説明

照光スイッチ

【課題】発光エリアの輝度を均一化することができ、特に発光エリアが広い場合や厚みが薄い場合にも発光エリアの輝度を均一化することができ、しかも低コストで作製することのできる照光スイッチを提供する。
【解決手段】スイッチ基板12の上面に光源25を実装する。光源25の上方には光制御板31と押ボタン14を重ねて配置する。スイッチ基板12の上面には第1の接点22aと第2の接点22bを埋め込んでおき、その上に両接点22a、22bどうしを導通させるための反転バネ26を置く。光制御板31は、背面の中央部に裏面側凹部32を有し、その外周部には光を外周方向へ向けて屈折させる屈折作用面35を有し、前面の中央部には、光を外周方向へ向けて全反射させるための全反射作用面28を有する。屈折作用面35及び全反射作用面28よりも外周側には、次第に厚みが小さくなった導光領域37を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照光スイッチに関し、具体的には、押ボタンの押し込み動作によりスイッチング動作し、また内蔵の光源によって点灯又は消灯する照光スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
(照光スイッチの現状)
照光スイッチは、通信機器や無線応用装置、電子計測器、オートメーション機器、事務機器、民生用電子機器、エレベータ内の操作パネルなど種々の機器において用いられている。
【0003】
照光スイッチとしては、たとえば正面から見た発光エリアの寸法が縦横各10mmで高さが10mmといったものが一般的である。最近では、正面から見た発光エリアの寸法が縦横各19mmで高さが7.85mmというように、正面から見た面積が大きくて広い発光エリアを持ち、しかも高さが低くて薄型の照光スイッチが供給されている。
【0004】
このように照光スイッチが大面積になると、1個のLEDで発光エリアを均一に光らせることは困難になる。そのため、大面積の照光スイッチでは、発光エリアにおける輝度の均一性を得るため6〜8個のLEDを内蔵している。しかし、多数のLEDを内蔵した照光スイッチでは、その部品コストのために照光スイッチの価格が高くなる。また、照光スイッチが薄くなると、各LEDの正面で輝度が高くなるため、発光エリアに輝度ムラが生じ易くなる。
【0005】
そこで、1個又は少数のLEDから出射した光を広げることで、広い発光エリアを均一に光らせることができ、また薄型化することのできる照光スイッチが望まれる。このような観点から公知の照光スイッチを調べると、特許文献1−3のような照光スイッチが見つかった。
【0006】
(特許文献1について)
特許文献1に示されている照光スイッチでは、スイッチ基板の上面に半透明ゴムからなる押ボタン(ゴムスイッチ)が配置されている。押ボタンの下面中央部には、奥面が凹面状(あるいは、凸面状、シボ面状)をした受光部が凹設されており、当該受光部に対向させてスイッチ基板の上面に光源(LED)が実装されている。スイッチ基板の上面には、2つの固定接点が設けられており、当該固定接点に対向して上記ゴムスイッチの下面には2つの可動接点が設けられている。
【0007】
この照光スイッチでは、光源から発した光が受光部から押ボタン内に入射する際に、その光束が受光部で広げられて押ボタンの上面の全体を均一に拡散照光させる。また、押ボタンを押さえると、可動接点と固定接点が接触して接点間が閉じられる。
【0008】
しかし、このような単純な構造では、受光部に入射した光束を広げる範囲に限界があり、広い発光エリアを均一に発光させることが困難である。特に、押ボタンが薄くなると、光源の直上にあたる箇所(発光エリアの中央)の輝度が高くなり、輝度の均一性が悪くなる。よって、このような照光スイッチでは、発光エリアの広い照光スイッチや薄型の照光スイッチで、発光エリアを均一に発光させることは困難である。
【0009】
(特許文献2について)
特許文献2に記載されている照光スイッチは、押ボタンで反転バネを押さえて変形させ、反転バネによってスイッチ基板に設けた第1の接点と第2の接点を導通させており、特許文献1の照光スイッチとは接点開閉機構が異なっている。しかし、押ボタンの下面に凹設した受光部(凹部)に対向させて光源を配置している点で、光源からの光束を広げるための構造は特許文献1に開示されているものと類似している。
【0010】
よって、特許文献2に記載された照光スイッチも、特許文献1の照光装置と同様、受光部に入射した光束を広げる範囲に限界があり、広い発光エリアを均一に発光させることが困難である。特に、押ボタンが薄くなると、光源の直上にあたる箇所(発光エリアの中央)の輝度が高くなり、輝度の均一性が悪くなる点も同様である。よって、このような照光スイッチでは、発光エリアの広い照光スイッチや薄型の照光スイッチで、発光エリアを均一に発光させることは困難である。
【0011】
(特許文献3について)
特許文献3に記載された照光スイッチでは、スイッチ基板の上面にタクトスイッチを実装し、その両側に光源を実装している。タクトスイッチ及び光源に対向させてその上方には押ボタンが配設されており、押ボタンを押さえるとタクトスイッチが押されて照光スイッチがオン又はオフとなる。また、押ボタンは、周縁から入射した光を中央部に集光させるようなレンズ作用を有している。押ボタンは、その中心がタクトスイッチの中心と一致するように配置されているので、光源から発した光は押ボタンの周縁に入射するが、押ボタンのレンズ作用によって中央部へ光が集められるため、発光エリアにおける発光輝度が均一化される。
