説明

焦がしバター風味を有するバターの製造方法

【課題】焦がしバター風味を有し、かつバターと同等の物性を有する新規なバターを提供する。
【解決手段】バターの製造過程で形成されるバター粒に、35〜45℃に保持された加熱バター液を添加し、バター粒と共に練圧することにより、焦がしバター風味を有するバターを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦がしバター風味を有するバターの製造方法、及び当該方法により製造されるバターに関する。
【背景技術】
【0002】
「焦がしバター」とは、フランス料理等で使用される食品素材であり、ムニエル等の料理の風味付けに使用される。焦がしバターは、バターを鍋で加熱し、水分を蒸発させてバター中の無脂乳固形分を焦がすことにより、その焦げ風味(焦がしバター風味)をバター中の油分に移行、付与した後、焦げた無脂乳固形分をろ紙等を使用して除去することにより作製される。
このようにして作製される焦がしバターは、殆どが油脂からなるため、従来、高温の液体状態で調理に使用されてきた。
【0003】
焦がしバター風味を有する油脂類を製造する技術としては、次のものが知られている。
特許文献1には、油脂組成物中のフラン化合物、ラクトン類の加熱前後の含量を特定の範囲とすることを特徴とする油脂組成物が記載されている。このような油脂組成物は、冷蔵保存時には、バター様の独特の風味を持ち、かつ加熱時においても、風味の減少が無く、焦がしバター風味を生じさせながらも素材の味を生かす風味を併せ持つとされている。
特許文献2には、油脂を乳製品粉末、糖類及びアミノ酸の存在下に加熱することを特徴とする、風味油の製造法が記載されている。このようにして得られる風味油は、焦がしバター風味を有し、マーガリン用などの各種食品の用途に適した油脂として使用し得るものであるとされている。
【0004】
他方、従来のバターに所定の風味を付与する技術としては、次のものが知られている。
特許文献3には、クリームをバター粒子が形成された後に添加して練圧することを特徴とするクリーム風味を有するバターの製造方法が記載されている。このような方法によれば、これまでバター製造時に失われていたクリーム風味をバターとしての商品性に影響を与える物性の変化を伴うことなく付加することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−291134号公報
【特許文献2】特開2002−171903号公報
【特許文献3】特開2007−20429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した通り、焦がしバターは殆どが油脂からなるため、冷やすことにより固化する。しかしながら、この固化した焦がしバターは、当然、脂肪中に無脂乳固形分と塩分を含む水相が水滴となって分散しているW/O型(油中水型)乳化物である従来のバターの物性とは大きく異なる。従って、このような焦がしバターは、例えばトーストにスプレッドしたり、延ばしてパイ生地に使用したりするなど、通常のバターと同様に用いることはできなかった。
【0007】
特許文献1や特許文献2では、油脂類の風味については種々検討されているものの、焦がし風味を生成した後の組織については全く検討されていない。仮に、これらの特許文献に記載される油脂類を冷却して固化させたとしても、当然、バター本来の滑らかな乳化組織とはならない(試験例2を参照)。
【0008】
このように、従来、焦がしバター風味を有し、かつ通常のバターと同様の物性を有するバターを製造する技術は知られていなかったし、そもそもそのようなバター自体が知られていなかった。
【0009】
また、特許文献3では、バターにクリーム風味を付与すること、及びバターの良好な物性を維持することについて検討が行われている。しかしながら、そもそもO/W型(水中油型)乳化物であるクリームと、殆どが油脂からなる焦がしバターでは、成分組成及び組織が異なるため、特許文献3に記載の技術を、焦がしバター風味を有するバターを製造するために、そのまま適用することは困難であった。
【0010】
