説明

照光ボタン装置及び電子機器

【課題】 押しボタンをどの方向から見ても画像を見易くすることができる照光ボタン装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】 照光ボタン装置11は、面発光型半導体レーザ12と、受光素子であるモニタPD13と、押しボタン14とを有する。押しボタン14の表面14bには、文字20が印刷されている。押しボタン14の内部には、複数のマイクロレンズ17と、水溶液18と、反射ミラー19とを有する。面発光型半導体レーザ12から出射した光が、複数のマイクロレンズ17に照射することによって多方向に亘って屈折し、この光が押しボタン14の表面14bから多方向に亘って出射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、携帯電話機のボタンに用いられる照光ボタン装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機では、例えば、「通話」などの機能や「0〜9」などの数字を選択するために押しボタンが用いられている。押しボタンの表面には、ボタンを識別するために、例えば文字が印刷されている。しかしながら、暗闇の中では押しボタンの表面に印刷された文字を読み取ることができなかった。そこで、押しボタンの内部に備えられた発光部から光を発光させて、押しボタンの表面に印刷された文字を浮き立たせることにより、暗闇の中であっても文字を識別することが可能となっている。しかしながら、前記発光部からの光が押しボタンの表面中央領域にスポットで当たるので、スポットの大きさに相当する文字の真中部分を見ることはできるが、押しボタンの周縁領域内に描かれた文字の部分は光が行き届かないため見難かった。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1に記載のように、フレネルプリズムを用いて、押しボタンの表面全体から光を均一に出射するようにしている技術が知られている。これにより、押しボタンの表面全体から光を出射させることができるとともに、押しボタンの表面に対向する方向に光を出射することができ、その結果、押しボタンの表面に印刷された文字を読み取ることが可能となっている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−41134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の押しボタンでは、内部から出射した光に指向性があるため、光が出射した方向からは文字を読み取り易いが、光が出射した方向ではない方向(例えば、押しボタンの斜め方向)から見たときには文字を読み取りにくいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の技術の有する未解決な課題に着目してなされたものであって、押しボタンをどの方向から見ても画像を見易くすることができる照光ボタン装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明に係る照光ボタン装置は、表面に画像が描かれた押しボタンと、前記押しボタンの内部に収容された複数の光学部材と、発光した光が前記光学部材に入射するように配置された発光素子と、を有する。
【0008】
この構成によれば、発光素子によって発光した光が複数の光学部材を通過するので、多方向に亘って光を屈折させることが可能となる。よって、押しボタンの内部から多方向に亘って光が出射されるので、押しボタンの表面に描かれた画像を、多方向から視認することができる。従って、どの方向から押しボタンを見たとしても、押しボタン表面に描かれた画像を見易くすることができる。
【0009】
本発明に係る照光ボタン装置は、前記押しボタンの内部には、液体が密閉されており、前記複数の光学部材は、前記液体中に浮遊していることが望ましい。
【0010】
この構成によれば、押しボタンの内部に液体が密閉され、その中に複数の光学部材が浮遊しているので、照光ボタン装置が動かされることにより、複数の光学部材を動かすことができる。よって、光学部材に当たった光を、押しボタンの表面のうち同じ場所のみでなくより全体に亘って移動しながら当てることが可能となる。その結果、表面に描かれた画像の全体をより視認しやすくすることができる。また、光学部材が動いているので、少ない光学部材であっても、光を多方向に反射させることが可能となる。
【0011】
本発明に係る照光ボタン装置は、前記光学部材は、略球状のレンズであることが望ましい。
【0012】
この構成によれば、発光素子から発光した光を略球状のレンズに反射させているので、光を多方向に亘って均一に屈折させることができる。よって、押しボタンの表面に描かれた画像を、多方向から視認することができる。
【0013】
本発明に係る照光ボタン装置は、前記発光素子は、前記押しボタンに対し前記表面と反対側に配置され前記光学部材に光を出射することが望ましい。
【0014】
この構成によれば、押しボタンの表面と反対側から押しボタンの内部に収納された光学部材に光を出射するので、押しボタンの表面に、多方向に亘って光を出射させることができる。よって、押しボタンの表面に描かれた画像を、多方向から視認することができる。
