説明

無鉛高性能ガソリン、ガソリン基材及びガソリン基材の製造方法

【課題】蒸気圧の低い無鉛高性能ガソリン、該無鉛高性能ガソリンの基材として最適なガソリン基材及び該ガソリン基材の製造方法を提供すること。
【解決手段】70℃までの留出量が26〜40容量%であり、かつ、リード蒸気圧が60kPa以下であることを特徴とするリサーチ法オクタン価が96以上の無鉛高性能ガソリンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無鉛高性能ガソリン、ガソリン基材及びその製造方法に関し、特には蒸気圧の低い無鉛高性能ガソリン、該無鉛高性能ガソリンの基材として最適なガソリン基材及び該ガソリン基材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車排ガス中には大気汚染物質が含まれており、大気環境改善のために、その低減化が求められている。具体的には、エンジン排ガス中の窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び燃料の蒸発ガスなどがあり、ガソリン中の硫黄分が多いと、排出ガス処理触媒に悪影響を及ぼし、排出ガス中のNOx、CO、HCの濃度が高くなる可能性がある。また、燃料の蒸発ガスは光化学スモッグの原因となるオゾン生成に影響を及ぼすと考えられている。この燃料の蒸発ガスは自動車の燃料タンクを含む燃料系統から蒸発して大気中に放出されている。このため、硫黄分が少なく、かつ蒸発ガスの少ないガソリンが求められている。
【0003】
一般に、燃料からの蒸発ガスを低減することによってオゾン生成を低減するには、燃料の蒸気圧を低くし、オゾン生成性が高い成分である軽質炭化水素を除くことが考えられる。しかしながら、燃料の軽質分を少なくすると、自動車の始動性や暖気過程の加速性等の運転性能に悪影響が出るため、蒸気圧が低く、かつ自動車の運転性能に十分に優れたガソリンはないのが現状である。
【0004】
特許文献1には、特定の性状のガソリンに高い潤滑性能を有する化合物を含有させることにより、従来の性能に加え、更に燃費および出力特性が改良されたガソリン組成物が開示されているが、性能的に未だ改良の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−309274号公報(第2頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記観点からなされたもので、硫黄分が少なく、また蒸気圧が低く、かつ自動車の運転性能に優れた無鉛高性能ガソリン、ガソリンの製造に最適なガソリン基材及び該ガソリン基材の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく種々の研究を重ねた結果、
(1)70℃までの留出量が26〜40容量%であり、かつ、リード蒸気圧が60kPa以下であるリサーチ法オクタン価が96以上の無鉛高性能ガソリン、
(2)接触改質ガソリン基材30〜60容量%、流動接触分解ガソリン基材20〜40容量%及びアルキレートガソリン基材0〜30容量%を含有し、70℃までの留出量が26〜40容量%であり、かつ、リード蒸気圧が60kPa以下であるリサーチ法オクタン価が96以上の無鉛高性能ガソリン、
(3)脱硫重質ナフサを接触改質して得られる70℃までの留出量が14容量%以上である接触改質ガソリン基材及び該ガソリン基材を使用したリード蒸気圧が60kPa以下であるリサーチ法オクタン価が96以上の無鉛高性能ガソリン、
(4)脱硫重質ナフサを接触改質し、その後脱ベンゼン処理を行なった接触改質ガソリン基材であって、脱硫重質ナフサの初留点が75〜80℃である接触改質ガソリン基材及び該ガソリン基材を使用したリード蒸気圧が60kPa以下であるリサーチ法オクタン価が96以上の無鉛高性能ガソリン、
