説明

焼き菓子用油中水型乳化組成物およびこれを含有する焼き菓子

【課題】食感や食感の保存安定性に優れたケーキ、バウムクーヘン等の焼き菓子およびその製造に用いる焼き菓子用油中水型乳化組成物を提供する。
【解決手段】油脂A(5℃における固体脂含量30〜45%、15℃における固体脂含量10〜25%、25℃における固体脂含量3〜10%)、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及び糖を含有し、当該ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含量が0.1〜4質量%である焼き菓子用油中水型乳化組成物を用いて焼き菓子を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖を含有した焼き菓子用油中水型乳化組成物およびこれを含有する焼き菓子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーキ、バウムクーヘン等の焼き菓子は、風味や食感等の優れたものが求められ、種々の研究開発がなされてきた(例えば、特許文献1乃至特許文献4参照)。
【0003】
しかしながら、近年の消費者の嗜好性の向上により、従来の焼き菓子では満足できなくなり、より食感の優れたものが求められてきている。
【0004】
特に、バウムクーヘンは、他の焼き菓子と異なり、焼成品(生地を焼いたもの)を焼成前の生地に浸して再び焼成するという工程を繰り返し行うことで製造されることから、バウムクーヘンの生地は、他の焼き菓子よりも高温にさらされる時間が長い。このように生地が高温にさらされる時間が長いと、生地の状態が悪くなり、得られるバウムクーヘンの品質も悪くなるため、従来のバウムクーヘンは、食感がパサついたものが多く、満足のいくものではなかった。このように、バウムクーヘンは、製造条件がより過酷であることから、他の焼き菓子よりも食感を満足させることがより困難であった。
【0005】
また、ケーキ、バウムクーヘン等の焼き菓子は、日持ちしないものが多く、賞味期限が短かったが、原料や添加剤の改良、製造技術や保存技術の向上等により、賞味期限の比較的長いものも可能となった(例えば、特許文献5参照)。
【0006】
しかしながら、これらの焼き菓子は、焼成した生地が経時的に老化することで食感が低下するため、賞味期限の比較的長いものであっても、食感の面では未だ満足のいくものではなかった。
【特許文献1】特開昭55−64755号公報
【特許文献2】特開昭62−96041号公報
【特許文献3】特開昭62−253337号公報
【特許文献4】特開平4−8246号公報
【特許文献5】特開昭60−110238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、従来品よりも食感や食感の保存安定性に優れたケーキ、バウムクーヘン等の焼き菓子が求められている。
【0008】
従って、本発明の目的は、食感や食感の保存安定性に優れたケーキ、バウムクーヘン等の焼き菓子およびその製造に用いる焼き菓子用油中水型乳化組成物を提供することである。
特に、本発明の目的は、他の焼き菓子よりも生地が高温にさらされる時間の長いバウムクーヘン等の焼き菓子においても、食感や食感の保存安定性に優れた焼き菓子およびその製造に用いる焼き菓子用油中水型乳化組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、下記油脂A、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及び糖を含有する焼き菓子用油中水型乳化組成物であり、当該乳化組成物中における前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含量が0.1〜4質量%である焼き菓子用油中水型乳化組成物を提供する。
油脂A:5℃における固体脂含量30〜45%、15℃における固体脂含量10〜25%、25℃における固体脂含量3〜10%
【0010】
また、本発明は、上記目的を達成するために、上記本発明の焼き菓子用油中水型乳化組成物を含有することを特徴とする焼き菓子を提供する。
【0011】
また、本発明は、上記目的を達成するために、下記油脂A、プロピレングリコール脂肪酸エステル及び油中水型乳化組成物中における含量が0.1〜4質量%となる量のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有する油相と糖溶液とを乳化して得られる油中水型乳化組成物を材料として配合することを特徴とする焼き菓子の製造方法を提供する。
油脂A:5℃における固体脂含量30〜45%、15℃における固体脂含量10〜25%、25℃における固体脂含量3〜10%
【0012】
また、本発明は、上記目的を達成するために、下記油脂A、プロピレングリコール脂肪酸エステル及び油中水型乳化組成物中における含量が0.1〜4質量%となる量のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有する油相と糖溶液とを乳化して得られる油中水型乳化組成物を材料として焼き菓子に配合することによる焼き菓子の食感を向上させる方法を提供する。
油脂A:5℃における固体脂含量30〜45%、15℃における固体脂含量10〜25%、25℃における固体脂含量3〜10%
