説明

煎餅生地の製造用アミ及びあばれ煎餅生地の製造方法

【課題】 全体的な厚みが略一定のあばれ煎餅生地が得られる煎餅生地の製造用アミ及びあばれ煎餅生地の製造方法を提供する。
【解決手段】 所望の形状に形成されていると共に変形可能な煎餅生地が載置される煎餅生地製造用煎餅生地の製造用アミにおいて、煎餅生地が複数載置されると共にこれら煎餅生地の一部がそれぞれ網目間から下方に垂れ下がる第1網と、この第1網に対して下方であって平行に設けられ、網目が煎餅生地が垂れ下がらないように形成されている第2網とを備え、第1網に載置された複数の煎餅生地の一部が第1網の網目間から垂れ下がって、この垂れ下がった各煎餅生地が第2網に当接してそれ以上の垂れ下がりが阻止されて、各煎餅生地の全体的な厚みが略一定になるように構成したことにより、前記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的な厚みが略一定のあばれ煎餅生地が得られるあばれ煎餅生地の製造用アミ及びあばれ煎餅生地の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
煎餅は、一般に型抜きにより所望の形状、例えば、円形状に形成された煎餅生地から作られる。型抜きにより得られた煎餅生地は、70℃〜75℃の温度に維持した熱風乾燥機内で水分が20%位になるまで1次乾燥させる。この1次乾燥を行う乾燥機としては特許文献1に記載されたものが知られている。この1次乾燥により、煎餅生地が固まる。すなわち、この1次乾燥により煎餅としての形が決められる。1次乾燥した煎餅生地は、10〜20時間程度ねかせて水分の均一化を行った後、再び70℃〜75℃の温度に維持した回転ホイロ内で2次乾燥して水分が10%〜12%程度になるまで乾燥させる。この2次乾燥後、煎餅生地を焼成機で焼き上げ、味付けすることにより、煎餅が得られる。
【特許文献1】特開平3−108448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、煎餅は、平面が円形と矩形のものが一般的であって、ほとんどのものが平たい形状に形成されているので、煎餅の厚みが薄い場合ボリューム感にかけるきらいがあった。そこで、ボリューム感を出すために煎餅を平面方向に変形させた、所謂あばれ煎餅が考案された。然るに、従来のものは、変形させて全体的な厚みが略一定になるようにあばれ煎餅を作ることができなかった。すなわち、あばれ煎餅を作る場合、煎餅生地を型抜き工程の後に平面方向へ変形させる必要があるが、この変形の際に全体的な厚みが一定になるように煎餅生地を変形させることができず、全体的な厚さにムラのあるあばれ煎餅しか作ることができなかった。その結果、見た目も悪い上に、複数枚のあばれ煎餅を同じ袋や容器に入れようとすると、分量に過不足が生じてしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、平面方向に変形していても全体的な厚みが略一定の、見た目にもよいあばれ煎餅生地が得られる煎餅生地の製造用アミ及びあばれ煎餅生地の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するための本発明に係る煎餅生地の製造用アミは、所望の形状に形成されていると共に変形可能な煎餅生地が載置される製造用アミにおいて、前記煎餅生地が複数載置されると共にこれら煎餅生地の一部がそれぞれ網目間から下方に垂れ下がるように形成した目の粗い第1網と、この第1網に対して下方に位置して平行に設けられ、網目から前記煎餅生地が垂れ下がらないように形成されている目の細かい第2網とを備え、前記第1網に載置された前記複数の煎餅生地の一部が前記第1網の網目間から垂れ下がって、この垂れ下がった各煎餅生地が前記第2網に当接してそれ以上の垂れ下がりを阻止され、平面方向に変形していても各煎餅生地の全体的な厚みが略一定になるように構成したことを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、煎餅生地が複数載置されると共にこれら煎餅生地の一部がそれぞれ網目間から下方に垂れ下がる第1網と、この第1網に対して平行に設けられる第2網とを備えたことにより、第1網に載置させた複数の煎餅生地の一部が第1網の網目間から垂れ下がってこの垂れ下がった各煎餅生地が前記第2網に当接してそれ以上の垂れ下がりを阻止されるので、平面方向へ変形していても各煎餅生地の全体的な厚みは略一定となる。その結果、この煎餅生地より煎餅を製造したときには、ボリューム感があり見た目も良好であって、包装用袋や容器へ入れても封入量に極力過不足の生じないように成したあばれ煎餅が得られることになる。
