焼却飛灰の処理方法及び装置
この発明に係る焼却飛灰の処理方法においては、焼却炉1から排出された焼却飛灰がベルトフィルタ2上を移動しながら水洗脱塩され、直ちに固液分離がなされる。ベルトフィルタ2上に残留した固形物は、水分45〜60%の飛灰ケークとなって混練機6に供給され、コンクリートスランプの値が20cm以上となるまで混練された後、ピストンポンプ9により配管10内を図示しないセメント焼成用のキルンまで圧送される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、焼却設備等より排出される焼却飛灰の処理方法及び装置に係り、特に焼却飛灰をセメント製造用原料として利用する方法及び装置に関する。
【背景技術】
従来、可燃性の家庭ごみ廃棄物及び産業廃棄物は、廃棄物焼却施設のストーカ式焼却炉、流動床式焼却炉、溶融式焼却炉、ロータリーキルン、バッチ炉等において焼却され、焼却灰として廃棄物最終処分場に埋立て処分される。焼却灰のうち集塵機等で捕集される飛灰(ばいじん)は、塩素濃度が高く、重金属類及びダイオキシン類で過度に汚染されており、平成3年の廃棄物処理法の改正により特別管理一般廃棄物に指定されている。一方、焼却灰のうち焼却残渣として排出される主灰(炉底灰、炉下灰)の塩素濃度、重金属類濃度及びダイオキシン類濃度は、飛灰と比較するとはるかに少ない。しかしながら、廃棄物最終処分場の安全性を確保するため、最終処分される焼却灰中の重金属類の濃度やダイオキシン類の含有量が、法律で定められる所定値を超過するものについては、遮断型最終処分場に埋立て処分するか、溶融、セメント固化、ダイオキシン類の分解処理を行なった後、管理型最終処分場に埋立て処分することが義務づけられている。
ところで、廃棄物焼却施設より発生する焼却灰は、セメント原料として必要なCaO、SiO2、Al2O3及びFe2O3等を含んでいるため、セメント焼成用の原料として十分に再資源化することができる。加えて、セメント焼成工程のなかで原料は1400℃以上の高温に晒されるため、焼却灰中のダイオキシン類の分解が可能であるほか、重金属類はセメントクリンカ鉱物中に取り込まれて固定化することができる。
これらの理由により、近年、焼却灰を原料の一部に用いたセメント製造技術が確立され、焼却主灰及び焼却飛灰がセメントに再資源化されている。通常、焼却主灰は磁力選別による鉄分除去及びふるいによる異物除去のみを施してセメント原料とされる。一方、焼却飛灰にはNaCl等の形で塩素が高濃度で含まれており、キルンの安定操業及びセメントの品質に悪影響を及ぼさないように、水洗処理による塩素成分の除去の後にセメント原料化されている。
上述したように、特に焼却飛灰はダイオキシン類等の有害物質を多く含むことがあるが、セメント製造施設の配置上、焼却飛灰の水洗処理設備とセメント焼成設備は多くの場合互いに離れた場所に設置せざるを得ないため、各々の設備間をトラック等で輸送していた。従って、輸送途中で焼却飛灰が飛散することによる周辺環境への二次汚染を回避する方法が望まれている。
【発明の開示】
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、周辺環境への二次汚染を防止しつつ焼却飛灰をセメント原料として利用することができる焼却飛灰の処理方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明者は、飛灰ケークの物理的な性状を調査し、水分を含んだケークのまま密閉型のポンプを用いて配管内を圧送することにより、二次汚染の虞のない処理方法を考案するに至った。
ストーカ式焼却炉等の焼却設備から排出される飛灰には、通常、平均粒径30μm程度の細かい粒子と、平均粒径500μm程度の粗い粒子とが含まれている。この飛灰をスラリーとして輸送するために、適当な水分を添加して配管内を圧送しようとすると、配管中で粗い粒子が沈降分離して配管詰まりを起こす虞があった。
そこで、この発明においては、水洗脱塩後の飛灰ケークの水分量を調整した状態で飛灰ケークの流動性を高めることにより、粗い粒子が沈降分離することを防止した上で配管内へ圧送するようにした。
この発明に係る焼却飛灰の処理方法は、焼却施設から排出された焼却飛灰を水洗して脱塩し、脱塩した後の飛灰ケークを水分45〜60%に調整し、コンクリートスランプの値が20cm以上となった後に飛灰ケークを密閉型のポンプにより配管内へ圧送する方法である。
