説明

焦電型赤外線検出素子、焦電型赤外線撮像素子および焦電型赤外線撮像装置

【課題】本発明は、再分極を行うことなく、赤外線を検出することができる焦電型赤外線検出素子、焦電型赤外線撮像素子および焦電型赤外線撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の焦電型赤外線検出素子Dは、一対の下部電極層および上部電極層と前記一対の下部電極層および上部電極層間に配置される強誘電体材料とを備える焦電部11と、前記一対の下部電極層および上部電極層間に所定の電圧値Viの電圧を印加するための電圧印加部12と、電圧印加部12によって前記一対の下部電極層および上部電極層間に前記所定の電圧値Viの電圧を印加した電圧印加分極状態から自然分極状態までに焦電部11で生じた電荷量に関係する所定の物理量を測定する測定部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦電効果によって赤外線を検出する焦電型赤外線検出素子に関する。そして、本発明は、赤外線で被写体を撮像する焦電型赤外線撮像素子およびこの焦電型赤外線撮像素子を備える焦電型赤外線撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線検出素子(赤外線センサ)は、赤外線を受光し、この受光した赤外線に基づいて電気信号を出力する素子である。この赤外線検出素子は、人間では直接感知することができない赤外線領域の光を検出することができ、このため、暗闇でも対象物を非接触で検出することができ、また、対象物の温度を測定することができる。このような赤外線検出素子は、例えば人感センサ等の熱放射物体の検知センサ、物体の熱分布を画像として出力するサーモグラフィー、いわゆるナイトビジョン(暗視装置)等の様々な製品に応用されている。特に、車両に搭載されるナイトビジョンは、例えばライトによる可視光視界に加えて夜間の視界を拡大することによって安全走行に寄与することができる。
【0003】
このような赤外線検出素子は、その動作原理によって、量子型と熱型との2種類に大別される。この量子型赤外線検出素子は、例えば半導体のPN接合で生じる、光エネルギーを電気エネルギーへ直接的に変換する光起電力効果を利用することによって、赤外線を検出する素子である。熱型赤外線検出素子は、赤外線を受光することによって生じる熱で該素子が温められ、該素子温度の変化によって変化する電気的な性質を検知することによって、赤外線を検出する素子である。この熱型赤外線検出素子は、異なる物体に温度差を与えることによって起電力を生じる現象である熱起電力効果を利用したサーモパイル、温度変化により生じる電気抵抗変化を利用したサーミスターやボロメータ、温度変化によって誘電体の分極が変化する現象である焦電効果を利用した焦電型赤外線検出素子が知られている。
【0004】
図7は、特許文献1に開示されている焦電型赤外線センサの第1の構成を示す図である。図8は、特許文献1に開示されている焦電型赤外線センサの第2の構成を示す図である。
【0005】
この焦電型赤外線検出素子は、焦電効果の原理から、該素子温度が変化する場合に、その出力が得られるものである。このため、従来では、焦電型赤外線検出素子に入射される赤外線を入り切りする光チョッパ、言い換えれば、前記赤外線の通過と遮断とを繰り返して前記赤外線を断続的に入射させる光チョッパが焦電型赤外線検出素子に用いられている。すなわち、例えば、特許文献1に開示されているように、図7において、強誘電体膜1002の両面に電極1003、1004を形成した構造の焦電センサ1001における受光側に、光チョッパ1006が配置される。そして、電極1003は、抵抗R0を介して電極1004に接続され、この抵抗R0の両端には、この両端の電位を測定するための演算増幅器1005が設けられる。このような構成の赤外線検出装置1000では、対象物から放射された赤外線であって焦電センサ1001に入射される赤外線は、光チョッパ1006によってオン/オフ(通過/遮断、入り切り)され、この赤外線が入射された場合における強誘電体膜1002の温度変化を、抵抗R0の両端の電位の変化として検出することによって、対象物から放射された赤外線の強度が検出される。
【0006】
このような構成の焦電型赤外線検出素子では、光チョッパを必要とするため、その駆動機構も必要となり、素子の大型化や消費電力の増大を招いてしまう。また、焦電型赤外線検出素子の動作速度がチョッピング速度によって制限され、その信頼性も光チョッパによって制限されてしまう。そこで、光チョッパを用いることなく、赤外線を検出する焦電型赤外線検出素子も前記特許文献1に開示されている。
【0007】
この赤外線検出装置2000は、図8に示すように、2枚の電極2008、2009の間に強誘電体2007が挾まれている強誘電体コンデンサ2010と、強誘電体コンデンサ2010を熱的に支持体の基板2011から分離する熱分離領域2012と、赤外線を吸収し、かつ強誘電体コンデンサ2010とは熱的に接している赤外線吸収膜2013と、を有する赤外線検出装置2000であって、強誘電体コンデンサ2010の2枚の電極2008、2009間に所定方向で抗電界以上の電界を印加し、続いて前記所定方向の逆方向で抗電界以上の電界を印加する印加電圧発生手段2017と、前記電界を印加した際の分極の反転に伴う電荷の変化に相当する電流を測定する電流測定手段2014とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−019013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、前記特許文献2に開示の焦電型赤外線センサ2000では、印加電圧発生手段2017で、強誘電体コンデンサ2010の2枚の電極2008、2009間に所定方向で抗電界以上の電界を印加し、続いて前記所定方向の逆方向で抗電界以上の電界を印加することによって、分極の反転(再分極)が行われる。このため、この焦電型赤外線センサ2000では、その素子自体の温度(素子温度)が上昇してしまい、測定対象物体の温度を正確に検出することが難しい。
【0010】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、再分極を行うことなく、赤外線を検出することができる焦電型赤外線検出素子を提供することである。そして、本発明の目的は、このような焦電型赤外線撮像素子およびこの焦電型赤外線撮像素子を用いた焦電型赤外線撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる焦電型赤外線検出素子は、一対の第1および第2電極部と前記一対の第1および第2電極部間に配置される強誘電体材料とを備える焦電部と、前記一対の第1および第2電極部間に所定の電圧値の電圧を印加するための電圧印加部と、前記電圧印加部によって前記一対の第1および第2電極部間に前記所定の電圧値の電圧を印加した電圧印加分極状態から自然分極状態までに前記焦電部で生じた電荷量に関係する所定の物理量を測定する測定部とを備えることを特徴とする。
【0012】
