説明

無電極放電灯および照明器具

【課題】高出力設計においてコンパクトにすることができる無電極放電灯を提供する。
【解決手段】無電極放電灯は、第1の無電極放電ランプ1および第2の無電極放電ランプ2の2つのランプと、当該2つのランプに高周波電力をそれぞれ供給する点灯回路41とを備える。第1の無電極放電ランプ1は、管軸が円形となる形のループ管状に形成された第1バルブ10と、点灯回路41に接続され高周波電磁界を形成する第1誘導コイルとを備える。第2の無電極放電ランプ2は、電球形状に形成される第2バルブ20と、点灯回路41に接続され第2バルブ20内に高周波電磁界を形成する第2誘導コイル21とを備える。第2の無電極放電ランプ2は、第1バルブ10を貫く形で配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電極放電灯および照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、バルブと誘導コイルとを備える無電極放電ランプと、無電極放電ランプを点灯させる点灯回路とを備える無電極放電灯が提供されている。バルブは、内部に希ガスおよび水銀からなる放電ガスが封入され、また、内面に蛍光体膜が形成されている。
【0003】
点灯回路により誘導コイルに高周波電流が通電されると高周波電磁界が形成されバルブ内において希ガスによる放電が開始され、次いで水銀による放電が生じる。放電が生じると放電により水銀が励起され紫外線が放出される。放出された紫外線は蛍光体膜により可視光に変換される。
【0004】
無電極放電ランプは誘導コイルを用いてバルブ内に放電を発生させるから、熱陰極を備える蛍光ランプのように放電を発生させるための電極を有さず、無電極放電ランプは電極の劣化による不点灯が起きない。したがって、無電極放電ランプは熱陰極を備える蛍光ランプより長寿命である。
【0005】
無電極放電ランプには、バルブを電球形状に形成したもの(例えば、特許文献1参照)や、バルブを管状に形成し、管軸が円形や長円形(トラック状)の閉ループを形成するようにした(以下、閉ループ管状と呼ぶ)ものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
熱陰極を備える蛍光ランプにおいては、管の直径(以下、管径と呼ぶ)は発光効率の観点から約25mmまたはそれ以下に形成され、一方、バルブを閉ループ管状に形成した無電極放電ランプにおいては、発光効率の観点から管径は約50mmに形成される。
【0007】
したがって、例えば、光出力が1万ルーメン以上となるような高出力の場合、バルブを閉ループ管状に形成した無電極放電ランプと、同様な形状にバルブを形成した環型蛍光ランプとを比較すると、管径が大きい分、無電極放電ランプの方が管軸方向の長さ寸法が小さくなる。
【0008】
ここに、照明器具が備える灯体であって一端が開口する箱状の灯体内に無電極放電ランプや環型蛍光ランプを取り付けた場合であって、ランプを灯体の開口面に投影した形状における外形線に囲まれる面積を「ランプ面積」とし、バルブの管軸が形成する閉ループを含む平面が灯体の開口に平行になるように無電極放電ランプを灯体に取り付け、また、同様に環型蛍光ランプを灯体に取り付けた場合において両者のランプ面積を比較すると、光出力が高出力であると無電極放電ランプの方が管軸方向の長さ寸法が小さくなるから、ランプ面積は無電極放電ランプの方が小さくなる。すなわち、無電極放電ランプの方がコンパクトに設計できる。
【特許文献1】特開平7−272688号公報
【特許文献2】特開平10−511806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、一般に、蛍光体の寿命の観点から、蛍光体膜における単位面積当たりの電力(管壁負荷:W/cm2)には設計上の上限がある。したがって、無電極放電ランプにおいて高出力設計を行う場合は、当該上限を超えないようにバルブ内面の表面積を大きくして蛍光体膜の表面積を大きくする必要がある。
【0010】
バルブを電球形状に形成した無電極放電ランプについて具体的に説明すると、現行、定格電力が約240Wのものでバルブの直径(略球状の部分の直径)は約160mmであり、これを、定格電力が約400Wの高出力設計にするとバルブの直径は約200mm以上にする必要がある。