【0012】
特許文献3に記載された照光スイッチでは、特許文献1や特許文献2に記載された照光スイッチに比べて、広い発光エリアの輝度分布を均一化することができる。しかし、特許文献3のような照光スイッチでは、複数個の光源(LED)を必要とするため、コストが増加し、製品価格も高くなる。また、中央部に光源がないので、発光エリアの中央部の輝度が低下し易いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9−306277号公報(図1〜3、段落0013、0017〜0022)
【特許文献2】特開平5−182560号公報(図1)
【特許文献3】特開2008−103106号公報(図1、段落0029)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、発光エリアの輝度を均一化することができ、特に発光エリアが広い場合や厚みが薄い場合にも発光エリアの輝度を均一化することができ、しかも低コストで作製することのできる照光スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る照光スイッチは、押ボタンと、前記押ボタンに対向させて前記押ボタンの後方に配置された光制御板と、前記光制御板の中央部に対向させて前記光制御板の後方に配置された光源と、前記押ボタンを押さえたとき互いに電気的に導通する第1の接点及び第2の接点とを備えた照光スイッチにおいて、前記光制御板が、その背面の中央部に、前記光源から出射した光が前記光制御板内に入射する際に当該光の一部を外周方向へ向けて屈折させるための屈折作用面を有し、その前面の中央部に、前記光制御板に入射した光の一部を外周方向へ向けて全反射させるための全反射作用面を有し、前記屈折作用面及び前記全反射作用面よりも外周側に、中心から離れるに従って次第に厚みが小さくなる領域を有することを特徴としている。
【0016】
本発明の照光スイッチにあっては、光源から発した光の一部は、光制御板に入射する際に屈折作用面で外周方向へ向けて屈折する。また、光制御板に入射した光の一部は、全反射作用面によって外周方向へ向けて全反射される。そして、これら外周方向へ向けられた光は、中心から離れるに従って次第に厚みの薄くなる領域を導光しながら外周方向へ広がり、当該領域から徐々に前方へ出射される。
【0017】
よって、本発明の照光スイッチによれば、発光エリアの面積が広い場合でも、1個又は少数の光源によって当該発光エリアを均一な発光輝度で光らせることができる。また、照光スイッチの厚みが薄い場合にも、1個又は少数の光源によって発光エリアを均一な発光輝度で光らせることができる。
【0018】
本発明に係る照光スイッチのある実施態様は、前記光源と対向する領域を除いて、前記光制御板の背面に光反射層を配置している。光反射層は、たとえば光制御板の背面に設けた白色反射シートや光制御板の背面に形成した金属被膜である。光制御板の背面に光反射層を配置しておけば、光制御板の背面から漏れた光は、光反射層で反射して光制御板内に戻るので、光の利用効率を高めて発光エリアの発光輝度を高めることができる。
【0019】
本発明に係る照光スイッチの別な実施態様は、前記押ボタンが、透明又は半透明の材質からなり、かつ、透過する光を散乱させる機能を有している。かかる実施態様によれば、押ボタンによって光を散乱させることにより、発光エリアの輝度分布をより均一にできる。
【0020】
本発明に係る照光スイッチのさらに別な実施態様は、前記押ボタンが透明又は半透明の材質からなり、前記押ボタンの背面に拡散シートを配置している。かかる実施態様によれば、押ボタンの背後の拡散シートによって光を散乱させ、発光エリアの輝度分布をより均一にできる。
【0021】
本発明に係る照光スイッチのさらに別な実施態様は、前記光制御板の背面の中央部に、前記屈折作用面によって囲まれた平らな面を有している。かかる実施態様によれば、光制御板の中央部で輝度が低くなりすぎるのを抑制できる。
【0022】
本発明に係る照光スイッチのさらに別な実施態様は、前記光制御板の中央部が、その前面と背面にそれぞれ凹部を有している。かかる実施態様によれば、光制御板の前面側の凹部の縁に全反射作用面を形成でき、光制御板の背面側の凹部の縁に屈折作用面を形成することができる。
【0023】
本発明に係る照光スイッチのさらに別な実施態様は、前記光制御板の前面が、前記屈折作用面及び前記全反射作用面よりも外周側において、前記光制御板の中心から離れるに従って次第に厚みが小さくなるように傾斜している。かかる実施態様によれば、光反射板の背面に白色反射シートを貼り易くなる。
【0024】
本発明に係る照光スイッチのさらに別な実施態様は、前記光制御板の背面が、前記屈折作用面及び前記全反射作用面よりも外周側において、前記光制御板の中心から離れるに従って次第に厚みが小さくなるように傾斜している。かかる実施態様によれば、光制御板の前面側をほぼ平らにすることができるので、光制御板から出射する光を正面側に向けて出射させ易くなる。
【0025】
本発明に係る照光スイッチのさらに別な実施態様は、前記押ボタンを押された状態における光源発光時の発光エリアの輝度分布と、前記押ボタンが復帰している状態における光源発光時の発光エリアの輝度分布とが、互いに異なっている。押ボタンを押すとき、光源と光制御板のうち一方だけが押ボタンとともに移動するような構造となっている場合には、押ボタンを押された状態における発光エリアの輝度分布と、前記押ボタンが復帰している状態における発光エリアの輝度分布とが異なる。この場合には、押ボタンを押したときと押ボタンが復帰しているときとで明るさが変わるので、照光スイッチの視覚的な操作感が良好になる。
