接点金属板4で閉塞し、収納凹部21の外側底面を絶縁ケース2のプラスチックで閉塞している。絶縁ケース2は、収納凹部21の外側で収納スペース20の底を閉塞しているプラスチック製の底部13に、固定接点金属板4をインサート成形して絶縁ケース2に固定している。
【0031】
収納スペース20の上面を閉塞している外装金属板3は、インサート成形することなく、その両端部分を絶縁ケース2の外壁11に固定している。図3ないし図5の無通電タイプのブレーカは、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとの上端面に外装金属板3の両端部を固定している。外装金属板3は、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとに一体的に成形して設けている連結リブ15を介して、絶縁ケース2に固定している。図4と図5の絶縁ケース2は、鎖線で示すように、外装金属板3を連結する連結リブ15を、外壁11の先端面から突出して設けている。外装金属板3には、連結リブ15を貫通させる貫通孔25を設けてあり、連結リブ15を貫通孔25に挿通して、外装金属板3を絶縁ケース2に固定している。連結リブ15は、貫通孔25に挿入される状態で、その先端を加熱押圧して押し潰し、あるいは超音波振動で押し潰して、外装金属板3を確実に絶縁ケース2の外壁11の先端面、すなわち上面に固定している。以上の構造は、外装金属板3を絶縁ケース2の正確な位置に確実に、しかも簡単に固定できる。ただし、外装金属板は、絶縁ケースの先端面である上面に接着して固定することもできる。接着して絶縁ケースに固定される外装金属板も、貫通孔を設け、この貫通孔に挿入される連結リブを外壁に設け、連結リブを貫通孔に挿入することで、絶縁ケースの定位置に確実に固定できる。
【0032】
外装金属板3は四隅部に貫通孔25を設けており、各々の貫通孔25に挿通される連結リブ15を絶縁ケース2の外壁11の先端面に設けている。図7は、外装金属板3を固定している第1の外壁11Aの横断面図を、図8は第2の外壁11Bの横断面図を示している。図7に示す第1の外壁11Aは、収納スペース20の両側に設けている対向壁12の上端面から突出して連結リブ15を設けている。連結リブ15は、図の右側に示す形状に成形され、貫通孔25に挿入される状態で、左側に示すように、先端を押し潰して、外装金属板3を固定する。図7に示す第1の外壁11Aは、収納スペース20の両側に設けている対向壁12の上面に連結リブ15を設けているが、第1の外壁11Aは、図4のIX−IX線で示す位置において、図9の横断面図に示すように、第1の外壁11Aの上面に連結リブ15を設けて、外装金属板3を固定することもできる。さらに、外装ケース1は、図4のVI−VI線で示す位置において、図10の横断面図に示すように、対向壁12の上面に連結リブ15を突出して設け、この連結リブ15を挿入する貫通孔25を外装金属板3に設けて、外装金属板3の中間部分を絶縁ケース2に固定することもできる。
【0033】
さらに、図6ないし図8の横断面図に示す外装金属板3は、対向壁12の外面に沿うように折曲している折曲側壁22を両側に設けて、この折曲側壁22と対向壁12とを係止構造で連結している。図の外装金属板3は、折曲側壁22と対向壁12の係止構造を、対向壁12の外側に突出して設けている係止凸部16と、折曲側壁22に設けられて、係止凸部16を案内して係止される係止孔26とで構成している。係止凸部16は、挿入方向に向かって次第に突出する傾斜面16Aを設けて、係止凸部16をスムーズに係止孔26に案内できる形状としている。
【0034】
さらに、図9の係止構造は、折曲側壁22の先端縁に内側に折曲している係止片27を設け、この係止片27を案内する係止凹部17を絶縁ケース2の対向壁12の外側面に設け、係止片27を係止凹部17に案内して、外装金属板3を絶縁ケース2に係止構造で固定している。
【0035】
