照光スイッチ付き筺体とその製造方法
【課題】 入力不良による誤作動のない照光スイッチ付き筺体を提供する。
【解決手段】 透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが透光性電極、加飾層、筺体の順で積層され、その透光性電極側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置された照光スイッチ付き筺体。
【解決手段】 透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが透光性電極、加飾層、筺体の順で積層され、その透光性電極側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置された照光スイッチ付き筺体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力不良による誤作動のない照光スイッチ付き筺体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話、デジタルカメラ、ポータブルプレーヤーの3次元カバーや、オーディオ、テレビ、洗濯機のフロントパネル等などに用いられる筺体には、照光部を備えたものがよく知られている。
【0003】
一方、表示された選択肢を指で選択して入力する手段の一つとして、静電容量型のタッチパネルが知られている。この静電容量型のタッチパネルの一般的な構成は、特許文献1に示されるように、透明基板20の全面に所定の面抵抗値をもつ透明導電膜21が電極として設けられ、該透明導電膜21の周縁部には一定のピッチで電極端子22が設けられ、この電極端子22を介して透明導電膜21と図示しない外部のタッチ位置検知回路とが接続されている(図14参照)。透明導電膜21上の任意の点(座標)に指を触れる(タッチする)と、透明導電膜21はタッチされた点で人体の静電容量を介して接地され、各電極端子と接地ラインとの間の抵抗値に変化が生じる。この変化がタッチ位置検知回路によって検知され、これによってパネル上の座標が入力される。
【0004】
また、上記静電容量型のタッチパネルは、指を透明導電膜21に直接触れなくても透明導電膜21上の任意の点(座標)に位置させるだけで入力可能であるので、例えば図示したように、透明導電膜21上に、中間保護膜23、グレア防止膜(防眩膜)24、及び保護膜25などを順に積層し、保護膜25の表面をタッチ面STとすることができる。また、透明導電膜21上に強化ガラスや透明樹脂板等のリジッドな透明部材を配置することでより堅牢なタッチパネルを得ることもできる。
【0005】
したがって、上記静電容量型のタッチパネルは指を透明導電膜に直接触れなくても透明導電膜上の任意の点(座標)に位置させるだけで入力可能であるので、上記照光部を備えた筺体の内側にタッチパネルを配置し、該タッチパネルを介して照光するようにすれば、照光部においても入力を行なうことも可能ではある。
【特許文献2】特開平05−324203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の静電容量型のタッチパネルの透明導電膜に用いられるITOは導電性が低いために、保護目的の層が設けられて透明導電膜の表面に直接入力者の指が触れない構成の場合はどうしても感度が悪くなる。厚みが厚い場合はなおさらである。感度が悪くなると、確実に入力できない場合が生じ、誤作動の原因となるという問題がある。
【0007】
したがって、本発明は、上記したような問題点を解消し、入力不良による誤作動のない照光スイッチ付き筺体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが透光性電極、加飾層、筺体の順で積層され、その透光性電極側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されるように構成した(第一実施態様)。
【0009】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが加飾層、透光性電極、筺体の順で積層され、その加飾層側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されるように構成した(第二実施態様)。
【0010】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが透光性電極、筺体、加飾層の順で積層され、その透光性電極側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されるように構成した(第三実施態様)。
【0011】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが筺体、透光性電極、加飾層の順で積層され、その筺体側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されるように構成した(第四実施態様)。
【0012】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極と、透光性電極を保護する透光カバー層とが加飾層、筺体、透光性電極、透光カバー層の順で積層され、その加飾層側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されるように構成した(第五実施態様)。
【0013】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極と、透光性電極を保護する透光カバー層とが筺体、加飾層、透光性電極、透光カバー層の順で積層され、その筺体側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されるように構成した(第六実施態様)。
【0014】
また、上記積層体の各層間及び前後のうち少なくとも一つに透明樹脂層が単層又は複数層で配置された第一乃至第六実施態様のいずれかをとるように構成した。
【0015】
また、上記各構成において、上記光源が導光板を用いたサイドライト型の面光源であるように構成した。
【0016】
また、上記各構成において、上記光源が薄膜型エレクトロルミネセンスであるように構成した。
【0017】
また、上記各構成において、上記光源が点光源であるように構成した。
【0018】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体の製造方法は、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、サイドライト型の面光源に用いる導光板を用意し、これら全ての要素を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物の導光板側面にサイドライトを配置することにより、上記第一乃至第六実施態様のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせることを特徴とする照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【0019】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体の製造方法は、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、サイドライト型の面光源に用いる導光板を用意し、これらのうち1要素又は2要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置し、さらに導光板側面にサイドライトを設置することによって上記第一乃至第六実施態様のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせるように構成した。
【0020】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体の製造方法は、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、薄膜型エレクトロルミネセンスを用意し、これら全ての要素を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記要素を一体化させることにより、上記第一乃至第六実施態様のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせるように構成した。
【0021】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体の製造方法は、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、薄膜型エレクトロルミネセンスを用意し、これらのうち1要素又は2要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置することによって上記第一乃至第六実施態様のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせるように構成した。
【0022】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体の製造方法は、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムを用意し、これら両要素をあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせて射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に点光源を設置することによって上記第一乃至第六実施態様のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体を得るように構成した。
【0023】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体の製造方法は、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムを用意し、これらのうち1要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置し、さらに点光源を設置することによって上記第一乃至第六実施態様のいずれかにに記載の照光スイッチ付き筺体を得るように構成した。
【0024】
また、前段落を除く上記製造方法の各構成において、上記加飾フィルムと上記電極フィルムとが一つのベースフィルムを共用し1つの要素となり、当該ベースフィルムの同じ側の面又は別々の面に加飾層および透光性電極が形成されているように構成した。
【0025】
また、上記製造方法の各構成において、一体成形物の最外層を構成する上記ベースフィルムのうち少なくとも一つが剥離性を有し、射出成形後に剥離除去されるように構成した。
【0026】
また、上記製造方法の各構成において、上記ベースフィルムの少なくとも一つに代えて、透光性樹脂板を用いるように構成した。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ITOなどの透明導電膜を用いずとも電極の透光性が確保され、且つ入力感度が向上する低抵抗を実現できるので、照光部を備えた筺体に静電容量方式の入力手段を付加しスイッチ部分を照光するようにした照光スイッチ付き筺体において、入力不良による誤作動が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0029】
図1〜6は、本発明の照光スイッチ付き筺体を説明する分解断面図である。
【0030】
図1〜4において、照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極1とが積層され、その背後に透光部パターンを光らせる光源が配置されている。
【0031】
さらに詳しく言えば、図1は、光源側から、透光性電極1、加飾層3、筺体2の順で積層されている(第一実施態様)。
【0032】
また図2は、光源側から、加飾層3、透光性電極1、筺体2の順で積層されている(第二実施態様)。
【0033】