【0026】
本発明に係る照光スイッチのさらに別な実施態様は、前記押ボタンを押された状態における前記光源と前記光制御板との距離と、前記押ボタンが復帰している状態における前記光源と前記光制御板との距離が同じである。かかる実施態様の場合には、押ボタンを押された状態における光源発光時の発光エリアの輝度分布と、押ボタンが復帰している状態における光源発光時の発光エリアの輝度分布とがほとんど変化しなくなる。
【0027】
本発明に係る照光スイッチのさらに別な実施態様は、スイッチ基板に前記第1の接点と前記第2の接点を設け、前記第1及び第2の接点の前方に導電性を有する反転バネを配置し、前記押ボタンが押された状態では、前記反転バネが前記第1の接点と前記第2の接点に接触し、前記押ボタンが復帰した状態では、前記反転バネが前記第1の接点と前記第2の接点のうち少なくとも一方の接点から離間するようにしている。かかる実施態様によれば、第1の接点と第2の接点がともにスイッチ基板に設けられているので、電気的な配線構造を簡略にできる。また、反転バネを弾性変形させて第1の接点と第2の接点を導通させるようにしているので、反転バネによってスイッチング時のクリック感を得ることができる。
【0028】
なお、本発明における前記課題を解決するための手段は、以上説明した構成要素を適宜組み合せた特徴を有するものであり、本発明はかかる構成要素の組合せによる多くのバリエーションを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態による照光スイッチを示す斜視図である。
【図2】図1に示す照光スイッチの分解斜視図である。
【図3】図1のX−X線に沿った断面を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による照光スイッチにおける、端子バネをインサート成形されたスイッチ基板の斜視図である。
【図5】(A)、(B)及び(C)は、本発明の第1の実施形態による照光スイッチに用いられている光制御板の断面図、正面図及び裏面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による照光スイッチの、押ボタンを押し込んだ状態を示す断面図である。
【図7】(A)は、比較例の照光スイッチにおいて、押ボタンが復帰していて光源が発光しているときの発光エリアの輝度分布を示す図である。(B)は、本発明の第1の実施形態による照光スイッチにおいて、押ボタンが復帰していて光源が発光しているときの発光エリアの輝度分布を示す図である。
【図8】図7(A)のY−Y線に沿った輝度の分布と、図7(B)のY−Y線に沿った輝度の分布を表したグラフである。
【図9】(A)及び(B)は、本発明の第1の実施形態による照光スイッチにおいて、光源が発光しているときの発光エリアの輝度分布を示す図であって、(A)は押ボタンが復帰している状態での発光エリアの輝度分布であり、(B)は押ボタンを押し込んでいる状態での発光エリアの輝度分布である。
【図10】図9(A)のZ−Z線に沿った輝度の分布と、図9(B)のZ−Z線に沿った輝度の分布を表したグラフである。
【図11】本発明の第2の実施形態による照明スイッチを示す概略断面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態による照明スイッチを示す概略断面図である。
【図13】本発明の第1−3の実施形態における照明装置の一変形例を示す断面図である。
【図14】(A)、(B)及び(C)は、それぞれ本発明の第1−第3の実施形態による照明装置に用いられる光制御板の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々設計変更することができる。
【0031】
(第1の実施形態)
〔照光スイッチの構造〕
以下、図1−5を参照して本発明の実施形態1による照光スイッチの構造を説明する。図1、図2及び図3は、本発明の実施形態1による照光スイッチ11の斜視図、分解斜視図及び断面図である。図4は照光スイッチ11に用いられるスイッチ基板12の斜視図である。図5(A)、(B)及び(C)は、照光スイッチ11に用いられる光制御板31の断面図、正面図及び裏面図である。なお、図1及び図2は、照光スイッチ11を立てた状態で表しているが、以下において上下方向とは、図1や図2などによらず、図3の断面図における上下方向を指すものとする(例えば、光源25や第1の接点22a、第2の接点22bなどから、導光領域37や押ボタン14に向かう方向を上方向という)。
【0032】
図1を参照すると、照光スイッチ11の外観は、スイッチ基板12と、スイッチ基板12の両側面に露出した外部端子13a、13bと、スイッチ基板12の上面に配置された押ボタン14と、押ボタン14の周囲を囲む額縁状のフレーム15によって構成されている。照光スイッチ11は正面から見た形状が丸形のものであってもよいが、以下においては、図1に示すような角形のものについて説明する。
【0033】
照光スイッチ11においては、押ボタン14を押し込むと、内部の接点どうしが導通して照光スイッチ11がオンとなる。押ボタン14を離すと、押ボタン14が元の位置に復帰し、内部の接点どうしが絶縁状態となって照光スイッチ11がオフとなる。
【0034】
照光スイッチ11は、図2に示すような部品によって構成されている。スイッチ基板12は、不透明な樹脂によって成形されており、上面に箱状の収納部16を有している。スイッチ基板12の対向する両側面には、フレーム15を取り付けるための複数個の爪17が突設されている。
