説明

無電極放電ランプおよび流体処理装置

【課題】
誘導コイルの変形が生じにくい無電極放電ランプおよびこれを備えた流体処理装置を提供する。
【解決手段】
無電極放電ランプELDは、放電媒体を封入した放射透過性の放電容器1と、放電容器1の外周に装着された誘導コイルICと、誘導コイルICのコイルターン2の一部を放電容器1の外面に固定する誘導コイル固定手段CFとを具備している。
誘導コイル固定手段CFは、例えば放電容器1と同一材料の溶着や接着などによりコイルターン2の2箇所または3箇所などを固定することによって構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電極放電ランプおよびこれを備えた流体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直管形の無電極放電容器から離間した位置において互いに絶縁された状態で無電極放電容器の長手方向に沿って延在する少なくとも一対の誘導コイル支持バーを配設して、無電極放電ランプの周囲に配設した1個または複数個の誘導コイルの両端を接続した無電極放電ランプは既知である(特許文献1参照。)。特許文献1によれば、誘導コイルのリード線を短くすることができるので、誘導コイルが不用意に動くことがない、誘導コイルを複数用いる場合、全て同一構造にすることができる、放電容器の両端に環状体を配設して環状体を介して絶縁性部材により無電極放電容器および誘導コイル支持バーを支持することにより誘導コイルを含めて3者を一体化して取扱いを容易にすることができるなどの利点がある。要するに、特許文献1において、誘導コイルは、その両端を誘導コイル支持バーに接続することによって無電極放電容器の周囲に巻回した状態で支持される。
【特許文献1】特開平11−073927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記のように支持されている誘導コイルの場合、その自重や作動中の温度上昇による熱膨張などのためにたわみ、そのたわみが大きいと各コイルターンが変形してしまう。このように誘導コイルが変形すると、ランプ特性が大きく変化し、その結果不点や照度不足を生じるという問題のあることが分かった。
【0004】
本発明は、誘導コイルの変形が生じにくい無電極放電ランプおよびこれを備えた流体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の無電極放電ランプは、放電媒体を封入した放射透過性の放電容器と;放電容器の外周に装着された誘導コイルと;誘導コイルのコイルターンの一部を放電容器の外面に固定する誘導コイル固定手段と;を具備していることを特徴としている。
【0006】
本発明においては、誘導コイルのコイルターンの一部(例えば、180°間隔で2箇所または120°間隔で3箇所など)を放電容器の外面に固定することで、誘導コイルの自重や作動中の温度上昇による熱膨張などのために、点灯中のたわみが大きくても誘導コイルの変形を防止することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、誘導コイルがその自重や作動中の温度上昇による熱膨張などのために、たわみが大きくても変形しにくいので、不点や照度不足を生じることのない無電極放電ランプおよびこれを備えた流体処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0009】
図1ないし図3は、本発明の無電極放電ランプを実施するための一形態を示し、図1は要部の構成を概念的に説明する要部略図、図2は正面一部断面図、図3(a)は誘導コイルの拡大平面図、図3(b)は同じく一部切欠拡大正面図である。本形態において、無電極放電ランプELDは、発光管LT、誘導コイルIC、誘導コイル固定手段CF、外管OT、上部基体UBおよび下部基体LBを具備している。
【0010】
〔発光管LTについて〕 発光管LTは、放電容器1および放電媒体を備えている。 (放電容器1について) 放電容器1は、密閉された容器で、内部に放電媒体を封入することによって、放電媒体を包囲する放電空間1aを画成する。そして、放電により発生する放射のうち利用しようと企図する波長の放射、例えば紫外線を外部へ取り出すために、上記放射に対する透過性を有している。したがって、放電容器1は、利用しようとする波長に対する波長選択性の透過率特性または当該波長を含む連続的な透過率特性を有している。また、特定波長域の放射に対する透過性は、放電容器1の全体が備えていてもよいが、放射を導出しようとする部位のみが備えているのでもよい。さらに、放電容器1の構成材料としては、放電媒体が紫外線放射性の場合には石英ガラス、フッ化マグネシウムなどの紫外線透過性物質を用いることができるが、また可視光放射性の放電媒体の場合には可視光透過性物質を用いることができる。
