説明

無電解沈着触媒のパターンの接触印刷方法

無電解沈着触媒のパターンを親水性相を介して受容媒体にスタンプ印刷以外で接触印刷する段階を含んでなる方法であって、該無電解沈着触媒が無電解沈着前に活性化を必要としない方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は親水性相を介する無電解沈着触媒(electroless deposition catalyst)のパターンの接触印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
一般的な着色インキの印刷の他に、印刷は機能材料のパターンの適用のためにますます使用されている。水性媒体中にだけ可溶性または可分散性である機能材料の場合には、それらを親油性インキに導入する際に問題が生じうる。
【0003】
特許文献1は請求項1に、第一材料の第一パターンを基質に適用し、そして第二機能材料を該基質および該第一機能材料に適用することを含んでなる基質上で機能材料のパターンを形成する方法を開示しており、ここで該第一材料、該第二機能材料、および該基質が相互作用して該基質上で自発的に該第二機能材料の第二パターンを形成し、それにより基質上に機能材料のパターンを形成する。
【0004】
特許文献1は請求項27に、第一材料の第一パターンを基質上に非−接触印刷し、そして第二機能材料を該基質および該第一材料に適用することを含んでなる機能材料のパターンを基質上に形成する方法をさらに開示しており、ここで該第一材料、該第二機能材料、および該基質が相互作用して該基質上で自発的に該第二機能材料の第二パターンを形成し、それにより基質上に機能材料のパターンを形成する。
【0005】
特許文献1は請求項47に、第一材料の第一パターンを基質上に非−接触印刷し、そして第二機能材料を該基質および該第一材料に適用することを含んでなる機能材料のパターンを基質上に形成する方法も開示しており、ここで該第一材料、第二機能材料、および該基質が相互作用して該基質上で自発的に該第二機能材料の第二パターンを形成して、それにより該基質上に該第二機能材料の第二パターンを形成するように該第一および第二機能材料は互いに関して疎水性および親水性の少なくとも1つの性質における充分な差異を有するように選択され、ここで該第二パターンは該第一パターンの反転であり、それにより基質上に機能材料のパターンを形成する。
【0006】
特許文献1は請求項57に、第一材料の第一パターンを基質上に適用し、そして第二材料を該基質および該第一材料に適用することを含んでなる電気回路要素の形成方法も開示しており、ここで該第一材料、該第二機能材料、および該基質が相互作用して該基質上で自発的に該第二材料の第二パターンを形成し、それにより電気回路要素を形成する。
【0007】
特許文献1は請求項110に、基質、該基質に適用される絶縁材料の第一パターン、並びに該基質および該第一材料に適用される電気伝導性材料の第二パターンを含んでなる電気回路要素も開示しており、ここで上部に適用された該絶縁材料の該第一パターンを有する該基質に該電気伝導性材料が適用された時に該絶縁材料、該電気伝導性材料、および該基質が相互作用して該基質上で自発的に該電気伝導性材料の第二パターンを形成する。
【0008】
特許文献1は請求項123に、a)i)第一基質、ii)該基質に適用される絶縁材料の第一パターンおよびiii)該基質および該第一材料に適用される電気伝導性材料の第二パターンを含んでなる第一要素であって、ここで上部に適用された該絶縁材料の該第一パターンを有する該基質に該電気伝導性材料が適用された時に該絶縁材料、電気伝導性材
料、および該基質が相互作用して該基質上で自発的に該電気伝導性材料の第二パターンを形成する第一要素、b)i)第二基質、ii)該第二基質に適用される絶縁材料の第三パターン並びにiii)該第二基質および該第三材料に適用される電気伝導性材料の第四パターンを含んでなる第二回路要素であって、ここで上部に適用された該絶縁材料の該第三パターンを有する該基質に該電気伝導性材料が適用された時に該絶縁性の電気伝導性材料、および該第二基質が相互作用して該基質上で自発的に該電気伝導性材料の第四パターンを形成する第二回路要素、並びにc)該第一および第二回路要素の間の電気接続、を含んでなる電子装置も開示している。
【0009】
特許文献1は請求項127に、基質上の非−伝導性第一材料のパターン並びに該基質および該第一材料上に配置された電気伝導性第二材料のコーティングを含んでなるラジオ周波数(RF)タグも開示しており、ここで該第一材料、該第二材料、および該基質が相互作用して該基質上で自発的に該第二材料の第二パターンを形成して、それにより該基質上で誘導子−キャパシター(LC)共振子を形成する。
【0010】
特許文献1は請求項141に、a)i)第一基質、ii)該第一基質に適用される第一材料の第一パターン並びにiii)該第一基質および該第一材料に適用される材料の第二パターンを含んでなる第一要素であって、ここで該第一材料、該第二材料、および該第一基質の相互作用により自発的に該第二材料の第二パターンを形成する第一部品、並びにb)i)第二基質、ii)該第二基質に適用される第三材料の第三パターン並びにiii)該第二基質および該第三材料に適用される第四材料の第四パターンを含んでなる第二部品であって、ここで該第三材料、該第四材料および該基質の相互作用により該第四材料の該第四パターンが自発的に形成される機械装置も開示しており、そしてここで該第一および第二部品は第二および第四パターンが互いに向き合うような方法で配向されそして同一パターン、反転パターン、およびいずれかの機械的に有用な組み合わせよりなる群から選択される。
【0011】
多くの種々の技術を印刷用に使用することができる。これらの技術はいわゆる非−衝撃印刷技術およびいわゆる接触印刷技術に分けることができ、それらはスクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷およびオフセット印刷を包含する。特定の作業に関して選択される特定の印刷技術は、用途、基質および所望する印刷量に依存するであろう。例えばパッケージの印刷のような低価格での大量の印刷のためには、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷またはオフセット印刷の如き迅速な印刷技術が要求される。低価格は、フレキソ印刷に関する約500m/分のそして熱硬化/ウエブ−オフセット印刷に関する900m/分までもしくはそれ以上の高い印刷速度による。このため、オフセット印刷は印刷物体の安価な製造に特に適する。オフセット印刷およびグラビア印刷は10μmまでの解像度を有する最高品質の印刷物を与える。
【0012】
2001年に、非特許文献1はプラスチック/紙基質上の伝導性および非−伝導性重合体からのパターンの新規な製造方法を報告した。この方法である「線パターン化」(LP)は重合体の印刷を伴わずそして多くは標準的な事務所装置、例えば事務所タイプのレーザー印刷機、に組み入れられる。それは迅速であり且つ費用がかからない。電子部品、例えば、液晶およびプッシュ−ボタン組み立て品、の製造が報告された。
【0013】
オフセット(平版)印刷機は、印刷機のシリンダー上に設置される例えば印刷版の如きいわゆる印刷マスターを使用する。一般的なオフセット印刷では、マスターは平版像をその表面上に担持し、それは親油性(または疎水性、すなわちインキ−受容性、水−反撥性)領域並びに親水性(または疎油性、すなわち水−受容性、インキ−反撥性)領域よりなる。最初に湿し媒体(湿し液とも称する)を適用しそして次にインキをドラム上の印刷版の表面上の平版像に適用し、両方を次にオフセットブランケットとして知られる中間(ゴム)ロールに移し、そこからそれらを最終的な基質上にさらに移すことにより、印刷物が得られる。湿し媒体は最初に一連のロールを介して印刷版に移される。それは慣例的には弱犠牲層として作用しそしてインキが版の非−像領域上に沈着するのを防止しそして印刷作業中に印刷版の非−印刷(減感)領域を再構成する機能を有する。これは普通は酸、普通は燐酸、およびアラビアゴムの水溶液を用いて行われ、ゴムは版の金属に吸着されそしてそれにより親水性表面を製造する。湿された版が次にインキ付着用ロールに接触しそして親油性像領域内で親油性インキだけを受容する。湿し媒体は歴史的にはイソプロピルアルコールを含有しており表面張力を低下させそしてそれにより印刷版のさらに均一な湿潤を与えるが、湿し媒体添加剤としてのイソプロピルアルコールを排除する(または大きく減ずる)ことにより印刷機はVOC(揮発性有機化合物)発生を有意に低下させうる。そのような湿しし媒体においてはイソプロピルアルコールが低揮発性グリコール類、グリコールエーテル類、または界面活性剤調合物で置換される。一般的な湿し媒体は抗−腐食剤、pH−調節剤および界面活性剤も含有しうる。