(5)脱硫重質ナフサを接触改質して得た接触改質ガソリン基材を第一の分留塔で軽質接触改質ガソリン基材Aと重質接触改質ガソリン基材Bに分留し、次いで該重質接触改質ガソリン基材Bを第二分留塔で中質接触改質ガソリン基材Cと重質接触改質ガソリン基材Dに分留し、さらに軽質接触改質ガソリン基材Aと重質接触改質ガソリン基材Dを混合して得る接触改質ガソリン基材であって、第一分留塔で軽質接触改質ガソリン基材Aのベンゼン濃度を0.5〜2.0容量%となるように分留し、第二分留塔で中質接触改質ガソリン基材Cのトルエン濃度を0.5容量%以下となるように分留した接触改質ガソリン基材及び該ガソリン基材を使用したリード蒸気圧が60kPa以下であるリサーチ法オクタン価が96以上の無鉛高性能ガソリン、
(6)流動接触分解ガソリンを脱ブタン塔にて脱ブタン処理を行った脱ブタン流動接触分解ガソリンをさらに分留塔で分留して得た軽質流動接触分解ガソリン基材であって、脱ブタン塔で脱ブタン流動接触分解ガソリン中に含まれる炭素数4の炭化水素濃度を2容量%以下となるように分留し、分留塔で軽質流動接触分解ガソリン基材の蒸留終点を85〜95℃となるように分留した軽質流動接触分解ガソリン基材及び該ガソリン基材を使用したリード蒸気圧が60kPa以下であるリサーチ法オクタン価が96以上の無鉛高性能ガソリン、
が上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の無鉛高性能ガソリンは、蒸気圧が低く、かつ自動車の運転性能に優れ、また本発明のガソリン基材は該無鉛高性能ガソリンの製造に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明における流動接触分解ガソリンの洗浄工程を示す概略図である。
【図2】本発明における流動接触分解ガソリンの洗浄工程を示す概略図である。
【図3】本発明における流動接触分解ガソリンの洗浄工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るガソリン組成物は、70℃までの留出量が26〜40容量%であり、かつ、リード蒸気圧が60kPa以下で、リサーチ法オクタン価が96以上の無鉛高性能ガソリンである。
70℃までの留出量とは、本発明に係る無鉛高性能ガソリンを室温から昇温していき、70℃に達するまでに留出する量をいう。本発明では、70℃までの留出量が26〜40容量%の範囲にある。26容量%未満であると始動性や暖気過程の運転性が低下することがあり、40容量%を超えると高温時の運転性が低下することがある。また、これらの観点からさらに70℃までの留出量が27〜32容量%の範囲にあることが好ましい。
【0011】
本発明に係る無鉛高性能ガソリンは、JIS K 2258に準拠して測定したリード蒸気圧が60kPa以下である。リード蒸気圧が60kPa以下であると、オゾン生成に影響を及ぼす軽質の炭化水素の蒸発を抑制することができる。
また、本発明のガソリン組成物は環境汚染を防止するとの観点から、ベンゼンの含有量を1容量%以下、芳香族含有量を35容量%以下、硫黄分含有量を10ppm以下とすることが好ましい。
【0012】
本発明の無鉛高性能ガソリンを製造する方法としては種々あるが、接触改質ガソリン基材30〜60容量%、軽質流動接触分解ガソリン基材20〜40容量%及びアルキレートガソリン基材0〜30容量%を含有させることで製造することができる。
その際に、接触改質ガソリン基材の70℃までの留出分は14容量%以上であることが好ましい。該留分が14容量%未満であると、低温時での始動性、暖気過程の加速性が低く、自動車の運転性能に劣る場合があるからである。
接触改質ガソリン基材(以下「PG」という)とは、炭素数5〜9程度の主として直鎖状の炭化水素からなるナフサ留分、特には炭素数7〜9の脱硫重質ナフサを、接触改質することで得られる。ここで接触改質反応の反応条件としては、通常反応温度450〜540℃、反応圧力0.3〜5MPa、使用する触媒としては、Pt,Pt−Re等の金属をアルミナ、ゼオライト等の酸化物担体に担持したものがある。
また、このようにして脱硫重質ナフサを接触改質した後、脱ベンゼン処理を行った脱ベンゼン接触改質ガソリン基材がより好ましい。
【0013】
PG中の70℃までの留出分を14容量%以上とするには、種々の方法があるが、例えば接触改質反応の原料である重質ナフサの初留点を軽質化することで達成される。通常重質ナフサの初留点は80〜90℃程度であるが、本発明においては、75〜80℃の範囲とすることが好ましい。