【0007】
本発明に係る煎餅生地の製造用アミにおいて、前記第1網が、亀甲網であり、前記第2網が、平網であることが好ましい。また、本発明に係る煎餅生地の製造用アミにおいて、前記第1網及び前記第2網が、矩形状の枠体に取り付けられ、この枠体間に、前記第1網の前記第2網側への垂れを防止する網垂れ防止部材を取り付け、この網垂れ防止部材が、前記第1網の下面に接触すると共に前記第2網側に突出する突出部を有する第1網垂れ防止部材と、この第1網垂れ防止部材と前記第2網との間に設けられ、前記突出部が当接する第2網垂れ防止部材とからなることが好ましい。また、本発明に係る煎餅生地の製造用アミにおいて、前記第2網垂れ防止部材が、前記第2網の前記1網側の面に接触するように配置され、前記第2網が上方に、前記第1網が下方になるように前記枠体を上下逆にして、この第2網上に、煎餅生地を載置して煎餅生地の乾燥を行えるようにすることが好ましい。
【0008】
また、前記の目的を達成するための本発明に係るあばれ煎餅生地の製造方法は、所望の形状に形成されていると共に変形可能な煎餅生地を煎餅生地の製造用アミ上に載置させて変形させ、この変形状態のまま前記煎餅生地を乾燥し、前記煎餅生地を固形化してあばれ煎餅生地を製造する方法であって、前記煎餅生地の製造用アミを、前記煎餅生地が複数載置されると共にこれら煎餅生地の一部がそれぞれ網目間から下方に垂れ下がらせることの出来る目の粗い第1網と、この第1網に対して下方に位置して平行に設けられ、網目が前記煎餅生地が垂れ下がらないように細かく形成されている第2網とを備え、前記第1網上に前記煎餅生地を複数載置させてこれら複数の煎餅生地の一部を前記第1網の網目間から垂れ下がらせ、この垂れ下がらせた各煎餅生地を前記第2網に当接させてそれ以上の垂れ下がりを阻止した状態でこれら煎餅生地を乾燥して、全体的な厚みが略一定のあばれ煎餅生地を製造することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、煎餅生地の製造用アミが、煎餅生地が複数載置されると共にこれら煎餅生地の一部がそれぞれ網目間から下方に垂れ下がる目の粗い第1網と、この第1網に対して平行に設けられる目の細かな第2網とを備え、第1網上に煎餅生地を複数載置させてこれら複数の煎餅生地の一部を第1網の網目間から垂れ下がらせ、この垂れ下がらせた各煎餅生地を第2網に当接させてそれ以上の垂れ下がりを阻止した状態でこれら煎餅生地を乾燥して、全体的な厚みが略一定のあばれ煎餅生地を製造するので、この煎餅生地より煎餅を製造したときには、ボリューム感があり見た目も良好であって、包装用袋や容器内へ入れても極力過不足の生じない封入量の煎餅が得られることになる。
【0010】
本発明に係るあばれ煎餅生地の製造方法において、前記第1網が、亀甲網であり、前記第2網が、平網であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明に係る煎餅生地の製造用アミ及びあばれ煎餅生地の製造方法によれば、煎餅生地が複数載置されると共にこれら煎餅生地の一部がそれぞれ網目間から下方に垂れ下がる目の粗い第1網と、この第1網に対して平行に設けられる目の細かな第2網とを備えたので、第1網に載置させた複数の煎餅生地の一部が第1網の網目間から垂れ下がってこの垂れ下がった各煎餅生地が第2網に当接してそれ以上の垂れ下がりが阻止され、平面方向へ変形していても各煎餅生地の全体的な厚みは略一定となる。その結果、この煎餅生地より煎餅を製造したときには、ボリューム感があり見た目も良好である上に、包装用袋や容器内へ封入しても、その封入量に極力過不足の生じないあばれ煎餅が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る煎餅生地の製造用アミ及びあばれ煎餅生地の製造方法を添付図面に基づいて詳述する。
【0013】
