説明

焼結鉱の冷却方法、焼結鉱の選別方法、および焼結鉱の選別装置

【課題】焼成された焼結鉱からより高い温度の高温焼結鉱を選別して冷却することによって、冷却時に回収された熱をより有効に利用する。
【解決手段】磁化率が変化する温度帯の焼結鉱1の冷却方法は、焼結機10で焼成された焼結鉱を搬送手段21を用いて搬送する工程と、搬送手段21の端部21eに、または端部21eに隣接して設けられた磁力発生部22を用いて端部21eから落下する焼結鉱1に磁力を加えることによって、焼結鉱1から選別温度以上の高温焼結鉱2を選別する工程と、選別された高温焼結鉱2を第1の竪型冷却装置30に装入する工程と、第1の竪型冷却装置30を用いて高温焼結鉱2に第1の冷却ガス4を通気する工程と、高温焼結鉱2との熱交換によって昇温した第1の冷却ガス4から熱回収する工程とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結鉱の冷却方法、焼結鉱の選別方法、および焼結鉱の選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼の主要原料である鉄鉱石のうち、粉状の粉鉱石は、そのまま高炉に投入すると高炉内のガスの流れを阻害するため、焼成して焼結鉱にしてから高炉に投入される。粉鉱石に石灰粉やコークス粉を混合した原料を焼成して焼結鉱を生成する焼結機としては、例えばドワイトロイド式焼結機が知られている。焼結鉱は、焼結機で焼成された後、高炉までの搬送手段であるコンベアなどの耐用温度以下まで冷却される。焼成後の焼結鉱は莫大な熱量を有しているため、この冷却時に放出される熱を回収して有効に利用することが、省エネルギーの観点から望ましい。
【0003】
しかしながら、従来用いられてきた冷却装置の多くは、水平方向に移動する焼結鉱に冷却ガスを通気して冷却する水平移動型のものであった。かかる水平移動型冷却装置では、薄く積層された焼結鉱に冷却ガスが通気されるため、通気される冷却ガスの量が多くなり、焼結鉱との熱交換による冷却ガスの昇温幅は小さい。それゆえ、冷却ガスから熱を回収しても有効利用することが難しく、熱回収がされないことも多かった。
【0004】
そこで、冷却ガスから熱を回収して有効利用することが可能な焼結鉱の冷却装置として、竪型冷却装置が開発されている。竪型冷却装置では、焼結鉱が装置の上部から装入されて装置内に堆積し、冷却ガスが装置の下部から上部へと通気される。かかる竪型冷却装置では、厚く堆積した焼結鉱に冷却ガスが通気されるため、通気される冷却ガスの量は比較的少なく、その分、焼結鉱との熱交換による冷却ガスの昇温幅が大きい。それゆえ、冷却ガスから熱を回収して有効利用することが比較的容易である。かかる竪型冷却装置については、例えば特許文献1〜3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭53−71601号公報
【特許文献2】特開昭53−125908号公報
【特許文献3】特開昭55−119138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えばドワイトロイド式焼結機が用いられる場合、焼結機で焼成された焼結鉱は、クラッシャで破砕されて冷却装置に装入される。クラッシャで破砕された焼結鉱の平均温度は約500〜600℃である。破砕後の焼結鉱を、特許文献1〜3に記載のような竪型冷却装置で冷却した場合、冷却装置から排出される冷却ガスの温度は、装入された焼結鉱の温度を上回ることはなく、高くても約500〜600℃である。この温度は、水平移動型冷却装置の場合に比べると高いが、熱を回収して有効利用するために十分に高い温度とはいえず、回収される熱量は、焼成時に与えられた熱量に比較すると依然として少ない。
【0007】
ここで、焼結鉱全体の平均温度ではなく、個々の焼結鉱の温度に着目する。例えばドワイトロイド式焼結機が用いられる場合、焼結鉱全体の平均温度は上記の通りであるが、個々の焼結鉱の温度は、高いものでは約1000℃に達し、低いものでは約200℃以下になる。それゆえ、より高い温度の焼結鉱を選別して竪型冷却装置に装入することが可能になれば、冷却装置から排出される冷却ガスの温度を上記の平均温度よりも高くすることができ、冷却ガスから回収した熱の有効利用がさらに容易になる。
【0008】
しかしながら、より高い温度の焼結鉱を選別することは、容易ではない。例えば、ドワイトロイド式焼結機では、焼結反応が原料層の上層から下層へと順次進行するため、焼結機からの排出時には上層の焼結鉱が比較的低温になり、下層の焼結鉱が比較的高温になる。このように、焼結鉱の温度差は、主に成分以外の要因によって生じる。成分が異なる物質を磁性域と非磁性域との差によって選別する方法であれば、例えば特表平11−504851号公報に記載されているような磁力選別が知られているが、温度が異なる同じ成分の物質の選別の方法は知られていない。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、焼成された焼結鉱からより高い温度の高温焼結鉱を選別して冷却することによって、冷却時に回収された熱をより有効に利用することを可能にする、新規かつ改良された焼結鉱の冷却方法、焼結鉱の選別方法、および焼結鉱の選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討したところ、焼結鉱は酸化鉄としてヘマタイト、マグネタイト、およびウスタイトを含む混合物であるが、温度によって焼結鉱の磁性に差異があることがわかり、さらに、温度による透磁率の差によって焼結鉱を磁力で選別できることを初めて見出して、本発明を為すに至った。