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、食感や食感の保存安定性に優れたケーキ、バウムクーヘン等の焼き菓子およびその製造に用いる焼き菓子用油中水型乳化組成物を提供することができる。
特に、本発明によると、他の焼き菓子よりも生地が高温にさらされる時間の長いバウムクーヘン等の焼き菓子においても、食感や食感の保存安定性に優れた焼き菓子およびその製造に用いる焼き菓子用油中水型乳化組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〔本発明の実施の形態に係る焼き菓子用油中水型乳化組成物〕
本発明の実施の形態に係る焼き菓子用油中水型乳化組成物は、油脂A、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及び糖を含有する焼き菓子用油中水型乳化組成物であり、当該乳化組成物中における前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含量が0.1〜4質量%であることを特徴とする。
【0015】
従来のバウムクーヘン等の焼き菓子の製造においては、生地を調製する際に油脂と糖溶液(液糖)とを別々に添加していたが、特定の油脂と糖溶液とを特定の乳化剤により乳化させた油中水型乳化組成物を用いると、食感や食感の保存安定性が優れた焼き菓子が得られることが分かったことに基づき本発明を完成させたものである。
【0016】
(油脂A)
油脂Aは、5℃における固体脂含量(SFC)が5〜80%、15℃における固体脂含量が3〜50%、25℃における固体脂含量が3〜40%を満たす油脂である。5℃で5〜60%、15℃で3〜40%、25℃で3〜35%であることが好ましく、5℃で10〜50%、15℃で3〜35%、25℃で3〜23%であることがより好ましく、5℃で30〜45%、15℃で10〜25%、25℃で3〜10%であることが最も好ましい。
【0017】
SFCが5℃で5〜80%、15℃で3〜50%、25℃で3〜40%を満たす油脂を使用すると、焼き菓子生地の粘度を良好に保ち、焼成時に充分なボリュームを与え、焼成後の油の染み出しを防ぐことができる。
【0018】
固体脂含量(SFC)は、「社団法人 日本油化学会 基準油脂分析試験法2.2.9−2003」に従って測定することができる。
【0019】
油中水型乳化組成物中における油脂Aの含量は、45〜85質量%であることが好ましく、55〜85質量%であることがより好ましく、60〜80質量%であることが最も好ましい。
【0020】
油脂Aは、ヨウ素価56を超える油脂5〜95質量%、ヨウ素価56以下の油脂5〜95質量%、好ましくはヨウ素価56を超える油脂10〜90質量%、ヨウ素価56以下の油脂10〜90質量%、最も好ましくはヨウ素価56を超える油脂15〜85質量%、ヨウ素価56以下の油脂15〜85質量%含有させることで製造することができる。
【0021】
油脂のヨウ素価は、「社団法人 日本油化学会 基準油脂分析試験法2.3.4.1−1996」に従って測定することができる。
【0022】
ヨウ素価56を超える油脂のヨウ素価の上限は、160が好ましく、150がより好ましい。ヨウ素価56を超える油脂としては、ヨウ素価56を超える油脂であれば特に制限されないが、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、ごま油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油やこれらの混合油等が挙げられる。また、これらの油脂や混合油を原料としたエステル交換油(エステル交換して得られる油脂)等が挙げられる。分別処理することでヨウ素価が56を超える分別油、例えば、パーム油の分別油(ヨウ素価60〜70(パームオレイン、スーパーオレイン等))を用いることもできる。エステル交換油を分別処理した油脂や分別油をエステル交換した油脂を用いることもできる。これらのヨウ素価56を超える油脂は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
ヨウ素価56以下の油脂のヨウ素価の下限は、0が好ましく、0.3がより好ましい。ヨウ素価56以下の油脂としては、ヨウ素価56以下の油脂であれば特に制限はないが、例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油、乳脂肪、ラード、牛脂等が挙げられる。ヤシ油、パーム油、パーム核油、乳脂肪、ラード、牛脂、大豆油、菜種油、ハイエルシン菜種油(高エルカ酸種の菜種油)、コーン油、ひまわり油、紅花油、ごま油、綿実油、こめ油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油やこれらの混合油を原料とした水素添加油脂(部分水素添加して得られる部分水素添加油脂、ヨウ素価がおよそ0〜3になるまで極度に水素添加して得られる極度硬化油のどちらを用いることもできる)、エステル交換油を用いることもできる。分別処理することにより得られる分別油、例えば、パーム油の分別油(ヨウ素価15〜56(パームステアリン、パーム油の中融点部等))を用いることもできる。水素添加油脂をエステル交換した油脂、エステル交換油を水素添加した油脂、水素添加油脂を分別処理した油脂、分別油を水素添加した油脂、エステル交換油を分別処理した油脂、分別油をエステル交換した油脂を用いることもできる。これらのヨウ素価56以下の油脂は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