図1〜図5は本発明に係る煎餅生地の製造用アミの一例を示す図である。煎餅は、煎餅原料(例えば、しん粉等)を混練してから圧延ローラで圧延させ、次いで型抜きローラで型抜きすることにより所望の形状、例えば、円形状に形成された煎餅生地を得、次いで、この煎餅生地を1次乾燥した後に、生地の水分平衡を図るために煎餅生地をねかし、そして、2次乾燥してから焼成、味付けにより作られる。本発明に係る煎餅生地の製造用アミは、1次乾燥を行うときに用いられるものであり、特に、その上に載置した変形可能な煎餅生地を垂れ下がらせてあばれ煎餅を製造するのに最適なものである。1次乾燥を行う前の煎餅生地の形状としては、円形状、矩形状、三角形状、多角形状、星形状又はハート形状等、特に限定されず、円形状である場合について説明する。
【0014】
本発明に係る煎餅生地の製造用アミは、図1〜図5に示すように、煎餅生地10が複数枚順列載置されると共にこれら煎餅生地10の一部がそれぞれ網目間から下方に垂れ下がる目の粗い第1網(亀甲網2)と、この第1網に対して下方に位置して平行に設けられ、網目が煎餅生地10の垂れ下がりを阻止できる程度の目の細かな網で形成されている第2網(平網3)とを備え、第1網に載置された複数の煎餅生地10の一部を第1網の網目間から垂れ下がらせて、この垂れ下がらせた各煎餅生地が第2網に当接してそれ以上の垂れ下がりが阻止され、平面方向へ変形していても各煎餅生地10の全体的な厚みが略一定になるように構成したことに特徴がある。
【0015】
第1網は、煎餅生地10が複数順列載置されてこれら煎餅生地10の一部がそれぞれ網目間から下方に垂れ下がり、この垂れ下がった各煎餅生地10が第2網に当接するものであり、特に限定されるものではない。第1網としては、例えば、亀甲網等が好ましく、特に亀甲網2が好ましい。亀甲網2の線材としては、特に限定されず、タキロン線等が挙げられる。
【0016】
第2網は、煎餅生地が垂れ下がらないように網目が細かく形成されているものであり、特に限定されるものではない。第2網としては、例えば、上記煎餅生地を用いる場合には、平網3等が好ましい。平網3の線材としては、特に限定されず、タキロン線、SUS等が挙げられる。
【0017】
亀甲網2及び平網3は、枠体4に取り付けられていることが好ましい。枠体4としては、特に限定されず、例えば、矩形状等に形成されていることが好ましい。この枠体4は、2つの対向する長辺に相当する第1枠部材41と、これら第1枠部材41の両端部を連結する短辺に相当する例えば第1枠部材41より長さが半分の第2枠部材42とからなる。これら枠部材41、42は、それぞれ細長の矩形平板状に形成されており、第1枠部材41及び第2枠部材42の面同士が対向するようにこれら枠部材41、42の端部が連結されている。この枠体4に、亀甲網2及び平網3が所望の間隔を開けて取り付けられている。この亀甲網2及び平網3の間隔は、あばれ煎餅の全体的の厚さに応じて任意に決められる。また、枠体4は、亀甲網2を上方に、平網3を下方にして、例えば、乾燥機70(図7参照。)に収容される台車71(図7参照。)等に載置されるが、上下逆にして台車71等に載置し得るようにもなっている。
【0018】
枠体には、特に亀甲網2の平網3側への垂れを防止する網垂れ防止部材5が取り付けられていることが好ましい。すなわち、網垂れ防止部材5は、亀甲網2上に煎餅生地10を載置すると亀甲網2の中央部及びその付近が垂れるので、亀甲網2と平網3との間隔を略一定にして全体的な厚さが略一定のあばれ煎餅を得るためのものである。網垂れ防止部材5としては、特に限定されず、例えば、亀甲網2の下面(平網3側の面)に接触すると共に平網3側に突出する突出部53を有する第1網垂れ防止部材51と、この第1網垂れ防止部材51と平網3との間に設けられ、第1網垂れ防止部材51の突出部53が当接する第2網垂れ防止部材52とからなることが好ましい。
【0019】
第1網垂れ防止部材51は、例えば、SUS等により円形の棒状に形成されている。この第1網垂れ防止部材51は、第1枠部材41と平行に設けられる2本の第1a網垂れ防止部材51aと、第2枠部材42と平行に設けられる4本の第1b網垂れ防止部材51bとから格子状に形成されている。これら第1a網垂れ防止部材51a及び第1b網垂れ防止部材51bの両端部が第1枠部材41及び第2枠部材42にそれぞれ取り付けられ、第1網垂れ防止部材51が亀甲網2の下面(平網3側の面)に接触して亀甲網2の垂れが防止されるようになっている。