【0014】
特許文献2は、印刷インキを印刷版に適用しそして該印刷版を少なくとも着色性質、pH−指定性質、白色化性質、蛍光性質、燐蛍光性質、X線蛍燐光体性質または伝導性質を有する少なくとも一成分を含有する溶液または分散液を含有する水性湿し媒体で湿らせる段階をいずれかの順序で含んでなる機能パターンを用いる受容媒体のオフセット印刷方法を開示している。
【0015】
一般的なオフセット印刷の他に、例えば反転平版、ドリオグラフィーおよび単一流体オフセット印刷の如き数種の別の方法が開発された。
【0016】
反転平版では、水−またはグリコール−ベースの親水性着色インキが親油性湿し媒体と組み合わされて使用される。印刷版は、親水性液体を優先的に吸引する像領域および親水性液体に反撥性である非−像領域を含有する。例えば酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、ポリエステル樹脂またはシェラック、ポリエチレングリコールおよびワックスを含有する組成物の如き水性(混和性)液体に対する良好な耐性を有する材料のパターンを例えばポリスチレンまたはポリエチレンコーティングされたマイラー(Mylar)の如き疎水性ベースシート上に適用することにより、印刷版を製造することができる。或いは、親水性の液体−反撥性の熱硬化性シロキサン組成物を非−像パターンとして亜鉛ベース材料上に適用することによっても印刷版を製造することができる(特許文献3)。カーボンブラックまたは酸化亜鉛のような添加剤を樹脂に加えて表面粗さを増加させ、それによりインキ吸収性を改良することができる。親水性インキは染料−または顔料−ベースでありそして結合剤並びに主要賦形剤としての水および/またはエチレングリコールを含有する。(疎水性)湿し媒体は炭化水素類、例えばテキスタイル・スピリッツ(Textile Spirits)、スーパー・ナフトライト(Super Naphtholite)、鉱油およびシリコン油をベースとする。
【0017】
湿し媒体で分散させそして親油性インキだけを使用することにより一般的なオフセット印刷において湿し媒体からのVOC類の発生を減少させるために、例えば日本のトウレイ・インダストリーズ(Toray Industries)による、無水またはドリオグラフィーオフセット印刷が開発された。ドリオグラフィー印刷版の非−像領域は例えばシリコーンの如きインキ−反撥性重合体でコーティングされるが、像領域は場合により追加のコーティング層でオーバーコーティングされていてもよいインキ−受容性表面、例えばざらざらしたアルミニウムベース版である。ドリオグラフィー印刷中に、インキだけがマスターに供給される。
【0018】
しかしながら、これらのドリオグラフィー印刷方法は親油性インキからのVOC発生の欠点を依然と有する。これが水をベースとしたドリオグラフィーインキの開発をもたらし
、それらは界面活性剤、再湿潤剤、染料および/または顔料並びに樹脂を水の他に含有する。そのようなドリオグラフィー印刷版は、例えば、像領域としての印刷版のざらざらしたアルミニウム表面および非−像領域に関してインキを反撥するいずれかのタイプの疎水性材料と共に使用することができる。
【0019】
一般的なおよび反転オフセット印刷は、インキが版の印刷領域だけに付着して鮮明な良く規定された印刷物の製造を確実にするためにインキ/湿し水均衡の連続的な監視および調節を必要とする。操作者がインキ/湿し水均衡を連続して監視しそして調節する必要性を排除するために単一−流体インキが開発された。これらのインキはインキの湿し水中微細乳剤または湿し水のインキ中微細乳剤よりなりそしてインキローラーを介して印刷版に適用される。湿し水はインキが親水性である場合には親油性でありそしてインキが親油性である場合には親水性であり、例えば染料および/または顔料を含むビニル−および炭化水素樹脂をベースとした親油性インキ部分並びにポリグリコール/水混合物をベースとした親水性湿し水部分である。
【0020】
炭化水素または鉱油を湿し媒体として用いる反転オフセット印刷インキは、例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献3に記載されている。これらの特許のいずれも親水性インキまたは疎水性湿し媒体への、染料および/または顔料以外の、機能材料の添加を開示していない。
【0021】
水をベースとしたドリオグラフィーオフセットインキは、例えば、特許文献7、特許文献8および特許文献9に記載されている。これらの特許のいずれも染料および/または顔料以外の機能材料の親油性インキへの添加を開示していない。
【0022】
オフセット印刷に適する単一流体インキは、例えば、特許文献10および特許文献11に開示されているが、どちらもインキ乳剤の親水性(湿し水)部分におけるインキ含有機能材料を開示していない。
【0023】
特許文献12は、i)基質材料の一部または全部を触媒材料を含んでなる第一層材料より構成される第一層を用いるパターン転写機構によりコーティングし、ii)第一層を第二層材料より構成される第二層を用いてパターン転写機構によりコーティングして第二層が第一層に重複して密封部を形成し、ここで第二層材料は所望する触媒反応を促進および/または維持することができず、iii)エネルギー除去刻印方法を用いて第二層材料から材料の予め決められたパターンを除去して第一層材料を露呈する段階を含んでなる表面の予め決められた領域上で金属パターンの自動接触製版を保証しうるような基質の製造方法を開示している。触媒材料はパターン転写機構、例えばインキジェット印刷またはスクリーン印刷、により適用され、第二層を第一層の上にコーティングして密封部を形成しそしてエネルギー除去刻印方法を用いて第二層の予め決められたパターンを除去して第一層を露呈する。金属が無電解製版により第一触媒層の上に沈着する。この方法の欠点は、例えばe−ビーム、焦点が当てられた紫外線ビーム、平行にされたX線ビームまたはプラズマビームの如き記載された刻印方法が遅い方法であることである。
【0024】
特許文献13は、パラジウム、銅または銀核に富んだインキが付着性−付与層が付与された基質上で印刷され、それにより製造された伝導性パタンーンが次に銅沈着浴の中で化学的に金属処理されて電気伝導性回路になる集積回路の製造方法を開示している。印刷方法またはインキ組成物のいずれもそれ以上具体化されていない。
【0025】
特許文献14は回転しているグラビアロールからの移動ウエブ上で接触インキを二次元像で印刷することを含んでなる方法を開示しており、ここでは該接触インキは重合体および1B族または8族金属化合物を含んでなる10重量%より少ない固体分の溶液を含んで
なり、ここで該インキはブルックフィールド(Brookfield)No.1スピンドルを用いて100rpmおよび25℃において測定した20〜600センチポイズの間の粘度を有し、そしてここで該像は金属の無電解沈着に応用可能である。この方法は、像を接触無電解沈着用に直接使用できないという欠点を有する。さらに、回転グラビア印刷はオフセット印刷版と比べて高い価格のグラビアロールであるという欠点を有する。
【0026】
特許文献15は金属の無電解沈着に触媒作用を与えうる架橋結合された重合体コーティングを形成するために応用される水性の触媒乳剤を開示しており、該乳剤は(a)水、(b)該水中乳剤として分散される架橋結合可能な水−不溶性重合体の界面活性剤で安定化された粒子、(c)8族金属の水溶性化合物、および(d)架橋結合剤を含んでなる。この方法は、コーティングが無電解沈着に触媒作用を与えるために直接使用できないという欠点を有する。
【0027】
特許文献16は、スタンプ(1)の表面を処理して該表面をインキにより湿潤可能にし、分子形態で触媒(4)でありそして該基質(5)上で有極性である該インキで覆われた該スタンプ(1)の該表面を押して、該基質(5)上の該触媒の層(7)の少なくとも一部を除去することにより該スタンプ(1)を該基質(5)から分離しそして触媒(7)の該層で被覆された該表面の領域で該基質(5)を該伝導性材料(8)で無電解製版する段階を含んでなる、上部にインキが適用される表面を有するスタンプ(1)を使用し、該インキおよび該予備処理された基質の間の増加した親和力を有するシード層(6)を付与することにより該基質を予備処理し、そして該スタンプ(1)の該表面を該予備処理された基質(5)と接触させる基質(5)上の伝導性材料(8)の無電解沈着方法を開示している。特許文献16に開示されているように、パターン処理された表面を有するスタンプを用いる水溶液からの無縁回製版用触媒の適用が別の適用方法である。しかしながら、この方法はロール−ツー−ロールでなくそしてオフセット印刷と比べて非常に遅い。