特に好ましい組み合わせとしては、以下の組み合わせ・配合割合が挙げられる。
【0025】
(a)大豆油(ヨウ素価56を超える油脂)5〜25質量%、ヨウ素価60〜70であるパーム油の分別油(ヨウ素価56を超える油脂)10〜60質量%、パーム油(ヨウ素価56以下の油脂)30〜70質量%、ハイエルシン菜種油の極度硬化油(ヨウ素価56以下の油脂)0.3〜2質量%であり、より好ましくは、大豆油10〜20質量%、ヨウ素価60〜70であるパーム油の分別油45〜55質量%、パーム油30〜40質量%、ハイエルシン菜種油の極度硬化油0.5〜1.5質量%である。
【0026】
(b)大豆油(ヨウ素価56を超える油脂)50〜79質量%、パーム油とラウリン系油脂とのエステル交換油(ヨウ素価56以下の油脂)20〜47質量%、ハイエルシン菜種油の極度硬化油(ヨウ素価56以下の油脂)0.3〜2.5質量%であり、より好ましくは、大豆油65〜74質量%、パーム油とラウリン系油脂とのエステル交換油25〜32質量%、ハイエルシン菜種油の極度硬化油1〜2.3質量%である。ラウリン系油脂としては、ヤシ油、パーム核油、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等が挙げられる。
【0027】
(c)大豆油(ヨウ素価56を超える油脂)10〜25質量%、ヨウ素価40〜50であるパーム油の分別油(ヨウ素価56以下の油脂)20〜40質量%、パーム油(ヨウ素価56以下の油脂)30〜45質量%、パーム油とラウリン系油脂とのエステル交換油の極度硬化油(ヨウ素価56以下の油脂)10〜25質量%であり、より好ましくは、大豆油10〜20質量%、ヨウ素価40〜50であるパーム油の分別油25〜35質量%、パーム油35〜45質量%、パーム油とラウリン系油脂とのエステル交換油の極度硬化油10〜20質量である。
【0028】
(プロピレングリコール脂肪酸エステル)
本実施の形態におけるプロピレングリコール脂肪酸エステルは、構成する脂肪酸は特に限定されないが、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸が好ましい。複数種の脂肪酸エステルの混合物でもよい。エステル体は、モノエステル、ジエステルのどちらでもよく、これらの混合物でもよい。
【0029】
市販品としては、理研ビタミン社製のリケマールPS−100、リケマールPB−100等を使用することができる。
【0030】
プロピレングリコール脂肪酸エステルを使用すると、焼き菓子生地の起泡性が向上し、生地製造時間を短縮でき、さらに焼成時に充分なボリュームを与えることができる。
【0031】
油中水型乳化組成物中におけるプロピレングリコール脂肪酸エステルの含量は、2〜12質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましく、4〜8質量%であることが最も好ましい。
【0032】
(ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル)
本実施の形態におけるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(ポリグリセリン縮合リシノレート)は、構成するポリグリセリンの平均重合度は特に限定されないが、2〜15が好ましく、4〜10が最も好ましい。また、構成する縮合リシノレイン酸の平均重合度は特に限定されないが、2〜10が好ましく、3〜6が最も好ましい。
【0033】
市販品としては、阪本薬品工業社製のSYグリスターCRS−75、SYグリスターCR−ED等を使用することができる。
【0034】
油中水型乳化組成物中におけるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含量は、0.1〜4質量%である。0.5〜3質量%であることが好ましく、1.0〜2.0質量%であることがより好ましい。
【0035】
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを上記含量の範囲内で使用すると、乳化組成物の安定性(耐熱性)が優れたものとなり、生地を良好な状態で維持することができる。
【0036】
(糖)
本実施の形態における糖は、その種類は特に限定されないが、ブドウ糖、果糖、マンノース、キシロース、ショ糖、乳糖、麦芽糖、マルトース、トレハロース、マルトトリオース、オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、異性化液糖、ショ糖結合水飴、酵素糖化水飴、還元乳糖、還元澱粉糖化物、還元糖ポリデキストロース、澱粉加水分解物、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、オリゴ糖アルコール、ラフィノース、ラクチュロース、ステビア、アスパルテーム等の糖類が挙げられる。これらの糖類は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