【0014】
また、別の方法としては、PGをさらに分留して、いくつかの留分に分け、これらの留分を組み合わせて、PG中の70℃までの留出分量をコントロールし、本発明に適したPGを製造することができる。
具体的には、脱硫重質ナフサを接触改質して得た接触改質ガソリン基材を第一の分留塔で軽質接触改質ガソリン基材Aと重質接触改質ガソリン基材Bに分留し、次いで該重質接触改質ガソリン基材Bを第二分留塔で中質接触改質ガソリン基材Cと重質接触改質ガソリン基材Dに分留し、さらに軽質接触改質ガソリン基材Aと重質接触改質ガソリン基材Dを混合して接触改質ガソリン基材を製造することが好ましい。ここで、第一分留塔で軽質接触改質ガソリン基材Aのベンゼン濃度を0.5〜2.0容量%となるように分留し、第二分留塔で中質接触改質ガソリン基材Cのトルエン濃度を0.5容量%以下となるように分留することが好ましく、この条件でPGを製造することにより、本発明の効果を奏する接触改質ガソリン基材が効率よく得られる。
【0015】
本発明にかかる無鉛高性能ガソリンは、前記PGを30〜60容量%含むことが好ましい。PGの含有量が30容量%未満では、オクタン価が低下する場合があり、60容量%を超えると、低温始動性が低下する場合がある。
【0016】
本発明のガソリンは、軽質流動接触分解ガソリン基材(以下「LFG」という場合がある。)を20〜40容量%の範囲で配合することが好ましい。20〜40容量%配合することで、低温始動性、暖気性等の実用性能に優れるという利点が得られる。この観点から該基材の配合量は、25〜35容量%の範囲がより好ましい。
軽質流動接触分解ガソリン基材とは、一般には軽油留分及び/又は重質留分を流動接触分解(以下「(R)FCC」という)装置で分解したガソリン留分のうち軽質の部分をいう。
ここで、(R)FCC装置とは、常圧重質軽油、減圧軽油、常圧残油などの重質留分を流動する触媒と高温で接触させ、重質留分を分解して、ガソリン留分を得る装置をいう。ここで使用する触媒としては、通常(R)FCC触媒として使用されるものであれば限定されないが、特にSiO2−Al23やゼオライト等の固体酸触媒が好適である。反応条件としては、反応温度450〜550℃、反応圧力0.1〜0.5MPa、接触時間0.1〜2秒、触媒/油比5〜20kg/kgの範囲が好ましい。また、(R)FCC装置では、流動する触媒が反応塔から連続的に抜き出され、再生塔にて空気燃焼により再生される。
【0017】
通常流動接触分解ガソリンは脱ブタン処理が行なわれるが、本発明においては、流動接触分解ガソリンを、脱ブタン塔で脱ブタン処理した脱ブタン流動接触分解ガソリンを、さらに分留塔で軽質流動接触分解ガソリンと重質流動接触分解ガソリンに分留することが好ましい。通常流動接触分解ガソリンに含まれるマーカプタン硫黄分を除去するために、苛性ソーダ洗浄処理が用いられるが、図1〜図3に示すように、脱ブタン流動接触分解ガソリンを分留塔で分留する前に苛性ソーダ洗浄処理する方法(図1)、分留塔で分留した軽質流動接触分解ガソリン基材(LFG)と重質流動接触分解ガソリン基材(HFG)をそれぞれ苛性ソーダ処理する方法(図2)、軽質流動接触分解ガソリン基材と重質流動接触分解ガソリン基材をそれぞれ処理する場合、分留塔をバイパスした脱ブタン流動接触分解ガソリンの一部を重質流動接触分解ガソリンと混合して、苛性ソーダ洗浄処理する方法(図3)等があるが、本発明においてはいずれのケースを用いてもよく、設備コスト、処理効率、要求製品性状等により、いずれかのケースが選択される。尚、初期投資コストを削減するとの観点からは図1に示す方法が好ましい。
本発明においては、軽質流動接触分解ガソリン基材を使用することが好ましく、特に、脱ブタン塔で、脱ブタン流動接触分解ガソリン中に含まれる炭素数4の炭化水素濃度を2容量%以下となるように分留し、分留塔で軽質流動接触分解ガソリン基材の蒸留終点を85〜95℃となるように分留して得た軽質流動接触分解ガソリン基材が好適に使用される。
【0018】
また、本発明にかかる無鉛高性能ガソリンでは、30容量%以下の範囲内でアルキレートガソリン基材(以下「ALK」と記載する場合がある。)を配合することが好ましい。該留分が30容量%以上では製造コストの適正化の点から好ましくなく、また、低温始動性、暖気性等の実用性に優れるという観点からアルキレートガソリン基材の含有量は5〜25容量%の範囲がより好ましい。