【0028】
特許文献17は、基質表面に対するヒドロプライマーの薄層の適用、適宜増感およびその後の無電流湿潤−化学金属処理による基質表面上のしっかり付着する金属コーティングの沈着用のヒドロプライマーを開示しており、ここでヒドロプライマーは必須成分としてa)水−分散性ポリアクリレート類、ポリブタジエン類、ポリエステル類、メラミン樹脂、ポリウレタン類、およびポリウレタン−ウレア類よりなる群から選択される水−分散性重合体、b)金属処理触媒としてのイオン性貴金属、コロイド状貴金属もしくは両者または貴金属と有機配位子との共有もしくは錯化合物、c)5〜35重量%の量の有機および無機充填剤よりなる群から選択される充填剤、並びにd)水を含有する。さらに、特許文献17はヒドロプライマーを例えば印刷、スタンピング、浸漬、ブラッシング、ナイフ−コーティング、塗装およびロールかけ並びに噴霧の如き普遍的な方法によりプラスチックの表面に適用しうることも開示している。
【0029】
特許文献18は、(a)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、メチルおよびカルボキシメチルセルロース、グアー、ゼラチン、ゼイン類およびアルギネート類よりなる群から選択される水溶性または分散性化合物を含んでなる結合剤、(b)水、(c)水溶性パラジウム、銅、銀、金およびニッケル塩類よりなる群から選択される金属塩、(d)該金属のための錯生成剤、並びに(e)還元剤の組成物を有する、塩基性材料を用いる印刷回路板の製造並びに金属沈着方法用の接触ラッカーを開示している。還元剤の存在が特許文献18に開示された発明にとって必須であり、それは触媒がそのままでは沈着しないが沈着後段階で生成することを示している。
【0030】
電磁波保護材料の製造のための触媒層のフレキソ印刷は特許文献19に開示されているが、親水性相からの触媒層の印刷を開示しておらずそして一般的には200−600mPa.sの程度の比較的高粘度のインキを必要とし、そのために結合剤が必要であるという
欠点をこうむる。要求される印刷性質を得るためには、例えば発泡防止剤、ワックス類、界面活性剤、滑り剤および可塑剤の如き他の添加剤がしばしば必要である。
【0031】
特許文献20は0原子価金属またはVIIIもしくはIB族元素のカルコゲンである触媒材料の存在下において液体媒体中でレドックス反応を受ける還元剤および不活性遷移金属錯体酸化剤を含んでなる処理組成物を開示しており、ここで該液体は該還元剤および該不活性遷移金属イオン錯体のための溶媒であり、該不活性遷移金属錯体は(a)ルイス塩基および(b)少なくとも2原子価状態で存在しうるルイス酸を含んでなりそして該還元剤が(1)それらの反応生成物が該酸化−還元反応に関して非触媒性であり且つ(2)それらの試験試料がそれぞれ不活性溶媒中に20℃において約0.01モルの濃度で溶解される時に該酸化剤および該還元剤の間に本質的にレドックス反応がなく、そしてそれらの試験試料が0.1モル濃度の配位されていない同一種の標的配位子を含有する不活性溶媒溶液中に20℃において0.1モル濃度で溶解される時には少なくとも1分間にわたり配位されていないおよび配位された配位子の交換を本質的に示さない。例えばスタンプを用いる印刷によるような印刷技術を用いる処理組成物の適用が特許文献20に開示されている。
【0032】
先行技術は従って、熱、光、X線、電子、イオンまたは他のエネルギー源によるものであるエネルギー源の局部的適用による均一なコーティングの改変により、例えばインキ−ジェット、静電または電子写真技術の如き無接触印刷技術により、例えばスクリーン印刷の如き比較的低解像度接触印刷方法または例えばスタンプ印刷の如き比較的遅い接触印刷方法により、無電解沈着触媒のパターンを得た。
【0033】
従って、無電解沈着触媒の高解像度パターンの大量製造に適する、材料の除去に関して複数の工程段階を含まない方法に関する要望がある。触媒に関すると、触媒種の毒作用および生ずる触媒活性における低下を防止するため並びに触媒の利用不能性をもたらす触媒の埋没を回避するためには添加剤の回避が好ましい。
【0034】
先行技術
これまでに、本発明の特許性に関連する以下の文献が知られている:
2001年11月22日に発行された特許文献1
非特許文献1(2001)
2004年5月6日に発行された特許文献2
1967年12月5日に発行された特許文献3
1970年10月6日に発行された特許文献4
1974年3月19日に発行された特許文献5
1974年1月16日に発行された特許文献6
1999年6月3日に発行された特許文献7
2003年7月17日に発行された特許文献8
1992年12月17日に発行された特許文献9
1991年1月1日に発行された特許文献10
2000年6月8日に発行された特許文献11
2005年1月6日に発行された特許文献12
1980年1月31日に発行された特許文献13
1992年12月10日に発行された特許文献14
1993年3月4日に発行された特許文献15
2003年2月18日に発行された特許文献16
1994年4月5日に発行された特許文献17
1981年3月3日に発行された特許文献18
2002年8月9日に発行された特許文献19
1976年11月2日に発行された特許文献20
【特許文献1】国際公開第01/88958号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第1415826号明細書
【特許文献3】米国特許第3,356,030号明細書
【特許文献4】米国特許第3,532,532号明細書
【特許文献5】米国特許第3,797,388号明細書
【特許文献6】英国特許第1,343,784A号明細書
【特許文献7】国際公開第99/27022A号パンフレット
【特許文献8】国際公開第03/057789A号パンフレット
【特許文献9】独国特許第4119348A号明細書
【特許文献10】米国特許第4,981,517号明細書
【特許文献11】国際公開第00/032705A号パンフレット
【特許文献12】米国特許出願公開第2005/003101A号明細書
【特許文献13】独国特許第2757029A号明細書
【特許文献14】国際公開第92/21790A号パンフレット
【特許文献15】国際公開第93/04215A号パンフレット
【特許文献16】米国特許第6,521,285号明細書
【特許文献17】米国特許第5,300,140号明細書
【特許文献18】米国特許第4,253,875号明細書
【特許文献19】日本特許出願公開第2002−223095A号明細書
【特許文献20】米国特許第3,989,526号明細書
【非特許文献1】Hohnholz et al.in Synthetic Metals,volume 121,pages 1327−1328
【発明の開示】
【0035】
発明の局面
従って、本発明の一面は無電解沈着触媒のパターンの大量製造のための方法を提供することである。
【0036】
従って、本発明の別の面は無電解沈着触媒のパターンの大量製造のための高解像度方法を提供することである。
【0037】
従って、本発明の一面は水性媒体からの無電解沈着触媒のパターンの製造のための方法を提供することでもある。
【0038】
本発明の一面は無電解沈着前に活性化を必要としない無電解沈着触媒のパターンを得るための方法も提供することでもある。
【0039】
本発明の別の面または利点は以下の記述から明白になるであろう。
【0040】
発明の要旨
驚くべきことに、無電解沈着触媒の高解像度パターンが水性媒体から一段階で、写真技術に復帰することなく、大量生産に適する低価格高速方法で得られうることが見出された。さらに、それにより沈着する無電解沈着触媒は無電解沈着前に活性化を必要としない。
【0041】
本発明の局面は、無電解沈着触媒のパターンを親水性相を介して受容媒体にスタンプ印刷以外で接触印刷する段階を含んでなり、該無電解沈着触媒が無電解沈着前に活性化を必要としない方法により実現される。
【0042】
好ましい態様は従属請求項に開示されている。
【0043】
発明の詳細な記述
定義
用語「水性媒体」は、水並びに50重量%の水と100重量%の水との間の水を含有する水−混和性有機溶媒を含有する媒体を意味する。
【0044】
本発明の開示で使用される透明層の用語は、対象が層を通して明らかに見ることができるような光の通過を許すことを意味する。
【0045】
本発明の開示で使用される用語「層」は、形容詞「不連続的な」により限定されない限り連続的なコーティングを意味する。
【0046】