また図3は、光源側から、透光性電極1、筺体2、加飾層3の順で積層されている(第三実施態様)。
【0034】
また図4は、光源側から、筺体2、透光性電極1、加飾層3の順で積層されている(第四実施態様)。
【0035】
また、図5〜6において、照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極と、透光性電極を保護する透光カバー層とが積層され、その背後に透光部パターンを光らせる光源が配置されている。
【0036】
さらに詳しく言えば、図5は、光源側から、加飾層3、筺体2、透光性電極1、透光カバー層5の順で積層されている(第五実施態様)。
【0037】
また図6は、光源側から、筺体2、加飾層3、透光性電極1、透光カバー層5の順で積層されている(第六実施態様)。
【0038】
上記透光性電極1は、各網目の輪郭が極細帯で構成され、この極細帯の帯幅が50μm以下であるとともに、電極の全光線透過率が50%以上であり、なおかつ電極の4端子法による表面抵抗値が1Ω/cm2以下であるものである。より好ましくは、極細帯の帯幅が30μm以下、電極の全光線透過率が70%以上である。
【0039】
また、上記透光性電極1の材質としては、銀、銅、アルミニウム、金、ニッケル、ステンレス鋼等の金属膜、またはこれらの金属微粒子を含有する導電性ペースト材、カーボンペースト材等が用いられ、金属薄膜のフォトエッチング、印刷レジストによるエッチング、または導電ペーストの印刷等により幾何学図形からなる多数の開口部Cを持つ導電パターンが形成される。導電性が高く、安価な点から銅或いは銅合金が好ましい。
【0040】
透光性電極1の導電部は、開口部Cを形成した状態で4端子法による表面抵抗値が1Ω/cm2以下となるように、使用する材質、厚みが決定される。1Ω/cm2以下であれば、電極の前面に厚みの大きい板を配置しても、また電極の前面に隙間をあけて前面板を配置しても感度が良く、誤作動のない入力機能を付与することが可能である。
【0041】
上記網目開口の形状は、多角形で構成するのが好ましい。多角形でないもの、例えば円形や楕円形の開口を設けたものでは、開口を最大限密に並べて配置しても開口同士の間に太帯部分ができてしまうことから、その太帯部分が目立つとともに光線透過率を低下させる要因となるからである。また、三角形、四角形、六角形等の図形のうち、一種類あるいはそれらの複数種類の組み合わせで構成することができるが、一種類の図形からなる網目を規則正しく配列されたものの方が目立ちにくいという利点がある。
【0042】
図7〜図9は上記網目構造の一部を拡大して示したものである。
【0043】
図7に示す電極の網目パターンは、X方向およびY方向に伸びる直線状の透光性電極1の導電部が格子状に形成されており、電極における光線透過率が50%以上確保できるようになっている。
【0044】
透明性の尺度である上記光線透過率とは、特定の色温度をもった光源から出たあらゆる波長の光が試料面を通過した全光量を対象とする全光線透過率を意味する。また、光線透過率が50%を下回ると、照光時に透光性電極1の導電部が暗く見えてしまう。そのため、その存在が目障りになる。より好ましい光線透過率は70%以上である。
【0045】
上記光線透過率は日本電色工業社製の分光測定器(型番NDH2000)を用いて測定したものである。ただし、空気層における光線透率100%を基準としている。
【0046】
また、方形の輪郭を形取るX方向の極細金属線(極細帯)1iおよびY方向の極細金属線(極細帯)1jの線幅wはそれぞれ50μm以下の等幅に形成されている。線幅wが50μmを上回ると、照光時に電極の網目が目立ってしまい、且つデザイン性も悪くなる。線幅wが50μm以下であると、照光時に電極の存在が認識されにくい。より好ましい線幅wは30μm以下である。なお、極細金属線の膜厚は、線幅w/膜厚tのアスペクト比が0.5以上になるようにすると、精度の良い電極のパターンを作りやすくなる。
【0047】
本実施形態において、電極の光線透過率は、上記極細金属線1iおよび1jの線幅とそれら極細金属線1iおよび1jで囲まれることによって形成される開口部Cのサイズとの組み合わせを選択することによって50%以上の光線透過率を確保できるようにしている。より好ましい光線透過率は70%以上である。
【0048】
図8に示す電極の網目パターンは、六角形を核としX方向およびYa方向、b方向に連続させたものである。
【0049】
六角形の輪郭となる極細金属線1kの線幅wは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。
【0050】
図9に示す電極の網目パターンは、梯子形を核としX方向およびY方向に連続させたものである。梯子形の輪郭となる極細金属線1lおよび1mの線幅wはそれぞれ50μm以下、より好ましくは30μm以下である。
【0051】
このように電極の網目パターンは、矩形が核となって連続するもの、多角形が核となって連続するもの、梯子形が核となって連続するものが示される。
【0052】
このなかでも特に正方形が核となって連続するものは、他の多角形状に比べて電極の網目パターンが筋状に認識され難いので好ましい。
【0053】
つまり、或る形状が核となって規則的に連続するパターンを見たとき、その核(開口)
の連続する方向に沿って輪郭が連続する筋状に見える傾向がある。例えば六角形が核となったものの場合では、その連続方向に沿った上記極細帯の線がジグザグとなる為に、このジグザグの振幅の分だけ太く見えてしまい、結果として極細帯が膨張した状態に見えてしまう。この点において上記正方形が核となって連続するものの場合は、連続方向に沿った極細帯の線が真っ直ぐとなるから、本来の幅よりも太く見える懸念がなく、前述の様に極細帯は30μm以下と非常に細いので、その存在が認識され難く、網目パターンが目立たない。
【0054】
また長方形が核となって連続するものの場合では、この長方形の長辺方向と短辺方向のピッチが違うので、全体を見たときに、長辺方向に比べてピッチの短い短辺方向が濃く現れ、これが筋状となってちらついて見える傾向にあるが、上記正方形が核となって連続するものでは、この様な筋状は現れず、目立たない。尚上記正方形には、完全に角張った正方形に限らず、面取りされた正方形も含まれる。
【0055】
上記網目パターンの形成方法としては、例えば金属薄膜のフォトリソグラフィを用いたエッチングによって、または印刷レジストによるエッチングによって、さらにまた、導電樹脂ペースト材の印刷等の方法によってそれぞれ形成することができる。上記エッチングする金属薄膜は、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法や金属箔の貼り合わせなどで形成する。
【0056】
上記網目パターンをフォトエッチングにより形成する場合、金属膜上にフォトレジスト膜を形成しフォトマスクを用いて露光し、現像液で現像することによりレジスト膜の網目パターンを形成する。これをエッチング液によりエッチングし、レジスト膜を剥離除去することにより極細金属線からなる網目パターンを形成する。
【0057】
また、印刷レジストにより形成する場合は、金属膜上にスクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット等の方法でレジスト膜の網目パターンを印刷し、エッチング液により金属膜におけるレジスト被覆部以外をエッチングし、レジスト膜を剥離することにより金属膜の網目パターンを形成する。
【0058】
また、導電ペースト印刷により形成する場合は、金属微粒子を含む導電性ペースト、カーボンペースト等で透明基材上に網目パターンを印刷し、導電性の網目パターンを形成する。
【0059】
なお、導電部の入力者側の表面を低反射処理しておくと、金属の反射色が抑制され透光性電極の存在が目立たなくなる。上記低反射処理の具体例としては、化成処理やめっき処理等の表面処理が挙げられる。化成処理は、酸化処理、硫化処理することによって金属表面に低反射層を形成するものであり、例えば極細金属線の素材に銅を使用し、その表面に酸化処理によって酸化皮膜を形成すれば、極細金属線の断面寸法を減じることなくその極細金属線の表面を光反射防止性を備えた黒色に処理することができる。
【0060】
また、めっき処理として極細金属線に対して例えば黒色クロムめっきを施せば、極細金属線の表面を、光反射防止性を備えた黒色に処理することができる。また、高電流密度の銅めっきを施せば、茶褐色に処理することができる。
【0061】
また、上記低反射処理として電着塗料処理を用いることができる。
【0062】
上記加飾層3は、透光部パターン3aと遮光部パターン3bとを表示する。加飾層3は、例えば、携帯電話、デジタルカメラ、ポータブルプレーヤーの3次元カバーや、オーディオ、テレビ、洗濯機のフロントパネル等に用いられる筺体2に形成される、文字、数字、図形、記号、模様等を表現する層であり、光が透過する部分が透光部パターン3aであり、光が遮られる部分が遮光部パターン3bである(図1〜6参照)。加飾層3は、例えば着色インキ層として形成する。印刷層の材質としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。着色インキ層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法や塗装などを用いるとよい。
【0063】
また、上記加飾層3は金属薄膜層からなるもの、あるいは着色インキ層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜層は、金属色調、ハーフミラー調、玉虫色等の金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成する。この場合、表現したい金属光沢に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金又は化合物を使用する。なお、本発明の入力方式は静電容量型なので、導電性を有する金属薄膜層を用いた加飾層3を導電部透光性電極1の上方に設けると入力機能の停止を招くため、金属薄膜層用いた加飾層3は透光性電極1の下方に絶縁層を介して形成する必要がある。絶縁層としてはアクリル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、塩化ビニル等の透明樹脂、あるいは透明性のあるものであれば無機酸化物等でもよい。
【0064】
網目形状の透光性電極の形成領域11は少なくとも上記透光部パターン3aの一部に重複するようにする(図10参照)。すなわち、一部が重複していれば、透光部パターン3aであっても入力機能を有しない部分があってもよい。また逆に、透光性電極1の形成領域であっても照光しない部分があってもよい。
【0065】
上記筺体2は、携帯電話、デジタルカメラ、ポータブルプレーヤーの3次元カバーや、オーディオ、テレビ、洗濯機のフロントパネル等などに用いられるものであり、その材質としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂を使用することができる。
【0066】
上記光源4は、導光板を用いたサイドライト型の面光源4a(図11参照)や、薄膜型エレクトロルミネセンス(薄膜型EL)、発光ダイオード(LED)等を用いることができる。なお、上記導光板は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂など屈折率が高く、内部反射率が高い樹脂、またはこれらの樹脂に蛍光顔料などを加えて側面での集光率をさらに上げた集光性プラスチックなどを用いることができ、又その形状は平板に限定されない。また、上記導光板4bは、その背面側に光反射凹凸部4dや反射シート等の公知の光出射手段を備えている。また、上記薄膜型ELには、発光体にジアミン類などの有機物を使う有機ELや硫化亜鉛などの無機物を使う無機ELなどがある。
【0067】
上記透光カバー層5は、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などからなる透光性樹脂フィルム又は透光性樹脂板を用いることができる。
【0068】