【0035】
スイッチ基板12は、4つの端子バネ18a、18b、19a、19bを埋め込んでインサート成形されている。光源用の端子バネ18a、18bは、それぞれ一端に光源実装用の電極パッド20a、20bが設けられ、他端に外部端子21a、21bを有している。端子バネ18a、18bをスイッチ基板12にインサート成形した状態では、図4に示すように、2つの電極パッド20a、20bが収納部16の中央に並んで露出しており、外部端子21a、21bがスイッチ基板12の側面から突出している。
【0036】
端子バネ19a、19bは、それぞれ両端に外部端子13a、13bを有している。端子バネ19aは、中央部に円弧状をした第1の接点22aを備えている。端子バネ19bは、中央部に円弧状をした第2の接点22bを備えている。端子バネ19a、19bをスイッチ基板12にインサート成形した状態では、図4に示すように、第1の接点22aは電極パッド20a、20bを囲むようにして収納部16の中央部で露出している。第2の接点22bは、第1の接点22aを囲むようにして第1の接点22aの外周側において収納部16で露出している。また、各端子バネ19a、19bの外部端子13a、13bは、スイッチ基板12の側面から突出している。
【0037】
図4に示すように、第1の接点22aと第2の接点22bの中間において収納部16には環状の溝23が凹設されており、第2の接点22bの外周において収納部16に環状の突部24が突設されている。
【0038】
光源25はLEDであって、図3に示すように、下面の電極を電極パッド20a、20bに接合することにより、スイッチ基板12の中央に実装されている。光源25は、白色LEDを用いられることが多いが、赤色LEDや青色LEDなどの有色LEDであってもよい。
【0039】
反転バネ26は、図2に示すように、皿バネの外周部を複数箇所で切り欠いた形状となっている。図3に示すように、反転バネ26は、収納部16に設けられた突部24の内側に嵌め込まれている。反転バネ26の外周縁は第2の接点22bの上に重なっていて第2の接点22bと接触している。反転バネ26の内周部は、第1の接点22aの上方に位置していて第1の接点22aから離間している。また、反転バネ26の中央部にあいた孔27からは、光源25の上面が飛び出ている。
【0040】
光制御板31は、図3に示すように、反転バネ26の上に載置される。光制御板31は、ポリカーボネイト樹脂(PC)やポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)のように大きな屈折率を有する透明樹脂によって成形されている。光制御板31の詳細な形状は、図5(A)、(B)及び(C)に示すとおりである。
【0041】
光制御板31の下面中央部(光源25に対向する部分)には、裏面側凹部32が設けられている。光制御板31の下面において裏面側凹部32の周囲には、反転バネ26を押さえるための操作部33が環状に突設されている。裏面側凹部32は、図5(A)に示した形状の凹部を光制御板31の中心軸の回りに回転させた形状となっている。裏面側凹部32の中央部は、光制御板31の中心軸に垂直な平面34となっており、平面34の周囲にはテーパー状に傾斜した屈折作用面35が形成されている。
【0042】
光制御板31の上面中央部には、頂点が下方を向いた略円錐状の前面側凹部36が設けられている。前面側凹部36は、図5(A)に示した形状の凹部を光制御板31の中心軸の回りに回転させた形状となっている。前面側凹部36の頂点は鈍っていてわずかに湾曲しており、前面側凹部36の外周面(全反射作用面28)は上方へ膨らむように湾曲している。さらに、光制御板31の上面において、前面側凹部36よりも外周側の領域は、光制御板31の外周側へ向かうに従って下方へ向かうように直線的に傾斜していて、円錐状に傾斜した傾斜面29となっている。その結果、裏面側凹部32及び前面側凹部36よりも外周側の領域は、外周側へ向かうほど厚みの薄くなった導光領域37となっている。光制御板31の前面の傾斜面と導光領域37も、図5(A)に示した形状を光制御板31の中心軸の回りに回転させた形状となっている。
【0043】
光制御板31が矩形状である場合、導光領域37を光制御板31の四隅まで延長すると、光制御板31の隅部で導光領域37の肉厚が小さくなって強度が低下する。あるいは、強度低下を防ぐためには、光制御板31の厚みを大きくする必要がある。そのため矩形状の光制御板31の場合には、図5(B)に示すように、導光領域37は各辺の中央部までとし、隅部38は一定の厚みに成形している。よって、光制御板31の厚みが薄くても、隅部38における強度が低下するのを防ぐことができる。
【0044】
さらに、光制御板31の外周部には肉厚のリブ39を設けることにより、光制御板31の強度を高めている。
【0045】
光制御板31の下面には、光反射層、すなわち図2に示すような白色反射シート41(白色樹脂シート)を設けている。白色反射シート41は、中央部に設けた開口42に操作部33を通過させ、両面粘着テープ43によって光制御板31の下面に貼り付けられる。光反射層としては、白色反射シート41に限らず、金属箔でもよく、あるいは導光領域37の下面に成膜された金属被膜でもよい。
【0046】
押ボタン14は、透明又は半透明の樹脂によって成形されており、光を散乱させる機能を備えている。たとえば、押ボタン14を乳白色樹脂で成形してあってもよく、透明樹脂からなる押ボタン14の背面に微細な散乱用パターンを加工してあってもよい。また、押ボタン14は赤や緑などに着色されていてもよく、文字やマークを印刷又は刻印されていてもよい。