【0011】
バルブの直径が約200mm以上になるとバルブの加工の難易度が高くなり、バルブの量産が困難になるといった問題が生じる。
【0012】
また、バルブの直径が約200mm以上になると、発光効率を考慮した希ガスの最適圧力を低く(例えば、10Pa以下)する必要がある。希ガスの圧力が低くなると不純ガスの影響が大きくなり、光束が低下したり始動性が悪化するといった問題が生じる虞がある。また、希ガスの最適圧力が低くなると、封入時における希ガスの圧力のばらつきが大きくなりやすく、量産における性能ばらつきが大きくなるといった問題が生じる虞もある。
【0013】
したがって、バルブを電球形状に形成した無電極放電ランプにおいて、バルブの直径を大きくして高出力設計とすることには支障がある。
【0014】
一方、バルブを閉ループ管状に形成した無電極放電ランプにおいて高出力設計を行う場合も、蛍光体膜における管壁負荷が設計上の上限を超えないようにするためバルブ内面の表面積を大きくする必要がある。したがって、管径を大きくするか、管軸方向の長さ寸法を大きくする必要がある。管径や管軸方向の長さ寸法が大きくなるとランプ面積が大きくなる。
【0015】
バルブをループ管状に形成した無電極放電ランプのランプ面積と、バルブを電球形状に形成した無電極放電ランプにおいてバルブを球状とみなした場合のランプ面積とを比較すると、球状のバルブとループ管状のバルブとの比較であるから、内面の表面積が同じ場合バルブをループ管状に形成した方が、ランプ面積が大きくなる。
【0016】
したがって、バルブをループ管状に形成した無電極放電ランプにおいて高出力とすると、ランプ面積がかなり大きくなるという問題が生じる。ランプ面積が大きくなると、灯体も大きくする必要があり、器具効率の観点から非常に使いにくい。
【0017】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、量産性を確保しつつも、バルブをループ管状に形成した従来構成において高出力設計とする場合よりもランプ面積を小さくできる無電極放電灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1の発明は、内部に放電ガスが封入されるとともに内面に蛍光体膜が形成された管状のバルブであって1つの平面内で管軸が閉ループを形成することにより管壁の外側においてバルブに包囲される包囲空間を形成する第1バルブと高周波電流が通電されることにより高周波電磁界を形成し第1バルブ内において放電ガスを励起発光させる第1誘導コイルとを備える第1の無電極放電ランプと、内部に放電ガスが封入されるとともに内面に蛍光体膜が形成される第2バルブと高周波電流が通電されることにより高周波電磁界を形成し第2バルブ内において放電ガスを励起発光させる第2誘導コイルとを備え第1の無電極放電ランプとともに取付基台に保持される第2の無電極放電ランプと、第1誘導コイルと第2誘導コイルとに高周波電力を供給する点灯回路とを備え、第2バルブは、少なくとも一部が包囲空間内に位置する形で配設されることを特徴とする。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、第1の無電極放電ランプと第2の無電極放電ランプとは、第2バルブの内部に形成される放電路が第1バルブの内部に形成される放電路に沿って形成される位置関係に配設され、第1誘導コイルと第2誘導コイルとは、第1の無電極放電ランプと第2の無電極放電ランプとの放電電流が互いに逆方向となるように点灯回路に接続されていることを特徴とする。
【0020】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の無電極放電灯と、取付基台を備える灯体とから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1,3の発明の構成によれば、第1バルブと第2バルブとの2つのバルブを備えるから、定格が同じ場合、個々のバルブの内面の表面積を電球形状に形成したバルブのみを備える従来構成に比べ小さくすることができ、前記従来構成において高出力設計とする場合よりも良好な量産性を確保することができるという利点がある。また、第1バルブは、1つの平面内で管軸が閉ループを形成することにより管壁の外側においてバルブに包囲される包囲空間を形成し、第2の無電極放電ランプは、少なくとも一部が包囲空間に位置する形で配設されるから、ループ管状に形成したバルブのみを備える従来構成において高出力とする場合に比べ、ランプ面積を小さくすることができるという利点がある。