本発明の開示で使用される用語「パターン」は、列、線および/もしくは形状の配置もしくは構造、区域および/または領域でありうる不連続的なコーティングを意味する。
【0047】
本発明の開示で使用される表示「機能パターン」中の用語「機能」は、非−装飾性である少なくとも1つの機能を有することを意味するが、本出願の開示で使用される機能材料は非−装飾的な機能または用途の他に装飾的な機能または用途を有することができる。そのような機能の例は非−装飾的な着色性質、pH−指定性質、白色化性質、蛍光性質、燐蛍光性質、X線蛍燐光体性質、伝導性質および触媒作用である。従って、機能パターンの用語は無電解沈着触媒を包含する触媒種のパターンを包含する。
【0048】
本発明の開示で使用される表示「無電解沈着触媒」中の用語「触媒」は、それ自体は消費されずに化学反応または物理工程の速度を変える物質を意味し、すなわちそれは化学反応、例えば無電解沈着、を促進または減速しうる。触媒の用語はそれら自体は無電解沈着触媒性質を有していない種は包含しないが、それらは無電解沈着触媒の機能を行う種の前駆体でありうる。自己触媒はここでは触媒の用語に包含される。
【0049】
本発明の開示で使用される用語「無電解沈着」は、電気化学的技術を用いない、例えば金属の如き伝導性種の沈着を意味する。無電解沈着技術は一般的には酸化性の種および還元性の種の間の反応を包括する。
【0050】
本発明の開示で使用される用語「親水性相」は、実質的に親水性質を有する、すなわち、水を吸引、吸着、または吸収するための親和力を含有するかまたは有する、相を意味する。親水性相は主として水および親水性物質、例えばアルコール類およびセルロース誘導体、を含有するが、少量の疎水性物質は存在しうる。
【0051】
本発明の開示で使用される用語「柔軟性の」は、例えばドラムの如き曲った対象の曲率に損傷なしに適応可能であることを意味する。
【0052】
衝撃印刷としても知られる本発明の開示で使用される用語「接触印刷」は、印刷装置の一部と基質との間の物理的接触を利用して基質にインキを適用する印刷方法、例えばオフセット印刷、フレキソ印刷、平版印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、ロトグラビア印刷、凹版印刷、スタンプ印刷、木版印刷および染料昇華印刷、であるとして定義され、すなわちそこでは印刷しようとする基質と分配機構との間に直接的な接触がある。「接触印刷」はそのため、印刷装置の一部と基質との間の物理的接触を利用せずにインキが基質に適用される印刷方法である非−衝撃印刷としても知られる非−接触印刷方法、例えばインキジェット印刷、レーザー印刷、エレクトログラフィー印刷、電気泳動印刷並びに固体または液体トナーを使用する電子写真印刷、とは区別される。コーティングまたは噴霧は、印刷が含まれないため、印刷方法とはみなすことができない。
【0053】
本発明の開示で使用される用語「印刷インキ」は、インキまたは単一流体インキの一相を意味する。インキは親水性である、すなわち例えば反転オフセット印刷インキ中で使用されるように印刷版、ロールもしくはスタンプの親水性領域により受容されうるか、或いは親油性である、すなわち従来のオフセットインキ中で使用されるように印刷版、ロールもしくはスタンプの親油性領域により受容されうる。それは少なくとも1種の染料および/または顔料を着色剤として含有してもよくまたはしなくてもよい。
【0054】
本発明の開示で使用される用語「染料」は、それが適用される媒体中で且つ関連する周囲条件下で10mg/Lもしくはそれ以上の溶解度を有する着色剤を意味する。
【0055】
本発明の開示で使用される用語「顔料」は、引用することにより本発明の内容となるDIN55943で、適用媒体中に関連する周囲条件下で実際に不溶性であるためその中で10mg/Lより小さい溶解度を有する無機もしくは有機性の発色もしくは非発色性着色剤として定義される。
【0056】
本発明の開示で使用される用語「結合剤」は、天然産出物質、改質天然産出物質または合成物質でありうる重合体種を意味する。
【0057】
本発明の開示で使用される用語「コーティング紙」は、いずれかの物質でコーティングされた紙を意味し、すなわちクレイでコーティングされたおよび樹脂でコーティングされた紙の両方を包含する。
【0058】
本開示で使用されるPETはポリ(エチレンテレフタレート)を表わす。
【0059】
本発明の開示で使用される用語「拡散転写反転(DTR)方法」は、独立してA.Rott[英国特許第614,155号明細書およびSci.Photogr.,(2)13,151(1942)]およびE.Weyde[独国特許第973,769号明細書]により開発されそしてG.I.P.Levensonにより引用することにより本発明の内容となるChapter 16 of “The Theory of the Photographic Process Fourth Edition”,edited by T.H.James,pages 466 to 480,Eastman Kodak Company,Rochester(1977)に記載されている方法をさす。
【0060】
本発明の開示で使用される用語「イオノマー」は、連鎖の元素間に共有結合をそして連鎖間にイオン結合を有する重合体、例えばデュポン(Du Pont)から商品名SURLYN(R)で市販されているエチレンおよびメタクリル酸の共重合体の金属塩を意味する。
【0061】
印刷方法
本発明の無電解沈着触媒のパターンをスタンプ印刷以外で接触印刷する方法によると、無電解沈着触媒のパターンは親水性相を介して印刷される。
【0062】
本発明に従う方法の第一態様によると、無電解沈着触媒のパターンは無電解沈着触媒の連続的領域よりなる。
【0063】
本発明に従う方法の第二態様によると、接触印刷方法は無電解沈着触媒のパターンを親水性相を介して中間版またはローラーに適用しそして無電解沈着触媒のパターンを中間版またはローラーから受容媒体に転写する段階を含んでなる。
【0064】
本発明に従う方法の第三態様によると、接触印刷方法は無電解沈着触媒のパターンを親水性相を通して印刷版マスターに適用しそして無電解沈着触媒のパターンを印刷版マスターから受容媒体に転写する段階を含んでなる。
【0065】
好ましい印刷技術は、湿し水および親油性インキを用いる従来のオフセット印刷、湿し媒体としての炭化水素または鉱油および親水性インキを用いる反転オフセット印刷、インキの湿し水中微細乳剤または湿し水のインキ中微細乳剤よりなる単一流体インキを用いるオフセット印刷、並びに水をベースとしたドリオグラフィーインキを用いるドリオグラフィーを包含する。
【0066】
オフセット印刷は非常に高速で高い解像度を有する滑らかな連続的領域を印刷するという利点を有する。オフセット流体からの溶媒および/または水の蒸発は印刷機中では例えばスクリーン印刷と比べて非常に少ない。
【0067】
無電解沈着触媒
本発明の無電解沈着触媒のパターンをスタンプ印刷以外で接触印刷する方法によると、無電解沈着触媒のパターンは親水性相を介して印刷される。
【0068】
拡散転写反転(DTR)像受容材料において既知であるタイプの現像核は好ましい無電解沈着触媒、例えば貴金属粒子、例えば銀粒子、並びにコロイド状重金属硫化物粒子、例えばコロイド状硫化パラジウム、硫化ニッケルおよび混合硫化銀−ニッケル、である。これらの核は結合剤を含んでまたは含まずに存在しうる。
【0069】
本発明に従う方法の第四態様によると、無電解沈着触媒は金属性、例えば硫化パラジウム、銀、ニッケル、およびコバルトである。
【0070】
本発明に従う方法の第五態様によると、無電解沈着触媒は重金属硫化物、例えば硫化パラジウム、銀、ニッケル、コバルト、銅、鉛および水銀、または混合硫化物、例えば硫化銀−ニッケルである。
【0071】
本発明に従う方法の第六態様によると、無電解沈着触媒は金属性、例えば銀、白金、ロジウム、イリジウム、金、ルテニウム、パラジウムおよび銅粒子である。
【0072】
本発明に従う方法の第七態様によると、無電解沈着触媒は銀沈着に触媒作用し得る。
【0073】
親水性相
本発明の無電解沈着触媒のパターンをスタンプ印刷以外で接触印刷する方法によると、無電解沈着触媒のパターンは親水性相を介して印刷される。
【0074】
親水性相は、水溶性ゴム、pH−緩衝系、減感塩類、酸類もしくはそれらの塩類、湿潤剤、溶媒、非−積層もしくは潤滑添加剤、乳化調節剤、粘度増加剤、殺菌剤および発泡防止剤も含有しうる。しかしながら、触媒活性における低下をもたらす無電解沈着触媒の汚染/毒性を防止することが完全に可能である場合には、親水性相内の添加剤の存在は回避すべきである。
【0075】