糖は、糖溶液として配合することが好ましい。糖溶液は、糖を水等の水溶性の液に溶解させたものであれば特に限定されないが、糖を水に溶解させたものであることが好ましい。糖溶液としては、例えば、市販品の糖溶液(液糖)や固形の糖を水に溶解させたもの等を用いることができる。固形の糖を水に溶解させたものを糖溶液として用いる場合、予め調製していた糖溶液や油中水型乳化組成物の調製時に調製した糖溶液のどちらを用いることもできる。市販品の糖溶液や予め調製していた糖溶液は、さらに水等の水溶性の液で希釈して用いることもできる。糖溶液には、必要に応じてその他の水溶性成分を配合することもできる。糖溶液は、油中水型乳化組成物を製造する際、水相として用いられる。
【0038】
糖を油中水型乳化組成物として使用すると、得られる焼き菓子の食感がしっとり感を有する良好なものとなる。
【0039】
油中水型乳化組成物中における糖の含量は、0.3〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましく、7〜30質量%であることが最も好ましい。
【0040】
油中水型乳化組成物中における糖溶液の含量は、0.3〜50質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、20〜45質量%であることが最も好ましい。
【0041】
また、油中水型乳化組成物の製造のために添加する糖溶液中における糖の含量は、2〜85質量%であることが好ましく、10〜75質量%であることが最も好ましい。
【0042】
(ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと糖溶液の配合比率)
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと糖溶液の配合比率は、1:50〜1:1であることが好ましく、1:40〜1:1であることがより好ましく、1:30〜1:7であることが最も好ましい。
【0043】
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと糖溶液の配合比率が規定の範囲にあると、油中水型乳化組成物の安定性(耐熱性)が優れたものとなり、生地を良好な状態で維持することができるため、得られる焼き菓子の食感がしっとり感を有する良好なものとなる。
【0044】
(その他の乳化剤)
油中水型乳化組成物の製造に際し、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル以外の乳化剤を併用することができる。
【0045】
その他の乳化剤を使用すると、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの作用を助長することができる。
【0046】
その他の乳化剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル(モノエステルやジエステル)、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド(酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド)、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。
【0047】
油中水型乳化組成物中におけるその他の乳化剤の配合量は、0.1〜2.5質量%であることが好ましく、0.3〜2.0質量%であることがより好ましく、0.5〜1.5質量%であることが最も好ましい。
【0048】
(その他の成分)
必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、β−カロテン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、ココアマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物等を油中水型乳化組成物中に配合することができる。
【0049】
(油中水型乳化組成物の製造方法)
油中水型乳化組成物の製造は、その製造条件が制限されるものではないが、例えば、油相(SFCが5℃で5〜80%、15℃で3〜50%、25℃で3〜40%を満たす油脂A、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有する油脂組成物であって、必要に応じてその他の油溶性成分を配合することもできる)と糖溶液(糖、水、その他の水溶性成分)とを予備乳化させ、予備乳化後、急冷練り合わせ(急冷混捏)を行い、乳化させることで製造することができる。なお、上記油相(油脂組成物)は、本実施の形態に係る油中水型乳化組成物を製造するために適したものである。具体的には、油相(油脂組成物)中のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含量は、0.1〜8質量%であり、1〜3質量%であることが好ましい。また、油相(油脂組成物)中の油脂Aの含量は、60〜95質量%であることが好ましく、75〜93質量%であることがより好ましい。また、油相(油脂組成物)中のプロピレングリコール脂肪酸エステルの含量は、2〜24質量%であることが好ましく、4〜7質量%であることがより好ましい。
【0050】