【0022】
請求項2の発明の構成によれば、第2バルブの内部に形成される放電路は前記第1バルブの内部に形成される放電路に沿って形成され、かつ、第1バルブの内部に形成される放電電流と第2バルブの内部に形成される放電電流とが逆方向であるから、第1の無電極放電ランプにおいて生じる電磁ノイズと第2の無電極放電ランプにおいて生じる電磁ノイズとが相互に打消し合って電磁ノイズが低減するという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本実施形態では、図1に示すように灯体3を備える照明器具に取り付けられて使用される無電極放電灯を例示する。灯体3は、円筒状に形成され下端に開口を備える本体31と、反射鏡32と、無電極放電灯が取り付けられる取付基台33とを備える。
【0024】
反射鏡32は、開口が下になるわん状に形成され、底部(図における上部)には上部開口が形成される。反射鏡32は、上部開口の開口面が本体31の開口面に重なる形で配設される。取付基台33は本体31の上部開口に取り付けられる。
【0025】
本実施形態では取付基台33は本体31に取り付けられる構成であるが、反射鏡32に取り付けられる構成や、取付基台33が本体31または反射鏡32と一体である構成であってもよい。
【0026】
無電極放電灯は、取付基台の下面に取り付けられる第1の無電極放電ランプ1および第2の無電極放電ランプ2の2つのランプと、本体31内に収容される形で取付基台33の上面に取り付けられ第1の無電極放電ランプ1および第2の無電極放電ランプ2を点灯させる点灯回路41とを備える。
【0027】
第1の無電極放電ランプ1は、図2(a),(b)に示すように、ガラスなどの透光性材料で形成される管状のバルブであって1つの平面内で管軸が閉ループを形成することにより管壁の外側においてバルブに包囲される包囲空間44を形成する形(以下、閉ループ管状と呼ぶ)に形成された第1バルブ10と、第1バルブ10に取り付けられる2個の第1カプラ14とを備える。
【0028】
第1バルブ10は、加工性を考慮すると、管軸が円形や長円形(トラック状)となる閉ループ管状に形成することが望ましい。本実施形態では第1バルブ10は、管軸が円形となるように形成される。
【0029】
第1の無電極放電ランプ1は、図1に示すように管軸が形成する円が反射鏡32の開口に略平行になる形に配設され、複数個の支持部材42を用いて取付基台33に取り付けられる。
【0030】
第1バルブ10内には放電ガスとして、アルゴンやクリプトンなどの希ガスおよび水銀が封入される。また、第1バルブ10の内面には蛍光体膜および保護膜が形成される。
【0031】
第1バルブ10の管軸が形成する円形の外側における第1バルブ10の外面には、図2(a),(b)に示すように内部空間が第1バルブ10の内部に連通する第1排気管13が突設される。第1排気管13は第1バルブ10内に希ガスを封入するために用いられ、希ガスの封入後先端が閉塞される。また、第1排気管13内には第1バルブ10内に水銀蒸気を供給するとともに水銀の蒸気圧を広い温度範囲で安定に保つアマルガム(図示せず)が収容される。アマルガムは、例えば、ビスマスとインジウムの合金からなる基体金属に5%の含有率で水銀を含有するものが使用される。
【0032】
第1カプラ14は、磁性体からなりリング状に形成されるコア12と、点灯回路に接続され高周波電流が通電される第1誘導コイル11とからなる。
【0033】
第1バルブ10の管壁であって管軸が形成する円の直径を含む直線上にある2つの部位には、各第1カプラ14がそれぞれ巻き付けられる巻付凹部15が設けられる。各巻付凹部15は、管軸に直交する断面が円形状に形成される。
【0034】
第1誘導コイル11は、リング状のコア12を貫く形でコア12に巻回され、第1誘導コイル11により生じる磁束はコア12内に形成される。したがって、第1の無電極放電ランプ1においては、磁路は閉磁路となる。