さらに、図10の係止構造は、折曲側壁22の先端縁に内側に折曲している係止片27を設け、この係止片27を対向壁12の底面に引っ掛けて、外装金属板3を絶縁ケース2に係止構造で固定している。これ等の係止構造は、折曲側壁22を弾性変形させて、絶縁ケース2に係止構造で連結し、連結状態においては、折曲側壁22の弾性的な復元力でもって、係止凸部16や係止片27を係止孔26や係止凹部17や底面に引っ掛ける位置に保持する。
【0036】
さらに、外装金属板3は、表面に絶縁膜(図示せず)を設けている。この絶縁膜は、外装金属板3の表面に、絶縁塗料を塗布して設けている。ただ、絶縁層は、外装金属板の表面に絶縁シートを付着して設けることもできる。このように、外装金属板3に絶縁膜を設けた無通電タイプのブレーカは、外装金属板3の表面を絶縁膜で絶縁できるので、機器に接触状態で内蔵できる。
【0037】
絶縁ケース2の収納スペース20には、底から順番に、ヒーター9とバイメタル8と可動接点金属板6の可動部分6Aを収納して、絶縁ケース2の第1の外壁11Aには固定接点金属板4の中間部4Bを固定して、第2の外壁11Bには可動接点金属板6の非可動部分6Bを固定している。
【0038】
固定接点金属板4は、インサート成形して絶縁ケース2に固定している。固定接点金属板4は、先端部4Aを収納スペース20の底部13に埋設し、中間部4Bを収納スペース20の底部13から絶縁ケース2の第1の外壁11Aに埋設するようにインサート成形して、絶縁ケース2に固定している。図4と図5の固定接点金属板4は、収納凹部21の底部を閉塞する部分よりも、第1の外壁11Aに埋設される部分を高くするように段差部4Dを設けて、段差部4Dを絶縁ケース2の底部13に埋設して、段差部4Dの後端側を底部13の上面に露出させて、この露出部を固定接点5としている。
【0039】
ヒーター9は、通電されることによって発熱して、バイメタル8を加熱する。ヒーター9は、対向面を長円形あるいは長方形とする厚みのあるPTCヒーターで、上面と下面に電極を設けている。ただし、ヒーターには必ずしもPTCヒーターを使用する必要はなく、通電されてバイメタル8を加熱できる全てのヒーターを使用することができる。上下面に電極を設けているヒーター9は、下面を固定接点金属板4に接触して、上面をバイメタル8を介して可動接点金属板6に接触できるようにしている。このヒーター9は、可動接点金属板6の可動接点7が固定接点5に接触するオン状態では、可動接点金属板6とバイメタル8とが非接触状態となって通電されず、可動接点金属板6の可動接点7が固定接点5から離れてオフ状態となる状態では、可動接点金属板6に接触するバイメタル8と固定接点金属板4とを介して通電されて発熱し、バイメタル8を加熱する。加熱されるバイメタル8は、図5に示すように、可動接点7を固定接点5から離すオフ状態に保持する。この無通電タイプのブレーカは、オフ状態に切り換えられた状態で、可動接点7をオフ状態に保持するので、パック電池に安全に使用できる。それは、パック電池が異常な状態で使用されて設定温度よりも高くなり、無通電タイプのブレーカがオフに切り換えられた後は、パック電池の電池からヒーター9に通電され続けてバイメタル8が加熱されるので、ブレーカがオン状態に復帰することなく、電池が放電されるまで電流を遮断する状態に保持できるからである。
【0040】
バイメタル8は、加熱して変形するように、熱膨張率が異なる金属を積層したものである。バイメタル8は、ヒーター9と可動接点金属板6との間に配設され、加熱されて反転するように変形して、可動接点7を固定接点5から離してブレーカをオフ状態に切り換える。バイメタル8は、中央凸に湾曲する形状であって、熱変形しない状態、すなわち、可動接点7を固定接点5に接触させる状態では、図4に示すように、中央突出部を可動接点金属板6側に突出させる姿勢とし、熱変形して反転するように変形する状態では、図5に示すように、中央突出部をヒーター9側に突出させる姿勢となる。バイメタル8は、図5に示すように、熱変形して反転する状態では、中央突出部をヒーター9に接触させると共に、両端部分を可動接点金属板6に接触させて押圧し、可動部分6Aを押し上げて可動接点7を固定接点5から離してオフに切り換える。
【0041】