【0015】
本発明に係る照光ボタン装置は、前記押しボタンの内部には、前記光学部材を封鎖するとともに前記発光素子からの光を反射させるために用いられる反射ミラーが傾いて配置されており、前記発光素子から発光した光の一部を前記反射ミラーによって反射させることにより、反射した前記光の一部を受光素子で受光し前記発光素子の光量が制御されることが望ましい。
【0016】
この構成によれば、反射ミラーによって反射させた光の一部を受光素子によってモニタリングすることにより、発光素子からの発光量が所定の光量になるように制御されるので、常に所定の光量の光を押しボタンの表面に出射させることができる。よって、押しボタン表面に描かれた画像を見易くすることができる。
【0017】
本発明に係る照光ボタン装置は、前記発光素子は、面発光型半導体レーザであることが望ましい。
【0018】
この構成によれば、面発光型半導体レーザのように、指向性の高い光であっても、複数の光学部材によって光を多方向に亘って出射させるので、押しボタンの表面に描かれた画像を、多方向から視認することができる。
【0019】
上記問題を解決するために、本発明に係る電子機器は、照光ボタン装置を備える。
【0020】
これによれば、どの方向から押しボタンを見たとしても、押しボタン表面に描かれた画像を見易くすることができる電子機器を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る照光ボタン装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本実施形態の照光ボタン装置の構成を示す模式断面図である。受発光素子の1つである発光素子としては、例えば、光を放出する部位(出射面)を有し、半導体レーザ、半導体発光ダイオード、有機EL装置などが挙げられる。受発光素子の1つである受光素子としては、例えば、光を取り込む部位(入射面)を有し、固体撮像素子、フォトダイオード、MSM(Metal Semiconductor Metal)フォトディレクターなどが挙げられる。以下、半導体レーザの1つである面発光型半導体レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)12と、フォトダイオードとしてのモニタフォトダイオード13(以下、「モニタPD」という。)とを用いた照光ボタン装置11の構成について、図1を参照しながら説明する。
【0023】
図1に示すように、照光ボタン装置11は、面発光型半導体レーザ12と、受光素子であるモニタPD13と、押しボタン14とを有する。面発光型半導体レーザ12及びモニタPD13は、例えば、図示しないワイヤボンディングにより供給電源や制御回路と電気的に接続されている。また、押しボタン14の下面14aには、図示しない電極が設けられている。この電極が基板15上に形成された図示しないスイッチ回路と接触し、スイッチが閉路することにより、押しボタン14が押されたことを示す信号が送信される。
【0024】
面発光型半導体レーザ12は、出射面32(図2参照)に対して垂直方向に光(レーザ)を出射することが可能となっている。
【0025】
モニタPD13は、面発光型半導体レーザ12から発光する出射光量をモニタリング(監視)するために、基板15上に設けられている。モニタPD13は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの半導体や化合物半導体(GaAs系、InP系)を用いたPNフォトダイオード、PINフォトダイオードなど公知の受光素子を採用することができる。
【0026】
押しボタン14は、筐体16の所定の部分にはめ込まれており、例えば、表面14bに文字20(画像)などが印刷されている。押しボタン14の内部には、光学部材としてのレンズであるマイクロレンズ17と、液体である水溶液18と、反射ミラー19とが配置されている。
【0027】
マイクロレンズ17は、例えば、紫外線硬化型樹脂からなり、図示しない液滴吐出装置によって水中に液滴を吐出し、この水中の液滴に紫外線を照射して硬化させることで形成される。紫外線硬化型樹脂は、一般に、プレポリマー、オリゴマー、およびモノマーのうち少なくとも1つと光重合開始剤とを含む。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、紫外線硬化型のアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などが挙げられる。粘度の選択性の広さを考慮すると、アクリル系樹脂を用いるのが好ましい。紫外線硬化型のアクリル系樹脂は、例えば、エポキシアクリレート類、スピロアセタール系アクリレート類等のアクリレート類、エポキシメタクリレート類、スピロアセタール系アクリレート類、ポリエステルメタクリレート類、ポリエーテルメタクリレート類等のメタクリレート類等が挙げられる。紫外線硬化型樹脂は、一般に光透過性の高いものが多く、光の損失が少ないことから、マイクロレンズ17を形成する場合に特に有効である。
【0028】