このような構成の焦電型赤外線検出素子では、前記電圧印加部によって前記一対の第1および第2電極部間に前記所定の電圧値の電圧を印加した電圧印加分極状態から自然分極状態までに前記焦電部で生じた電荷量に関係する所定の物理量が測定され、赤外線が検出される。したがって、再分極は、行われない。素子の温度によって自然分極状態が異なるため、このように、このような構成の焦電型赤外線検出素子は、再分極を行うことなく、赤外線を検出することができる。
【0013】
また、他の一態様では、上述の焦電型赤外線検出素子において、前記測定部は、前記電圧印加分極状態から前記自然分極状態までに前記焦電部から出力された電流を積分する積分部であることを特徴とする。
【0014】
このような構成の焦電型赤外線検出素子は、前記所定の物理量が前記電圧印加分極状態から自然分極状態までに前記焦電部で生じた電荷量とされ、この電荷量を積分部で前記焦電部から出力された電流を積分することによって直接的に測定することができる。
【0015】
また、他の一態様では、これら上述の焦電型赤外線検出素子において、前記測定部は、前記電圧印加分極状態から前記自然分極状態までに前記焦電部から出力された電流における単位時間当たりの変化率を測定する電流変化率測定部であることを特徴とする。
【0016】
このような構成の焦電型赤外線検出素子は、前記所定の物理量が前記電圧印加分極状態から前記自然分極状態までに前記焦電部から出力された電流における単位時間当たりの変化率とされ、この変化率を電流変化率測定部で測定することができる。
【0017】
また、他の一態様では、これら上述の焦電型赤外線検出素子において、前記測定部の出力に基づいて温度を求める温度演算部をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
このような構成の焦電型赤外線検出素子は、さらに温度演算部を備えるので、検出した赤外線に基づいて温度を求めることができる。
【0019】
また、他の一態様では、上述の焦電型赤外線検出素子において、前記温度演算部は、前記測定部の出力と温度との対応関係を備え、前記対応関係を用いることによって前記測定部の出力から温度を求めることを特徴とする。
【0020】
このような構成の焦電型赤外線検出素子は、予め作成され、予め備えられた前記対応関係を用いるので、簡易、迅速に前記測定部の出力から温度を求めることができる。
【0021】
また、他の一態様では、上述の焦電型赤外線検出素子において、環境温度を測定する環境温度測定部をさらに備え、前記温度演算部は、前記測定部の出力と温度との対応関係を複数の環境温度に対応して複数備え、前記環境温度測定部で測定された環境温度に応じた対応関係を用いることによって前記測定部の出力から温度を求めることを特徴とする。
【0022】
このような構成の焦電型赤外線検出素子は、予め作成され、予め備えられた前記環境温度に応じた前記対応関係を用いるので、簡易、迅速に、そして、より正確に前記測定部の出力から温度を求めることができる。
【0023】
また、他の一態様にかかる焦電型赤外線撮像素子は、一対の第1および第2電極部と前記一対の第1および第2電極部間に配置される強誘電体材料とを備える複数の焦電部と、前記複数の焦電部のそれぞれにおける前記一対の第1および第2電極部間に所定の電圧値の電圧を印加するための電圧印加部と、前記複数の焦電部のそれぞれについて、前記電圧印加部によって前記一対の第1および第2電極部間に前記所定の電圧値の電圧を印加した電圧印加分極状態から自然分極状態までに前記焦電部で生じた電荷量に関係する所定の物理量を測定する測定部とを備えることを特徴とする。
【0024】
このような構成の焦電型赤外線撮像素子では、前記複数の焦電部のそれぞれについて、前記電圧印加部によって前記一対の第1および第2電極部間に前記所定の電圧値の電圧を印加した電圧印加分極状態から自然分極状態までに前記焦電部で生じた電荷量に関係する所定の物理量が測定され、赤外線が検出される。したがって、再分極は、行われない。素子の温度によって自然分極状態が異なるため、このように、このような構成の焦電型赤外線撮像素子は、再分極を行うことなく、赤外線で被写体を撮像することができる。
【0025】
また、他の一態様では、上述の焦電型赤外線撮像素子において、前記電圧印加部によって前記複数の焦電部のそれぞれにおける前記一対の第1および第2電極部間に前記所定の電圧値の電圧を印加し始める開始時点から、前記電圧印加分極状態から前記自然分極状態までに前記複数の焦電部のそれぞれで生じた電荷量に関係する所定の物理量の測定が終了する終了時点までの期間は、撮像画像のフレームレート以下であることを特徴とする。
【0026】
このような構成の焦電型赤外線撮像素子は、前記開始時点から前記終了時点までの期間が前記フレームレート以下であるので、動画像を生成することが可能となる。
【0027】
また、他の一態様にかかる焦電型赤外線撮像装置は、これら上述のいずれかの焦電型赤外線撮像素子と、前記焦電型赤外線撮像素子の出力に基づいて画像形成を行う画像形成部とを備えることを特徴とする。
【0028】
このような構成の焦電型赤外線撮像装置は、これら上述のいずれかの焦電型赤外線撮像素子を用いるので、再分極を行うことなく、赤外線で被写体を撮像し、被写体の画像を形成することができる。
【0029】
また、他の一態様では、上述の焦電型赤外線撮像装置において、前記焦電型赤外線撮像素子の受光面上に物体の赤外線の光学像を形成する撮像光学系をさらに備えることを特徴とする。
【0030】
このような構成の焦電型赤外線撮像装置は、撮像光学系をさらに備えるので、対象物体から放射される赤外線をより確実に焦電型赤外線撮像素子へ導光することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明にかかる焦電型赤外線検出素子、焦電型赤外線撮像素子および焦電型赤外線撮像装置は、分極の反転を行うことなく、赤外線を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態における焦電型赤外線検出素子の構成を示す図(その1)である。
【図2】第1実施形態における焦電型赤外線検出素子の構成を示す図(その2)である。
【図3】第1実施形態の焦電型赤外線検出素子における焦電部の構成を示す図である。
【図4】第1実施形態の焦電型赤外線検出素子における焦電部の電界に対する分極の特性を示す図である。
【図5】第2実施形態における焦電型赤外線撮像装置の構成を示す図である。
【図6】第2実施形態の焦電型赤外線撮像装置における焦電型赤外線撮像素子の構成を示す図である。
【図7】特許文献1に開示されている焦電型赤外線センサの第1の構成を示す図である。
【図8】特許文献1に開示されている焦電型赤外線センサの第2の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0034】
(第1実施形態)
図1および図2は、第1実施形態における焦電型赤外線検出素子の構成を示す図である。図1は、焦電部に所定の電圧値の電圧を印加している第1状態を示し、図2は、焦電部に所定の電圧値の電圧を印加していない第2状態を示す。図3は、第1実施形態の焦電型赤外線検出素子における焦電部の構成を示す図である。図3(A)は、上面図であり、図3(B)は、図3(A)に示すII線での縦断面図である。
【0035】
図1および図2において、第1実施形態における焦電型赤外線検出素子Dは、焦電部11と、電圧印加部12と、測定部13とを備えている。