そこで、本発明は、焦がしバター風味を有し、かつバターと同等の物性を有する新規なバターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決する手段について検討を重ねた結果、バター粒が形成された後、バターに特有の乳化組織を形成していく過程で、特定の温度範囲内の加熱バター液を組織内に添加することで、従来のバターと同等の物性を維持しながら焦がしバター風味を有する新規なバターを製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明において、「加熱バター液」とは、バターを加熱して無脂乳固形分を焦がした後、無脂乳固形分を除いて得られる油分をいう。
【0012】
すなわち、前記課題を解決するための本発明は、バター粒に、35〜45℃に保持された加熱バター液を添加して練圧することを特徴とする、焦がしバター風味を有するバターの製造方法である。
特定の範囲の温度に調節された加熱バター液を、バターの製造においてバター粒が形成された後、バター粒と共に練圧することにより、バター特有の乳化組織の形成を妨げることなく、製造されるバターに焦がしバター風味を付与することが可能となる。
【0013】
本発明の製造方法は、クリームを撹拌してバター粒を得るチャーニング工程と、前記バター粒を練圧し均一化するワーキング工程とを含む。好ましい形態では、前記加熱バター液の添加を、前記ワーキング工程中に行う。
加熱バター液の添加を前記工程中で行うこと、すなわち、加熱バター液の添加をバターの乳化組織を形成するための操作と並行して行うことにより、特に、滑らかなバターを製造することが可能となる。
【0014】
本発明の製造方法の好ましい形態では、前記加熱バター液を、前記バター粒に対して5〜15質量%の割合で添加する。
このような量で加熱バター液を添加することにより、均一な乳化組織を形成しやすくなり、特に展延性(スプレッタビリティ)に優れたバターを製造することができる。
【0015】
本発明の製造方法の好ましい形態では、前記加熱バター液は、バターを110〜180℃で120〜10分加熱処理した後に、固形分を除去して得られるものである。
このような加熱バター液を用いることで、しっかりとした焦がしバター風味を有するバターを製造することができる。
【0016】
また、本発明は、前記製造方法により製造されるバターにも関する。このようにして製造されるバターは、従来のバターと同等の物性を有しつつ、焦がしバター風味を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、焦がしバター風味を有し、かつバターと同等の物性を有する新規なバターを提供することができる。本発明によれば、従来、バターが使用されてきた食品全般(トースト、パイ生地等)に対し、従来のバターと同様の方法で使用できる焦がしバター風味を有するバターを提供することができる。
また、好ましい形態では、焦がし風味のバターをバター本来の成分のみで製造することができるため、乳等省令にて定義されている種類別「バター」として、新規な商品を提供することが可能となる。
また、本発明のバターを用いることにより、従来、良好な焦がしバター風味を付与するのが困難であったパイ等の菓子類にも、良好な焦がしバター風味を簡便に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の製造方法の概略工程図である。
【図2】本発明の製造方法の実施例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1を参照しながら、本発明の製造方法の実施形態について説明する。
図1は、本発明のバターの製造方法の概略工程図である。
【0020】
本発明の製造方法は、従来のバターの製造方法と同様、少なくともチャーニング工程及びワーキング工程を含む。以下、これらの工程について簡単に説明する。
<チャーニング工程>
チャーニング工程では、乳から分離されたクリーム(O/Wエマルション(水中油型の乳化物))を撹拌することで、クリーム中の脂肪球を破壊し凝集させ、バター粒を形成する。チャーニング工程では、バター粒が形成されていく過程で、水溶性の成分であるバターミルクが排出される。
本発明の製造方法におけるチャーニング工程は、公知のバター製造装置や方法を用い、通常の条件にて行うことができる。
【0021】
<ワーキング工程>
ワーキング工程では、チャーニング工程で形成されたバター粒に含まれる水分や結晶脂肪を練圧することにより、均一な組織を形成する。ワーキング工程では、バター粒に含まれる余分な水分が排出され、さらに水分は微細な水滴として脂肪中に分散されW/Oエマルション(油中水型の乳化物)が形成される。