詳しくは、各油脂および乳化剤等の油溶性成分を含有する油相を溶解し、別途、水及び糖を混合溶解して糖溶液(水相)を準備しておく。さらに、上記溶解済み油相中に糖溶液を徐々に混合し、全体が均一になるように乳化を行う。そして、次に殺菌処理を行うのが好ましい。殺菌方法はタンクのバッチ式であってもよく、プレート式熱交換器や掻き取り式熱交換器を用いた連続式であっても良い。次に、冷却し、結晶化させる。好ましくは冷却可塑化する。冷却条件は、好ましくは−0.5℃/分以上、更に好ましくは−5℃/分以上とする。この際、徐冷却より急冷却の方が好ましい。冷却する機械としては、密閉型連続式チューブ冷却器、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート式熱交換器等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組合せが挙げられる。
【0051】
また、油中水型乳化組成物の製造は、油相と糖溶液を乳化させた後、さらに水等の水溶性の液を加え、乳化させることもできる。
【0052】
油相と糖溶液の配合比(質量比)は、特に限定されないが、油相:糖溶液で50:50〜90:10であることが好ましく、60:40〜85:15であることがより好ましく、70:30〜80:20であることが最も好ましい。
【0053】
(焼き菓子)
本発明の油中水型乳化組成物は、バウムクーヘン、ケーキ等の焼き菓子に用いることができる。具体的には、ショートケーキ、ロールケーキ、デコレーションケーキ等のスポンジケーキ類、パウンドケーキ、フルーツケーキ、バターケーキ、ベークドチーズケーキ、マフィン、マドレーヌ、フィナンシェ、バウムクーヘン等のバターケーキ類等の洋菓子における生菓子及び半生菓子に好適に用いることができる。本発明の油中水型乳化組成物は、特に他の焼き菓子よりも生地が高温にさらされる時間の長いバウムクーヘンに好適に用いることができる。
【0054】
(焼き菓子の製造)
焼き菓子の製造は、本発明の油中水型乳化組成物を使用することを特徴としている。焼き菓子の製造時において、本発明の油中水型乳化組成物を使用せずに、油脂A、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、糖溶液を別々に添加した場合、優れた食感の焼き菓子は得られない。
【0055】
焼き菓子の製造は、本発明の油中水型乳化組成物を使用すること以外は、通常の焼き菓子の配合、通常の焼き菓子の製造方法で製造することができる。
【0056】
焼き菓子生地中における油中水型乳化組成物の含量は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましく、15〜40質量%であることが最も好ましい。
【0057】
特にバームクーヘンの場合、本発明の油中水型乳化組成物以外の成分としては、小麦粉を15〜35質量%、卵(全卵)を10〜30質量%、砂糖を10〜30質量%配合することが好ましい。
【0058】
〔本発明の実施の形態の効果〕
本発明の実施の形態によれば、生地調製の作業性や生地の耐熱性を良好にする焼き菓子用油中水型乳化組成物を得ることができ、当該組成物を用いて製造される食感や食感の保存安定性に優れたケーキ、バウムクーヘン等の焼き菓子を提供することができる。また、焼成後嵩(焼成後の見栄え)に優れたケーキ、バウムクーヘン等の焼き菓子を提供することができる。
特に、他の焼き菓子よりも生地が高温にさらされる時間の長いバウムクーヘン等の焼き菓子においても、食感や食感の保存安定性に優れた焼き菓子を提供することができる。
【0059】
さらに、焼き菓子に原料として用いられる糖溶液(液糖)は粘性が高いため、焼き菓子製造業者においては、配合に際し、液糖の計量作業が手間であったが、液糖を含有した油中水型乳化組成物を使用することで、焼き菓子製造業者の手間が軽減される。
【0060】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。但し、以下の実施例のうち、実施例10,11,21,22は、参考例である。
【実施例】
【0061】
(油中水型乳化組成物の製造)
表1〜4に示した配合で以下の方法により油中水型乳化組成物を製造した。
表1〜4に示した油脂を混合した後、混合油脂にポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:SYグリスターCRS−75、阪本薬品工業株式会社製)、プロピレングリコール脂肪酸エステル(商品名:リケマールPS−100、理研ビタミン株式会社製)、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、大豆レシチン、香料を溶解させて油相を調製した。また、水に液糖(商品名:ハイマルトースシラップMC−55、糖含量75質量%)を均一に溶解させて糖溶液(水相)を調製した。次に、調製した油相に調製した糖溶液を徐々に加え、50℃〜70℃に調温しながら、プロペラ攪拌にて20分間予備乳化した。予備乳化後、掻き取り式熱交換器(95℃、5〜15秒間)にて殺菌し、その後、掻き取り式熱交換器(コンビネーター)にて急冷練り合わせを行い、最終製品温度を15〜20℃に調整することで、各油中水型乳化組成物を得た。
なお、比較例4については、実施例1の油中水型乳化組成物と同じ配合量、同じ調製方法で調製した油相と糖溶液を乳化させずに用いた。
【0062】
表3中の実施例9〜11において、エステル交換油1は、パーム油とパームステアリンとパーム核オレインとをエステル交換して得られるエステル交換油を用いた。また、エステル交換油2は、パーム油とパーム核油とをエステル交換して得られるエステル交換油を極度に水素添加して得られる油脂を用いた。
【0063】
(油中水型乳化組成物の評価)