【0011】
すなわち、本発明のある観点によれば、磁化率が変化する温度帯の焼結鉱の冷却方法であって、焼結機で焼成された焼結鉱を搬送手段を用いて搬送する工程と、搬送手段の端部に、または該端部に隣接して設けられた磁力発生部を用いて該端部から落下する焼結鉱に磁力を加えることによって、焼結鉱から選別温度以上の高温焼結鉱を選別する工程と、選別された高温焼結鉱を第1の竪型冷却装置に装入する工程と、第1の竪型冷却装置を用いて高温焼結鉱に第1の冷却ガスを通気する工程と、高温焼結鉱との熱交換によって昇温した第1の冷却ガスから熱回収する工程とを含むことを特徴とする、焼結鉱の冷却方法が提供される。
【0012】
上記冷却方法において、磁力発生部による磁力の大きさは、選別温度に応じて設定されてもよい。
【0013】
上記冷却方法において、温度が選別温度である焼結鉱が端部から落下する際の落下軌跡上に設けられた分離部材が端部から落下する焼結鉱を空間的に分離することによって、高温焼結鉱を焼結鉱から選別してもよい。
【0014】
上記冷却方法において、分離部材の位置は、選別温度に応じて設定されてもよい。
【0015】
高温焼結鉱に通気された第1の冷却ガスは、第1の竪型冷却装置の高温焼結鉱の堆積面よりも下に設けられた第1の排気ダクトから排出され、第1の竪型冷却装置の第1の排気ダクトよりも上の部分を高温焼結鉱の復熱帯として用いてもよい。
【0016】
上記冷却方法は、焼結鉱に磁力を加えることによって、焼結鉱から選別温度未満の低温焼結鉱を選別する工程と、選別された低温焼結鉱を第2の竪型冷却装置に装入する工程と、第2の竪型冷却装置を用いて低温焼結鉱に第2の冷却ガスを通気する工程と、低温焼結鉱との熱交換によって昇温した第2の冷却ガスを第1の冷却ガスとして第1の竪型冷却装置に供給する工程とをさらに含んでもよい。
【0017】
低温焼結鉱に通気された第2の冷却ガスは、第2の竪型冷却装置の低温焼結鉱の堆積面よりも下に設けられた第2の排気ダクトから排出され、第2の竪型冷却装置の第2の排気ダクトよりも上の部分を低温焼結鉱の復熱帯として用いてもよい。
【0018】
上記冷却方法において、選別温度は、400〜550℃であってもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、磁化率が変化する温度帯の焼結鉱の選別方法であって、焼結機で焼成された焼結鉱を搬送手段を用いて搬送する工程と、搬送手段の端部に、または該端部に隣接して設けられた磁力発生部を用いて該端部から落下する焼結鉱に磁力を加えることによって、焼結鉱から選別温度以上の高温焼結鉱を選別する工程とを含むことを特徴とする、焼結鉱の選別方法が提供される。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、磁化率が変化する温度帯の焼結鉱の選別装置であって、焼結機で焼成された焼結鉱を搬送する搬送手段と、搬送手段の端部に、または該端部に隣接して設けられ、該端部から落下する焼結鉱に磁力を加える磁力発生部とを備え、磁力によって、焼結鉱から選別温度以上の高温焼結鉱を選別することを特徴とする、焼結鉱の選別装置が提供される。
【0021】
上記構成によれば、焼結鉱の温度による磁性の変化を利用して、焼成された焼結鉱から選別温度以上の高温焼結鉱を選別することができる。選別温度は、焼結鉱に加える磁力の大きさや、磁力を加えられながら落下する焼結鉱を空間的に分離する分離部材の位置を調整することによって変更することができる。また、低温焼結鉱の冷却に用いられた後の冷却ガスを高温焼結鉱の冷却に用いることによって、高温焼結鉱の冷却に用いられた後の冷却ガスの温度をさらに高くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、焼成された焼結鉱からより高い温度の高温焼結鉱を選別して冷却することによって、冷却時に回収された熱をより有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る焼結鉱の冷却設備の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における焼結鉱の選別の原理について説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における焼結鉱の選別の原理についてさらに説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態において磁力発生部に永久磁石を用いた場合の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態において磁力発生部に電磁石を用いた場合の構成を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態において分離部材が可動式である場合の構成を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る焼結鉱の冷却設備の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