水溶液18は、例えば、反射ミラー19によって開口部14cを閉塞する(蓋をして固定する)ことにより、押しボタン14の中に密閉されている。この密閉された水溶液18中に、マイクロレンズ17が収納されている。つまり、マイクロレンズ17は、水溶液18中に浮遊した状態になっている。
【0029】
反射ミラー19は、例えばガラス板であり、面発光型半導体レーザ12及びモニタPD13の上方に位置する押しボタン14の表面14bと反対側(開口部14c側)に配置されている。反射ミラー19は、押しボタンの開口部14c付近に、面発光型半導体レーザ12の光の出射方向に対して傾斜して配置されていることにより、面発光型半導体レーザ12から出射した光の一部を透過してマイクロレンズ17に照射するとともに、その光の一部を反射させて光をモニタPD13へ照射させる。モニタPD13によって光の一部を受光することにより、面発光型半導体レーザ12から発光する光量が制御される。
【0030】
反射ミラー19は、一方の面に金属膜又は誘電体膜による反射膜が形成された反射面19aを有する。反射面19aでの光の透過率は、例えば、反射膜の厚さや材料などにより決定される。
【0031】
図2は、面発光型半導体レーザの構造を示す模式断面図である。以下、面発光型半導体レーザの構造を、図2を参照しながら説明する。図2に示すように、面発光型半導体レーザ(VCSEL)12は、第1基板21と、第1基板21上に形成された垂直共振器(以下「共振器」とする)22と、共振器22上に形成された第1電極23と、第1基板21の下面側21aに形成された第2電極24とを有する。第1基板21は、例えば、n型GaAs(砒素ガリウム)基板である。
【0032】
共振器22は、分布反射型多層膜ミラー層(以下、「第1ミラー層」という)25と、第1ミラー層25上に形成された活性層26と、活性層26上に形成された酸化アルミニウムからなる電流狭窄層27と分布反射型多層膜ミラー層(以下、「第2ミラー層」という)28とを有する。
【0033】
柱状部29(柱状の堆積体)は、第1ミラー層25の一部と、活性層26と、第2ミラー層28とを有する。柱状部29の周囲には、絶縁層30が形成されている。
【0034】
第1電極23および第2電極24は、共振器22に電流を注入するために設けられている。詳しくは、この第1電極23および第2電極24によって、活性層26に電流が注入される。第1電極23は、例えばAuとZnの合金とAuとの積層膜から形成することができる。第1電極23は、柱状部29の上面の一部に開口部31を有する。柱状部29の上面のうち、開口部31によって開口された部分が出射面32となる。第2電極24は、例えば、AuとGeの合金とAuとの積層膜から構成されている。
【0035】
以上により構成された面発光型半導体レーザ12は、共振器22の上面に設けられた出射面32から、第1基板21と垂直方向に光(レーザ)を出射することができる。
【0036】
次に、面発光型半導体レーザ12の一般的な動作を説明する。なお、下記の面発光型半導体レーザ12の駆動方法は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。
【0037】
まず、第1電極23と第2電極24との間で電圧を印加すると、活性層26において、電子と正孔との再結合が起こり発光が生じる。そこで生じた光が第2ミラー層28と第1ミラー層25との間を往復する際に誘導放出が起こり、光の強度が増幅される。光利得が光損失を上まわると、レーザ発振が起こり、柱状部29上面にある出射面32から押しボタン14の中にあるマイクロレンズ17へと出射する。
【0038】
図3は、照光ボタン装置から光が出射している状態を示す模式断面図である。図3(a)は、照光ボタン装置を押す前の状態を示す模式断面図であり、図3(b)は、照光ボタン装置を押した後の状態を示す模式断面図である。
【0039】
まず、図3(a)に示すように、ステップ1では、面発光型半導体レーザ12を発光させる。
ステップ2では、発光した光41の一部41aが反射ミラー19を透過して押しボタン14内部に収納された複数のマイクロレンズ17のうち一部のマイクロレンズ17に照射する。
また、ステップ2では、マイクロレンズ17への照射とともに、発光した光41の一部41bが反射ミラー19を反射してモニタPD13を照射する。これにより、モニタPD13は、光41の一部41bを受光することが可能となる。モニタPD13は、受光したこの光41bの光量を基に、面発光型半導体レーザ12から出射する光41の光量を所定の光量になるように制御を行う。
【0040】
ステップ3では、マイクロレンズ17に照射した光41が多方向に屈折して分散する。マイクロレンズ17を通過した光は、マイクロレンズ17が略球状に形成されているので内部で一旦集光するが、マイクロレンズ17から出射するときに光が広範囲に亘って均一に屈折する。また、マイクロレンズ17が複数あるので、次々に屈折して散乱し、押しボタン14の内部において広範囲に亘って光が出射する。
【0041】
ステップ4では、押しボタン14の内部で散乱した光が押しボタン14の表面14bから出射する。表面14bから出射した光は、多方向に亘って出射するので、押しボタン14の表面14bに印刷された文字20の全体を、どの方向から見ても見易くすることができる。