本発明の製造方法におけるワーキング工程は、公知のバター製造装置や方法を用い、通常の条件にて行うことができる。
【0022】
<加熱バター液の添加>
本発明の製造方法は、上述した各工程を含むバターの製造方法において、少なくともバター粒が形成された後、バター粒に加熱バター液を添加し、共に練圧することを特徴とする。
すなわち、前記の各工程に当てはめれば、バター粒が形成されるチャーニング工程以降、練圧が終了するワーキング工程以前の何れかのタイミングで、加熱バター液をバター粒に添加することができる。
例えば、バター粒を練圧するワーキング工程中に、加熱バター液の添加を行うことができる。
勿論、チャーニング工程とワーキング工程との間で、バター粒に加熱バター液を添加することもでき、例えば、加塩バターを製造する際には、これらの工程の間で、塩と共に加熱バター液の添加を行うこともできる。
【0023】
中でも、加熱バター液の添加は、ワーキング工程中に行うことが好ましい。すなわち、バター粒を含む組織に練圧の物理的な力を加えながら、加熱バター液を添加することが好ましい。このように、練圧をしながら加熱バター液を添加することで、バターに特有の乳化組織の形成を妨げることなく、バターに焦がしバター風味を付与することが可能となる。
また、このようなタイミングで加熱バター液を添加することで、バターの食感が滑らかなものとなり、しかも、展延性(スプレッタビリティ)に優れたバターを製造することができる。
【0024】
本発明に用いる加熱バター液は、直火釜やIH加熱釜等を用いて、従来の方法により製造することができる。加熱バター液を製造する際の、加熱温度と加熱時間は適宜調節することができる。
本発明で用いる加熱バター液としては、例えば、以下のような方法で製造することが好ましい。
まず、バターを、好ましくは110〜180℃で120〜10分、さらに好ましくは110〜140℃で120〜30分、又は130〜160℃で60〜10分加熱してバターに含まれる無脂乳固形分を焦がし、バターに含まれる油分に、無脂乳固形分の焦がし風味を付与する。続いて、このうち、焦げ等の固形分をろ過などにより除去し、油分のみを取り出す。このような方法で製造することにより、良好な焦がしバター風味を実現することが可能となる(試験例1を参照)。
本発明において、加熱バター液は、乳等省令に定義される「バター」のみから製造されることが好ましいが、必ずしもそれに限定されない。例えば、適宜任意成分を添加してもよい。
【0025】
加熱バター液をバター粒に添加する際には、加熱バター液は35〜45℃の範囲に保持されていることが必要である。また、該温度は38〜42℃の範囲であることがより好ましい。加熱バター液の温度が35℃より低い場合には、加熱バター液の固化が始まり流動性が低下し、バター粒との均一な混合が妨げられ、バターの物性を損なう可能性が高い。また、加熱バター液の温度が45℃より高い場合には、前記乳化物の組織が部分的に融解し、不均一でざらざらとした組織が形成されてしまう。また、35℃より低い場合でも、45℃より高い場合でも、良好な展延性(スプレッタビリティ)を得ることができない(試験例3を参照)。
【0026】
加熱バター液を添加する対象であるバター粒の温度は、通常10〜15℃程度であり、好ましくは12〜13℃程度である。このような温度とすることで、より良好なバターの展延性(スプレッタビリティ)を実現することが可能となる。
なお、これらの温度は、ワーキング工程を行う際の通常の温度である。
【0027】
加熱バター液の添加量は、バター粒に対して、好ましくは5〜15質量%、より好ましくは10〜15質量%である。添加量を5質量%以上とすることで、製造されるバターに十分な焦がしバター風味を付与することが可能となる。また、添加量が15質量%以下であれば、加熱バター液を添加しても容易にバターの乳化組織を形成することができるため、バターの良好な物性を維持しつつ焦がしバター風味を有するバターを製造することが容易となる(試験例4を参照)。
【0028】
本発明の製造方法は、従来のバターの製造に用いられる装置(バター製造装置)を用いて行うことができる。工業的生産では、通常、チャーニング工程からワーキング工程は、連続的に行われる。
本発明の製造方法は、バターの製造で通常行われる工程を適宜含むものである。例えば、クリーム等の原料の殺菌、バター粒の水洗、加塩、充てん包装等の工程を含み得る。