本発明に従う方法の第八態様によると、親水性相は水および無電解沈着触媒だけを含有する。
【0076】
本発明に従う方法の第九態様によると、親水性相は少なくとも1種の水−混和性有機化合物、例えば脂肪族アルコール類、ケトン類、アレン類、エステル類、グリコールエーテ
ル類、環式エーテル類、例えばテトラヒドロフラン、並びにそれらの混合物、好ましくは有機溶媒をさらに含有する。
【0077】
本発明に従う方法の第十態様によると、結合剤は親水性相内の溶解したおよび分散した固体の10重量%より少ない。
【0078】
本発明に従う方法の第十一態様によると、親水性相は水−分散性重合体を含まない。
【0079】
本発明に従う方法の第十二態様によると、親水性相は還元剤を含まない。
【0080】
本発明に従う方法の第十三態様によると、結合剤は親水性相内の溶解したおよび分散した固体の5重量%より少ない。結合剤−含有量の最少化は触媒種が最大活性を示すことを可能にそして無電解沈着触媒種を利用不能にするそれらの埋没を防止する。
【0081】
本発明に従う方法の第十四態様によると、親水性相は例えば従来のオフセット印刷使用されているような湿し水媒体である。
【0082】
本発明に従う方法の第十五態様によると、親水性相は親油性湿し水と共に反転オフセット印刷で使用されるような親水性インキであり、ここで無電解沈着触媒は染料および/または顔料の一部または全てを置換しうる。触媒のタイプにより、染料、顔料または他の添加剤を印刷機から除去して触媒の汚染を防止し、それにより触媒の効率を高めることが好ましい。さらに、これは乾燥された層の中での触媒のより高い濃度をもたらすであろう。
【0083】
本発明に従う方法の第十六態様によると、親水性相は無電解沈着触媒の濃度が10−8〜1モル/Lの間、好ましくは0.001〜0.1モル/Lの間である親水性インキである。
【0084】
本発明に従う方法の第十七態様によると、親水性相は例えばオフセット印刷で使用されるもののような単一流体インキの分散相である。単一流体インキ中の親水性相は主としてエチレングリコール類をベースとする。凝固を防止しそして触媒の高い効率を維持するためには、エチレングリコール類の一部を水で置換することが必要でありうる。
【0085】
本発明に従う方法の第十八態様によると、親水性相は単一流体インキの分散相でありそして無電解沈着触媒は10−8〜1モル/Lの間、好ましくは0.001〜0.1モル/Lの間で存在する。
【0086】
本発明に従う方法の第十九態様によると、親水性相は例えばオフセット印刷で使用されるもののような単一流体インキの分散相である。
【0087】
本発明に従う方法の第二十態様によると、親水性相は水をベースとしたドリオグラフィーインキであり、ここで無電解沈着触媒は染料および/または顔料の一部または全てを置換しうる。触媒のタイプにより、染料、顔料または他の添加剤を印刷機から除去して触媒の汚染を防止し、それにより触媒の効率を高めることが好ましい。さらに、これは乾燥された層の中で触媒のより高い濃度をもたらすであろう。
【0088】
本発明に従う方法の第二十一態様によると、親水性相は無電解沈着触媒を10−8〜1モル/Lの間、好ましくは0.001〜0.1モル/Lの間の濃度で含有する水をベースとしたドリオグラフィーインキである。
【0089】
本発明に従う方法の第二十二態様によると、親水性相はイオノマーを含まない。
【0090】
本発明に従う方法の第二十三態様によると、親水性相は例えば蛍光、燐蛍光、pH−指定、着色、白色化および固有伝導性成分よりなる群から選択される他の機能成分を含んでなる。
【0091】
本発明に従う方法の第二十四態様によると、無電解沈着触媒は親水性相に組み入れられ、それはDIN53211に従い測定されて一定粘度となるまで、すなわちDIN53211に従う連続的測定が再現性となるまで、撹拌した後に少なくとも30mPa.sの粘度を有する。
【0092】
本発明に従う方法の第二十五態様によると、無電解沈着触媒は親水性相に組み入れられ、それはDIN53211に従い測定されて一定粘度となるまで、すなわちDIN53211に従う連続的測定が再現性となるまで、撹拌した後に少なくとも100mPa.sの粘度を有する。
【0093】
本発明に従う方法の第二十六態様によると、無電解沈着触媒は親水性相に組み入れられ、それはDIN53211に従い測定されて一定粘度となるまで、すなわちDIN53211に従う連続的測定が再現性となるまで、撹拌した後に少なくとも200mPa.sの粘度を有する。
【0094】
本発明に従う方法の第二十七態様によると、無電解沈着触媒は親水性相に組み入れられ、それは1.5〜5.5の間のpHを有する。
【0095】
湿し水媒体(aqueous fountain medium)
本発明に従う方法の第二十八態様によると、無電解沈着触媒は湿し水媒体に組み入れられる。
【0096】
本発明に従う方法の第二十九態様によると、無電解沈着触媒は湿し媒体中に10−8〜1モル/Lの間、好ましくは0.001〜0.1モル/Lの間の濃度で存在する。
湿し水媒体は、水溶性ゴム、pH−緩衝系、減感塩類、酸類もしくはそれらの塩類、湿潤剤、溶媒、非−積層もしくは潤滑添加剤、乳化調節剤、粘度増加剤、殺菌剤および発泡防止剤も含有しうる。
【0097】
本発明に従う方法の第三十態様によると、無電解沈着触媒は湿し水媒体に組み入れられ、それは発泡防止剤をさらに含んでなる。適する発泡防止剤はシン−エツ(Shin−Etsu)からのシリコーン発泡防止剤X50860Aを包含する。
【0098】
本発明に従う方法の第三十一態様によると、無電解沈着触媒は湿し水媒体に組み入れられ、それは水溶性ゴム、例えばアラビアゴム、ラーチゴム、CMC、PVP、およびアクリル系をさらに含有する。
【0099】
水−混和性有機化合物
本発明に従う方法の第三十二態様によると、親水性相は少なくとも1種の水−混和性有機化合物、例えば脂肪族アルコール類、ケトン類、アレン類、エステル類、グリコールエーテル類、環式エーテル類、例えばテトラヒドロフラン、およびそれらの混合物をさらに含有する。
【0100】
親油性相
本発明の無電解沈着触媒のパターンをスタンプ印刷以外で接触印刷する方法によると、無電解沈着触媒のパターンは親水性相を介して印刷される。
【0101】
本発明に従う方法の第三十三態様によると、親油性相が接触印刷方法に含まれる。
【0102】
本発明に従う方法の第三十四態様によると、親油性相が接触印刷方法に含まれそして親油性相が親油性湿し水である。
【0103】
本発明に従う方法の第三十五態様によると、親油性相が接触印刷方法に含まれそして親油性相が単一流体インキの分散相である。
【0104】
本発明に従う方法の第三十六態様によると、親油性相が接触印刷方法に含まれそして親油性相が単一流体インキの連続相である。
【0105】
本発明に従う方法の第三十七態様によると、親油性相が接触印刷方法に含まれそして親油性相が親油性インキである。
【0106】
顔料および染料
本発明の無電解沈着触媒のパターンをスタンプ印刷以外で接触印刷する方法によると、無電解沈着触媒のパターンは親水性相を介して印刷されそして親油性相が接触印刷方法に含まれる。
【0107】
本発明に従う方法の第三十八態様によると、親水性相は少なくとも1種の着色剤を含有し、それは顔料または染料でありうる。
【0108】
本発明に従う方法の第三十九態様によると、親水性相内の着色剤は染料である。
【0109】
本発明に従う方法の第四十態様によると、親油性相が接触印刷方法に含まれそして親油性相は着色剤を含有し、それは顔料または染料でありうる。
【0110】
本発明に従う方法の第四十一態様によると、親油性相が接触印刷方法に含まれそして親油性相は染料を含有する。
【0111】
着色剤は顔料および染料よりなる群から選択することができ、親水性相または親油性相、例えば単一流体インキ、反転オフセット印刷の場合には親油性湿し水、または従来のオフセット印刷の場合には親油性「インキ」の中の分散相のいずれかに存在しうる。
【0112】
透明な着色組成物は、顔料、例えばアゾ顔料、例えばDALMAR(R)アゾイエローおよびLEVANYL(R)イエローHRLF、ジオキサジン顔料、例えばLEVANYL(R)バイオレットBNZ、フタロシアニン青色顔料、フタロシアニン緑色顔料、モリブデート・オレンジ顔料、クロム・イエロー顔料、キナクリドン顔料、バリウム沈殿パーマネント・レッド2B、マンガン沈殿BONレッド、ローダミンB顔料およびローダミンY顔料を組み入れることにより得られうる。
【0113】
適する染料は、
【0114】
【化1】

【0115】
を包含する。
【0116】
本発明に従う方法の第四十二態様によると、親水性および/または親油性相は染料および/または顔料を含有して、インキおよび背景の色調が人間の目により、例えばASTM