【0047】
押ボタン14の両側面には下方へ向けてフック44が突出しており、光制御板31の両側面にはフック44を引っ掛けるための爪40が突設されている。よって、押ボタン14を光制御板31の上面(すなわち、リブ39の上面)に重ね、フック44を爪40に係合させることで押ボタン14と光制御板31は一体に結合される。押ボタン14と光制御板31は接着剤で接着して一体化してもよい。
【0048】
フレーム15は不透明樹脂によって額縁状に成形されている。フレーム15の窓46には、押ボタン14が摺動自在に嵌め込まれるとともに、押ボタン14の外周面下部に設けたフランジ45が窓46の縁の下面に当接することで押ボタン14が窓46から上方へ抜けるのを防いでいる。フレーム15の両側面には下方へ向けて係合フック47が飛び出ており、係合フック47をスイッチ基板12の爪17に引っ掛けることによりフレーム15をスイッチ基板12に着脱可能に取り付けることができる。
【0049】
照光スイッチ11は、上記のような部品によって図3に示すように組み立てられる。すなわち、スイッチ基板12は、端子バネ18a、18b、19a及び19bをインサート成形され、電極パッド20a、20bの上に光源25を実装されている。スイッチ基板12の上面に反転バネ26を置くときには、反転バネ26を突部24の内側に嵌め込んで位置決めし、光源25の上面(光出射面)を反転バネ26の孔27から上方へ突出させるとともに、反転バネ26の外周部下端を第2の接点22bに接触させる。押ボタン14と光制御板31は一体に結合されており、光制御板31の下面には白色反射シート41が貼り付けられている。この押ボタン14を下面側からフレーム15の窓46に通し、その状態で光制御板31を反転バネ26の上に重ねるとともに、フレーム15をスイッチ基板12の上に重ね、フレーム15の係合フック47をスイッチ基板12の爪17に係合させることによって照光スイッチ11を組み立てる。こうして組み立てた状態では、光制御板31の中心軸は、光源25の光軸(光源25から出射する主光線と一致する軸線)とほぼ一致している。
【0050】
〔接点の開閉動作〕
この照光スイッチ11は、つぎのようにして第1の接点22aと第2の接点22bの間を開閉される。押ボタン14が押されていない場合には、図3に示すように、反転バネ26が第1の接点22aから離間していて第1の接点22aに接触していないので、第1の接点22aと第2の接点22bの間は開かれている。
【0051】
押ボタン14を指で下方へ押すと、図6に示すように、操作部33によって反転バネ26が押し潰されて第1の接点22aに接触し、反転バネ26を介して第1の接点22aと第2の接点22bの間が閉じられる。反転バネ26は押し潰される際に座屈変形するので、押ボタン14を押す際のクリック感を得ることができる。
【0052】
また、押ボタン14を離すと、反転バネ26の弾性復元力によって押ボタン14と光制御板31が元の位置に戻り、反転バネ26が第1の接点22aから離れて第1の接点22aと第2の接点22bの間が開かれる。押ボタン14を離す際にも、反転バネ26によってクリック感を得ることができる。
【0053】
なお、第1の接点と第2の接点は、特許文献1のように固定側と可動側に設けることもできるが、本発明の実施形態1のような構造によれば、第1の接点と第2の接点をスイッチ基板にまとめることができるので、配線構造が簡略になり、照光スイッチの製造も容易になる。
【0054】
〔発光時の光の挙動〕
この照光スイッチ11では、光源25及び端子バネ18a、18bは、第1及び第2の接点22a、22b等からなるスイッチ部分と独立した回路となっており、光源25は、外部端子21a、21bから電流を流すことによって発光する。この照光スイッチ11の光源25をスイッチ部分と関係付けるためには、照光スイッチ11の外部端子13a、13b、21a、21bを制御回路に接続する。
【0055】
一般的な使用方法(制御方法)では、押ボタン14を押すと、両接点22a、22間が閉じたことを制御回路が検知し、制御回路によって光源25が発光し、照光スイッチ11が点灯する。そして、押ボタン14が復帰した後も照光スイッチ11の点灯状態が継続する。点灯状態で押ボタン14を押すと、両接点22a、22間が閉じたことを制御回路が検知し、制御回路によって光源25が発光停止され、照光スイッチ11が消灯する。そして、押ボタン14が復帰した後も照光スイッチ11の消灯状態が継続する。
【0056】
もっとも、光源25の発光、発光停止のタイミングは制御回路のプログラミングによって自由に設計することができる。たとえば、エレベータの行先ボタンとして使用される場合であれば、押ボタン14を指で押すと、押ボタン14を離した後も照光スイッチ11が点灯したままになり、エレベータが目的階に到着すると照光スイッチ11が消灯するようにもできる。
【0057】
つぎに、光源25が発光しているときの光の挙動を説明する。いま、押ボタン14が押されていないが、光源25が発光していて照光スイッチ11が点灯している場合を考える。この場合、図3に示す光L1のように、真っ直ぐ上方へ出射した光は、光制御板31を透過して押ボタン14で散乱され、発光エリア(押ボタン14の上面)の中央部を発光させる。
【0058】
図3に示す光L2のように中心軸から少し傾いた方向へ出射された光は、平面34から光制御板31内に入射し、前面側凹部36の側面(全反射作用面28)によって外周方向へ向けて全反射される。前面側凹部36で全反射されて外周方向へ向かった光L2は導光領域37に達する。また、全反射作用面28は、光制御板31の内部から見ると凹状に湾曲しているので、全反射作用面28で全反射する光は集光して導光領域37へ送られる。