【0029】
<試験例1>
以下の試験は、加熱バター液を製造する際のバターの加熱温度及び加熱時間と、加熱バター液の風味との関係を評価するために行った。
表1に示す加熱温度及び加熱時間で、フライパン及びクックヒーターを用いてバターを加熱し、加熱バター液を作製した。所定の加熱時間が経過した時点で、直ちに濡れ布巾にフライパンを押し当て、温度を80℃程度まで冷却した。このようにして作製したバターの風味を評価した。
【0030】
【表1】

【0031】
評価の結果、190℃で10分加熱した場合、及び180℃で15分加熱した場合は、苦味が強く焦がしバター風味は得られなかった。これより、加熱温度の上限は180℃程度を目安とするのが好ましく、この場合、加熱時間は10分程度を目安とするのが好ましいことが分かった。
また、110℃より低い温度では、焦がし風味が生じるまでに、120分を超える時間が掛かることが分かった。そして、加熱時間が120分を超えるとバターの好ましい風味が揮散し始め、良好な焦がしバター風味が得られにくくなることが分かった。これより、加熱条件の下限は、110℃程度を目安とするのが好ましく、この場合、加熱時間は120分程度を目安とするのが好ましいことが分かった。
特に、110〜140℃程度の加熱温度で、120〜30分程度加熱した場合には、極めて良好な焦がしバター風味が得られることが分かった。
【0032】
<試験例2>
以下の試験は、加熱バター液を固化させた場合の物性について評価するために行った。
表2に示す条件で、試験例1と同様にバターを加熱し、焦げ色が付くまでの約10分間、温度を保持した。
適度な焦げ状態になったときに、80℃前後まで冷却し、固形分を除去して加熱バター液を製造した。続いて、加熱バター液をそのまま冷却して、冷蔵下にて物性と風味の評価を行った。
【0033】
【表2】

【0034】
評価の結果、固化した加熱バター液は、焦がしバター風味を有していたものの、ザラザラとしており、バター特有の展延性は全く有していないなど、バターとしての物性は全く保持していなかった。
【0035】
<試験例3>
以下の試験は、加熱バター液の保持温度と、製造されるバターの物性との関係を評価するために行った。
試験例1において◎または○の評価が得られた加熱バター液を、表3に示す温度に保持した。続いて、表3に示す量の加熱バター液を、通常のバター製造におけるワーキング工程中、バター粒と共に均一に練り上げた。この時、ワーキング装置(練圧装置)内の温度は12〜13℃に設定した。また、ワーキング工程は5〜6分で完了させた。
得られたバターについて、食感及び展延性を評価した。
【0036】
【表3】

【0037】
評価の結果、加熱バター液の保持温度を50℃とした場合は、製造されたバターは、食感がザラザラとしており、展延性(スプレッタビリティ)も好ましくなかった。これは、加熱バター液の熱がバター粒へ移行し、混合直後に局所的に温度が上昇し、組織の一部を溶融してしまったためであると考えられる。これより、加熱バター液の保持温度は、50℃より低いことが好ましいことが分かった。
また、加熱バター液の保持温度を40℃とした場合は、製造されたバターは、食感が滑らかで、展延性(スプレッタビリティ)も良好であった。
なお、加熱バター液の保持温度を35℃より低くすると、油脂の固化が始まることで流動性が低下し、均一な混合が妨げられ、バターの食感や展延性(スプレッタビリティ)が低下した。
以上の点から、加熱バター液の保持温度(バター粒に添加する際の温度)は、35〜45℃の範囲とする必要があることが分かった。
【0038】
<試験例4>
以下の試験は、加熱バター液の添加量(混合量)と、製造されるバターの物性との関係を評価するために行った。種々の加熱バター液を、表4に示す量で、通常のバターの製造におけるワーキング工程中で、バター粒と共に均一に練り上げた。ワーキングの条件は、試験例3と同様であった。
得られたバターについて、組織の状態及び風味を評価した。
【0039】
【表4】

【0040】
評価の結果、加熱バター液の混合量が、少なくともバター粒に対して5質量%程度であれば、十分な焦がしバター風味が得られた。これより、加熱バター液の混合量の下限は、5質量%程度が好ましいことが分かった。