【0020】
各第1b網垂れ防止部材51bの略中央部には、第2網垂れ防止部材52側に突出する突出部53が設けられている。この突出部53は、第2網垂れ防止部材52に接触して亀甲網2の垂れをより確実に防止するものである。突出部53は、螺旋状、湾曲状、三角状、矩形状、多角形状等どのように形成してもよく、例えば、螺旋状等で形成されていることが好ましい。突出部53は、第1b網垂れ防止部材51bの略中央部に設けたが、これに限定されず、第1b網垂れ防止部材51bに複数設けてもよいし、第1a網垂れ防止部材51aに設けてもよい。
【0021】
第2網垂れ防止部材52は、例えば、第1網垂れ防止部材51と同じ材料であって、第1網垂れ防止部材51と間隔を開けて第1網垂れ防止部材51と略同様に第1枠部材41と平行に設けられる2本の第2a網垂れ防止部材52aと、第2枠部材42と平行に設けられる4本の第2b網垂れ防止部材52bとから格子状に形成されていることが好ましい。この第2網垂れ防止部材52は、第2b網垂れ防止部材52bの略中央部に第1b網垂れ防止部材51bの突出部53が接触して第1網垂れ防止部材51と第2網垂れ防止部材52との間隔が略一定になるようになっている。
【0022】
また、第2網垂れ防止部材52は、平網3の亀甲網2側の面に接触するように設けられていることが好ましい。この第2網垂れ防止部材52に例えば紐部材やバンド等により縛って平網3を固定するようにすることが好ましい。これにより、亀甲網2と平網3との間隔がより確実に略一定になるようになっている。また、枠体4を、上方に平網3が位置されるように上下逆にすることにより、平たい煎餅を得るための煎餅生地を乾燥機70によって乾燥し得ることができるようになっている。なお、図1中、符号45は枠体の補強部材を示す。
【0023】
本発明に係る煎餅生地の製造用アミ1を用いて1次乾燥を行う乾燥機70としては、例えば、図7に示すように、台車式乾燥機等が挙げられる。台車式乾燥機70は、乾燥機本体72と台車71とからなる。乾燥機本体72は、台車71を収納する乾燥室73を備えている。この乾燥室73は、例えば、中央部のヒーター74を挟んで各3台の台車71をそれぞれ収納し得るように形成されている。乾燥室73には、台車71各1台毎にそれぞれ対応する扉75が6つ設けられている。
【0024】
乾燥室73の両側部には、乾燥室73内の上部及び下部を連通する湾曲状のダクト76がそれぞれ設けられている。ダクト76の開口部と乾燥室73との間には、横ダンパ77、ヒーター74及び縦ダンパ78がそれぞれ設けられている。ダクト76の外周面の上部及び下部には、それぞれ換気口79が設けられている。ダクト76の内面の換気口79の近傍には、ダクト76内を流れる熱風によって自動的に換気口79の開閉を行う開閉蓋80が設けられている。ダクト76内の開口部近傍には、ファン81かそれぞれ設けられている。これらのファン81を駆動モーター82で駆動させると共にヒーター74を駆動させることにより、熱風が乾燥室73内を循環すると共に、この熱風が横ダンパ77及び縦ダンパ78によって乾燥室73内を均一に流れるようになっている。
【0025】
台車71は、図8及び図9に示すように、例えば、本発明に係る煎餅生地の製造用アミ1を入れたり出したりし得るL形の鋼等からなる棚部85を多段に備えている。これら棚部85の一方から本発明に係る煎餅生地の製造用アミ1の出し入れが行えると共に、棚部85の他方の端部には、本発明に係る煎餅生地の製造用アミ1の脱落防止のために平鋼等のストッパ86が設けられている。これら棚部85の高さ方向の中央部には、棚部85を上下に仕切る仕切板87が設けられている。台車71の下部には、キャスター88が設けられている。台車71の側面には、それぞれ取っ手89が設けられ、台車71の移動が容易に行えるようになっている。
【0026】