【0042】
次に、図3(b)に示すように、ステップ5では、例えば、電話番号を入力するために照光ボタン装置11を押す。照光ボタン装置11を押すことにより、照光ボタン装置11全体が動かされ、押しボタン14の内部に密閉された水溶液18が移動する。水溶液18が移動することにより、水溶液18中のマイクロレンズ17が移動する。マイクロレンズ17が移動することにより、照光ボタン装置11を押す前に出射していた光の屈折方向が変化する。これにより、例えば、照光ボタン装置11が押される前に押しボタン14の表面14bに複数のスポットで光が当たっていたとしても、マイクロレンズ17が動くことにより、押しボタン14の表面14b全体に光が当たるように移動するので、表面14bに印刷された文字20の輪郭部分に光が当たり、これにより、文字20を読み取り易くすることができる。また、例えば、押しボタン14の内部に収納するマイクロレンズ17が少ない場合であっても、マイクロレンズ17が移動することにより光の屈折方向が変化するので、マイクロレンズ17の数量が多い場合と比べて見易さが抑制されるものの、文字20を多方向から視認することが可能となる。
【0043】
図4は、本発明の電子機器の一実施形態である携帯電話機の構成を模式的に示す概略斜視図である。以下、携帯電話機の構成を、図4を参照しながら説明する。
【0044】
図4に示すように、携帯電話機51は、操作部52と、表示部53とを有する。操作部52には、複数の照光ボタン装置54や操作ボタン55及び送話部56が配列されている。送話部56の内部には、マイク(図示せず)が内蔵されている。また、表示部53には、表示窓57と、受話部58が配設されている。表示部53の内部には、図示しない液晶表示装置が実装されており、表示窓57を通して表示面を視認することが可能となっている。受話部58の内部には、図示しないスピーカが配置されている。
【0045】
なお、本発明に係る照光ボタン装置11を適用可能な他の電子機器としては、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、ディジタルスチルカメラなどが挙げられる。
【0046】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)本実施形態によれば、面発光型半導体レーザ12によって発光した光41が複数のマイクロレンズ17を通過するので、多方向にわたって光41を屈折させることが可能となる。よって、押しボタン14の内部から多方向に渡って光が出射されるので、押しボタン14の表面14bに描かれた文字20の輪郭を見易くさせることができ、文字20を多方向から視認することができる。従って、どの方向から押しボタン14を見たとしても、押しボタン14の表面14bに描かれた文字20を読み取り易くすることができる。
【0047】
(2)本実施形態によれば、押しボタン14の内部に水溶液18が密閉され、その中にマイクロレンズ17が浮遊しているので、例えば携帯電話機51を動かすことにより、照光ボタン装置11全体が動かされ、これにより、複数のマイクロレンズ17を動かすことができる。よって、例えば、照光ボタン装置11が押される前に文字20の輪郭に当たっていない光があったとしても、マイクロレンズ17が動くことにより、押しボタン14の表面14b全体に光が当たるとともに文字20の輪郭部分に光が当たるようになるので、印刷された文字20を読み取り易くすることができる。
また、水溶液18中にマイクロレンズ17が浮遊しているので、携帯電話機51の回路などの熱により水溶液18の流動性が向上し、これにより、マイクロレンズ17を動きやすくすることができる。よって、光の出射方向を変化させることが可能となる。
【0048】
(3)本実施形態によれば、押しボタン14の内部に収納するマイクロレンズ17の数を少なくした場合であっても、マイクロレンズ17が移動することにより光の屈折方向が変化するので、マイクロレンズ17の数量が多い場合と比べて見易さが抑制されるものの、文字20を多方向から視認することができる。
【0049】
(4)本実施形態によれば、モニタPD13によって面発光型半導体レーザ12から出射する光の光量を制御するので、常に所定の光量の光を押しボタン14の表面14bから出射させることができる。よって、押しボタン14の表面14bに印刷された文字を読み取り易くすることができる。
【0050】
(5)本実施形態によれば、どの方向から押しボタン14を見たとしても、押しボタン14表面14bに印刷された文字20を読み取り易くすることができる電子機器を提供することが可能になる。
【0051】
なお、本実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
(変形例1)前記実施形態では、押しボタン14の内部に水溶液18を密閉して、その中にマイクロレンズ17を収納して浮遊させるようにしていた。これを、図5に示すように、押しボタン14の内部に、例えば、紫外線によって硬化可能な透明樹脂61を入れ、その中にマイクロレンズ17を収納したあと、紫外線を照射して透明樹脂61を硬化させて、マイクロレンズ17を固定するようにしてもよい。これによれば、照光ボタン装置11を動かしてもマイクロレンズ17が固定されているので移動しないが、複数のマイクロレンズ17によって、光が多方向に亘って屈折し散乱するので、押しボタン14の表面14bに印刷された文字20を、多方向から見ても読み取り易くすることができる。