【0011】
また、放電容器1は、その内部に放電空間1aが形成されていれば、その余の構造は限定されない。例えば、直管状、筒状、有底筒状など所望の形状を採用することが許容される。しかし、後述するように、放射、例えば紫外線の発生量を多くすることができることから、放電容器1は、その管軸方向に細長く形成されているのが好適である。また、放電容器1の大きさは、投入する電力に応じて適当な値に設定すればよい。なお、放電容器1が直管状の場合、横断面は円形などの適当な形状であることを許容し、図1に示すように、管軸方向に長い柱状の放電空間1aを内部に形成する。また、放電容器1が筒状の場合、横断面が環状をなすとともに、管軸方向に長い柱状すなわち環柱状なしている放電空間を内部に形成する。さらに、放電容器1が有底筒状の場合、横断面が環状をなすとともに、中央縦断面がU字状をなした放電空間を形成する。
【0012】
さらに、放電容器1は、その内部に放電媒体を封入するために、放電容器1の内部に連通する排気管(図示しない。)を放電空間1aから外部へ突出するように付設することができる。また、放電媒体の蒸気圧を最適値に制御するために、この排気管を最冷部として利用することができる。この場合、最冷部が外管の外部へ露出するように最冷部を放電容器の管軸方向に沿って突出させるのが好ましい。そうすれば、最冷部を空冷、液冷またはペルチエ素子による冷却などを用いて所望に冷却しやすくなる。
【0013】
さらにまた、放電容器1は、それ自体を所定の位置に保持するために、適当な保持部材1bを備えていることが許容される。本形態において、保持部材1bは、図1に示すように放電容器1の管軸方向両端の中心位置にそれぞれガラス溶着によって形成され、放電容器より小径で、かつ、短い管状突起からなる。
【0014】
図1に示す形態において、放電容器1は、石英ガラスからなり、両端が閉鎖された円筒体形状に形成され、両端面の中心部に一対の保持部材1b、1bを一体に備えた構造である。
【0015】
さらにまた、放電容器1は、単一の無電極放電ランプELDにおいて、その1個または複数個を具備することができる。複数個の放電容器1を具備する場合、例えば共通の外管OTの内部に複数個の放電容器を隣接して収納することができる。
【0016】
(放電媒体について) 放電媒体は、無電極放電によって所望の放射を発生させるための媒体であり、放電容器1内に封入されている。本発明においては放電媒体の具体的な物質は特段限定されない。例えば、紫外線を発生させる場合、水銀および希ガスをもって放電媒体を構成することができる。この場合、水銀は、主として波長254nmの紫外線を放射する。なお、水銀蒸気圧は、放電容器に付設した排気管を最冷部として利用することで制御することができる。希ガスは、始動ガスおよび緩衝ガスとして作用する。
【0017】
〔誘導コイルICについて〕 誘導コイルICは、高周波誘導磁界を発生して放電容器1内の放電媒体と磁気結合する手段であり、その結果、放電媒体中に生じる2次誘導電流により放電、例えば水銀蒸気放電を生起させる。すなわち、誘導コイルICの内部に高周波電流が通流したときに生じる高周波磁束が放電媒体中を貫通した際に、当該磁束の周囲の放電媒体中に2次電流が誘導されることで、放電媒体がリング状に放電して放射、例えば紫外線が生じる。
【0018】
また、誘導コイルICは、導電線条を巻回して形成された複数のコイルターン2を有し、複数のコイルターン2の内側に放電容器1が位置するように放電容器1の外側を包囲している。なお、コイルターン2は、1巻きのコイル部分からなる。各誘導コイルICのコイルターン数をそれぞれ4〜10程度とすることが好ましい。放電により発生する放射の量を多くするために放電容器1をその管軸方向に細長く形成する場合、複数の誘導コイルICを管軸方向に互いに離間して配設することができる。
【0019】
さらに、誘導コイルICを複数個用いる場合、それぞれの誘導コイルICを並列または直列に接続して高周波電源に接続することができる。
【0020】
図2に示す形態において、誘導コイルICは、それぞれコイルターン数が7のもの4個を、放電容器1の管軸方向にそって隣接して配置するとともに、放電容器1の管軸に沿い、かつ、互いに平行に配置された一対の給電バー3A、3B(図2において、3Bは3Aの裏に隠れている。)に並列接続し、かつ、支持されている。また、一対の給電バー3A、3Bは、後述する一対の受電端子5A、5Bを経由して図示しない高周波電源に接続する。なお、誘導コイルICは、一対の給電バー3A、3Bに対する接続を容易にするために、図3に示すように、その両端がコイルターン2から外方へ折曲されるとともに、扁平に加工され、かつ、通孔4が形成されている。さらに、給電バー3A、3Bは、図2において、放電容器1の右側で紙面と直交する方向に平行に配置され、かつ、放電容器1の管軸方向に沿って延在している。