【0035】
点灯回路41により第1誘導コイル11に高周波電流が通電されると、第1バルブ10内に第1バルブ10の管軸に沿った放電が生じる。放電が生じると放電により水銀が励起され、励起された水銀は基底状態に戻る際に紫外線を放出する。放出された紫外線は蛍光体膜で可視光に変換される。可視光は第1バルブ10の管壁を通過してバルブの外部に出る。
【0036】
上述のように、第1の無電極放電ランプ1は、第1バルブ10の管軸に沿って閉ループ状の放電路が形成されるトカマク型の無電極放電ランプである。
【0037】
一方、第2の無電極放電ランプ2は、図3に示すように、ガラスなどの透光性材料で略円筒状に形成され一端が取付基台33に取り付けられる第2カプラ23と、電球形状に形成され口金22により第2カプラ23に取り付けられる第2バルブ20とを備える。
【0038】
第2カプラ23は、点灯回路41に接続され高周波電流が通電されることにより第2バルブ20内に高周波電磁界を形成する第2誘導コイル21と、略円筒状に形成され第2誘導コイル21が一端部に巻回される保持部材27とを備える。
【0039】
第2バルブ20の内面には蛍光体膜および保護膜が形成される。また、第2バルブ20内には、仕事関数が小さい水酸化セシウムなどの金属化合物が塗布されたフラグ26が配設される。フラグ26は第2の無電極放電ランプ2の始動時における電子の数を増やし始動性を良くする。
【0040】
第2バルブ20には、第2カプラ23の一端部が挿入される凹所20aが底面(図における下端面)に凹設される。第2バルブ20は、第2カプラ23の一端部が凹所20a内に挿入された状態で口金22により第2カプラ23に取り付けられる。このとき、第2誘導コイル21は、凹所20a内に収容される形となる。
【0041】
凹所20aの底面には、内部空間が第2バルブ20の内部に連通し第2カプラ23の内側を貫く形となる直管状の第2排気管24が突設される。第2排気管24は第2バルブ20内に希ガスを封入するために用いられ、希ガスの封入後先端が閉塞される。第2排気管24は第2カプラ23を貫く形で形成されるから、第2誘導コイル21は第2排気管24の周囲に巻回された形となる。したがって、第2誘導コイル21により形成される磁束は連通管12の管軸に沿う形となり、第2の無電極放電ランプ2における磁路は開磁路となる。第2排気管24の内部には前述と同様な機能を有するアマルガムが収容された金属容器43が配設される。
【0042】
第2の無電極放電ランプ2は、図1に示すようにカプラ23の中心軸が反射鏡32の開口に直交する形で、かつ、第2バルブ20が包囲空間44を貫く形で反射鏡32内に配設される。
【0043】
点灯回路41により第2誘導コイル21に高周波電流が通電され第2バルブ20内に高周波電磁界が形成されると、第2バルブ20内で放電が生じ、前述と同様に紫外線が放出され、放出された紫外線が蛍光体膜で可視光に変換される。変換された可視光は第2バルブ20の管壁を通過して外部にでる。
【0044】
本実施形態において、第1バルブ10に、管径(管の直径)が55mmであり管軸が形成する円に沿った内径が210mm、外径が320mmとなる形で形成した定格200Wのものを用い、第2の無電極放電ランプ2に、第2バルブ20の球状部の直径が160mmで定格240Wのものを用い、第1の無電極放電ランプ1に200W、第2の無電極放電ランプ2に240Wの電力を投入したところ、約36000ルーメン(100時間値)となる高出力の光出力を得た。
【0045】
上述のように本実施形態では、蛍光体膜が内面に形成される第1バルブ10と第2バルブ20との2つのバルブを用いるから、個々のバルブの大きさ(内面の表面積の大きさ)を、電球形状に形成したバルブのみを用いて高出力とする場合のバルブの大きさに比べ小さくすることができる。したがって、バルブの生産性を、定格が200Wや240W程度の低い定格のバルブの生産性と同程度にすることができ、高出力設計においてもバルブの生産性を良好に保つことができる。
【0046】