【0036】
焦電部11は、一対の第1および第2電極部と前記一対の第1および第2電極部間に配置される強誘電体材料とを備える素子であり、赤外線を受光すると、素子の温度が上昇し、焦電効果によって、この受光した赤外線に基づく電気信号を出力する素子である。焦電部11の詳細は、後述する。
【0037】
電圧印加部12は、予め設定された所定の電圧値の電圧を焦電部11における前記一対の第1および第2電極部間に印加するための回路である。電圧印加部12は、例えば、パルスで電圧を生成するパルス電圧生成部121と、パルス電圧生成部121で生成されたパルス電圧の出力先を切り換える第1切換スイッチSW1とを備えている。パルス電圧生成部121は、予め設定された所定の時間のパルス幅および前記所定の電圧値のパルス高(レベル)を持つ矩形パルスを生成する回路である。第1切換スイッチSW1は、3個の第1ないし第3端子T11、T12、T13を持つスイッチ素子である。第1切換スイッチSW1の第1端子T11は、パルス電圧生成部121の出力端子と接続され、第1切換スイッチSW1の第2端子T12は、焦電部11と接続され、そして、第1切換スイッチSW1の第3端子T13は、無接続とされる。そして、第1切換スイッチSW1は、その第1端子T11と第2端子T12とを接続する第11接続状態およびその第1端子T11と第3端子T13とを接続する第12接続状態との間でこれら第1ないし第3端子T11、T12、T13間の接続状態を切り換える。この第11接続状態では、パルス電圧生成部121で生成されたパルス電圧は、第1端子T11を介して第2端子T12へ出力され、この第12接続状態では、パルス電圧生成部121で生成されたパルス電圧は、第1端子T11を介して第3端子T13へ出力される。
【0038】
測定部13は、電圧印加部12によって焦電部11における前記一対の第1および第2電極部間に前記所定の電圧値の電圧を印加した電圧印加分極状態から自然分極状態までにこの焦電部11で生じた電荷量に関係する所定の物理量を測定する回路である。本実施形態では、測定部13は、例えば、前記電圧印加分極状態から前記自然分極状態までに焦電部11から出力された電流を積分する積分部を備えるものである。より具体的には、測定部13は、例えば、入力先を切り換える第2切換スイッチSW2と、第1抵抗素子Rと、積分回路131とを備えている。
【0039】
第2切換スイッチSW2は、3個の第1ないし第3端子T21、T22、T23を持つスイッチ素子である。第2切換スイッチSW2の第1端子T21は、第1抵抗素子の一方端子と接続され、第2切換スイッチSW2の第2端子T22は、第1切換スイッチSW1の第2端子T12と接続され、そして、第2切換スイッチSW2の第3端子T23は、無接続とされる。言い換えれば、第2切換スイッチSW2の第2端子T22は、第1切換スイッチSW1の第2端子T12と焦電部11との接続点に接続される。そして、第2切換スイッチSW2は、その第1端子T21と第2端子T22とを接続する第21接続状態およびその第1端子T21と第3端子T23とを接続する第22接続状態との間でこれら第1ないし第3端子T21、T22、T23間の接続状態を切り換える。この第21接続状態では、入力先は、第2端子T22を介して焦電部11とされ、この第12接続状態では、入力先は、第3端子T23とされ、入力が無い状態とされる。
【0040】
第1切換スイッチSW1と第2切換スイッチSW2とは、互いに連動しており、第1切換スイッチSW1がその第1端子T11と第2端子T12とを接続する第11接続状態である場合に、第2切換スイッチSW2は、その第1端子T21と第3端子T23とを接続する第22接続状態となり、一方、第1切換スイッチSW1がその第1端子T11と第3端子T13とを接続する第12接続状態である場合に、第2切換スイッチSW2は、その第1端子T21と第2端子T22とを接続する第21接続状態となる(第2切換スイッチSW2がその第1端子T21と第3端子T23とを接続する第22接続状態である場合に、第1切換スイッチSW1は、その第1端子T11と第2端子T12とを接続する第11接続状態となり、一方、第2切換スイッチSW2がその第1端子T21と第2端子T22とを接続する第21接続状態である場合に、第1切換スイッチSW1は、その第1端子T11と第3端子T13とを接続する第12接続状態となる)。すなわち、電圧印加部12と焦電部11とが接続されると、測定部13は、焦電部11と非接続とされ、電圧印加部12と焦電部11とが非接続にされると、測定部13は、焦電部11と接続される。
【0041】
第1抵抗素子Rの他方端子は、接地される。すなわち、第2切換スイッチSW2の第1端子T21は、第1抵抗素子Rを介して接地される。第1抵抗素子Rは、短絡防止用である。
【0042】
積分回路13は、焦電部11における分極状態の変化に起因して焦電部11から流れる電流(単位時間当たりに流れる電荷量)を積分する回路である。積分回路13は、例えば、第2抵抗素子Rsと、オペアンプOPと、コンデンサCfとを備える。第2抵抗素子Rsの一方端子は、第2切換スイッチSW2の第1端子T21に接続される。言い換えれば、第2抵抗素子Rsの一方端子は、第2切換スイッチSW2の第1端子T21と第1抵抗素子Rの一方端子との接続点に接続される。第2抵抗素子Rsの他方端子は、積分回路13の入力端子に接続される。より具体的には、第2抵抗素子Rsの他方端子は、積分回路13におけるオペアンプOPの非反転入力端子(−)に接続される。オペアンプOPの反転入力端子(+)は、接地され、コンデンサCfは、オペアンプOPの非反転入力端子(−)と出力端子との間に接続される。このような構成の積分回路131は、第2抵抗素子Rsに流れる電流Isが主にコンデンサCfに流れ、初期状態(赤外線の検出を開始する時)でコンデンサCfの電荷が図略のリセットスイッチによって放電(リセット)されているとすると、その出力は、第2抵抗素子Rsに流れる電流(入力信号)Isの積分値となる。
【0043】
次に、焦電部11について説明する。焦電部11は、例えば、図3に示すように、基板111と、基板111上に積層形成された第1絶縁層112と、第1絶縁層112上に積層形成された下部電極層113と、下部電極層113上に積層形成された強誘電体層114と、強誘電体層114上に積層形成された上部電極層115と、上部電極層115上に積層形成された赤外線吸収層118とを備える。
【0044】