また、図1〜6に示された実施形態には光源4、透光性電極1、加飾層3、筺体2、あるいはこれに透光カバー層5を加えたもののみしか描かれていないが、本発明の照光スイッチ付き筺体はこれらに限定されない。例えば、これらの積層体の各層間及び前後のうち少なくとも一つに透明樹脂層が単層又は複数層で配置されていてもよい。上記透明樹脂層としては、後述するインサート成形や貼着、成形同時転写に用いられる透明樹脂フィルムや透明樹脂板、接着層、剥離層、透明粘着剤層などがある。また、最前面に配置される透明樹脂層としては、後述するインサート成形や貼着に用いられる透明樹脂フィルムや透明樹脂板などがあり、当該最前面に配置される透明樹脂フィルムや透明樹脂板には低反射処理層や防汚処理層、ハードコート層が形成されていてもよい。
【0069】
上記低反射処理層は、例えばフッ素樹脂やシリコン樹脂などの低屈折率樹脂を用いた低反射材料を塗布したり、低反射処理の施されたフィルムを貼り付けたりする。
【0070】
また、上記防汚処理層は、例えばパーフルオロアルキル基を有する化合物を用いた防汚材料を塗布したり、防汚処理の施されたフィルムを貼り付けたりする。
【0071】
また、上記ハードコート層は、例えばえアクリル樹脂、シリコン樹脂、UV硬化樹脂などを用いたハードコート材料を塗布したり、ハードコート処理の施されたフィルムを貼り付けたりする。
【0072】
また、上記の低反射処理層、防汚処理層、ハードコート処理層は、これらのうちいくつかを組み合わせて形成してもよい。
【0073】
以下、上記構成の照光スイッチ付き筺体の製造方法について述べる。
【0074】
まず、サイドライト型の面光源を光源する照光スイッチ付き筺体の製造工程を説明する。最初にベースフィルム6上に透光部パターン3a及び遮光部パターン3bを表示する加飾層3が形成された加飾フィルム7(図12参照)と、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極1が形成された電極フィルム8(図13参照)と、サイドライト型の面光源に用いる導光板4b(図11参照)を用意し、これら全ての要素を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体2を成形すると同時に当該筺体に前記要素を一体化させ(所謂、インサート成形)、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物の導光板側面にサイドライトを配置することによって前記第一乃至第六実施態様の照光スイッチ付き筺体を得る。
【0075】
上記加飾フィルムや電極フィルムのベースフィルムの材質としては、例えば、厚み25μm〜250μmのポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などからなる透光性樹脂フィルムを用いることができる。なお、このベースフィルムは透光カバー層5を兼ねることができる。
【0076】
また、筺体2と一体化される要素について筺体2との界面には接着層が形成されてもよい。接着層としては、接着対象に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。たとえば、接着対象の材質がポリアクリル系樹脂の場合はポリアクリル系樹脂を用いるとよい。また、接着対象の材質がポリフェニレンオキシド共重合体ポリスチレン系共重合体樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに接着対象の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0077】
なお、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせる。これは、後述するいずれのインサート成形においても同様である。上記貼り合わせに用いる透明粘着剤層又は透明接着剤層の材料としては,アクリル酸系、ウレタン系、シリコン系、酢酸ビニル系の粘着剤又は接着剤などが使用可能である。
【0078】
また、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、サイドライト型の面光源に用いる導光板を用意し、これらのうち1要素又は2要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置し、さらに導光板側面にサイドライトを設置することによって前記第一乃至第六実施態様の照光スイッチ付き筺体を得るようにしてもよい。
【0079】
次に、薄膜型エレクトロルミネセンスを光源する照光スイッチ付き筺体の製造工程を説明する。最初に、ベースフィルム6上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層3が形成された加飾フィルム7と、ベースフィルム6上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極1が形成された電極フィルム8と、薄膜型エレクトロルミネセンスを用意し、これら全ての要素を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記要素を一体化させることにより、前記第一乃至第六実施態様の照光スイッチ付き筺体を得る。
【0080】
また、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、薄膜型エレクトロルミネセンスを用意し、これらのうち1要素又は2要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置することによって前記第一乃至第六実施態様の照光スイッチ付き筺体を得るようにしてもよい。
【0081】
また、発光ダイオードなどの点光源を光源する照光スイッチ付き筺体の製造工程を説明する。最初に、ベースフィルム6上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層3が形成された加飾フィルム7と、ベースフィルム6上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極1が形成された電極フィルム8を用意し、これら両要素をあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせて射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に点光源を設置することによって前記第一乃至第六実施態様の照光スイッチ付き筺体を得る。
【0082】
また、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムを用意し、これらのうち1要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置し、さらに点光源を設置することによって前記第一乃至第六実施態様の照光スイッチ付き筺体を得るようにしてもよい。
【0083】
なお、前記製造方法の説明中、一体成形物に残りの要素や光源を設置するとあるが、この設置手段としては貼着や留め具を用いた固定などが可能である。
【0084】
また、上記ベースフィルムの少なくとも一つに代えて、透光性樹脂板を用いてもよい。例えば、厚み400μm〜1mmのポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などからなる透光性樹脂板を用いることができる。なお、このベースフィルムに代える透光性樹脂板は透光カバー層5を兼ねることができる。
【0085】
また、一体成形物の最外層となる上記ベースフィルムのうち少なくとも一つが剥離性を有し、射出成形後に剥離除去されるようにしてもよい。いわゆる成形同時転写である。なお、剥離除去されるベースフィルムについては透光性である必要はない。
【0086】
ベースフィルムに剥離性を付与するには、透光性電極1又は加飾層3を形成する前に離型層を全面的に形成してもよい。離型層は、射出成形後に透光性フィルムを剥離した際に、透光性フィルムとともに透光性電極1や加飾層3から離型する層である。離型層の材質としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤およびこれらの複合型離型剤などを用いることができる。離型層の形成方法としては、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0087】
また、ベースフィルムに剥離性を付与するには、透光性電極1又は加飾層3を形成する前に剥離層を全面的に形成してもよい。剥離層は、射出成形後に透光性フィルムを剥離した際に、基体シートまたは離型層から剥離して被転写物の最外面となる層である。剥離層の材質としては、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などのほか、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂などのコポリマーを用いるとよい。剥離層に硬度が要求される場合には、紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを選定して用いるとよい。剥離層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0088】
なお、ここまで照光スイッチ付き筺体の製造方法においてはインサート成形又は成形同時転写を使用しているが、これらを用いず、あらかじめ成形しておいた筺体2を用いて加飾フィルム7及び電極フィルム8と貼り合わせることにより照光スイッチ付き筺体の製造するようにしてもよい。
【0089】
上記加飾フィルムと上記電極フィルムとが一つのベースフィルムを共用し1つの要素となり、当該ベースフィルムの同じ側の面又は別々の面に加飾層及び透光性電極が形成されているようにしてもよい。
【実施例】
【0090】
<実施例1>
厚さ130μmの透明なポリカーボネートフィルム上に、両面に化成処理を施すことで低反射処された厚さ12μmの銅箔を透明接着剤で接着し、フォトリソグラフィによって網目パターンからなるレジスト層を所定領域に形成し、化学エッチングを行うことで網目形状を透光性電極とし、電極フィルムを得た。上記透光性電極は、網目の開口が正六角形となるように導電部の線幅が25μm、一つの網目における一辺の長さが500μmに設定されており、周縁部の一部には電極端子のための非開口部が形成されている。上記透光性電極の光線透過率は78%であり、透光性電極の4端子法による表面抵抗値が0.6Ω/cm2であった。
【0091】
また、厚さ130ミクロンのポリカーボネートフィルム上に、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムを得た。この透光部パターン及び遮光部パターンは、遮光部のみに黒色のおさえ印刷を施し、その上に透光部及び遮光部の全面に亘って木目柄の印刷を施したものである。
【0092】
また、厚さ0.4mmのポリカーボネート製樹脂板の背面に光反射凹凸部を形成し、その背面側に反射シートを樹脂板の一辺において貼着してサイドライト型の面光源に用いる導光板を得た。
【0093】
次に、上記加飾フィルムと、電極フィルムと、サイドライト型の面光源に用いる導光板をポリアクリル酸からなる透明粘着剤を用いて、下から反射シート、ポリカーボネート製樹脂板、透明なポリカーボネートフィルム、黒色おさえ印刷層、木目柄印刷層、透明なポリカーボネートフィルム、透光性電極の順で積層するように貼り合わせた。
【0094】
次いで、上記積層体を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内にポリカーボネート樹脂を射出することによって厚み1mmで前面が膨らんだパネル状の筺体を成形すると同時に、当該筺体の裏面に前記積層体を一体化させた。
【0095】
型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物の導光板側面にサイドライトとしてチップ型LEDを配置することによって照光スイッチ付き筺体を得た。
【0096】
このようにして作製した照光スイッチ付き筺体をエアコンの操作パネル部に組み込み、静電容量型タッチパネルとして働く透光性電極と外部のタッチ位置検知回路(ドライバー)とを接続した。この操作パネル部は、非照光時は入力者側から見ても木目模様が見えるのみで、スイッチの存在を認識することはできないものである。エアコンのメイン電源をONにするとスイッチ部の光源が発光し、木目模様の中にスイッチパターンが光って現れ、光るスイッチ部に触れたところ、誤作動なくエアコンの風量、設定温度等の機能が操作できた。