(第1の実施形態)
まず、図1〜6を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る焼結鉱の冷却設備の構成を示す図である。図1には、焼結鉱1を焼成する焼結機10と、焼結鉱1を選別する選別装置20と、焼結鉱1を冷却する冷却装置30と、焼結鉱1の冷却時に放出された熱を回収する熱回収装置40とを含む設備が示されている。
【0027】
焼結機10は、ドワイトロイド式焼結機である。焼結機10では、粉鉱石に石灰粉およびコークス粉を混合した原料がパレット11上に積層され、水平方向に移動しながら上層から下層へと順次焼結反応が進行して焼結鉱1が焼成される。焼成が完了し、パレット11の端部に到達した焼結鉱1は、該端部から落下し、クラッシャ12によって破砕される。クラッシャ12での破砕によって、焼結鉱1は、粒径が数mm〜数十cm程度の粒状になる。破砕された粒状の焼結鉱1は、選別装置20へと送られる。
【0028】
上述のように、焼成後の焼結鉱1には、焼成後時間が経って冷えた部分と、焼成直後でまだ高温の部分とがある。それゆえ、クラッシャ12で破砕された後の粒状の焼結鉱1の温度は、ある温度帯で分散している。具体的には、焼結鉱1の温度は、高いものでは約1000℃に達し、低いものでは約200℃以下になり、平均すると約500〜600℃である。後述するように、この焼結鉱1の温度帯は、磁性が強磁性と常磁性との間で変化する温度帯である。
【0029】
選別装置20は、シュート21と、磁力発生部22と、分離部材23とを含む。シュート21は、焼結機10で焼成された焼結鉱1を搬送する搬送手段である。搬送手段としては、コンベアなどが代わりに用いられてもよい。焼結鉱1は、シュート21上を滑降し、シュート21の端部21eから落下する。端部21eには磁力発生部22が設けられており、落下する焼結鉱1に磁力を加える。この磁力によって、落下する焼結鉱1の軌跡は、磁力がない場合の軌跡に比べて変化した軌跡になる。後述するように、焼結鉱1の磁性は温度によって異なるため、磁力発生部22から受ける磁力の大きさも焼結鉱1の温度によって異なる。従って、焼結鉱1の落下軌跡の変化も、焼結鉱1の温度によって異なる。それゆえ、端部21eから落下する焼結鉱1を空間的に分離することによって、焼結鉱1から選別温度以上の高温焼結鉱2と選別温度未満の低温焼結鉱3とを選別することが可能である。焼結鉱1の空間的な分離の精度を向上させるために、所定の選別温度に対応する落下軌跡上に分離部材23が設けられてもよい。
【0030】
冷却装置30は、竪型冷却装置である。冷却装置30には、選別装置20で選別された高温焼結鉱2が装入される。高温焼結鉱2は、冷却装置30の上部に設けられた装入ホッパ31から装入され、シャフト32内に堆積して徐々に下降する。一方、高温焼結鉱2を冷却するための冷却ガス4は、冷却装置30の下部に設けられた吹込み口33から吹き込まれ、シャフト32内の高温焼結鉱2に通気される。シャフト32内では、下降する高温焼結鉱2と、上昇する冷却ガス4との間で熱が交換される。この熱交換によって、高温焼結鉱2は冷却され、冷却ガス4は昇温する。冷却された高温焼結鉱2は、排出ゲート34から排出され、低温焼結鉱3とともに、図示しない搬送手段によって次工程へと搬出される。一方、昇温した冷却ガス4は、冷却装置30の上部に設けられた排気ダクト35から排出される。
【0031】
なお、排気ダクト35は、高温焼結鉱2の堆積面よりも下のシャフト32に設けられてもよい。この場合、堆積した高温焼結鉱2のうち、排気ダクト35よりも上に位置する部分は復熱帯となり、復熱によって高温焼結鉱2の表面温度が上昇するため、排気ダクト35から排出される冷却ガス4の温度をさらに高くすることが可能になる。ここで、竪型冷却装置内の復熱帯の領域は、高温焼結鉱2における、高温の内部から冷却された表面側への熱拡散が十分に行われる時間を確保できる程度に適宜設定すればよい。なお、復熱帯は、広くし過ぎると冷却帯の領域を十分に確保することが難しくなるため、通常の場合、焼結鉱が充填されている領域の上部側1/10〜1/2の範囲内に設定すればよい。
【0032】
熱回収装置40では、冷却装置30の排気ダクト35から排出された冷却ガス4が、除塵装置41で除塵された後、ボイラ42に供給され、熱回収される。熱回収後の冷却ガス4は、送風ブロワ43に供給されて再び冷却装置30の吹込み口33に供給されるか、または脱硫装置44を経て煙突45から大気中に放出される。なお、熱回収装置40には、従来の熱回収装置として知られている各種の構成を適用することが可能である。ただし、従来の竪型冷却装置とともに設けられる熱回収装置に比べて、熱回収装置40では、冷却装置30から供給される冷却ガス4が高温であるため、ボイラ42等における熱回収の効率が向上している。