【0059】
また、図3に示す光L3のように、中心軸から大きく傾いた方向へ出射された光は、屈折作用面35を透過して光制御板31内に入射する。屈折作用面35を透過する光L3は、屈折作用面35を透過する際に外周側へ向けて屈折され、導光領域37へ達する。
【0060】
全反射作用面28で全反射して、あるいは屈折作用面35で屈折して導光領域37へ達した光は、導光領域37の上面と下面で全反射を繰り返しながら外周方向へ進む。導光領域37の上面と下面で全反射するたびに光の入射角は小さくなるので、入射角が全反射の臨界角よりも小さくなった光は導光領域37の上面又は下面から外部へ出射する。導光領域37の下面から出射した光は、白色反射シート41で反射され、再び導光領域37内に戻る。よって、光の利用効率が向上し、発光エリアの輝度が高くなる。導光領域37の上面から出射した光は、押ボタン14に入射し、押ボタン14で散乱されて発光エリアを発光させる。
【0061】
本発明の実施形態1の照光スイッチ11では、光源25から出射された光を屈折作用面35や全反射作用面28で外周方向へ曲げて導光領域37で導光しやすい光に変換し、導光領域37内で光を外周方向へ運ぶようにしているので、1個の光源25から出た光を広い領域に均一に広げることができる。したがって、少ない個数の光源25により広い発光エリア(たとえば、縦横20mm又はそれ以上の広さのエリア)をほぼ均一に発光させることができる。また、照光スイッチ11の高さ(厚さ)が薄くなっても(たとえば、7.4mm又はそれ以下の厚さになっても)、広い発光エリアを均一に発光させることができる。よって、本発明の実施形態1によれば、大面積の発光エリアを有する薄型の照光スイッチを安価に製造することが可能になり、しかも発光エリアを均一な輝度分布で発光させることが可能になる。
【0062】
〔実施形態1と比較例における輝度分布の比較〕
つぎに、発光エリアの輝度分布をシミュレーションにより求めた結果を説明する。図7(A)は比較例の照光スイッチにおける発光エリアの輝度分布を表している。図7(B)は、本発明の実施形態1による照光スイッチ11における発光エリアの輝度分布を表している。図7(A)及び(B)の向かって左に示す分布図の縦軸及び横軸は発光エリアの中心から測った縦軸方向及び横軸方向の距離(mm)であり、右に示す輝度のランクは相対値である。両輝度分布は、いずれも押ボタンが押し込まれておらず復帰している状態での輝度分布であって、図中の明度の高い領域(白っぽい領域)ほど発光エリアの輝度が高く、明度の低い領域(黒っぽい領域)ほど発光エリアの輝度が低いことを表している。
【0063】
また、図8は、発光エリアの中心を通過する図7(A)のY−Y線に沿った輝度の分布(比較例)と、発光エリアの中心を通過する図7(B)のY−Y線に沿った輝度の分布(実施形態1)とを表したグラフである。図8の横軸は、Y−Y線に沿った線上における発光エリアの中心からの距離を示し、縦軸は輝度の高さを表している。
【0064】
このシミュレーションに用いた実施形態1の照光スイッチ11のモデルは、発光エリア(押ボタン14の上面)のサイズが縦横20mmで、外部端子を除いた外形の高さが7.4mmである。また、裏面側凹部32の半径(屈折作用面35の外周半径)が2.7mm、平面34の半径(屈折作用面35の内周半径)が1.4mm、屈折作用面35の傾斜角が31°となっている。さらに、垂直上方から見た前面側凹部36の半径が2.4mm、導光領域37の外周半径が9.7mm、導光領域37の傾斜角が9°となっている。
【0065】
一方、比較例のモデルは、光制御板の形状を除いて、照光スイッチ11のモデルを基本とした。比較例のモデルで用いた光制御板は、矩形状をした均一な厚みの透明樹脂板の中心部に半径2.5mmの円柱状の貫通孔をあけたものである。従って、比較例のモデルでは、光源の光が光制御板の貫通孔を通過して直接押ボタンに届くようになっている。
【0066】
比較例の照光スイッチでは、図7(A)及び図8に示すように中央部(貫通孔に対応する部分)が極端に明るく発光し、その周辺部が暗くなっている。これに対し、図5のような光制御板31を用いた実施形態1の照光スイッチ11では、図7(B)及び図8に示すように中心部の明るさを抑え、その周辺部の明るさを向上させることで、全体の輝度分布がほぼ均一に揃えられている。
【0067】
〔押ボタンを押し込んでいる時と復帰している時との輝度分布の比較〕
つぎに、本発明の実施形態1による照光スイッチ11において、押ボタン14を押し込んでいる状態と押ボタン14が元の位置に復帰している状態とのそれぞれの発光エリアの輝度分布をシミュレーションにより求めた結果を説明する。図9(A)は、押ボタン14が復帰した状態での発光している発光エリアの輝度分布を表している(図7(B)と同じものである。)。図9(B)は、押ボタン14が押し込まれた状態での発光している発光エリアの輝度分布を表している。図9(A)及び(B)の向かって左に示す分布図の縦軸及び横軸は発光エリアの中心から測った縦軸方向及び横軸方向の距離(mm)であり、右に示す輝度のランクは相対値である。このシミュレーションに用いた実施形態1の照光スイッチ11のモデルは、図7(B)で用いたものと同じモデルである。また、図9(A)及び(B)においても、図中の明度の高い領域(白っぽい領域)ほど発光エリアの輝度が高く、明度の低い領域(黒っぽい領域)ほど発光エリアの輝度が低いことを表している。