実施例1〜11の油中水型乳化組成物及び比較例1〜3の油中水型乳化組成物を用いて、油中水型乳化組成物の乳化安定性(耐熱性)を下記の方法により評価した。評価結果を表1〜4に示す。
【0064】
〔乳化安定性(耐熱性)の評価方法〕
100〜120℃に加温された蒸気配管ジャケット式溶解タンクに各油中水型乳化組成物500gを投入し、溶解させた。プロペラ式攪拌機にて均一な状態に攪拌し、5分間、70℃で加熱を行った。その後、全量取り出し、乳化状態を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
■油中水型乳化組成物の乳化安定性の評価基準
◎:均一に乳化しており、分離がない
○:乳化状態であり、分離が少ない
△:乳化が不安定で、経時的に分離が起こる
×:乳化が維持できず、分離が起こる
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
表1〜3から分かるように、実施例1〜11の油中水型乳化組成物は、乳化安定性がよく、耐熱性に優れたものであった。
【0070】
一方、表4から分かるように、油脂のSFCが規定の範囲を外れる比較例1の油中水型乳化組成物、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが規定の範囲を外れる比較例2の油中水型乳化組成物、およびポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを配合していない比較例3の油中水型乳化組成物は、乳化状態が不安定なものであり、耐熱性が満足いくものではなかった。
【0071】
(バウムクーヘンの製造)
実施例1〜11の油中水型乳化組成物および比較例1〜3の油中水型乳化組成物を用いて、表5に示した配合で、以下の方法により実施例12〜22のバウムクーヘンおよび比較例5〜7のバウムクーヘンを製造した。また、比較例8のバウムクーヘンは、実施例1の油中水型乳化組成物と同じ配合量、同じ調製方法で調製した油相と糖溶液(比較例4)を乳化させずに別々に添加することで製造した。
【0072】
〔バウムクーヘンの製造方法〕
砂糖、薄力粉、コーンスターチ、食塩、還元糖、膨張剤(ベーキングパウダー)の混合物にα化デンプンを混ぜ合わせ、さらに全卵を加えて均一に混ぜ合わせた。全卵を加えて均一に混ぜ合わせた後、70℃程度で溶かした各油中水型乳化組成物を加えて、比重0.70前後になるまで混ぜ合わせたてた。比重0.70前後になった後、生クリームと水を混ぜ合わせることで、バウムクーヘンの生地を調製した。得られた各生地を、湯煎で生地温度が30℃になるように調整した後、生地90gをオーブンにて、焼成温度、上火210℃、下火150℃で焼成した。生地の焼成を7回繰り返し、7層に焼き上げることで、バウムクーヘンを製造した。
【0073】
【表5】

【0074】
(バウムクーヘンの評価)
実施例12〜22のバウムクーヘンおよび比較例5〜8のバウムクーヘンについて、生地調製の作業性、生地の耐熱性、焼成後嵩(焼成後の見栄え)、食感、および食感の保存安定性を下記の方法で評価した。評価結果を表6〜9に示す。
【0075】
〔生地調製の作業性〕
生地の調製時において、生クリーム、水を加える前の生地が比重0.70に達成するまでのミキシング所要時間を測定し、以下の基準で評価した。ミキシング所要時間が短いほど、生地調製の作業性がよく、作業効率が優れていると言える。
■生地調製の作業性の評価基準
◎:ミキシング所要時間3分未満
○:ミキシング所要時間3分以上4分未満
△:ミキシング所要時間4分以上5分未満
×:ミキシング所要時間5分以上
【0076】
〔生地の耐熱性〕
調製した生地700gを1kg容ビーカーに入れ、温水循環式インキュベーターにて50℃、或いは40℃に調温し、その状態で10分間静置したときの生地状態を目視にて、以下の基準で評価した。
■生地の耐熱性の評価基準
◎:40℃、50℃ともに分離が起きない
○:40℃では分離が起きないが、50℃で徐々に分離が起きる
△:40℃では分離が起きないが、50℃で分離が起きる
×:40℃、50℃ともに分離が起きる
【0077】
〔焼成後嵩(焼成後の見栄え)〕
5名のパネルに、焼成後のバウムクーヘンの見栄えを目視にて、以下の基準で評点をつけてもらった。各パネルの評点の平均点を算出し、以下の基準で評価した。
■焼成後嵩の評点
5点:生地層がしっかりとして、均一であり、ボリュームが充分である
4点:生地層にややばらつきがあるが、ボリュームが充分である
3点:生地層にむらがあり、ボリュームが一般的である
2点:生地層にむらがあり、ボリュームがやや小さい
1点:生地層が不均一であり、ボリュームに乏しい
■焼成後嵩の評価基準
◎:評点の平均点が4点以上
○:評点の平均点が3点以上4点未満
△:評点の平均点が2点以上3点未満
×:評点の平均点が2点未満
【0078】
〔食感〕
5名のパネルが焼成後のバウムクーヘンを食べて、食べたときの食感を以下の基準で評点をつけてもらった。各パネルの評点の平均点を算出し、以下の基準で評価した。
■食感の評点
4点:しっとりしていて歯切れが良い
3点:しっとりしているがやや歯切れが悪い
2点:ぱさついているが歯切れが良い
1点:ぱさついていて歯切れが悪い
■食感の評価基準
◎:評点の平均点が4点
○:評点の平均点が3点以上4点未満
△:評点の平均点が2点以上3点未満
×:評点の平均点が2点未満
【0079】
〔食感の保存安定性〕