なお、水分45〜60%に調整された飛灰ケークは、混練することにより、あるいはタンク内で撹拌貯蔵することにより、コンクリートスランプの値を20cm以上とすることができる。
また、飛灰ケークの水分を45〜60%に調整する際に増粘剤を添加してもよい。
密閉型のポンプにより配管を介して飛灰ケークをセメント焼成用のキルンへ圧送することができる。
また、この発明に係る焼却飛灰の処理装置は、焼却施設から排出された焼却飛灰を水洗脱塩して水分45〜60%の飛灰ケークを形成する水洗手段と、水洗手段で形成された飛灰ケークの流動性をコンクリートスランプの値が20cm以上となるように調整する流動性調整手段と、流動性調整手段で流動性が調整された飛灰ケークを配管内へ圧送する密閉型のポンプとを備えたものである。
なお、流動性調整手段としては、飛灰ケークを混練する混練機、あるいは飛灰ケークを撹拌貯蔵するタンクを使用することができる。
また、水洗手段としては、ベルトフィルタ、フィルタプレス、遠心分離機、ドラムフィルタ等の固液分離装置を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、この発明の実施の形態に係る焼却飛灰の処理方法の流れを概略的に示すフロー図、
図2は、他の実施の形態に係る焼却飛灰の処理方法の流れを概略的に示すフロー図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1にこの発明の実施の形態に係る焼却飛灰の処理方法の流れを概略的に示す。廃棄物焼却施設の焼却炉1から排出されてスラリーとされた焼却飛灰を固液分離するためのベルトフィルタ2が配設され、ベルトフィルタ2の直上に散水のためのスプレーノズル3が配置されている。ベルトフィルタ2の集水皿4には、固液分離後の水を浄化処理する水処理装置5が接続されている。また、ベルトフィルタ2の出口端には混練機6が配置され、混練機6に配管7及びホースポンプ8を介して密閉型のピストンポンプ9が接続されている。さらに、ピストンポンプ9に配管10を介して図示しないセメント焼成用のキルンが接続されている。
焼却炉1から排出された焼却飛灰は、図示しない溶解槽で温水中でスラリーとされてベルトフィルタ2に供給され、上方のスプレーノズル3から散水されると共に下方から水分が真空吸引されつつベルトフィルタ2上を出口側へと移動する。すなわち、焼却飛灰はベルトフィルタ2上を移動しながら水洗脱塩され、直ちに固液分離がなされる。固液分離後の塩素成分が溶解した水は、ベルトフィルタ2の集水皿4に集められ、さらに水処理装置5へ送られ、ここで重金属類に対して適切な浄化処理がなされた後に排水される。
一方、塩素成分が除去されてベルトフィルタ2上に残留した固形物は、水分を含んだ飛灰ケークとなってベルトフィルタ2から排出される。このとき、飛灰ケークの水分が45〜60%となるように、ベルトフィルタ2の搬送速度、吸引の真空度、スプレーノズル3からの散水の流量等が調整される。なお、飛灰中の平均粒径500μm程度の粗い粒子の含有量が多い場合には、ベルトフィルタ2から排出された飛灰ケークに水を添加して、水分45〜60%とすることもできる。
このようにして、水分45〜60%に調整された飛灰ケークは混練機6に供給され、コンクリートスランプの値が20cm以上となるまで混練される。ここで、コンクリートスランプの値は、日本工業規格JIS A 1101「コンクリートのスランプ試験方法」に準拠した試験により測定されるものとする。混練機6としては、ニーダーや2軸式ミキサー等の混練度の高いものを採用することが好ましい。
混練機6において流動性が調整された飛灰ケークは、ホースポンプ8により配管7内をピストンポンプ9へと送られ、さらにピストンポンプ9により配管10内を図示しないセメント焼成用のキルンまで圧送される。これにより、飛灰ケークがキルンに安定供給され、セメントの製造が行われる。