【0097】
<実施例2>
厚さ188μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルム上に、めっき触媒を分散させた透明アンカー層を形成した後、無電解銅ニッケルめっき、電気銅めっきの順にめっきを行うことにより厚さ8μmの金属導電層を形成し、表面を化成処理により低反射処理した。この金属導電層にフォトリソグラフィによって網目パターンからなるレジスト層を形成し、化学エッチングを行うことで網目形状を透光性電極とし、電極フィルムを得た。上記透光性電極は、網目の開口が長方形となるように導電部の線幅が15μm,一つの網目における短辺の長さが380μm、長辺の長さが400μmにそれぞれ設定されており周縁部の一部には電極端子のための非開口部が形成されている。上記透光性電極の光線透過率は78%であり、透光性電極の4端子法による表面抵抗値が0.5Ω/cm2であった。
【0098】
また、厚さ130ミクロンのポリカーボネートフィルム上に、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムを得た。この透光部パターン及び遮光部パターンは、遮光部のみに黒色のおさえ印刷を施し、その上に透光部及び遮光部の全面に亘って全面シルバーメタリックの印刷を施したものである。
【0099】
次に、上記加飾フィルム、電極フィルムをポリウレタン系樹脂からなる透明粘着剤を用いて、下から透光性電極、透明なポリカーボネートフィルム、黒色おさえ印刷層、シルバーメタリック印刷層の順で積層するように貼り合わせた。
【0100】
次いで、上記積層体を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内にポリカーボネート樹脂を射出することによって厚み2mmでパネル状の筺体を成形すると同時に、当該筺体の裏面に前記積層体を一体化させた。
【0101】
型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物の背後に点光源として砲弾型LEDを設置することによって照光スイッチ付き筺体を得た。
【0102】
このようにして作製した照光スイッチ付き筺体をCDラジカセの操作パネル部に組み込み、静電容量型タッチパネルとして働く透光性電極と外部のタッチ位置検知回路(ドライバー)とを接続した。この操作パネル部は、非照光時は入力者側から見てもメタリック柄が見えるのみで、スイッチの存在を認識することはできないものである。CDラジカセのメイン電源をONにするとスイッチ部の光源が発光し、メタリック柄の中にスイッチパターンが光って現れ、光るスイッチ部に触れたところ、誤作動なく音量、選曲等の機能が操作できた。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の照光スイッチ付き筺体を説明する分解断面図である。
【図2】本発明の照光スイッチ付き筺体を説明する分解断面図である。
【図3】本発明の照光スイッチ付き筺体を説明する分解断面図である。
【図4】本発明の照光スイッチ付き筺体を説明する分解断面図である。
【図5】本発明の照光スイッチ付き筺体を説明する分解断面図である。
【図6】本発明の照光スイッチ付き筺体を説明する分解断面図である。
【図7】網目形状の基本パターンを示す要部拡大図である。
【図8】網目形状の変形パターンを示す要部拡大図である。
【図9】網目形状の別の変形パターンを示す要部拡大図である。
【図10】網目形状の透光性電極の形成領域と透光部パターンとの重複関係の一例を示す説明図である。
【図11】導光板を用いたサイドライト型の面光源の一例を示す断面図である。
【図12】加飾フィルムの一実施例を説明する図である。
【図13】電極フィルムの一実施例を説明する図である。
【図14】従来の静電容量型タッチパネルの構成を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0104】
1 透光性電極
1i,1j,1k,1l,1m 極細金属線
2 筺体
3 加飾層
3a 透光部パターン
3b 遮光部パターン
4 光源
4a サイドライト型の面光源
4b 導光板
4c サイドライト
4d 光反射凹凸部
5 透光カバー層
6 ベースフィルム
7 加飾フィルム
8 電極フィルム
11 透光性電極の形成領域
20 透明基板
21 透明導電膜(電極)
22 電極端子
23 中間保護膜
24 グレア防止膜(防眩膜)
25 保護膜
C 開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力不良による誤作動のない照光スイッチ付き筺体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話、デジタルカメラ、ポータブルプレーヤーの3次元カバーや、オーディオ、テレビ、洗濯機のフロントパネル等などに用いられる筺体には、照光部を備えたものがよく知られている。
【0003】
一方、表示された選択肢を指で選択して入力する手段の一つとして、静電容量型のタッチパネルが知られている。この静電容量型のタッチパネルの一般的な構成は、特許文献1に示されるように、透明基板20の全面に所定の面抵抗値をもつ透明導電膜21が電極として設けられ、該透明導電膜21の周縁部には一定のピッチで電極端子22が設けられ、この電極端子22を介して透明導電膜21と図示しない外部のタッチ位置検知回路とが接続されている(図14参照)。透明導電膜21上の任意の点(座標)に指を触れる(タッチする)と、透明導電膜21はタッチされた点で人体の静電容量を介して接地され、各電極端子と接地ラインとの間の抵抗値に変化が生じる。この変化がタッチ位置検知回路によって検知され、これによってパネル上の座標が入力される。
【0004】
また、上記静電容量型のタッチパネルは、指を透明導電膜21に直接触れなくても透明導電膜21上の任意の点(座標)に位置させるだけで入力可能であるので、例えば図示したように、透明導電膜21上に、中間保護膜23、グレア防止膜(防眩膜)24、及び保護膜25などを順に積層し、保護膜25の表面をタッチ面STとすることができる。また、透明導電膜21上に強化ガラスや透明樹脂板等のリジッドな透明部材を配置することでより堅牢なタッチパネルを得ることもできる。
【0005】
したがって、上記静電容量型のタッチパネルは指を透明導電膜に直接触れなくても透明導電膜上の任意の点(座標)に位置させるだけで入力可能であるので、上記照光部を備えた筺体の内側にタッチパネルを配置し、該タッチパネルを介して照光するようにすれば、照光部においても入力を行なうことも可能ではある。
【特許文献2】特開平05−324203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の静電容量型のタッチパネルの透明導電膜に用いられるITOは導電性が低いために、保護目的の層が設けられて透明導電膜の表面に直接入力者の指が触れない構成の場合はどうしても感度が悪くなる。厚みが厚い場合はなおさらである。感度が悪くなると、確実に入力できない場合が生じ、誤作動の原因となるという問題がある。
【0007】
したがって、本発明は、上記したような問題点を解消し、入力不良による誤作動のない照光スイッチ付き筺体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが透光性電極、加飾層、筺体の順で積層され、その透光性電極側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されるように構成した(第一実施態様)。
【0009】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが加飾層、透光性電極、筺体の順で積層され、その加飾層側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されるように構成した(第二実施態様)。
【0010】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが透光性電極、筺体、加飾層の順で積層され、その透光性電極側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されるように構成した(第三実施態様)。
【0011】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが筺体、透光性電極、加飾層の順で積層され、その筺体側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されるように構成した(第四実施態様)。
【0012】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極と、透光性電極を保護する透光カバー層とが加飾層、筺体、透光性電極、透光カバー層の順で積層され、その加飾層側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されるように構成した(第五実施態様)。
【0013】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極と、透光性電極を保護する透光カバー層とが筺体、加飾層、透光性電極、透光カバー層の順で積層され、その筺体側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されるように構成した(第六実施態様)。
【0014】
また、上記積層体の各層間及び前後のうち少なくとも一つに透明樹脂層が単層又は複数層で配置された第一乃至第六実施態様のいずれかをとるように構成した。
【0015】
また、上記各構成において、上記光源が導光板を用いたサイドライト型の面光源であるように構成した。
【0016】
また、上記各構成において、上記光源が薄膜型エレクトロルミネセンスであるように構成した。
【0017】
また、上記各構成において、上記光源が点光源であるように構成した。
【0018】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体の製造方法は、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、サイドライト型の面光源に用いる導光板を用意し、これら全ての要素を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物の導光板側面にサイドライトを配置することにより、上記第一乃至第六実施態様のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせることを特徴とする照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【0019】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体の製造方法は、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、サイドライト型の面光源に用いる導光板を用意し、これらのうち1要素又は2要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置し、さらに導光板側面にサイドライトを設置することによって上記第一乃至第六実施態様のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせるように構成した。
【0020】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体の製造方法は、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、薄膜型エレクトロルミネセンスを用意し、これら全ての要素を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記要素を一体化させることにより、上記第一乃至第六実施態様のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせるように構成した。