Norm E308−90に従う評価を用いてR(45/0)形状でASTM Norm E179−90で規定されたCIELABa、bおよびL値を適合させることによる色適合または色遮断により区別できないようにする。
【0117】
界面活性剤
本発明に従う方法の第四十三態様によると、湿し水媒体は少なくとも1種の界面活性剤
、すなわちカチオン性、アニオン性、両性および非イオン性界面活性剤よりなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤をさらに含有する。
【0118】
本発明に従う方法の第四十四態様によると、湿し水媒体は少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、例えばエトキシル化された/フルオロ−アルキル界面活性剤、ポリエトキシル化されたシリコーン界面活性剤、ポリシロキサン/ポリエーテル界面活性剤、ポリフルオロ−アルキルカルボン酸のアンモニウム塩、ポリエトキシル化された界面活性剤および弗素−含有界面活性剤をさらに含有する。
【0119】
適する非イオン性界面活性剤は、
NON01 SURFYNOL(R)440: エアー・プロダクツ(Air Products)からの40重量%のポリエチレンオキシド基を有する2つのポリエチレンオキシド連鎖を有するアセチレン化合物
NON02 SYNPERONIC(R)13/6.55 トリデシルポリエチレン−グリコール
NON03 ZONYL(R)FSO−100: デュポンからのエトキシル化されたフルオロ界面活性剤F(CFCF1−7CHCHO(CHCHO)H(ここでy=0〜約15である)の混合物
NON04 ARKOPALTMN060: ヘキスト(HOECHST)からのノニルフェニルポリエチレン−グリコール
NON05 FLUORAD(R)FC129: 3Mからのフルオロ脂肪族重合体エステル
NON06 PLURONIC(R)L35 ポリエチレン−グリコール/プロピレン−グリコール
NON07 TEGOGLIDE(R)410: ゴールドシュミット(Goldschmidt)からのポリシロキサン−重合体共重合体界面活性剤
NON08 TEGOWET(R): ゴールドシュミットからのポリシロキサン−ポリエステル共重合体界面活性剤
NON09 FLUORAD(R)FC126: 3Mからのペルフルオロカルボン酸類のアンモニウム塩類の混合物
NON010 FLUORAD(R)FC430: 3Mからの98.5%活性フルオロ脂肪族エステル
NON11 FLUORAD(R)FC431: 3MからのCF(CFSO(C)N−CHCO−(OCHCHOH
NON12 ポリオキシエチレン−10−ラウリルエステル
NON13 ZONYL(R)FSN: デュポンからのイソプロパノールの50重量%水溶液中のF(CFCF1−9CHCHO(CHCHO)xH(ここでx=0〜約25である)の40重量%溶液
NON14 ZONYL(R)FSN−100: デュポンからのF(CFCF1−9CHCHO(CHCHO)H(ここでx=0〜約25である)
NON15 ZONYL(R)FS300: デュポンからの弗素化された界面活性剤の40重量%溶液
NON16 ZONYL(R)FSO: デュポンからのエチレングリコールの50%水溶液中の式F(CFCF1−7CHCHO(CHCHO)H(ここでy=0〜約15である)を有するエトキシル化されたフルオロ−界面活性剤の混合物の50重量%溶液
を包含する。
【0120】
本発明に従う方法の第四十五態様によると、湿し水媒体は少なくとも1種のアニオン性界面活性剤をさらに含んでなる。適するアニオン性界面活性剤は、
AN01 HOSTAPON(R)T ヘキストからのN−メチル−N−2−スルホエチル−オレイルアミドの精製されたナトリウム塩の95%濃縮物
AN02 LOMAR(R)
【0121】
【化2】

【0122】
AN03 AEROSOL(R)OT アメリカン・シアナミド(American Cyanamid)からのスルホ琥珀酸のジ−2−エチルヘキシルエステルのナトリウム塩の10g/Lの水溶液
AN04 DOWFAX 2A1 ダウ・コーニング(Dow Corning)からのビス(p−ドデシル,スルホ−フェニル)−エーテルおよびビス(p−ドデシル,スルホ−フェニル)−エーテルのナトリウム塩の混合物の45重量%水溶液
AN05 SPREMI ペルフルオロ−オクチルスルホン酸テトラエチルアンモニウムAN06 TERGO 1−イソブチル,4−エチル−n−オクチル硫酸ナトリウム
AN07 ZONYL(R)7950 デュポンからの弗素化された界面活性剤
AN08 ZONYL(R)FSA デュポンからのイソプロパノールの50重量%水溶液中のF(CFCF1−9CHCHSCHCHCOOLiの25重量%溶液
AN09 ZONYL(R)FSE: デュポンからのエチレングリコールの70重量%水溶液中の[F(CFCF1−7CHCHO]P(O)(ONH(ここでx=1または2であり、y=2または1であり、そしてx+y=3である)の14重量%溶液
AN10 ZONYL(R)FSJ: デュポンからのイソプロパノールの25重量%水溶液中の[F(CFCF1−7CHCHO]P(O)(ONH(ここでx=1または2であり、y=2または1であり、そしてx+y=3である)と炭化水素界面活性剤との配合物の40重量%溶液
AN11 ZONYL(R)FSP デュポンからのイソプロパノールの69.2重量%水溶液中の[F(CFCF1−7CHCHO]P(O)(ONH(ここでx=1または2であり、y=2または1であり、そしてx+y=3である)の35重量%溶液
AN12 ZONYL(R)UR: デュポンからの[F(CFCF1−7CHCHO]P(O)(OH)(ここでx=1または2であり、y=2または1であり、そしてx+y=3である)
AN13 ZONYL(R)TBS: デュポンからの酢酸の4.5重量%水溶液中のF(CFCF3−8CHCHSOHの33重量%溶液
AN14 ペルフルオロ−オクタン酸のアンモニウム塩
を包含する。
【0123】
本発明に従う方法の第四十六態様によると、湿し水媒体は少なくとも1種の両性界面活性剤をさらに含有する。適する両性界面活性剤は、
AMP01 AMBITERIC(R)H エタノール中のヘキサデシルジメチル−アンモニウム酢酸の20重量%溶液
を包含する。
【0124】
受容媒体
本発明に従う方法の第四十七態様によると、受容媒体は印刷に適するいずれかの受容媒体であり、それは柔軟性であっても硬質性であってもよい。柔軟性の媒体は紙、厚紙、ボール紙、コーティング紙、金属箔もしくはプラスチックシートまたはこれらの材料のいずれかの複合体を包含するが、それらに限定されない。硬質性の媒体はガラス、セラミック、エポキシ樹脂もしくはプラスチックまたはこれらの材料のいずれかの複合体を包含するが、それらに限定されない。
【0125】
本発明に従う方法の第四十八態様によると、受容媒体は紙、コーティング紙、金属箔またはプラスチックシートである。
【0126】
受容媒体は半透明、透明または不透明でありうる。適するプラスチックシートは重合体ラミネート、熱可塑性重合体箔またはジュロプラスチック重合体箔、例えばセルロースエステル、三酢酸セルロース、酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネートまたはポリエステル製のものを包含し、ポリ(エチレンテレフタレート)またはポリ(エチレンナフタレン−1,4−ジカルボキシレート)が特に好ましい。コーティング紙は、紙、ボール紙または厚紙と重合体材料、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンの1つもしくはそれ以上の層とのラミネートを包含する。
【0127】
本発明に従う方法の第四十九態様によると、受容媒体を追加層、例えば下塗り層または受容層、でコーティングして基質をさらに付着性および受容性にする。例えば写真技術で既知である多くの下塗り材料のいずれも使用することができる。そのような下塗り層の代表はゼラチン、ビニル重合体、例えばポリビニルアルコールおよび多数の重合体材料、並びに他の化学化合物および組成物である。
【0128】
無電解沈着方法
無電解沈着触媒は無電解製版用の核として機能しうる。無電解製版の使用は当業者に既知でありそして例えばPCB製造において使用される。種々の金属、例えばニッケル、銀、銅、金、金合金、白金、ルテニウム、ロジウム、コバルトおよびコバルト合金[“Electroless Plating-Fundamentals and Applications”,edited by Glenn O. Mallory and June B.Hajdu,William Andrew Publishing/Noyes (1990)]を無電解的に製版することができる。