なお、ベルトフィルタ2において水分45〜60%の飛灰ケークを形成する際に、飛灰に増粘剤を添加すれば、飛灰から平均粒径500μm程度の粗い粒子が分離することを効果的に防止することができる。増粘剤は、通常、グラウト(セメント液注入)用、水中不分離性コンクリート用、高流動コンクリート用等に用いられるもので、具体的には、1)メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系、2)ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ等のアクリル系、3)ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー、4)カードラン、ウェランガム等の多糖類の使用が可能である。また、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ微粉末、石灰石微粉末等の無機系微粉末も増粘剤として使用することもできる。
また、ベルトフィルタ2の代わりに、フィルタプレス等を用いて固液分離を行うこともできる。
飛灰ケークを圧送する密閉型のポンプとしては、ピストンポンプ9の他、チューブ式、ロータ型あるいはダイヤフラム式のポンプ等を用いることもできる。
さらに、ホースポンプ8は、混練機6からピストンポンプ9へ飛灰ケークを送り込むためのものであり、混練機6とピストンポンプ9の位置関係によっては、ホースポンプ8を省略し、ピストンポンプ9のみで混練機6からキルンへ飛灰ケークを圧送することができる。
図2に示されるように、混練機6の代わりにタンク11をベルトフィルタ2の出口端に配置し、水分45〜60%に調整された飛灰ケークをタンク11内で撹拌貯蔵することにより、飛灰ケークの流動性をコンクリートスランプの値が20cm以上となるように調整することも可能である。
以上説明したように、この発明によれば、周辺環境への二次汚染を防止しつつ焼却飛灰を配管内へ圧送し、セメント原料として利用することができる。飛灰ケークを水分45〜60%に調整し、コンクリートスランプの値が20cm以上となった後に飛灰ケークを圧送するので、配管詰まりが防止されると共に不必要に多量の水分を添加することによる熱エネルギーロスを最小限に抑えることが可能となる。
【図1】
【図2】
【技術分野】
この発明は、焼却設備等より排出される焼却飛灰の処理方法及び装置に係り、特に焼却飛灰をセメント製造用原料として利用する方法及び装置に関する。
【背景技術】
従来、可燃性の家庭ごみ廃棄物及び産業廃棄物は、廃棄物焼却施設のストーカ式焼却炉、流動床式焼却炉、溶融式焼却炉、ロータリーキルン、バッチ炉等において焼却され、焼却灰として廃棄物最終処分場に埋立て処分される。焼却灰のうち集塵機等で捕集される飛灰(ばいじん)は、塩素濃度が高く、重金属類及びダイオキシン類で過度に汚染されており、平成3年の廃棄物処理法の改正により特別管理一般廃棄物に指定されている。一方、焼却灰のうち焼却残渣として排出される主灰(炉底灰、炉下灰)の塩素濃度、重金属類濃度及びダイオキシン類濃度は、飛灰と比較するとはるかに少ない。しかしながら、廃棄物最終処分場の安全性を確保するため、最終処分される焼却灰中の重金属類の濃度やダイオキシン類の含有量が、法律で定められる所定値を超過するものについては、遮断型最終処分場に埋立て処分するか、溶融、セメント固化、ダイオキシン類の分解処理を行なった後、管理型最終処分場に埋立て処分することが義務づけられている。
ところで、廃棄物焼却施設より発生する焼却灰は、セメント原料として必要なCaO、SiO2、Al2O3及びFe2O3等を含んでいるため、セメント焼成用の原料として十分に再資源化することができる。加えて、セメント焼成工程のなかで原料は1400℃以上の高温に晒されるため、焼却灰中のダイオキシン類の分解が可能であるほか、重金属類はセメントクリンカ鉱物中に取り込まれて固定化することができる。
これらの理由により、近年、焼却灰を原料の一部に用いたセメント製造技術が確立され、焼却主灰及び焼却飛灰がセメントに再資源化されている。通常、焼却主灰は磁力選別による鉄分除去及びふるいによる異物除去のみを施してセメント原料とされる。一方、焼却飛灰にはNaCl等の形で塩素が高濃度で含まれており、キルンの安定操業及びセメントの品質に悪影響を及ぼさないように、水洗処理による塩素成分の除去の後にセメント原料化されている。