基板111は、加工性や熱伝導性の観点から、例えばシリコンで形成される。第1絶縁層112は、本実施形態では、基板111をシリコンで形成していることから、シリコン酸化膜(SiO、二酸化シリコン)、より具体的にはシリコン熱酸化膜で形成される。下部電極層113は、上部電極層115と対となってこれら電極層113、115間に所定の電圧値の電圧を印加する一方、上部電極層115と対となって強誘電体層114で生じる電位を取り出すための電極である。そして、この下部電極層113は、強誘電体層114を支持するとともに強誘電体層114の熱をバランスよく断熱および放熱するように機能する部材である。下部電極層113は、電気伝導性がよいだけでなく、下部電極層113上に積層される強誘電体層114が赤外線を受光するため、この下部電極層113は、相反する断熱性と放熱性とを比較的バランスよく実現する必要があり、このような観点から、白金で形成されることが好ましい。強誘電体層114は、焦電効果を利用することによって、受光した赤外線に基づく電気信号を出力する部材であり、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O;PZT)やチタン酸バリウム(BaTiO)やPLT(Pb,La)TiO)等である。PZTの場合では、下部電極層113との界面での結晶面が(100)の両面対称となるように、強誘電体層114は、下部電極層113上に形成される。上部電極層115は、下部電極層113と対となってこれら電極層113、115間に前記所定の電圧値の電圧を印加する一方、下部電極層113と対となって強誘電体層114で生じる電位を取り出すための電極であり、例えば、Ti/Pt/AuやTi/Auで形成される。これら下部電極層113および上部電極層115は、上述の一対の第1および第2電極部の一例に対応する。赤外線吸収層118は、赤外線をより効果的に吸収するための部材であり、例えば、黒金膜や黒色ペイント膜等である。図3に示す例では、赤外線吸収層118は、上部電極層115と略同じ大きさで形成されている。
【0045】
これら第1絶縁層112、下部電極層113、強誘電体層114、上部電極層115および赤外線吸収層118は、例えば、平面視にて矩形形状である。そして、下部電極層113は、他の配線と電気的に接続するために、一方端で外方に延びる下部電極端子部113aを有しており、また、上部電極層115は、他の配線と電気的に接続するために、前記一方端と対向する他方端で第1絶縁層112に達するまで外方に延びる上部電極端子部115aを有している。そして、この上部電極端子部115a下には、下部電極層113と絶縁するために、第2絶縁層116が形成されている。すなわち、第2絶縁層116は、強誘電体層114の一方端部外縁であって下部電極層113上に積層形成されている。第2絶縁層116は、例えばCVD法によって形成されたパリレン絶縁膜等である。
【0046】
そして、上部電極層115および下部電極層113を外部の配線に電気的に接続して強誘電体層114で生じる電位を外部に取り出すために、前記上部電極層115の上部電極端子部115aと電気的に接続される貫通電極117−1が基板111および第1絶縁層112を貫通して形成され、この下部電極層113の下部電極端子部113aと電気的に接続される貫通電極117−2が基板111および第1絶縁層112を貫通して形成されている。
【0047】
これら貫通電極117−1および貫通電極117−2のうちの一方が、例えば、貫通電極117−1が第1切換スイッチSW1の第2端子12および第2切換スイッチSW2の第2端子T22と接続され、これらのうちの他方が、例えばこの例では貫通電極117−2が接地される。
【0048】
また、基板111には、積層された下部電極層113、強誘電体層114、上部電極層115および赤外線吸収層118における積層領域直下の領域に、下部電極層113が露出する開口(下部電極層113が外部に臨む開口)である開口部APが形成されている。
【0049】
このような構造の焦電部11は、赤外線の波長を勘案して、例えば、平面視にて、一辺が十数μm〜数十μmの矩形である。なお、基板111、第1絶縁層112、下部電極層113、強誘電体層114、上部電極層115、第2絶縁層116および赤外線吸収層118は、上述の材料に限定されるものではなく、適宜な他の材料であってもよい。
【0050】
次に、本実施形態の焦電型赤外線検出素子の動作について説明する。図4は、第1実施形態の焦電型赤外線検出素子における焦電部の電界に対する分極の特性を示す図である。図4の横軸は、V/m単位で表す電界であり、その縦軸は、C/m単位で表す分極(分極モーメント)である。
【0051】
焦電型赤外線検出素子Dにおける焦電部11の電界に対する分極の特性(電界−分極特性)は、図4に示すように、周知のヒステリシスループのプロファイルである。
【0052】
焦電部11が赤外線を受光していない状態(赤外線を受けない状態)では、焦電部11は、略環境温度(略周囲温度)T1となり、その電界−分極特性P(E)は、図4に実線で示すプロファイルとなる。この状態において、焦電部11における下部電極層113および上部電極層115間に電圧Vが印加されず(V=0)、強誘電体層114にかかる外部電界の強度Eが0である場合(E=0)では、分極は、前記環境温度T1での自然分極(残留分極)P11(P(0)=P11)となり、強誘電体層114は、自然分極状態(残留分極状態)となる。一方、焦電部11における下部電極層113および上部電極層115間に所定の電圧値Viの電圧Vが印加され(V=Vi)、強誘電体層114にかかる外部電界の強度Eが印加電圧の前記所定の電圧値Viに対応した所定値Eiである場合(E=Ei)では、分極は、前記環境温度T1での電圧印加分極P(Ei)となり、強誘電体層114は、電圧印加分極状態となる。そして、印加電圧の電圧値Viを増大して外部電界の強度Eiが増大して行くと、印加電圧の電圧値Vi(外部電界の強度Ei)を増大しても分極値P(Ei)が変化しない状態となり、分極は、飽和する。図4では、この分極が飽和している場合の分極値P(Ei)は、前記環境温度T1において、P12(P(E1)=P12)であり、この場合の外部電界の強度Eは、E1である。
【0053】
一方、焦電部11が赤外線を受光している状態(赤外線を受けた状態)では、焦電部11は、この受光した赤外線の強度に応じた温度T2となり、その電界−分極特性P(E)は、図4に破線で示すプロファイルとなる。この状態において、焦電部11における下部電極層113および上部電極層115間に電圧Vが印加されず(V=0)、強誘電体層114にかかる外部電界の強度Eが0である場合(E=0)では、上述と同様に、分極は、前記受光した赤外線の強度に応じた前記温度T2での自然分極(残留分極)P21(P(0)=P21)となり、強誘電体層114は、自然分極状態(残留分極状態)となる。ここで、赤外線を受光すると、強誘電体層114の温度T2は、通常、焦電部11が赤外線を受光していない状態での前記環境温度T1よりも高温となり(T2>T1)、この場合の自然分極P21は、上述の場合の自然分極P11より小さい値となる(P21<P11)。一方、焦電部11における下部電極層113および上部電極層115間に所定の電圧値Viの電圧Vが印加され(V=Vi)、強誘電体層114にかかる外部電界の強度Eが印加電圧の前記所定の電圧値Viに対応した所定値Eiである場合(E=Ei)では、上述と同様に、分極は、前記受光した赤外線の強度に応じた前記温度T2での電圧印加分極P(Ei)となり、強誘電体層114は、電圧印加分極状態となる。そして、印加電圧の電圧値Viを増大して外部電界の強度Eiが増大して行くと、印加電圧の電圧値Vi(外部電界の強度Ei)を増大しても分極値P(Ei)が変化しない状態となり、分極は、飽和する。図4では、この分極が飽和している場合の分極値P(Ei)は、前記受光した赤外線の強度に応じた前記温度T2において、P22(P(E1)=P22)であり、この場合の外部電界の強度Eは、E1である。ここで、この場合の飽和分極P22は、上述の場合の飽和分極P12より小さい値となる(P22<P12)。一方、分極飽和状態となる外部電界の強度Eは、いずれの場合においてもE1である。