【0021】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体の製造方法は、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、薄膜型エレクトロルミネセンスを用意し、これらのうち1要素又は2要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置することによって上記第一乃至第六実施態様のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせるように構成した。
【0022】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体の製造方法は、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムを用意し、これら両要素をあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせて射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に点光源を設置することによって上記第一乃至第六実施態様のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体を得るように構成した。
【0023】
また、本発明の照光スイッチ付き筺体の製造方法は、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムを用意し、これらのうち1要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置し、さらに点光源を設置することによって上記第一乃至第六実施態様のいずれかにに記載の照光スイッチ付き筺体を得るように構成した。
【0024】
また、前段落を除く上記製造方法の各構成において、上記加飾フィルムと上記電極フィルムとが一つのベースフィルムを共用し1つの要素となり、当該ベースフィルムの同じ側の面又は別々の面に加飾層および透光性電極が形成されているように構成した。
【0025】
また、上記製造方法の各構成において、一体成形物の最外層を構成する上記ベースフィルムのうち少なくとも一つが剥離性を有し、射出成形後に剥離除去されるように構成した。
【0026】
また、上記製造方法の各構成において、上記ベースフィルムの少なくとも一つに代えて、透光性樹脂板を用いるように構成した。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ITOなどの透明導電膜を用いずとも電極の透光性が確保され、且つ入力感度が向上する低抵抗を実現できるので、照光部を備えた筺体に静電容量方式の入力手段を付加しスイッチ部分を照光するようにした照光スイッチ付き筺体において、入力不良による誤作動が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0029】
図1〜6は、本発明の照光スイッチ付き筺体を説明する分解断面図である。
【0030】
図1〜4において、照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極1とが積層され、その背後に透光部パターンを光らせる光源が配置されている。
【0031】
さらに詳しく言えば、図1は、光源側から、透光性電極1、加飾層3、筺体2の順で積層されている(第一実施態様)。
【0032】
また図2は、光源側から、加飾層3、透光性電極1、筺体2の順で積層されている(第二実施態様)。
【0033】
また図3は、光源側から、透光性電極1、筺体2、加飾層3の順で積層されている(第三実施態様)。
【0034】
また図4は、光源側から、筺体2、透光性電極1、加飾層3の順で積層されている(第四実施態様)。
【0035】
また、図5〜6において、照光スイッチ付き筺体は、透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極と、透光性電極を保護する透光カバー層とが積層され、その背後に透光部パターンを光らせる光源が配置されている。
【0036】
さらに詳しく言えば、図5は、光源側から、加飾層3、筺体2、透光性電極1、透光カバー層5の順で積層されている(第五実施態様)。
【0037】
また図6は、光源側から、筺体2、加飾層3、透光性電極1、透光カバー層5の順で積層されている(第六実施態様)。
【0038】
上記透光性電極1は、各網目の輪郭が極細帯で構成され、この極細帯の帯幅が50μm以下であるとともに、電極の全光線透過率が50%以上であり、なおかつ電極の4端子法による表面抵抗値が1Ω/cm2以下であるものである。より好ましくは、極細帯の帯幅が30μm以下、電極の全光線透過率が70%以上である。
【0039】
また、上記透光性電極1の材質としては、銀、銅、アルミニウム、金、ニッケル、ステンレス鋼等の金属膜、またはこれらの金属微粒子を含有する導電性ペースト材、カーボンペースト材等が用いられ、金属薄膜のフォトエッチング、印刷レジストによるエッチング、または導電ペーストの印刷等により幾何学図形からなる多数の開口部Cを持つ導電パターンが形成される。導電性が高く、安価な点から銅或いは銅合金が好ましい。
【0040】
透光性電極1の導電部は、開口部Cを形成した状態で4端子法による表面抵抗値が1Ω/cm2以下となるように、使用する材質、厚みが決定される。1Ω/cm2以下であれば、電極の前面に厚みの大きい板を配置しても、また電極の前面に隙間をあけて前面板を配置しても感度が良く、誤作動のない入力機能を付与することが可能である。
【0041】
上記網目開口の形状は、多角形で構成するのが好ましい。多角形でないもの、例えば円形や楕円形の開口を設けたものでは、開口を最大限密に並べて配置しても開口同士の間に太帯部分ができてしまうことから、その太帯部分が目立つとともに光線透過率を低下させる要因となるからである。また、三角形、四角形、六角形等の図形のうち、一種類あるいはそれらの複数種類の組み合わせで構成することができるが、一種類の図形からなる網目を規則正しく配列されたものの方が目立ちにくいという利点がある。
【0042】
図7〜図9は上記網目構造の一部を拡大して示したものである。
【0043】
図7に示す電極の網目パターンは、X方向およびY方向に伸びる直線状の透光性電極1の導電部が格子状に形成されており、電極における光線透過率が50%以上確保できるようになっている。
【0044】
透明性の尺度である上記光線透過率とは、特定の色温度をもった光源から出たあらゆる波長の光が試料面を通過した全光量を対象とする全光線透過率を意味する。また、光線透過率が50%を下回ると、照光時に透光性電極1の導電部が暗く見えてしまう。そのため、その存在が目障りになる。より好ましい光線透過率は70%以上である。
【0045】
上記光線透過率は日本電色工業社製の分光測定器(型番NDH2000)を用いて測定したものである。ただし、空気層における光線透率100%を基準としている。
【0046】
また、方形の輪郭を形取るX方向の極細金属線(極細帯)1iおよびY方向の極細金属線(極細帯)1jの線幅wはそれぞれ50μm以下の等幅に形成されている。線幅wが50μmを上回ると、照光時に電極の網目が目立ってしまい、且つデザイン性も悪くなる。線幅wが50μm以下であると、照光時に電極の存在が認識されにくい。より好ましい線幅wは30μm以下である。なお、極細金属線の膜厚は、線幅w/膜厚tのアスペクト比が0.5以上になるようにすると、精度の良い電極のパターンを作りやすくなる。
【0047】
本実施形態において、電極の光線透過率は、上記極細金属線1iおよび1jの線幅とそれら極細金属線1iおよび1jで囲まれることによって形成される開口部Cのサイズとの組み合わせを選択することによって50%以上の光線透過率を確保できるようにしている。より好ましい光線透過率は70%以上である。
【0048】
図8に示す電極の網目パターンは、六角形を核としX方向およびYa方向、b方向に連続させたものである。
【0049】
六角形の輪郭となる極細金属線1kの線幅wは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。
【0050】
図9に示す電極の網目パターンは、梯子形を核としX方向およびY方向に連続させたものである。梯子形の輪郭となる極細金属線1lおよび1mの線幅wはそれぞれ50μm以下、より好ましくは30μm以下である。
【0051】
このように電極の網目パターンは、矩形が核となって連続するもの、多角形が核となって連続するもの、梯子形が核となって連続するものが示される。
【0052】
このなかでも特に正方形が核となって連続するものは、他の多角形状に比べて電極の網目パターンが筋状に認識され難いので好ましい。
【0053】
つまり、或る形状が核となって規則的に連続するパターンを見たとき、その核(開口)
の連続する方向に沿って輪郭が連続する筋状に見える傾向がある。例えば六角形が核となったものの場合では、その連続方向に沿った上記極細帯の線がジグザグとなる為に、このジグザグの振幅の分だけ太く見えてしまい、結果として極細帯が膨張した状態に見えてしまう。この点において上記正方形が核となって連続するものの場合は、連続方向に沿った極細帯の線が真っ直ぐとなるから、本来の幅よりも太く見える懸念がなく、前述の様に極細帯は30μm以下と非常に細いので、その存在が認識され難く、網目パターンが目立たない。
【0054】
また長方形が核となって連続するものの場合では、この長方形の長辺方向と短辺方向のピッチが違うので、全体を見たときに、長辺方向に比べてピッチの短い短辺方向が濃く現れ、これが筋状となってちらついて見える傾向にあるが、上記正方形が核となって連続するものでは、この様な筋状は現れず、目立たない。尚上記正方形には、完全に角張った正方形に限らず、面取りされた正方形も含まれる。
【0055】
上記網目パターンの形成方法としては、例えば金属薄膜のフォトリソグラフィを用いたエッチングによって、または印刷レジストによるエッチングによって、さらにまた、導電樹脂ペースト材の印刷等の方法によってそれぞれ形成することができる。上記エッチングする金属薄膜は、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法や金属箔の貼り合わせなどで形成する。
【0056】
上記網目パターンをフォトエッチングにより形成する場合、金属膜上にフォトレジスト膜を形成しフォトマスクを用いて露光し、現像液で現像することによりレジスト膜の網目パターンを形成する。これをエッチング液によりエッチングし、レジスト膜を剥離除去することにより極細金属線からなる網目パターンを形成する。
【0057】
また、印刷レジストにより形成する場合は、金属膜上にスクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット等の方法でレジスト膜の網目パターンを印刷し、エッチング液により金属膜におけるレジスト被覆部以外をエッチングし、レジスト膜を剥離することにより金属膜の網目パターンを形成する。
【0058】
また、導電ペースト印刷により形成する場合は、金属微粒子を含む導電性ペースト、カーボンペースト等で透明基材上に網目パターンを印刷し、導電性の網目パターンを形成する。
【0059】
なお、導電部の入力者側の表面を低反射処理しておくと、金属の反射色が抑制され透光性電極の存在が目立たなくなる。上記低反射処理の具体例としては、化成処理やめっき処理等の表面処理が挙げられる。化成処理は、酸化処理、硫化処理することによって金属表面に低反射層を形成するものであり、例えば極細金属線の素材に銅を使用し、その表面に酸化処理によって酸化皮膜を形成すれば、極細金属線の断面寸法を減じることなくその極細金属線の表面を光反射防止性を備えた黒色に処理することができる。
【0060】
また、めっき処理として極細金属線に対して例えば黒色クロムめっきを施せば、極細金属線の表面を、光反射防止性を備えた黒色に処理することができる。また、高電流密度の銅めっきを施せば、茶褐色に処理することができる。
【0061】
また、上記低反射処理として電着塗料処理を用いることができる。
【0062】