上述したように、特に焼却飛灰はダイオキシン類等の有害物質を多く含むことがあるが、セメント製造施設の配置上、焼却飛灰の水洗処理設備とセメント焼成設備は多くの場合互いに離れた場所に設置せざるを得ないため、各々の設備間をトラック等で輸送していた。従って、輸送途中で焼却飛灰が飛散することによる周辺環境への二次汚染を回避する方法が望まれている。
【発明の開示】
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、周辺環境への二次汚染を防止しつつ焼却飛灰をセメント原料として利用することができる焼却飛灰の処理方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明者は、飛灰ケークの物理的な性状を調査し、水分を含んだケークのまま密閉型のポンプを用いて配管内を圧送することにより、二次汚染の虞のない処理方法を考案するに至った。
ストーカ式焼却炉等の焼却設備から排出される飛灰には、通常、平均粒径30μm程度の細かい粒子と、平均粒径500μm程度の粗い粒子とが含まれている。この飛灰をスラリーとして輸送するために、適当な水分を添加して配管内を圧送しようとすると、配管中で粗い粒子が沈降分離して配管詰まりを起こす虞があった。
そこで、この発明においては、水洗脱塩後の飛灰ケークの水分量を調整した状態で飛灰ケークの流動性を高めることにより、粗い粒子が沈降分離することを防止した上で配管内へ圧送するようにした。
この発明に係る焼却飛灰の処理方法は、焼却施設から排出された焼却飛灰を水洗して脱塩し、脱塩した後の飛灰ケークを水分45〜60%に調整し、コンクリートスランプの値が20cm以上となった後に飛灰ケークを密閉型のポンプにより配管内へ圧送する方法である。
なお、水分45〜60%に調整された飛灰ケークは、混練することにより、あるいはタンク内で撹拌貯蔵することにより、コンクリートスランプの値を20cm以上とすることができる。
また、飛灰ケークの水分を45〜60%に調整する際に増粘剤を添加してもよい。
密閉型のポンプにより配管を介して飛灰ケークをセメント焼成用のキルンへ圧送することができる。
また、この発明に係る焼却飛灰の処理装置は、焼却施設から排出された焼却飛灰を水洗脱塩して水分45〜60%の飛灰ケークを形成する水洗手段と、水洗手段で形成された飛灰ケークの流動性をコンクリートスランプの値が20cm以上となるように調整する流動性調整手段と、流動性調整手段で流動性が調整された飛灰ケークを配管内へ圧送する密閉型のポンプとを備えたものである。
なお、流動性調整手段としては、飛灰ケークを混練する混練機、あるいは飛灰ケークを撹拌貯蔵するタンクを使用することができる。
また、水洗手段としては、ベルトフィルタ、フィルタプレス、遠心分離機、ドラムフィルタ等の固液分離装置を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、この発明の実施の形態に係る焼却飛灰の処理方法の流れを概略的に示すフロー図、
図2は、他の実施の形態に係る焼却飛灰の処理方法の流れを概略的に示すフロー図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1にこの発明の実施の形態に係る焼却飛灰の処理方法の流れを概略的に示す。廃棄物焼却施設の焼却炉1から排出されてスラリーとされた焼却飛灰を固液分離するためのベルトフィルタ2が配設され、ベルトフィルタ2の直上に散水のためのスプレーノズル3が配置されている。ベルトフィルタ2の集水皿4には、固液分離後の水を浄化処理する水処理装置5が接続されている。また、ベルトフィルタ2の出口端には混練機6が配置され、混練機6に配管7及びホースポンプ8を介して密閉型のピストンポンプ9が接続されている。さらに、ピストンポンプ9に配管10を介して図示しないセメント焼成用のキルンが接続されている。
焼却炉1から排出された焼却飛灰は、図示しない溶解槽で温水中でスラリーとされてベルトフィルタ2に供給され、上方のスプレーノズル3から散水されると共に下方から水分が真空吸引されつつベルトフィルタ2上を出口側へと移動する。すなわち、焼却飛灰はベルトフィルタ2上を移動しながら水洗脱塩され、直ちに固液分離がなされる。固液分離後の塩素成分が溶解した水は、ベルトフィルタ2の集水皿4に集められ、さらに水処理装置5へ送られ、ここで重金属類に対して適切な浄化処理がなされた後に排水される。