【0068】
また、図10は、発光エリアの中心を通過する図9(A)のZ−Z線に沿った輝度の分布(押ボタンの復帰時)と、発光エリアの中心を通過する図9(B)のZ−Z線に沿った輝度の分布(押ボタンの押込み時)とを表したグラフである。図10の横軸は、Z−Z線に沿った線上における発光エリアの中心からの距離を示し、縦軸は輝度の高さを表している。
【0069】
押ボタン14が復帰している状態では、図9(A)及び図10に示すように発光エリア全体がほぼ均一な輝度で発光している。これに対し、押ボタン14を押し込んだ状態では、光制御板31が光源25に近くなるので、図9(B)及び図10に示すように発光エリアの中心部が少し明るくなり、その周辺部が少し暗くなる。
【0070】
本発明の実施形態1による照光スイッチ11では、このように押ボタン14を押したときの発光エリアの発光具合が押ボタン14が復帰しているときの発光具合から変化するので、押ボタン14を押した状態であることが分かり易くなる。よって、押ボタン14を押したときには反転バネ26によってクリック感が得られるとともに、押ボタン14の発光具合が変化し、触感的にも視覚的にも押ボタン14の操作感が良好になる。
【0071】
(第2の実施形態)
図11は本発明の実施形態2による照光スイッチ51の構造を示す概略断面図である。照光スイッチ51では、光源25は、スイッチ基板12の上面でなく、プリント配線基板52の上面に実装されている。光源25を実装したプリント配線基板52は、反転バネ26の上端に載置されており、さらに裏面側凹部32で光源25を覆うようにしてプリント配線基板52の上面に光制御板31を載置している。
【0072】
しかして、押ボタン14を押すと、光制御板31に押されてプリント配線基板52も押し下げられ、プリント配線基板52によって反転バネ26が押し潰されて第1の接点22aに接触して両接点22a、22bが導通させられる。
【0073】
このような実施形態では、押ボタン14と光制御板31とプリント配線基板52が一体となって上下するので、押ボタン14が押されているときも押ボタン14が元の位置に復帰しているときも、光制御板31と光源25との距離が一定に保たれる。本発明の実施形態1の照光スイッチ11では、押ボタン14を押したときと、押ボタン14が押されていないときとで、図9(A)、(B)に示したように発光エリアの発光具合が変化した。これに対し、本発明の実施形態2の照光スイッチ51では、光制御板31と光源25の距離が常に一定距離に保たれるので、押ボタン14を押したときと、押ボタン14が押されていないときとで、発光エリアの発光具合が変化しなくなり、押ボタン14が押されている場合にも図9(A)のような均一な輝度分布が実現される。
【0074】
(第3の実施形態)
図12は本発明の実施形態2による照光スイッチ61の構造を示す概略断面図である。照光スイッチ61では、押ボタン14と光制御板31が一体となっていない。光制御板31は裏面側凹部32で光源25を覆うようにしてスイッチ基板12の上面に固定されている。よって、押ボタン14を押すと、押ボタン14だけが押し下げられる。
【0075】
円弧状をした第1の接点22aと第2の接点22bは、いずれも突部24よりも外側においてスイッチ基板12の上面に埋め込まれている。反転バネ26は環状をしていて、突部24の外周縁と収納部16の内周壁面16aとの間に嵌め込まれている。反転バネ26は、下方が凹となるように湾曲した断面を有しており、反転バネ26の内周縁が第1の接点22aに接触している。反転バネ26は、押さえられていない状態では第2の接点22bとは離間していて第2の接点22bとは導通していない。
【0076】
押ボタン14の外周部下面からは、操作部62が環状に突出しており、操作部62の下端が反転バネ26の上面に弾接している。
【0077】
しかして、押ボタン14が押されると、操作部62が反転バネ26を押し潰して座屈変形させ、反転バネ26を第2の接点22bに接触させる。この結果、反転バネ26を介して第1の接点22aと第2の接点22bが導通し、両接点22a、22b間が閉じられる。また、押ボタン14を押さえていた指を離すと、押ボタン14は反転バネ26の弾性復帰力によって上方へ復帰させられ、両接点22a、22b間も開かれる。
【0078】
この実施形態では、押ボタン14を押し下げても光制御板31はスイッチ基板12の上面に静止したままである。よって、押ボタン14が押されているときも押ボタン14が元の位置に復帰しているときも、光制御板31と光源25との距離が一定に保たれる。そのため、本発明の実施形態3の照光スイッチ61でも、光制御板31と光源25の距離が一定距離に保たれ、押ボタン14を押したときと、押ボタン14が押されていないときとで、発光エリアの発光具合が変化しなくなり、均一な輝度分布が得られる。
【0079】
(変形例)
図13は、本発明の実施形態1−3の変形例を示す断面図である。実施形態1−3の照光スイッチ11、51、61では、押ボタン14が光を散乱させる機能を有していた。それに対し、この変形例では、押ボタン14を透明樹脂によって成形し、押ボタン14の下面に光散乱シート71を貼り付けている。よって、押ボタン14を透過する光は、光散乱シート71で散乱される。このような構造にすれば、光散乱シート71を取り替えるだけで種々の用途に対応させることが可能になる。たとえば、種々の色に着色された光散乱シート71を用いれば、光散乱シート71を交換するだけで照光スイッチの発光色を変化させることができる。また、光散乱シート71に文字やマークなどを印刷することもできる。