【0021】
〔誘導コイル固定手段CFについて〕 誘導コイル固定手段CFは、誘導コイルICのコイルターン2の一部を放電容器1の外面に固定するための手段である。誘導コイルICのコイルターン2の一部を放電容器1の外面に固定する態様を大別すれば、次の2とおりである。すなわち、誘導コイルICを分離不可能に固着する態様および分離可能に固定する態様であり、本発明においてはそのいずれであってもよい。
【0022】
前者の態様の誘導コイル固定手段CFとしては、例えば誘導コイルICを放電容器1に溶着する構成または接着する構成を採用することができる。しかし、コイルターンを放電容器1に固着する場合、点灯中強い紫外線などの放射と高温とに曝されるので、これらに対する耐久性に優れるとともに、放射をなるべく遮断しないためには、溶着する構成が好ましい。また、溶着するためには、放電容器1と同一材料、例えば石英ガラスからなる誘導コイル固定手段CFを採用するのが好ましい。さらに詳述すれば、誘導コイルICのコイルターン2の固定予定箇所において、コイルターンを両側から挟むように一対の突起を放電容器1の外面に形成し、それらの突起間にコイルターン2を嵌めてから、バーナーなどの加熱手段を用いて一対の突起を加熱し、溶融させてコイルターン2の上で互いに橋絡させる。そうすれば、溶着して誘導コイルICが分離不能に放電容器1に固着された誘導コイル固定手段CFが形成される。また、誘導コイルICを放電容器1に接着する場合、無機質接着剤を用いて接着するのがよい。
【0023】
後者の態様の誘導コイル固定手段CFとしては、例えば放電容器1の外面に係止突起を形成して、この係止突起に誘導コイルICを係止させる構成を採用することができる。例えば、放電容器1の管軸を垂直にして点灯する場合、誘導コイルICのコイルターンの下部を支承することで誘導コイルICが係止されるように係止突起を形成すればよい。また、コイルターンの両側部を、対をなす係止突起で挟むように構成すれば、点灯位置の如何にかかわらず誘導コイルICを着脱可能に固定することができる。これらの場合の係止突起も上記と同様の理由で放電容器1と同一材料をもって形成するのが好ましい。しかし、所望により非同一の無機質材料を用いて係止突起を形成することもできる。
【0024】
また、放電容器1の外面には格別の加工を施さなくても誘導コイルICのコイルターン2の一部を放電容器1の外面に固定するようにした誘導コイル固定手段CFを採用することもできる。例えば、誘導コイルICの変形を利用してコイルターン2の一部が放電容器1に外面に圧接して係止されるように構成したり、誘導コイルICのコイルターン2の少なくとも放電容器1の外面に固定しようとする個所の側面をシャープな形状に加工して当該シャープな形状部分が放電容器1の外面に係止するように構成したりすることができる。この場合、放電容器1を垂直点灯すれば、誘導コイルICの自重により放電容器1の外面に対する係止力が作用するので、係止しやすくなる。また、誘導コイルICのコイルターンの変形を利用する構成と組み合わせると、さらに効果的である。
【0025】
誘導コイルICを放電容器1の外面に固定するためにコイルターン2を固定する位置すなわち誘導コイル固定手段CFの配設位置は、例えば管軸を中心として180°間隔でコイルターンの2箇所としたり、120°間隔で3箇所としたりすればよい。しかし、所望により1箇所または4箇所以上に配設することもできる。また、全てのコイルターン2を上記のように誘導コイル固定手段CFを配設して固定するのが好ましいが、所望により一部のコイルターン2を誘導コイル固定手段CFで固定し、残余のコイルターン2には誘導コイル固定手段CFを配設しないことも許容される。
【0026】
図1および図2に示す形態においては、放電容器1の管軸を中心として180°間隔でコイルターンの2箇所に誘導コイル固定手段CFを配設して誘導コイルICを固定し、さらに給電バー3A、3Bが2つの誘導コイル固定手段CFの中間に配置されることによって、4個の誘導コイルICが所定間隔で支持されている。
【0027】
本発明において、外管OT、上部基体UBおよび下部基体LBは、必須の構成要素ではないが、図2に断面で示すように所望により具備することができるので、以下これらについて説明する。
【0028】
〔外管OTについて〕 外管OTは、発光管LTおよび誘導コイルICをその内部に収納して、これら収納部材を機械的に保護したり、これら収納部材が被照射処理流体に接触しないように保護する手段として作用したりする。したがって、外管OTは、発光管LTからの放射に対して少なくとも所望の部位が透過性の材料、例えば石英ガラスや透光性セラミックスなどを用いて構成される。
【0029】