一方、塩素成分が除去されてベルトフィルタ2上に残留した固形物は、水分を含んだ飛灰ケークとなってベルトフィルタ2から排出される。このとき、飛灰ケークの水分が45〜60%となるように、ベルトフィルタ2の搬送速度、吸引の真空度、スプレーノズル3からの散水の流量等が調整される。なお、飛灰中の平均粒径500μm程度の粗い粒子の含有量が多い場合には、ベルトフィルタ2から排出された飛灰ケークに水を添加して、水分45〜60%とすることもできる。
このようにして、水分45〜60%に調整された飛灰ケークは混練機6に供給され、コンクリートスランプの値が20cm以上となるまで混練される。ここで、コンクリートスランプの値は、日本工業規格JIS A 1101「コンクリートのスランプ試験方法」に準拠した試験により測定されるものとする。混練機6としては、ニーダーや2軸式ミキサー等の混練度の高いものを採用することが好ましい。
混練機6において流動性が調整された飛灰ケークは、ホースポンプ8により配管7内をピストンポンプ9へと送られ、さらにピストンポンプ9により配管10内を図示しないセメント焼成用のキルンまで圧送される。これにより、飛灰ケークがキルンに安定供給され、セメントの製造が行われる。
なお、ベルトフィルタ2において水分45〜60%の飛灰ケークを形成する際に、飛灰に増粘剤を添加すれば、飛灰から平均粒径500μm程度の粗い粒子が分離することを効果的に防止することができる。増粘剤は、通常、グラウト(セメント液注入)用、水中不分離性コンクリート用、高流動コンクリート用等に用いられるもので、具体的には、1)メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系、2)ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ等のアクリル系、3)ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー、4)カードラン、ウェランガム等の多糖類の使用が可能である。また、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ微粉末、石灰石微粉末等の無機系微粉末も増粘剤として使用することもできる。
また、ベルトフィルタ2の代わりに、フィルタプレス等を用いて固液分離を行うこともできる。
飛灰ケークを圧送する密閉型のポンプとしては、ピストンポンプ9の他、チューブ式、ロータ型あるいはダイヤフラム式のポンプ等を用いることもできる。
さらに、ホースポンプ8は、混練機6からピストンポンプ9へ飛灰ケークを送り込むためのものであり、混練機6とピストンポンプ9の位置関係によっては、ホースポンプ8を省略し、ピストンポンプ9のみで混練機6からキルンへ飛灰ケークを圧送することができる。
図2に示されるように、混練機6の代わりにタンク11をベルトフィルタ2の出口端に配置し、水分45〜60%に調整された飛灰ケークをタンク11内で撹拌貯蔵することにより、飛灰ケークの流動性をコンクリートスランプの値が20cm以上となるように調整することも可能である。
以上説明したように、この発明によれば、周辺環境への二次汚染を防止しつつ焼却飛灰を配管内へ圧送し、セメント原料として利用することができる。飛灰ケークを水分45〜60%に調整し、コンクリートスランプの値が20cm以上となった後に飛灰ケークを圧送するので、配管詰まりが防止されると共に不必要に多量の水分を添加することによる熱エネルギーロスを最小限に抑えることが可能となる。
【図1】
【図2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却施設から排出された焼却飛灰を水洗して脱塩し、
脱塩した後の飛灰ケークを水分45〜60%に調整し、
コンクリートスランプの値が20cm以上となった後に飛灰ケークを密閉型のポンプにより配管内へ圧送する
ことを特徴とする焼却飛灰の処理方法。
【請求項2】
水分45〜60%に調整された飛灰ケークを混練することによりコンクリートスランプの値を20cm以上とする請求項1に記載の焼却飛灰の処理方法。
【請求項3】
水分45〜60%に調整された飛灰ケークをタンク内で撹拌貯蔵することによりコンクリートスランプの値を20cm以上とする請求項1に記載の焼却飛灰の処理方法。