【0054】
焦電型赤外線検出素子Dにおける焦電部11は、電圧Vの無印加(V=0)および印加(V=Vi(Vi≠0))により、このように動作する。
【0055】
そして、電圧印加分極P(Ei)における横軸と平行な直線(P(E)=P(Ei))と、縦軸(E=0)と、電界−分極特性の曲線P(E)(0≦E≦Ei)とによって囲まれた面積Qiは、前記受光した赤外線の強度に応じて電圧印加分極P(Ei)が変化することによって変化する。より具体的には、強誘電体層114における電界−分極特性P(E)は、前記受光した赤外線の強度が増大するほど、電圧印加分極P(Ei)は、小さくなり、図4に示すヒステリシスループは、縦軸方向に沿った横軸に向かう方向に圧縮され、この結果、前記面積Qiは、小さくなる。したがって、この面積Qiを求めることによって前記受光した赤外線の強度が求められる。一方、この面積Qiは、電圧印加分極状態から自然分極状態までに焦電部11で生じた電荷量Qiであり、この電荷量Qiを直接的にまたは間接的に測定することによって前記受光した赤外線の強度が求められる。また、この面積Qiは、分極が飽和する場合に最大(Qi=Q)となることから、前記受光した赤外線の強度をより高精度に求める観点から、電圧印加分極P(Ei)は、飽和分極P12(=P(E1))であることが好ましく、前記所定の電圧値Viは、分極が飽和する電界E1に対応する電圧値V1以上であることが好ましい。
【0056】
このため、上述の構成の焦電型赤外線検出素子Dでは、焦電部が赤外線を受光している場合において、検出(測定)開始までの自然分極状態から電圧印加部12によってパルス的に電圧が印加されると、強誘電体層114に前記パルス電圧のパルス高Viに対応した電界Eiがかかり、分極は、前記受光した赤外線の強度に応じた前記温度T2での電圧印加分極P(Ei)となる。そして、パルスの終了により、分極は、前記受光した赤外線の強度に応じた前記温度T2での電圧印加分極P(Ei)から、前記温度T2での自然分極P21(P(0)=P21)となり、焦電部11から前記面積Qiの電荷量Qiが流れる。この前記面積Qiの電荷量Qiは、焦電部11から流れる電流を積分する積分回路131を備える測定部13によって、積分値として直接的に求められる。
【0057】
より具体的に説明すると、まず、図略のリセットスイッチ等が操作されることによって、積分回路131のコンデンサCfに蓄積されていた電荷が放電され、コンデンサCfがリセットされる(コンデンサCfの蓄積電荷=0)。なお、このコンデンサCfのリセット動作は、後述の焦電部11にパルス電圧を印加する時間内に行われてもよい。続いて、第1および第2切換スイッチSW1、SW2が操作され、図1に示すように、第1切換スイッチSW1は、第11接続状態とされ、その第1端子T11と第2端子T12とが接続されるとともに、第2切換スイッチSW2は、第22接続状態とされ、その第1端子T21と第3端子T23とが接続される。
【0058】
続いて、電圧印加部12のパルス電圧生成部121は、所定のパルス電圧を生成し、この生成したパルス電圧を第1切換スイッチSW1の第1端子T11へ出力する。このパルス電圧のパルス高(レベル)Viは、例えば、上述したように、前記受光した赤外線の強度をより高精度に求める観点から、焦電部11における強誘電体層114の分極を飽和させる電界E1に対応する電圧値V1以上、例えば電圧値V1である。そして、このパルス電圧のパルス幅は、強誘電体層114の分極がパルス高Viに対応した分極状態となって平衡となる時間(分極の過渡応答が終了して定常状態となる時間)以上、この例ではパルス高ViがV1であるから、強誘電体層114の分極の飽和が完了する時間以上である。
【0059】
電圧印加部12のパルス電圧生成部121で生成されたこのパルス電圧は、第1切換スイッチSW1を介して焦電部11の例えば上部電極層115に印加され、この上部電極層115と、接地される下部電極層113とによって強誘電体層114に前記パルス電圧のパルス高Vi(この例ではV1)に対応した電界強度Ei(この例ではE1)の電界を生じさせる。この電界によって強誘電体層114の分極は、前記受光した赤外線の強度に応じた前記温度T2での電圧印加分極P(Ei)(この例ではP(E1)=P22)となる。
【0060】
続いて、パルス電圧のパルス幅の時間が経過すると、第1および第2切換スイッチSW1、SW2が操作され、図2に示すように、第1切換スイッチSW1は、第12接続状態とされ、その第1端子T11と第3端子T12とが接続されるとともに、第2切換スイッチSW2は、第21接続状態とされ、その第1端子T21と第2端子T22とが接続される。
【0061】
このように第1および第2切換スイッチSW1、SW2が操作されると、焦電部11で生じた電荷に起因する電流が電圧印加分極状態から自然分極状態まで焦電部11から出力され、この焦電部11から出力された電流は、第2切換スイッチSW2を介して第1および第2抵抗素子R、Rsの各抵抗値に応じた電流値で積分回路131へ流れ、積分される。そして、積分回路131は、この積分した結果の出力信号を、電圧印加分極状態から自然分極状態までに焦電部11で生じた電荷量Qiに対応する結果として出力する。ここで、強誘電体層114が自然分極状態になったか否かの判定(積分時間の終了の判定)は、例えば、焦電部11から出力される電流が測定されることによって行われ、この焦電部11から出力された電流の電流値が0となった場合に、強誘電体層114が自然分極状態になったと判定される。また例えば、前記判定は、第1および第2切換スイッチSW1、SW2が操作された後の経過時間が計時されることによって行われ、強誘電体層114が電圧印加分極状態から自然分極状態に達すると一般的に想定される、予め決められた時間が経過した場合に、強誘電体層114が自然分極状態になったと判定される。
【0062】
このように動作することによって焦電型赤外線検出素子Dは、1回の赤外線の検出動作を終了する。ここで、赤外線の検出動作は、1回であってもよいが、SN比を向上させてより高精度に赤外線を検出する観点から、赤外線の検出動作は、複数回であることが好ましく、上述の動作が複数回繰り返される。
【0063】
このように上述の構成の焦電型赤外線検出素子Dは、焦電部11で受光される赤外線を検出することができ、その赤外線の強度に応じた出力信号を得ることができる。ここで、強誘電体層114の分極は、自然分極P21から電圧印加分極P(Ei)(この例ではP(E1)=P22)への変化および前記電圧印加分極P(Ei)から自然分極P21への変化であるので、分極の反転(再分極)は、行われない。したがって、本実施形態の焦電型赤外線検出素子Dは、再分極を行うことなく、素子の温度によって自然分極状態が異なるため、赤外線を検出することができ、その赤外線の強度に応じた出力信号を得ることができる。
【0064】
また、赤外線は、上述したように電圧Vの無印加(V=0)および印加(V=Vi(Vi≠0))によって検出するので、本実施形態の焦電型赤外線検出素子Dは、従来のような光チョッパを必要としない。また、測定部13の積分回路131は、赤外線の検出ごとにリセットされ、随時、その温度T2での焦電部11の分極状態を測定するため、ノイズ等の誤差分が積算されることがなく、このため、本実施形態の焦電型赤外線検出素子Dは、より高精度に赤外線を検出することができる。