また、第1バルブ10は、管軸が円形のループ管状に形成され、第2の無電極放電ランプ2は、第2バルブ20が包囲空間44を貫く形で配設されるから、無電極放電ランプを反射鏡32の開口に投影した形状の外形線で囲われる面積を「ランプ面積」とすると、本実施形態でのランプ面積は、バルブをループ管状に形成し定格が200Wである無電極放電ランプにおけるランプ面積と同じとなり、ループ管状に形成したバルブのみを備える無電極放電灯において高出力とする従来構成よりもランプ面積を小さくすることができる。
【0047】
上述のように、本実施形態では、定格が200Wである無電極放電ランプと同程度のランプ面積で、約36000ルーメン(100時間値)となる高出力の光出力が得られた。
【0048】
ところで、上述したように第2の無電極放電ランプ2の構成のような無電極放電ランプにおいては、磁路は開磁路となり、反射鏡が鉄やアルミニウムなどの導体で形成され、かつ、反射鏡がバルブの近傍にある場合、磁界が反射鏡の影響を受け始動性が悪くなることがある。本実施形態では、第2の無電極放電ランプ2の周囲には、上述したように磁路が閉磁路となる第1の無電極放電ランプ1が配設される形となっているから、第2の無電極放電ランプ2と反射鏡32との間の距離が十分確保され、反射鏡32が鉄やアルミニウムなどの導体で形成されている場合にあっても、反射鏡32による磁界への影響が少なく、始動性が悪化する虞がない。
【0049】
また、上述のように第2の無電極放電ランプ2には、電球形状に形成したバルブを用いているが、図4に示すように、第1の無電極放電ランプ1と同様にバルブをループ管状に形成した無電極放電ランプを第2の無電極放電ランプ2’として用いてもよい。
【0050】
第2の無電極放電ランプ2’が備える第2バルブ20’は、管軸が円形となるループ管状に、かつ、管軸が形成する円に沿った第2バルブ20’の外径が、第1バルブ10の管軸に沿った第1バルブ10の内径よりも小さく形成され、第2の無電極放電灯2’は包囲空間44内に配設される。
【0051】
第2の無電極放電ランプ2’が備える2個の第2カプラ23’は、第2バルブ20’の管壁であって第2バルブ20’の管軸が形成する円の直径を含む直線上にある2つの部位にそれぞれ形成された巻付凹部28にそれぞれ巻き付けられる。また、第2の無電極放電ランプ2’は、2個の第1誘導コイル11を結ぶ直線と2個の第2カプラ23’とを結ぶ直線とが略直交する形で配設される。
【0052】
第2バルブ20’が外面において備える第2排気管24’は、第2バルブ20’の管軸が形成する円形の閉ループの内側に形成される。すなわち、第2排気管24’は第1の無電極放電ランプ1に接触することがない。
【0053】
第2の無電極放電ランプ2’は、第1の無電極放電ランプ1と同様に複数個の支持部材(図示せず)で支持される。
【0054】
第2の無電極放電ランプ2’を用いる場合、無電極放電灯における高さ方向(反射鏡32の開口に直交する方向)の寸法が、第2の無電極放電灯2を用いる場合に比べ小さくなる。
【0055】
ところで、放電灯においては、放電ガスの放電による放電電流により発生する電磁ノイズを、他の機器などに影響を及ぼさないように少なくする必要がある。本実施形態では、図2,3に示すように、第1バルブ10内に形成される放電路が第1バルブ10の管軸方向に沿うように第1誘導コイル11が配設され、第2バルブ20内に形成される放電路が、第2誘導コイル21が収容される凹所20aの周囲に略円形状に形成されるように第2誘導コイル21が配設され、第1の無電極放電ランプ1と第2の無電極放電ランプ2とは、第1バルブ10内に形成される放電路を含む平面と第2バルブ20内に形成される放電路を含む平面とが略平行になる形の位置関係で配設されている。
【0056】
また、第1誘導コイル11と第2誘導コイル21とは、第1バルブ10内の放電電流と第2バルブ20内の放電電流とが逆方向となるように点灯回路41に接続される。本実施形態では、第1誘導コイル11の巻回方向と第2誘導コイル21との巻回方向が、第1誘導コイル11と第2誘導コイル21とを並列に点灯回路41に接続した場合に、第1バルブ10内の放電電流と第2バルブ20内の放電電流とが逆方向となるように決定されている。
【0057】
本実施形態では、図5に示すように第1バルブ10内に流れる放電電流の向き(図における矢印A)と第2バルブ20内に流れる放電電流の向き(図における矢印B)とが逆向きとなり、第1の無電極放電ランプ1において生じる電磁ノイズと第2の無電極放電ランプ2において生じる電磁ノイズとが互いに打ち消し合い、第1バルブ10に流れる放電電流と第2バルブ20に流れる放電電流とが同方向となる構成に比べ電磁ノイズが少なくなる。