また、外管OTは、図2に示すように有底筒状体または図示しないが両端開放の筒状体を用いて構成することができる。なお、前者の場合、外管OTの底部は半球状をなしている。また、後者の場合には、少なくとも一端を端部部材で閉鎖してシールする。
【0030】
〔上部基体UBについて〕 上部基体UBは、絶縁性材料を主体として構成され、後述する下部基体LBと協働して発光管LTを所定の位置に支持するとともに、一対の受電端子5A、5Bを装着して備え、かつ、一対の給電バー3を所定位置になるように支持する。
【0031】
また、上部基体UBは、発光管LTを外管OTの中心位置に支持するために、放電容器1の上部側の保持部材1bを受容して位置決めするための凹部6を図2において下向きに有している。一対の受電端子5A、5Bは、上部基体UBの図2において上面に植立して装着されている。そして、一方の受電端子5Aは、一方の給電バー3Aに上部基体UBの上面で接続している。他方の受電端子5Bは、図2において放電容器1の左側に沿って延在する接続導体7および中継端子8を経由して後述する下部基体LBの下面において他方の給電バー3Bに接続している。
【0032】
〔下部基体LBについて〕 下部基体LBは、絶縁性材料を主体として構成され、放電容器1の図2において下部側の保持部材1bを受容する凹部9を上向きに有しているとともに、中継端子8およびばね性位置決め部材10を備えている。中継端子8は、下部基体LBの下面に装着されている。ばね性位置決め部材10は、下部基体LBの下面中央部に装着されて外管OTの底部内面に弾力的に圧接している。このため、放電容器1を、その管軸方向の伸縮を許容して支持する。
【0033】
図4および図5は、本発明の流体処理装置を実施するための一形態を示し、図4は一部断面正面図、図5は無電極放電ランプの要部断面図である。各図において、図1ないし図3と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。本形態において、流体処理装置は、流体処理装置本体11と、無電極放電ランプELDとを具備している。
【0034】
〔流体処理装置本体11について〕 流体処理装置本体11は、その内部に被処理流体が矢印で示す方向に通流するように構成されている。したがって、符号11aで示す一端が被処理流体の流入端であり、符号11bで示す他端が流出端である。流体処理装置本体11の内部に通流する被処理流体は、どのような流体すなわち液体および気体であってもよいが、例えば水であり、後述する無電極放電ランプELDからの紫外線照射により殺菌処理される。なお、被処理流体が水からなる場合、後述する理由により冷水および温水のいずれであってもよい。
【0035】
〔無電極放電ランプELDについて〕 無電極放電ランプELDは、被処理流体に対して放射を照射するように流体処理装置本体11に配設されている。例えば、無電極放電ランプELDは紫外線を放射し、紫外線を被処理流体の水に照射してこれを殺菌する。また、無電極放電ランプELDは、例えば図1ないし図3に示す構造を具備しているものを採用することができるが、さらに加えて以下の構成を備えている。すなわち、図4に概念的に示し、また図5に具体的に示すように、取付基体12、最冷部13および最冷部冷却手段14を付設している。なお、図4において、符号15は無電極放電ランプELDと高周波電源との間を接続する配線である。
【0036】
(取付基体12について) 取付基体12は、無電極放電ランプELDを流体処理装置本体11に流体シールをして取り付ける手段であり、全体としてキャップ状をなし、外管OTの取付座12a、流体シール支持機構12b、装着フランジ12cおよび挿通口12dを備えている。
【0037】
外管OTの取付座12aは、取付基体12のキャップ状部分の周縁部に形成されていて、取付基体12のキャップ状部分に無電極放電ランプELDの外管OTおよび上部基体UBの外管OTからの突出部を受け入れたときに、外管OTの上端を定置する。
【0038】
流体シール支持機構12bは、テーパー座12b1、Oリング12b2、押圧リング12b3およびボルト12b4からなる。テーパー座12b1は、取付座12aの周縁に形成されている。Oリング12b2は、取付座12aにて定置された無電極放電ランプELDの外管OTの外面とテーパー座12b1との間を液密にシールする。押圧リング12b3は、Oリング12b2をテーパー座12b1向かって押圧する。ボルト12b4は、押圧リング12b3をOリング12b2に対して押圧力を作用させながら取付基体12に取り付ける。そうして、流体シール支持機構12bは、無電極放電ランプELDを取付基体12に流体シールを施しながら支持する。
【0039】
装着フランジ12cは、取付基体12の外周から円盤状に突出するように周縁に形成されていて、かつ、適数個の取付孔12c1を有している。そして、取付孔12c1を利用して装着フランジ12cを流体処理装置本体11に取り付けることにより、無電極放電ランプELDを流体処理装置本体11に流体シールを施して装着することができる。