【請求項4】
飛灰ケークの水分を45〜60%に調整する際に増粘剤を添加する請求項1に記載の焼却飛灰の処理方法。
【請求項5】
密閉型のポンプにより配管を介して飛灰ケークをセメント焼成用のキルンへ圧送する請求項1に記載の焼却飛灰の処理方法。
【請求項6】
焼却施設から排出された焼却飛灰を水洗脱塩して水分45〜60%の飛灰ケークを形成する水洗手段と、
前記水洗手段で形成された飛灰ケークの流動性をコンクリートスランプの値が20cm以上となるように調整する流動性調整手段と、
前記流動性調整手段で流動性が調整された飛灰ケークを配管内へ圧送する密閉型のポンプと
を備えたことを特徴とする焼却飛灰の処理装置。
【請求項7】
前記流動性調整手段は、飛灰ケークを混練する混練機である請求項6に記載の焼却飛灰の処理装置。
【請求項8】
前記流動性調整手段は、飛灰ケークを撹拌貯蔵するタンクである請求項6に記載の焼却飛灰の処理装置。
【請求項9】
前記水洗手段は、ベルトフィルタ、フィルタプレス、遠心分離機及びドラムフィルタのうちのいずれかを含む請求項6に記載の焼却飛灰の処理装置。
【請求項1】
焼却施設から排出された焼却飛灰を水洗して脱塩し、
脱塩した後の飛灰ケークを水分45〜60%に調整し、
コンクリートスランプの値が20cm以上となった後に飛灰ケークを密閉型のポンプにより配管内へ圧送する
ことを特徴とする焼却飛灰の処理方法。
【請求項2】
水分45〜60%に調整された飛灰ケークを混練することによりコンクリートスランプの値を20cm以上とする請求項1に記載の焼却飛灰の処理方法。
【請求項3】
水分45〜60%に調整された飛灰ケークをタンク内で撹拌貯蔵することによりコンクリートスランプの値を20cm以上とする請求項1に記載の焼却飛灰の処理方法。
【請求項4】
飛灰ケークの水分を45〜60%に調整する際に増粘剤を添加する請求項1に記載の焼却飛灰の処理方法。
【請求項5】
密閉型のポンプにより配管を介して飛灰ケークをセメント焼成用のキルンへ圧送する請求項1に記載の焼却飛灰の処理方法。
【請求項6】
焼却施設から排出された焼却飛灰を水洗脱塩して水分45〜60%の飛灰ケークを形成する水洗手段と、
前記水洗手段で形成された飛灰ケークの流動性をコンクリートスランプの値が20cm以上となるように調整する流動性調整手段と、
前記流動性調整手段で流動性が調整された飛灰ケークを配管内へ圧送する密閉型のポンプと
を備えたことを特徴とする焼却飛灰の処理装置。
【請求項7】
前記流動性調整手段は、飛灰ケークを混練する混練機である請求項6に記載の焼却飛灰の処理装置。
【請求項8】
前記流動性調整手段は、飛灰ケークを撹拌貯蔵するタンクである請求項6に記載の焼却飛灰の処理装置。
【請求項9】
前記水洗手段は、ベルトフィルタ、フィルタプレス、遠心分離機及びドラムフィルタのうちのいずれかを含む請求項6に記載の焼却飛灰の処理装置。
【国際公開番号】WO2005/025768
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【発行日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508911(P2005−508911)
【国際出願番号】PCT/JP2003/011581
【国際出願日】平成15年9月10日(2003.9.10)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【出願人】(000185961)太平洋エンジニアリング株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【発行日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2003/011581
【国際出願日】平成15年9月10日(2003.9.10)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【出願人】(000185961)太平洋エンジニアリング株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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