【0065】
そして、上述の実施形態では、焦電型赤外線検出素子Dは、測定部13に積分回路131を備えるので、電圧印加分極状態から自然分極状態までに焦電部11で生じた電荷量Qに関係する所定の物理量は、前記電荷量Q自体とされ、焦電型赤外線検出素子Dは、この電荷量Qを積分回路131で焦電部11から出力された電流を積分することによって直接的に測定することができる。
【0066】
なお、上述の実施形態において、測定部13は、電圧印加分極状態から自然分極状態までに焦電部11から出力された電流における単位時間当たりの変化率を測定する電流変化率測定部であってもよい。上述したように、強誘電体層114における電界−分極特性P(E)は、焦電部11で受光される赤外線の強度が増大するほど、電圧印加分極P(Ei)は、小さくなり、図4に示すヒステリシスループは、縦軸方向に沿った横軸に向かう方向に圧縮される。この結果、前記面積Qiは、小さくなるとともに、電界−分極特性の曲線P(E)における接線の傾きは、小さくなる。このため、焦電部11で受光される赤外線の強度が増大するほど、電圧印加分極状態から自然分極状態までに焦電部11から出力された電流における単位時間当たりの変化率は、小さくなる。このように電圧印加分極状態から自然分極状態までに焦電部11で生じた電荷量Qiが前記電流変化率として間接的に測定可能である。したがって、電圧印加分極状態から自然分極状態までに焦電部11から出力された電流における単位時間当たりの変化率を求めることって赤外線を検出することが可能であり、赤外線の強度を求めることが可能である。よって、このような構成の焦電型赤外線検出素子Dは、前記所定の物理量が電圧印加分極状態から自然分極状態までに焦電部11から出力された電流における単位時間当たりの変化率とされ、この変化率を電流変化率測定部で測定することができ、このため、赤外線を検出し、赤外線の強度を求めることができる。
【0067】
また、上述の実施形態において、焦電型赤外線検出素子Dは、図1および図2に破線で示すように、測定部13の出力に基づいて温度を求める温度演算部18をさらに備えてもよく、そして、温度演算部18で求めた温度を外部に出力する出力部19をさらに備えてもよい。出力部19は、例えば、数値を表示可能な液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等である。また例えば、出力部19は、発光数によって温度を段階的に表示する複数の発光ダイオード(LED)を備えるインジケータであってもよい。このような構成の焦電型赤外線検出素子Dは、さらに温度演算部18を備えるので、検出した赤外線に基づいて温度を求めることができる。
【0068】
ここで、この温度演算部18は、例えば、マイクロプロセッサ、記憶素子およびその周辺回路を備えるマイクロコンピュータによって構成され、予め求められた測定部13の出力と温度との対応関係を予め前記記憶素子に記憶することで前記対応関係を備え、前記対応関係を用いることによって前記マイクロプロセッサで前記測定部の出力から温度を求めてもよい。前記対応関係は、例えば、予め求められた測定部13の出力と温度との対応関係を表す関数式であってもよく、また例えば、予め求められた測定部13の出力と温度との対応関係を表す換算テーブルであってもよい。このような構成の焦電型赤外線検出素子Dは、予め作成され、予め備えられた前記対応関係を用いるので、簡易、迅速に測定部13の出力から温度を求めることができる。
【0069】
また例えば、焦電型赤外線検出素子Dは、図1および図2に破線で示すように、環境温度を測定する例えばサーミスタ等の環境温度測定部20をさらに備え、温度演算部18は、例えば、マイクロプロセッサ、記憶素子およびその周辺回路を備えるマイクロコンピュータによって構成され、予め求められた測定部13の出力と温度との対応関係を複数の環境温度に対応して複数予め前記記憶素子に記憶することで前記複数の環境温度ごとに前記複数の対応関係を備え、備え、環境温度測定部20で測定された環境温度に応じた対応関係を用いることによって前記マイクロプロセッサで測定部13の出力から温度を求めてもよい。このような構成の焦電型赤外線検出素子Dは、予め作成され、予め備えられた前記環境温度に応じた前記対応関係を用いるので、簡易、迅速に、そして、より正確に測定部13の出力から温度を求めることができる。
【0070】
次に、別の実施形態について説明する。
【0071】
(第2実施形態)
第2実施形態は、赤外線で被写体を撮像する焦電型赤外線撮像素子およびこれを用いた焦電型赤外線撮像装置の実施形態である。このような焦電型赤外線撮像素子は、複数の焦電部と、前記複数の焦電部のそれぞれにおける前記一対の第1および第2電極部間に所定の電圧値の電圧を印加するための電圧印加部と、前記複数の焦電部のそれぞれについて、前記電圧印加部によって前記一対の第1および第2電極部間に前記所定の電圧値の電圧を印加した電圧印加分極状態から自然分極状態までに前記焦電部で生じた電荷量に関係する所定の物理量を測定する測定部とを備えることによって構成され、そして、焦電型赤外線撮像装置は、これに、前記焦電型赤外線撮像素子の出力に基づいて画像形成を行う画像形成部を備えることで、さらには前記焦電型赤外線撮像素子の受光面上に物体の赤外線の光学像を形成する撮像光学系を備えることで構成される。以下、より具体的に説明する。
【0072】
図5は、第2実施形態における焦電型赤外線撮像装置の構成を示す図である。図6は、第2実施形態の焦電型赤外線撮像装置における焦電型赤外線撮像素子の構成を示す図である。図6(A)は、第1封止部材の内面側正面図であり、図6(B)は、焦電型赤外線撮像素子の縦断面図である。
【0073】
図5において、第2実施形態における焦電型赤外線撮像装置30は、結像のために、撮像光学系21および駆動部34と、撮像機能のために、焦電型赤外線撮像素子1、画像生成部31、画像データバッファ32および画像形成部33と、全体制御のために、制御部35および記憶部36と、外部との入出力のために、I/F部37とを備えている。
【0074】
撮像光学系21は、焦電型赤外線撮像素子1の受光面上に赤外線による物体(被写体)の光学像を形成する光学素子である。撮像光学系21は、例えば、光学絞り、赤外線に対しレンズ作用(屈折力=1/焦点距離)を持つ1または複数のレンズ、光軸方向にフォーカスのためのレンズを駆動してフォーカシングを行うためのレンズ駆動装置等を備えている。被写体からの赤外線は、撮像光学系21によって焦電型赤外線撮像素子1の受光面上に結像され、赤外線による被写体の光学像となる。
【0075】
焦電型赤外線撮像素子1は、赤外線で被写体を撮像する素子である。焦電型赤外線撮像素子1は、電気信号を画像信号として画像生成部31に出力する。焦電型赤外線撮像素子1は、制御部35の制御に従って静止画あるいは動画のいずれか一方の撮像、または、焦電型赤外線撮像素子1における各画素の出力信号の読出し(水平同期、垂直同期、転送)などの撮像動作が制御される。焦電型赤外線撮像素子1の詳細は、後述する。
【0076】
画像生成部31は、焦電型赤外線撮像素子1からのアナログ出力信号に対し、増幅処理、デジタル変換処理等を行うと共に、画像全体に対して適正な黒レベルの決定や各種の補正処理等の周知の画像処理を行って、画像信号から画像データを生成する。画像生成部31で生成された画像データは、画像データバッファ32に出力される。