【0058】
なお、バルブをループ管状に形成した第2の無電極放電ランプ2’を用いる場合は、図6に示すように第1誘導コイル11と第2誘導コイル21(図3参照)とは、第1バルブ10内の放電電流(図における矢印C)と第2バルブ20’内の放電電流(図における矢印D)とが逆方向になるように点灯回路41に接続される。
【0059】
また、第2バルブ20を電球形状に形成した場合においては、放出される可視光は第1の無電極放電ランプ1側にも放出される。したがって、光のけられのため無電極放電ランプ1と第2の無電極放電ランプ2とをそれぞれ単独で使用した場合に比べ得られる光出力が低下することがある。この光出力の低下を抑えるため、図7に示すように第2バルブ20の外面における第1の無電極放電ランプ1側の一部(図における上部)に絶縁反射膜25を形成することができる。絶縁反射膜25は、第2の無電極放電ランプ2における第1の無電極放電ランプ1側に放出される光を反射鏡32の開口側に反射し、光出力についての効率を上げる。絶縁反射膜としては、TiOなどの金属酸化物が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施形態の断面図である。
【図2】実施形態における第1の無電極放電ランプの図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図3】実施形態における第2の無電極放電ランプの断面図である。
【図4】実施形態の別形態を示す平面図である。
【図5】実施形態の平面図である。
【図6】実施形態の別形態を示す平面図である。
【図7】実施形態における別仕様を示す断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 第1の無電極放電ランプ
2 第2の無電極放電ランプ
3 灯体
10 第1バルブ
11 第1誘導コイル
20 第2バルブ
21 第2誘導コイル
41 点灯回路
44 包囲空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に放電ガスが封入されるとともに内面に蛍光体膜が形成された管状のバルブであって1つの平面内で管軸が閉ループを形成することにより管壁の外側においてバルブに包囲される包囲空間を形成する第1バルブと高周波電流が通電されることにより高周波電磁界を形成し第1バルブ内において放電ガスを励起発光させる第1誘導コイルとを備える第1の無電極放電ランプと、内部に放電ガスが封入されるとともに内面に蛍光体膜が形成される第2バルブと高周波電流が通電されることにより高周波電磁界を形成し第2バルブ内において放電ガスを励起発光させる第2誘導コイルとを備え第1の無電極放電ランプとともに取付基台に保持される第2の無電極放電ランプと、第1誘導コイルと第2誘導コイルとに高周波電力を供給する点灯回路とを備え、第2バルブは、少なくとも一部が包囲空間内に位置する形で配設されることを特徴とする無電極放電灯。
【請求項2】
前記第1の無電極放電ランプと前記第2の無電極放電ランプとは、前記第2バルブの内部に形成される放電路が前記第1バルブの内部に形成される放電路に沿って形成される位置関係に配設され、前記第1誘導コイルと前記第2誘導コイルとは、第1の無電極放電ランプと第2の無電極放電ランプとの放電電流が互いに逆方向となるように前記点灯回路に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の無電極放電灯。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の無電極放電灯と、前記取付基台を備える灯体とから成ることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−289495(P2009−289495A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138677(P2008−138677)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】