【0040】
挿通口12dは、後述する最冷部13を取付基体12の図5において上側へ露出させる際に最冷部13を通過させるために形成され、その通過後には蓋体12d1によって閉鎖される。
【0041】
(最冷部13について) 最冷部13は、図5に示すように、細長い石英ガラス管からなり、基端が放電容器1の図において上端に、放電容器1の内部に連通するように気密に接合し、かつ、先端が閉鎖されており、全体として逆L字状をなしている。なお、図5は、図2の断面に直交する断面を示している。
【0042】
また、最冷部13は、上部基体UBに形成した通孔12eおよび取付基体12の挿通口12dを通過して取付基体12の上側へ露出する。このため、無電極放電ランプELDが流体処理装置本体11内に装置されていても被処理流体の温度の影響を受けなくなる。
【0043】
(最冷部冷却手段14について) 最冷部冷却手段14は、最冷部13を所望に制御するための手段であり、空冷、液冷およびペルチエ素子による冷却など既知の冷却手段を適宜選択的に用いて最冷部13を所望に冷却して放電媒体の蒸気圧を最適値に制御することができる。
【0044】
図5に示す形態において、最冷部冷却手段14は、次のように構成されている。すなわち、最冷部冷却手段14は、空気室14aおよび冷却空気導入手段14bを備えている。空気室14aは、取付基体12の上面にボルト14a1により取り付けて配設され、最冷部13をその内部に収納している。また、空気室14aは、蓋14a2および空気排出窓14a3を有している。蓋14a2は、空気室14aの内部を点検するなどの際に利用することができる。空気排出窓14a3は、冷却した後の空気を外部へ排出する。冷却空気導入手段14bは、エアチューブを備えていて、外部の冷却空気取り入れ部から取り入れた冷却空気を空気室14aの内部に導入し、図示を省略しているノズルから最冷部13に向けて冷却空気を吹き付けて、最冷部13を所要の程度に冷却する。
【0045】
〔流体処理装置の動作について〕 流体処理装置は、流体処理装置本体11内を被処理流体、例えば水が図4において矢印方向に通流する際に、無電極放電ランプELDから発生した放射、例えば紫外線の照射を受けることにより、処理、例えば殺菌処理が行われる。
【0046】
無電極放電ランプELDの最冷部13が流体処理装置本体11の外部側に露出しているので、被処理流体の温度に影響されることがなくなり、しかも最冷部冷却手段14を用いることで最冷部温度を最適値に維持することが容易になる。
【0047】
なお、被処理流体の流入側における無電極放電ランプELDの端部が半球状ないし砲弾状をなしていることにより、当該端部近傍を被処理流体が流れる際に渦流が発生しにくくなるので、処理効率の不所望な低下を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の無電極放電ランプを実施するための一形態における要部の構成を概念的に説明する要部略図
【図2】同じく正面一部断面図
【図3】同じく誘導コイルを示し、図3(a)は拡大平面図、図3(b)は一部切欠拡大正面図
【図4】本発明の流体処理装置を実施するための一形態を示す一部断面正面図
【図5】同じく無電極放電ランプの要部断面図
【符号の説明】
【0049】
1…放電容器、1a…放電空間、1b…保持部材、2…コイルターン、3A、3B…給電バー、5A、5B…受電端子、6…凹部、7…接続導体、8…中継端子、9…凹部、10…ばね性位置決め部材、CF…誘導コイル固定手段、IC…誘導コイル、LB…下部基体、LT…発光管、UB…上部基体、OT…外管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電媒体を封入した放射透過性の放電容器と;
複数のコイルターンを有して放電容器の外周に配設された誘導コイルと;
誘導コイルのコイルターンの一部を放電容器の外面に固定する誘導コイル固定手段と;
を具備していることを特徴とする無電極放電ランプ。
【請求項2】
内部に被処理流体が通流する流体処理装置本体と;
内部に通流する被処理流体を照射するように流体処理装置本体に配設された請求項1記載の無電極放電ランプと;
を具備していることを特徴とする流体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−196371(P2006−196371A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8098(P2005−8098)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】