ここで、アルキレートガソリン基材とはアルキル化反応によって得られるイソパラフィン留分に富む高オクタン価の基材をいう。
【実施例】
【0019】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)夏場低温時(20℃)での加速性評価試験
排気量660cc、キャブレター仕様の自動車エンジンを用い、室温20℃にてエンジンをスタートさせ、アイドリングを10秒間保った後に、アクセル開度を日本の排出ガス試験の走行モードである「11モード」における最初のアクセル開度と同じとし、エンジン回転数3500rpmに到達するまでの時間(秒)で評価した。この時間が短いほど燃料の加速応答性が良好である。
【0020】
各種基材の製造方法
製造実施例1(PGの製造方法)
初留点75.5℃の脱硫重質ナフサを反応温度506℃、反応圧力0.75MPaの条件で改質し、第一分留塔で軽質接触改質ガソリン基材Aのベンゼン濃度が0.4容量%となるように分留し、第二分留塔で中質接触改質ガソリン基材Cのトルエン濃度を0.5容量%となるように分留し、さらに軽質接触改質ガソリン基材Aと重質接触改質ガソリン基材Dを混合して、第1表に示す性状を有するPG(1)を得た。
【0021】
製造実施例2(PGの製造方法)
初留点80℃の脱硫重質ナフサを反応温度508℃、反応圧力0.75MPaの条件で改質し、第一分留塔で軽質接触改質ガソリン基材Aのベンゼン濃度を1.5容量%となるように分留し、第二分留塔で中質接触改質ガソリン基材Cのトルエン濃度を0.5容量%となるように分留し、さらに軽質接触改質ガソリン基材Aと重質接触改質ガソリン基材Dを混合して第1表に示す性状を有するPG(2)を得た。
【0022】
製造実施例3(PGの製造方法)
初留点75.5℃の脱硫重質ナフサを反応温度506℃、反応圧力0.75MPaの条件で改質し、第一分留塔で軽質接触改質ガソリン基材Aのベンゼン濃度を1.5容量%となるように分留し、第二分留塔で中質接触改質ガソリン基材Cのトルエン濃度を0.5容量%となるように分留し、さらに軽質接触改質ガソリン基材Aと重質接触改質ガソリン基材Dを混合して第1表に示す性状を有するPG(3)を得た。
【0023】
製造実施例4(LFGの製造方法)
流動接触分解装置から得られる流動接触分解ガソリンを脱ブタン塔にて脱ブタン処理を行った。脱ブタン塔では脱ブタン流動接触分解ガソリン中に含まれる炭素数4の炭化水素濃度が1.9容量%となるように分留した。脱ブタン処理された流動接触分解ガソリン(脱ブタンFG)を分留塔で分留し、軽質流動接触分解ガソリンLFG(1)を得た。分留塔は軽質流動接触分解ガソリンの蒸留終点が90℃となるように制御した。
【0024】
製造比較例1(PGの製造方法)
初留点80℃の脱硫重質ナフサを反応温度507℃、反応圧力0.75MPaの条件で改質し、第一分留塔で軽質接触改質ガソリン基材Aのベンゼン濃度を0.4容量%となるように分留し、第二分留塔で中質接触改質ガソリン基材Cのトルエン濃度を0.4容量%となるように分留し、さらに軽質接触改質ガソリン基材Aと重質接触改質ガソリン基材Dを混合して第1表に示す性状を有するPG(4)を得た。
【0025】
製造実施例5(アルキレートガソリン基材の製造方法)
(R)FCC装置から副生する炭素数4のオレフィン類とイソブタン濃度36容量%を含有する炭素数4のパラフィン類を硫酸の存在下で混合した。反応温度8℃、反応圧力0.4MPaの条件でアルキル化反応を行い、第1表に示す性状を有するALKを得た。
【0026】
製造比較例2(LFGの製造方法)
脱ブタン塔は脱ブタン流動接触分解ガソリン中に含まれる炭素数4の炭化水素濃度が4.7容量%となるように、分留塔は軽質流動接触分解ガソリンの蒸留終点が100℃となるように制御したこと以外は製造例4と同様にLFG(2)を製造した。
【0027】
【表1】

【0028】
実施例1