可動接点金属板6は、図4と図5に示すように、中間部分である非可動部分6Bを第2の外壁11Bの上端面に固定して、先端側の可動部分6Aを収納スペース20の内部に配設し、後端部を外装ケース1の外部に引き出して接続端子6Xとしている。可動接点金属板6は、非可動部6Bを接着して第2の外壁11Bの上端面に固定している。さらに、可動接点金属板6は、図4、図5、及び図8に示すように、第2の外壁11Bと外装金属板3とで非可動部6Bを挟着して第2の外壁11Bの上端面に固定している。図に示す無通電タイプのブレーカは、外装金属板3の一端部を、可動接点金属板6の非可動部分6Bに接触状態に積層している。したがって、外装金属板3を可動接点金属板6の接点として使用することもできる。ただ、可動接点金属板は、外装金属板との間を絶縁しながら積層することもできる。
【0042】
可動接点金属板6は、収納スペース20に配置される可動部分6Aを弾性変形できる金属板としている。さらに、可動接点金属板6は、この可動部分6Aの先端部であって固定接点5と対向する面に可動接点7を設けている。この可動接点金属板6は、バイメタル8が熱変形しない状態では、可動接点7が固定接点5に接触してオン状態となり、バイメタル8が熱変形する状態では、バイメタル8に押される可動部分6Aが弾性変形して、可動接点7が固定接点5から離れてオフ状態となる。図4と図5に示す無通電タイプのブレーカは、バイメタル8が熱変形しない状態で、可動接点7を確実に固定接点5に接触できるように、可動部分6Aの後端部を下方に押圧する押圧凸部23を外装金属板3の内面から突出して設けている。この可動接点金属板6は、可動部分6Aの後端部が押圧凸部23で下向きに押圧されることで、可動部分6Aの先端部が下方に付勢されて、先端の可動接点7を確実に固定接点5に接触させる。
【0043】
さらに、図4ないし図6の可動接点金属板6は、下面に突出部6Cを設けており、この突出部6Cにバイメタル8の両端部を接触させて互いに押圧するようにしている。図に示す突出部6Cは、外形を円弧状としており、バイメタル8の両端部を横方向に摺動させることなく確実に接触させて互いに押圧できるようにしている。図に示す可動接点金属板6は、バイメタル8の両端部と対向する下面に複数の突出部6Cを設けている。この構造は、幅のあるバイメタル8であっても確実に接触させて互いに押圧できる。
【符号の説明】
【0044】
1…外装ケース
2…絶縁ケース
3…外装金属板
4…固定接点金属板 4A…先端部
4B…中間部
4D…段差部
4X…接続端子
5…固定接点
6…可動接点金属板 6A…可動部分
6B…非可動部分
6C…突出部
6X…接続端子
7…可動接点
8…バイメタル
9…ヒーター
10…外周壁
11…外壁 11A…第1の外壁
11B…第2の外壁
12…対向壁
13…底部
14…突出部
15…連結リブ
16…係止凸部 16A…傾斜面
17…係止凹部
20…収納スペース
21…収納凹部
22…折曲側壁
23…押圧凸部
25…貫通孔
26…係止孔
27…係止片
105…固定接点
106…可動接点金属板
107…可動接点
108…バイメタル
204…固定接点金属板
205…固定接点
206…可動接点金属板
207…可動接点
208…バイメタル
209…ヒーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製の絶縁ケース(2)と外装金属板(3)とで形成してなる外装ケース(1)と、この外装ケース(1)の絶縁ケース(2)に固定してなる固定接点(5)を有する固定接点金属板(4)と、前記絶縁ケース(2)に固定されて、固定接点(5)と対向する位置に可動接点(7)を有する可動接点金属板(6)と、この可動接点金属板(6)をオンからオフに切り換えるバイメタル(8)と、このバイメタル(8)を加温するヒーター(9)とを備え、
前記外装金属板(3)と前記固定接点金属板(4)とは対向する位置にあって前記絶縁ケース(2)に固定され、前記固定接点金属板(4)と前記外装金属板(3)との間には、固定接点金属板(4)側から順番に、前記ヒーター(9)と、前記バイメタル(8)と、可動接点金属板(6)とを配置しており、
前記バイメタル(8)は中央凸に湾曲する形状であって、可動接点(7)を固定接点(5)に接触させる状態で中央突出部を可動接点金属板(6)側に突出させる姿勢で前記ヒーター(9)と前記可動接点金属板(6)との間に配設され、