【0033】
以上で説明した焼結鉱の冷却設備では、焼結機10で焼成された焼結鉱1のうち、選別装置20が選別した高温焼結鉱2が冷却装置30に装入される。高温焼結鉱2は、所定の選別温度以上の焼結鉱1であるため、高温焼結鉱2の平均温度は、焼結鉱1の平均温度である約500〜600℃よりも高くなる。それゆえ、冷却装置30で高温焼結鉱2と熱交換し、熱回収装置40に供給される冷却ガス4の温度は、例えば600℃を上回る温度になりうる。結果として、熱回収装置40での熱回収の効率が向上する。
【0034】
(選別の原理)
図2は、本発明の第1の実施形態における焼結鉱の選別の原理について説明するための図である。図2には、焼結鉱1の温度と磁化率(−)との関係が示されている。
【0035】
図示されているように、常温では、焼結鉱1の磁化率は1に近い。これは、常温では焼結鉱1がほぼ強磁性体であることを示す。焼結鉱1の磁化率は、温度の上昇にともなって少しずつ減少し、温度300℃付近から大きく減少する。焼結鉱1の磁化率の温度に対する変化量は、温度400〜550℃で最も大きくなる。温度がさらに上昇すると、温度600℃付近で焼結鉱1の磁化率はほぼ0になり、それ以上の温度ではほとんど変化しない。これは、温度600℃以上では焼結鉱1がほぼ常磁性体であることを示す。
【0036】
上述したように、本実施形態に係る選別装置20に供給される焼結鉱1の温度は、高いものでは約1000℃、低いものでは約200℃以下である。温度200℃では焼結鉱1はほぼ強磁性体であり、温度1000℃では焼結鉱1はほぼ常磁性体である。つまり、選別装置20に供給される焼結鉱1の温度帯は、磁性が強磁性と常磁性との間で変化する温度帯である。
【0037】
上記の温度帯のうち、温度300〜600℃の範囲では、焼結鉱1の磁化率の温度に対する変化量が比較的大きいため、焼結鉱1が磁力発生部22から受ける磁力の大きさの温度に対する変化量も、比較的大きくなる。従って、この温度範囲に選別温度を設定すれば、選別温度以上の高温焼結鉱2と、選別温度未満の低温焼結鉱3との間で、シュート21の端部21eから落下するときの軌跡に比較的大きな差異が生じ、分離部材23などを用いて高温焼結鉱2と低温焼結鉱3とを空間的に分離することが可能になる。図では、かかる温度範囲が、選別可能温度範囲として示されている。
【0038】
また、上記の温度帯のうち、温度400〜550℃の範囲では、焼結鉱1の磁化率の温度に対する変化量が最も大きくなるため、焼結鉱1が磁力発生部22から受ける磁力の大きさの温度に対する変化量も、最も大きくなる。従って、この温度範囲に選別温度を設定すれば、高温焼結鉱2と低温焼結鉱3とを空間的により高い精度で分離することが可能になる。図では、かかる温度範囲が、選別推奨温度範囲として示されている。
【0039】
図3は、本発明の第1の実施形態における焼結鉱の選別の原理についてさらに説明するための図である。図3には、温度が異なる焼結鉱1a〜1dの落下軌跡の例が示されている。
【0040】
温度が異なる焼結鉱1の例として図示されている焼結鉱1a〜1dのうち、焼結鉱1aの温度は約600℃、焼結鉱1bの温度は約500℃、焼結鉱1cの温度は約400℃、焼結鉱1dの温度は約300℃である。図示された例において、選別温度は450℃に設定されているものとする。
【0041】
なお、図2を参照して説明したように、選別温度は、温度300〜600℃の範囲、好ましくは温度400〜550℃の範囲で、自由に設定することが可能である。選別温度の変更は、例えば磁力発生部22が焼結鉱1に加える磁力の大きさの変更や、分離部材23の位置の変更によって選別装置20に反映させることが可能である。このための磁力発生部22および分離部材23の構成については後述する。
【0042】
焼結鉱1aは、温度が約600℃であり、ほぼ常磁性に近い磁性を有する。従って、焼結鉱1aが磁力発生部22から受ける磁力の大きさは小さく、焼結鉱1aが端部21eから落下するときの軌跡は自由落下時の軌跡に近くなる。ここで、焼結鉱1aの運動を自由落下とみなすと、焼結鉱1aが端部21eから鉛直方向に高さHだけ落下するのに要する時間tは以下の式1によって求められる。なお、シュート21は鉛直方向に対して角度θだけ傾いており、端部21eから落下したときの焼結鉱1aの初速度は速度vであるものとし、重力加速度をgとする。
【0043】
【数1】

【0044】
また、時刻tにおける焼結鉱1aの端部21eからの水平方向変位Lは、以下の式2によって求められる。
【0045】
【数2】

【0046】
焼結鉱1aが高さHだけ落下したときの水平方向変位Lは、式1において高さH、角度θ、および速度vを与えて時間tを求め、このtを式2に代入して求められる。かかる水平方向変位Lの値と、選別温度とに基づいて、磁力発生部22が焼結鉱1に加える磁力の大きさ、または分離部材23の位置が決定されてもよい。