上記加飾層3は、透光部パターン3aと遮光部パターン3bとを表示する。加飾層3は、例えば、携帯電話、デジタルカメラ、ポータブルプレーヤーの3次元カバーや、オーディオ、テレビ、洗濯機のフロントパネル等に用いられる筺体2に形成される、文字、数字、図形、記号、模様等を表現する層であり、光が透過する部分が透光部パターン3aであり、光が遮られる部分が遮光部パターン3bである(図1〜6参照)。加飾層3は、例えば着色インキ層として形成する。印刷層の材質としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。着色インキ層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法や塗装などを用いるとよい。
【0063】
また、上記加飾層3は金属薄膜層からなるもの、あるいは着色インキ層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜層は、金属色調、ハーフミラー調、玉虫色等の金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成する。この場合、表現したい金属光沢に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金又は化合物を使用する。なお、本発明の入力方式は静電容量型なので、導電性を有する金属薄膜層を用いた加飾層3を導電部透光性電極1の上方に設けると入力機能の停止を招くため、金属薄膜層用いた加飾層3は透光性電極1の下方に絶縁層を介して形成する必要がある。絶縁層としてはアクリル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、塩化ビニル等の透明樹脂、あるいは透明性のあるものであれば無機酸化物等でもよい。
【0064】
網目形状の透光性電極の形成領域11は少なくとも上記透光部パターン3aの一部に重複するようにする(図10参照)。すなわち、一部が重複していれば、透光部パターン3aであっても入力機能を有しない部分があってもよい。また逆に、透光性電極1の形成領域であっても照光しない部分があってもよい。
【0065】
上記筺体2は、携帯電話、デジタルカメラ、ポータブルプレーヤーの3次元カバーや、オーディオ、テレビ、洗濯機のフロントパネル等などに用いられるものであり、その材質としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂を使用することができる。
【0066】
上記光源4は、導光板を用いたサイドライト型の面光源4a(図11参照)や、薄膜型エレクトロルミネセンス(薄膜型EL)、発光ダイオード(LED)等を用いることができる。なお、上記導光板は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂など屈折率が高く、内部反射率が高い樹脂、またはこれらの樹脂に蛍光顔料などを加えて側面での集光率をさらに上げた集光性プラスチックなどを用いることができ、又その形状は平板に限定されない。また、上記導光板4bは、その背面側に光反射凹凸部4dや反射シート等の公知の光出射手段を備えている。また、上記薄膜型ELには、発光体にジアミン類などの有機物を使う有機ELや硫化亜鉛などの無機物を使う無機ELなどがある。
【0067】
上記透光カバー層5は、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などからなる透光性樹脂フィルム又は透光性樹脂板を用いることができる。
【0068】
また、図1〜6に示された実施形態には光源4、透光性電極1、加飾層3、筺体2、あるいはこれに透光カバー層5を加えたもののみしか描かれていないが、本発明の照光スイッチ付き筺体はこれらに限定されない。例えば、これらの積層体の各層間及び前後のうち少なくとも一つに透明樹脂層が単層又は複数層で配置されていてもよい。上記透明樹脂層としては、後述するインサート成形や貼着、成形同時転写に用いられる透明樹脂フィルムや透明樹脂板、接着層、剥離層、透明粘着剤層などがある。また、最前面に配置される透明樹脂層としては、後述するインサート成形や貼着に用いられる透明樹脂フィルムや透明樹脂板などがあり、当該最前面に配置される透明樹脂フィルムや透明樹脂板には低反射処理層や防汚処理層、ハードコート層が形成されていてもよい。
【0069】
上記低反射処理層は、例えばフッ素樹脂やシリコン樹脂などの低屈折率樹脂を用いた低反射材料を塗布したり、低反射処理の施されたフィルムを貼り付けたりする。
【0070】
また、上記防汚処理層は、例えばパーフルオロアルキル基を有する化合物を用いた防汚材料を塗布したり、防汚処理の施されたフィルムを貼り付けたりする。
【0071】
また、上記ハードコート層は、例えばえアクリル樹脂、シリコン樹脂、UV硬化樹脂などを用いたハードコート材料を塗布したり、ハードコート処理の施されたフィルムを貼り付けたりする。
【0072】
また、上記の低反射処理層、防汚処理層、ハードコート処理層は、これらのうちいくつかを組み合わせて形成してもよい。
【0073】
以下、上記構成の照光スイッチ付き筺体の製造方法について述べる。
【0074】
まず、サイドライト型の面光源を光源する照光スイッチ付き筺体の製造工程を説明する。最初にベースフィルム6上に透光部パターン3a及び遮光部パターン3bを表示する加飾層3が形成された加飾フィルム7(図12参照)と、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極1が形成された電極フィルム8(図13参照)と、サイドライト型の面光源に用いる導光板4b(図11参照)を用意し、これら全ての要素を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体2を成形すると同時に当該筺体に前記要素を一体化させ(所謂、インサート成形)、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物の導光板側面にサイドライトを配置することによって前記第一乃至第六実施態様の照光スイッチ付き筺体を得る。
【0075】
上記加飾フィルムや電極フィルムのベースフィルムの材質としては、例えば、厚み25μm〜250μmのポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などからなる透光性樹脂フィルムを用いることができる。なお、このベースフィルムは透光カバー層5を兼ねることができる。
【0076】
また、筺体2と一体化される要素について筺体2との界面には接着層が形成されてもよい。接着層としては、接着対象に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。たとえば、接着対象の材質がポリアクリル系樹脂の場合はポリアクリル系樹脂を用いるとよい。また、接着対象の材質がポリフェニレンオキシド共重合体ポリスチレン系共重合体樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに接着対象の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0077】
なお、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせる。これは、後述するいずれのインサート成形においても同様である。上記貼り合わせに用いる透明粘着剤層又は透明接着剤層の材料としては,アクリル酸系、ウレタン系、シリコン系、酢酸ビニル系の粘着剤又は接着剤などが使用可能である。
【0078】
また、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、サイドライト型の面光源に用いる導光板を用意し、これらのうち1要素又は2要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置し、さらに導光板側面にサイドライトを設置することによって前記第一乃至第六実施態様の照光スイッチ付き筺体を得るようにしてもよい。
【0079】
次に、薄膜型エレクトロルミネセンスを光源する照光スイッチ付き筺体の製造工程を説明する。最初に、ベースフィルム6上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層3が形成された加飾フィルム7と、ベースフィルム6上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極1が形成された電極フィルム8と、薄膜型エレクトロルミネセンスを用意し、これら全ての要素を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記要素を一体化させることにより、前記第一乃至第六実施態様の照光スイッチ付き筺体を得る。
【0080】
また、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、薄膜型エレクトロルミネセンスを用意し、これらのうち1要素又は2要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置することによって前記第一乃至第六実施態様の照光スイッチ付き筺体を得るようにしてもよい。
【0081】
また、発光ダイオードなどの点光源を光源する照光スイッチ付き筺体の製造工程を説明する。最初に、ベースフィルム6上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層3が形成された加飾フィルム7と、ベースフィルム6上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極1が形成された電極フィルム8を用意し、これら両要素をあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせて射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に点光源を設置することによって前記第一乃至第六実施態様の照光スイッチ付き筺体を得る。
【0082】
また、ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムを用意し、これらのうち1要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置し、さらに点光源を設置することによって前記第一乃至第六実施態様の照光スイッチ付き筺体を得るようにしてもよい。
【0083】
なお、前記製造方法の説明中、一体成形物に残りの要素や光源を設置するとあるが、この設置手段としては貼着や留め具を用いた固定などが可能である。
【0084】
また、上記ベースフィルムの少なくとも一つに代えて、透光性樹脂板を用いてもよい。例えば、厚み400μm〜1mmのポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などからなる透光性樹脂板を用いることができる。なお、このベースフィルムに代える透光性樹脂板は透光カバー層5を兼ねることができる。
【0085】
また、一体成形物の最外層となる上記ベースフィルムのうち少なくとも一つが剥離性を有し、射出成形後に剥離除去されるようにしてもよい。いわゆる成形同時転写である。なお、剥離除去されるベースフィルムについては透光性である必要はない。
【0086】
ベースフィルムに剥離性を付与するには、透光性電極1又は加飾層3を形成する前に離型層を全面的に形成してもよい。離型層は、射出成形後に透光性フィルムを剥離した際に、透光性フィルムとともに透光性電極1や加飾層3から離型する層である。離型層の材質としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤およびこれらの複合型離型剤などを用いることができる。離型層の形成方法としては、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0087】
また、ベースフィルムに剥離性を付与するには、透光性電極1又は加飾層3を形成する前に剥離層を全面的に形成してもよい。剥離層は、射出成形後に透光性フィルムを剥離した際に、基体シートまたは離型層から剥離して被転写物の最外面となる層である。剥離層の材質としては、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などのほか、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂などのコポリマーを用いるとよい。剥離層に硬度が要求される場合には、紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを選定して用いるとよい。剥離層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0088】