焼成後のバウムクーヘンを密閉容器に入れ、20℃で7日間保存し、5名のパネルが保存後のバウムクーヘンを食べて、食べたときの食感を以下の基準で評点をつけてもらった。各パネルの評点の平均点を算出し、以下の基準で評価することで、保存安定性を評価した。
■食感の評点
4点:しっとりしていて歯切れが良い
3点:しっとりしているがやや歯切れが悪い
2点:ぱさついているが歯切れが良い
1点:ぱさついていて歯切れが悪い
■食感(保存安定性)の評価基準
◎:評点の平均点が4点
○:評点の平均点が3点以上4点未満
△:評点の平均点が2点以上3点未満
×:評点の平均点が2点未満
【0080】
【表6】

【0081】
【表7】

【0082】
【表8】

【0083】
【表9】

【0084】
表6〜8から分かるように、実施例1〜11の油中水型乳化組成物を用いて製造した実施例12〜22のバウムクーヘンは、全ての評価において満足のいく、優れたものであった。
【0085】
一方、表9から分かるように、油脂のSFCが規定の範囲を外れる比較例1の油中水型乳化組成物を用いて製造した比較例5のバウムクーヘンは、食感が満足いくものではなかった。
【0086】
また、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが規定の範囲を外れる比較例2の油中水型乳化組成物を用いて製造した比較例6のバウムクーヘンは、全ての評価において満足のいかないものであり、特に生地の作業性、生地の耐熱性が劣るものであった。
【0087】
また、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを配合していない比較例3の油中水型乳化組成物を用いて製造した比較例7のバウムクーヘンは、全ての評価において満足のいかないものであり、特に生地の耐熱性、食感の保存安定性が劣るものであった。
【0088】
また、油相と糖溶液(比較例4)を乳化させずに別々に添加することで製造した比較例8のバウムクーヘンは、全ての評価において満足のいかないものであり、特に生地の耐熱性、食感、食感の保存安定性が劣るものであった。
【0089】
(マフィンケーキの製造)
実施例1の油中水型乳化組成物を用いて、表10に示した配合で以下の方法により実施例23のマフィンケーキを製造した。
【0090】
〔マフィンケーキの製造方法〕
砂糖、薄力粉、食塩、膨張剤(ベーキングパウダー)を混ぜ合わせ、さらに全卵を加えて均一に混ぜ合わせた。全卵を加えて均一に混ぜ合わせた後、70℃程度で溶かした実施例1の油中水型乳化組成物を加えて、比重0.85前後になるまで混ぜ合わせたてることで、マフィンケーキの生地を調製した。生地60gをマフィンケースに流し込み、オーブンにて、焼成温度、上火190℃、下火190℃で22分間焼成することで、実施例23のマフィンケーキを製造した。
【0091】
【表10】

【0092】
(バターケーキの製造)
実施例1の油中水型乳化組成物を用いて、表11に示した配合で以下の方法により実施例24のバターケーキを製造した。
【0093】
〔バターケーキの製造方法〕
砂糖、薄力粉、食塩、脱脂粉乳、膨張剤(ベーキングパウダー)を混ぜ合わせ、さらに全卵を加えて均一に混ぜ合わせた。全卵を加えて均一に混ぜ合わせた後、実施例1の油中水型乳化組成物を加えて、比重0.90前後になるまで混ぜ合わせたてることで、バターケーキの生地を調製した。生地400gを型に流し込み、オーブンにて、焼成温度、上火180℃、下火180℃で60分焼成することで、実施例24のバターケーキを製造した。
【0094】
【表11】

【0095】
(シェルマドレーヌの製造)
実施例1の油中水型乳化組成物を用いて、表12に示した配合で以下の方法により実施例25のシェルマドレーヌを製造した。
【0096】
〔シェルマドレーヌの製造方法〕
砂糖、薄力粉、食塩、膨張剤(ベーキングパウダー)を混ぜ合わせ、さらに全卵を加えて均一に混ぜ合わせた。全卵を加えて均一に混ぜ合わせた後、実施例1の油中水型乳化組成物を加え混ぜ、レモン果汁を加え均一にすることで、シェルマドレーヌの生地を調製した。生地を冷蔵(5℃)にて2時間休ませた後、型に流し込み、オーブンにて、焼成温度、上火190℃、下火130℃で13分焼成することで、実施例25のシェルマドレーヌを製造した。
【0097】
【表12】

【0098】
(フィナンシェの製造)
実施例1の油中水型乳化組成物を用いて、表13に示した配合で以下の方法により実施例26のフィナンシェを製造した。
【0099】
〔フィナンシェの製造方法〕
砂糖、薄力粉を混ぜ合わせ、混合物1とした。別途、アーモンドプードルと粉糖を混ぜ合わせ、混合物2とした。混合物1と混合物2を混ぜ合わせ、さらに卵白を加えて均一に混ぜ合わせた。卵白を加えて均一に混ぜ合わせた後、実施例1の油中水型乳化組成物を70℃に溶解し加え混ぜ、均一にすることで、フィナンシェの生地を調製した。生地を冷蔵(5℃)にて1時間休ませた後、型に流し込み、オーブンにて、焼成温度、上火190℃、下火130℃で15分焼成することで、実施例26のフィナンシェを製造した。
【0100】
【表13】

【0101】
(マフィンケーキ、バターケーキ、シェルマドレーヌ、フィナンシェの評価)
実施例23のマフィンケーキ、実施例24のバターケーキ、実施例25のシェルマドレーヌ、実施例26のフィナンシェの生地調製の作業性、生地の耐熱性、焼成後嵩(焼成後の見栄え)、食感、食感の保存安定性を、バウムクーヘンの評価と同様の方法で評価した。評価結果を表14に示した。