前記絶縁ケース(2)は、両端部分に第1の外壁(11A)と第2の外壁(11B)とを突出して設けて、第1の外壁(11A)と第2の外壁(11B)との間には収納スペース(20)を設けて、この収納スペース(20)には、前記ヒーター(9)と前記バイメタル(8)と前記可動接点金属板(6)の可動部分(6A)を収納して、第1の外壁(11A)には前記固定接点金属板(4)の非可動部分(6B)を固定して、第2の外壁(11B)には前記可動接点金属板(6)の一部を固定しており、
さらに、前記外装金属板(3)は、絶縁ケース(2)にインサート成形されることなく、その両端部を第1の外壁(11A)と第2の外壁(11B)とに固定して、前記収納スペース(20)の開口部を閉塞しており、この外装金属板(3)を外側面に露出させる状態で前記絶縁ケース(2)の収納スペース(20)を閉塞してなる無通電タイプのブレーカ。
【請求項2】
前記外装金属板(3)の一端が、前記可動接点金属板(6)の非可動部分(6B)に接触状態に積層されて絶縁ケース(2)に固定されてなる請求項1に記載される無通電タイプのブレーカ。
【請求項3】
前記外装金属板(3)が、前記外壁(11)に接着され、又は外壁(11)に一体的に成形してなる連結リブ(15)を貫通させて外壁(11)に固定してなる請求項1または2に記載される無通電タイプのブレーカ。
【請求項4】
前記外装金属板(3)の表面に絶縁膜を設けてなる請求項1ないし3のいずれかに記載される無通電タイプのブレーカ。
【請求項5】
前記絶縁ケース(2)が、前記外装金属板(3)を連結する連結リブ(15)を前記外壁(11)の先端面から突出する形状に一体的に成形して設けており、前記外装金属板(3)は、絶縁ケース(2)に設けている連結リブ(15)を貫通させる貫通孔(25)を有し、連結リブ(15)が貫通孔(25)に挿通されて、外装金属板(3)が絶縁ケース(2)に固定されてなる請求項1ないし4のいずれかに記載される無通電タイプのブレーカ。
【請求項6】
前記外装金属板(3)の四隅部に前記貫通孔(25)を設けており、各々の貫通孔(25)に挿通される連結リブ(15)が前記絶縁ケース(2)の外壁(11)の先端面に設けてなる請求項5に記載される無通電タイプのブレーカ。
【請求項7】
前記外装ケース(1)の第2の外壁(11B)の先端面と前記外装金属板(3)との間に、前記可動接点金属板(6)の非可動部分(6B)を挟着して固定しており、
前記貫通孔(25)が、前記固定接点金属板(4)と前記可動接点金属板(6)の両外側に配設されてなる請求項6に記載される無通電タイプのブレーカ。
【請求項8】
前記絶縁ケース(2)が、収納スペース(20)の両側にあって第1の外壁(11A)と第2の外壁(11B)の間を連結する対向壁(12)を有し、この対向壁(12)と前記外壁(11)とで収納スペース(20)の外周壁(10)を構成しており、前記外装金属板(3)が、前記対向壁(12)の外面に沿うように折曲してなる折曲側壁(22)を両側に有し、この折曲側壁(22)と対向壁(12)とが係止構造で連結されてなる請求項1ないし7のいずれかに記載される無通電タイプのブレーカ。
【請求項9】
前記折曲側壁(22)と対向壁(12)の係止構造が、前記対向壁(12)の外側に設けてなる係止凸部(16)と、前記折曲側壁(22)に設けてなる前記係止凸部(16)を案内して係止してなる係止孔(26)である請求項8に記載される無通電タイプのブレーカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−248426(P2012−248426A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119600(P2011−119600)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(591016334)大塚テクノ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】