次に、本発明に係る煎餅生地の製造用アミ1を用いてあばれ煎餅生地11(図6参照。)を製造する方法を説明する。まず、所望の形状、例えば、円形状であって変形可能な厚みを有する煎餅生地10を本発明に係る煎餅生地の製造用アミ1の亀甲網2上に多数順列載置する。この順列載置の方法は、型抜きした煎餅生地を送りコンベアにて煎餅生地の製造用アミ1の方へ送り、この送りコンベアの移動速度に同期させて煎餅生地の製造用アミ1を移動させると、その上に煎餅生地10が縦列載置される。この煎餅生地10は、薄くて柔らかく亀甲網2上に置くと網目から一部が下方に垂れ下がるものである。このように、亀甲網2上に煎餅生地10を多数順列載置した煎餅生地の製造用アミ1は、順次自動的に或は手作業で台車71の棚部85上に差し込まれつつ図9に示したように積み重ねられた後、この台車71を図7に示すように台車式乾燥機70の乾燥室73内に移動させ、各扉75を閉めて乾燥室73を閉じる。台車式乾燥機70のファン81を駆動モーター82で駆動させると共にヒーター74を駆動させると、熱風が乾燥室73内を循環すると共に、この熱風が横ダンパ77及び縦ダンパ78によって乾燥室73内を均一に流れる。これにより、煎餅生地の製造用アミ1上の煎餅生地10が1次乾燥される。
【0027】
このとき、煎餅生地10の一部が図5に示すように亀甲網2の網目から下方に垂れ下がり、この垂れ下がった各煎餅生地10が平網3に当接してそれ以上の垂れ下がりを阻止されるために、この状態のまま煎餅生地10が乾燥されると、煎餅生地10は垂れ下がった状態のまま固まりあばれ煎餅生地11となる。その結果、変形幅が亀甲網2と平網3との間隔と略同じになるので、得られるあばれ煎餅生地11は、全体的な厚みが略一定になる。
【0028】
したがって、本発明に係る煎餅生地の製造用アミ1及び本発明に係るあばれ煎餅生地の製造方法は、平面方向へ変形していても各あばれ煎餅生地11の全体的な厚みが略一定となるために、このあばれ煎餅生地11を用いて煎餅を製造したときには、ボリューム感があり見た目も良好なあばれ煎餅が得られることになる。また、このようにして製造したあばれ煎餅を包装用袋や容器へ封入させても、全体としての厚みが略一定のため、その封入量に過不足が生ずるのを極力防止することができる。
【0029】
次に、本発明に係る煎餅生地の製造用アミ1は、網垂れ防止部材5によって亀甲網2の垂れが防止されているので、より全体的な厚みが略一定のあばれ煎餅生地11が得られるものである。また、網垂れ防止部材5が、第1網垂れ防止部材51と第2網垂れ防止部材52とからなり、第2網垂れ防止部材52に第1網垂れ防止部材51の突出部53が接触することにより、第1網垂れ防止部材51と第2網垂れ防止部材52との間隔、すなわち、亀甲網2と平網3との間隔がより一層略一定になるので、より一層全体的な厚みが略一定のあばれ煎餅生地11が得られるものである。
【0030】
また、本発明に係る煎餅生地の製造用アミ1は、平たい煎餅生地を乾燥する場合にも用いることができる。すなわち、枠体4には、煎餅生地が垂れ下がらないように目の細かな網目が形成されている平網3が設けられており、枠体4を上下逆つまり平網3が上方に位置されるようにして、この平網3上に煎餅生地を載せて乾燥を行うことにより、平たい煎餅生地の乾燥を行うこともできる。よって、本発明に係る煎餅生地の製造用アミ1は、あばれ煎餅生地11の製造及び乾燥と、平たい煎餅生地の製造及び乾燥とに用いられるので、工業的に価値が高いものである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上説明したように本発明に係る煎餅生地の製造用アミ及びあばれ煎餅生地の製造方法は、煎餅生地が複数順列載置されると共に、これらそれぞれの煎餅生地の一部がそれぞれ網目間から下方に垂れ下がる載置網と、この載置網に対して下方に位置して平行に設けられ、載置網の網目間から垂れ下がった各煎餅生地が当接する底部網とを備えたので、載置網に載置させた複数の煎餅生地の一部が載置網の網目間から垂れ下がって、この垂れ下がった各煎餅生地が前記底部網に当接してそれ以上の垂れ下がりを阻止され、平面方向へ変形しても各あばれ煎餅生地の全体的な厚みは略一定となることから、ボリューム感があり、見た目も良好なあばれ煎餅を得る上に、包装用袋や容器へ封入する場合でも、過不足なく極力一定量のものを封入させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る煎餅生地の製造用アミの一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る煎餅生地の製造用アミの一例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る煎餅生地の製造用アミの一部を示す拡大平面図である。