なお、ここまで照光スイッチ付き筺体の製造方法においてはインサート成形又は成形同時転写を使用しているが、これらを用いず、あらかじめ成形しておいた筺体2を用いて加飾フィルム7及び電極フィルム8と貼り合わせることにより照光スイッチ付き筺体の製造するようにしてもよい。
【0089】
上記加飾フィルムと上記電極フィルムとが一つのベースフィルムを共用し1つの要素となり、当該ベースフィルムの同じ側の面又は別々の面に加飾層及び透光性電極が形成されているようにしてもよい。
【実施例】
【0090】
<実施例1>
厚さ130μmの透明なポリカーボネートフィルム上に、両面に化成処理を施すことで低反射処された厚さ12μmの銅箔を透明接着剤で接着し、フォトリソグラフィによって網目パターンからなるレジスト層を所定領域に形成し、化学エッチングを行うことで網目形状を透光性電極とし、電極フィルムを得た。上記透光性電極は、網目の開口が正六角形となるように導電部の線幅が25μm、一つの網目における一辺の長さが500μmに設定されており、周縁部の一部には電極端子のための非開口部が形成されている。上記透光性電極の光線透過率は78%であり、透光性電極の4端子法による表面抵抗値が0.6Ω/cm2であった。
【0091】
また、厚さ130ミクロンのポリカーボネートフィルム上に、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムを得た。この透光部パターン及び遮光部パターンは、遮光部のみに黒色のおさえ印刷を施し、その上に透光部及び遮光部の全面に亘って木目柄の印刷を施したものである。
【0092】
また、厚さ0.4mmのポリカーボネート製樹脂板の背面に光反射凹凸部を形成し、その背面側に反射シートを樹脂板の一辺において貼着してサイドライト型の面光源に用いる導光板を得た。
【0093】
次に、上記加飾フィルムと、電極フィルムと、サイドライト型の面光源に用いる導光板をポリアクリル酸からなる透明粘着剤を用いて、下から反射シート、ポリカーボネート製樹脂板、透明なポリカーボネートフィルム、黒色おさえ印刷層、木目柄印刷層、透明なポリカーボネートフィルム、透光性電極の順で積層するように貼り合わせた。
【0094】
次いで、上記積層体を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内にポリカーボネート樹脂を射出することによって厚み1mmで前面が膨らんだパネル状の筺体を成形すると同時に、当該筺体の裏面に前記積層体を一体化させた。
【0095】
型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物の導光板側面にサイドライトとしてチップ型LEDを配置することによって照光スイッチ付き筺体を得た。
【0096】
このようにして作製した照光スイッチ付き筺体をエアコンの操作パネル部に組み込み、静電容量型タッチパネルとして働く透光性電極と外部のタッチ位置検知回路(ドライバー)とを接続した。この操作パネル部は、非照光時は入力者側から見ても木目模様が見えるのみで、スイッチの存在を認識することはできないものである。エアコンのメイン電源をONにするとスイッチ部の光源が発光し、木目模様の中にスイッチパターンが光って現れ、光るスイッチ部に触れたところ、誤作動なくエアコンの風量、設定温度等の機能が操作できた。
【0097】
<実施例2>
厚さ188μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルム上に、めっき触媒を分散させた透明アンカー層を形成した後、無電解銅ニッケルめっき、電気銅めっきの順にめっきを行うことにより厚さ8μmの金属導電層を形成し、表面を化成処理により低反射処理した。この金属導電層にフォトリソグラフィによって網目パターンからなるレジスト層を形成し、化学エッチングを行うことで網目形状を透光性電極とし、電極フィルムを得た。上記透光性電極は、網目の開口が長方形となるように導電部の線幅が15μm,一つの網目における短辺の長さが380μm、長辺の長さが400μmにそれぞれ設定されており周縁部の一部には電極端子のための非開口部が形成されている。上記透光性電極の光線透過率は78%であり、透光性電極の4端子法による表面抵抗値が0.5Ω/cm2であった。
【0098】
また、厚さ130ミクロンのポリカーボネートフィルム上に、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムを得た。この透光部パターン及び遮光部パターンは、遮光部のみに黒色のおさえ印刷を施し、その上に透光部及び遮光部の全面に亘って全面シルバーメタリックの印刷を施したものである。
【0099】
次に、上記加飾フィルム、電極フィルムをポリウレタン系樹脂からなる透明粘着剤を用いて、下から透光性電極、透明なポリカーボネートフィルム、黒色おさえ印刷層、シルバーメタリック印刷層の順で積層するように貼り合わせた。
【0100】
次いで、上記積層体を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内にポリカーボネート樹脂を射出することによって厚み2mmでパネル状の筺体を成形すると同時に、当該筺体の裏面に前記積層体を一体化させた。
【0101】
型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物の背後に点光源として砲弾型LEDを設置することによって照光スイッチ付き筺体を得た。
【0102】
このようにして作製した照光スイッチ付き筺体をCDラジカセの操作パネル部に組み込み、静電容量型タッチパネルとして働く透光性電極と外部のタッチ位置検知回路(ドライバー)とを接続した。この操作パネル部は、非照光時は入力者側から見てもメタリック柄が見えるのみで、スイッチの存在を認識することはできないものである。CDラジカセのメイン電源をONにするとスイッチ部の光源が発光し、メタリック柄の中にスイッチパターンが光って現れ、光るスイッチ部に触れたところ、誤作動なく音量、選曲等の機能が操作できた。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の照光スイッチ付き筺体を説明する分解断面図である。
【図2】本発明の照光スイッチ付き筺体を説明する分解断面図である。
【図3】本発明の照光スイッチ付き筺体を説明する分解断面図である。
【図4】本発明の照光スイッチ付き筺体を説明する分解断面図である。
【図5】本発明の照光スイッチ付き筺体を説明する分解断面図である。
【図6】本発明の照光スイッチ付き筺体を説明する分解断面図である。
【図7】網目形状の基本パターンを示す要部拡大図である。
【図8】網目形状の変形パターンを示す要部拡大図である。
【図9】網目形状の別の変形パターンを示す要部拡大図である。
【図10】網目形状の透光性電極の形成領域と透光部パターンとの重複関係の一例を示す説明図である。
【図11】導光板を用いたサイドライト型の面光源の一例を示す断面図である。
【図12】加飾フィルムの一実施例を説明する図である。
【図13】電極フィルムの一実施例を説明する図である。
【図14】従来の静電容量型タッチパネルの構成を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0104】
1 透光性電極
1i,1j,1k,1l,1m 極細金属線
2 筺体
3 加飾層
3a 透光部パターン
3b 遮光部パターン
4 光源
4a サイドライト型の面光源
4b 導光板
4c サイドライト
4d 光反射凹凸部
5 透光カバー層
6 ベースフィルム
7 加飾フィルム
8 電極フィルム
11 透光性電極の形成領域
20 透明基板
21 透明導電膜(電極)
22 電極端子
23 中間保護膜
24 グレア防止膜(防眩膜)
25 保護膜
C 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが透光性電極、加飾層、筺体の順で積層され、その透光性電極側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されたことを特徴とする照光スイッチ付き筺体。
【請求項2】
透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが加飾層、透光性電極、筺体の順で積層され、その加飾層側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されたことを特徴とする照光スイッチ付き筺体。
【請求項3】
透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが透光性電極、筺体、加飾層の順で積層され、その透光性電極側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されたことを特徴とする照光スイッチ付き筺体。
【請求項4】
透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが筺体、透光性電極、加飾層の順で積層され、その筺体側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されたことを特徴とする照光スイッチ付き筺体。
【請求項5】
透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極と、透光性電極を保護する透光カバー層とが加飾層、筺体、透光性電極、透光カバー層の順で積層され、その加飾層側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されたことを特徴とする照光スイッチ付き筺体。
【請求項6】
透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極と、透光性電極を保護する透光カバー層とが筺体、加飾層、透光性電極、透光カバー層の順で積層され、その筺体側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されたことを特徴とする照光スイッチ付き筺体。
【請求項7】
上記積層体の各層間及び前後のうち少なくとも一つに透明樹脂層が単層又は複数層で配置された請求項1〜6のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体。
【請求項8】
上記光源が導光板を用いたサイドライト型の面光源である請求項1〜7のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体。
【請求項9】
上記光源が薄膜型エレクトロルミネセンスである請求項1〜7のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体。
【請求項10】
上記光源が点光源である請求項1〜7のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体。
【請求項11】
ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、サイドライト型の面光源に用いる導光板を用意し、これら全ての要素を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物の導光板側面にサイドライトを配置することにより、上記請求項8に記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせることを特徴とする照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項12】
ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、サイドライト型の面光源に用いる導光板を用意し、これらのうち1要素又は2要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置し、さらに導光板側面にサイドライトを設置することによって上記請求項8に記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせることを特徴とする照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項13】
ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、薄膜型エレクトロルミネセンスを用意し、これら全ての要素を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記要素を一体化させることにより、上記請求項9に記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせることを特徴とする照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項14】
ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、薄膜型エレクトロルミネセンスを用意し、これらのうち1要素又は2要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置することによって上記請求項9に記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせることを特徴とする照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項15】
ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムを用意し、これら両要素をあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせて射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に点光源を設置することによって上記請求項10に記載の照光スイッチ付き筺体を得ることを特徴とする照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項16】
ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムを用意し、これらのうち1要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置し、さらに点光源を設置することによって上記請求項10に記載の照光スイッチ付き筺体を得ることを特徴とする照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項17】
上記加飾フィルムと上記電極フィルムとが一つのベースフィルムを共用し1つの要素となり、当該ベースフィルムの同じ側の面又は別々の面に加飾層および透光性電極が形成されている請求項11〜15のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項18】
一体成形物の最外層を構成する上記ベースフィルムのうち少なくとも一つが剥離性を有し、射出成形後に剥離除去される請求項11〜17のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項19】
上記ベースフィルムの少なくとも一つに代えて、透光性樹脂板を用いる請求項11〜18のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項1】
透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが透光性電極、加飾層、筺体の順で積層され、その透光性電極側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されたことを特徴とする照光スイッチ付き筺体。
【請求項2】
透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが加飾層、透光性電極、筺体の順で積層され、その加飾層側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されたことを特徴とする照光スイッチ付き筺体。
【請求項3】
透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが透光性電極、筺体、加飾層の順で積層され、その透光性電極側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されたことを特徴とする照光スイッチ付き筺体。
【請求項4】
透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極とが筺体、透光性電極、加飾層の順で積層され、その筺体側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されたことを特徴とする照光スイッチ付き筺体。
【請求項5】
透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極と、透光性電極を保護する透光カバー層とが加飾層、筺体、透光性電極、透光カバー層の順で積層され、その加飾層側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されたことを特徴とする照光スイッチ付き筺体。
【請求項6】
透光性材料からなる筺体と、透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層と、網目形状の導電性薄膜からなり且つその形成領域が少なくとも透光部パターンの一部に重複する透光性電極と、透光性電極を保護する透光カバー層とが筺体、加飾層、透光性電極、透光カバー層の順で積層され、その筺体側に背後から透光部パターンを光らせる光源が配置されたことを特徴とする照光スイッチ付き筺体。
【請求項7】
上記積層体の各層間及び前後のうち少なくとも一つに透明樹脂層が単層又は複数層で配置された請求項1〜6のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体。
【請求項8】
上記光源が導光板を用いたサイドライト型の面光源である請求項1〜7のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体。
【請求項9】
上記光源が薄膜型エレクトロルミネセンスである請求項1〜7のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体。
【請求項10】
上記光源が点光源である請求項1〜7のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体。
【請求項11】
ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、サイドライト型の面光源に用いる導光板を用意し、これら全ての要素を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物の導光板側面にサイドライトを配置することにより、上記請求項8に記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせることを特徴とする照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項12】
ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、サイドライト型の面光源に用いる導光板を用意し、これらのうち1要素又は2要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置し、さらに導光板側面にサイドライトを設置することによって上記請求項8に記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせることを特徴とする照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項13】
ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、薄膜型エレクトロルミネセンスを用意し、これら全ての要素を射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記要素を一体化させることにより、上記請求項9に記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせることを特徴とする照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項14】
ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムと、薄膜型エレクトロルミネセンスを用意し、これらのうち1要素又は2要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置することによって上記請求項9に記載の照光スイッチ付き筺体を得るものであって、上記射出成形用金型内に載置される要素のうち筺体の同じ側の面に一体化される要素どうしは金型内に載置される前にあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせることを特徴とする照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項15】
ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムを用意し、これら両要素をあらかじめ透明粘着剤層にて貼り合わせて射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に点光源を設置することによって上記請求項10に記載の照光スイッチ付き筺体を得ることを特徴とする照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項16】
ベースフィルム上に透光部パターン及び遮光部パターンを表示する加飾層が形成された加飾フィルムと、ベースフィルム上に網目形状の導電性薄膜からなる透光性電極が形成された電極フィルムを用意し、これらのうち1要素を選択して射出成形用金型内に載置し、型閉めし、キャビティー内に透明樹脂を射出することによって透光性材料からなる筺体を成形すると同時に当該筺体に前記選択した要素を一体化させ、型開き後、射出成形用金型内より取出した一体成形物に残りの要素を設置し、さらに点光源を設置することによって上記請求項10に記載の照光スイッチ付き筺体を得ることを特徴とする照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項17】
上記加飾フィルムと上記電極フィルムとが一つのベースフィルムを共用し1つの要素となり、当該ベースフィルムの同じ側の面又は別々の面に加飾層および透光性電極が形成されている請求項11〜15のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項18】
一体成形物の最外層を構成する上記ベースフィルムのうち少なくとも一つが剥離性を有し、射出成形後に剥離除去される請求項11〜17のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【請求項19】
上記ベースフィルムの少なくとも一つに代えて、透光性樹脂板を用いる請求項11〜18のいずれかに記載の照光スイッチ付き筺体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−210528(P2008−210528A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−175819(P2005−175819)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】
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