【0047】
焼結鉱1bは、温度が約500℃であり、強磁性と常磁性の中間の磁性を有する。それゆえ、焼結鉱1bが磁力発生部22から受ける磁力の大きさは、焼結鉱1aの場合よりも大きい。従って、焼結鉱1bが端部21eから落下するときの軌跡は、自由落下時の軌跡に比べて磁力発生部22側に引き寄せられた軌跡になる。
【0048】
焼結鉱1cは、温度が約400℃であり、強磁性と常磁性の中間で焼結鉱1bよりもさらに強い磁性を有する。それゆえ、焼結鉱1cが磁力発生部22から受ける磁力の大きさは、焼結鉱1bの場合よりもさらに大きい。従って、焼結鉱1cが端部21eから落下するときの軌跡は、焼結鉱1bの軌跡よりもさらに磁力発生部22側に引き寄せられた軌跡になる。
【0049】
焼結鉱1dは、温度が約300℃であり、ほぼ強磁性に近い磁性を有する。それゆえ、焼結鉱1dが磁力発生部22から受ける磁力の大きさは、焼結鉱1cよりもさらに大きい。従って、焼結鉱1dが端部21eから落下するときの軌跡は、磁力発生部22が設けられた端部21eに沿って回り込むような軌跡になる。
【0050】
以上で焼結鉱1a〜1dを例として説明したように、選別装置20において、シュート21の端部21eから落下する焼結鉱1の軌跡は、焼結鉱1の温度によって大きく変化する。それゆえに、選別装置20では、落下する焼結鉱1を空間的に分離することによって、焼結鉱1から高温焼結鉱2と低温焼結鉱3とを選別することが可能である。
【0051】
(粒径の影響について)
ここで、選別装置20における焼結鉱1の選別と、焼結鉱1の粒径との関係について説明する。焼結鉱1の粒径をrとすると、焼結鉱1の体積は粒径の3乗に比例するため、定数kを用いてkrと表せる。また、焼結鉱1の密度をρとすると、焼結鉱1の質量はρkrになる。
【0052】
シュート21の端部21eから落下する焼結鉱1は、上述のように初速度vを有する。このときの焼結鉱1の運動量は焼結鉱1の質量と初速度との積であり、ρkrと表せる。一方、落下後の焼結鉱1に作用する重力は、質量と重力加速度gとの積であり、ρkrgと表せる。また、落下後の焼結鉱1に作用する磁力は、焼結鉱1の体積に比例し、定数Mを用いてMkrと表せる。以上からわかるように、落下時の焼結鉱1の運動量と、落下後に焼結鉱1に作用する力とは、いずれも粒径rの3乗に比例する。従って、落下後の焼結鉱1の運動の変化は、粒径rには依存しない。それゆえ、選別装置20に供給される焼結鉱1の間では、粒径の違いによる選別結果の差異は生じない。
【0053】
ただし、端部21eにおける焼結鉱1の初速度vには、粒径による差が生じる。シュート21上では、比較的小粒径の焼結鉱1が下層に位置し、比較的大粒径の焼結鉱1が上層に位置する傾向がある。その結果、シュート21上では、下層に位置する小粒径の焼結鉱1よりも、上層に位置する大粒径の焼結鉱1の速度が大きくなる。従って、端部21eにおける初速度vは、大粒径の焼結鉱1の方が小粒径の焼結鉱1よりも大きくなる傾向がある。初速度vが大きいほど、同じ高さHを落下したときの水平方向変位Lは大きくなるため、大粒径の焼結鉱1は高温焼結鉱2側に入りやすくなり、小粒径の焼結鉱1は低温焼結鉱3側に入りやすくなる。
【0054】
しかしながら、上記の初速度vの差は、焼結鉱1の温度選別を阻害する要因にはならない。なぜならば、小粒径の焼結鉱1は、体積に対する表面積の比率が大粒径の焼結鉱1よりも大きく、従って温度が低下しやすいためである。つまり、小粒径の焼結鉱1は、シュート21を滑降する過程で温度が低下しやすいため、低温焼結鉱3に該当する可能性が高い。一方、大粒径の焼結鉱1は、シュート21を滑降する過程では温度が低下しにくいため、高温焼結鉱2に該当する可能性が高い。それゆえ、初速度vの差によって、高温焼結鉱2と低温焼結鉱3とが混交する可能性は小さい。
【0055】
なお、同様の要因として、空気抵抗の影響も考えられる。しかしながら、空気抵抗の影響は、重力や磁力などの他の要因の影響に比較すると小さい。また、単位表面積あたりの重量が小さく空気抵抗の影響をより受けやすい小粒径の焼結鉱1は、空気抵抗の影響で減速した場合、磁力選別によって低温焼結鉱3側に入りやすくなる。これは、上記の粒径による影響と同様の結果である。従って、空気抵抗の影響があったとしても、選別結果に影響を与える可能性は小さいといえる。
【0056】
(磁力発生部の構成)
次に、選別装置20の磁力発生部22の構成について、より詳しく説明する。磁力発生部22には、永久磁石または電磁石を用いることが可能である。以下では、それぞれの場合の磁力発生部22の構成について説明する。
【0057】
図4は、本発明の第1の実施形態において磁力発生部に永久磁石を用いた場合の構成を示す図である。磁力発生部22aは、永久磁石ユニット201a〜201fと、制御部205と、放射温度計206とを含む。
【0058】