【図4】本発明に係る煎餅生地の製造用アミの一部を示す断面図である。
【図5】本発明に係る煎餅生地の製造用アミであばれ煎餅生地を製造する一例を示す側面図である。
【図6】本発明に係るあばれ煎餅生地の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る煎餅生地の製造用アミを使用し得る乾燥機の一例を示す正面図である。
【図8】本発明に係る煎餅生地の製造用アミを載置する台車の一例を示す図である。
【図9】本発明に係る煎餅生地の製造用アミを台車に載置した一例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 製造用アミ
2 亀甲網(第1網)
3 平網(第2網)
4 枠体
5 網垂れ防止部材
10 煎餅生地
41 第1枠部材
42 第2枠部材
51 第1網垂れ防止部材
52 第2網垂れ防止部材
53 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の形状に形成されていると共に変形可能な煎餅生地が載置される煎餅生地の製造用アミにおいて、
前記煎餅生地が複数載置されると共にこれら煎餅生地の一部がそれぞれ網目間から下方に垂れ下がるように形成した目の粗い第1網と、この第1網に対して下方に位置して平行に設けられ、網目が前記煎餅生地が垂れ下がらないように細かに形成されている第2網とを備え、
前記第1網に載置された前記複数の煎餅生地の一部が前記第1網の網目間から垂れ下がって、この垂れ下がった各煎餅生地が前記第2網に当接してそれ以上の垂れ下がりを阻止して各煎餅生地の全体的な厚みが略一定になるように構成したことを特徴とする、煎餅生地の製造用アミ。
【請求項2】
前記第1網が、亀甲網であり、前記第2網が、平網であることを特徴とする、請求項1に記載の煎餅生地の製造用アミ。
【請求項3】
前記第1網及び前記第2網が、矩形状の枠体に取り付けられ、この枠体間に、前記第1網の前記第2網側への垂れを防止する網垂れ防止部材を取り付け、この網垂れ防止部材が、前記第1網の下面に接触すると共に前記第2網側に突出する突出部を有する第1網垂れ防止部材と、この第1網垂れ防止部材と前記第2網との間に設けられ、前記突出部が当接する第2網垂れ防止部材とからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の煎餅生地の製造用アミ。
【請求項4】
前記第2網垂れ防止部材が、前記第2網の前記第1網側の面に接触するように配置され、前記第2網が上方に、前記第1網が下方になるように前記枠体を上下逆にして、この第2網上に、煎餅生地を載置して煎餅生地の乾燥を行えるようにしたことを特徴とする、請求項3に記載の煎餅生地の製造用アミ。
【請求項5】
所望の形状に形成されていると共に変形可能な煎餅生地を煎餅生地の製造用アミ上に載置して変形させた状態のまま前記煎餅生地を乾燥し、前記煎餅生地を固形化してあばれ煎餅生地を製造する方法であって、
前記煎餅生地の製造用アミが、前記煎餅生地が複数載置されると共にこれら煎餅生地の一部がそれぞれ網目間から下方に垂れ下がるように形成した目の粗い第1網と、この第1網に対して下方に位置して平行に設けられ、網目が前記煎餅生地の垂れ下がりを阻止するように細かに形成されている第2網とを備え、
前記第1網上に前記煎餅生地を複数載置させてこれら複数の煎餅生地の一部を前記第1網の網目間から垂れ下がらせ、この垂れ下がらせた各煎餅生地を前記第2網に当接させてそれ以上の垂れ下がりを阻止した状態でこれら煎餅生地を乾燥して、全体的な厚みが略一定のあばれ煎餅生地を製造することを特徴とする、あばれ煎餅生地の製造方法。
【請求項6】
前記第1網が、亀甲網であり、前記第2網が、平網であることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−289050(P2007−289050A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119619(P2006−119619)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(591095708)株式会社新井機械製作所 (15)
【Fターム(参考)】