【0077】
画像データバッファ32は、画像データを一時的に記憶するとともに、この画像データに対し画像形成部33によって後述の処理を行うための作業領域として用いられるメモリであり、例えば、揮発性の記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0078】
画像形成部33は、画像データバッファ32の画像データに基づいて画像形成を行う回路である。画像形成部33は、例えば、画像データバッファ32の画像データに対し、解像度変換や、信号レベルに対し輝度レベルの割り当てあるいは色の割り当て等の所定の画像処理を行う。
【0079】
駆動部34は、制御部35から出力される制御信号に基づいて図略の前記レンズ駆動装置を動作させることによって、所望のフォーカシングを行わせるように撮像光学系21におけるフォーカスのためのレンズを駆動する。
【0080】
制御部35は、例えばマイクロプロセッサおよびその周辺回路などを備えて構成され、焦電型赤外線撮像素子1、画像生成部31、画像データバッファ32、画像形成部33、駆動部34、記憶部36およびI/F部37の各部の動作をその機能に従って制御する。すなわち、この制御部35によって、焦電型赤外線撮像装置1は、被写体の静止画撮影および動画撮影の少なくとも一方の撮影を実行するように制御される。
【0081】
記憶部36は、制御プログラムや被写体の静止画撮影または動画撮影によって生成された画像データ等を記憶する記憶回路であり、例えば、不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や、書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)や、RAM等を備えて構成される。記憶部36は、静止画用および動画用のメモリとしての機能を有する。
【0082】
I/F部37は、外部機器と画像データを送受信するインタフェースであり、例えば、USBやIEEE1394等の規格に準拠したインタフェースである。
【0083】
次に、焦電型赤外線撮像素子1について説明する。図6において、この第2実施形態の焦電型赤外線撮像装置30における焦電型赤外線撮像素子1は、例えば、複数の焦電部11(11−1、11−2、11−3、・・・)と、これら複数の焦電部11が2次元アレイ状に配設されこれら複数の焦電部11を支持する基板14と、これら複数の焦電部11のそれぞれにおける前記一対の第1および第2電極部間に所定の電圧値の電圧を印加するための図略の電圧印加部と、これら複数の焦電部11のそれぞれについて、前記電圧印加部によって前記一対の第1および第2電極部間に前記所定の電圧値の電圧を印加した電圧印加分極状態から自然分極状態までに焦電部11で生じた電荷量Qに関係する所定の物理量を測定する図略の測定部とを備え、さらに、本実施形態では、これら複数の焦電部11を封止する第1および第2封止部材15、16を備えている。
【0084】
これら複数の焦電部11のそれぞれ、図略の前記電圧印加部および前記測定部は、第1実施形態の焦電型赤外線検出素子Dにおける焦電部11、電圧印加部12および測定部13とそれぞれ同様であるので、その説明を省略する。なお、電圧印加部12は、複数の焦電部11ごとに1個設けられてもよく(1対1対応で)、また数個の焦電部ごとに1個設けられてもよい(n対1対応で、n;2以上の整数)。また、好ましくは、電圧印加部12によって複数の焦電部11のそれぞれにおける前記一対の第1および第2電極部間に前記所定の電圧値の電圧を印加し始める開始時点から、前記電圧印加分極状態から前記自然分極状態までに複数の焦電部11のそれぞれで生じた電荷量に関係する所定の物理量の測定が終了する終了時点までの期間は、適切に動画を生成するべく、撮像画像のフレームレート以下である。
【0085】
第1および第2封止部材15、16は、互いに協同して基板14上に配設された複数の焦電部11を封止する部材である。本実施形態では、例えば、第2封止部材16は、複数の焦電部11およびこれら複数の焦電部11を配設した基板14を収容するための収容凹部CPを形成した部材であり、第1封止部材15は、赤外線を透過可能な材料から形成された板状の部材である。第2封止部材16における、収容凹部CPの周壁における解放端部の端面に、一方主面を収容凹部CP側に向けて第1封止部材15が接着固定される。これによって第1および第2封止部材15、16は、互いに協同して複数の焦電部11を封止する。ここで、透過とは、50%より多くの光が該材料を透過することをいうが、もちろん、焦電型赤外線撮像素子1の受光感度を向上するために、透過率が高いほどより好ましい。
【0086】
より具体的には、第1封止部材15は、板状の部材であり、例えばシリコン(Si)等によって形成される。第2封止部材16は、有底短高であって断面矩形形状であり、例えばセラミック等によって形成される。この第2封支部材16の内底面には、複数の焦電部11を配設した基板14が固定される。この第2封止部材16の外周は、第1封止部材15の外周と略同じ大きさであり、この筒状の第2封止部材16における解放端側(天井端側)には、前記解放端を閉塞するように、その周面の解放端側の端面に、例えば半田等によって前記一方主面を底側に向けて第1封止部材15が接着固定される。これによって第1および第2封止部材15、16は、互いに協同して複数の焦電部11を封止する。そして、第2封止部材16には、その底部を貫通するように複数の信号用配線163(163−1、163−2、・・・)が形成されており、これら複数の信号用配線163のそれぞれに接続された複数の電極パッド162(162−1、162−2、・・・)が封止部材16の内底面に形成されている。そして、複数の焦電部11における各信号出力線が複数の電極パッド162に例えばワイヤーボンディング等によってそれぞれ接続されている。
【0087】
また、本実施形態では、第1および第2封止部材15、16は、互いに協同して複数の焦電部11を所定の真空度で封止しており、前記所定の真空度を維持するべく、第1封止部材15における、前記一方主面上には、複数の焦電部11が配設された領域に対向する赤外線の透過領域RAを除く部分に、その封止された内側空間における真空度を維持するための、気体状の粒子を捉えるゲッター17が配設されている。より具体的には、矩形形状の透過領域RAにおける両側端に、側端から所定の距離だけ離隔して側端に沿うように、一対のゲッター17−1、17−2が第1封止部材13の前記一方主面上に帯状に形成されている。ゲッター17は、例えばチタン(Ti)等の金属膜であり、原子や分子、あるいはそれらのイオンの気体状の粒子を吸着することによって捉え、前記所定の真空度を維持するように機能する。
【0088】
このような構成の焦電型赤外線撮像装置30の撮像動作に次について説明する。
【0089】