製造実施例1に従って製造したPG(1)49.0容量%、製造実施例4に従って製造したLFG(1)32.0容量%及び製造実施例5に従って製造したALK19.0容量%を混合し、第2表に示す性状を有するガソリン組成物を製造した。夏場低温時(20℃)での加速性について評価した。評価結果を第2表に示す。
【0029】
実施例2
製造実施例2に従って製造したPG(2)49.0容量%、製造実施例4に従って製造したLFG(1)30.0容量%及び製造実施例5に従って製造したALK21.0容量%を混合し、第2表に示す性状を有するガソリン組成物を製造した。評価結果を第2表に示す。
【0030】
実施例3
製造実施例3に従って製造したPG(3)50.0容量%、製造実施例4に従って製造したLFG(1)30.0容量%及び製造実施例5に従って製造したALK20.0容量%を混合し、第2表に示す性状を有するガソリン組成物を製造した。評価結果を第2表に示す。
【0031】
比較例1
製造比較例1に従って製造したPG(4)48.0容量%、製造実施例5に従って製造したALK20.0容量%及び製造比較例2に従って製造したLFG(2)32.0容量%を混合し、第2表に示す性状を有するガソリン組成物を製造した。評価結果を第2表に示す。
【0032】
比較例2
製造比較例1に従って製造したPG(4)51.0容量%、製造実施例5に従って製造したALK21.0容量%及び製造比較例2に従って製造したLFG(2)28.0容量%を混合し、第2表に示す性状を有するガソリン組成物を製造した。評価結果を第2表に示す。
【0033】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の無鉛高性能ガソリンは、蒸気圧が低く、かつ自動車の運転性能に優れ、また本発明のガソリン基材は該無鉛高性能ガソリンの製造に好適である。
【符号の説明】
【0035】
1:脱ブタン塔
2:苛性ソーダ洗浄塔
3:再蒸留塔
4:バイパス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動接触分解ガソリンを脱ブタン塔にて脱ブタン処理を行った脱ブタン流動接触分解ガソリンをさらに分留塔で分留して得た軽質流動接触分解ガソリン基材であって、脱ブタン塔で脱ブタン流動接触分解ガソリン中に含まれる炭素数4の炭化水素濃度を2容量%以下となるように分留し、分留塔で軽質流動接触分解ガソリン基材の蒸留終点を85〜95℃となるように分留することを特徴とする軽質流動接触分解ガソリン基材。
【請求項2】
請求項1に記載の軽質流動接触分解ガソリン基材20〜40容量%及びアルキレートガソリン基材0〜30容量%を含有し、70℃までの留出量が26〜40容量%であり、かつ、リード蒸気圧が60kPa以下であるリサーチ法オクタン価96以上の無鉛高性能ガソリン。
【請求項3】
硫黄分含有量が10ppm以下である請求項2記載のリサーチ法オクタン価96以上の無鉛高性能ガソリン。
【請求項4】
流動接触分解ガソリンを脱ブタン塔にて脱ブタン処理を行った脱ブタン流動接触分解ガソリンをさらに分留塔で分留する軽質流動接触分解ガソリン基材の製造方法であって、脱ブタン塔で脱ブタン流動接触分解ガソリン中に含まれる炭素数4の炭化水素濃度を2容量%以下となるように分留し、分留塔で軽質流動接触分解ガソリン基材の蒸留終点を85〜95℃となるように分留することを特徴とする軽質流動接触分解ガソリン基材の製造方法。
【請求項5】
前記脱ブタン流動接触分解ガソリンを分留塔で分留する前に苛性ソーダ洗浄処理することを特徴とする請求項4記載の軽質流動接触分解ガソリン基材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−95733(P2010−95733A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19382(P2010−19382)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【分割の表示】特願2003−160508(P2003−160508)の分割
【原出願日】平成15年6月5日(2003.6.5)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】