【0129】
本発明に従う方法の第五十態様によると、この方法は無電解沈着触媒のパターン上での無電解沈着の段階をさらに含んでなる。
【0130】
本発明に従う方法の第五十一態様によると、無電解沈着触媒の複数の層が順次印刷されて装置を製作する。各層は異なるパターンを有することができそして次の印刷段階を行う前に必要な工程段階、例えば現像または製版を行うことができる。
【0131】
拡散転写反転(DTR)方法
本発明に従う方法の第五十二態様によると、この方法は現像核のパターンが銀塩を介して物理的に現像される拡散転写反転方法による無電解沈着触媒のパターン上での無電解沈着の段階をさらに含んでなる。
例えば、現像核の印刷、核パターンを伝導性パターンに転化するためのDTR方法および絶縁層の印刷の三段階を数回にわたり繰り返して多層印刷回路板を作成することができる。現像核の印刷および伝導性パターンを製造するためのその後のDTR後に、この方法で(バイオ)センサーを作成するための酵素の印刷を行うことができる。
【0132】
本発明に従う方法の第五十三態様によると、この方法は無電解沈着触媒を基質上で露光されていないハロゲン化銀含有層(転写乳剤層)で現像することを含んでなる拡散転写反転方法による無電解沈着触媒のパターン上での無電解沈着の段階を含んでなり、転写乳剤層内のハロゲン化銀の量は好ましくは0.1〜10g/mの間そして特に1〜5g/mの間のAgNOでありそして0.05〜4.0の範囲内のゼラチン対ハロゲン化銀の比を有する。
【0133】
本発明に従う方法の第五十四態様によると、この方法は拡散転写反転方法による無電解沈着触媒のパターン上での無電解沈着、および例えば転写乳剤層がDTR方法後に基質から分離される時の無電解沈着触媒を含有しない着色インキパターンの基質からの除去の段階をさらに含んでなる。これは、従来のオフセット印刷方法における親油性着色インキが、転写乳剤層に対する親和力と比べて、基質に対する低い親和力を有する場合に起きるであろう。これは例えば基質が親水性であるかまたは親水性コーティング層、例えばゼラチン層、を有する場合である。インキパターンの除去の利点は、オフセットブランケットから親油性のインキで覆われた基質領域への湿し媒体の劣悪な移動の危険性を伴わずに無電解沈着触媒の第二パターンを湿し媒体を介して印刷できることである。無電解沈着触媒の第一パターンが第二印刷段階で親油性着色インキで(部分的に)オーバーコーティングされる場合には、無電解沈着触媒は印刷された基質が接触する化学物質と相互作用するためにはより少しだけ利用可能であるかまたはもはや全く利用可能でない。DTRによる第二印刷段階の親油性着色インキの除去が無電解沈着触媒の下にある層を露呈して、その機能を回復させる。
【0134】
工業的用途
本発明に従う方法は、例えば、金属層を用いる電子製版、センサー、例えば玩具の如き単一のそして限定された使用項目のための電気回路の製造、ラジオ周波数タグの部品としての容量性アンテナ内、ランプ、ディスプレイ、バックライト、例えばLCD、自動車ダッシュボードおよびキースイッチバックライティングで使用できる電気蛍光装置内、緊急照明、携帯電話、個人用デジタル補助具、家庭用エレクトロニクス、インジケーターランプ並びに発光が必要な他の用途を包含する多様な用途のための伝導性パターンを製造するために使用することができる。
【0135】
本発明を以下で比較例および本発明の実施例により説明する。これらの実施例で示される百分率および比は断らない限り重量による。
受容媒体:
【0136】
【表1】

【0137】
付着促進層番号01用のコーティング溶液は以下の組成を有しそして130m/lでコーティングされた:
【0138】
【表2】

【0139】
下塗り層番号02用のコーティング溶液は以下の組成を有しそして30m/lでコーティングされた:
【0140】
【表3】

【0141】
ゼラチン層番号03用のコーティング溶液は以下の組成を有する:
【0142】
【表4】

【0143】
PE−コーティング紙番号04は、TiO−含有PE層(28g/m)を有し、ゼラチン層(0.25g/m)でオーバーコーティングされた紙(166g/m)よりなるF.シェーラー(F.Schoeller)からの写真紙である。裏側は47%のLDPEおよび53%のHDPEの層(24g/m)である。
【実施例】
【0144】
実施例1
親水性相としての湿し水を介する現像核のオフセット印刷
硫化パラジウム物理的現像核の製造は例えば引用することにより本発明の内容となる欧州特許出願公開第0769723号明細書に記載されている。この例から、溶液A1、B1およびC1を使用して0.0038モル/lの濃度を有する核分散液を製造した。10グラムのイソプロパノールを90グラムのこの分散液に加えた。これが「湿し媒体A」であった。
【0145】
10グラムのイソプロパノールを0.027モル/lのAgの濃度および5−6nmの平均粒子寸法を有する銀物理的現像核の90グラムの分散液に加えた。これが「湿し媒体B」であった。
【0146】
A.B.ディック(Dick)からの360オフセット印刷機を用いて、サン・ケミカル(Sun Chemical)からの黄色オフセットインキであるMT253イエローを用いて、ThermostarTMP970/15印刷版、上記の受容媒体1〜3並びに「湿し媒体A」および「湿し媒体B」を用いて、印刷実験を行った。両方の湿し媒体を用いて印刷品質の劣化なしに150回の印刷を行い、湿し分散液を含有する非−印刷領域は無色であった。
【0147】
クロロ臭化銀乳剤の製造および転写乳剤層の製造は、適用されたハロゲン化銀の被覆率が2g/mの代わりに2.35g/mのAgNOに相当したこと以外は、欧州特許出願公開第769723号明細書に開示されている通りであった。転写乳剤層を以上で挙げられた受容媒体と25℃において1分間にわたりAGFA−GEVAERTTMCP297現像剤溶液を用いて接触させそして引き続き室温において乾燥した。
【0148】
この拡散転写反転(DTR)方法を行った後に、「湿し媒体A」および「湿し媒体B」の両者並びに受容媒体2および3に関しては銀灰色パターンが非−インキ付着領域で形成されており、現像核が印刷中に受容媒体に移されたことを示す。この拡散転写反転(DTR)方法を行った後に、受容媒体1に関しては着色は観察されなかった。
【0149】
「湿し媒体A」を有する受容媒体2上の銀領域は1500Ω/平方の抵抗を示した。他の試料上の銀領域は伝導性を示さなかった。転写乳剤層並びに(親水性)受容媒体2および3の分離中に、(疎水性)黄色インキが転写乳剤に転写されたが、黄色インキは分離後に受容媒体1上に留まっていた。
【0150】
追加の銅層をそれを4分間にわたり還元剤浴(アトテク(Atotech)からの還元剤Neoganth)の中に浸漬することにより銀パターンの頂部で成長させ、引き続き銅浴(アトテクからのPrintoganth PV)の中で30分間にわたり無電解製版した。銅だけが銀パターン上で沈着して、灰色から銅色のパターンへの変化を生じた。
【0151】
実施例2
拡散転写反転方法による伝導性の増加
実施例1に記載されている拡散転写反転方法により現像核を「湿し媒体A」により受容媒体2上で印刷しそして次に現像した。抵抗は1500Ω/平方であった。受容媒体を次に拡散転写反転方法により、前記と同じ条件を用いて、二回目の現像をして、100Ω/平方の抵抗を生じた。転写乳剤層は露光されなかったはずであるため、すでにパターン処理された受容媒体に対する転写乳剤層の誤整列の問題は起きなかった。
【0152】
接触時間が1から3分間に増加した一回DTR方法段階は二連続DTR方法と比べて表面抵抗における減少は与えなかった。
【0153】
実施例3
親水性相としての湿し水による伝導性の増加
溶液A1、B1およびC1は以下に示される通りにして製造された:
【0154】
【表5】

【0155】
物理的現像核は、欧州特許出願公開第0769723号明細書に記載されている通りにして、(NHPdClの溶液A1および硫化ナトリウムの溶液B1を一定速度で4分間にわたり硫化ナトリウムを含有する溶液C1に400rpmで撹拌しながら加える二重噴射沈殿により製造した。沈殿後に、得られた沈殿した核を0.5mSの伝導率まで透析した。この分散液の250g試料を蒸発により50gまで濃縮しそして5gのイソプロパノールを加えた。これが「湿し媒体C」であった。
【0156】
「湿し媒体A」および「湿し媒体C」の両方で受容媒体5の上で実施例1に記載された通りにして印刷を行った。
【0157】