静止画を撮影する場合は、制御部35は、焦電型赤外線撮像素子1に静止画の撮影を行わせるように制御すると共に、駆動部34を介して撮像光学系21における前記レンズ駆動装置を動作させることによってフォーカシングを行う。これにより、ピントの合った赤外線による光学像が焦電型赤外線撮像素子1の受光面に周期的に繰り返し結像され、画像信号が焦電型赤外線撮像素子1から画像生成部31へ出力される。その画像信号は、画像データバッファ32に一時的に記憶され、画像形成部33により画像形成処理が行われた後、その画像信号に基づく画像がディスプレイ(不図示)に表示される。そして、撮影者は、前記ディスプレイを参照することで、主被写体をその画面中の所望の位置に収まるように調整することが可能となる。この状態でいわゆるシャッターボタン(不図示)が押されることによって、静止画用のメモリとしての記憶部36に画像データが格納され、静止画像が得られる。
【0090】
また、動画撮影を行う場合は、制御部35は、焦電型赤外線撮像素子1に動画の撮影を行わせるように制御する。後は、静止画撮影の場合と同様にして、撮影者は、前記ディスプレイ(不図示)を参照することで、撮像装置21を通して得た被写体の像が、その画面中の所望の位置に収まるように調整することができる。前記シャッターボタン(不図示)が押されることによって、動画撮影が開始される。そして、動画撮影時、制御部35は、焦電型赤外線撮像素子1に動画の撮影を行わせるように制御すると共に、駆動部34を介して撮像光学系21における前記レンズ駆動装置を動作させ、フォーカシングを行う。これによって、ピントの合った赤外線による光学像が焦電型赤外線撮像素子1の受光面に周期的に繰り返し結像され、画像信号が焦電型赤外線撮像素子1から画像生成部31へ出力される。その画像信号は、画像データバッファ32に一時的に記憶され、画像形成部33により画像形成処理が行われた後、その画像信号に基づく画像がディスプレイ(不図示)に表示される。そして、もう一度前記シャッターボタン(不図示)を押すことで、動画撮影が終了する。撮影された動画像は、動画用のメモリとしての記憶部36に導かれて格納される。
【0091】
上述では、一般的な光学カメラのようにシャッターボタンの操作によって静止画撮影や動画撮影が行われる態様について説明したが、監視カメラやナイトビジョンのように焦電型赤外線撮像装置30が起動されると、動作中は常時、動画撮影が行われ、この撮影した動画がディスプレイに表示される態様であってもよい。
【0092】
このような構成の第2実施形態における焦電型赤外線撮像素子1および焦電型赤外線撮像装置30は、第1実施形態の焦電型赤外線検出素子Dのように、分極の反転(再分極)を行うことなく、赤外線を検出することができ、赤外線で被写体を撮像することができる。
【0093】
また、従来のようにチョッパを用いることがないので、小型に構成可能で信頼性も向上する。
【0094】
また、本実施形態の焦電型赤外線撮像素子1および焦電型赤外線撮像装置30は、ゲッター17をさらに備えるので、封止された空間を所定の真空度の真空とした場合に、前記所定の真空度を維持することが可能となる。
【0095】
また、このような構成の焦電型赤外線撮像装置30は、撮像光学系11をさらに備えるので、被写体の対象物から放射される赤外線をより確実に焦電型赤外線撮像素子1へ導光することができる。
【0096】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0097】
D 焦電型赤外線検出素子
1 焦電型赤外線撮像素子
11 焦電部
12 電圧印加部
13 測定部
15、16 封止部材
18 温度換算部
19 出力部
20 環境温度測定部
21 撮像光学系
30 焦電型赤外線撮像装置
114 強誘電体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1および第2電極部と前記一対の第1および第2電極部間に配置される強誘電体材料とを備える焦電部と、
前記一対の第1および第2電極部間に所定の電圧値の電圧を印加するための電圧印加部と、
前記電圧印加部によって前記一対の第1および第2電極部間に前記所定の電圧値の電圧を印加した電圧印加分極状態から自然分極状態までに前記焦電部で生じた電荷量に関係する所定の物理量を測定する測定部とを備えること
を特徴とする焦電型赤外線検出素子。
【請求項2】
前記測定部は、前記電圧印加分極状態から前記自然分極状態までに前記焦電部から出力された電流を積分する積分部であること
を特徴とする請求項1に記載の焦電型赤外線検出素子。
【請求項3】
前記測定部は、前記電圧印加分極状態から前記自然分極状態までに前記焦電部から出力された電流における単位時間当たりの変化率を測定する電流変化率測定部であること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の焦電型赤外線検出素子。
【請求項4】
前記測定部の出力に基づいて温度を求める温度演算部をさらに備えること
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の焦電型赤外線検出素子。
【請求項5】
前記温度演算部は、前記測定部の出力と温度との対応関係を備え、前記対応関係を用いることによって前記測定部の出力から温度を求めること
を特徴とする請求項4に記載の焦電型赤外線検出素子。
【請求項6】
環境温度を測定する環境温度測定部をさらに備え、
前記温度演算部は、前記測定部の出力と温度との対応関係を複数の環境温度に対応して複数備え、前記環境温度測定部で測定された環境温度に応じた対応関係を用いることによって前記測定部の出力から温度を求めること
を特徴とする請求項4に記載の焦電型赤外線検出素子。
【請求項7】
一対の第1および第2電極部と前記一対の第1および第2電極部間に配置される強誘電体材料とを備える複数の焦電部と、
前記複数の焦電部のそれぞれにおける前記一対の第1および第2電極部間に所定の電圧値の電圧を印加するための電圧印加部と、
前記複数の焦電部のそれぞれについて、前記電圧印加部によって前記一対の第1および第2電極部間に前記所定の電圧値の電圧を印加した電圧印加分極状態から自然分極状態までに前記焦電部で生じた電荷量に関係する所定の物理量を測定する測定部とを備えること
を特徴とする焦電型赤外線撮像素子。
【請求項8】
前記電圧印加部によって前記複数の焦電部のそれぞれにおける前記一対の第1および第2電極部間に前記所定の電圧値の電圧を印加し始める開始時点から、前記電圧印加分極状態から前記自然分極状態までに前記複数の焦電部のそれぞれで生じた電荷量に関係する所定の物理量の測定が終了する終了時点までの期間は、撮像画像のフレームレート以下であること
を特徴とする請求項7に記載の焦電型赤外線撮像素子。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の焦電型赤外線撮像素子と、
前記焦電型赤外線撮像素子の出力に基づいて画像形成を行う画像形成部とを備えること
を特徴とする焦電型赤外線撮像装置。
【請求項10】
前記焦電型赤外線撮像素子の受光面上に物体の赤外線の光学像を形成する撮像光学系をさらに備えること
を特徴とする請求項9に記載の焦電型赤外線撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−92389(P2013−92389A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232865(P2011−232865)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】