【0102】
なお、生地調製の作業性については、マフィンケーキが生地の比重0.85、バターケーキが生地の比重0.90に達成するまでのミキシング所要時間とし、シェルマドレーヌ及びフィナンシェは生地が均一になるまでのミキシング所要時間とした。
【0103】
【表14】

【0104】
表14から分かるように、実施例1の油中水型乳化組成物を用いて製造した実施例23のマフィンケーキ、実施例24のバターケーキ、実施例25のシェルマドレーヌ、実施例26のフィナンシェは、全ての評価において満足のいく、優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記油脂A、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及び糖を含有する焼き菓子用油中水型乳化組成物であり、当該乳化組成物中における前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含量が0.1〜4質量%である焼き菓子用油中水型乳化組成物。
油脂A:5℃における固体脂含量30〜45%、15℃における固体脂含量10〜25%、25℃における固体脂含量3〜10%
【請求項2】
前記糖は、製造時に糖溶液の形態で配合されたものであることを特徴とする請求項1に記載の焼き菓子用油中水型乳化組成物。
【請求項3】
前記油脂Aを45〜85質量%、前記プロピレングリコール脂肪酸エステルを2〜12質量%及び前記糖を0.3〜40質量%含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の焼き菓子用油中水型乳化組成物。
【請求項4】
前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと前記糖溶液との配合比率が、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル:糖溶液=1:50〜1:1であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の焼き菓子用油中水型乳化組成物。
【請求項5】
前記油脂Aが、大豆油、ヨウ素価60〜70であるパーム油の分別油、パーム油及びハイエルシン菜種油の極度硬化油を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼き菓子用油中水型乳化組成物。
【請求項6】
焼き菓子が、ケーキであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の焼き菓子用油中水型乳化組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の焼き菓子用油中水型乳化組成物を製造するために用いられる焼き菓子用油脂組成物であって、下記油脂A、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有し、当該油脂組成物中における前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含量が0.1〜8質量%である焼き菓子用油脂組成物。
油脂A:5℃における固体脂含量30〜45%、15℃における固体脂含量10〜25%、25℃における固体脂含量3〜10%
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の焼き菓子用油中水型乳化組成物を含有することを特徴とする焼き菓子。
【請求項9】
焼き菓子が、ケーキであることを特徴とする請求項8に記載の焼き菓子。
【請求項10】
下記油脂A、プロピレングリコール脂肪酸エステル及び油中水型乳化組成物中における含量が0.1〜4質量%となる量のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有する油相と糖溶液とを乳化して得られる油中水型乳化組成物を材料として配合することを特徴とする焼き菓子の製造方法。
油脂A:5℃における固体脂含量30〜45%、15℃における固体脂含量10〜25%、25℃における固体脂含量3〜10%
【請求項11】
下記油脂A、プロピレングリコール脂肪酸エステル及び油中水型乳化組成物中における含量が0.1〜4質量%となる量のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有する油相と糖溶液とを乳化して得られる油中水型乳化組成物を材料として焼き菓子に配合することによる焼き菓子の食感を向上させる方法。
油脂A:5℃における固体脂含量30〜45%、15℃における固体脂含量10〜25%、25℃における固体脂含量3〜10%


【公開番号】特開2013−9692(P2013−9692A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−231451(P2012−231451)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2007−337023(P2007−337023)の分割
【原出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000227009)日清オイリオグループ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】