混合される加熱バター液の混合量が20質量%以上の場合は、加熱バター液の影響により、バターの組織が損なわれ、不均一でボソボソした組織となった。これより、加熱バター液の混合量の上限は15質量%程度が好ましいことが分かった。
以上の点から、焦がしバター風味の付与と、バターの良好な物性を十分に両立する観点から、加熱バター液の添加量(混合量)は、バター粒に対して5〜15質量%とすることが好ましいことが分かった。
なお、加熱バター液を20質量%程度とした場合でも、例えば、製造ライン中で、加熱バター液の添加箇所を増やし添加箇所あたりの添加速度を緩和することなどにより、バターの乳化組織を形成できると考えられる。
【実施例】
【0041】
以下、より具体的な実施例を、図2を参照しながら説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されないことはいうまでもない。
【0042】
原料乳を50℃の条件でクリーム分離機によって遠心分離し、クリームを得た。得られたクリームをプレート殺菌機により85℃で15秒殺菌し、続いて7℃まで冷却し、8時間エージングした。
別途で、レオニーダー(株式会社カジワラ製)によって、バターを110℃で60分加熱し、40℃程度まで冷却した後、ろ過装置により固形分を除去し、加熱バター液を製造した。
【0043】
チャーニング工程からワーキング工程にかけて連続的に行う、チャーニング装置(チャーン)とワーキング装置(練圧装置)が一体となったバター製造装置を用いて、バターを製造した。エージングしたクリームをバター製造装置のチャーニング装置のシリンダ内に投入し、10℃で500〜600rpmの条件で撹拌して、バター粒を生成し、バターミルクを除去した。続いて、バター粒を水洗した後、これをワーキング装置に移送し、13℃の設定で練圧を開始した。練圧開始後すぐに、バター粒に対して10質量%の加熱バター液(40℃に保持)を、ノズルを用いてワーキング装置内に注入し、そのまま練圧を継続した。練圧時間は5分であった。
このようにして、バターを製造した後充填包装し、−25℃で貯蔵した。
製造されたバターは、滑らかな食感を有し、展延性(スプレッタビリティ)に優れていた。また、均一で良好な焦がしバター風味を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、これまで、加熱調理の際の使用に限定されていた「焦がしバター風味」を、従来、バターを使用してきた食品全般に適用することが可能となる。
本発明の製造方法により得られる焦がし風味を有するバターは、通常のバターと同等の物性を保持しているため、トーストへのスプレッドが可能である。また、展延性の必要なパイ生地への折込みも可能であるため、焦がし風味が十分に生きたパイ等の菓子を製造することも容易となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バター粒に、35〜45℃に保持された加熱バター液を添加して練圧することを特徴とする、焦がしバター風味を有するバターの製造方法。
【請求項2】
クリームを撹拌してバター粒を得るチャーニング工程と、前記バター粒を練圧し均一化するワーキング工程とを含み、
前記加熱バター液の添加を、前記ワーキング工程中に行うことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記加熱バター液を、前記バター粒に対して5〜15質量%の割合で添加することを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記加熱バター液は、バターを110〜180℃で120〜10分加熱処理した後に、固形分を除去して得られるものである、請求項1〜3の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の製造方法により得られる、焦がしバター風味を有するバター。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−205513(P2012−205513A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71752(P2011−71752)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006127)森永乳業株式会社 (269)
【Fターム(参考)】