永久磁石ユニット201は、モータ202と、回転シャフト203と、永久磁石204とを含む。永久磁石ユニット201では、モータ202の駆動によって回転シャフト203が回転する。回転シャフト203の少なくとも一部には、送りねじが形成される。永久磁石204にはねじ穴が設けられ、回転シャフト203の送りねじに螺合される。かかる構成によって、モータ202を駆動させて永久磁石204を回転シャフト203に沿って進退させ、永久磁石204から焼結鉱1までの距離を変化させることができる。永久磁石204は、焼結鉱1を含む領域に磁界を発生させ、焼結鉱1に磁力を加える。永久磁石204から焼結鉱1に加えられる磁力は、永久磁石204から焼結鉱1までの距離が短いほど大きくなる。
【0059】
制御部205は、コンピュータ、または制御回路などであり、永久磁石ユニット201a〜201fに含まれるモータ202a〜202fの駆動を制御する。制御部205は、例えば設定された選別温度に応じてモータ202a〜202fの駆動を制御し、永久磁石204a〜204dから焼結鉱1までの距離を変化させることによって、焼結鉱1に加えられる磁力の大きさを調整する。制御部205は、放射温度計206の測定結果に基づいて選別温度を自動的に設定してもよい。このように、磁力発生部22aでは、永久磁石ユニット201a〜201fを用いて、自動的にまたは手動で設定された選別温度に応じた大きさの磁力を焼結鉱1に加えることができる。
【0060】
なお、図示された例では、永久磁石ユニット201a〜201fが示されているが、永久磁石ユニット201の数はこれに限られない。
【0061】
図5は、本発明の第1の実施形態において磁力発生部に電磁石を用いた場合の構成を示す図である。磁力発生部22bは、電磁石207a〜207dと、電源208と、制御部209と、放射温度計210とを含む。
【0062】
電磁石207は、鉄芯とコイルとからなり、電源208から電流を供給されることによって、焼結鉱1を含む領域に磁界を発生させ、焼結鉱1に磁力を加える。電磁石207が発生させる磁界の強さは、電磁石207に供給される電流に比例する。従って、電磁石207から焼結鉱1に加えられる磁力の大きさは、電磁石207に供給される電流が大きいほど大きくなる。
【0063】
制御部209は、コンピュータ、または制御回路などであり、電源208が電磁石207a〜207dに供給する電流の大きさを制御する。制御部209は、例えば設定された選別温度に応じた大きさの電流を電磁石207a〜207dに供給するように電源208を制御することによって、焼結鉱1に加えられる磁力を調整する。制御部209は、放射温度計210の測定結果に基づいて選別温度を自動的に設定してもよい。このように、磁力発生部22bでは、電磁石207a〜207dを用いて、自動的にまたは手動で設定された選別温度に応じた磁力を焼結鉱1に加えることができる。
【0064】
なお、図示された例では、電磁石207a〜207dが示されているが、電磁石207の数はこれに限られない。また、電磁石207a〜207dは電源208に並列接続されているが、電磁石207と電源208との接続は直列接続であってもよく、また直列接続と並列接続とが組み合わせて用いられてもよい。
【0065】
また、上記説明では、磁力発生部が搬送手段の端部に設けられる場合を例として説明したが、磁力発生部は、搬送手段の端部に隣接して搬送手段とは独立して設けられてもよい。
【0066】
(分離部材の構成)
次に、選別装置20の分離部材23の構成について、より詳しく説明する。上述したように、分離部材23は、所定の選別温度に対応する落下軌跡上に設けられ、温度ごとに異なる落下軌跡で落下する焼結鉱1を空間的に分離する。ここで、分離部材23は、シュート21の端部21eの下方に固定された部材であってもよく、また、以下で説明するように可動式の部材であってもよい。
【0067】
図6は、本発明の第1の実施形態において分離部材が可動式である場合の構成を示す図である。分離部材23にはねじ穴が設けられ、回転シャフト211の少なくとも一部に形成された送りねじに螺合される。回転シャフト211は、モータ212の駆動によって回転する。かかる構成によって、モータ212を駆動させて分離部材23を進退させ、高温焼結鉱2と低温焼結鉱3とが空間的に分離される位置を変更することができる。
【0068】
制御部213は、コンピュータ、または制御回路などであり、モータ212の駆動を制御する。制御部213は、例えば設定された選別温度に応じてモータ212の駆動を制御し、高温焼結鉱2と低温焼結鉱3とが空間的に分離される位置を変更する。制御部205は、放射温度計214,215の測定結果に基づいて選別温度を自動的に設定してもよい。このように、分離部材23が可動式である場合、自動的にまたは手動で設定された選別温度に応じた位置で高温焼結鉱2と低温焼結鉱3とを空間的に分離することができる。
【0069】
(第2の実施形態)
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0070】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る焼結鉱の冷却設備の構成を示す図である。図2には、焼結機10と、選別装置20と、冷却装置30と、熱回収装置40と、追加冷却装置50とを含む設備が図示されている。以下の説明では、本実施形態で付加的に設けられる追加冷却装置50などの構成要素について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付することによって詳細説明を省略する。