【0080】
また、図14(A)、(B)及び(C)は、異なる構造の光制御板31を表している。図14(A)に示す光制御板31は、中心軸を含む断面において屈折作用面35を湾曲させたものである。図14(B)に示す光制御板31は、裏面側凹部32の天面72をドーム状に湾曲させて屈折作用面と小面積の平面を滑らかに一体化させたものである。図14(A)、(B)のような構造の光制御板31でも、屈折作用面35を透過する光を外周方向へ向けて屈折させることができる。
【0081】
図14(C)に示す光制御板31は、上面においては前面側凹部36の周囲を水平な平坦面とし、下面において操作部33の周囲を円錐状に傾斜した傾斜面29とし、導光領域37の厚みを外周側に向かうにしたがって次第に薄くなるようにしたものである。このような光制御板31によれば、導光領域37の上面が水平面となっているので、導光領域37から出射する光を光制御板31の中心軸に平行な方向へ近づけることができる。
【0082】
また、光源は1個に限らず、少数であれば複数個の光源を用いてもよい。複数個の光源を用いる場合には、各光源を中心部に集め、各光源が光制御板31の裏面側凹部32と対向する領域に納まるようにすることが望ましい。複数個の光源を用いる例としては、たとえば、光源として赤色LED、緑色LED、青色LEDを用い、押ボタン14を押すたびに赤色発光→緑色発光→青色発光→消灯というように変化させてもよい。
【0083】
なお、本発明は、広い発光エリアを有する薄型の照光スイッチに効果を発揮するが、発光エリアの小さな照光スイッチでも発光エリアの輝度分布を均一化することができる。
【符号の説明】
【0084】
11、51、61 照光スイッチ
12 スイッチ基板
14 押ボタン
15 フレーム
18a、18b、19a、19b 端子バネ
20a、20b 電極パッド
22a 第1の接点
22b 第2の接点
24 突部
25 光源
26 反転バネ
28 全反射作用面
29 傾斜面
31 光制御板
32 裏面側凹部
33 操作部
34 平面
35 屈折作用面
36 前面側凹部
37 導光領域
41 白色反射シート
52 プリント配線基板
62 操作部
71 光散乱シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押ボタンと、
前記押ボタンに対向させて前記押ボタンの後方に配置された光制御板と、
前記光制御板の中央部に対向させて前記光制御板の後方に配置された光源と、
前記押ボタンを押さえたとき互いに電気的に導通する第1の接点及び第2の接点と、
を備えた照光スイッチにおいて、
前記光制御板が、
その背面の中央部に、前記光源から出射した光が前記光制御板内に入射する際に当該光の一部を外周方向へ向けて屈折させるための屈折作用面を有し、
その前面の中央部に、前記光制御板に入射した光の一部を外周方向へ向けて全反射させるための全反射作用面を有し、
前記屈折作用面及び前記全反射作用面よりも外周側に、中心から離れるに従って次第に厚みが小さくなる領域を有する、
照光スイッチ。
【請求項2】
前記光源と対向する領域を除いて、前記光制御板の背面に光反射層を配置した、請求項1に記載の照光スイッチ。
【請求項3】
前記押ボタンは、透明又は半透明の材質からなり、かつ、透過する光を散乱させる機能を有する、請求項1に記載の照光スイッチ。
【請求項4】
前記押ボタンは透明又は半透明の材質からなり、
前記押ボタンの背面に拡散シートを配置した、請求項1に記載の照光スイッチ。
【請求項5】
前記光制御板の背面の中央部に、前記屈折作用面によって囲まれた平らな面を有する、請求項1に記載の照光スイッチ。
【請求項6】
前記光制御板の中央部が、その前面と背面にそれぞれ凹部を有する、請求項1に記載の照光スイッチ。
【請求項7】
前記光制御板の前面が、前記屈折作用面及び前記全反射作用面よりも外周側において、前記光制御板の中心から離れるに従って次第に厚みが小さくなるように傾斜している、請求項1に記載の照光スイッチ。
【請求項8】
前記光制御板の背面が、前記屈折作用面及び前記全反射作用面よりも外周側において、前記光制御板の中心から離れるに従って次第に厚みが小さくなるように傾斜している、請求項1に記載の照光スイッチ。
【請求項9】
前記押ボタンを押された状態における光源発光時の発光エリアの輝度分布と、前記押ボタンが復帰している状態における光源発光時の発光エリアの輝度分布とが、互いに異なる、請求項1に記載の照光スイッチ。
【請求項10】
前記押ボタンを押された状態における前記光源と前記光制御板との距離と、前記押ボタンが復帰している状態における前記光源と前記光制御板との距離が同じである、請求項1に記載の照光スイッチ。
【請求項11】
スイッチ基板に前記第1の接点と前記第2の接点を設け、
前記第1及び第2の接点の前方に導電性を有する反転バネを配置し、
前記押ボタンが押された状態では、前記反転バネが前記第1の接点と前記第2の接点に接触し、前記押ボタンが復帰した状態では、前記反転バネが前記第1の接点と前記第2の接点のうち少なくとも一方の接点から離間するようにした、請求項1に記載の照光スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−16287(P2013−16287A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146911(P2011−146911)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】