実施例1に記載された通りにしてDTR現像を行った後に、「湿し媒体A」および「湿し媒体C」の両方で印刷された受容媒体5を有する非−インキ付着領域で銀灰色パターンが形成された。「湿し媒体A」では、銀領域は伝導性を示さなかったが、「湿し媒体C」で得られた表面抵抗は20−500Ω/平方であった。従って、湿し媒体中の現像核濃度における増加が沈着する銀の量をそしてその結果として伝導性を改良した。伝導性は二回DTR方法によりさらに増加させることができた。典型的な例では、表面抵抗は21から3.8Ω/平方に減少した。
【0158】
実施例4
親水性相としての湿し水による伝導性の増加
「湿し媒体C」を実施例3に関して記載されている通りにして製造した。実施例1に記載されている通りにして、受容媒体5の上で、別個に「湿し媒体A」および「湿し媒体C」の両方を用いて、印刷を行った。
【0159】
実施例1に記載されている通りにしてDTR現像を行った後に、「湿し媒体A」および「湿し媒体C」の両方を用いて印刷された非−インキ付着された領域で銀灰色パターンが形成された。「湿し媒体A」では、銀領域は伝導性を示したが、「湿し媒体C」で得られた表面抵抗は170Ω/平方であった。従って、湿し媒体中の現像核濃度における増加が沈着する銀の量をそしてその結果として伝導性を改良した。伝導性は二回DTR方法によりさらに増加させることさえでき、30Ω/平方の抵抗を生じた。
【0160】
実施例5
追加コーティング段階による伝導性の増加
実施例1に記載されている通りにして「湿し媒体A」により受容媒体1、2、4および5の上で現像核を印刷した。印刷物を次に「湿し媒体A」で10μmの名目湿潤コーティング厚さでコーティングした。湿し媒体は黄色インキ付着疎水性領域を湿潤低下させそして「湿し領域」を優先的に被覆した。室温において乾燥した後に、印刷物をDTRにより現像しそして乾燥して、以下の表1に示された抵抗を有する伝導性パターンを生じた。
【0161】
【表6】

【0162】
全てがゼラチン最外側層を有するこのようにして印刷された受容媒体2〜5の上でDTR現像を行った場合には、5〜20Ω/平方の表面抵抗が得られたが、受容媒体1のようにゼラチン最外側層の不存在下では、銀が核パターン上に沈着しなかった。
【0163】
受容媒体2の上での現像核のDTR−処理により得られた層の表面抵抗はDTR方法で形成された銀粒子と一緒に焼結するとIRダイオードレーザー(波長830nm)ビームを用いて1250mJ/cmのエネルギーで加熱することにより7.6の因数だけ低下させうることも見出された。
【0164】
実施例6
熱処理による伝導性の増加
実施例5に記載されている通りにして受容媒体2上での現像核のDTR−処理により得られた銀層をIRダイオードレーザー(波長830nm)ビームに1250mJ/cmのエネルギーで露呈した。発生した熱の結果として、DTR方法において形成された銀粒子が一緒に焼結し、それにより表面抵抗を13Ω/平方から1.7Ω/平方に低下させた。
【0165】
受容媒体2上での現像核のDTR−処理により得られた銀層を40の設定を有する光フラッシュランプに露呈した。発生した熱の結果として、DTR方法において形成された銀粒子が一緒に焼結し、それにより表面抵抗を13Ω/平方から4Ω/平方に低下させた。
【0166】
実施例7
無電解銅製版による伝導性の増加
実施例3および4に記載された通りにして受容媒体4および5上での「湿し媒体C」により現像核を印刷した。実施例1に記載された通りにしてDTR現像を行った後に、非−インキ付着領域で銀灰色パターンが形成された。銀パターンを塩化パラジウムの0.5%溶液(塩酸で1.5に調節されたpH)の中に0.5秒間にわたり浸漬し、次に水で充分すすぎそして最後に以下の表2に示された組成を有する無電解銅製版溶液の中に入れた。
【0167】
【表7】

【0168】
種々の時間に関する無電解製版後に得られた表面抵抗が表3に示されている。
【0169】
【表8】

【0170】
本発明は暗にまたは明瞭にここに開示されたいずれかの特徴もしくは特徴の組み合わせまたはここで特許請求された発明に関連するかどうかにかかわらずそれらのいずれかの一般論を包含しうる。以上の記述に鑑みて、本発明の範囲内で種々の改変を行いうることは当業者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無電解沈着触媒のパターンを親水性相を介して受容媒体にスタンプ印刷以外で接触印刷する段階を含んでなり、該無電解沈着触媒が無電解沈着前に活性化を必要としない方法。
【請求項2】
該接触印刷方法が無電解沈着触媒のパターンを親水性相を介して中間版またはローラーに適用しそして無電解沈着触媒の該パターンを該中間版またはローラーから受容媒体に転写する段階を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該中間版が印刷版マスターである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
該無電解沈着触媒が非金属性である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該無電解沈着触媒が重金属硫化物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該無電解沈着触媒が金属性である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
該無電解沈着触媒が銀沈着に触媒作用し得る請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
該印刷方法がオフセット印刷方法である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該親水性相が着色剤を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
該親水性相が単一流体インキの連続相である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該親水性相が親水性インキである請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
該親水性相が水をベースとしたドリオグラフィーインキである請求項1〜9および11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
該親水性相が湿し水である請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
該親水性相が一定粘度となるまで撹拌した後にDIN53211に従い測定して少なくとも30mPa.sの25℃における粘度を有する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
親油性相が該接触印刷方法に含まれる請求項1〜11、13および14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
該親油性相が親油性湿し水である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該親油性相が単一流体インキの分散相である請求項15に記載の方法。
【請求項18】
該親油性相が親油性インキである請求項15に記載の方法。
【請求項19】
該親油性相が着色剤を含有する請求項15に記載の方法。
【請求項20】
無電解沈着触媒の該パターン上の無電解沈着の段階をさらに含んでなる請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
該無電解沈着が拡散転写反転方法による請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ハロゲン化銀粒子および現像剤を含有する層との接触時に銀を該パターン上に沈着させる請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2008−538335(P2008−538335A)
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507039(P2008−507039)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061055
【国際公開番号】WO2006/111451
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(504376795)アグフア−ゲヴエルト (24)
【Fターム(参考)】