【0071】
追加冷却装置50は、竪型冷却装置である。追加冷却装置50には、選別装置20で選別された低温焼結鉱3が装入される。低温焼結鉱3は、追加冷却装置50の上部に設けられた装入ホッパ51から装入され、シャフト52内に堆積して徐々に下降する。一方、低温焼結鉱3を冷却するための冷却ガス5は、追加冷却装置50の下部に設けられた吹込み口53から吹き込まれ、シャフト52内の低温焼結鉱3に通気される。シャフト52内では、下降する低温焼結鉱3と、上昇する冷却ガス5との間で熱が交換される。この熱交換によって、低温焼結鉱3は冷却され、冷却ガス5は昇温する。冷却された低温焼結鉱3は、排出ゲート54から排出され、図示しない搬送手段によって次工程へと搬出される。一方、昇温した冷却ガス5は、追加冷却装置50の上部に設けられた排気ダクト55から排出される。
【0072】
なお、排気ダクト55は、低温焼結鉱3の堆積面よりも下のシャフト52に設けられてもよい。この場合、堆積した低温焼結鉱3のうち、排気ダクト55よりも上に位置する部分は復熱帯となり、復熱によって低温焼結鉱3の表面温度が上昇するため、排気ダクト55から排出される冷却ガス5の温度はさらに高くなる。ここで、竪型冷却装置内の復熱帯の領域は、高温焼結鉱2における、高温の内部から冷却された表面側への熱拡散が十分に行われる時間を確保できる程度に適宜設定すればよい。なお、復熱帯は、広くし過ぎると冷却帯の領域を十分に確保することが難しくなるため、通常の場合、焼結鉱が充填されている領域の上部側1/10〜1/2の範囲内に設定すればよい。
【0073】
追加冷却装置50の排気ダクト55から排出された冷却ガス5は、除塵装置46で除塵された後、送風ブロワ47に供給されて、冷却装置30における冷却ガス4として吹込み口33に送り込まれる。冷却装置30において、冷却ガス4は、シャフト32内を上昇して高温焼結鉱2を冷却した後、排気ダクト35から排出される。送風ブロワ43は、熱回収後の冷却ガス4を、冷却ガス5として追加冷却装置50の吹込み口53に供給する。
【0074】
低温焼結鉱3との熱交換によって昇温した冷却ガス5の温度は、高温焼結鉱2の温度に比べると低いため、冷却ガス4として冷却装置30に供給して高温焼結鉱2の冷却に用いることが可能である。冷却ガスを低温焼結鉱3および高温焼結鉱2の両方の冷却に用いることによって、冷却装置30の排気ダクト35から排出される冷却ガス4の温度は、冷却ガス4を高温焼結鉱2の冷却のみに用いる場合よりも高くなる。従って、熱回収装置40に供給される冷却ガス4の温度も、冷却ガス4を高温焼結鉱2の冷却のみに用いる場合よりも高くなる。それゆえ、本実施形態の構成によれば、熱回収装置40での熱回収の効率をさらに向上させることが可能になる。
【実施例】
【0075】
次に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、上記実施形態において説明した図1の例と同様の冷却設備において、選別装置20を用いて焼結機10で焼成された焼結鉱1を選別し、選別された高温焼結鉱2と低温焼結鉱3との温度を測定するとともに、選別された高温焼結鉱2から熱回収した昇温冷却ガス36の温度を測定する試験を実施した。選別装置20および復熱帯については、以下の表1のように、実施例1〜4の4通りのバリエーションについて試験を実施し、比較例1〜2の2通りについて比較試験を実施した。
【0076】
なお、表1に示す試験では、焼結鉱1の処理対象量は毎時500t、粒度範囲は300mm以下、平均粒径は40mm、平均温度は510℃であった。また、焼結鉱1を、選別装置20を用いて選別温度350℃で選別した場合、高温焼結鉱が92%、低温焼結鉱3が8%であった。さらに、同様に選別温度400℃で選別した場合、高温焼結鉱が78%、低温焼結鉱が22%であった。
【0077】
【表1】

【0078】
試験の結果、実施例1〜実施例4のいずれの場合においても、選別温度以上の高温焼結鉱2と選別温度未満の低温焼結鉱3との良好な選別が実現した。また、混入温度は実施例1、実施例2では50℃であり、実施例3、実施例4では20℃であった。
【0079】
ここで、選別温度とは、高温焼結鉱2と低温焼結鉱3とが互いに混交する温度幅を示す。例えば、選別温度が400℃、混入温度が50℃である場合、400℃以上の高温焼結鉱2には最低で350℃の低温焼結鉱3が混入する可能性があり、400℃未満の低温焼結鉱3には最高で450℃の高温焼結鉱2が混入する可能性がある。
【0080】
一方、温度による選別の比較例として、焼結機で焼成された焼結鉱を篩を用いて粒径によって選別し、比較的高温であることが多い大粒径の焼結鉱を高温焼結鉱として選別した。この場合、高温焼結鉱として選別された大粒径の焼結鉱の平均温度の、焼結鉱全体の平均温度との差は、50℃にも満たなかった。
【0081】