【0052】
(変形例2)前記実施形態では、押しボタン14の内部に水溶液18を密閉して、その中にマイクロレンズ17を収納して浮遊させるようにしていた。これを、図6に示すように、押しボタン14の内部に、水溶液18などを入れずにマイクロレンズ17を入れて、それぞれのマイクロレンズ17の間に隙間71がある状態で収納するようにしてもよい。これによれば、照光ボタン装置11を動かすことにより、マイクロレンズ17がある方向に偏って移動する傾向にあるものの、出射方向を可変させることが可能となる。よって、押しボタン14の表面14bに印刷された文字20を、どの方向から見ても読み取り易くすることができる。
【0053】
(変形例3)前記実施形態では、押しボタン14の内部に水溶液18を密閉して、その中にマイクロレンズ17を収納して浮遊させるようにしていた。これを、押しボタン14の内部に粘度の高い樹脂を入れて密閉し、この中にマイクロレンズ17を入れるようにしてもよい。これによれば、照光ボタン装置11を動かしてもマイクロレンズ17が動きにくくなっているのでゆっくり移動するが、複数のマイクロレンズ17によって、光が多方向に亘って屈折し散乱し、更にゆっくり移動したマイクロレンズ17によって光の方向を可変するので、押しボタン14の表面14bに印刷された文字20を、多方向から見ても読み取り易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】一実施形態における、照光ボタン装置の構成を示す模式断面図。
【図2】面発光型半導体レーザの構造を示す模式断面図。
【図3】照光ボタン装置から光が出射している状態を示す模式断面図であり、図3(a)は、照光ボタン装置を押す前の状態を示す模式断面図、図3(b)は、照光ボタン装置を押した後の状態を示す模式断面図。
【図4】照光ボタン装置を備えた携帯電話機の構成を模式的に示す概略斜視図。
【図5】照光ボタン装置の変形例を示す模式断面図。
【図6】照光ボタン装置の変形例を示す模式断面図。
【符号の説明】
【0055】
11…照光ボタン装置、12…発光素子である面発光型半導体レーザ(VCSEL)、13…受光素子であるモニタフォトダイオード(モニタPD)、14…押しボタン、14b…表面、15…基板、16…筐体、17…光学部材であるマイクロレンズ、18…液体である水溶液、19…反射ミラー、19a…反射面、20…文字、21…第1基板、22…共振器、23…第1電極、24…第2電極、25…第1ミラー層、26…活性層、27…電流狭窄層、28…第2ミラー層、29…柱状部、30…絶縁層、31…開口部、32…出射面、51…電子機器である携帯電話機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に画像が描かれた押しボタンと、
前記押しボタンの内部に収容された複数の光学部材と、
発光した光が前記光学部材に入射するように配置された発光素子と、
を有することを特徴とする照光ボタン装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照光ボタン装置であって、
前記押しボタンの内部には、液体が密閉されており、
前記複数の光学部材は、前記液体中に浮遊していることを特徴とする照光ボタン装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の照光ボタン装置であって、
前記光学部材は、略球状のレンズであることを特徴とする照光ボタン装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の照光ボタン装置であって、
前記発光素子は、前記押しボタンに対し前記表面と反対側に配置され前記光学部材に光を出射することを特徴とする照光ボタン装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の照光ボタン装置であって、
前記押しボタンの内部には、前記光学部材を封鎖するとともに前記発光素子からの光を反射させるために用いられる反射ミラーが傾いて配置されており、
前記発光素子から発光した光の一部を前記反射ミラーによって反射させることにより、反射した前記光の一部を受光素子で受光し前記発光素子の光量が制御されることを特徴とする照光ボタン装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の照光ボタン装置であって、
前記発光素子は、面発光型半導体レーザであることを特徴とする照光ボタン装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の照光ボタン装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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