以上の結果より、本発明の実施形態に係る選別装置20を用いることによって焼結鉱1の良好な温度選別が実現すること、搬送手段には少なくともシュートおよびコンベアが利用可能であり、磁力発生部には永久磁石および電磁石が利用可能であること、ならびに分離部材23の設置は温度選別の精度を向上させるために有効であることが実証されたといえる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0083】
1 焼結鉱
2 高温焼結鉱
3 低温焼結鉱
4 冷却ガス
10 焼結機
20 選別装置
21 シュート
22 磁力発生部
23 分離部材
30 冷却装置
36 昇温冷却ガス
40 熱回収装置
50 追加冷却装置
201 永久磁石ユニット
202,212 モータ
203,211 回転シャフト
204 永久磁石
205,209,213 制御部
206,210,214,215 放射温度計
207 電磁石
208 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁化率が変化する温度帯の焼結鉱の冷却方法であって、
焼結機で焼成された前記焼結鉱を搬送手段を用いて搬送する工程と、
前記搬送手段の端部に、または該端部に隣接して設けられた磁力発生部を用いて該端部から落下する前記焼結鉱に磁力を加えることによって、前記焼結鉱から選別温度以上の高温焼結鉱を選別する工程と、
前記選別された高温焼結鉱を第1の竪型冷却装置に装入する工程と、
前記第1の竪型冷却装置を用いて前記高温焼結鉱に第1の冷却ガスを通気する工程と、
前記高温焼結鉱との熱交換によって昇温した前記第1の冷却ガスから熱回収する工程と
を含むことを特徴とする、焼結鉱の冷却方法。
【請求項2】
前記磁力発生部による磁力の大きさは、前記選別温度に応じて設定されることを特徴とする、請求項1に記載の焼結鉱の冷却方法。
【請求項3】
温度が前記選別温度である前記焼結鉱が前記端部から落下する際の落下軌跡上に設けられた分離部材が前記端部から落下する前記焼結鉱を空間的に分離することによって、前記高温焼結鉱を前記焼結鉱から選別することを特徴とする、請求項1または2に記載の焼結鉱の冷却方法。
【請求項4】
前記分離部材の位置は、前記選別温度に応じて設定されることを特徴とする、請求項3に記載の焼結鉱の冷却方法。
【請求項5】
前記高温焼結鉱に通気された前記第1の冷却ガスは、前記第1の竪型冷却装置の前記高温焼結鉱の堆積面よりも下に設けられた第1の排気ダクトから排出され、
前記第1の竪型冷却装置の前記第1の排気ダクトよりも上の部分を前記高温焼結鉱の復熱帯として用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼結鉱の冷却方法。
【請求項6】
前記焼結鉱に前記磁力を加えることによって、前記焼結鉱から前記選別温度未満の低温焼結鉱を選別する工程と、
前記選別された低温焼結鉱を第2の竪型冷却装置に装入する工程と、
前記第2の竪型冷却装置を用いて前記低温焼結鉱に第2の冷却ガスを通気する工程と、
前記低温焼結鉱との熱交換によって昇温した前記第2の冷却ガスを前記第1の冷却ガスとして前記第1の竪型冷却装置に供給する工程と
をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の焼結鉱の冷却方法。
【請求項7】
前記低温焼結鉱に通気された前記第2の冷却ガスは、前記第2の竪型冷却装置の前記低温焼結鉱の堆積面よりも下に設けられた第2の排気ダクトから排出され、
前記第2の竪型冷却装置の前記第2の排気ダクトよりも上の部分を前記低温焼結鉱の復熱帯として用いることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の焼結鉱の冷却方法。
【請求項8】
前記選別温度は、400〜550℃であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の焼結鉱の冷却方法。
【請求項9】
磁化率が変化する温度帯の焼結鉱の選別方法であって、
焼結機で焼成された前記焼結鉱を搬送手段を用いて搬送する工程と、
前記搬送手段の端部に、または該端部に隣接して設けられた磁力発生部を用いて該端部から落下する前記焼結鉱に磁力を加えることによって、前記焼結鉱から選別温度以上の高温焼結鉱を選別する工程と
を含むことを特徴とする、焼結鉱の選別方法。
【請求項10】
磁化率が変化する温度帯の焼結鉱の選別装置であって、
焼結機で焼成された前記焼結鉱を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の端部に、または該端部に隣接して設けられ、該端部から落下する前記焼結鉱に磁力を加える磁力発生部と
を備え、
前記磁力によって、前記焼結鉱から選別温度以上の高温焼結鉱を選別することを特徴とする、焼結鉱の選別装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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